説明

空気動圧軸受、スピンドルモータおよび磁気情報記録装置

【課題】 固定部と回転部との間に導電性流動体を用いることなく、また、固定部と回転部との機械的な接触を生じさせることなく、回転部に発生する静電気が外部に流れることを防止する。
【解決手段】 固定部15と、該固定部15に対して回転させられる回転部11とを備え、固定部15および回転部11の半径方向および/または軸方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に、固定部15と回転部11との相対回転により空気を引き込む動圧発生溝18,19を形成してなる複数の動圧発生部20A,20B,21を備えるとともに、該動圧発生部20A,20B,21以外の部位において、固定部15および回転部11に、相互に微小間隔をあけて対向配置される導電性材料からなる一対の対向面部材11,25が配置され、該対向面部材11,25の少なくとも一方に、微細な凹凸28A,28Bが設けられている空気動圧軸受9を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気動圧軸受、スピンドルモータおよび磁気情報記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクドライブ装置用のスピンドルモータには、流体動圧軸受が広く採用されている。流体動圧軸受としては、作動流体としてオイルを用いたオイル動圧軸受と、作動流体として空気を用いた空気動圧軸受とが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【0003】
オイル動圧軸受は、剛性が高く、耐振動性能も良好であるという利点を有する反面、駆動電流値を低くすることができないために消費電力が多く、バッテリ駆動式の携帯機器に搭載する場合には、さらなる省電力を図る必要がある。また、オイル漏れの問題もある。
一方、空気動圧軸受は、オイル漏れの問題もなく、駆動電流値も低く抑えることができるため、携帯機器に搭載するのに適している。
【0004】
しかし、特許文献1に開示されているように、空気動圧軸受の場合、回転時にロータとステータとが接触しないため、ロータが電気的に接地しておらず、ロータに支持されたハードディスクに静電気が帯電する不都合が考えられる。特に、高記憶容量タイプのハードディスクドライブ装置においては、最近では垂直磁化方式も採用され始め、磁界の変化に応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子を利用したMRヘッドが採用されるが、ハードディスクに静電気が帯電していると、MRヘッド等が静電気によって損傷を受ける可能性がある。
【0005】
特許文献1においては、空気動圧軸受を用いたスピンドルモータにより回転駆動されるハードディスクに帯電する静電気の問題を解決するために、ロータまたはステータの一方に針状アース部材を設け、この針状アース部材の先端を他方に溜めた導電性流動体内に埋没させることで、実質的にロータをステータに電気的に導通させることとしている。このようにすることで、ハードディスクに発生する静電気は、針状アース部材および導電性流動体を介してステータに逃げるので、ハードディスクにおける静電気の帯電を防止して、MRヘッドの損傷を回避することができる。
【特許文献1】特開平11−69725号公報
【特許文献2】特開2004−32825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、導電性流動体としては、硬めのグリースに金属微粒子を混ぜた導電性グリースが考えられるが、その調製は一般に困難である。すなわち、導電性グリースにおける電気抵抗を低減するためには金属微粒子を多く混ぜる必要があるが、その場合、グリースの潤滑性が損なわれる。逆に、グリースの耐久的な潤滑性を維持するためには金属微粒子の混入量を低減する必要があるが、その場合、ハードディスクに発生する静電気を十分に逃がすことができないことになる。
【0007】
ハードディスクに微量の静電気が残る場合、ハードディスクから磁気ヘッド側に静電気が流れる場合がある。高速回転するハードディスクと磁気ヘッドとの関係は一定しておらず、磁気ヘッドに対向する位置におけるハードディスクの周速度の相違、磁気ヘッドとハードディスクとの相対距離の変動、ハードディスクに帯電している静電気量等によって、ハードディスクから磁気ヘッド側に流れる静電気量は不規則に変動する。
【0008】
磁気ヘッドにより取得される磁気信号は極めて微弱であるため、ハードディスクから磁気ヘッド側に静電気が流れると、磁気ヘッドの磁気信号に静電気がノイズとして重畳され、磁気信号のS/N比が低下することが考えられる。上述したように静電気ノイズは不規則に変動するため、フィルタ回路を用いても除去しきれないという問題もある。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、固定部と回転部との間に導電性流動体を用いることなく、また、固定部と回転部との機械的な接触を生じさせることなく、回転部に発生する静電気が外部、特に、磁気記録媒体に発生する静電気が磁気ヘッドに流れることを防止する空気動圧軸受、スピンドルモータおよび磁気情報記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、以下の手段を提供する。
固定部と、該固定部に対して回転させられる回転部とを備え、固定部および回転部の半径方向および/または軸方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に、固定部と回転部との相対回転により空気を引き込む動圧発生溝を形成してなる複数の動圧発生部を備えるとともに、該動圧発生部以外の部位において、固定部および回転部に、相互に微小間隔をあけて対向配置される導電性材料からなる一対の対向面部材が配置され、該対向面部材の少なくとも一方に、微細な凹凸が設けられている空気動圧軸受を提供する。
【0011】
本発明によれば、固定部に対して回転部を回転させると、両者の相対回転に伴って、各動圧発生部を構成する対向面の一方に形成された動圧発生溝が移動させられるため、該動圧発生溝が設けられている微小間隙に空気が引き込まれ、微小隙間に周方向の全周にわたって局所的に動圧の高い領域が発生する。その結果、発生した局所的な動圧分布により、固定部に対して回転部が微小間隙の間隔方向に押圧され、ラジアル方向あるいはスラスト方向に浮上した状態に支持される。
【0012】
この場合において、本発明によれば、動圧発生部以外の部位に配置された導電性材料からなる対向面部材が微小間隔をあけて配置されているので、対向面部材間に容量要素が構成されることになる。そして、その容量要素の静電容量は、微小間隔を可能な限り小さくし、かつ、微細な凹凸によって対向面積を増大させることで、対向面部材間に空気が満たされている場合においても、比較的大きな静電容量の容量要素を構成することができる。
【0013】
すなわち、回転部が比較的大きな静電容量の容量要素を介して固定部に接続されることにより、回転部側に発生した静電気が容量要素に蓄電される。したがって、例えば、本発明の空気動圧軸受を磁気情報記録装置のスピンドルモータに使用する場合に、磁気記録媒体において発生した静電気は、対向面部材間に構成された容量要素に蓄電されることで安定的に保持されるので、磁気記録媒体から磁気ヘッド側に流れにくくなり、磁気ヘッドにより読み取られる磁気信号のS/N比の低下を防止することができる。
【0014】
上記発明においては、前記対向面部材の少なくとも一方が、多孔質材料により構成されていることとしてもよい。多孔質材料によれば、微細な気孔によって簡易に微細な凹凸を形成することができ、対向面部材の対向面積を容易に増大させることができる。その結果、構成される容量要素の静電容量を簡易に増大させることができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記対向面部材が、前記固定部または回転部を構成する部材の壁面を貫通する貫通孔に配置され、塵埃を捕集するフィルタを備えることとしてもよい。
対向面部材を多孔質材料にして貫通孔に配置することで、壁面を貫通して通気させることができる。この場合に、多孔質材料の気孔率を十分に低く設定しておくことで、塵埃を捕集するフィルタとして機能させることができ、動圧発生部によって吸引される空気に含まれている塵埃がフィルタによって捕集され、空気動圧軸受内部に導入されることが防止される。
【0016】
また、前記動圧発生部が、固定部および回転部の半径方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に動圧発生溝を形成してなるラジアル動圧発生部と、固定部および回転部の軸方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に動圧発生溝を形成してなるスラスト動圧発生部とからなり、前記貫通孔が、これらラジアル動圧発生部とスラスト動圧発生部との間の固定部と回転部との隙間に開口していることとしてもよい。
このように構成することで、フィルタによって塵埃を捕集された清浄な空気が貫通孔を介して、ラジアル動圧発生部およびスラスト動圧発生部に供給され、回転部が固定部に対して安定して浮上した状態に維持されつつ回転自在に支持されることになる。
【0017】
また、前記フィルタを配置した貫通孔または流路の流通断面積が、他の流路の流通断面積よりも大きく構成されていることが好ましい。
このように構成することで、フィルタを配置した貫通孔または流路を介した空気を、他の流路よりも優先的に動圧発生部に引き込ませることができ、空気動圧軸受内部に導入される空気を効率的に清浄化させることができる。
【0018】
また、前記フィルタを配置した貫通孔または流路と前記動圧発生部との間に空気溜まり部が設けられていることが好ましい。
フィルタによる清浄化効果を高めるためにフィルタを密なものとすると、フィルタの空気流通性が低下するが、この場合においても空気溜まり部から動圧発生部に空気が供給されるので、動圧を安定して発生させることができる。
【0019】
また、本発明は、固定部と、該固定部に対して回転させられる回転部とを備え、固定部および回転部の半径方向および/または軸方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に、固定部と回転部との相対回転により空気を引き込む動圧発生溝を形成してなる複数の動圧発生部を備えるとともに、該動圧発生部以外の部位において、固定部および回転部に、相互に微小間隔をあけて対向配置される導電性材料からなる一対の対向面部材が配置され、該対向面部材間の微小間隔に、オイルまたはグリースが充填されている空気動圧軸受を提供する。
本発明によれば、空気よりも比誘電率の高いオイルまたはグリースによって対向面部材間に構成される容量要素の静電容量をさらに増大させることができる。したがって、回転部に発生した静電気が外部に流れることをより効果的に防止することができる。
【0020】
また、本発明は、上記いずれかの空気動圧軸受を備え、前記固定部を固定するステータと、前記回転部を固定するロータとを有し、前記ステータに、前記ロータの周囲を取り囲む円環状の励磁コイルが備えられ、前記ロータに、前記励磁コイルに半径方向に対向して円環状に配列された複数の磁極を有する永久磁石が備えられているスピンドルモータを提供する。
【0021】
本発明によれば、ステータに設けられた励磁コイルに電力を供給し、励磁コイルを励磁することにより、該励磁コイルに対向配置された永久磁石との間の磁気吸引力および磁気反発力を利用してロータに回転力が付与される。ロータは空気動圧軸受によって、ステータに対し回転自在に支持されているので、ロータは、少ない駆動電流で安定して滑らかに回転されることになる。この場合において、ロータの回転によりロータに静電気が生じても、空気動圧軸受の回転部と固定部との間に構成された容量要素に蓄電され、外部に流れることを防止できる。
【0022】
また、本発明は、ステータと、ロータと、該ロータをステータに対して回転自在に支持する空気動圧軸受とを備え、前記ステータおよびロータに、相互に微小間隔をあけて対向配置される導電性材料からなる一対の対向面部材が配置され、該対向面部材の少なくとも一方に、微細な凹凸が設けられているスピンドルモータを提供する。
本発明によれば、ロータの回転によりロータに静電気が生じても、ロータおよびステータに設けられた対向面部材間に容量要素が構成されるので、静電気を該容量要素に蓄電させて、外部に流れることを防止できる。
【0023】
また、本発明は、上記スピンドルモータと、該スピンドルモータのロータに固定された磁気記録媒体と、前記スピンドルモータにより回転させられる前記磁気記録媒体に近接させられて、該磁気記録媒体に対して磁気情報を記録しあるいは読み取る磁気ヘッドと、これらスピンドルモータ、磁気記録媒体および磁気ヘッドを収容する閉空間を備えるベースハウジングとを備える磁気情報記録装置を提供する。
【0024】
本発明によれば、スピンドルモータの作動によりロータが回転させられると、ロータに固定された磁気記録媒体が回転させられる。そして回転している磁気記録媒体に磁気ヘッドを近接させることにより、磁気記録媒体に記録されている磁気情報が磁気ヘッドによって読み取られ、あるいは磁気記録媒体に磁気情報を記録することが可能となる。この場合において、磁気記録媒体が回転させられると、空気との摩擦等により磁気記録媒体に静電気が発生する。本発明によれば、ロータあるいは該ロータを支持する空気動圧軸受がステータとの間に比較的大きな静電容量の容量要素を構成しているので、発生した静電気が容量要素に蓄電され、磁気記録媒体の周囲から除去される。したがって、磁気ヘッドにより磁気記録媒体に記録されている磁気情報を読み取っても、その微弱な磁気信号に静電気によるノイズが重畳することがなく、磁気信号のS/N比を向上して、読み取りエラーの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る空気動圧軸受およびスピンドルモータおよび磁気情報記録装置によれば、固定部に対して回転部を安定して回転自在に支持することができるとともに、回転部の回転により回転部に発生する静電気を蓄電することができるという効果を奏する。その結果、磁気情報記録装置においては、磁気記録媒体に発生した静電気が磁気記録媒体から磁気ヘッドに流れることを防止して、ノイズの発生を低減し、磁気ヘッドにより読み取られる磁気信号のS/N比を向上することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る空気動圧軸受、スピンドルモータおよび磁気情報記録装置について図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態に係る磁気情報記録装置1は、ハードディスクドライブ装置であって、図1および図2に示されるように、閉空間Aを形成するベースハウジング2と、該ベースハウジング2内に収容される、磁気記録媒体3、該磁気記録媒体3を回転駆動するスピンドルモータ4および該磁気記録媒体3に記録されている磁気情報を読み取る磁気ヘッド5(図3参照。)とを備えている。
【0027】
前記磁気記録媒体3は、中央に貫通孔3aを有する平坦なディスク状に形成されている。
前記スピンドルモータ4は、前記磁気記録媒体3を固定するロータ6と、該ロータ6の周囲に配置される円環状の励磁コイル7を備えるステータ8と、該ステータ8に対してロータ6を回転自在に支持する空気動圧軸受9とを備えている。
【0028】
前記ロータ6は、前記磁気記録媒体3の貫通孔3aに嵌合する嵌合部6aと、該嵌合部6aに貫通孔3aを嵌合させた状態でロータ6に固定される磁気記録媒体3を突き当てる段部6bとを備えている。また、ロータ6の外周には、複数の磁極を有する永久磁石10が周方向に沿って円環状に配列されている。永久磁石10は、断面略矩形に形成され、軸線方向に隣接配置される鍔状のフランジ部6cと、半径方向内方に隣接配置されるヨーク部6dとにより支持されている。また、ロータ6は全体としてカップ状に形成され、その中央に、後述する空気動圧軸受9のシャフト(回転部)11を嵌合させる嵌合孔6eを備えている。図中、符号12は、磁気記録媒体3をロータ6に固定した状態に維持する板バネであり、シャフト11の先端に設けられたネジ孔11aにネジ13を締結することにより固定されるようになっている。また、符号10aは永久磁石10とベースハウジング2との間に磁気回路が形成されるのを防止するシールド部材である。
【0029】
前記ステータ8は、前記ベースハウジング2に固定され、前記ロータ6の永久磁石10に対して、全周にわたり半径方向外方に微小間隔をあけて対向配置される電磁石14を備えている。ベースハウジング2には、後述する空気動圧軸受9のハウジング(固定部)15を嵌合させる嵌合孔2aを有するボス部2bが備えられている。前記電磁石14は、ステータコア16と該ステータコア16に巻き付けられた励磁コイル7とから構成されている。図中、符号17は、励磁コイル7を覆い、磁気記録媒体3に対し磁気情報を読み書きする際に、磁気ヘッド5に対する励磁コイル7の磁場の作用を抑制する磁性材料からなるシールド部材である。
【0030】
ステータコア16は、1以上の金属板により構成され、円環状のコアバック16aと、周方向に間隔をあけてコアバック16aから半径方向内方に延びる複数の歯極16bとを備えている。前記励磁コイル7は、各歯極16bに巻き付けられることにより、周方向に間隔をあけて複数配列される電磁石14を構成し、かつ、全体としてロータ6全周を取り囲む円環状に配置されている。
【0031】
前記空気動圧軸受9は、図1に示されるように、ベースハウジング2のボス部2bに固定されるハウジング15と、該ハウジング15に微小隙間をあけて収容されるシャフト11とを備えている。本実施形態においては、シャフト11に固定されるロータ6の内面も空気動圧軸受9の一部を構成している。
【0032】
シャフト11は、略円柱状の柱状部11bの一端部に全周にわたって半径方向外方に延びる外鍔部11cを備え、他端部に前記ロータ6の嵌合孔6eに嵌合する嵌合部11dとを備えている。
ハウジング15は、ボス部2bに嵌合する嵌合部15aと、前記シャフト11の外鍔部11cを収容するように底面15bにより一端を閉塞された円筒部15cと、該円筒部15cの一端から半径方向内方に延びる内鍔部15dとを備えている。円筒部15cの外周面には、ヘリングボーン溝のようなラジアル動圧発生溝18が形成されている。また、内鍔部15dの軸方向の両端面には、例えば、ヘリングボーン溝またはスパイラル溝のようなラジアル動圧発生溝19が形成されている。
【0033】
前記シャフト11の外鍔部11cは、ハウジング15の底面15bと内鍔部15dとの間に軸方向に挟まれる位置に配置され、それぞれとの間に微小間隙をあけることができる程度の厚さ寸法に形成されている。また、シャフト11の嵌合部11dがロータ6の嵌合孔6eに嵌合された状態で、シャフト11の外鍔部11cとロータ6の内面6fとの間に前記ハウジング15の内鍔部15dが軸方向に微小間隔をあけて挟まれるように配置されている。さらに、ロータ6は、シャフト11に固定された状態で、ロータ6の内周面6gが前記ハウジング15の円筒部15cの外周面に微小間隙をあけて対向するようになっている。
【0034】
これにより、ハウジング15の内鍔部15dの軸方向の一端面とこれに対向するシャフト11の外鍔部11cの面およびハウジング15の内鍔部15dの軸方向の他端面とこれに対向するロータ6の内面6fとにより、それぞれ、スラスト動圧発生部20A,20Bが形成されている。そして、ハウジング15に対してシャフト11およびロータ6が回転させられることにより各スラスト動圧発生部20A,20Bに動圧が発生すると、発生した動圧によって外鍔部11cとロータ6とが軸方向に沿って反対側に押圧され、その力の釣り合いによってシャフト11がハウジング15に対して軸方向に動かないように支持されるようになっている。
【0035】
また、ハウジング15の円筒部15cの外周面とロータ6の内周面6gとによりラジアル動圧発生部21が形成されている。これにより、ハウジング15に対してシャフト11およびロータ6が回転させられると、ラジアル動圧発生部21に発生した動圧によって、ロータ6がハウジング15に対して全周にわたって半径方向外方に押圧される結果、ロータ6がハウジング15に対して半径方向に動かないように支持されるようになっている。
【0036】
前記ロータ6には、ハウジング15の内鍔部15dとの間に構成されたスラスト動圧発生部20A,20Bよりも半径方向内側位置に、ロータ6を構成する壁面を貫通する貫通孔22が設けられている。該貫通孔22は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。また、貫通孔22は周方向に等間隔をあけて設けられていることが好ましい。
これら貫通孔22は、ハウジング15の内鍔部15dの両端面に形成された2つのスラスト動圧発生部20A,20Bの間の隙間に開口している。
【0037】
また、ハウジング15には、内鍔部15dに形成されたスラスト動圧発生部20A,20Bの半径方向外側に内鍔部15dを構成する壁面を貫通する貫通孔23が設けられている。該貫通孔23は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。貫通孔23は周方向に等間隔をあけて設けられていることが好ましい。
これら貫通孔23は、ハウジング15の外周面に構成されたラジアル動圧発生部21と、内鍔部15dに形成されたスラスト動圧発生部20Bとの間のハウジング15とロータ6との間の隙間に開口している。
【0038】
また、ハウジング15の底面15bには、該底面15bを厚さ方向に貫通する貫通孔24が設けられている。この貫通孔24にはフィルタ25が固定されている。フィルタ25は、例えば、導電性の金属材料を焼結することにより構成され、十分に細かい気孔を有し、空気を自由に流通させる一方、空気に含まれている塵埃を捕集することができるようになっている。また、シャフト11とハウジング15との間には、比較的大きな容積を有する空気溜まり部Dが確保されている。
【0039】
本実施形態に係る空気動圧軸受9においては、図2に示されるように、シャフト(対向面部材)11とフィルタ(対向面部材)25とが、相互に微小間隔をあけて配置されている。また、フィルタ25に対向するシャフト11の表面には、微細な凹凸28Aが形成されている。この凹凸28Aは、サンドブラスト、ショットピーニングあるいはケミカルエッチングのような面粗し加工の他、プレス加工等によって構成することにすればよい。
さらに、フィルタ25は、上述したように焼結金属により多孔質に構成されている。したがって、フィルタ25のシャフト11に対向する表面にも、微細な気孔によって多数の凹凸28Bが形成されている。
【0040】
したがって、本実施形態に係る空気動圧軸受9によれば、相互に微小間隔をあけて対向するシャフト11およびフィルタ25の表面がいずれも微細な凹凸28A,28Bを有し、それによって、実質的な対向表面積が、滑らかな平坦面どうしを対向させる場合よりも増大させられている。
すなわち、微小間隔をあけて大きな対向表面積で対向させられる、導電性材料からなるシャフト11とフィルタ25とにより、滑らかな平坦面どうしを対向させる場合よりも遙かに大きな静電容量を有する容量要素Cが構成されている。
【0041】
前記磁気記録媒体3は、ガラス基材(図示略)の表面に、磁気記録層(図示略)を蒸着等することにより構成されている。
前記磁気ヘッド5は、図3に示されるように、磁気記録媒体3の回転軸線Bに平行間隔をあけて配置される中心軸線E回りに揺動させられるスイングアーム26の先端に取り付けられている。磁気ヘッド5の表面には金属磁性膜(図示略)が形成されており、磁気記録媒体3の磁気記録層に情報を記録するとともに、この磁気記録層に記録されている情報を読み取ることができるようになっている。磁気ヘッド5は、磁気記録媒体3の厚さ方向の両面に設けられた磁気記録層の情報を読み取るために2つ備えられている。各磁気ヘッド5は同時に動作する2本のスイングアーム26の先端にそれぞれ固定されている。
【0042】
このように構成された本実施形態に係る空気動圧軸受9、スピンドルモータ4および磁気情報記録装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る磁気情報記録装置1によれば、スピンドルモータ4の駆動により、ステータ8に対してロータ6を回転駆動し、ロータ6に固定されている磁気記録媒体3を回転させた状態で、スイングアーム26の揺動によって磁気ヘッド5を磁気記録媒体3の表面に近接させ、磁気記録媒体3の磁気記録層に記録されている磁気情報を高速に順次読み取りあるいは記録することができる。ロータ6はステータ8に対して空気動圧軸受9により回転自在に支持されているので、ステータ8に対するロータ6の回転によって、空気動圧軸受9により、ロータ6が軸方向および半径方向の両方に移動しないように安定して回転させられる。これにより、磁気ヘッド5を磁気記録媒体3に対して適正な位置に配置し続けることができる。
【0043】
本実施形態に係る空気動圧軸受9によれば、ハウジング15に対してシャフト11が回転させられると、ハウジング15の内鍔部15dの両端面に設けられたスラスト動圧発生部20A,20B、およびハウジング15の円筒部15cの外周面に設けられたラジアル動圧発生部21のいずれにも周囲から空気が引き込まれることにより動圧が発生する。この場合に、2つのスラスト動圧発生部20A,20Bの間およびスラスト動圧発生部20Bとラジアル動圧発生部21との間の隙間においては、両側の動圧発生部20A,20B,21によって空気が引き込まれる結果、負圧になり易くなるが、本実施形態によれば、それらの位置に開口する貫通孔22,23が設けられているので、貫通孔22,23を介して空気が供給され、動圧発生部20A,20B,21間の隙間が負圧になることが防止される。その結果、ロータ6が負圧によってハウジング15に吸着されることが防止され、ロータ6を安定して回転させることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る空気動圧軸受9によれば、動圧発生部20A,20B,21に引き込まれる空気Gの一部は、図2に示されるように、ハウジング15の底面15bに設けられた貫通孔24を介してベースハウジング2の外部から吸い込まれる。この貫通孔24にはフィルタ25が設けられているので、吸い込まれる空気G内の塵埃がフィルタ25によって捕集され、清浄な空気Gがハウジング15内に引き込まれることになる。
【0045】
本実施形態に係る磁気情報記録装置1によれば、ベースハウジング2内に塵埃が取り込まれることがなく、ベースハウジング2内の空気Gを清浄な状態に維持できる。したがって、磁気記録媒体3や磁気ヘッド5に塵埃が付着することが防止され、読み取りあるいは書き込みエラーの発生を防止できる。また、フィルタ25に隣接するハウジング15内部には空気溜まり部Dが設けられているので、フィルタ25の目を細かくして集塵効果を高めても、動圧発生部20A,20B,21に供給する空気Gが不足することが防止される。したがって閉空間A内をより清浄な状態に維持しつつ、安定した回転を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態に係る磁気情報記録装置1によれば、フタ部材27により密閉されたベースハウジング2内部の閉空間Aが、前記フィルタ25を備える貫通孔24によって外部に開放されているので、周囲の温度変化や気圧の変化に伴ってベースハウジング2内外に気圧差が生ずることが防止される。その結果、気圧差による構成部品の変形等が防止され、磁気記録媒体3を精度よく回転させることができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る磁気情報記録装置1によれば、図4(a)に示されるように、ガラス基材からなる磁気記録媒体3が回転させられると、周囲の空気との摩擦等によって静電気Fが発生する。しかしながら、本実施形態に係る磁気情報記録装置1においては、空気動圧軸受9のシャフト11とフィルタ25とその間の微小隙間とによって、比較的大きな静電容量の容量要素Cが構成されているので、図4(b)に示されるように、磁気記録媒体3において発生した静電気Fはシャフト11に導かれ、容量要素Cに蓄電される。したがって、磁気記録媒体3上に不安定な状態で残る静電気Fを低減し、磁気記録媒体3から離れた容量要素Cに安定的に保持することができる。
【0048】
その結果、本実施形態の磁気情報記録装置1において、図4(c)に示されるように、磁気ヘッド5を磁気記録媒体3に近接させてその磁気情報を読み取る場合に、磁気記録媒体3から磁気ヘッド5に静電気Fが流れることを防止できる。したがって、磁気ヘッド5により読み取る磁気信号に静電気Fによるノイズが重畳してしまうことを防止でき、磁気信号のS/N比を向上して、読み取りエラーの発生を防止できるという利点がある。
【0049】
なお、容量要素Cに蓄電された静電気Fは、スピンドルモータ4を停止させた際に、シャフト11とフィルタ25とが接触することでベースハウジング2を介して外部に放電されることになる。
【0050】
本実施形態に係る空気動圧軸受9、スピンドルモータ4および磁気情報記録装置1によれば、従来のように静電気Fを接地するために導電性グリースを用いる場合と比較して、回転時の粘性抵抗が少なく、駆動電流を低減できるという利点がある。また、調製が難しい導電性グリースを用いる必要がなく、コストを低減し、耐久性を向上できるという利点もある。
【0051】
なお、本実施形態においては、シャフト11とフィルタ25の両対向面に凹凸28A,28Bを形成したが、これに代えて、いずれか一方に凹凸28A,28Bを形成することで対向表面積を増大させることにしてもよい。また、フィルタ25を導電性金属からなる焼結体として、対向面部材を構成したが、これに代えて、図5に示されるように、フィルタ25′はポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の繊維からなる集塵容易な材質により構成し、その周囲に、導電性金属からなる焼結体29を対向面部材として配置してもよい。また、導電性繊維により構成してもよい。
【0052】
また、フィルタ25や焼結体29のように多孔質材料により対向面部材を構成することにより、対向表面積を簡易に増大させることができるが、これに代えて、図6に示されるように、シャフト11に対向するハウジング15の内面も、面粗し加工やプレス加工等によって、微細な凹凸28A,28Bを形成することにしてもよい。
この場合に、スピンドルモータ4の停止時における両対向面の接触状態をスムーズするためには、両対向面をほぼ平坦に構成した上で、これら対向面に凹部を形成することが好ましい。
【0053】
また、本実施形態においては、シャフト11とハウジング15が軸方向に対向する位置に容量要素Cを構成することとしたが、これに代えて、あるいはこれとともに、図7に示されるように、シャフト11とハウジング15とが半径方向に対向する位置に対向面部材を配置して容量要素Cを構成することとしてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、空気動圧軸受9のシャフト11とハウジング15との対向面に容量要素Cを構成したが、これに代えて、ロータ6とベースハウジング2との間、あるいは、ロータ6に固定されたシールド部材10aとベースハウジング2との間に容量要素Cを構成することにしてもよい。
この場合、例えば、図8に示されるように、シャフト11をベースハウジング2に固定する形式の磁気情報記録装置1においても、磁気記録媒体3に発生する静電気Fが磁気ヘッド5に流れるのを効果的に防止することができる。
【0055】
また、上記実施形態においては、いずれも、微小な空気間隔をあけて配されるシャフト11あるいはロータ6とハウジング15あるいはベースハウジング2との間に、対向表面積を増大させることで比較的大きな静電容量を有する容量要素Cを構成したが、これに代えて、図9に示されるように、シャフト11とハウジング15との間の微小間隔に、比誘電率が空気よりも十分に大きく、かつ、粘性の低いオイル30あるいはグリースを充填することにしてもよい。
この場合に、図9に示されるように、シャフト11およびハウジング15の表面に面粗し加工等を施して凹凸28A,28Bを設け、対向表面積を増大させることとすれば、さらに静電容量を増加させることができるので効果的である。また、オイル30の蒸発を防ぐために、オイル30の液面面積をできるだけ小さくすることが好ましい。
【0056】
また、シャフト11およびハウジング15の対向面部分を焼結金属のような多孔質部材31,32によって構成する場合に、図10に示されるように、これら多孔質部材31,32にオイル30を含浸させておくことにしてもよい。このように構成することで、シャフト11およびハウジング15間に形成される容量要素Cの静電容量を増大させることができるとともに、温度変化によってオイル30の容積が変動しても、シャフト11およびハウジング15における含浸量を変化させることでオイル30が外部に漏れないようにすることができる。なお、図中、符号33は、ハウジング15に設けた嵌合凹部34に位置決め状態に嵌合し、多孔質部材32からオイル30が漏れないように保持するカップ状部材である。
【0057】
また、上記実施形態においては、対向面部材としてシャフト11、フィルタ25、シールド部材10a、ベースハウジング2そのものに凹凸28A,28Bを形成したものを採用したが、これに代えて、これらの部材とは別体に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る磁気情報記録装置の一部を破断して示す部分断面図である。
【図2】図1の磁気情報記録装置の空気動圧軸受に構成される容量要素を模式的に示す部分的な拡大断面図である。
【図3】図1の磁気情報記録装置の平面図である。
【図4】図1の磁気情報記録装置の磁気記録媒体に発生した静電気の流れを示す模式的な説明図である。
【図5】図2の容量要素の第1の変形例を示す部分的な拡大断面図である。
【図6】図2の容量要素の第2の変形例を示す部分的な拡大断面図である。
【図7】図2の容量要素の第3の変形例を示す部分的な拡大断面図である。
【図8】図1の磁気情報記録装置のロータとベースハウジングとの間に構成される容量要素を模式的に示す部分的な断面図である。
【図9】図2の容量要素の第4の変形例を示す部分的な拡大断面図である。
【図10】図2の容量要素の第5の変形例を示す部分的な拡大断面図である。
【符号の説明】
【0059】
A 閉空間
D 空気溜まり部
G 空気
1 磁気情報記録装置
2 ベースハウジング(対向面部材)
3 磁気記録媒体
4 スピンドルモータ
5 磁気ヘッド
6 ロータ
7 励磁コイル
8 ステータ
9 空気動圧軸受
10 永久磁石
10a シールド部材(対向面部材)
11 シャフト(回転部:対向面部材)
15 ハウジング(固定部)
18,19 動圧発生溝
20A,20B スラスト動圧発生部(動圧発生部)
21 ラジアル動圧発生部(動圧発生部)
24 貫通孔(流路)
25 フィルタ(対向面部材)
28A,28B 凹凸
30 オイルまたはグリース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、該固定部に対して回転させられる回転部とを備え、
固定部および回転部の半径方向および/または軸方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に、固定部と回転部との相対回転により空気を引き込む動圧発生溝を形成してなる複数の動圧発生部を備えるとともに、
該動圧発生部以外の部位において、固定部および回転部に、相互に微小間隔をあけて対向配置される導電性材料からなる一対の対向面部材が配置され、該対向面部材の少なくとも一方に、微細な凹凸が設けられている空気動圧軸受。
【請求項2】
前記対向面部材の少なくとも一方が、多孔質材料により構成されている請求項1に記載の空気動圧軸受。
【請求項3】
前記対向面部材が、前記固定部または回転部を構成する部材の壁面を貫通する貫通孔に配置され、塵埃を捕集するフィルタを備える請求項2に記載の空気動圧軸受。
【請求項4】
前記動圧発生部が、固定部および回転部の半径方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に動圧発生溝を形成してなるラジアル動圧発生部と、固定部および回転部の軸方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に動圧発生溝を形成してなるスラスト動圧発生部とからなり、
前記貫通孔が、これらラジアル動圧発生部とスラスト動圧発生部との間の固定部と回転部との隙間に開口している請求項3に記載の空気動圧軸受。
【請求項5】
前記フィルタを配置した貫通孔または流路の流通断面積が、他の流路の流通断面積よりも大きく構成されている請求項3または請求項4に記載の空気動圧軸受。
【請求項6】
前記フィルタを配置した貫通孔または流路と前記動圧発生部との間に空気溜まり部が設けられている請求項3から請求項5のいずれかに記載の空気動圧軸受。
【請求項7】
固定部と、該固定部に対して回転させられる回転部とを備え、
固定部および回転部の半径方向および/または軸方向に微小間隔をあけて対向配置される面の一方に、固定部と回転部との相対回転により空気を引き込む動圧発生溝を形成してなる複数の動圧発生部を備えるとともに、
該動圧発生部以外の部位において、固定部および回転部に、相互に微小間隔をあけて対向配置される導電性材料からなる一対の対向面部材が配置され、該対向面部材間の微小間隔に、オイルまたはグリースが充填されている空気動圧軸受。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載された空気動圧軸受を備え、
前記固定部を固定するステータと、前記回転部を固定するロータとを有し、
前記ステータに、前記ロータの周囲を取り囲む円環状の励磁コイルが備えられ、
前記ロータに、前記励磁コイルに半径方向に対向して円環状に配列された複数の永久磁石が備えられているスピンドルモータ。
【請求項9】
ステータと、ロータと、該ロータをステータに対して回転自在に支持する空気動圧軸受とを備え、
前記ステータおよびロータに、相互に微小間隔をあけて対向配置される導電性材料からなる一対の対向面部材が配置され、該対向面部材の少なくとも一方に、微細な凹凸が設けられているスピンドルモータ。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載されたスピンドルモータと、
該スピンドルモータのロータに固定された磁気記録媒体と、
前記スピンドルモータにより回転させられる前記磁気記録媒体に近接させられて、該磁気記録媒体に対して磁気情報を記録しあるいは読み取る磁気ヘッドと、
これらスピンドルモータ、磁気記録媒体および磁気ヘッドを収容する閉空間を備えるベースハウジングとを備える磁気情報記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−300098(P2006−300098A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118441(P2005−118441)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】