説明

空調装置及び方法

本発明は、空調装置及びその方法に関し、これによれば、暖かい内部温度を有するトンネルに入ったときに、表面温度がトンネル内の暖かい空気の露点温度より低い冷たい窓ガラス表面及び外部ミラー表面の即時の曇りの問題が軽減されうる。この空調装置及び方法は、曇りを発生させる臨界となる天候の種類を特定するために、すでに現存するセンサによって供給されるデータであって、例えば外部温度センサ(1a)により得られる温度データ及び露点センサ(1b)により得られる湿度データのような周囲の天候を示すデータを使用する。その結果、臨界的な天候の種類やトンネルに入ることが検出され、車両の窓ガラスや外部ミラー表面が全自動で所定時間の間加熱され、且つ/又はワイパーが作動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1及び4の前段にそれぞれよる空調装置及び空調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車が長いトンネルに入る場合、外部よりもトンネル内に暖かく湿った空気があると、トンネル内に入った直後にすべての窓ガラスや外部ミラーの外側が突然曇るということが、これまで問題だった。車両の使用者は、これまでこの物理的な問題を受け入れなければならなかった。ウインドシールドワイパーのスイッチを入れることにより、少なくとも前方視界を回復することができる。その後、窓ガラス及びミラーがトンネル内部のより高い温度を受けたとき、曇りは独りでに消滅する。しかし、トンネルに入った直後におけるかなりの視界障害のために、この特別なときに事故の危険性が増加する。
【0003】
既知の空調装置又は既知の空調方法によっては、調整動作は何もなされない。
【0004】
関連制御ユニットによって設定可能な複数の作動状態をもつ車両空調システムだけが、これまで、特許文献1によって知られている。この場合の制御ユニットは、自動車の空調システムの各作動状態を、地方又は国の形態で予め決定され得る所望の作動領域の関数として、又はその特別なときに車両が置かれている地方又は国の関数として自動的に設定する。この場合の制御ユニットは、特定の所望温度値を設定する。この所望温度値は、その国や地方の人々の快適な気候の感覚に従って、自動車の乗員空間の望まれている気候、及び/又は自動車空調システムの特定の動力パラメータ、例えば、送風機、冷凍機、及び加熱手段の各動力を直接的又は間接的に表現している。現在の作動領域は、センサを用いてナビゲーションシステムから受信したGPS信号に応じて、制御ユニットによって決定される。
【0005】
【特許文献1】独国特許発明197 44 414C2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この空調装置によってでさえも、車両がトンネル内に入るか否か、及び概略を上述した曇りの問題に至る所定の外部条件が満たされるか否かに関して、GPSデータが評価されていない。
【0007】
従って、本発明の目的は、概略を上述した問題が解消されるように空調装置及び空調方法を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上述の目的は、請求項1に記載された空調装置及び請求項4に記載された空調方法によって達成される。従属項は、本発明の有利な発展を明確に記載している。
【0009】
特に、本発明に係る空調装置、及びこれに関連する空調方法において、窓ガラス加熱手段、電気式外部ミラー加熱装置、及び/又は現存するウインドシールドワイパーのすべて又は各々は、早期トンネル検出のためのナビゲーションデータ、及び気候センサ手段によって検出された上述の問題が起こる臨界天候条件の関数として、トンネルに入る前の所定時間に、全自動でスイッチが入れられる。
【発明の効果】
【0010】
従って、このように、トンネルに入ったときに窓ガラスや外部ミラーの外側が暖かい湿った内部空気によって曇るという問題が、物理的に完全に解消されることはできないが、緩和される。その結果、少なくとも加熱自在な窓ガラス及び/又はミラーが存在するとき、冷えた外気の温度、即ち冷たい窓ガラス、及び暖かいトンネル内の温度の場合における曇りによって突然生じる視界制限状態による事故の危険性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴、及び利点は、図面と共に以下に説明した本発明の好ましい例示的な実施の形態の詳細な説明から明らかとなる。
【0012】
本発明による空調装置及び本発明による空調方法の好ましい例示的な実施の形態を図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0013】
本発明による空調装置は、外気温及び露点を検出して評価手段2に送信する、例えば、外気温センサ1a及び露点センサ1bを備える従来の気候センサ手段1を有する。さらに、本発明による空調装置では、ナビゲーション手段4への接続がなされ、これにより、ナビゲーション手段は、トンネルに到着する前にトンネル信号を所定時間の間伝達し、その結果、予定時間内にトンネルへの到達が検出される。本発明によれば、評価手段2は、ナビゲーション手段4によってトンネル信号が伝達されたときにのみ作動する比較手段5を有する。そして、比較手段は、気候センサ手段1によって検出された外気温及び露点に関するデータを比較し、この比較によって、検出された外気温が検出されたトンネル内部の露点より低いか否かを決定する。そうであるときは、評価手段2は制御手段6に作動信号を出力し、制御手段6は、次いで、現存する窓ガラス加熱装置7、外部ミラー加熱装置8、さらには、適切な場合、現存するウインドシールドワイパー9のスイッチを入れ、所定時間後再びスイッチを切る。
【0014】
制御手段6はまた、同様に車両内部用の空調手段10が従来の作動を行うように設計されている。さらに、曇りを回避するための、窓ガラス加熱装置7、外部ミラー加熱装置8、及びウインドシールドワイパー9の上述した作動によって、窓ガラスの温度を、車両内部における空調の快適さに有害なトンネル内の大気の露点温度より高い値に上昇させるために、車両内部用の空調手段10の作動を変更又は適合させる必要がある。さらに、ウインドシールドワイパー9の作動は、手動の操作動作なく、場合によっては存在する雨センサが曇りを検出してウインドシールドワイパーを作動させることなく、又は使用者がウインドシールドワイパーを手動で作動させることなく行われるので、車両の使用者は作動させなければならないという気持ちが和らぐ。
【0015】
本発明に係る空調方法を、図2のフローチャートを参照して以下に詳細に説明する。
【0016】
第1のステップS1において、イグニッションのスイッチが入ったとき、イグニッションのスイッチオン信号が出力される。イグニッションのスイッチオン信号が存在すると、始動信号が空調装置に送られ、そのとき空調装置が始動される。
【0017】
次いで、第2のステップS2において、空調装置に含まれる気候センサ手段1からのセンサデータが評価手段2によって受信される。さらに、評価手段は、適切な場合、ナビゲーション手段4が、それ自体で受信したGPSデータとこれらのデータに基づいて決定された位置のカードデータとの比較から、トンネルに到達することを検出したときに、ナビゲーション手段4からトンネル信号を受信する。
【0018】
この情報をステップS2で受信するや否や、空調装置の制御手段は、ステップS3で、トンネル信号を受信したか否かを調べる。トンネル信号を受信していないときは、フローは、ステップS2に戻る。しかしながら、トンネル信号を受信したときは、ステップS4で、気候センサ手段1によって取得された気候データが曇りが発生する臨界値であるか否かを調べる。臨界値でないときは、フローは、ステップS2に戻る。しかしながら、臨界値であると検出されたときは、即ち、ステップS4でトンネル内で曇りの危険性があると決定されたときは、フローはステップS5に進む。
【0019】
ステップS5では、作動手段は、例えば前部、後部及び/又は側部の窓ガラス用の現存する電気式窓ガラス加熱装置や、例えば右側及び/又は左側の外部ミラー用の外部ミラー加熱装置にスイッチオン信号を送り、その結果、トンネルに入る前の予定時間内にこれらの手段を作動させることができる。ウインドシールドワイパーは、トンネルに入った後のみに作動する。というのも、窓ガラスの曇りは、その後だけに発生するからである。
【0020】
次いで、ステップS6において、窓ガラスが十分な温度に達するのに常に十分な所定時間が経過したか、又は窓ガラスの温度と露点との差に応じて作動手段によって規定された時間が経過したか否かを調べる。そうであるときは、ステップS7で、前にスイッチが入れられたすべての消費要素のスイッチが切られ、さもなければ、ステップS5に戻る。
【0021】
イグニッションのスイッチが切れたことを検出しない限り、ステップS2〜S7が繰り返される。イグニッションのスイッチが切れると、フローは終了する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による空調装置のブロック図である。
【図2】本発明による空調方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気温及び露点を検出する気候センサ手段(1、1a、1b)と、
車両内部用の空調手段(10)を作動させる制御手段(6)と、
車両の位置を決定するナビゲーション手段(4)とを備える車両の空調装置であって、
前記制御手段(6)は、さらに、窓ガラス加熱装置(7)、外部ミラー加熱装置(8)、及びウインドシールドワイパー(9)を作動させるように設計されており、
前記ナビゲーション手段(4)は、トンネルに到着する前の所定時間にトンネル信号を評価手段(2)に送り、
前記気候センサ手段(1)によって検出された外気温及び露点に関するデータが伝達される前記評価手段(2)は、前記ナビゲーション手段(4)からのトンネル信号に応じて、検出された外気温が検出されたトンネル内部の露点温度より低いか否かを決定し、そうであるときは、前記制御手段(6)に情報信号を出力する比較手段を有し、
前記制御手段(6)は、前記評価手段(2)の前記比較手段(5)からの情報信号が、外気温がトンネル内部の露点温度より低いことを知らせたときは、トンネルに入るとき直ちに、前記窓ガラス加熱装置(7)、前記外部ミラー加熱装置(8)、及び/又は前記ウインドシールドワイパー(9)のスイッチを入れ、所定時間に再びそれらのスイッチを切るように設計されていることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記所定時間は、窓ガラス及び外部ミラーが十分な温度に達するのに十分なように選択されることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記所定時間は、窓ガラスの温度及び露点の関数として決定されることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項4】
検出されたイグニッションのスイッチオン信号に応じて空調装置を始動するステップ(S1)と、
気候センサ手段(1)からの気候データ、及びナビゲーション手段(4)からの起こり得るトンネル信号を受信するステップ(S2)と、
トンネル信号が受信されたか否かを調べ、トンネル信号が受信されていないときはステップS2に戻るステップ(S3)と、
前記気候データが曇りの発生する所定の臨界値であり、その結果トンネル内で曇りの危険性があるか否かを調べ、それらが臨界値でないときはステップS2に戻るステップ(S4)と、
トンネルに入る前の所定時間にスイッチオン信号を現存する窓ガラス加熱装置及び外部ミラー加熱装置に送ると共に、トンネルに入った直後にウインドシールドワイパーを作動させるステップ(S5)と、
窓ガラスが常に十分な温度に達する所定時間が経過したか否かを調べるステップ(S6)と、
ステップ6で前記所定時間が経過したと判断したときに、前にスイッチが入れられたすべての消費要素のスイッチを切り、さもなければステップS5に戻るステップ(S7)と、
前記イグニッションのスイッチが切られたことを検出しない限り、ステップS2からS7を繰り返すステップ(S8)とを有することを特徴とする車両用の空調方法。
【請求項5】
さらなるステップにおいて、窓ガラスの温度と露点との差が前記気候データから決定され、次いで、これに応じて前記窓ガラス加熱装置及び外部ミラー加熱装置のスイッチオン時間が決定され、そして、ステップS6において、所定のスイッチオン時間が経過したか否かが判断されることを特徴とする請求項4に記載の空調方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−525901(P2006−525901A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504895(P2006−504895)
【出願日】平成16年3月27日(2004.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003284
【国際公開番号】WO2004/098923
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】