説明

窓を作製するためのポリスルフィドを含有する二成分接着剤の使用

結合剤成分および硬化剤成分からなる二成分接着剤/封止剤であって、
A) 前記結合剤成分が、
5から50質量%のエポキシ化アルキレンポリスルフィド、
5から25質量%の少なくとも1種類の可塑剤、
30から60質量%の充填剤、および
0.5から4質量%の接着促進剤、
を含有し、
B) 前記硬化剤成分が、
20から50質量%の少なくとも1種類の可塑剤、
0.1から40質量%の少なくとも1種類のアミン末端液体ゴム、
1から5質量%の硬化促進剤、
20から60質量%の充填剤、および
1から10質量%のカーボンブラック、
を含有し、
前記成分AおよびB各々の合計が100%になり、該成分AおよびBが、2:1から1:2の比、好ましくは1:1の比で混合されることを特徴とする接着剤/封止剤が、複層ガラスの縁領域における補助シールとして使用するのに、および/または複層ガラスユニットを、さねの基部に結合するまたは背面固定するプロセスにしたがって、窓ユニットの枠または窓のサッシに摩擦固定様式で結合するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ官能性ポリスルフィドポリマーおよびアミノ官能性液体ゴムに基づく二成分接着剤/封止剤、および複層ガラスの周囲結合における補助封止のため、および/または摩擦係止様式で複層ガラスユニットを窓サッシまたは窓枠に結合するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスルフィドポリマーおよび/またはポリマーカプタンポリマーに基づく一成分または多成分組成物が、建築建設業界、航空機・自動車産業、造船産業に、また複層ガラスの製造のために大規模で、長い間うまく使用されてきた。ポリスルフィドポリマーまたはポリマーカプタンに基づく複層ガラス接着剤/封止剤の市場占有率が非常に高いことの主な理由の内の1つは、これらのポリマーが、高い耐オゾン性により特徴付けられ、多くの溶剤および化学物質に対して非常に良好な耐性を示すことである。さらに、それらのポリマーは、長期間に亘る耐候性が非常に高く、ガス透過率が非常に低い。これについて、例えば、非特許文献1から3を参照のこと。
【0003】
複層ガラスボンドを製造するための接着剤/封止剤は通常、二成分が塗布の直前に1つにされ、次いで、混合され、塗布される、二成分系として配合される。
【0004】
この種の二成分材料について、一方の成分は通常、結合剤、この場合、液体ポリスルフィドポリマーまたは液体ポリマーカプタンポリマーを含有している。このポリマーは通常、成分「A」と称される。第二成分は、架橋剤、硬化剤または酸化剤を含有し、通常、成分「B」と称される。その上、両成分は、原則として、可塑剤、充填剤、および随意的な顔料または染料を含有する。さらに、成分Aは、接着促進剤、および酸化防止剤を含有してもよく、成分Bは、硬化促進剤を含有してもよい。
【0005】
標準的な市販の複層ガラス構造において、硬質スペーサが窓ガラスの間に所望の距離を確保している。最も一般的な実施の形態において、スペーサは中空アルミニウムまたはシート状鋼製異形材からなる。このスペーサは、スペーサが、窓ガラスの縁領域と共に、封止剤および接着剤を収容するための外向きのチャンネルを形成するような様式で、窓ガラスの縁の近くに配置される。通常は、窓ガラス間の間隙に面するスペーサの側には小さな開口があり、スペーサの空洞は、窓ガラスの間の空気またはガス間隙中におそらくは残っている任意の溶剤や水分を吸収するための乾燥剤を受け入れるように働く。これにより、周囲温度が低いときに、複層窓ガラスの内側に水分が結露するのを防ぐ。高品質の複層ガラスシステムにおいて、窓ガラスに面するスペーサの表面とガラス表面との間に高い水蒸気バリア効果を持つ封止剤がある。原則としてこの目的のために(主要シール)、ポリイソブチレンおよび/またはブチルゴム系の配合物が用いられる。スペーサの外向き表面および窓ガラスの縁領域により形成されるチャンネルは、二成分接着剤/封止剤が通常充填されており、これは、複層ガラス構造の間に十分に強力な結合を生じる。この接着剤/封止剤は、窓ガラスに良好に接着し、また変化する気候条件下で窓ガラスの膨張と収縮に耐えるのに十分に弾性でなければならない(補助シール)。
【0006】
多くの場合、このようにして製造される複層ガラスユニットは、ガラス嵌めブロックを用いて機械的に窓サッシに嵌め込まれ、次いで、さね(rebate)と窓ガラスとの間の移行区域の弾性封止剤により、浸透する水に対して封止される。ごく近年は、複層ガラスユニットは、窓サッシすなわち窓枠にも結合されている。
【0007】
多重窓ガラスの複層ガラスを枠に接着する場合、以下の3つの基本ケースに分類できる:
1. 複層ガラスユニットをさねの基部において枠に結合する
2. 複層ガラスユニットの縁領域の補助シールと接触させずに、複層ガラスユニットをガラスの側部で枠に結合する
3. 1と2の混成形態。
【0008】
複層ガラスを枠のさねの基部内に接着する場合、接着層は、複層ガラスの縁領域と、複層ガラスを囲む異形材枠のさね(5)との間の周辺間隙を満たす。ここで、接着剤(7)は、摩擦固定様式で枠を複層ガラスユニットに結合するように働くと同時に、異形材枠に対する複層ガラスの個々の窓ガラスの良好な支持を確実にする。この場合、複層ガラスユニットとさねの基部との間の周辺間隙は、通常、複層ガラスの厚さに相当する深さまで接着剤で満たされており、よって、これにより形成される接着剤片の幅は、複層ガラスの総厚に対応する。この文脈において、接着剤は、結合材料の間の異なる熱膨張係数から生じる応力を、接着結合を損なわずに吸収するのに十分に弾性でなければならない。接着剤(7)は補助シール(6)と直接接触しているので、接着剤(7)および補助シール(6)が相互に適合しているか、または好ましくは同一であることを確実にしなければならない。図1は、この場合を窓ユニットの縦断面で示している。
【0009】
背面固定の場合、接着剤(7)は、枠を複層ガラスユニットに摩擦固定様式で結合するために、複層ガラスユニットの外側窓ガラス(1)の外面と、枠のさね(5)の横の内面との間の空隙内に位置している。背面固定のこの場合が、ユニットの縦断面で図2に示されている。この場合、接着剤(7)と補助シール(6)とは直接接触していない。
【0010】
さらに別の実施の形態において、複層ガラスユニットの外側窓ガラス(8)は、内側窓ガラスよりも大きく、内側窓ガラスおよび補助シール(6)の縁により形成された線を越えて縁領域に延在している。ここでは、摩擦固定結合は、複層ガラスユニットの外側窓ガラスの張り出した縁の内側と、枠異形材の対応する形状の部分との間の接着層により行われる。この場合が、図3に示されている。
【0011】
上述した結合プロセスの全てにおいて、幅広い範囲の化学物質主成分を有する接着剤は、シリコーン、ポリウレタン、アクリレートなどの一成分ホットメルトまたは二成分製品として、また接着剤ストリップとして用いられる。複層ガラスの縁領域のための補助シールは、同様に、幅広い化学物質主成分を持つ封止剤により行うことができ、その例は、シリコーン、ポリスルフィド、ポリウレタン、およびポリオレフィンホットメルトである。窓が上述した結合プロセスにしたがって製造されるときに、異なる化学物質主成分と組成を持つ接着剤が一緒になる場合、可塑剤の移行などの不適合が生じるかもしれず、これにより、複層ガラスの縁領域において、結合または接合が損なわれるかもしれない。
【0012】
複層ガラスの縁領域の接合と結合がシリコーン封止剤により行われる場合、今日では慣例となっているガス充填多重窓ガラス複層ガラスは、相当な追加の労力(大面積の主要シールおよびスペーサの背面が、シリコーン封止剤により大きな高さまで覆われている)によってのみ調製できる。
【0013】
現行の最新技術によれば、ガス充填多層ガラスの縁領域の接合は、ガラス(1)と(2)およびスペーサ(3)並びにスペーサ(3)をガラス(窓ガラス(1)および(2))に結合するための外側シール(保持シール(6))の間にあるポリイソブチレン系の内側シール(4)の形態をとる。好ましい実施の形態において、スペーサ(3)の背面は、この場合、浸透する水分および逃げ出すアルゴンに対するシステムの安定性および気密性を確実にするために、封止剤(6)により十分に覆われていなければならない。補助シール(6)に用いられる封止剤は、この場合、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリコーンポリマーまたはポリオレフィン系である。
【0014】
しかしながら、特別なスペーサ異形材(「スパースペーサ」)により、スペーサ異形材の背面が封止剤によりもはや完全には覆われておらず、ガラスとスペーサとの間の所定の狭いストリップの補助シールとして、接着剤のわずかに狭い塗布が用いられることとなる。この種のスペーサ異形材が、例えば、国際公開第2004/038155A1号パンフレットに提案されている。複層ガラスの縁領域における接合のための従来のポリスルフィド接着剤/封止剤の強度および耐久性は、この用途にとって十分ではない。
【非特許文献1】A. Damusis, “Sealants”, New York (1967), pages 182 - 184
【非特許文献2】E. Dachselt “Thioplaste” Leipzig (1971), pages 50 - 56
【非特許文献3】H. Luecke “Aliphatische Polysulfide”, Heidelberg, (1992) pages 111 - 114
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、複層ガラスの分野に使用するための接着剤/封止剤は、特に、それらが、長期の耐候性が非常な高く、気体と水分に関して非常に低い透過率を有するという事実によっても特徴付けられる。したがって、多層ガラスユニットを枠に結合するためにも利用できるポリスルフィドポリマー系の接着剤/封止剤を有することが望ましい。したがって、本出願の発明者等は、複層ガラスユニットを枠に結合するのに適した、ポリスルフィドポリマー系のそのような接着剤/封止剤を提供する課題を自身に課した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるこの課題に対する解決策は、特許請求の範囲から知ることができる。その解決策は実質的に、結合剤成分および硬化剤成分からなる二成分接着剤/封止剤であって、
A) 結合剤成分が、
5から50質量%のエポキシ化アルキレンポリスルフィド、
5から25質量%の少なくとも1種類の可塑剤、
30から60質量%の充填剤、および
0.5から4質量%の接着促進剤、
を含有し、
B) 硬化剤成分が、
20から50質量%の少なくとも1種類の可塑剤、
0.1から40質量%の少なくとも1種類のアミン末端液体ゴム、
1から5質量%の硬化促進剤、
20から60質量%の充填剤、および
1から10質量%のカーボンブラック、
を含有し、
成分AおよびB各々の合計が100%になり、成分AおよびBが、硬化のために、2:1から1:2の比、好ましくは、1:1の比で混合されるものである、
二成分接着剤/封止剤を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに別の主題は、複層ガラスの縁領域に補助シールを提供するため、および/または複層ガラスユニットをさねの基部の枠に摩擦固定様式で結合するため、および/または複層ガラスの横の縁領域を窓枠または窓のサッシのさねの平行な内面に背面固定するために、上述した接着剤/封止剤を使用する方法に関する。
【0018】
結合剤成分のエポキシ化アルキレンポリスルフィドは、例えば、エピクロロヒドリンを調製し、約168から40,000の平均分子量を持ち、チオール末端基を有するポリスルフィドを加えて、ポリスルフィドをアルカリ水溶液の存在下でエピクロロヒドリンと反応させ、その後、反応混合物を処理することにより、調製できる。チオール末端基を有するスルフィドは、例えば、ポリ硫化ナトリウムをジクロロエチルホルマルと反応させて、化学式
HS(CH2CH2OCH2OCH2CH2SS)nCH2CH2OCH2OCH2CH2SH
のジチオールを形成することにより調製でき、必要に応じて、還元性S−S開裂によりその後の工程で、所定の分子量範囲を有する液体ポリマーに転化しても差し支えない。エポキシ化アルキレンポリスルフィドを調製するためのこの種の方法は、例えば、国際公開第03/099908A1号パンフレットに開示されている。これらのエポキシ化アルキレンポリスルフィドは「脂肪族エポキシ化アルキレンポリスルフィド」と称される。あるいは、メルカプタン末端基を含有するポリスルフィドポリマーは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどの、過剰の芳香族エポキシドと反応させることができる。後者の場合、そのポリマーは「芳香族エポキシ化アルキレンポリスルフィド」と称される。本発明の接着剤/封止剤について、特に、複層ガラスユニットの窓枠または窓のサッシへの非積極的な様式での結合にそれを使用することについて、芳香族エポキシ化アルキレンポリスルフィドは、二成分接着剤/封止剤の結合剤成分、すなわち、成分Aに特に適している。しかしながら、芳香族と脂肪族のエポキシ化アルキレンポリスルフィドの混合物を使用することも可能である。
【0019】
硬化剤成分(成分Bとも称される)は、主成分として、アミノ末端ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー系であることが好ましい、アミン末端液体ゴムを含有する。
【0020】
結合剤成分および硬化剤成分の反応性成分は、二成分接着剤/封止剤系の使用について、単純な体積比および相溶性粘度範囲の成分が用いられるような様式で、都合よく適合される。結合剤成分Aの硬化剤成分Bに対する体積比は、2:1から1:2であることが好ましい、1:1の比が特に好ましい。
【0021】
結合剤および/または硬化剤成分中の適切な可塑剤の例としては、これらの可塑剤により「曇り」が生じないほど揮発性成分が少なく、フタル酸エステル可塑剤が結合剤系と相溶性である、すなわち、それらが浸出する傾向にないという条件で、フタル酸アルキルまたはアリールエステル系の、当該技術分野で公知のフタル酸エステル可塑剤が挙げられる。特別な例としては、フタル酸ブチルベンジルまたは商標名「Santicizer278(ソリューティア(Solutia)社)」でも知られているフタル酸7−(2,6,6,8−テトラメチル−4−オキサ−3−オキソノニル)−ベンジルが挙げられる。しかしながら、成分AおよびBの両方について、安息香酸エステルの可塑剤を使用することが非常に極めて好ましい。適切な安息香酸エステル可塑剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
使用可能性のある充填剤は、例えば、被覆および/または未被覆沈殿または粉砕胡粉(炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、粘土、硫酸バリウムまたはそれらの混合物であってよい。上述した充填剤の混合物を使用することも可能である。その上、ベントナイト(モンモリロナイト)、ヒュームドケイ酸などのチキソトロープ剤、繊維質チキソトロープ剤または水添ヒマシ油を用いてもよい。それとは別に、成分Aおよび/またはBのいずれかが、二酸化チタン、カーボンブラック、無機染料顔料などの顔料を含有してもよい。充填剤は、結合剤成分中に、20から70質量%、好ましくは30および60質量%の間、特に好ましくは30から50質量%の量で存在する。原則として、硬化剤成分は、10から60質量%、好ましくは20および50質量%の間の充填剤を含有する。顔料は、0.1および5質量%の間の量で用いられ、カーボンブラックの場合には、10質量%まで用いてもよい。
【0023】
メルカプト官能性、アミノ官能性および特にエポキシ官能性シランなどの有機官能性シランを接着促進剤として用いるのが好ましい。メルカプト官能性シランの例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランまたは3−メルカプトプロピルトリエトキシシランまたはそれらのアルキルジメトキシまたはアルキルジエトキシ類似体が挙げられる。アミノ官能性シランの例としては、3−アミノプロピルアルコキシシラン、2’−アミノエチル−3−アミノプロピルアルコキシシランが挙げられるであろう。エポキシ官能性シランは、多数の化合物から選択されるであろう。例として、以下が挙げられる:3−グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシメチルトリプロポキシシラン、3−グリシドキシメチルトリブトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、2−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、1−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、1−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、1−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、4−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、3−アルプロポキシブチルトリブトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、1−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、1−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、1−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、1−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリブトキシシラン。上述したトリアルコキシシランの代わりにまたはそれと一緒に、対応するアルキルジアルコキシシランを使用することも可能である。3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび以下のシクロヘキシル誘導体が特に好ましい:必要に応じて、上述したグリシドキシプロピル誘導体と混合された、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、4−(メチルジエトキシシリル)−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリ(イソブトキシ)シラン。接着促進剤が、0.1および10質量%の間、好ましくは0.5および4質量%の間、特に好ましくは0.5および2質量%の間の量で結合剤成分中に用いられることが好ましい。しかしながら、アミノ官能性接着促進剤は、硬化剤成分中に上述した量で用いられてもよい。
【0024】
使用されるアミン末端液体ゴムは、例えば、「Hycar」の商標名でノベオン社(Noveon)から得られる、アミノ末端ブタジエンアクリロニトリルコポリマー(ATBN)である。それらは、2,000と5,000の間の分子量および10%と30%の間のアクリロニトリル含有量を有する。特別な実例は、Hycar ATBN 1300×21、1300×16、1300×42、1300×45または1300×35である。3,000と5,000の間の分子量範囲および15と25%の間のアクリロニトリル含有量が好ましい。
【0025】
触媒または硬化促進剤は主に、イミダゾール、マンニッヒ塩基、グアニジン、単官能性メルカプタンまたはそれらの混合物の群から選択される。使用できるイミダゾールの例としては、2−エチル−2−メチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、ベンズイミダゾールおよびN−C1からC12アルキルイミダゾールまたはN−アリールイミダゾールが挙げられる。マンニッヒ塩基の例としては、アルデヒド、ケトン、エステルまたは芳香族類(例えば、フェノール)またはヘテロ芳香族類、特に、トリス−2,4,6−(ジメチルアミノ)フェノール、ビス(ジメチルアミノメチル)フェノールまたはそれらの混合物などの、活性水素成分を有するジアミンまたはポリアミンからの縮合生成物が挙げられる。その上、グアニジン、置換グアニジン、置換尿素、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、環状第3アミン、芳香族アミンおよび/またはそれらの混合物を用いてもよい。この文脈において、触媒は、硬化反応において化学量論的に等しく良好に加わるであろうが、それらは、触媒的に効果的でもよい。置換グアニジンの例としては、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジンおよび最も特別にシアノグアニジン(ジシアングアニジン)が挙げられる。言及できる適切なグアニジン誘導体の代表としては、アルキル化ベンゾグアニジン樹脂、ベンゾグアニジン樹脂またはメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミンが挙げられる。原則的に、全ての液体アルキルまたはアリールモノマーカプト化合物を単官能性メルカプタンとして用いることができる。悪臭により生じる不必要な迷惑を避けるために、アルキルメルカプタンは、C4化合物のものとしてしか使用すべきではない。硬化促進剤または触媒は、1から10質量%の量、好ましくは2および5質量%の間の量で使用される。
【0026】
前記アミン末端液体ゴムに加え、硬化剤成分は、0から10質量%、好ましくは2から5質量%の脂肪族または脂環式ポリアミンを含有してもよい。
【0027】
ここでの例としては、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ペンタンジアミン、メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−(2−アミノメトキシ)エタノール、2−メチルペンタメチレンジアミン、C11−ネオペンタンジアミン、ジアミノジプロピルメチルアミン、1,12−ジアミノドデカンまたはポリオキシエチレンジアミン、例えば、ポリオキシプロピレンジアミンまたはビス(ジアミノプロピル)ポリテトラヒドロフランなどのポリオキシアルキレンジアミンが挙げられる。ポリオキシアルキレンジアミンは、「JEFFAMINE(登録商標)」(ハンツマン社(Huntsman)の商標名)としても知られている。使用すべき「JEFFAMINE」の分子量は、200および4,000の間、好ましくは400および2,000の間である。その上、アミノ成分は、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)、イソフォロンジアミン、ジメチルピペラジン、ジピペリジルプロパン、ダイマージアミン(ダイマー脂肪酸から調製されたアミン)、ノルボルナンジアミンまたはm−キシレンジアミンなどの環状ジアミンまたは複素環式ジアミンを含有してもよい。溶媒を含まないエポキシコーティングの製造に従来利用されているように、上述したアミンの混合物または随意的に低分子量エポキシドのそれらの付加物を用いても差し支えない。
【0028】
本発明を、以下の例示の実施の形態においてより詳しく説明する。その実施例の選択は、本発明の特許請求の範囲をいかようにも制限することを意図するものではなく、それらは単に、個々の実施の形態および本発明の利点を態様の形態で説明することを意図するものである。以下の実施例に与えられた全ての量は、別記しない限り、質量部または質量パーセントで表されている。
【実施例】
【0029】
結合剤成分(A)および硬化剤成分(B)の各々を、真空引きが可能なプラネタリタイプのミキサ内で個々の成分を混合することにより、別々に調製した。
【0030】
実施例1
成分A
芳香族Thioplast EPS樹脂 EPS70 13.00
安息香酸エステルBenzoflex 988 16.00
胡粉、沈殿、被覆 15.00
胡粉、粉砕、被覆 25.00
硫酸バリウム 29.00
エポキシシラン 2.00
成分B
アミン末端NBR Hycar 1300×16 ATBN 36.00
安息香酸エステルBenzoflex 988 10.00
水 1.40
カーボンブラック 3.00
胡粉、粉砕、被覆 36.60
硫酸バリウム 16.00
水添ヒマシ油 2.00
【0031】
実施例2
成分A
芳香族Thioplast EPS樹脂 EPS350 28.00
安息香酸エステルBenzoflex 988 10.00
胡粉、沈殿、被覆 28.00
胡粉、粉砕、被覆 12.00
硫酸バリウム 20.00
エポキシシラン 2.00
成分B
アミン末端NBR Hycar 1300×16 ATBN 28.00
脂環式ポリアミンAradur 2964 5.00
安息香酸エステルBenzoflex 988 8.00
水 1.00
カーボンブラック 4.00
胡粉、粉砕、被覆 40.00
硫酸バリウム 9.00
水添ヒマシ油 1.00
アミノメチルフェノールAncamin K54 2.00
【0032】
本発明による組成物は、以下の性質により特徴付けられる:
配合に応じて、二成分接着剤/封止剤は、従来のスペーサおよび「スパースペーサ」を有する複層ガラスの縁領域における接合部に補助シールとして用いることができ、複層ガラスユニットを枠に結合するのにも適している。
特に塗布される量が少ないときに、接着剤は、混合比1:1(体積)のために、秤量し、よく混合しなければならない。接着剤は、攻撃剤、特に水性のものに対して非常に良好な耐性を有し、耐候性試験において非常に低い吸水率を有する。
本発明の組成物は、紫外線エージング後でさえも、十分な弾性と共に、高い強度値を有し、その系が補助シールとして、同時にさねの基部シールとして使用された時に、適合性の問題がない。
本発明の組成物は、水蒸気およびアルゴン拡散に対する良好な耐性により特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】さねの基部の結合を示す断面図
【図2】複層ガラスユニットの2枚の窓ガラス(1)および(2)が同じ寸法を有し、接着層(7)が、さねの平行な内面の一方と、外向きの窓ガラスの外面の縁領域との間に位置している、背面固定を示す断面図
【図3】複層ガラスユニットの外向き窓ガラスが内向き窓ガラスよりも大きく、接着層が、外向き窓ガラスの張り出した縁領域と、外向き窓ガラスに対して平行な枠の部分との間に位置している、背面固定を示す断面図
【符号の説明】
【0034】
1 同じ寸法を持つ窓ガラスの場合における複層ガラスユニットの外側窓ガラス
2 複層ガラスユニットの内側窓ガラス
3 スペーサ
4 複層ガラスユニットの主要シール(水蒸気およびガスバリヤ)
5 窓枠または窓のサッシのさね
6 複層ガラスユニットの補助シール
7 複層ガラスユニットを枠に摩擦固定様式で結合するための接着剤
8 異なる寸法を持つ窓ガラスの場合における複層ガラスユニットの外側窓ガラス
9 異なる寸法を持つ窓ガラスの場合における複層ガラスユニットを収容するための枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤成分および硬化剤成分からなる二成分接着剤/封止剤であって、
A) 前記結合剤成分が、
5から50質量%のエポキシ化アルキレンポリスルフィド、
5から25質量%の少なくとも1種類の可塑剤、
30から60質量%の充填剤、および
0.5から4質量%の接着促進剤、
を含有し、
B) 前記硬化剤成分が、
20から50質量%の少なくとも1種類の可塑剤、
0.1から40質量%の少なくとも1種類のアミン末端液体ゴム、
1から5質量%の硬化促進剤、
20から60質量%の充填剤、および
1から10質量%のカーボンブラック、
を含有し、
前記成分AおよびB各々の合計が100%になり、該成分AおよびBが、2:1から1:2の比で混合されることを特徴とする接着剤/封止剤。
【請求項2】
前記可塑剤が安息香酸エステル可塑剤であることを特徴とする請求項1記載の接着剤/封止剤。
【請求項3】
前記安息香酸エステル可塑剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルまたはそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項2記載の接着剤/封止剤。
【請求項4】
前記接着促進剤が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、4−(メチルジエトキシシリル)−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリ−(イソブトキシ)シランおよびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の接着剤/封止剤。
【請求項5】
前記アミノ末端液体ゴムがアミノ末端ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の接着剤/封止剤。
【請求項6】
前記アミノ末端ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーの含有量が10から30%であることを特徴とする請求項5記載の接着剤/封止剤。
【請求項7】
前記アミノ末端ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーの分子量が3,000から5,000であることを特徴とする請求項5または6記載の接着剤/封止剤。
【請求項8】
前記硬化剤成分Bが、10質量%までの脂肪族または脂環式ポリアミンをさらに含有することを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の接着剤/封止剤。
【請求項9】
前記硬化剤成分Bが、イミダゾール、マンニッヒ塩基、グアニジン、単官能性メルカプタンおよびそれらの混合物から選択させる触媒を3質量%までさらに含有することを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の接着剤/封止剤。
【請求項10】
複層ガラスの縁領域に補助シールを提供するため、および/または複層ガラスユニットをさねの基部の枠に摩擦固定様式で結合するため、および/または複層ガラスの横の縁領域を窓枠または窓のサッシのさねの平行な内面に背面固定するために、請求項1から9いずれか1項記載の接着剤/封止剤を使用する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−524708(P2009−524708A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551664(P2008−551664)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012163
【国際公開番号】WO2007/085291
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(508227086)エイチビー フラー ライセンシング アンド フィナンシング インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】H.B. Fuller Licensing & Financing, Inc.
【Fターム(参考)】