説明

窓用戸締センサ

【課題】施工性及び検出精度を向上させた窓用戸締センサを提供する。
【解決手段】窓用戸締センサ3は、施錠状態と解錠状態とで変化するガラス戸1,1間の隙間に応じてガラス戸1,1の施解錠状態を検出する圧力センサ30を備えている。この窓用戸締センサ3によれば、クレセント錠4により施錠された状態では、ガラス戸1から圧力センサ30に加えられる圧力が所定の閾値よりも大きくなることから施錠状態であると判断し、クレセント錠4により施錠されていない状態では、ガラス戸1から圧力センサ30に加えられる圧力が所定の閾値よりも小さくなることから解錠状態であると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓用戸締センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、窓などの戸締まり状態を監視する戸締まり監視装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。この戸締まり監視装置は、マグネット及びリードスイッチからなるセンサ部を備えており、マグネットは、2枚の引き違いの窓体の一方に設けられたクレセント錠のクレセント本体に取り付けられる。また、リードスイッチは、クレセント本体が設けられた上記一方の窓体の縦桟に取り付けられており、クレセント本体と縦桟の間の隙間にマグネットとリードスイッチが配置される。
【0003】
この戸締まり監視装置では、他方の窓体に設けられたクレセント受けにクレセント本体を係止させて施錠状態にするとマグネットの磁力でリードスイッチがオンになり、上記の施錠状態が解除されるとマグネットの磁力が解除されてリードスイッチがオフになる。そして、リードスイッチのオン・オフ状態を検出することで、窓の施解錠状態を判別できるのである。
【0004】
また、窓などの施解錠状態を確認するためのワイヤレス施錠確認システムも提供されている(例えば特許文献2参照)。このワイヤレス施錠確認システムは、左右スライド式の2枚窓の一方の窓枠に設けたクレセント錠の操作片に取り付けられたマグネットと、マグネットに対応する形で他方の窓の窓枠に取り付けられたワイヤレス送信器とで構成される。ワイヤレス送信器には、マグネットの磁力によって作動するリードスイッチを有するセンサ部が内蔵されている。
【0005】
このワイヤレス施錠確認システムでは、クレセント錠を解錠した状態ではマグネットとリードスイッチとが離れた状態にあるため、リードスイッチはオフになり、クレセント錠を施錠した状態ではマグネットとリードスイッチとが近接した状態にあるため、リードスイッチはオンになる。そして、リードスイッチのオン・オフ状態を検出することで、窓の施解錠状態を判別できるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−285863号公報(段落[0039]、及び、第4図)
【特許文献2】特開平6−309572号公報(段落[0009]−段落[0010]、及び、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1に示した戸締まり監視装置は、クレセント錠と窓体の縦桟の間の隙間にマグネット及びリードスイッチを配置したものであり、例えば上記隙間が狭い場合にはリードスイッチを収納した筐体とマグネットとが干渉する場合があった。
【0008】
また、上述の特許文献2に示したワイヤレス施錠確認システムは、マグネットをクレセント錠に取り付けるタイプのものであり、近年のクレセント錠では操作片の形状が湾曲するものも提供されており、その形状からマグネットが取り付け難かったり、外れ易い場合があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、施工性及び検出精度を向上させた窓用戸締センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の窓用戸締センサは、施錠状態と解錠状態とで変化する窓体間の隙間又は窓体と当該窓体を取り囲むように設けられた窓枠の隙間に応じて窓体の施解錠状態を検知する施解錠検知手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
この窓用戸締センサにおいて、施解錠検知手段は、窓体から加えられる圧力を検出する圧力センサからなるのが好ましい。
【0012】
また、この窓用戸締センサにおいて、圧力センサは、窓体を施錠位置まで移動させた際に窓体の先端側が当接する位置に設けられており、施錠状態では窓体から加えられる圧力を検出するのも好ましい。
【0013】
さらに、この窓用戸締センサにおいて、圧力センサは、2枚の引き違いの窓体に取り付けられたクレセント錠の近傍に設けられており、施錠状態ではクレセント錠により窓体間の隙間が狭められることで加えられる圧力を検出するのも好ましい。
【0014】
また、この窓用戸締センサにおいて、圧力センサの検出結果に基づいて窓体の施解錠状態を判別する制御手段を備え、制御手段は、圧力センサに加えられる圧力がゼロの場合には窓体が開放状態にあると判断するのも好ましい。
【0015】
さらに、この窓用戸締センサにおいて、施解錠検知手段は、2枚の引き違いの窓体の一方に取り付けられ、他方の窓体に対してエネルギー波を放射するとともに、当該エネルギー波の反射波に基づいて窓体の位置を検出する近接センサからなるのも好ましい。
【0016】
また、この窓用戸締センサにおいて、エネルギー波は光波であるのも好ましい。
【0017】
さらに、この窓用戸締センサにおいて、エネルギー波は音波であるのも好ましい。
【0018】
また、この窓用戸締センサにおいて、エネルギー波は電波であるのも好ましい。
【0019】
さらに、この窓用戸締センサにおいて、近接センサの検出結果に基づいて窓体の施解錠状態を判別する制御手段を備え、制御手段は、近接センサに戻ってくる反射波がゼロの場合には窓体が開放状態にあると判断するのも好ましい。
【発明の効果】
【0020】
施工性及び検出精度を向上させた窓用戸締センサを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1の窓用戸締センサの施工例を示す要部拡大図である。
【図2】同上が取り付けられる窓の全体図である。
【図3】実施形態2の窓用戸締センサの施工例を示す要部拡大図である。
【図4】実施形態3の窓用戸締センサの施工例を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、窓用戸締センサの実施形態を図面に基づいて説明する。この窓用戸締センサは、例えば図2に示すように、建物の外壁Wに設けられた開口部に取り付けられた矩形枠状の窓枠2の枠内に配置された2枚の引き違いのガラス戸(窓体)1,1の施解錠状態を判別するために用いられる。なお、図2では図示を省略しているが、これらのガラス戸1,1は従来周知のクレセント錠4(図1参照)により施錠される。そして、クレセント錠4により施錠された状態ではガラス戸1,1が互いに密着した状態になり、また各ガラス戸1と窓枠2とがそれぞれ密着した状態になる。また、各ガラス戸1は、それぞれ図2中の矢印A−B方向にスライド自在となっている。
【0023】
(実施形態1)
図1は実施形態1の窓用戸締センサ3の施工例を示す要部拡大図であり、窓用戸締センサ3は、ガラス戸1から加えられる圧力を検出する圧力センサ(施解錠検知手段)30と、圧力センサ30の検出結果に応じて施錠信号又は解錠信号を作成する制御部31と、制御部31が作成した施錠信号又は解錠信号を無線送信する無線信号送信部32と、これらの各部に動作電源を供給する電池33とを備える。
【0024】
ガラス戸1は、図2に示すように矩形枠状に形成された枠部11と、枠部11の枠内に配置される矩形板状のガラス体10とで構成される。一方(図1中の右側)のガラス戸1にはクレセント錠4のクレセント本体40が取り付けられ、他方(図1中の左側)のガラス戸1にはクレセント本体40が係止されるクレセント受け41が取り付けられており、クレセント本体40をクレセント受け41に差し込むことでガラス戸1,1が互いに密着した状態で施錠される。
【0025】
本実施形態の窓用戸締センサ3は、一方(図1中の右側)のガラス戸1に取り付けられたクレセント本体40の近傍に設けられており、他方(図1中の左側)のガラス戸1の枠部11から加えられる圧力の大きさに応じて施錠状態にあるのか、また解錠状態にあるのかを判別する。つまり、ガラス戸1,1を施錠位置(図2に示す位置)まで移動させてクレセント錠4により施錠した状態では、枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力が所定の閾値よりも大きいことから施錠状態にあると判断し、ガラス戸1,1がクレセント錠4により施錠されていない状態では、枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力が所定の閾値よりも小さいことから解錠状態にあると判断する。
【0026】
次に、本実施形態の窓用戸締センサ3の動作について説明する。ガラス戸1,1が施錠位置(図2に示す位置)にあるが、クレセント錠4により施錠されていない状態では、ガラス戸1の枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力は所定の閾値よりも小さく、したがって圧力センサ30からは解錠状態を示す電気信号が制御部31に出力される。制御部31は、圧力センサ30から入力された上記の電気信号に基づいて解錠信号を作成し、無線信号送信部32を制御して上記の解錠信号を無線送信させる。そして、上記の解錠信号を受信した外部機器(図示せず)により、住人はガラス戸1,1が解錠状態であることを知ることができる。
【0027】
一方、ガラス戸1,1がクレセント錠4により施錠されている状態では、ガラス戸1の枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力は所定の閾値よりも大きく、したがって圧力センサ30からは施錠状態を示す電気信号が制御部31に出力される。制御部31は圧力センサ30から入力された上記の電気信号に基づいて施錠信号を作成し、無線信号送信部32を制御して上記の施錠信号を無線送信させる。そして、上記の施錠信号を受信した外部機器(図示せず)により、住人はガラス戸1,1が施錠状態にあることを知ることができる。
【0028】
ここで、本実施形態の窓用戸締センサ3では、ガラス戸1,1間の隙間に応じた圧力に基づいてガラス戸1,1の施解錠状態を判別しており、ガラス戸1,1が施錠位置(図2に示す位置)にある状態では圧力センサ30に加えられる圧力がゼロになることはない。つまり、圧力センサ30に加えられる圧力がゼロになるのは少なくともガラス戸1,1の何れか一方が開放されているときであり、本実施形態の窓用戸締センサ3を用いることでガラス戸1,1の開放状態を検出することもできる。しかも、後述する実施形態2のように窓用戸締センサ3を窓枠2に設けた場合には、ガラス戸1,1の開放状態を検出するためには各ガラス戸1それぞれに対応する形で窓用戸締センサ3を2つ設けなければならないが、本実施形態のようにクレセント錠4の近傍に窓用戸締センサ3を設けることで、1つの窓用戸締センサ3で2枚のガラス戸1,1の開放状態を検出することができる。
【0029】
而して、本実施形態によれば、圧力センサ(施解錠検知手段)30は施錠状態と解錠状態とで変化するガラス戸(窓体)1,1間の隙間に応じて施解錠状態を検知するものであり、クレセント錠4の位置に応じて施解錠状態を検知するものではないので、クレセント錠4の位置を検出するためのマグネットをクレセント錠4に取り付けたり、クレセント錠4と枠部11の間にマグネット及びリードスイッチを配置しなくてもよく、従来例に比べて施工性を向上することができる。また、クレセント錠4のクレセント本体40がクレセント受け41に正常に差し込まれていない状態(以下、この状態を空締めという)では、ガラス戸1,1の密着度は低く、圧力センサ30に加えられる圧力は所定の閾値よりも小さくなる。その結果、この空締め状態を解錠状態であると判断して、施錠状態にないことを住人に知らせることができるので、従来例に比べて検出精度を向上することができる。さらに、施解錠検知手段を接触式の圧力センサ30で構成しているので、ガラス戸1,1の施解錠状態を確実に検知することができる。
【0030】
(実施形態2)
図3は実施形態2の窓用戸締センサ3の施工例を示す要部拡大図である。実施形態1では、ガラス戸1,1間の隙間に応じてガラス戸1,1の施解錠状態を検知しているが、本実施形態では、ガラス戸1と窓枠2の隙間に応じてガラス戸1,1の施解錠状態を検知している。なお、それ以外の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態の窓用戸締センサ3は、圧力センサ(施解錠検知手段)30と、制御部31と、無線信号送信部32と、電池33とを備える。なお、本実施形態ではガラス戸1が2枚であるため、各ガラス戸1にそれぞれ対応する形で窓用戸締センサ3を設けてもいいが、クレセント錠(図示せず)により施錠した状態では両ガラス戸1,1ともに窓枠2に密着した状態にあるため、窓用戸締センサ3は少なくとも一方にのみ設けてあればよい。
【0032】
本実施形態の窓用戸締センサ3は、図3に示すように窓枠2に取り付けられており、ガラス戸1の枠部11から加えられる圧力の大きさに応じて施錠状態にあるのか、また解錠状態にあるのかを判別する。つまり、ガラス戸1,1をクレセント錠により施錠した状態では、枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力が所定の閾値よりも大きいことから施錠状態にあると判断し、ガラス戸1,1がクレセント錠により施錠されていない状態では、枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力が所定の閾値よりも小さいことから解錠状態にあると判断する。
【0033】
次に、本実施形態の窓用戸締センサ3の動作について説明する。ガラス戸1,1が施錠位置(図2に示す位置)にあるが、クレセント錠(図示せず)により施錠されていない状態では、ガラス戸1の枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力は所定の閾値よりも小さく、したがって圧力センサ30からは解錠状態を示す電気信号が制御部31に出力される。制御部31は、圧力センサ30から入力された上記の電気信号に基づいて解錠信号を作成し、無線信号送信部32を制御して上記の解錠信号を無線送信させる。そして、上記の解錠信号を受信した外部機器(図示せず)により、住人はガラス戸1,1が解錠状態にあることを知ることができる。
【0034】
一方、ガラス戸1,1がクレセント錠により施錠されている状態では、ガラス戸1の枠部11から圧力センサ30に加えられる圧力は所定の閾値よりも大きく、したがって圧力センサ30からは施錠状態を示す電気信号が制御部31に出力される。制御部31は圧力センサ30から入力された上記の電気信号に基づいて施錠信号を作成し、無線信号送信部32を制御して上記の施錠信号を無線送信させる。そして、上記の施錠信号を受信した外部機器(図示せず)により、住人はガラス戸1,1が施錠状態にあることを知ることができる。
【0035】
ここで、本実施形態の窓用戸締センサ3では、ガラス戸1と窓体2の隙間に応じた圧力に基づいてガラス戸1,1の施解錠状態を判別しており、ガラス戸1,1が施錠位置(図2に示す位置)にある状態では圧力センサ30に加えられる圧力がゼロになることはない。つまり、圧力センサ30に加えられる圧力がゼロになるのはガラス戸1が開放されているときであり、本実施形態の窓用戸締センサ3を用いることでガラス戸1の開放状態を検出することもできる。但し、本実施形態のように窓用戸締センサ3が1つの場合には一方のガラス戸1の開放状態しか検出できず、各ガラス戸1それぞれの開放状態を検出するためには、窓用戸締センサ3は2つ必要になる。
【0036】
而して、本実施形態によれば、圧力センサ(施解錠検知手段)30は施錠状態と解錠状態とで変化するガラス戸(窓体)1と窓枠2の隙間に応じて施解錠状態を検知するものであり、クレセント錠の位置に応じて施解錠状態を検知するものではないので、クレセント錠の位置を検出するためのマグネットをクレセント錠に取り付けたり、クレセント錠と枠部11の間にマグネット及びリードスイッチを配置しなくてもよく、従来例に比べて施工性を向上することができる。また、クレセント錠を空締めした状態では、ガラス戸1と窓枠2の密着度は低く、圧力センサ30に加えられる圧力は所定の閾値よりも小さくなる。その結果、この空締め状態を解錠状態であると判断して、施錠状態にないことを住人に知らせることができるので、従来例に比べて検出精度を向上することができる。さらに、施解錠検知手段を接触式の圧力センサ30で構成しているので、ガラス戸1,1の施解錠状態を確実に検知することができる。
【0037】
(実施形態3)
図4は実施形態3の窓用戸締センサ3の施工例を示す要部拡大図である。実施形態1,2では、施解錠検知手段として接触式の圧力センサ30を用いているが、本実施形態では非接触式の近接センサ34を用いている。なお、それ以外の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
本実施形態の窓用戸締センサ3は、非接触式の近接センサ(施解錠検知手段)34と、制御部31と、無線信号送信部32と、電池33とを備え、近接センサ34は、例えば赤外線(エネルギー波)を照射する赤外線センサである。
【0039】
本実施形態の窓用戸締センサ3は、一方(図4中の右側)のガラス戸1に取り付けられたクレセント本体40の近傍に設けられており、他方(図4中の左側)のガラス戸1に取り付けられた反射板35により反射して戻ってくる反射波のレベルに応じて施錠状態にあるのか、また解錠状態にあるのかを判別する。つまり、上記の反射波が所定のレベルよりも大きい場合には施錠状態にあると判断し、上記の反射波のレベルが所定のレベルよりも小さい場合には解錠状態にあると判断する。
【0040】
次に、本実施形態の窓用戸締センサ3の動作について説明する。ガラス戸1,1が施錠位置(図2に示す位置)にあるが、クレセント錠4により施錠されていない状態では、近接センサ34から放射された赤外線は反射板35により反射されるが、クレセント錠4により施錠した状態に比べて近接センサ34から反射板35までの距離が長いため、近接センサ34に戻ってくる反射波は所定のレベルよりも小さく、近接センサ34からは解錠状態を示す電気信号が制御部31に出力される。制御部31は、近接センサ34から入力された上記の電気信号に基づいて解錠信号を作成し、無線信号送信部32を制御して上記の解錠信号を無線送信させる。そして、上記の解錠信号を受信した外部機器(図示せず)により、住人はガラス戸1,1が解錠状態にあることを知ることができる。
【0041】
一方、ガラス戸1,1がクレセント錠4により施錠されている状態では、近接センサ34に戻ってくる反射波は所定のレベルよりも大きく、近接センサ34からは施錠状態を示す電気信号が制御部31に出力される。制御部31は近接センサ34から入力された上記の電気信号に基づいて施錠信号を作成し、無線信号送信部32を制御して上記の施錠信号を無線送信させる。そして、上記の施錠信号を受信した外部機器(図示せず)により、住人はガラス戸1,1が施錠状態にあることを知ることができる。
【0042】
ここで、本実施形態の窓用戸締センサ3では、近接センサ34に戻ってくる反射波のレベルに基づいてガラス戸1,1の施解錠状態を判別しており、ガラス戸1,1が施錠位置(図2に示す位置)にある状態では近接センサ34への反射波がゼロになることはない。つまり、近接センサ34への反射波がゼロになるのは少なくともガラス戸1,1の何れか一方が開放されているときであり、本実施形態の窓用戸締センサ3を用いることでガラス戸1,1の開放状態を検出することもできる。
【0043】
而して、本実施形態によれば、近接センサ(施解錠検知手段)34は施錠状態と解錠状態とで変化するガラス戸1,1間の隙間に応じて施解錠状態を検知するものであり、クレセント錠4の位置に応じて施解錠状態を検知するものではないので、クレセント錠4の位置を検出するためのマグネットをクレセント錠4に取り付けたり、クレセント錠4と枠部11の間にマグネット及びリードスイッチを配置しなくてもよく、従来例に比べて施工性を向上することができる。また、クレセント錠4を空締めした状態では、ガラス戸1,1間の密着度は低く、近接センサ34に戻ってくる反射波は所定のレベルよりも小さくなる。その結果、この空締め状態を解錠状態であると判断して、施錠状態にないことを住人に知らせることができるので、従来例に比べて検出精度を向上することができる。さらに、施解錠検知手段を非接触式の近接センサ34で構成しているので、接触式の圧力センサ30のように磨耗することがなく、磨耗に伴う検出精度の低下を防止することができる。
【0044】
ここで、例えば他方(図4中の左側)のガラス戸1と近接センサ34の間にカーテンなどの障害物がある場合、近接センサ34から放射された赤外線はカーテンで反射されて近接センサ34に戻ってくることになる。そのため、近接センサ34に入力される反射波が所定のレベルよりも大きくなり、施錠状態にあると判断してしまう。すなわち、クレセント錠4による施錠の有無にかかわらず施錠状態にあると判断してしまうのである。
【0045】
そこで、このような誤検出を防止するためには、近接センサ34によりガラス戸1までの距離を計測するのが好ましい。具体的には、近接センサ34から放射された赤外線が反射して戻ってくるまでの時間を計測し、この計測時間に応じて施錠状態にあるのか、また解錠状態にあるのかを判別する。例えば、上記の計測時間が予め設定された基準範囲内にある場合には施錠状態にあるガラス戸1で反射されたものと判断し、上記の基準範囲よりも小さい場合には途中にある障害物で反射されたものと判断する。また、上記の計測時間が上記の基準範囲を超えている場合には、赤外線がガラス体10を透過して外部に放射されるなどの状況が考えられ、この場合解錠状態であると判断する。その結果、上記の実施例に比べて検出精度を向上することができる。勿論、この場合も上記の計測時間が∞、つまり反射波が戻ってこない(反射波がゼロ)ことを検出することで、ガラス戸1,1の開放状態を検出することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、近接センサ34から放射されるエネルギー波として赤外線を例に説明したが、エネルギー波は赤外線に限定されるものではなく、レーザー光であってもよい。また、エネルギー波は、赤外線やレーザー光などの光波に限定されるものではなく、超音波などの音波や、マイクロ波、ミリ波などの電波であってもよく、上記の実施例と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0047】
1 ガラス戸(窓体)
2 窓枠
3 窓用戸締センサ
4 クレセント錠
30 圧力センサ(施解錠検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠状態と解錠状態とで変化する窓体間の隙間又は窓体と当該窓体を取り囲むように設けられた窓枠の隙間に応じて前記窓体の施解錠状態を検知する施解錠検知手段を備えていることを特徴とする窓用戸締センサ。
【請求項2】
前記施解錠検知手段は、前記窓体から加えられる圧力を検出する圧力センサからなることを特徴とする請求項1記載の窓用戸締センサ。
【請求項3】
前記圧力センサは、前記窓体を施錠位置まで移動させた際に前記窓体の先端側が当接する位置に設けられており、施錠状態では前記窓体から加えられる圧力を検出することを特徴とする請求項2記載の窓用戸締センサ。
【請求項4】
前記圧力センサは、2枚の引き違いの前記窓体に取り付けられたクレセント錠の近傍に設けられており、施錠状態では前記クレセント錠により前記窓体間の隙間が狭められることで加えられる圧力を検出することを特徴とする請求項2記載の窓用戸締センサ。
【請求項5】
前記圧力センサの検出結果に基づいて前記窓体の施解錠状態を判別する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記圧力センサに加えられる圧力がゼロの場合には前記窓体が開放状態にあると判断することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の窓用戸締センサ。
【請求項6】
前記施解錠検知手段は、2枚の引き違いの前記窓体の一方に取り付けられ、他方の前記窓体に対してエネルギー波を放射するとともに、当該エネルギー波の反射波に基づいて前記窓体の位置を検出する近接センサからなることを特徴とする請求項1記載の窓用戸締センサ。
【請求項7】
前記エネルギー波は光波であることを特徴とする請求項5記載の窓用戸締センサ。
【請求項8】
前記エネルギー波は音波であることを特徴とする請求項5記載の窓用戸締センサ。
【請求項9】
前記エネルギー波は電波であることを特徴とする請求項5記載の窓用戸締センサ。
【請求項10】
前記近接センサの検出結果に基づいて前記窓体の施解錠状態を判別する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記近接センサに戻ってくる反射波がゼロの場合には前記窓体が開放状態にあると判断することを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の窓用戸締センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−158954(P2012−158954A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20789(P2011−20789)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】