説明

窓開閉装置及び窓

【課題】開閉窓を電動で開閉可能とする構成を追加した後でも、手動ハンドルを取付けることができ手動での開閉も行うことのできる窓開閉装置を提供する。
【解決手段】建物開口部に取付けられる枠体1内に障子2が開閉機構5を介して開閉自在に納められた窓の開閉機構5を駆動する駆動部15に対して取付けられるものであって、枠体1に対して固定されるブラケット21と、ブラケット21に対して固定され駆動部15を動作させるモータ23と、モータ23を覆うように取付けられるモータカバー25とからなり、モータ23には第2の駆動軸23bを駆動軸23aと反対側の略対称位置に設け、モータカバー25には挿通孔25aを形成し該挿通孔25aを介して第2の駆動軸23bに対し手動ハンドルを連結自在としてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉窓を自動で開閉させる窓開閉装置及びそれを取付けた窓に関し、特に手動ハンドルも取付可能な窓開閉装置及びそれを取付けた窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルーバー窓、縦辷り出し窓、平行辷り出し窓、及びオーニング窓のような開閉窓が知られており、これら開閉窓においては窓開閉装置によって窓の開閉を行うのが一般的である。窓開閉装置は、回動自在なハンドルを有して手動で直接操作されるものや、ハンドルの代わりにチェーン操作用プーリが設けられ、これに取付けられたチェーンにより手動で遠隔操作されるものなどがある。このように手動で操作される窓開閉装置に対し、電動で操作を行う窓開閉装置も利用されるようになっており、さらに手動で操作される窓開閉装置に電動で操作を行うための構成を追加するものも知られている。このような窓開閉装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2005−256395号公報
【特許文献2】特開2005−89980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の窓開閉装置は、手動ハンドルを取り外してモータをブラケットを介して取付けるものであり、モータを取付けた後は手動で操作することはできない。したがって、停電の場合などモータで開閉ができなくなった場合には、窓の開閉を行うことができない。
【0004】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであり、開閉窓を電動で開閉可能とする構成を追加した後でも、手動ハンドルを取付けることができ手動での開閉も行うことのできる窓開閉装置及びそれを取付けた窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明にかかる窓開閉装置は、建物開口部に取付けられる枠体内に障子が開閉機構を介して開閉自在に納められた窓の前記開閉機構を駆動する駆動部に対して取付けられる窓開閉装置において、
前記枠体に対して固定されるブラケットと、該ブラケットに対して固定され前記駆動部を動作させるモータと、前記モータを覆うように取付けられるモータカバーとからなり、
前記モータには第2の駆動軸を前記駆動軸と反対側の略対称位置に設け、前記モータカバーには挿通孔を形成し該挿通孔を介して前記第2の駆動軸に対し手動ハンドルを連結自在としたことを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明にかかる窓開閉装置は、前記モータカバーの挿通孔にはそれを塞ぐキャップが設けられることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明にかかる窓は、建物開口部に取付けられる枠体内に障子が開閉機構を介して開閉自在に納められた窓であって、
前記開閉機構を駆動する駆動部に対して前記いずれかの窓開閉装置を取付けたことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる窓開閉装置によれば、モータには第2の駆動軸を駆動軸と反対側に設け、モータカバーには挿通孔を形成し該挿通孔を介して第2の駆動軸に対し手動ハンドルを連結自在としたことにより、通常は駆動軸により電動で駆動部を駆動しつつ、第2の駆動軸に既設の手動ハンドルを取付けることで、停電時などにおいて手動操作を行うこともできる。また、第2の駆動軸は駆動軸と反対側の略対称位置に設けられるので、手動ハンドルを取付けた状態であってもその回転操作を円滑に行うことができる。
【0009】
また、本発明にかかる窓開閉装置によれば、モータカバーの挿通孔にはそれを塞ぐキャップが設けられることにより、駆動軸により電動で駆動部を駆動する場合には、モータカバーの内部が見えないようにすることができて、意匠性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。本実施形態では、ルーバー窓に対して取付けることのできる窓開閉装置について説明する。このうち、まず本実施形態の窓開閉装置が取付けられたルーバー窓の構成について説明する。図1にはルーバー窓の縦断面図を、図2にはルーバー窓の横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、ルーバー窓は、建物開口部に取付けられる枠体1内に開閉機構5を介して上下方向に複数設けられる障子2を納めてなるものであり、それぞれの障子2は開閉機構5によって回動されることで、開閉自在とされている。
【0011】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みしてなるものであり、それぞれ室内端部にはアングル部13が取付けられている。各アングル部13より室内側にはそれぞれ額縁材8が取付けられて、枠体1が建物開口部内に納められている。
【0012】
開閉機構5は縦枠12内に設けられ、それを駆動する駆動部15が縦枠12の上下方向中間位置に設けられている。また、駆動部15の室外側には連係部15aを有しており、外部からの駆動によりこれが動作することによって開閉機構5を動作させ、それに取付けられた障子2を回動させる。すなわち、駆動部15は開閉機構5を介して障子2と連係しており、その動作によって障子2を開閉させることができる。
【0013】
障子2は、面材部4と保持体3とが一体的に形成されてなるものであり、枠体1内において上下に複数並設される。保持体3は、一端部が開閉機構5に対して回動自在に支持されると共に、縦枠12に形成される障子支持部14にも回動自在に支持される。駆動部15の連係部15aが外部からの駆動により動作すると、開閉機構5は上下方向にスライド移動し、それに伴って保持体3は障子支持部14による支持部分を中心に回動することによって、障子2が開閉動作する。なお、図1の上端の障子2と下端の障子2について、開状態を点線で示している。
【0014】
駆動部15の室内側には、連係部15aを動作させるための窓開閉装置20が取付けられる。図3には、ルーバー窓における窓開閉装置20付近の拡大図を示している。縦枠12の室内側には、前述のように駆動部15が設けられており、さらにそれより室内側に張り出すように窓開閉装置20が設けられる。また、駆動部15には、室内側に向かって突出するように操作軸16が設けられており、この操作軸16が回転駆動されることによって駆動部15の連係部15aが動作し、開閉機構5を介して障子2を開閉動作させることができる。
【0015】
窓開閉装置20は、縦枠12及び駆動部15に対して固定されるベースブラケット21と、ベースブラケット21に対して固定されるモータ固定ブラケット22と、モータ固定ブラケット22に対して固定されるモータ23と、モータ23を覆うように設けられるモータカバー25とからなっている。
【0016】
ベースブラケット21とモータ固定ブラケット22は、いずれも金属材を折り曲げ加工してなり、互いにネジ止め固定されることによって一体化される。また、ベースブラケット21は、一側部が縦枠12と駆動部15によって挟持されるように配置され、縦枠12に対してネジ止めされることによって固定される。モータ23は、一面に駆動軸23aを備えている。駆動軸23aは、セレーション軸を挿入可能なように凹状に形成されている。モータ23は、モータ固定ブラケット22に対して駆動軸23aが形成された一面がネジ止め固定され、駆動軸23aに対して駆動部15の操作軸16を挿入することで、駆動軸23aの回転に伴って操作軸16を回転駆動することができる。
【0017】
図4にはモータ23の正面図を、図5にはモータ23の底面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、モータ23は外形状を略箱状に形成され、一面から突出部23cが円柱状に形成されている。この突出部23cの内部に、セレーション軸を挿入可能な駆動軸23aが形成されている。
【0018】
モータ23には、駆動軸23aとは反対側の面の対称位置に、第2の駆動軸23bがセレーション軸として形成されている。この第2の駆動軸23bは、モータ23に通電された際に、駆動軸23aと共に回転すると共に、外部から回転駆動された場合には、駆動軸23aをそれと共に回転させるように、モータ23内で駆動軸23aと連係している。
【0019】
図6には、駆動部15に取付けられた状態の窓開閉装置20の斜視図を示している。この図に示すように、モータカバー25には、モータ23の第2の駆動軸23bの延長線上に挿通孔25aが形成されている。この挿通孔25aは、キャップ26が係合するように設けられ、それによって塞がれた状態となっている。キャップ26を取り外すことで、挿通孔25aに対して手動ハンドルを挿入することができる。
【0020】
図7には、図6の窓開閉装置20に対して手動ハンドル30を取付けた状態の斜視図を示している。手動ハンドル30は、ルーバー窓に窓開閉装置20が取付けられていなかった際に、手動で駆動部15を回転駆動するためのものであって、窓開閉装置20を取付ける際に予め取り外されていたものである。その持手部31は略六角形状に形成され、軸部32の先端にはセレーション軸を挿入することができるように凹状の挿入部が形成されている。
【0021】
図7に示すように、手動ハンドル30は、挿通孔25a内に配置される第2の駆動軸23bに対して回転駆動可能となるように取付けられる。この状態で手動ハンドル30の持手部31を手で回転させると、モータ23の第2の駆動軸23bが回転し、それに伴って駆動軸23aも回転する。それによって駆動部15を回転駆動し、障子2を手動で開閉することができる。
【0022】
このように、モータ32に第2の駆動軸23bを設け、モータカバー25の挿通孔25aを介して手動ハンドル30を取付可能としたことにより、停電の場合など窓を電動で開閉できなくなった場合に、手動ハンドル30を取付けて手動で窓を開閉させることができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。本実施形態では、窓開閉装置20をルーバー窓に取付けたものについて示したが、窓開閉装置20はルーバー窓に限られず、縦辷り出し窓や平行辷り出し窓、あるいはオーニング窓などの各種開閉窓に取付けることができる。また、本実施形態では普段はモータカバー25の挿通孔25aにはキャップ26を取付けておき、手動で駆動したい場合にはキャップ26を外して手動ハンドル30を取付けることとしたが、普段から手動ハンドル30を取付けた状態としていてもよい。また、手動ハンドル30の種類についても、略六角形状の持手部31を有するものには限られず、レバー状の持ち手を有するものなど、手動で回転駆動できるものであればどのような形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ルーバー窓の縦断面図である。
【図2】ルーバー窓の横断面図である。
【図3】ルーバー窓における窓開閉装置付近の拡大図である。
【図4】モータの正面図である。
【図5】モータの底面図である。
【図6】駆動部に取付けられた状態の窓開閉装置の斜視図である。
【図7】図6の窓開閉装置に対して手動ハンドルを取付けた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 枠体
2 障子
5 開閉機構
15 駆動部
15a 連係部
16 操作軸
20 窓開閉装置
21 ベースブラケット
22 モータ固定ブラケット
23 モータ
23a 駆動軸
23b 第2の駆動軸
25 モータカバー
25a 挿通孔
26 キャップ
30 手動ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に取付けられる枠体内に障子が開閉機構を介して開閉自在に納められた窓の前記開閉機構を駆動する駆動部に対して取付けられる窓開閉装置において、
前記枠体に対して固定されるブラケットと、該ブラケットに対して固定され前記駆動部を動作させるモータと、前記モータを覆うように取付けられるモータカバーとからなり、
前記モータには第2の駆動軸を前記駆動軸と反対側の略対称位置に設け、前記モータカバーには挿通孔を形成し該挿通孔を介して前記第2の駆動軸に対し手動ハンドルを連結自在としたことを特徴とする窓開閉装置。
【請求項2】
前記モータカバーの挿通孔にはそれを塞ぐキャップが設けられることを特徴とする請求項1記載の窓開閉装置。
【請求項3】
建物開口部に取付けられる枠体内に障子が開閉機構を介して開閉自在に納められた窓であって、
前記開閉機構を駆動する駆動部に対して請求項1または2に記載の窓開閉装置を取付けたことを特徴とする窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−231690(P2008−231690A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69367(P2007−69367)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】