説明

立体画像認識装置

【課題】 液晶シャッターを装着した観察者の体勢に係らず立体視が可能な立体画像認識装置を、簡単な構成で実現する。
【解決手段】 表示装置9の表示面側に順に設けられた第一偏光板5及び第一λ/4板6と、第一λ/4板6と観察者8の間に設けられた液晶シャッターメガネ1を備えている。液晶シャッターメガネ1は、観察者の左右の眼に対応して、液晶シャッター2、第二λ/4板3、及び第二偏光板4が設けられている。そして、第二偏光板4及び第二λ/4板3は、第一λ/4板6との間で液晶シャッター2を挟むように配置されている。このような構成により、円偏光モードのシャッター効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割方式で右眼用の画像と左眼用の画像を表示する表示装置を、右眼液晶シャッターと左眼液晶シャッターを通して観察することで、立体表示が可能になる立体画像認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶シャッターメガネによる立体画像認識装置を、図3に模式的に示す。立体画像を表示するテレビ(CRT)20の前面に第一偏光板5が配置される。液晶シャッターメガネ1は、右眼用液晶シャッターと左眼用液晶シャッターを備えており、観察者8の両眼に対応するように配置されている。図3では、右眼用液晶シャッターと左眼用液晶シャッターを液晶シャッター2と総称して図示している。
【0003】
テレビ20には、右眼用の映像信号と左眼用の映像信号が供給され、これに対応する映像が時間的に交互に表示される。これに同期して右眼用液晶シャッターと左眼用液晶シャッターの透過、遮断を切り替えて観察者の左右の眼に各々異なった映像を導いている。この左右の映像を、左右視差を考慮した映像にすることで、観察者が立体視できるという原理である。
【0004】
ここで、液晶シャッターメガネ1は図3に示すように、液晶が一対の基板の間隙に封入された液晶シャッター2と、液晶シャッター2の観察者8側に設けられた第二偏光板4で構成されている(例えば、特許文献1を参照)。したがって、液晶シャッターメガネ1だけではシャッターとしての機能はなく、テレビ前面の第一偏光板5と液晶シャッターメガネ1を合わせることでシャッターとしての機能が生じている。このような液晶シャッターメガネの構成によれば、テレビ以外を観察する場合に明るくなり、また、蛍光灯などによるフリッカーが認識し難くなる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−191819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された構成では、テレビ前面の第一偏光板5と液晶シャッターメガネ1を組み合わせることではじめてシャッター機能が生じる。このとき、テレビに表示される映像は第一偏光板5により直線偏光となって液晶シャッターメガネ1に届く。また、液晶シャッターメガネ1の第二偏光板4も直線偏光板であるため、第一偏光板5と第二偏光板4の偏光軸の関係が設定された角度からずれてしまうとシャッター機能が低減してしまう。すなわち、液晶シャッターメガネをかけた観察者が首を傾けた場合、第一偏光板と第二偏光板の直線透過軸の角度関係が崩れていまい、正しいシャッター効果が得られなくなり、立体感を感じることができなくなる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、液晶シャッターメガネをかけた観察者の体勢にかかわらず立体視が可能な立体画像認識装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の立体画像認識装置は、表示装置の表示面側に順に設けられた第一偏光板及び第一λ/4板と、第一λ/4板と観察者との間に設けられた液晶シャッターメガネを備えている。液晶シャッターメガネは、観察者の左右の眼に対応する液晶シャッター部を有するとともに、それぞれの液晶シャッター部には、液晶シャッター、第二偏光板及び第二λ/4板が設けられている。そして、第二偏光板及び第二λ/4板は、第一λ/4板との間で液晶シャッターを挟むように配置されている。
【0009】
また、表示装置に液晶表示装置を用い、第一偏光板を液晶シャッターメガネのシャッター作用に用いるだけでなく、液晶表示装置の映像表示のために用いる構成とした。
【0010】
このような構成により、第一λ/4板によって円偏光となった光が、第二λ/4板によって直線偏光に戻されて第二偏光板に届くことになる。また、円偏光モードの液晶シャッター効果を得るためには、液晶シャッターに電界制御複屈折型の液晶パネルを用いることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示装置から出る映像光を見るときだけ円偏光モードの液晶シャッターの効果が発現し、かつ液晶シャッターを付けた観察者が表示装置の正面から傾いたとしても、明るさやシャッター機能は損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の立体画像認識装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の立体画像認識装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】従来の立体画像認識装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の立体画像認識装置を説明する。図1は本発明の立体画像認識装置の概略構成を示す模式図である。表示装置9の表示画面側に、第一偏光板5を配置し、さらにその外方に第一λ/4板6が配置されている。観察者8は液晶シャッターメガネ1を装着して表示装置9が表示する映像を観察する。液晶シャッターメガネ1は、観察者8の左右の眼に対応する液晶シャッター部を有しており、それぞれの液晶シャッター部は液晶シャッター2、第二λ/4板3及び第二偏光板4が設けられている。そして、第二λ/4板3及び第二偏光板4は、第一λ/4板6との間で液晶シャッター2を挟むように配置されている。したがって、液晶シャッターメガネ1だけではシャッターとしての機能はなく、表示装置前面の第一偏光板5と液晶シャッターメガネ1を合わせることでシャッターとしての機能が生じている。
【0014】
表示装置9の表示面の映像光は、第一偏光板5で直線偏光になった後、第一λ/4板6の作用により円偏光となる。この円偏光は液晶シャッターメガネ1の液晶シャッター2に入射し、第二λ/4板3によって直線偏光に戻される。この直線偏光の偏光方向が第二偏光板4の透過軸と一致する場合に観察者に届くことになる。このように、液晶シャッター2によって偏光面の回転を電気的に制御した後、第二偏光板4を通過させると、円偏光した光の通過を制御できることとなる。そして、液晶シャッター2に入射する光が円偏光であるため、液晶シャッターメガネ1をかけている観察者の頭部が回転しても、シャッター機能は低減しない。
【0015】
また、第二偏光板4と第二λ/4板3は、液晶シャッター2の観察者側に積層して設けられている。そのため、第二偏光板と第二λ/4板を一体化することができる。一体化により、λ/4板の信頼性も向上することとなる。
以下、表示装置に液晶表示装置を用いた立体画像認識装置の実施例を、図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施例1)
本実施例の立体画像認識装置の構成を図2に模式的に示す。本実施例では、液晶表示装置10により映像が表示される。表示パネルである液晶パネルは透明基板11と対向基板12を、間隙が一定になるようにシール材13により貼り合わせた構成であり、間隙には液晶14が封入されている。液晶パネルの背後側には第三偏光板7が設けられ、さらにその背後にバックライト15が配置されている。一方、液晶パネルの前面側(観察者側)には、第一偏光板5と第一λ/4板6が配置されている。一般に、テレビに用いられる液晶パネルの内部にはカラーフィルターやTFT素子が形成されており、バックライトからの光を液晶パネルのスイッチ機能により画像を表示している。すなわち、液晶表示装置としての機能は、バックライト15、第三偏光板7、液晶パネル及び第一偏光板5により得られている。本実施例でも液晶シャッターメガネ1は円偏光モードでシャッター効果が生じるように構成するので、第一偏光板5の観察者側に第一λ/4板が必要である。
【0017】
このような液晶表示装置の構成により、映像は円偏光となって液晶シャッターメガネ1に届く。液晶シャッターメガネ1は、観察者8の左右の眼に対応する液晶シャッター部を持ち、それぞれの液晶シャッター部に液晶シャッター2、第二偏光板4及び第二λ/4板3が設けられている。左右の眼に対応する液晶シャッター部は同じ仕様でよい。液晶パネルには左眼用と右眼用の映像信号が時間的に交互に供給され、表示する。これに同期させて左眼用の液晶シャッターと右眼用の液晶シャッターを透過状態にさせる。このように、液晶シャッター2は、表示画面に対する視野角範囲では、観察者8の眼に対してシャッターとして作用し、観察者8は表示映像を立体画像として認識することができる。一方、表示装置9の表示面以外の視野角範囲にはシャッター機能がないので、観察者8は、周囲環境をフリッカーなく、自然に観察することが可能である。
【0018】
このように、本実施例では、映像を表示するために、バックライト15〜第三偏光板7〜液晶パネル〜第一偏光板5を用いている。また、円偏光モードのシャッター機能を実現するために、第一偏光板5〜第一λ/4板6〜液晶シャッター2〜第二λ/4板3〜第二偏光板4を用いている。すなわち、第一偏光板5は液晶表示装置10の構成要素でも、液晶シャッターメガネ1の構成要素でもある。
【0019】
ここで、第二λ/4板3と第二偏光板4を液晶シャッター2の観察者8側に配置する場合、液晶シャッター2を電界制御複屈折型(VA/ECB)の液晶パネルとすることが望ましい。
【0020】
なお、液晶シャッター手段を液晶シャッターメガネとして説明してきたが、メガネに限らず、観察者に装着する形態であればどのような構成でもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0021】
1 液晶シャッターメガネ
2 液晶シャッター
3 第二λ/4板
4 第二偏光板
5 第一偏光板
6 第一λ/4板
7 第三偏光板
8 観察者
9 表示装置
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 対向基板
13 シール材
14 液晶
15 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示面側に順に設けられた第一偏光板及び第一λ/4板と、
前記第一λ/4板と観察者との間に設けられた液晶シャッターメガネを備え、
前記液晶シャッターメガネは、観察者の左右の眼に対応する液晶シャッター部を有するとともに、それぞれの前記液晶シャッター部に、液晶シャッター、第二偏光板及び第二λ/4板が設けられ、
前記第二偏光板及び前記第二λ/4板は、第一λ/4板との間で前記液晶シャッターを挟むように配置されたことを特徴とする立体画像認識装置。
【請求項2】
前記表示装置は液晶表示装置であって、透明基板と対向基板の間に液晶が挟持された液晶セルと、前記液晶セルを照明するバックライトと、前記液晶セルと前記バックライトの間に設けられた第三の偏光板を備えるとともに、
前記液晶表示装置が、前記第三偏光板と前記液晶セルと前記第一偏光板を用いて映像を表示することを特徴とする請求項1に記載の立体画像認識装置。
【請求項3】
前記第一λ/4板によって円偏光となった光が、前記第二λ/4板によって直線偏光に戻されて前記第二偏光板に届くことを特徴とする請求項1または2に記載の立体画像認識装置。
【請求項4】
前記液晶シャッターが、電界制御複屈折型の液晶パネルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の立体画像認識装置。
【請求項5】
左眼用の前記液晶シャッター部と右眼用の前記液晶シャッター部が同一仕様であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の立体画像認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−73474(P2012−73474A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219011(P2010−219011)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】