説明

立体表示装置

【課題】立体視に用いられる視差画像を元の視差画像より高解像度化することができる立体表示装置を提供する。
【解決手段】表示面に第1の視差画像を表示する表示部と、複数の光学素子を有し、第1の視差画像を複数の光学素子に対応する部分画像毎に縮小して、表示面より面積が小さい平面状の結像面に第2の視差画像を結像する縮小光学系と、結像面と視点との間に配置され、第2の視差画像が立体視されるように機能する立体視用光学系と、を備えた立体表示装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の液晶パネルの画像をレンティキュラスクリーンへ光学的に重畳して投写する投写型立体表示装置において、液晶パネルの水平画素配列方向にメニスカスレンズを配列したレンティキュラ板と、該液晶パネルの画素ピッチと同じピッチで開口を有し、該開口の幅は、該液晶パネルの画素開口幅より狭いブラックストライプ板と、を有し、該液晶パネルの射出光を前記レンティキュラ板へ入射させ、前記レンティキュラ板の出射光を該ブラックストライプ板を通過させてレンティキュラスクリーン上に投写するように構成したことを特徴とする投写型立体表示装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の液晶パネルの画像をレンティキュラスクリーンへ光学的に重畳して投写する立体表示装置において、液晶パネルの水平画素配列方向に、メニスカスレンズを配列したレンティキュラ板と、該レンティキュラ板の出射光を前記液晶パネルへ入射させ、前記液晶パネルからの画像が投写されるレンティキュラスクリーンと、から成り、前記液晶パネルからの画像を該レンティキュラスクリーン上に投写するように構成した投写型立体表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−232435号公報
【特許文献2】特開平05−232602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、立体視に用いられる視差画像を元の視差画像より高解像度化することができる立体表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、表示面に第1の視差画像を表示する表示部と、複数の光学素子を有し、前記第1の視差画像を前記複数の光学素子に対応する部分画像毎に縮小して、前記表示面より面積が小さい平面状の結像面に第2の視差画像を結像する縮小光学系と、前記結像面と視点との間に配置され、前記第2の視差画像が立体視されるように機能する立体視用光学系と、を備えた立体表示装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記縮小光学系は、前記複数の部分画像の各々に対応する複数の縮小部分画像が、前記結像面に隙間なく配列されるように第2の視差画像を結像する、請求項1に記載の立体表示装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記表示面が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向の少なくとも一方に予め定めた曲率で湾曲した表示面であり、前記縮小光学系を構成する前記複数の光学素子が前記表示面の湾曲方向に配列された、請求項1または2に記載の立体表示装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記部分画像、当該部分画像に対応する光学素子、及び当該部分画像に対応する縮小部分画像を1つの組として、複数の組が前記曲率中心を基点として等間隔で放射線状に配置される、請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記複数の組において、前記結像面に配列される各組の縮小部分画像の解像度が等しくなるように、各組の光学素子の焦点距離が設定された、請求項4に記載の立体表示装置である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記複数の組において、前記結像面に配列される各組の縮小部分画像の解像度が等しくなるように、各組の光学素子が予め定めた位置に配置された、請求項4に記載の立体表示装置である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記結像面と前記立体視用光学系との間に配置され、入射した光を拡散させる拡散板を更に備えた、請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記互いに隣接する組間で且つ前記結像面よりも表示部側に配置され、前記互いに隣接する組間で光を遮断する遮光部材が配置される、請求項4から請求項7までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、前記立体視用光学系が、レンズアレイ方式またはパララックスバリア方式により、前記第2の視差画像が立体視されるように機能する、請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0015】
請求項10に記載の発明は、前記第1の視差画像が、3個以上の視点数に応じて複数の画像が合成された合成画像である、請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0016】
請求項11に記載の発明は、前記第1の方向と前記第2の方向とが直交し、前記表示部が前記第1の方向及び前記第2の方向に湾曲した表示面を有する、請求項3から請求項10までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0017】
請求項12に記載の発明は、前記縮小光学系が、複数の凸部を有するレンチキュラーレンズである、請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0018】
請求項13に記載の発明は、前記立体視用光学系がレンズアレイ方式で機能する場合に、前記縮小光学系と前記立体視用光学系とを一体化された光学部材として構成する、請求項12に記載の立体表示装置である。
【0019】
請求項14に記載の発明は、前記表示部が前記第1の方向及び前記第2の方向に湾曲した表示面を有する場合に、前記縮小光学系を複数の光学素子が前記第1の方向及び前記第2の方向に二次元状に配列されたレンズアレイである、請求項3から請求項13までの何れか1項に記載の立体表示装置である。
【0020】
請求項15に記載の発明は、前記レンズアレイが、フライアイレンズまたはロッドレンズアレイである、請求項14に記載の立体表示装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、立体視に用いられる視差画像(第2の視差画像)を、元の視差画像(第1の視差画像)より高解像度化することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、複数の縮小部分画像が連続的に配列された第2の視差画像を得ることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、第1の視差画像が曲面状の表示面に表示されている場合でも、平面状の結像面に第2の視差画像を結像することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を備えない場合と比較して、光学系の設計を容易化することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、第2の視差画像を構成する複数の縮小部分画像の解像度を揃えることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、同じ焦点距離を有する複数の光学素子を用いて、第2の視差画像を構成する複数の縮小部分画像の解像度を揃えることができる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、拡散板を備えない場合と比較して、視域を拡大することができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、組間でのクロストークを低減することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、レンズアレイ方式、パララックスバリア方式等、一般的な立体視の原理に基づいて、第2の視差画像を立体視することができる。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、視点数が3以上に増加した場合でも、視点数に応じて第2の視差画像の高解像度化を図ることができ、自然な立体感を実現することができる。
【0031】
請求項11に記載の発明によれば、第1の方向及び第2の方向の両方において、多視点化することができる。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、シート状のレンチキュラーレンズを湾曲させて用いる等、縮小光学系の設計を容易化することができる。
【0033】
請求項13に記載の発明によれば、本構成を備えない場合と比較して、部品点数が少なくなり、製造工程を簡素化することができる。
【0034】
請求項14に記載の発明によれば、第1の方向及び第2の方向の両方において、多視点化することができる。
【0035】
請求項15に記載の発明によれば、フライアイレンズ、ロッドレンズアレイ等の一般的なレンズアレイを用い、第1の方向及び第2の方向の両方において、多視点化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(A)及び(B)はレンズアレイ方式による立体視の原理を説明するための模式図である。
【図2】パララックスバリア方式による立体視の原理を説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示す立体表示装置の断面図である。
【図5】(A)及び(B)は図4に示す各組の結像特性を示す光軸に沿った断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。
【図7】(A)及び(B)は図6に示す各組の結像特性を示す光軸に沿った断面図である。
【図8】(A)及び(B)は縮小光学系の設計方法の一例を説明するための概略図である。
【図9】縮小光学系の設計方法の一例を説明するための概略図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。
【図12】縮小光学系と立体視用光学系とが一体化された変形例を示す断面図である
【図13】平面状の表示面を備える立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。
【図14】階段状の表示面を備える立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0038】
<立体表示方式>
まず、本実施の形態に係る立体表示装置で用いられる立体表示方式について簡単に説明する。本実施の形態に係る立体表示装置では、レンズアレイ方式、パララックスバリア方式等、視点毎に異なる二次元画像を用意して、視点間に生じる視差に基づいて三次元画像(立体像)を表示する立体表示方式を用いる。これら視差に基づいて立体視を行う立体表示方式は「視差方式」と称される。以下では、左右両眼に生じる視差に基づいて立体視を行う「両眼視差方式」を例に、レンズアレイ方式及びパララックスバリア方式の立体視の原理について説明する。
【0039】
(レンズアレイ方式)
図1(A)及び(B)はレンズアレイ方式による立体視の原理を説明するための模式図である。図1(A)に示すように、右眼用の二次元画像1と、左眼用の二次元画像2とが用意される。右眼用画像1は、第1の方向(図1(A)における横方向)に沿って複数の短冊状の画像片1A〜1Fに分割される。以下では、複数の画像片が並ぶ第1の方向を「横方向」と称し、第1の方向と交差する第2の方向を「縦方向」と称する。
【0040】
左眼用画像2は、横方向に沿って複数の短冊状の画像片2A〜2Fに分割される。複数の画像片1A〜1F、2A〜2Fは、1A→2A→1B→2B→・・・→1F→2Fというように、右眼用と左眼用とが交互に配置されるように並べられる。これにより、右眼用画像1と左眼用画像2とが合成された視差画像3が得られる。
【0041】
図1(B)に示すように、レンズアレイ方式では、視差画像3と右側視点5及び左側視点6との間に、レンチキュラーレンズ4が配置されている。レンチキュラーレンズ4は、視点側に突出した複数の凸部4A〜4Fを有している。複数の凸部4A〜4Fは、横方向に沿って配列されている。両眼視差方式では、視点数は「2」である。凸部4Aに画像片1A及び2Aを対応付け、凸部4Bに画像片1B及び2Bを対応付けるというように、複数の凸部4A〜4Fの各々には、視点数分の画像片が対応付けられている。
【0042】
レンチキュラーレンズ4は、右側視点5からの視線(実線で図示)が右眼用画像1の画像片1A〜1Fの各々に届くと共に、左側視点6からの視線(点線で図示)が左眼用画像2の画像片2A〜2Fの各々に届くように構成されている。換言すれば、右眼で右眼用画像1を見ると同時に、左眼で左眼用画像2を見ることになる。このときの両眼視差により、視差画像3から三次元画像(立体像)が見えるようになる。
【0043】
なお、上記では「両眼視差方式」を例に立体視の原理について説明したが、視点数は「2」に限定される訳ではなく、視点数を3以上に増やしてもよい。視点数が多くなるほど自然な立体感が実現される。例えば、上記の例で視点数を「8」とすると、複数の凸部4A〜4Fの各々には8個の画像片が対応付けられる。従って、視点数を増やすためには、視差画像3の解像度を向上させる必要がある。
【0044】
(パララックスバリア方式)
図2はパララックスバリア方式による立体視の原理を説明するための模式図である。図2に示すように、パララックスバリア方式では、視差画像3と右側視点5及び左側視点6との間に、視差バリア7が配置されている。視差バリア7は、縦方向に長いスリット状に開口した複数の開口部7A〜7Fを有している。複数の開口部7A〜7Fは、横方向に沿って配列されている。開口部7Aに画像片1A及び2A、開口部7Bに画像片1B及び2Bというように、複数の開口部7A〜7Fの各々には視点数分の画像片が対応付けられている。
【0045】
視差バリア7には、右側視点5からの視線(実線で図示)が右眼用画像1の画像片1A〜1Fの各々に届くと共に、左側視点6からの視線(点線で図示)が左眼用画像2の画像片2A〜2Fの各々に届くように、複数の開口部7A〜7Fが形成されている。なお、右側視点5からの視線は、視差バリア7により遮断されて左眼用画像2の画像片には届かず、左側視点6からの視線は、視差バリア7により遮断されて右眼用画像1の画像片には届かない。
【0046】
レンズアレイ方式と同様に、右眼で右眼用画像1を見ると同時に、左眼で左眼用画像2を見ることになる。このときの両眼視差により、視差画像3から三次元画像(立体像)が見えるようになる。また、レンズアレイ方式と同様に、視点数を増やしてもよい。
【0047】
<立体表示装置−第1の実施の形態−>
次に、第1の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。
【0048】
(立体表示装置の構成)
図3は本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す分解斜視図である。図4は図3に示す立体表示装置の横方向に沿った断面図である。図3及び図4に示すように、立体表示装置10は、表示部20、縮小光学系30及び立体視用光学系40を備えている。表示部20は、表示面24に第1の視差画像22を表示する。縮小光学系30は、表示面24に表示された第1の視差画像22を縮小して、平面状の結像面60に第2の視差画像62を結像する。立体視用光学系40は、結像面60に結像された第2の視差画像62が、複数の視点52から立体視されるように機能する。表示部20の表示面24、縮小光学系30、結像面60、立体視用光学系40、及び視点52の各々は、表示部20から視点52側に向かって、この順序で配置されている。
【0049】
本実施の形態では、縮小光学系30は、平面状の結像面60に第2の視差画像62を結像するように構成されている。一方、表示部20の表示面24は、曲面状としてもよく、平面状としてもよい。或いは、階段状としてもよい。以下では、表示部20が曲面状の表示面24を有する場合について説明する。曲面状の表示面24とする場合には、平面状の表示面24と比較すると、表示面24の面積が小さくなり表示部20が小型化されるという利点がある。なお、他の形状の表示面24を備える例については後述する。
【0050】
本実施の形態では、表示部20は、横方向に湾曲した表示面24を有している。表示面24は、曲率中心50の周りに予め定めた曲率で湾曲した曲面である。第1の視差画像22は、短冊状の複数の部分画像26A〜26Fに区分されている。複数の部分画像26A〜26Fの各々は、横方向に湾曲した表示面24に沿って表示される。なお、各々を区別する必要がない場合には、部分画像26A〜26Fを「部分画像26」と総称する。
【0051】
表示部20としては、画像を表示する表示面24を備えていればよく、その態様は特に制限されない。例えば、画像が印刷されたカードや用紙等、一方の表示面に画像を保持するシート状の画像保持部材としてもよい。また、液晶パネル等で構成された表示面に画像を表示する画像表示装置としてもよい。或いは、スクリーン等で構成された表示面に画像を投影する画像投影装置としてもよい。
【0052】
縮小光学系30は、複数の光学素子32が配列されたレンズアレイ34として構成されている。複数の光学素子32の各々は、横方向において物体像を縮小して結像する縮小レンズとして機能する。この例では、複数の部分画像26A〜26Fの各々に対応して、複数の光学素子32A〜32Fが横方向に配列されている。また、複数の光学素子32は、表示面24と同じ曲率中心50の周りに予め定めた曲率で湾曲したく仮想曲面に沿って配列されている。従って、複数の光学素子32について、各主面36から表示面24までの距離が略一定となる(図5参照)。
【0053】
複数の光学素子32A〜32Fの各々は、複数の部分画像26A〜26Fの各々に対応して、平面状の結像面60に複数の縮小部分画像64A〜64Fを結像させる。第2の視差画像62は、複数の縮小部分画像64A〜64Fから構成されている。なお、各々を区別する必要がない場合には、光学素子32A〜32Fを「光学素子32」と総称し、縮小部分画像64A〜64Fを「縮小部分画像64」と総称する。
【0054】
また、本実施の形態では、複数の光学素子32の各々は、対応する縮小部分画像64を平面状の結像面60に結像させるために、各主面36が結像面60に対し略平行となるように配置されている。なお、複数の光学素子32の光学配置については、次に詳しく説明する。
【0055】
縮小光学系30としては、表示面24側に突出した複数の凸部が横方向に配列されたレンチキュラーレンズを用いてもよい。この場合には、レンチキュラーレンズの複数の凸部が、複数の光学素子32に対応する。また、レンチキュラーレンズは、複数の凸部が上記の仮想曲面に沿って配列されるように、横方向に湾曲した形状とされる。
【0056】
立体視用光学系40は、上記のレンズアレイ方式又はパララックスバリア方式により、第2の視差画像62が立体視されるように機能する光学系である。本実施の形態では、レンズアレイ方式で立体視を行う場合について説明する。立体視用光学系40は、視点52側に突出した複数の凸部が横方向に配列されたレンチキュラーレンズで構成されている。レンチキュラーレンズの複数の凸部は、結像面60に平行な仮想平面に沿って配置されている。
【0057】
(複数の光学素子の光学配置)
ここで、図4及び図5を参照して、縮小光学系30の複数の光学素子32の各々に対応した光学配置について説明する。図5(A)及び(B)は図4に示す各組の結像特性を示す光軸に沿った断面図である。
【0058】
図4に示すように、部分画像26、当該部分画像26に対応する光学素子32、及び当該部分画像26に対応する縮小部分画像64は、互いに対応付けられて1つの組70を構成している。上記の立体表示装置10は、複数の組70を有している。複数の組70は、曲率中心50を基点として、隣接する組70間の光軸の交差角度が等しくなるように、等間隔で放射線状に配置されている。本実施の形態では、複数の組70の各々において、対応する縮小部分画像64は平面状の結像面60に結像される。
【0059】
複数の光学素子32の各々は、対応する縮小部分画像64を平面状の結像面60に結像させるために、各主面36が結像面60に対し略平行となるように配置されている。ここで略平行とは、後で図9を参照して説明する通り、設計上の傾きを許容することを意味する。上記の通り、複数の光学素子32について、各主面36から表示面24までの距離は略一定である。従って、複数の光学素子32の各々は、外側に向かって主面36から結像面60までの距離Dが短くなるように階段状に配置されている。
【0060】
また、本実施の形態では、同じ結像面60に配列される縮小部分画像64の解像度が等しくなるように、組70の配置位置(即ち、組72に含まれる光学素子32の中心からのずれ)に応じて、光学素子32の焦点距離fが設定されている。部分画像26が配列される表示面24から光学素子32の主面36までの距離は、複数の組70の間で略等しい。従って、複数の部分画像26の各々が同じ面積を有する場合には、複数の部分画像26の各々は略同じ倍率で縮小されて結像されて、複数の縮小部分画像64の各々は略同じ面積となる。
【0061】
また、外側に配置される組70では、内側に配置される組70よりも、光学素子32の焦点距離fが短くなる。例えば、図5(A)に示すように、立体表示装置10の中央部では、部分画像26Dは、対応する光学素子32Dにより縮小されて、対応する縮小部分画像64Dが平面状の結像面60に結像される。中央部に配置された光学素子32Dの焦点距離finは、複数の光学素子32の中で最も長くなる。また、光学素子32Dの主面36Dから結像面60までの距離Dは、finから2finまでの範囲となる。
【0062】
一方、図5(B)に示すように、立体表示装置10の最も外側では、部分画像26Aは、対応する光学素子32Aにより縮小されて、対応する縮小部分画像64Aが結像面60に結像される。最も外側に配置された光学素子32Aの焦点距離foutは、複数の光学素子32の中で最も短くなる。また、光学素子32Aの主面36Aから結像面60までの距離Dは、foutから2foutまでの範囲となる。
【0063】
本実施の形態では、複数の組70を規則的に配列することで、立体表示装置10の光学系の設計が容易化される。なお、光学系の設計例については後述する。
【0064】
なお、部分画像26及び縮小部分画像64の各々は、縮小結像のために光学素子32と対応付けられるが、立体視用光学系40を構成する各光学素子と対応付けられる必要はない。例えば、レンチキュラー方式では、レンチキュラーレンズの複数の凸部の各々に、視点数分の画像片が対応付けられる。部分画像26及び縮小部分画像64の各々は、視点数分の画像片と対応していなくてもよい。縮小光学系30の複数の光学素子32間の間隔は、立体視用光学系40のレンチキュラーレンズの複数の凸部間の間隔よりも、かなり大きくしてもよい。
【0065】
(立体表示装置の動作)
次に、上記の立体表示装置10の動作について説明する。
まず、表示部20の湾曲した表示面24に、第1の視差画像22を表示する。第1の視差画像22は、複数の部分画像26A〜26Fから構成されている。複数の部分画像26A〜26Fの各々は、対応する複数の光学素子32A〜32Fの何れかにより縮小結像される。平面状の結像面60には、複数の部分画像26A〜26Fの各々に対応して、複数の縮小部分画像64A〜64Fが、同じ解像度で結像される。
【0066】
第2の視差画像62は、複数の縮小部分画像64A〜64Fから構成されている。平面状の結像面60には、第2の視差画像62が結像される。縮小部分画像64の解像度は、対応する部分画像26の解像度よりも高い。また、第2の視差画像62の面積は、第1の視差画像22の面積よりも小さい。従って、第2の視差画像62の解像度は、第1の視差画像22の解像度よりも高い。立体視用光学系40により、第2の視差画像62が複数の視点52から立体視される。
【0067】
本実施の形態では、立体視に用いる第2の視差画像62は、第1の視差画像22よりも高解像度化されている。高解像度の第2の視差画像62を用いて立体視を行うので、視点数が増加してもよく、視点数の増加により自然な立体感が実現される。
【0068】
また、本実施の形態では、複数の縮小部分画像64A〜64Fは、平面状の結像面60に隙間なく結像される。複数の縮小部分画像64A〜64Fを結像面60に隙間なく配列することで、複数の縮小部分画像64A〜64Fが連続的に配列された第2の視差画像62が得られる。
【0069】
また、本実施の形態では、複数の縮小部分画像64A〜64Fの各々は、対応する光学素子32が配置される位置に応じて当該光学素子32の焦点距離fを設定することで、平面状の結像面60に同じ解像度で結像される。なお、光学素子32の配置位置や焦点距離fが複数の組70間で異なることにより、第2の視差画像62において画像歪みが生じる場合には、当該画像歪みを打ち消すように、第1の視差画像22を予め補正しておいてもよい。
【0070】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。
図6は本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。図6に示すように、第2の実施の形態に係る立体表示装置10Cは、縮小光学系30を構成する複数の光学素子32の焦点距離を一定にして配置を変更した以外は、第1の実施の形態に係る立体表示装置と同じ構成である。このため同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0071】
ここで、図6及び図7を参照して、縮小光学系30の複数の光学素子32の各々に対応した光学配置について説明する。図7(A)及び(B)は図6に示す各組の結像特性を示す光軸に沿った断面図である。
【0072】
図6に示すように、複数の組70の各々において、対応する縮小部分画像64は平面状の結像面60に結像される。本実施の形態では、複数の組70の各々は、同じ焦点距離fを有する光学素子32を有している。即ち、複数の光学素子32の主面36の各々は、同じ平面上にある。また、複数の組70の各々では、同じ結像面60に配列される縮小部分画像64の解像度が略等しくなるように、組70(即ち、組70に含まれる光学素子32)の配置位置が設定されている。
【0073】
部分画像26が配列される表示面24から光学素子32の主面36までの距離は、複数の組70間で異なるようになる。外側に配置される組70では、内側に配置される組70よりも、表示面24から光学素子32の主面36までの距離が短くなる。
【0074】
例えば、図7(A)に示すように、立体表示装置10の中央部では、部分画像26Dは、対応する光学素子32Dにより縮小されて、対応する縮小部分画像64Dが平面状の結像面60に結像される。光学素子32Dの主面36Dから結像面60までの距離をDとし、光学素子32Dの主面36Dから表示面24までの距離をEとする。一方、立体表示装置10の最も外側では、部分画像26Aは、対応する光学素子32Aにより縮小されて、対応する縮小部分画像64Aが結像面60に結像される。光学素子32Aの主面36Aから結像面60までの距離をDとし、光学素子32Aの主面36Aから表示面24までの距離をEとする。
【0075】
図7(A)及び(B)に示すように、中央部に配置された組70の主面36Dから表示面24までの距離Eは、最も外側に配置された組70の主面36Aから表示面24までの距離Eよりも長い。また、中央部に配置された組70の主面36Dから結像面60までの距離Dは、最も外側に配置された組70の主面36Aから結像面60までの距離Dと略同じ長さである。
【0076】
光学素子32Dと光学素子32Aの焦点距離は同じなので、厳密には、光学素子32Dの結像倍率は光学素子32Aよりも小さくなる。また、図7(A)及び(B)に示すように、光学素子32の配置位置により結像位置は異なるが、光学素子32Dと光学素子32Aに共通する焦点深度内を結像面60とすればよい。
【0077】
本実施の形態では、焦点距離fが等しい複数の光学素子32の各々について、中心からのずれに応じて光学素子32の配置位置を設定することで、複数の縮小部分画像64の各々が、平面状の結像面60に高解像度で結像される。また、複数の縮小部分画像64の各解像度は略等しい。
【0078】
<縮小光学系の設計例>
次に、上記した立体表示装置の縮小光学系の設計例について説明する。図8(A)及び(B)、図9は縮小光学系の設計方法の一例を説明するための概略図である。ここでは説明を簡略化するために、縮小光学系30の複数の光学素子32の個数と、立体視用光学系40のレンチキュラーレンズの複数の凸部の個数とが、同数であると仮定する。図8(A)及び(B)、図9に示すように、横方向の断面図における各パラメータを以下の通り定義する。なお、中央で結像面60に接する曲率中心50周りの曲面を「仮想面61」とする。
【0079】
:湾曲した表示面24の弧の長さ
:湾曲した仮想面61の弧の長さ
R:曲率中心50から表示面24までの距離(曲率半径)
u:曲率中心50から仮想面61までの距離(曲率半径)
t:表示面24から仮想面61までの距離
ΔR:中央からn番目の縮小部分画像64(結像面60)と仮想面61との光軸方向での距離
: 中央からn番目の表示面24から光学素子32の主面36までの距離
:光学素子32の主面36から結像面60までの距離
θ:表示面24及び仮想面61の拡がり角度(半角)
Δθ:隣接する組70間の光軸の交差角度
:中央からn番目の光学素子32の直径(または、隣接する光学素子32間の間隔を表す)
2N+1:光学素子32の個数(組70の個数)
M:光学素子32の結像倍率
:中央からn番目の光学素子32の焦点距離
:中央からn番目の縮小部分画像64の横方向の幅
φ:中央からn番目の光学素子32の結像面60に対する傾き
H:部分画像26の横方向の幅
【0080】
上記パラメータは以下の関係を満たす。
=2Rθ
=2uθ
t=R−u
=MRΔθ/cosθ
φ≒nΔθ/2
H=2Rθ/2N+1
【0081】
表示面24及び仮想面61の拡がり角度(半角)はθであり、拡がり角度(全角)は2θである。(2N+1)個の組70が、曲率中心50を基点として±θの範囲に等間隔で放射線状に配置される。このとき、隣接する組70間の光軸の交差角度Δθは、下記式(1)で表される。
【0082】
【数1】

【0083】
結像面60に結像される第2の視差画像62の解像度を一定にしたい場合には、光学素子32の結像倍率Mを一定にする。なお、光学素子32の結像倍率Mの場合に、解像度はm倍(m=1/M)まで向上する。
【0084】
上記の定義の下で、結像面60を平面状とするための各種パラメータを導出する。複数の縮小部分画像64は、平面状の結像面60上に配列される。平面状の結像面60上に配列するためには、複数の光学素子32の各主面を結像面60と略平行にする必要がある。
従って、外側に行くほど、表示面24から光学素子32の主面36までの「距離s」は短くなり、縮小部分画像64(結像面60)と仮想面61との光軸方向での「距離ΔR」は長くなる。「距離ΔR」は、下記式(2)で与えられる。
【0085】
【数2】

【0086】
図8及び図9を参照すれば分かるように、光学素子32の結像倍率Mは、下記式(3)で表される。
【0087】
【数3】

【0088】
結像倍率Mを一定にすると、中央からn番目の表示面24から光学素子32の主面36までの「距離s」は、下記式(4)で表される。
【0089】
【数4】

【0090】
中央からn番目の光学素子32による結像の関係は、下記式(5)及び(6)で表される。ここで、複数の光学素子32の各主面は結像面60と略平行であるが、中央からn番目の光学素子32においては、その主面36の結像面60に対する「傾きφ」は設計上許容されるものとする。
【0091】
【数5】

【0092】
【数6】

【0093】
また、中央からn番目の光学素子32の「直径d」は、下記式(7)で表される。なお、光学素子32の「直径d」は、隣接する光学素子32間の間隔に相当する。
【0094】
【数7】

【0095】
以上の通り、本実施の形態では、種々のパラメータを設定することで、中央からn番目の光学素子32の位置を表す「距離s」、中央からn番目の光学素子32の「直径d」、中央からn番目の光学素子32の結像特性を表す「焦点距離f」等、結像面60を平面状にするための条件が導出される。即ち、種々のパラメータを設定することで、目的に応じた縮小光学系30が設計される。
【0096】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。
図10は本発明の第3の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。図10に示すように、第3の実施の形態に係る立体表示装置10Aは、入射した光を拡散させる拡散板80を更に備える以外は、第1の実施の形態に係る立体表示装置と同じ構成である。このため同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0097】
拡散板80は、結像面60と立体視用光学系40との間に配置されている。拡散板80は、結像面60の視点52側に隣接して配置されるように、平面状の結像面60に沿った平板状とされている。
【0098】
レンズ等の光学素子では「F値」というパラメータが用いられる。F値は、レンズの焦点距離fを有効口径Φで割った値である(即ち、F=f/Φ)。F値は、レンズの明るさを表す指標として用いられる。F値が小さいほど結像面に集光できる光の量が多くなり、その時の集光角は大きくなる。
【0099】
従って、縮小光学系30の(各々のレンズの)F値が立体視用光学系40の(各々のレンズの)F値よりも小さいときに、結像面60から発散する光線の幅が立体視用光学系40の(各々のレンズの)レンズ径以上となり、良好な観察領域(いわゆる「視域」)や立体感が得られる。一方、結像面60からの発散光の幅が立体視用光学系40の(各々のレンズの)レンズ径以下であれば、レンズからの出射光の幅が小さいため、視域や立体感が低下する。
【0100】
ところが、用途によっては、縮小光学系30のF値が立体視用光学系40のF値よりも大きくなるように設計する場合がある。この場合には、拡散板80を備えることによって、レンズ40の方向に発散する発散光の発散角が大きくなり、視域が拡大する。この通り、本実施の形態では、結像面60と立体視用光学系40との間に拡散板80を配置することで、結像面60に結像される第2の視差画像62の各画素からの光を拡散させる。縮小光学系30のF値が大きくても、視域が拡大する。
【0101】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。
図11は本発明の第4の実施の形態に係る立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。図11に示すように、第4の実施の形態に係る立体表示装置10Bは、互いに隣接する組70の間に、遮光部材90を配置した以外は、第1の実施の形態に係る立体表示装置と同じ構成である。このため同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0102】
上述した通り、立体表示装置10Bは、等間隔で放射線状に配置された複数の組70を有している。互いに隣接する組70の間には、光を遮断する遮光部材90が各々配置されている。遮光部材90は、互いに隣接する組70間で光を遮断するように、結像面60よりも表示部20側に配置されている。例えば、遮光部材90は、光軸方向においては、表示面24から結像面60まで遮光するように配置されている。なお、遮光部材90は、表示面24及び結像面60の各々とは交差しないように配置されている。
【0103】
本実施の形態では、遮光部材90により互いに隣接する組70間で光が遮断され、組間でのクロストークが低減される。
【0104】
<その他の変形例>
次に、その他の変形例について説明する。
【0105】
(縮小光学系と立体視用光学系の一体化)
上記の実施の形態では、縮小光学系と立体視用光学系とを別々の部材として構成する例について説明したが、縮小光学系と立体視用光学系とを一体化された1つの光学部材として構成してもよい。図12は縮小光学系と立体視用光学系とが一体化された変形例を示す断面図である。図12に示すように、この変形例では、縮小光学系部30Aと立体視用光学系部40Aとが一体化された光学部材100が用いられる。
【0106】
結像面60は、光学部材100内に位置することになる。光学部材100は、平面状の結像面60に沿った平板状とされる。図1に示す立体表示装置10、図6に示す立体表示装置10C、図10に示す立体表示装置10A、図11に示す立体表示装置10Bの各々において、縮小光学系30と立体視用光学系40とを配置する代わりに、光学部材100が配置される。
【0107】
光学部材100は、例えば、縮小光学系30として用いられるシート状のレンチキュラーレンズと、立体視用光学系40として用いられるシート状のレンチキュラーレンズとを、貼り合わせて作製してもよい。シート状のレンチキュラーレンズは、凸部が形成される一方の側が「表面」であり、他方の側が「裏面」である。2種類のシート状のレンチキュラーレンズは、互いの凸部が外側を向くように、裏面同士が接着される。また、光学部材100は、射出成型等により一体成型してもよい。
【0108】
(表示面及び結像面の湾曲方向)
上記の実施の形態及び変形例では、表示面24及び結像面60の各々が視差画像の複数の画像片が並ぶ第1の方向(横方向)に湾曲している例について説明したが、これに限定される訳ではない。結像面60に結像される第2の視差画像62の解像度が、表示面24に表示される第1の視差画像22の解像度よりも高くなればよい。例えば、表示面24及び結像面60の各々を第1の方向と交差する第2の方向(縦方向)に湾曲させてもよい。この場合は、縮小光学系30の複数の光学素子32も縦方向に沿って配列される。
【0109】
或いは、表示面24及び結像面60の各々を、横方向及び縦方向の両方に湾曲させてもよい。横方向及び縦方向の両方において、第2の視差画像62の解像度が向上する。即ち、両方向に多視点化が図られる。この場合、表示面24及び結像面60の各々は球面となる。また、縮小光学系30の複数の光学素子32は、横方向及び縦方向に沿って二次元状に配列される。複数の光学素子32が二次元状に配列された縮小光学系30としては、フライアイレンズ等のレンズアレイが用いられる。レンズアレイとしては、セルフォックレンズ等のロッドレンズを束ねたレンズアレイを用いてもよい。
【0110】
(平面状の表示面)
上記の実施の形態及び変形例では、表示面24が湾曲している例について説明したが、上述した通り、表示面24を平面状としてもよい。図13は平面状の表示面を備える立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。図13に示すように、表示部20は平面状の表示面24を備えている。また、縮小光学系30を構成する複数の光学素子32の各主面36は、同じ平面上にある。
【0111】
表示面24には、短冊状の複数の部分画像26に区分された第1の視差画像22が表示される。短冊状の複数の部分画像26は、横方向に並べられている。複数の部分画像26の各々は、対応する複数の光学素子32により縮小結像される。平面状の結像面60には、複数の部分画像26に対応して、複数の縮小部分画像64が同じ解像度で結像される。これにより、結像面60には、第2の視差画像62が表示される。
【0112】
この例では、表示面24から光学素子32の主面36までの「距離s」及び光学素子32の主面36から結像面60までの「距離s」の各々は一定である。従って、下記式(A)に示すように、結像倍率Mも一定となる。なお、「距離s」は、図8の「距離s」に相当する。ここで、「H」は部分画像26の横方向の幅を表し、「h」は縮小部分画像64の横方向の幅を表す。
【0113】
【数8】

【0114】
下記式(B)で表される結像式に基づいて、上記結像倍率Mが得られるように、光学素子32の焦点距離fを求める。
【0115】
【数9】

【0116】
このとき、隣接する光学素子32間の「間隔d」は、結像面60から曲率中心50までの距離を「u」として、下記式(C)で与えられる。
【0117】
【数10】

【0118】
以上の通り、表示面24を平面状としてもよい。表示面24を平面状とすることで、表示部20が平板状に形成される。例えば、表示部20を画像が印刷されたシート状の画像保持部材とする場合には、画像保持部材を湾曲させなくて済む。なお、第4の実施の形態と同様に、クロストークを低減するために、互いに隣接する組70の間に遮光部材90を配置してもよい。
【0119】
(階段状の表示面)
また、表示面24を階段状としてもよい。図14は階段状の表示面を備える立体表示装置の構成の一例を示す断面図である。図14に示すように、表示部20は階段状の表示面24を備えている。また、縮小光学系30を構成する複数の光学素子32の各主面36は、結像面60に略平行とされている。
【0120】
表示面24には、短冊状の複数の部分画像26に区分された第1の視差画像22が表示される。短冊状の複数の部分画像26は、階段状の表示面24の各踊り場に割り当てられて、横方向に並べられている。複数の部分画像26の各々は、対応する複数の光学素子32により縮小結像される。平面状の結像面60には、複数の部分画像26に対応して、複数の縮小部分画像64が同じ解像度で結像される。これにより、結像面60には、第2の視差画像62が表示される。
【0121】
この例では、表示面24と結像面60との距離tは外側ほど大きくなるので、表示面24から光学素子32の主面36までの「距離s」及び光学素子32の主面36から結像面60までの「距離s」の各々が変化する。段差を「Δs」とすると、隣接する組間での「距離s及び距離s」と「距離s´及び距離s´」との関係は、下記式(D)で表される。
【0122】
【数11】

【0123】
従って、下記式(E)に示すように、「距離s」と「距離s」との比を一定とすることで、結像倍率Mも一定となる。
【0124】
【数12】

【0125】
表示面24と結像面60との距離t(=s+s)が変化しても、下記式(F)で表される結像式に基づいて、上記結像倍率Mが得られるように、光学素子32の焦点距離f´を求める。
【0126】
【数13】

【0127】
このとき、隣接する光学素子32間の「間隔d」は、結像面60から曲率中心50までの距離を「u」として、下記式(G)で与えられる。
【0128】
【数14】

【0129】
上記の例では、表示面24を階段状とすることで、表示面24を平面状とした場合と比較すると、表示面24、ひいては表示部20の横方向のサイズが小さくなる。なお、縮小部分画像64の横方向の「幅h」を一定とすると、部分画像26の横方向の「幅H」は、外側ほど狭くなる。また、第4の実施の形態と同様に、クロストークを低減するために、互いに隣接する組70の間に遮光部材90を配置してもよい。
【0130】
なお、図14に示す例において、複数の部分画像26の解像度を外側ほど高くしてもよい。部分画像26の解像度を外側ほど高くすることで、縮小光学系30を構成する複数の光学素子32は、各主面36が同じ平面上に配置されるようになる。
【0131】
また、上記各実施形態で説明した立体表示装置の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0132】
1 右眼用画像
1A〜1F 画像片
2 左眼用画像
2A〜2F 画像片
3 視差画像
4 レンチキュラーレンズ
4A〜4F 凸部
5 右側視点
6 左側視点
7 視差バリア
7A〜7F 開口部
10 立体表示装置
10A 立体表示装置
10B 立体表示装置
20 表示部
22 視差画像
24 表示面
26 部分画像
30 縮小光学系
32 光学素子
34 レンズアレイ
36 主面
40 立体視用光学系
50 曲率中心
52 視点
60 結像面
62 視差画像
64 縮小部分画像
70 組
80 拡散板
90 遮光部材
100 光学部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に第1の視差画像を表示する表示部と、
複数の光学素子を有し、前記第1の視差画像を前記複数の光学素子に対応する部分画像毎に縮小して、前記表示面より面積が小さい平面状の結像面に第2の視差画像を結像する縮小光学系と、
前記結像面と視点との間に配置され、前記第2の視差画像が立体視されるように機能する立体視用光学系と、
を備えた立体表示装置。
【請求項2】
前記縮小光学系は、前記複数の部分画像の各々に対応する複数の縮小部分画像が、前記結像面に隙間なく配列されるように第2の視差画像を結像する、請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記表示面が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向の少なくとも一方に予め定めた曲率で湾曲した表示面であり、
前記縮小光学系を構成する前記複数の光学素子が前記表示面の湾曲方向に配列された、
請求項1または2に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記部分画像、当該部分画像に対応する光学素子、及び当該部分画像に対応する縮小部分画像を1つの組として、複数の組が前記曲率中心を基点として等間隔で放射線状に配置される、請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記複数の組において、前記結像面に配列される各組の縮小部分画像の解像度が等しくなるように、各組の光学素子の焦点距離が設定された、請求項4に記載の立体表示装置。
【請求項6】
前記複数の組において、前記結像面に配列される各組の縮小部分画像の解像度が等しくなるように、各組の光学素子が予め定めた位置に配置された、請求項4に記載の立体表示装置。
【請求項7】
前記結像面と前記立体視用光学系との間に配置され、入射した光を拡散させる拡散板を更に備えた、請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項8】
前記互いに隣接する組間で且つ前記結像面よりも表示部側に配置され、前記互いに隣接する組間で光を遮断する遮光部材が配置される、請求項4から請求項7までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項9】
前記立体視用光学系は、レンズアレイ方式またはパララックスバリア方式により、前記第2の視差画像が立体視されるように機能する、請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項10】
前記第1の視差画像が、3個以上の視点数に応じて複数の画像が合成された合成画像である、請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項11】
前記第1の方向と前記第2の方向とが直交し、前記表示部が前記第1の方向及び前記第2の方向に湾曲した表示面を有する、請求項3から請求項10までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項12】
前記縮小光学系が、複数の凸部を有するレンチキュラーレンズである、請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項13】
前記立体視用光学系がレンズアレイ方式で機能する場合に、前記縮小光学系と前記立体視用光学系とを一体化された光学部材として構成する、請求項12に記載の立体表示装置。
【請求項14】
前記表示部が前記第1の方向及び前記第2の方向に湾曲した表示面を有する場合に、前記縮小光学系を複数の光学素子が前記第1の方向及び前記第2の方向に二次元状に配列されたレンズアレイである、請求項3から請求項13までの何れか1項に記載の立体表示装置。
【請求項15】
前記レンズアレイが、フライアイレンズまたはロッドレンズアレイである、請求項14に記載の立体表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−68683(P2013−68683A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205388(P2011−205388)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】