説明

立体視画像表示装置

【課題】本発明は、画像の劣化を抑えながら3人以上の多人数に同時に立体画像を視認させ得る立体視画像表示装置を提案する。
【解決手段】立体視画像表示装置であって、第1のユーザに第1の立体画像を視認させる当該第1のユーザの左目用画像及び右目用画像を第1のタイミングで表示し、かつ、第2のユーザに第2の立体画像を視認させる当該第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を第2のタイミングで表示する第1の表示部と、第1の表示部に隣接するように配置され、第2のユーザに第2の立体画像を視認させる第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を第2のタイミングで表示し、かつ、第3のユーザに第3の立体画像を視認させる当該第3のユーザの左目用画像及び右目用画像を第3のタイミングで表示する第2の表示部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに立体画像を視認させる立体視画像を表示する立体視画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体視画像表示装置としてCAVE(Cave Automatic Virtual Environment)(登録商標)システムが広く知られている。CAVEシステムは、複数のスクリーンで囲んだ空間にCG画像を立体表示させて、仮想世界を体験することができるバーチャルリアリティシステムである。
【0003】
CAVEシステムは、スクリーンと位置センサを備えた液晶メガネとを有しており、ユーザの右目用及び左目用の画像(立体視画像)を時分割して投影し、投影タイミングに合わせて液晶メガネの電子シャッターの開閉を制御することにより、ユーザの視点に応じて、上空から見下ろした画像や、物体の裏側の画像を歪みなくリアルタイムに立体表示する。
【0004】
例えば、このようなCAVEシステムを利用した立体視画像表示装置として、仮想体画像を観察する観察者の所定の身体部位における実空間上の位置を検出し、その空間座標を出力する位置検出手段と、位置検出手段の出力した空間座標に基づいて、仮想体画像を観察者に認識させる位置を決定する表示位置決定手段とを備える立体視画像表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3952319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のCAVEシステムを利用した立体視画像表示装置は、2人同時に遊戯することができるものではあるが、CAVEシステム自体の仕組みからして、多人数向けの運用が難しいという課題がある。すなわち、CAVEシステムは、多人数向けに実現しようとした場合、立体視画像のフレームレートが落ちるため、滑らかな画像を表示してユーザに立体画像を視認させることができないことから、当該システムを利用した立体視画像表示装置は多人数向けの画像を同時かつ滑らかに表示することに不向きである。
【0007】
例えば、CAVEシステムは、通常、120フレーム/秒で画像表示を行っており、右目用及び左目用の画像を表示する場合、1人用では60フレーム/秒、2人用では30フレーム/秒で画像を表示してユーザに立体画像を視認させる。しかしながら、CAVEシステムは、3人用では20フレーム/秒で画像を表示し、4人用では15フレーム/秒で画像を表示することとなるため、同時に使用する人数が増えるほど滑らかな画像を表示してユーザに立体画像を視認させることが困難になるという問題がある。一方、CAVEシステムは、現状では120フレーム/秒よりも画像のフレームレートを上げることが困難である。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、画像の劣化を抑えながら3人以上の多人数に同時に立体画像を視認させ得る立体視画像表示装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために本発明は、ユーザの左目の視点に対応する左目用画像及び右目の視点に対応する右目用画像を所定の表示部に表示し、前記左目用画像、前記右目用画像の表示タイミングと同期してユーザが装着した電子メガネの電子シャッターの開閉を制御することにより、当該ユーザに立体画像を視認させる立体視画像表示装置であって、第1のユーザに第1の立体画像を視認させる当該第1のユーザの左目用画像及び右目用画像を第1のタイミングで表示し、かつ、第2のユーザに第2の立体画像を視認させる当該第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を第2のタイミングで表示する第1の表示部と、第1の表示部に隣接するように配置され、第2のユーザに第2の立体画像を視認させる第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を第2のタイミングで表示し、かつ、第3のユーザに第3の立体画像を視認させる当該第3のユーザの左目用画像及び右目用画像を第3のタイミングで表示する第2の表示部とを備えることを特徴としている。
【0010】
このような立体視画像表示装置においては、第1の表示部が、第1のユーザが第1の立体画像を視認し、第2のユーザが第2の立体画像を視認するための共通可視領域となり、第2の表示部が、第2のユーザが第2の立体画像を視認し、第3のユーザが第3の立体画像を視認するための共通可視領域となるため、3人あるいはこれを超える数のユーザに対して同時に立体画像を視認させることが可能である。しかも、このように各表示部が共通可視領域となるため、装置の設置等の関係により各表示部の大きさを十分に確保できない場合であっても、ユーザ1人に対して充分なスクリーンの大きさを確保しつつ、装置自体を小型化することができる。またこれに加えて、各表示部が隣り合う2人のユーザとの共通可視領域となるため、各ユーザは自身を含めて3人で遊戯を行っている感覚を得ることができるため、少なくとも隣り合う2人のユーザとの一体感を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像の劣化を抑えながら3人以上の多人数に同時に立体画像を視認させ得る立体視画像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における立体視画像表示装置の斜視図である。
【図2】立体視画像表示装置の平面図である。
【図3】壁体をIII―III線で切断したときの立体視画像表示装置の側面図である。
【図4】プロジェクタからスクリーンへの投影の説明に供する概念図である。
【図5】シートの斜視図である。
【図6】ユーザの可視範囲の説明に供する概念図である。
【図7】ユーザの可視範囲の説明に供する概念図である。
【図8】ユーザの共通可視領域の説明に供する概念図である。
【図9】制御装置のブロック図である。
【図10】画像表示処理及び衝突判定処理手順を説明するフローチャートである。
【図11】シャッタータイミング制御処理の説明に供する概念図である。
【図12】立体視画像表示装置の説明に供する概念図である。
【図13】画像表示タイミングの説明に供する概念図である。
【図14】他実施形態の立体視画像表示装置の説明に供する概念図である。
【図15】他実施形態の立体視画像表示装置の説明に供する概念図である。
【図16】他実施形態の立体視画像表示装置の説明に供する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本発明にかかる立体視画像表示装置は、ユーザの左目の視点に対応する左目用画像及び右目の視点に対応する右目用画像(立体視画像)を表示部に表示し、左目用画像、右目用画像の表示タイミングと同期してユーザが装着した電子メガネの電子シャッターの開閉を制御することにより当該ユーザに立体画像を視認させるように構成された、CAVEシステムを利用した装置である。
【0015】
本実施形態における立体視画像表示装置1は、第1のユーザの左目用画像及び右目用画像を第1のタイミングで表示し、かつ、第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を第2のタイミングで表示する第1の表示部と、第1の表示部に隣接するように配置され、第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を第2のタイミングで表示し、かつ、第3のユーザの左目用画像及び右目用画像を第3のタイミングで表示する第2の表示部とを備えた装置として構成されている。
【0016】
以下では、複数のシートを各ユーザが外側を向いた状態で着座するように周状に配置すると共に、これら周状に配置されたシートの外側に複数のスクリーンを環状の壁体の内側に配置した構造の立体視画像表示装置を例示して説明する。
【0017】
図1は、立体視画像表示装置1の斜視図を示している。立体視画像表示装置1の躯体は、環状の壁体2で構成されている。また、環状の壁体2の所定位置には、立体視画像表示装置1の内部と外部との間でユーザが行き来できるようにする出入り口3が配置されている。なお、このような環状の壁体2にさらに天井を設けてもよいが、本実施形態では環状の壁体2のみによって天井のない装置を構成している。
【0018】
図2は、立体視画像表示装置1の平面図を示している。図3は、壁体2をIII―III線で切断したときの立体視画像表示装置1の側面図を示している。立体視画像表示装置1を構成するスクリーン11やシート12の数は特に限定されるものではないが、例えば本実施形態では図2に示すように10個のシート12を等間隔で周状に配置し、一度に最大10人のユーザが同時に後述する所定の遊戯を行うことを可能としている。
【0019】
立体視画像表示装置1の躯体を構成している環状の壁体2の具体的な形状は特に限定されないが、当該壁体2の内壁に同じ形状及び同じ大きさの複数のスクリーン11を配置するのであれば、いずれのシート12からみても同様の形状及び大きさの内壁となるように形成されていることが好ましい。本実施形態では、10個のシート12に対応させて、平面視において略正十角形となるような内壁面を有する環状の壁体2を形成している。
【0020】
スクリーン11は、プロジェクタ13によって投影される画像を写し出すための所定形状の投影面を有する。スクリーン11は、幕などでもよいが、本実施形態では上述したように平面視において略正十角形となるような内壁面を有する壁体2の当該各内壁面を投影面としている。また、スクリーン11は、単一の平面のみで構成されていてもよいが、ユーザが視認する画像に奥行きを持たせる観点からすれば複数の投影面を有していることが好ましく、具体的には、湾曲形状となるように組み合わされた複数の平面や、湾曲した球面などで構成されていることが好ましい。本実施形態では、所定の傾斜を持った上側投影面11H及び下側投影面11L2つの平面を組み合わせ、中央付近ほど奥行きのあるスクリーン11を形成している。なお、出入り口3の位置に対応するスクリーン11は、スライドして開閉することが可能となっている。
【0021】
また、スクリーン11は、各ユーザが隣接する複数(例えば2つ)のスクリーン11の画像を同時に視認することができるように配置されている。例えば本実施形態の立体視画像表示装置1においては、平面視において略正十角形となるような内壁面を有する壁体2の各頂点と、略正十角形状の内壁面の中心点を結んだ直線状の位置にシート12が配置されている。また、シート12は、当該シート12に着座するユーザが見ることになる隣接する2つのスクリーン11同士の境目が、着座したときの各ユーザの正面となる向きに設置されている(図2参照)。また、隣接する2つのスクリーン11は、シート12に着座したユーザの視界に入る状態で、当該隣接する2つのスクリーン11が当該ユーザから見て左右対象となるような位置に配置されている。なお、隣り合うスクリーン11同士が物理的に連続した状態になっていなくても、ユーザにとって視認可能な画像を投影することが可能な状態で連なるように配置されていれば、スクリーン11を隣接するように配置した態様として問題はない。
【0022】
プロジェクタ13は、スクリーン11に画像を投影するための投影装置である。本実施形態では、プロジェクタ13は、スクリーン11の上側投影面11Hに画像を投影するための上側投影プロジェクタ13H及びスクリーン11の下側投影面11Lに画像を投影するための下側投影プロジェクタ13Lに大別される。
【0023】
上側投影プロジェクタ13Hは、当該上側投影プロジェクタ13Hのレンズが壁体2の外側を向いた状態で周状に配置されており、当該上側投影プロジェクタ13Hのレンズがスクリーン11の上側投影面11Hの正面となるように、上側投影面11Hの傾斜に合わせて配置されている。また、上側投影プロジェクタ13Hは、図4に示すように、スクリーン11の上側投影面11Hに画像を投影する。
【0024】
下側投影プロジェクタ13Lは、当該下側投影プロジェクタ13Lのレンズが壁体2の内側を向いた状態で周状に配置されており、当該下側投影プロジェクタ13Lのレンズがスクリーン11の下側投影面11Lの背面となるように配置されている。また、上側投影プロジェクタ13Hは、図4に示すように、反射ミラー14を用いることにより、下側投影面11Lに画像を投影する。
【0025】
図5は、シート12の斜視図を示している。シート12は、背もたれ部分についてユーザが後ろに倒れる方向に所定の傾斜を持って配置されており、着座部分が背もたれ部分と略垂直となるように構成されている。また、シート12は、当該シート12に着座したユーザに対するヘッドレストを有しており、当該ヘッドレストにおいてユーザの頭部を保持する位置の左右の所定位置に、ユーザの視野を制限するために例えばユーザの頭部の大きさよりもやや大きな形状に構成された視野制限部15が配置されている。このように、シート12は、背もたれ部分に所定の傾斜を持たせ、着座部分を背もたれ部分と略垂直に構成することにより、ユーザの着座時に当該ユーザの背中が背もたれ部分に密着しやすくなるため、ユーザが簡単に身体を起こして2つ隣のスクリーン11を覗き込むのを有効に防止し、視野制限部15によって適切にユーザの視野を制限することができる。
【0026】
図6及び図7は、ユーザの可視範囲についての説明図である。この場合、領域R1は、ユーザの注視領域を示しており、領域R2は、ユーザの誘導視野を示している。なお、誘導視野とは、ユーザに見せる画像範囲を広げていくと平衡感覚などに影響を与え、没入感をより与えることができるが、その効果が飽和する範囲のことをいう。
【0027】
立体視画像表示装置1では、図6に示すように、シート12に着座したユーザが正面を向いている場合には、当該ユーザの左側のスクリーン11及び右側のスクリーン11の2つのスクリーン11により、注視領域である領域R1だけでなく、誘導視野である領域R2についてもユーザの可視範囲内にすることができる。
【0028】
一方、立体視画像表示装置1では、図7に示すように、例えばユーザが正面ではなく当該ユーザの左側のスクリーン11に注視領域の領域R1を移動させるような場合にも、誘導視野の領域R2のうちユーザが上記2つのスクリーン以外のスクリーン11を視認することとなる領域である領域R3を視野制限部15によって制限することにより、ユーザに対象外のスクリーン11を視認させないようにすることができ、ユーザに対して高い没入感を与えることができる。
【0029】
なお、立体視画像表示装置1では、視野制限部15によってユーザの誘導視野の領域R2を制限した場合であっても、注視領域である領域R1であればユーザは左右40度ずつ見回すことができるため、ユーザにとって充分な見回し量が確保されている。
【0030】
図8は、立体視画像表示装置1における複数のユーザの共通可視領域についての説明に供する平面図である。本実施形態では各スクリーン11を隣り合う2人のユーザの共通可視領域としている。この場合、例えば所定のユーザである第1のユーザは、所定のシート12に着座していると共に、第2のユーザは第1のユーザの右隣のシート12に着座し、第3のユーザは第2のユーザの右隣のシート12に着座している。
【0031】
本実施形態では、第1のユーザは、当該第1のユーザの左側のスクリーン11及び第1のスクリーン(第1のユーザの右側のスクリーン11)に投影された第1のユーザの画像に基づく立体画像を視認しながら後述する所定の遊戯を行う。同様に、第2のユーザは、第1のスクリーン(第2のユーザの左側のスクリーン11)及び第2のスクリーン(第2のユーザの右側のスクリーン11)に投影された第2のユーザの画像に基づく立体画像を視認しながら後述する所定の遊戯を行い、第3のユーザは、第2のスクリーン(第3のユーザの左側のスクリーン11)及び第3のユーザの右側のスクリーン11に投影された第3のユーザの画像に基づく立体画像を視認しながら後述する所定の遊戯を行う。
【0032】
すなわち、第1のスクリーンは、第1のユーザ及び第2のユーザが共通して立体画像を視認するための共通可視領域となる。また、第2のスクリーンは、第2のユーザ及び第3のユーザの共通可視領域となる。同様に、各スクリーン11は、ユーザ2人に対する共通可視領域となる。
【0033】
このように、本実施形態の立体視画像表示装置1では、第1のユーザ及び第2のユーザの共通可視領域となる第1のスクリーン、並びに第2のユーザ及び第3のユーザの共通可視領域となる第2のスクリーンを有することにより、このように各スクリーンが共通可視領域となるため、装置の設置等の関係により各スクリーンの大きさを十分に確保できない場合であっても、ユーザ1人に対して充分なスクリーンの大きさを確保することができるため、装置自体を小型化することができる。
【0034】
また、同様に、本実施形態のスクリーン11は、すべてのスクリーン11が隣り合う2人のユーザの共通可視領域となる。従って、本実施形態の立体視画像表示装置1では、第1のスクリーンから、第10のユーザ及び第1のユーザが共通して立体画像を視認するための共通可視領域となる第10のスクリーンの合計10個のスクリーンを有し、かつ、共通可視領域となるスクリーン11が周回するように配置されている。
【0035】
ここで、本実施形態に記載の技術を上位化すると、本実施形態の立体視画像表示装置1では、第1のスクリーン及び第2のスクリーンを含み、第(n−1)(但し、nは3以上の整数)のスクリーンに隣接して配置され、第nのユーザに第nの立体画像を視認させる当該第nのユーザの左目用画像及び右目用画像を第nのタイミングで表示し、かつ、第1のユーザに第1の立体画像を視認させる当該第1のユーザの左目用画像及び右目用画像を第1のタイミングで表示する第nのスクリーンを有しており、第1のスクリーンから第nのスクリーンの合計n個のスクリーンを有し、第1から第nのスクリーンは、周回するように配置されていることとなる。
【0036】
これにより、立体視画像表示装置1では、隣り合う2人のユーザの可視領域を共通させることから、各ユーザは自身を含めて3人で遊戯を行っている感覚を得ることができるため、隣り合う2人のユーザとの一体感を高めることができる。また、立体視画像表示装置1では隣り合う2人のユーザの可視領域を共通させると共に、ユーザを周状に配置させることから、画像の劣化を伴わずにユーザ全体の一体感を高めることができると共に、装置内のユーザ全体に対して高い没入感を与えることができる。
【0037】
次に、立体視画像表示装置1の制御について説明する。立体視画像表示装置1には、当該立体視画像表示装置1全体を制御する制御装置14が配置されている。
【0038】
制御装置14は、プロジェクタ13を制御して、スクリーン11に立体視画像を投影する。ここで、「立体視画像」とは、2次元画像であって、垂直同期期間ごとに右目用と左目用の画像が交互に表示されるような画像のことをいう。制御装置14は、液晶シャッター付き眼鏡GL(後述)を制御すると共に、この立体視画像を垂直同期期間ごとに切り換えてユーザの左右の目に交互に提示すれば、ユーザに、右目で右目用の画像を、左目で左目用の画像を視認させることができる。
【0039】
図9は、制御装置14の構成を示している。制御装置14は、位置情報送受信部21、画像処理部22、画像出力部23、赤外線通信部24、音声処理部25及び音声出力部26を備えて構成されている。
【0040】
各ユーザは、センサが内蔵され、当該センサの検出信号をデジタル信号として送信する第1〜第3の通信器(図示せず)を装着する。例えば、各ユーザは、第1の通信器が内蔵された液晶シャッター付き眼鏡GLを頭部に(図5参照)、第2及び第3の通信器を両腕に装着する。第1〜第3の通信器は、各通信器の6自由度(前後、左右、上下、ロール、ピッチ、ヨーの6種類の動き)を特定するための検出信号を出力するものであればどのような構成でもよい。
【0041】
本実施形態の立体視画像表示装置1では、各センサが複数のコイルにより構成され、電磁界の強さに応じた検出信号を出力するものである場合を例に説明する。各センサは、基準磁界アンテナが発生した磁界を検出し、検出した磁界の強さに対応した電流に変換することになる。第1〜第3の通信器は、当該電流の大きさを磁界の強さを示すパラメータとしてデジタル信号に変換した後に、位置情報送受信部21に送信する。各センサが検出した電流は微弱でありノイズの影響を受け易いので、第1〜第3の通信器は、検出直後に検出信号をデジタル信号に変換することにより、正しい検出値のまま位置情報受信部21に供給することができる。送信する周波数や変調方式に制限はないが、第1〜第3の通信器は、各センサの検出信号が互いに競合しないように、通信周波数を異ならせる等の措置を行う。
【0042】
なお、各ユーザの装着する液晶シャッター付き眼鏡GLの第1の通信器のみで、各ユーザの視点の位置や向きを検出することが可能である。他の第2及び第3の通信器は、後述する衝突判定のために、ユーザの姿勢や身体の各部の位置を把握するために必要となる。
【0043】
位置情報送受信部21は、基準磁界アンテナに基準磁界を発生させる基準磁界発生器、各第1〜第3の通信器から送信されるデジタル信号をアンテナを介して受信する受信機、受信機からのデジタル信号を蓄積するシリアルバッファなどを備えて構成されている。
【0044】
基準磁界発生器は、画像処理部22の制御により一定の電流値を有する信号、例えば、所定の周期でパルスが出力されるような信号を出力する。基準磁界アンテナは、各辺が一定の長さの電線を、例えば、方形状のフレームに整形したものである。隣接する各辺は互いに直角に交わるため、この基準磁界アンテナから一定距離以上離れた場合に検出される磁界の強さは、当該基準磁界アンテナからの相対的な距離と相関関係を有することになる。基準磁界発生器は、当該基準磁界アンテナに一定の電流値を有する信号を流すことにより、一定の強さの基準磁界を発生する。なお、本実施形態では、磁界による距離の検出を行っているが、電界に基づく距離の検出、超音波等を用いた距離の検出を行ってもよい。受信機は、第1〜第3の通信器から送信されたデジタル信号をシリアルデータとしてシリアルバッファに転送する。シリアルバッファは、受信機から転送されたシリアルデータを格納する。
【0045】
画像処理部22は、画像処理の主要な演算動作を、超高速で、かつリアルタイムに行い、立体視画像のための画素単位の演算を行って、画像データを生成する。画像処理部22は、各スクリーン11について、1秒当たり120フレームの画像データを生成して画像処理を行う。本実施形態では、各スクリーン11について、2人のユーザの共通可視領域となり、垂直同期期間をさらに短くして画像を表示するため、基本となる同期信号の周波数が、通常のテレビジョン方式の周波数より高い、垂直同期周波数を120[Hz]として設定されている。これにより、本実施形態では、2人のユーザの左右の目の画像表示期間を設けたとしても、片方の目に30[Hz]の周期で画像が表示されるので、チラツキやフリッカを防止した高い画質を維持することができる。画像処理部22は、生成した画像データを画像出力部23を介して対応するプロジェクタ13に送信する。
【0046】
各プロジェクタ13は、画像出力部23から供給される画像データのうちある1人のユーザの左目の画像データ、当該ユーザの右目の画像データ、別のユーザ(例えば右隣のユーザ)の左目の画像データ及び当該別のユーザの右目の画像データを対応するフレームバッファに格納する。そして、各プロジェクタ13は、フレームバッファに蓄積された画像データを適切な順番で対応するスクリーン11に投影する。
【0047】
赤外線通信部24は、画像処理部22から供給される液晶シャッター付き眼鏡GLの開閉信号を所定の周波数で変調し、赤外線ダイオードなどを発光させる。各ユーザの装着する液晶シャッター付き眼鏡GLは、赤外線により変調された開閉信号をフォトセンサなどの受光素子により検出し、元の開閉信号に復調する。開閉信号は右目の開放期間と左目の開放期間とを指示するタイミングに関する情報を含むので、液晶シャッター付き眼鏡GLは、当該情報のタイミングに同期させて液晶シャッターの開閉を行う。なお、赤外線通信は、通常のリモートコントローラに準じた構成にすればよい。また、通信方法は赤外線通信によらず、正確な左右の開閉タイミングを指示できるものであれば、他の通信方法を用いてもよい。
【0048】
音声処理部25は、各プロジェクタに投影される画像に合わせて音声を出力するために、所定の音声処理を行って音声データを生成する。そして、音声処理部25は、生成した音声データを音声出力部26に送信する。音声出力部26は、所定の変換処理を行って、各プロジェクタに投影される画像に合わせてスピーカやユーザが装着するヘッドフォンから音声を出力する。
【0049】
なお、制御装置14の各構成要素は、図示の位置以外の種々の位置に配置することができる。例えば、位置情報送受信部11は、第1〜第3の通信器からのデジタル信号を受信しやすいように、立体視画像表示装置1の種々の位置に複数配置するようにしても良い。
【0050】
次に、制御装置14の画像表示処理及び衝突判定処理を、図10のフローチャートに沿って説明する。なお、制御装置14は、1つのスクリーン11、1つのプロジェクタ13及び当該スクリーン11を共通可視領域とする2人のユーザを1組として、当該組ごとに図10のフローチャートを実行する。制御装置14は、このような組ごとに制御することにより、画像表示処理及び衝突判定処理の制御を簡易にすることができる。本実施形態では、制御装置14は、画像表示処理及び衝突判定処理を用いて、例えばユーザが武器を持って恐竜と戦うような所定のゲームをユーザに遊戯させる。
【0051】
前提として、制御装置14は、ゲームプレイ用のゲームプログラムを大容量メモリから読み出して実行し、当該ゲームプログラム及び当該ゲームプログラムに対応した原画像データを随時読み出して使用するものとする。ユーザは、出入口3を介して立体視画像表示装置1の内部に入り、シート12に着座する。ユーザが入ったことを確認して出入口3を閉じられると、制御装置14は、ゲームプログラムを実行する。
【0052】
まず、画像処理部22は、ユーザの人数をカウントするカウンタを初期値(n←1)にセットする(ステップS1)。位置情報送受信部11は、各ユーザが立体視画像表示装置1の内部で遊戯を行うのに対応して、各ユーザの第1〜第3の通信器からデジタル信号が入力されると、シリアルバッファに順次格納する。
【0053】
続いて、画像処理部22は、2人のユーザのうち所定のユーザを選択し、位置情報送受信部11の当該ユーザのためのシリアルバッファからデジタル信号を読み出す(ステップS2)。このとき、画像処理部22は、液晶シャッター付き眼鏡GLの第1の通信器からのデジタル信号を視点検出のための検出信号として認識する。また、画像処理部22は、第2及び第3の通信器からデジタル信号を、後の衝突判定(ステップS6)のために保持する。
【0054】
続いて、画像処理部22は、第1の通信器からのデジタル信号に基づいて、選択したユーザ(以下、選択ユーザと呼ぶ。)の視点及び視線を計算する(ステップS3)。画像処理部22は、例えば立体視画像表示装置1の形状の重心の位置及び第1の通信器からのデジタル信号にオフセット値の加減算を行うことによって、重心からの相対座標を算出し、その後、視点となる点と対応するスクリーンとの距離及び対応するスクリーンに投射した場合の座標を算出する。また、画像処理部22は、例えば、プレーヤの視線の方向を、液晶シャッター付き眼鏡GLの第1の通信器の位置センサや角度センサから送信されるデジタル信号に基づいて、基準磁界に対する位置情報及び角度情報を演算することにより算出する。
【0055】
画像処理部22は、選択ユーザの視点及び視線の情報に基づいて、グラフィックライブラリを参照しつつ、原画像データの各ピクセルに対して選択ユーザの視点及び視線に対応するように、座標を変換する演算を施す。なお、画像処理部22は、後述するように、左目用の画像から右目用の画像への順番で演算を行う。
【0056】
そして、画像処理部22は、画像出力部23を介して対応するプロジェクタ13によって、選択ユーザの視点及び視線の情報に基づいて座標を変換した立体視画像をリアルタイムに対応するスクリーン11に投影させる。例えば、画像処理部22は、ユーザの攻撃対象物体であるキャラクタとして恐竜を表示する場合、上述したCAVEシステムの技術を適用してマトリクス演算を施すことにより、所定の空間位置に恐竜の立体画像をユーザに視認させるように立体視画像を生成する。
【0057】
また、画像処理部22は、ユーザの手に装着した第2及び第3の通信器からのデジタル信号に基づいて、例えば、同様に上述したCAVEシステムの技術を適用してマトリクス演算を施すことにより、選択ユーザの視点からみて右手の位置に武器の立体画像が存在するように立体視画像を生成する。この結果、選択ユーザは、自らの右手に、実際には存在しない武器の存在を視認することができる。
【0058】
続いて、画像処理部22は、例えば、恐竜の立体画像の所定の位置の座標を中心とする衝突判定のための第1の衝突領域を設定する(ステップS4)。続いて、画像処理部22は、例えば、武器の立体画像の所定の位置の座標を中心とする衝突判定のための第2の衝突領域を設定する(ステップS5)。なお、第1及び第2の衝突領域は演算のための概念であって、画像処理部22は、第1及び第2の衝突領域をユーザが視認することができるように表示するわけではない。また、第1の衝突領域は衝突判定を簡単に演算するためのものであり、画像処理部22は、攻撃対象物体である立体画像の大きさに従って、当該像の形状をほぼ覆うようにして第1の衝突領域を設定する。
【0059】
続いて、画像処理部22は、第1及び第2の衝突領域を特定するためのパラメータとして、第1及び第2の衝突領域の半径r1、r2と中心座標o1、o2とを認識する。続いて、画像処理部22は、第1の衝突領域の中心座標o1から第2の衝突領域の中心座標o2までの距離dを認識して、当該距離dと第1の衝突領域の半径r1及び第2の衝突領域の半径r2の和とを比較する。そして、画像処理部22は、当該比較結果に基づいて、第1の衝突領域及び第2の衝突領域が衝突したか否かを判定する、すなわち、恐竜の立体画像と武器の立体画像とが衝突したか否かを判定する(ステップS7)。
【0060】
なお、画像処理部22は、恐竜の立体画像と武器の立体画像とが衝突したか否かを判定するのみならず、例えば、光線銃の立体画像から発せられるレーザビームと恐竜の立体画像とが衝突したか否かについても判定することができ、ユーザと恐竜の立体画像とが衝突したか否かについても判定することができる。また、立体視画像表示装置1では、画像処理部22により光線銃を立体画像としてユーザに視認させるように立体視画像を生成するようにしても良いが、ユーザに実際の光線銃を右手などに持たせるようにしても良い。画像処理部22は、例えば、実際の光線銃の銃口に第2及び第3の通信器と同様の通信器を備えることにより、武器の立体画像が存在するように立体視画像を生成するのと同様に、実際の光線銃の銃口部分からレーザビームを発射するように立体視画像を生成することができる。また、画像処理部22は、この他種々の立体視画像を生成することができる。
【0061】
続いて、画像処理部22は、距離dが第1の衝突領域の半径r1及び第2の衝突領域の半径r2の和より大きい場合(d>r1+r2)(ステップS7:YES)、すなわち、武器の立体画像が恐竜の立体画像と衝突していないと判定した場合、通常の原画像データを読み出してユーザの視点及び視線の情報に基づいて座標変換処理を行い、通常の左目用の画像を生成し(ステップS8)、通常の右目用の画像を生成する(ステップS9)。一方、画像処理部22は、距離dが第1の衝突領域の半径r1及び第2の衝突領域の半径r2の和以下の場合(d≦r1+r2)(ステップS7:NO)、すなわち、武器の立体画像が恐竜の立体画像と衝突したと判定した場合、通常の原画像データ及び衝突用の画像データを読み出して合成した後にユーザの視点及び視線の情報に基づいて座標変換処理を行い、武器の立体画像が恐竜の立体画像と衝突したときの左目用の画像を生成し(ステップS10)、同様に衝突したときの右目用の画像を生成する(ステップS11)。
【0062】
続いて、画像処理部22は、次のユーザが存在するか否かを判定し(ステップS12)、次のユーザが存在する場合(ステップS12:YES)、ユーザのカウンタをインクリメントし(ステップS13)、ステップS2に戻る。一方、画像処理部22は、次のユーザが存在しない場合(ステップS12:NO)、ユーザのカウンタをリセットし、ステップS2に戻る。
【0063】
なお、画像処理部22は、攻撃対象物体である恐竜、武器、光線銃から発射されるレーザビームの立体視画像を生成したが、原画像データが用意されている限り、この他種々の立体視画像を生成するようにしても良い。例えば、画像処理部22は、プレーヤが乗る乗り物の原画像データが用意されていれば、ユーザが単純に立っている(シートに着座している)だけであるにもかかわらず、ユーザに空間を自由に航行する飛行物体に搭乗しているかのような立体視画像を生成することもでき、ユーザに飛行物体に搭乗しているような立体画像を視認させる。
【0064】
なお、本フローチャートでは画像処理部22による画像処理に関する説明のみを行ったが、音声処理部15が画像の進行に対応してスピーカやユーザが装着するヘッドフォンから音声を出力することは言うまでもない。
【0065】
次に、制御装置14の液晶シャッタータイミング制御処理について、図11を用いて説明する。なお、制御装置14は、各スクリーン11を共通可視領域とする2人のユーザを1組として、当該組ごとにシャッタータイミング制御処理を実行する。
【0066】
まず、スクリーン11に表示される画像の表示期間である画像表示期間は、図11に示すように、ユーザの人数により分割される。本実施形態ではシャッタータイミング制御処理を行うユーザは2人ごとなので、画像表示期間は、2つに分割されてユーザA用の画像表示期間V1とユーザB用の画像表示期間V2とに分けられる。また、画像表示期間は、1人のユーザに対して左目用画像及び右目用画像を表示するため、さらに2つに分割される。すなわち、1つの立体視画像は、ユーザの人数n×2(両眼)のフレーム画像によって構成される。
【0067】
画像処理部22は、1フレームを1単位として、画像出力部23を介して対応するプロジェクタ13に画像データを転送する。画像処理部22は、ユーザ毎に左目から右目の順で画像を転送する。例えば、各プロジェクタ13は、画像出力部23から供給される画像データのうちある1人のユーザAの左目の画像データをフレームバッファの1番目のブロックに、次いで送信される当該ユーザAの右目の画像データをフレームバッファの2番目のブロックに、次いで送信される別のユーザB(例えば右隣のユーザ)の左目の画像データをフレームバッファの3番目のブロックに、次いで送信される当該別のユーザBの右目の画像データをフレームバッファの4番目のブロックに格納する。
【0068】
そして、各プロジェクタ13は、フレームバッファ中のブロック順にフレーム毎に画像データに基づく画像を対応するスクリーン11に投影する。このとき、画像処理部22は、この投影タイミングに同期して、各ユーザの装着する液晶シャッター付き眼鏡GLの液晶シャッターを駆動するための開閉信号を、赤外線通信機24を介して各液晶シャッター付き眼鏡GLに供給する。例えば、ユーザAの液晶シャッター付き眼鏡GLに対しては、フレームバッファの1番目のブロックの画像データに基づく画像が投影されるとき左目が開放状態となり、2番目のブロックの画像データに基づく画像が投影されるとき右目が開放状態となる開放信号を出力する。同様に、ユーザBの液晶シャッター付き眼鏡GLに対しては、フレームバッファの3番目のブロックの画像データに基づく画像が投影されるとき左目が開放状態となり、4番目のブロックの画像データに基づく画像が投影されるとき右目が開放状態となる開放信号を出力する。
【0069】
各ユーザは、スクリーン11に自らの視点に基づく左目用画像が表示されているとき左目のシャッターのみが開いて左目でのみ画像を認識し、右目用画像が表示されているとき右目のシャッターのみが開いて右目でのみ画像を認識する。他のユーザのための画像が表示されているときには、両眼のシャッターとも閉じていることになる。以上の動作により、各ユーザは、各自の視点から完全な仮想現実感を得ることのできる立体画像を視認することになる。
【0070】
また、1つのスクリーン11には、同一の原画像データに基づいて、ユーザの各々について左右の目のための画像を順次切り換えて表示することになる。なお、ユーザが違和感なく動画を観察することができる最も低い周波数を30[Hz]とすると、フレーム画像を転送する同期信号の周波数は、ユーザの人数n×2(両眼)の周波数が必要であるが、本実施形態では、周波数が30[Hz]であるため、ユーザが違和感なく動画を観察することができる。
【0071】
図12は、本実施形態における立体視画像表示装置1の説明に供する概念図である。図13は、各スクリーン11に対応するプロジェクタ13が画像を投影して表示するタイミングの説明に供する概念図である。なお、図12及び図13中のスクリーン11の番号は、スクリーン11を特定するために便宜的に付した番号であり、図12及び図13中の符号は、ユーザを特定するために便宜的に付した符号である。また、各ユーザ及びスクリーン11の間を結ぶ直線(点線)は、各ユーザの上述の誘導視野(図7)を示している。
【0072】
この場合、ユーザBの左側のスクリーン11(番号1)に対応するプロジェクタ13は、t1のタイミングのときにユーザAの左目用画像(AL)、t2のタイミングのときにユーザBの左目用画像(BL)、t3のタイミングのときにユーザAの右目用画像(AR)、t4のタイミングのときにユーザBの右目用画像(BR)をスクリーン11(番号1)に投影し、以下同様のタイミングで同様の画像をスクリーン11(番号1)に投影する。すなわち、スクリーン11(番号1)は、ユーザA及びユーザBの共通可視領域となり、第1のタイミング(t1またはt3)でユーザAの画像が表示され、第2のタイミング(t2またはt4)でユーザBの画像が表示される。
【0073】
なお、このとき、画像処理部22は、t1のタイミングのときにユーザAの左目の液晶シャッターのみ、t2のタイミングのときにユーザBの左目の液晶シャッターのみ、t3のタイミングのときにユーザAの右目の液晶シャッターのみ、t4のタイミングのときにユーザBの右目の液晶シャッターのみを開放し、以下同様のタイミングで対応するユーザの液晶シャッターを開放する。
【0074】
また、ユーザBの右側のスクリーン11(番号2)に対応するプロジェクタ13は、t1のタイミングのときにユーザCの左目用画像(CL)、t2のタイミングのときにユーザBの左目用画像(BL)、t3のタイミングのときにユーザCの右目用画像(CR)、t4のタイミングのときにユーザBの右目用画像(BR)をスクリーン11(番号1)に投影し、以下同様のタイミングで同様の画像をスクリーン11(番号1)に投影する。すなわち、スクリーン11(番号2)は、ユーザB及びユーザCの共通可視領域となり、第1のタイミングでユーザCの画像が表示され、第2のタイミングでユーザBの画像が表示される。
【0075】
なお、このとき、画像処理部22は、t1のタイミングのときにユーザCの左目の液晶シャッターのみ、t2のタイミングのときにユーザBの左目の液晶シャッターのみ、t3のタイミングのときにユーザCの右目の液晶シャッターのみ、t4のタイミングのときにユーザBの右目の液晶シャッターのみを開放し、以下同様のタイミングで対応するユーザの液晶シャッターを開放する。
【0076】
これにより、ユーザBは、ユーザBの左側のスクリーン11(番号1)及び右側のスクリーン11(番号2)にt2、t4、t6、t8……のタイミングで投影される立体視画像に基づいて、滑らかな立体画像を視認することができる。
【0077】
なお、その他のスクリーン11(番号3〜10)についても同様に、隣り合う2人のユーザの共通可視領域であり、その他のユーザA、C〜Jについても同様に、立体画像を視認することができる。
【0078】
このようにして、本実施形態における立体視画像表示装置1では、複数のシート12を各ユーザが外側を向いた状態で着座するように周状に配置されたシート12の外側に壁体2の当該各内壁面を投影面として複数のスクリーン11を配置し、各プロジェクタ13によって対応するスクリーン11に立体視画像を投影する。この際、立体視画像表示装置1では、第1のスクリーンを、第1のユーザ及び第2のユーザが共通して立体画像を視認するための共通可視領域とし、第2のスクリーンを、第2のユーザ及び第3のユーザの共通可視領域とする。
【0079】
従って、立体視画像表示装置1では、ユーザ1人に対して充分なスクリーンの大きさを確保しつつ、装置自体を小型化することができると共に、2人用の高いフレームレートの滑らかな映像を維持しつつ、各ユーザに対し両隣のユーザと自身を含めた3人で遊戯をしているような感覚を提供することができるため、複数のユーザが共同で遊戯を行うことによる一体感と遊戯に対する没入感を高めることができる。
【0080】
また、立体視画像表示装置1では、各プロジェクタ13が2人分の画像表示を分担し、各スクリーン11をユーザ2人に対する共通可視領域とすると共に、立体画像同士、あるいは立体的な画像と実際の物体、ユーザの身体の一部との衝突の有無を判定することにより、ユーザに対するゲームプレイの魅力を倍増させることができ、多人数で遊戯可能であり、かつ、インタラクティブ性の高い3Dアトラクションを実現することができる。
【0081】
さらに、立体視画像表示装置1では、壁体2の各内壁面を投影面とするスクリーン11を複数配置すると共に、複数のシート12を各ユーザが外側を向いた状態で着座するように周状に配置することにより、立体視画像表示装置1を使用するアトラクションの運営にあたって、単位時間あたりに数多くのユーザにアトラクションを利用させることができるため、アトラクションを利用するまでのユーザの待ち時間を格段に削減することができる。
【0082】
なお、本実施形態においては、装置の設営やプロジェクタ13の設置が容易であるために平面視で正十角形状である壁体2の各内壁面をスクリーン11とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、平面視で正多角形状(正n角形状)である壁体の各内壁面をスクリーンとするようにしても良く、また、図14に示すように、壁体2として円筒状の壁体を用い、当該円筒状の壁体の内壁面をスクリーンとして適用しても良く、この他種々の環状の壁体2の内壁面を用いたスクリーンに適用することができる。例えば壁体2として円筒状の壁体を用いたスクリーンに適用する場合、各スクリーンの中央付近ほど奥行きのあるスクリーンを形成することができる。なお、円筒状の壁体の内壁面のように連続した曲面をスクリーンとして適用する場合においては、あるプロジェクタ13により、2人(ないし3人以上)のユーザ用の画像が投影される領域が1つのスクリーンとして機能することができる。
【0083】
また、本実施形態においては、環状の壁体2の各内壁面をスクリーン11とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図15に示すように、例えば直線状に並べられた複数のスクリーンに適用するようにしても良く、この他種々の状態に並べられたスクリーンに適用することができる。
【0084】
ここで、スクリーンを環状に配置した場合や直線に配置した場合などを含み得るように上位化すると、立体視画像表示装置では、第1のスクリーン及び第2のスクリーンを含み(図8参照)、第(n−1)(但し、nは3以上の整数)のスクリーンに隣接して配置され、第nのユーザに第nの立体画像を視認させる当該第nのユーザの左目用画像及び右目用画像を第nのタイミングで表示する第nのスクリーンを有しており、第1の表示部から第nの表示部の合計n個の表示部を有していることとなる。
【0085】
そして、例えば図15に示すように直線状に並べられた複数のスクリーンに適用する場合、立体視画像表示装置では、第1のスクリーンから、第nのユーザ及び第(n+1)のユーザが共通して立体画像を視認するための共通可視領域となる第nのスクリーンの合計n個のスクリーンを有することにより、隣り合うユーザと可視領域が共通するため、隣り合う2人のユーザとの一体感を高めることができる。
【0086】
さらに、本実施形態においては、各ユーザが隣接する2つのスクリーン11の画像を視認することができるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図16に示すように、例えば各ユーザが隣接する3つのスクリーン11の画像を視認することができるように構成しても良く、3人以上のユーザに同時に立体画像を視認させるように立体視画像表示装置を構成するようにしても良い。
【0087】
各ユーザが隣接する3つのスクリーン11の画像を視認することができるように構成する場合、各スクリーンは、隣り合う3人のユーザの共通可視領域となる。また、立体視画像表示装置では、各スクリーンが、着座したときの各ユーザの正面となるように配置されている。さらに、立体視画像表示装置は、第1のユーザの画像を第1のタイミングで、第2のユーザの画像を第2のタイミングで、第3のユーザの画像を第3のタイミングで対応するスクリーンに表示する。これにより、立体視画像表示装置は、ユーザ1人に対して一段と充分なスクリーンの大きさを確保して、迫力ある立体画像をユーザに視認させることができる。3人以上のユーザに同時に立体画像を視認させるように立体視画像表示装置を構成する場合についても、同様である。
【0088】
なお、図14〜図16については、他の実施の形態における立体視画像表示装置1の平面図の概念図であり、図中のスクリーンの番号及び符号は、図12の場合と同様である。
【0089】
さらに、本実施形態においては、プロジェクタ13により対応するスクリーン11に画像を投影した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば液晶テレビジョンやプラズマディスプレイなどを表示部として用い、当該表示部上に画像を表示するようにしても良く、ユーザに立体画像を視認させる画像を表示することが可能な装置であれば表示部に適用することができる。
【0090】
さらに、本実施形態においては、装置の省スペース化のためにスクリーン11の内側にシート12を配置する構造とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数のシートを各ユーザが内側を向いた状態で着座するように周状に配置すると共に、これら周状に配置されたシートの内側に複数のスクリーンを環状の壁体の外側に配置した構造としても良い。
【0091】
さらに、本実施形態においては、シート12にヘッドレスト15を配置してユーザの可視範囲を制限する構造とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ユーザの視界を物理的に制限できる構造であればいかなる態様であっても適応できる。例えば、各シートの間に視界を遮るための壁を設ける構造や、ユーザの頭部の回動を物理的に制限する構造を適用することができる。
【0092】
また、上述のようにユーザの視界を物理的に制限せずに、液晶シャッター付き眼鏡の制御でユーザの視界を制限する構成としても良い。例えば、ユーザが、当該ユーザに対応する2つのスクリーン以外のスクリーン11を視認することとなる領域である領域R3(図7参照)を注視していることが判定された場合に、電子メガネの液晶シャッターを閉じるように制御することによりユーザの可視範囲を制限する構成を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、CAVEシステムを利用した立体視画像表示装置以外の種々の立体視画像を表示する画像表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1……立体視画像表示装置、2……壁体(環状の壁体)、3……出入り口、11……スクリーン(表示部)、11H……上側投影面、11L……下側投影面、12……シート、13……プロジェクタ、13H……上側投影プロジェクタ、13L……下側投影プロジェクタ、14、15……ヘッドレスト、21……位置情報送受信部、22……画像処理部、23……画像出力部、24……赤外線通信部、25……音声処理部、26……音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの左目の視点に対応する左目用画像及び右目の視点に対応する右目用画像を所定の表示部に表示し、前記左目用画像、前記右目用画像の表示タイミングと同期してユーザが装着した電子メガネの電子シャッターの開閉を制御することにより、当該ユーザに立体画像を視認させる立体視画像表示装置であって、
第1のユーザに前記第1の立体画像を視認させる当該第1のユーザの左目用画像及び右目用画像を第1のタイミングで表示し、かつ、第2のユーザに第2の立体画像を視認させる当該第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を第2のタイミングで表示する第1の表示部と、
前記第1の表示部に隣接するように配置され、前記第2のユーザに前記第2の立体画像を視認させる前記第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を前記第2のタイミングで表示し、かつ、第3のユーザに第3の立体画像を視認させる当該第3のユーザの左目用画像及び右目用画像を第3のタイミングで表示する第2の表示部と
を備えることを特徴とする立体視画像表示装置。
【請求項2】
前記第2の表示部は、
前記第3のユーザに前記第3の立体画像を視認させる当該第3のユーザの左目用画像及び右目用画像を前記第1のタイミングで表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の立体視画像表示装置。
【請求項3】
前記表示部のうち第(n−1)(但し、nは3以上の整数)の表示部に隣接して配置され、第nのユーザに第nの立体画像を視認させる当該第nのユーザの左目用画像及び右目用画像を第nのタイミングで表示する第nの表示部
をさらに備え、
前記第1の表示部から前記第nの表示部の合計n個の表示部を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の立体視画像表示装置。
【請求項4】
前記表示部のうち第(n−1)(但し、nは3以上の整数)の表示部に隣接して配置され、第nのユーザに第nの立体画像を視認させる当該第nのユーザの左目用画像及び右目用画像を第nのタイミングで表示し、かつ、第1のユーザに第1の立体画像を視認させる当該第1のユーザの左目用画像及び右目用画像を第1のタイミングで表示する第nの表示部
をさらに備え、
前記第1の表示部から前記第nの表示部の合計n個の表示部を有し、
前記第1から前記第nの表示部は、周回するように配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の立体視画像表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、平面視で略正n角形状に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の立体視画像表示装置。
【請求項6】
前記ユーザが前記表示部に向いた状態で着座するように、平面視で略正n角形状に配置された前記表示部の内側に周状に配置される複数の着座部
を備え、
前記着座部は、
前記表示部が形成する略正n角形の頂点及び中心点を結ぶ直線上に位置し、前記ユーザが着座時に前記各表示部の境目と正対する向きに配置され、
前記ユーザが頭部を保持する位置の左右の所定位置に、前記ユーザの視野を制限する視野制限部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の立体視画像表示装置。
【請求項7】
前記第1の表示部に隣接するように配置され、前記第2のユーザに前記第2の立体画像を視認させる前記第2のユーザの左目用画像及び右目用画像を前記第2のタイミングで表示し、前記第3のユーザに前記第3の立体画像を視認させる当該第3のユーザの左目用画像及び右目用画像を前記第3のタイミングで表示し、かつ、第4のユーザに第4の立体画像を視認させる当該第4のユーザの左目用画像及び右目用画像を第4のタイミングで表示する第3の表示部
を備え、
前記第1の表示部は、
前記第3のユーザに前記第3の立体画像を視認させる当該第3のユーザの左目用画像及び右目用画像を前記第3のタイミングで表示し、
前記第2の表示部は、
前記第1のユーザに前記第1の立体画像を視認させる当該第1のユーザの左目用画像及び右目用画像を前記第1のタイミングで表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の立体視画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−61255(P2011−61255A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205315(P2009−205315)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】