説明

竪型射出成形機

【課題】型厚調整装置がエンドプレートから下方に突出させたタイバーと支持面との衝突をより確実に防止する竪型射出成形機を提供すること。
【解決手段】本発明に係る竪型射出成形機100は、タイバー13a〜13cに接続された可動プラテン11とエンドプレート12との間の距離を調整する型厚調整部50と、型厚調整部50による調整量を制限する型厚調整制限部60と、を備える。型厚調整制限部60は、検出部62、63と、検出部62、63に対して鉛直方向に相対的に変位する被検出部64とを有し、検出部62、63が被検出部64の近接を検出したときに型厚調整部50による調整を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型厚調整装置を備えた竪型射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、型厚調整装置を備えた竪型射出成形機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この竪型射出成形機の型締装置は、マシンボディに固定された固定盤と、固定盤の上方に配置された可動盤と、固定盤の下方に配置され、上端部を可動盤に固定された3本のタイバーの下端部に取り付けられるエンドプレートと、可動盤とエンドプレートとの間に配置され、可動盤とエンドプレートとを固定盤に対して上下動させるトグル機構とを備えている。
【0004】
また、この竪型射出成形機の型厚調整装置は、各タイバーの下端部に形成された雄ねじに螺着されることでエンドプレートをタイバーの下端部に結合する調整ナットと、調整ナットの上端部に固定されたスプロケットを回転させる、エンドプレートの上面に固定された調整用モータとを備えている。この型厚調整装置は、調整用モータを回転させることによって3つのタイバーのそれぞれに対応する3つの調整ナットを各タイバーの軸回りで同時に回転させ、可動盤とエンドプレートとの間隔(型厚)を調整する。また、この型厚調整装置は、調整ナットと共に回転するドグ(被検出部)を備え、ドグの回転、すなわち調整ナットの回転を近接スイッチで検出することによって、タイバーの軸方向におけるエンドプレートの位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−203700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の竪型射出成形機における型厚調整装置は、ドグ(調整ナット)の回転を近接センサで検出することによって、タイバーの軸方向におけるエンドプレートの位置を間接的に検出するのみであり、エンドプレートから下方に突出するタイバーと地面との衝突を防止できないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、型厚調整装置がエンドプレートから下方に突出させたタイバーと支持面との衝突をより確実に防止する竪型射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の実施例に係る竪型射出成形機は、タイバーに接続された可動プラテンとエンドプレートとの間の距離を調整する型厚調整部と、前記型厚調整部による調整量を制限する型厚調整制限部と、を備え、前記型厚調整制限部は、検出部と、該検出部に対して鉛直方向に相対的に変位する被検出部とを有し、前記検出部が前記被検出部の近接を検出したときに前記型厚調整部による調整を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述の手段により、本発明は、型厚調整装置がエンドプレートから下方に突出させたタイバーと支持面との衝突をより確実に防止する竪型射出成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一実施例に係る竪型射出成形機の要部構成を示す概略正面図である。
【図2】図1の矢印IIで示す方向から見た射出成形機の概略側面図である。
【図3】図2の矢印IIIで示す方向から見た射出成形機の概略下面図である。
【図4】型厚を最も小さくした状態に対応する、第一実施例に係る竪型射出成形機の型厚調整制限装置の側面図である。
【図5】型厚を最も大きくした状態に対応する、第一実施例に係る竪型射出成形機の型厚調整制限装置の側面図である。
【図6】型厚を最も小さくした状態に対応する、第二実施例に係る竪型射出成形機の型厚調整制限装置の側面図である。
【図7】型厚を最も大きくした状態に対応する、第二実施例に係る竪型射出成形機の型厚調整制限装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第一実施例に係る竪型射出成形機100の要部構成を示す概略正面図であり、図2は、図1の矢印IIで示す方向から見た竪型射出成形機100の概略側面図である。また、図3は、図2の矢印IIIで示す方向から見た竪型射出成形機100の概略下面図であり、図4及び図5は、図2の破線円IVで示す領域の拡大図である。
【0013】
竪型射出成形機100は、主に、固定プラテン10、可動プラテン11、エンドプレート12、タイバー13a〜13c、制御装置14、型締用サーボモータ17、ロータリテーブル18、トグル機構20、減速機構30、射出装置40、型厚調整装置50、及び型厚調整制限装置60で構成される。なお、支持面Gは、竪型射出成形機100を支持する平面であり、例えば、竪型射出成形機100が設置されるフロアの床面である。
【0014】
固定プラテン10は、ロータリテーブル18を介して下側金型16a、16b(図2参照。)を支持するための部材であり、竪型射出成形機100のフレーム(図示せず。)に固定的に取り付けられ、図の上下方向に三本のタイバー13a〜13cがスライド可能に貫通する構造を有する。
【0015】
ロータリテーブル18は、タイバー13aを中心軸として回転する回転盤であり、本実施例では、図2で示すように、中心軸を挟んだ対称的な二つの位置に二つの下側金型16a、16bを搭載可能である。これら二つの位置は、例えば、下側金型16a、16bのうちの一方が上側金型15に合わせられて型締めされるところである型締位置と、下側金型16a、16bのうちの一方が型締位置にあるときに下型金型16a、16bのうちの他方から成形品が取り出されるところである成形品取出位置とに対応する。なお、図2は、下側金型16aが成形品取出位置にあり、下型金型16bが型締位置にある状態を示す。また、上側金型15は、下型金型16bと接触するよう下方に下げられた位置にある。
【0016】
可動プラテン11は、上側金型15を支持するための部材であり、固定用ナット11Nを用いて三本のタイバー13a〜13cのそれぞれの上端部に固定的に取り付けられ、タイバー13a〜13cの上下動と共に上下動する。
【0017】
エンドプレート12は、型締機構を動作させるための部材であり、例えば、三本のタイバー13a〜13cのそれぞれの下端部に型厚調整用ナット52a〜52c(図3参照。詳細は後述。)を介して取り付けられ、固定プラテン10とエンドプレート12との間にトグル機構20を配置するよう構成されるトグルサポートである。
【0018】
タイバー13a〜13cは、固定プラテン10を貫通して可動プラテン11とエンドプレート12とを連結する部材である。この構成により、トグル機構20が固定プラテン10とエンドプレート12との間隔を減少させた場合、固定プラテン10と可動プラテン11との間隔が増大する。一方で、トグル機構20が固定プラテン10とエンドプレート12との間隔を増大させた場合、固定プラテン10と可動プラテン11との間隔が減少する。
【0019】
なお、図1及び図2は、トグル機構20により固定プラテン10とエンドプレート12との間隔が増大させられ、上側金型15と下側金型16bとが互いに接触して締め付けられた状態(型締状態)を示す。
【0020】
制御装置14は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであり、竪型射出成形機100の動きを制御する構成要素である。
【0021】
型締用サーボモータ17は、回転力を直線運動に変換する型締用ボールねじ機構(図示せず。)を動作させる駆動装置であり、エンドプレート12に固定的に取り付けられ、エンドプレート12の上下動とともに上下動する。また、型締用サーボモータ17は、減速機構30を介して、発生させた回転力を型締用ボールねじ機構に伝えるようにする。
【0022】
トグル機構20は、固定プラテン10とエンドプレート12との間隔を増大或いは減少させて、固定プラテン10と可動プラテン11との間隔を減少或いは増大させる(すなわち型閉又は型開を行う)ための型締機構である。なお、竪型射出成形機100は、トグル機構20の代わりに、ボールねじ機構や電磁石を利用した型締機構を備えていてもよい。また、トグル機構20は、明瞭化のため、図2では図示が省略されている。
【0023】
減速機構30は、型締用サーボモータ17が発生させた回転力を型締用ボールねじ機構に伝えるための部材である。本実施例において、減速機構30は、型締用サーボモータ17の駆動軸に取り付けられた型締用駆動プーリ31、型締用ボールねじ機構のボールねじ軸に取り付けられた型締用従動プーリ32、及び、型締用駆動プーリ31と型締用従動プーリ32との間に掛け渡される無端ベルト33から構成される。なお、減速機構30は、スプロケットとチェーンで構成されてもよく、複数の歯車で構成されていてもよく、或いは、回転力伝達用の他の機械要素を用いて構成されていてもよい。
【0024】
射出装置40は、上側金型15と下型金型16a、16bとで形成されるキャビティ空間(図示せず。)に溶融樹脂を射出するための装置である。
【0025】
型厚調整装置50は、型厚を調整するための装置であり、図2及び図3で示すように、主に、型厚調整用モータ51、型厚調整用ナット52a〜52c、型厚調整用駆動ギア53、型厚調整用従動ギア54a〜54c、型厚調整用大型従動ギア55、及びエンコーダ56で構成される。
【0026】
型厚調整装置50は、例えば、タイバー13a〜13cをエンドプレート12に対して相対的に移動させ、可動プラテン11とエンドプレート12との間の距離を変更する。これにより、型厚調整装置50は、型締の際の固定プラテン10(ロータリテーブル18)と可動プラテン11との間の距離が、竪型射出成形機100に搭載される金型装置の型厚に適合した距離となるように調整する。本実施例において、型厚調整装置50は、型厚調整の際、竪型射出成形機100のフレームに対してエンドプレート12を固定した状態でタイバー13a〜13cをエンドプレート12に対して相対的に移動させる。しかしながら、型厚調整装置50は、竪型射出成形機100のフレームに対してタイバー13a〜13cを固定した状態でエンドプレート12をタイバー13a〜13cに沿ってタイバー13a〜13cに対して相対的に移動させるようにしてもよい。
【0027】
型厚調整用モータ51は、型厚を調整するための駆動力を発生させる駆動装置であり、例えば、制御装置14からの制御信号に応じて、タイバー13a〜13cをエンドプレート12に対して相対的に変位させるための回転力を発生させる。
【0028】
型厚調整用ナット52aは、型厚調整用モータ51が発生させた回転力を直線運動に変換するための部材であり、例えば、エンドプレート12に対して回転可能にかつ相対移動不能に取り付けられ、タイバー13aの下端部に形成された雄ねじと係合する。同様に、型厚調整用ナット52bは、タイバー13bの下端部に形成された雄ねじと係合し、型厚調整用ナット52cは、タイバー13cの下端部に形成された雄ねじと係合する。
【0029】
型厚調整用駆動ギア53は、型厚調整用モータ51の駆動軸に固定され、型厚調整用モータ51の駆動軸とともに回転する駆動ギアであり、例えば、型厚調整用従動ギア54a〜54cのうちの一つ、又は、型厚調整用大型従動ギア55(本実施例では型厚調整用大型従動ギア55)と係合する。
【0030】
型厚調整用従動ギア54aは、型厚調整用ナット52aに固定され、型厚調整用ナット52aとともに回転する従動ギアである。同様に、型厚調整用従動ギア54bは、型厚調整用ナット52bに固定され、型厚調整用ナット52bとともに回転する従動ギアであり、型厚調整用従動ギア54cは、型厚調整用ナット52cに固定され、型厚調整用ナット52cとともに回転する従動ギアである。本実施例では、型厚調整用従動ギア54a〜54cのそれぞれは型厚調整用大型従動ギア55と係合し、型厚調整用大型従動ギア55はさらに型厚調整用駆動ギア53と係合する。
【0031】
型厚調整用大型従動ギア55は、型厚調整用従動ギア54a〜54cを同時に回転させるためのギアであり、例えば、エンドプレート12に対して回転可能にかつ相対移動不能に取り付けられ、型厚調整用従動ギア54a〜54cのそれぞれと係合する。
【0032】
エンコーダ56は、型厚調整用モータ51の回転方向及び回転角度を検出するための装置であり、検出結果を制御装置14に対して出力する。
【0033】
本実施例では、図3で示すように、型厚調整用モータ51が発生させた回転力は、型厚調整用駆動ギア53を時計回りに回転させ、さらに、型厚調整用駆動ギア53は、型厚調整用大型従動ギア55を反時計回り回転させる。
【0034】
さらに、型厚調整用大型従動ギア55は、型厚調整用従動ギア54a、54b、及び54cを時計回り回転させる。
【0035】
このように、型厚調整用モータ51が発生させた回転力は、型厚調整用従動ギア54a〜54cのそれぞれを同じ回転方向(時計回り)に同じ回転速度で回転させる。そして、型厚調整用従動ギア54a〜54cのそれぞれに固定された型厚調整用ナット52a〜52cのそれぞれが、タイバー13a〜13cのそれぞれの回りを同じ回転方向(時計回り)に同じ回転速度で回転し、タイバー13a〜13cがエンドプレート12に対して相対的に変位する。
【0036】
このようにして、型厚調整装置50は、タイバー13a〜13cがエンドプレート12に対して相対的に移動するようにし、可動プラテン11とエンドプレート12との間の距離を変更する。
【0037】
基本的に、竪型射出成形機100を操作する操作者は、タッチパネル等の入力装置(図示せず。)を通じて所望の型厚調整方向及び型厚調整量を制御装置14に対して入力する。制御装置14は、入力された型厚調整方向及び型厚調整量に応じた制御信号を型厚調整用モータ51に対して出力し、型厚調整用モータ51の回転を開始させる。その後、制御装置14は、エンコーダ56の検出結果に基づいて、入力された型厚調整方向における入力された型厚調整量に相当する型厚の調整が達成されたか否かを判断し、達成されたと判断した場合に制御信号を型厚調整用モータ51に対して出力して型厚調整用モータ51の回転を停止させる。なお、入力装置は、型厚調整量の入力が所定の数値範囲内に収まるように上限値及び下限値を設定し、その所定の数値範囲を逸脱した値を受け付けないようにしてもよく、或いは、その所定の数値範囲を逸脱した値が入力された場合に警報を発するようにしてもよい。
【0038】
型厚調整制限装置60は、型厚調整装置50による型厚調整量を制限するための装置であり、図3〜図5で示すように、主に、近接センサ用ガイド61、第一近接センサ62、第二近接センサ63、及び被検出部64で構成される。
【0039】
近接センサ用ガイド61は、第一近接センサ62及び第二近接センサ63を所定位置で支持するための部材であり、例えば、エンドプレート12に固定的に取り付けられ、タイバー13bの長手方向に平行に延びる棒状部材である。
【0040】
第一近接センサ62及び第二近接センサ63は、被検出部64の近接を検出する検出部であり、例えば、磁界、電界、超音波、光等の媒体を利用して被検出部64の近接を非接触で検出するセンサであって、検出結果を制御装置14に対して出力する。なお、第一近接センサ62及び第二近接センサ63は、被検出部64が検出部に接触することによって被検出部64の近接を検出する接触式のセンサであってもよい。
【0041】
第一近接センサ62及び第二近接センサ63は、例えば、近接センサ用ガイド61を介してエンドプレート12に取り付けられ、エンドプレート12とともに変位する。
【0042】
被検出部64は、検出部が検出対象とする部材であり、例えば、第一近接センサ62及び第二近接センサ63の双方の検出対象となり得る円盤状の部材であって、円形の表面が水平となるようにタイバー13bの下端部に取り付けられる。なお、被検出部64は、第一近接センサ62及び第二近接センサ63の双方の検出対象となり得るようにタイバー13bの下端部から水平に延びる矩形板状部材や棒状部材であってもよい。
【0043】
本実施例では、図4で示すように、第一近接センサ62は、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最大値Dmaxとなるときに被検出部64を検出する位置(高さ)に配置される。また、第二近接センサ63は、図5で示すように、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最小値Dminとなるときに被検出部64を検出する位置(高さ)に配置される。
【0044】
なお、図4は、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最大値Dmaxに達した状態(型厚を最も小さくした状態)を示す。また、図5は、その突出量が許容最小値Dminに達した状態(型厚を最も大きくした状態)を示す。すなわち、図5は、図4の状態から、型厚調整装置50によって型厚調整用従動ギア54b及び型厚調整用ナット52bが矢印AR1で示す方向に回転させられ、矢印AR2で示すように被検出部64がエンドプレート12に対して相対的に移動した状態を示す。
【0045】
型厚調整制限装置60は、図5で示すように、第二近接センサ63で被検出部64を検出し、型厚調整装置50により型厚を大きくした結果、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最小値Dminになったことを検出すると、型厚調整装置50による増大調整を停止させる。
【0046】
具体的には、型厚調整制限装置60の第二近接センサ63は、その突出量が許容最小値Dminに達した旨を表す信号を制御装置14に対して出力し、その信号を受信した制御装置14は、型厚調整装置50の型厚調整用モータ51に対して制御信号を出力し、型厚調整用モータ51の回転を停止させる。
【0047】
同様に、型厚調整制限装置60は、図4で示すように、第一近接センサ62で被検出部64を検出し、型厚調整装置50により型厚を小さくした結果、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最大値Dmaxになったことを検出すると、型厚調整装置50による調整を停止させる。
【0048】
具体的には、型厚調整制限装置60の第一近接センサ62は、その突出量が許容最大値Dmaxに達した旨を表す信号を制御装置14に対して出力し、その信号を受信した制御装置14は、型厚調整装置50の型厚調整用モータ51に対して制御信号を出力し、型厚調整用モータ51の回転を停止させる。
【0049】
以上により、本実施例に係る竪型射出成形機100は、型厚調整装置50がエンドプレート12から下方に突出させたタイバー13bと支持面Gとの衝突を、型厚調整制限装置60によって確実に防止することができる。
【0050】
なお、本実施例において、型厚調整制限装置60は、近接センサ用ガイド61を介して第一近接センサ62及び第二近接センサ63をエンドプレート12に取り付けてエンドプレート12とともに変位させ、被検出部64をタイバー13bに取り付けてタイバー13bとともに変位させる構成を採用する。しかしながら、型厚調整制限装置60は、第一近接センサ62及び第二近接センサ63をタイバー13bに取り付けてタイバー13bとともに変位させ、近接センサ用ガイド61を介して被検出部64をエンドプレート12に取り付けてエンドプレート12とともに変位させる構成を採用するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施例において、型厚調整制限装置60は、二つの近接センサと一つの被検出部とを備え、エンドプレート12に対するタイバー13bの突出量が許容最大値に達した状態(型厚を最も小さくした状態)、及び、その突出量が許容最小値に達した状態(型厚を最も大きくした状態)を検出できるようにする。しかしながら、型厚調整制限装置60は、一つの近接センサと二つの被検出部とを用いて、或いは、二つの近接センサと二つの被検出部とを用いて同様の検出を行えるようにしてもよい。また、型厚調整制限装置60は、一つの近接センサと一つの被検出部とを用いて、型厚を最も小さくした状態及び型厚を最も大きくした状態の何れか一方を検出できるようにしてもよい。さらに、型厚調整制限装置60は、3つ以上を含む任意の数の近接センサと3つ以上を含む任意の数の被検出体とを用いて3つ以上を含む任意の数の型厚調整状態を検出できるようにしてもよい。
【実施例2】
【0052】
次に、図6及び図7を参照しながら、本発明の第二実施例に係る竪型射出成形機100Aについて説明する。
【0053】
竪型射出成形機100Aは、型厚調整制限装置60Aの被検出部64Aがタイバー13bの中間部分(例えば、雄ねじが形成されていない部分)に取り付けられる点で、第一実施例に係る竪型射出成形機100と異なる。また、竪型射出成形機100Aは、第一近接センサ62A及び第二近接センサ63Aが、エンドプレート12から上方に延びる近接センサ用ガイド61Aを介してエンドプレート12に取り付けられる点で、第一実施例に係る竪型射出成形機100と異なる。なお、竪型射出成形機100Aは、その他の点で第一実施例に係る竪型射出成形機100と共通する。そのため、同一の或いは対応する構成要素については、第一実施例で用いた参照番号と同じ参照番号を用い、その説明を省略する。
【0054】
なお、図6は、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最大値Dmaxに達した状態(型厚を最も小さくした状態)を示す。また、図7は、その突出量が許容最小値Dminに達した状態(型厚を最も大きくした状態)を示す。すなわち、図7は、図6の状態から、型厚調整装置50によって型厚調整用従動ギア54b及び型厚調整用ナット52bが矢印AR3で示す方向に回転させられ、矢印AR4で示すように被検出部64Aがエンドプレート12に対して相対的に移動した(エンドプレート12から遠ざかった)状態を示す。
【0055】
型厚調整制限装置60Aは、図7で示すように、第二近接センサ63Aで被検出部64Aを検出し、型厚調整装置50により型厚を大きくした結果、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最小値Dminになったことを検出すると、型厚調整装置50による増大調整を停止させる。
【0056】
具体的には、型厚調整制限装置60Aの第二近接センサ63Aは、その突出量が許容最小値Dminに達した旨を表す信号を制御装置14に対して出力し、その信号を受信した制御装置14は、型厚調整装置50の型厚調整用モータ51に対して制御信号を出力し、型厚調整用モータ51の回転を停止させる。
【0057】
同様に、型厚調整制限装置60Aは、図6で示すように、第一近接センサ62Aで被検出部64Aを検出し、型厚調整装置50により型厚を小さくした結果、エンドプレート12に対するタイバー13bの鉛直下方への突出量が許容最大値Dmaxになったことを検出すると、型厚調整装置50による調整を停止させる。
【0058】
具体的には、型厚調整制限装置60Aの第一近接センサ62Aは、その突出量が許容最大値Dmaxに達した旨を表す信号を制御装置14に対して出力し、その信号を受信した制御装置14は、型厚調整装置50の型厚調整用モータ51に対して制御信号を出力し、型厚調整用モータ51の回転を停止させる。
【0059】
以上により、本実施例に係る竪型射出成形機100Aは、第一実施例に係る竪型射出成形機100と同様の効果を実現させることができる。
【0060】
また、竪型射出成形機100Aは、被検出部64Aをタイバー13bの下端部に取り付ける代わりにタイバー13bの中間部に取り付けるので、被検出部64をタイバー13bの下端部に取り付ける場合に比べ、全体的に下側に配置することができる。その結果、竪型射出成形機100Aは、全高及びテーブル高さを低くすることができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0062】
例えば、上述の実施例において、竪型射出成形機100、100Aは、鉛直軸周りを回転するロータリテーブル18を備えた竪型射出成形機であるが、ロータリテーブル18を備えない竪型射出成形機であってもよい。
【0063】
また、型厚調整制限装置60、60Aは、検出部(例えば、近接センサ62、63、62A、63Aである。)がエンドプレート12及びタイバー13bのうちの一方に取り付けられ、被検出部64、64Aがエンドプレート12及びタイバー13bのうちの他方に取り付けられる構成を採用する。しかしながら、型厚調整制限装置60、60Aは、型厚調整の際に互いに相対的に変位し、型締めの際に一緒に変位する(互いに相対的に変位しない)2部材であれば、エンドプレート12及びタイバー13b以外の他の2部材を取り付け位置として採用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10・・・固定プラテン 11・・・可動プラテン 12・・・エンドプレート 13a〜13c・・・タイバー 14・・・制御装置 15・・・上側金型 16a、16b・・・下側金型 17・・・型締用サーボモータ 18・・・ロータリテーブル 20・・・トグル機構 30・・・減速機構 31・・・型締用駆動プーリ 32・・・型締用従動プーリ 33・・・無端ベルト 40・・・射出装置 50・・・型厚調整装置 51・・・型厚調整用モータ 52a〜52c・・・型厚調整用ナット 53・・・型厚調整用駆動ギア 54a〜54c・・・型厚調整用従動ギア 55・・・型厚調整用大型従動ギア 56・・・エンコーダ 60、60A・・・型厚調整制限装置 61、61A・・・近接センサ用ガイド 62、62A・・・第一近接センサ 63、63A・・・第二近接センサ 64、64A・・・被検出部 100、100A・・・竪型射出成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイバーに接続された可動プラテンとエンドプレートとの間の距離を調整する型厚調整部と、
前記型厚調整部による調整量を制限する型厚調整制限部と、を備え、
前記型厚調整制限部は、検出部と、該検出部に対して鉛直方向に相対的に変位する被検出部とを有し、前記検出部が前記被検出部の近接を検出したときに前記型厚調整部による調整を停止させる、
ことを特徴とする竪型射出成形機。
【請求項2】
前記検出部は、調整量が許容限界値となるときに、被検出部の近接を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の竪型射出成形機。
【請求項3】
前記検出部及び前記被検出部のうちの一方は、前記エンドプレートに取り付けられて前記エンドプレートとともに変位し、
前記検出部及び前記被検出部のうちの他方は、前記タイバーの下端部に取り付けられて前記タイバーとともに変位する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の竪型射出成形機。
【請求項4】
前記検出部及び前記被検出部のうちの一方は、前記エンドプレートに取り付けられて前記エンドプレートとともに変位し、
前記検出部及び前記被検出部のうちの他方は、前記タイバーの中間部分に取り付けられて前記タイバーとともに変位する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の竪型射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22774(P2013−22774A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157208(P2011−157208)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】