説明

端子付き電線、端子付き電線の製造方法及び防食部材

【課題】端子と電線との金属接触部分の防食処理を効率良く行えるようにすること。
【解決手段】芯線が被覆部24により覆われ、端部に芯線露出部22を有する電線20と、芯線露出部22に対して圧着されている芯線圧着部34を有する端子30と、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分に対して端子30の先端側又は電線20の被覆部24側のいずれかの位置で端子30又は電線20の被覆部24に対して外嵌めされて密着している密着部42と、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆するように密着部42から延出し、先端部から密着部42に向けて丸め又は折り返し可能な防食被覆部44とを有する防食部材40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車及び機器用ハーネス等の端子付き電線に対する電食抑制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車及び機器用ハーネスには、電線端部に金属端子が取り付けられた端子付き電線が組込まれることがあり、この端子付き電線の芯線及び端子にはそれぞれ異種金属が採用されることがある。この場合、異種金属の接触部に電解質水溶液としての水分が付着すると、金属同士の標準電極電位差により、標準電極電位が低い金属に腐食(電食)が発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、上記のような異種金属間の電食を抑制する対策として、異種金属が接触する端子圧着部周辺部分を金型内に配設し、防食剤(ポリアミド系の熱可塑性樹脂等)を射出成型して皮膜を形成することが考えられる。
【0004】
しかしながら、上記工法によると、端子圧着後の電線端末部を金型に対して位置決めするため、端子圧着位置を考慮した位置決めが必要となって難しく、位置決め時間が比較的長くなってしまう問題点があった。また、射出成型により皮膜を形成するため、成型から取出しまでの加工時間も比較的長くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、端子と電線との金属接触部分の防食処理を効率良く行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る端子付き電線は、芯線が被覆部により覆われ、端部に芯線露出部を有する電線と、前記電線の前記芯線露出部に対して圧着されている芯線圧着部を有する端子と、前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分に対して前記端子の先端側又は前記電線の前記被覆部側のいずれかの位置で前記端子又は前記電線の前記被覆部に対して外嵌めされて密着している密着部と、前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分を被覆するように前記密着部から延出し、先端部から前記密着部側に向けて丸め又は折り返し可能な防食被覆部とを有する防食部材とを備える。
【0007】
第2の態様に係る端子付き電線は、第1の態様に係る端子付き電線であって、前記端子は、前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分に対して前記端子の先端側の位置に形成され、断面視環状の外周部を有し、前記外周部の内側で前記端子の長手方向において止水可能な止水壁部を有し、前記防食被覆部又は前記密着部は、前記止水壁部の外周部に密着している。
【0008】
第3の態様に係る端子付き電線は、第1又は第2の態様に係る端子付き電線であって、前記端子は、前記電線の前記被覆部に対して圧着される被覆圧着部を有し、前記防食部材の前記密着部は、前記防食被覆部の内周側でその先端側に延出する位置決め部を有し、前記被覆圧着部は、前記位置決め部を挟んで前記被覆部に対して圧着されている。
【0009】
第4の態様に係る端子付き電線は、第1〜第3の態様のいずれか一態様に係る端子付き電線であって、前記防食部材の内周部のうち、前記防食被覆部の基端部には、周方向に沿った凹条の癖付け用凹部が形成されている。
【0010】
第5の態様に係る端子付き電線は、第1〜第4の態様のいずれか一態様に係る端子付き電線であって、前記防食被覆部は、先端部ほど細くなるように形成されている。
【0011】
第6の態様に係る端子付き電線の製造方法は、電線端部で被覆部から露出される芯線露出部と、前記芯線露出部に対して圧着される端子の芯線圧着部との接触部分を防食部材で被覆して構成される端子付き電線の製造方法であって、(a)先端部から基端部に向けて丸め又は折り返しされて形成されている筒状の前記防食部材を、前記端子又は前記電線の前記被覆部に外嵌めする工程と、(b)前記芯線露出部に対して前記芯線圧着部を圧着する工程と、(c)前記防食部材の丸め又は折り返しされた部分を展開して、前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分を被覆する工程とを有する。
【0012】
第7の態様に係る防食部材は、電線端部で被覆部から露出される芯線露出部と、前記芯線露出部に対して圧着される端子の芯線圧着部との接触部分に被覆される防食部材であって、前記端子又は前記電線の前記被覆部の外周部に対して密着可能な筒状の密着部と、前記密着部から筒状に延出し、先端部から前記密着部側に向けて丸め又は折り返しされている防食被覆部とを備える。
【0013】
第8の態様に係る防食部材は、第7の態様に係る防食部材であって、前記密着部は、前記防食被覆部の基端部から、前記防食被覆部より先端側に延出する位置決め部を有している。
【0014】
第9の態様に係る防食部材は、第7又は第8の態様に係る防食部材であって、前記防食部材の内周部のうち前記防食被覆部の基端部には、周方向に沿った凹条の癖付け用凹部が形成されている。
【0015】
第10の態様に係る防食部材は、第7〜第9の態様のいずれか一態様に係る防食部材であって、前記防食被覆部は、先端部ほど細くなるように形成され、当該先端部から基端部に向けて丸め又は折り返しされている。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る端子付き電線によると、防食部材の防食被覆部が丸め又は折り返し可能に形成されているため、防食被覆部を丸め又は折り返した状態で端子又は電線に外嵌めしておき、防食被覆部を展開することにより、芯線露出部と芯線圧着部との接触部分を被覆することができ、端子と電線との金属接触部分の防食処理を効率良く行うことができる。
【0017】
第2の態様に係る端子付き電線によると、端子が断面視環状の外周部を有する止水壁部を有しているため、防食部材が止水壁部の外周部に被されることにより、防食部材が端子に対して隙間なく密着し易く、端子と防食部材との間の止水性を向上させて防食性能を向上させることができる。
【0018】
第3の態様に係る端子付き電線によると、位置決め部が、防食被覆部の内周側でその先端側に延出するように形成されているため、防食被覆部が丸め又は折り返しされた防食部材を被覆部に外嵌めした状態で、被覆圧着部を、位置決め部を挟んで被覆部に圧着することができる。そして、被覆圧着部が位置決め部を挟んで電線の被覆部に対して圧着されていることにより、防食部材がより正確に位置決めされ、より確実に芯線露出部と芯線圧着部との接触部分を被覆し、その状態を維持することができる。
【0019】
第4の態様に係る端子付き電線によると、癖付け用凹部の位置まで防食被覆部が丸め又は折り返しされると、防食被覆部の丸められた又は折り返しされた形態がより確実に維持されて、防食被覆部が芯線露出部と芯線圧着部との接触部分を覆う形態を安定化することができる。
【0020】
第5の態様に係る端子付き電線によると、防食被覆部が、先端部ほど細くなるように形成されているため、当該先端部が端子又は電線に対してより強く密着して止水性を向上させ、防食性能を向上させることができる。
【0021】
第6の態様に係る端子付き電線の製造方法によると、防食部材を丸め又は折り返しされた状態で外嵌めしておき、防食被覆部を展開して芯線露出部と芯線圧着部との接触部分を被覆しているため、端子と電線との金属接触部分の防食処理を効率良く行うことができる。
【0022】
第7の態様に係る防食部材によると、防食部材を、電線又は端子に外嵌めして密着部をその外周部に密着させ、丸め又は折り返しされている防食被覆部を展開することにより、芯線露出部と芯線圧着部との接触部分を被覆することができ、端子と電線との金属接触部分の防食処理を効率良く行うことができる。
【0023】
第8の態様に係る防食部材によると、位置決め部が、防食被覆部の基端部から、当該防食被覆部より先端側に延出するように形成されているため、防食部材を被覆部に外嵌めした状態で、被覆圧着部を、位置決め部を挟んで被覆部に圧着することができる。そして、被覆圧着部が位置決め部を挟んで電線の被覆部に対して圧着されていることにより、防食部材がより正確に位置決めされ、より確実に芯線露出部と芯線圧着部との接触部分を被覆し、その状態を維持することができる。
【0024】
第9の態様に係る防食部材によると、癖付け用凹部の位置まで防食被覆部が丸め又は折り返しされると、防食被覆部の丸められた又は折り返しされた形態がより確実に維持されて、防食被覆部が芯線露出部と芯線圧着部との接触部分を被覆する形態を安定化することができる。
【0025】
第10の態様に係る防食部材によると、防食被覆部が、先端部ほど細くなるように形成されているため、芯線露出部と芯線圧着部との接触部を被覆するように展開すると、当該先端部が端子又は電線に対してより強く密着して止水性を向上させ、防食性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】丸め状態の防食部材が電線に外嵌めされている様子を示す図である。
【図2】丸め状態の防食部材を展開する動作を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る端子付き電線を示す図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】先端部が細く形成されている防食部材を示す図である。
【図6】折り返し状態の防食部材が電線に外嵌めされている様子を示す図である。
【図7】折り返し状態の防食部材を展開する動作を示す図である。
【図8】癖付け用凹部が形成されている防食部材を示す図である。
【図9】位置決め部を有する丸め状態の防食部材が電線に外嵌めされている様子を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る端子付き電線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態に係る端子付き電線、端子付き電線の製造方法及び防食部材について説明する。
【0028】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る端子付き電線10について説明する(図1〜図3参照)。本端子付き電線10は、電線20に対して端子30が圧着され、圧着部周辺部分が防食部材40により被覆されて構成されている。端子付き電線10の電線20の芯線と端子30の本体部とは、異種金属で構成されている。以下、端子付き電線10の一例を示す。
【0029】
電線20は、アルミニウム(或いはアルミニウム合金)線で構成された芯線が、その外周を樹脂等で形成された被覆部24により被覆されて構成されている。ここでは、芯線は、複数のアルミニウム(アルミニウム合金)線を撚って構成されている。そして、電線20の端部は、被覆材が皮剥ぎされ、芯線が露出するように加工されている。以下、被覆部24が皮剥ぎされて芯線が露出された部分を芯線露出部22として説明する。
【0030】
端子30は、一方向に長尺に形成され、その長手方向先端部側から基端部側に向けて順に、端子嵌合部32、芯線圧着部34及び被覆圧着部36を有している本体部と、止水壁部38とを有している。止水壁部38については、後で詳述する。より具体的には、端子30の本体部は、端子嵌合部32、芯線圧着部34及び被覆圧着部36が、長手方向に延びる底部31により連結され、長手方向に間隔をあけて設けられた構成である。当該本体部は、銅(或いは黄銅等の銅合金、或いはこれらのスズメッキ)板を打ち抜き、屈曲等して一体形成されている。各図では、端子30がメス端子である例を示しているが、これに限られず、端子はオス端子であってもよい。なお、以下説明において、端子30の端子嵌合部32側の端部を先端部(前方)、被覆圧着部36側の端部を基端部(後方)という。
【0031】
端子嵌合部32は、オス端子が嵌合状に挿入接続される部分である。より具体的には、端子30の長手方向に沿って貫通する筒状(ここでは角筒状)に形成されている。すなわち、端子嵌合部32の一側壁を底部31が成しており、当該一側壁としての底部31が基端部側に延出している。この端子嵌合部32の内部には、前記オス端子に対する接触用の接触片が備えられている(図示省略)。
【0032】
端子嵌合部32の基端部側には、それぞれ端子30の長手方向に間隔をあけて芯線圧着部34と被覆圧着部36とが設けられている。芯線圧着部34及び被覆圧着部36は、曲げ変形されない状態で、底部31を底辺とする断面視略U字形状に形成されている。すなわち、芯線圧着部34及び被覆圧着部36は、それぞれ底部31の側端部から突出する一対の圧着片を有し、当該一対の圧着片間に電線(芯線圧着部34は芯線露出部22、被覆圧着部36は被覆部24)を配設可能に形成されている。
【0033】
ここでは、端子嵌合部32、芯線圧着部34及び被覆圧着部36の各間も、芯線圧着部34及び被覆圧着部36の一対の圧着片より小さい突出寸法に設定された一対の突出片を有する断面視略U字形の溝状に形成されている。そして、端子嵌合部32と芯線圧着部34との間の溝状部分に、止水壁部38が形成されている。
【0034】
そして、電線20が芯線圧着部34及び被覆圧着部36の各一対の圧着片間で底部31上に配設された状態で、芯線圧着部34が芯線露出部22に対して圧着されると共に、被覆圧着部36が被覆部24に対して圧着されることにより、端子30が電線20に対して電気的及び機械的に接続される。すなわち、端子30は、芯線圧着部34が芯線露出部22に圧着されることにより、電線20に対して電気的及び機械的に接続され、被覆圧着部36が被覆部24に圧着されることにより、電線20に対してより確実にズレ及び抜けを抑制して位置決めされる。
【0035】
上述したように、ここでは、電線20の芯線露出部22がアルミニウム(アルミニウム合金)、端子30の本体部が銅(或いは黄銅等の銅合金、或はこれらのスズメッキ)板で形成されており、両金属間では、端子30の本体部より芯線露出部22の方が相対的に標準電極電位が低い関係にある。これにより、芯線圧着部34と芯線露出部22との接触部に水(電解質水溶液)が付着すると、芯線露出部22に腐食(電食)が発生する恐れがある。そこで、本実施形態に係る端子付き電線10は、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分が防食部材40によって被覆されて構成されている。
【0036】
ここで、端子30の止水壁部38について説明しておく(図1、図4参照)。この止水壁部38は、端子30と防食部材40との密着度を高めるための部材である。止水壁部38は、端子30の長手方向に略直交する壁状に形成されている。より具体的には、止水壁部38は、端子嵌合部32と芯線圧着部34との間の溝状部分の一部、すなわち、芯線圧着部34と芯線圧着部34が圧着された芯線露出部22との接触部分に対して端子30の先端側の位置に形成されている。ここでは、止水壁部38の位置は、端子嵌合部32及び芯線圧着部34及びに対して間隔をあけた位置である。
【0037】
この止水壁部38は、端子30を成型金型に対して位置決めし、溶融させた合成樹脂材料を端子30が位置決めされた金型内に射出することにより形成(インサート成型)される。樹脂材料としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、又は、エポキシ樹脂等の熱硬化製樹脂等の種々の合成樹脂材料を用いることができる。ここでは、ポリアミド系熱可塑性樹脂が用いられている。
【0038】
止水壁部38は、端子嵌合部32と芯線圧着部34との間の溝状部分の表面を全周に亘って包囲するように形成されている。そして、止水壁部38は、当該外周部の内側で端子30の長手方向において止水可能に形成されている。すなわち、止水壁部38は、当該溝状部分の表面に対して止水性を有して、すなわち、電解質水溶液としての水が浸入するのを防止可能に密着している。
【0039】
また、止水壁部38は、断面視環状の外周部を有している。より具体的には、止水壁部38の外周部は、滑らかな曲線又は当該曲線及び直線が連続する形状に形成されている。好ましくは、止水壁部38の外周部は、全周において外周側に向けて凸となる曲線又は当該曲線と直線とが連続する形状であるとよい。例えば、止水壁部38の外周形状としては、略円形、略楕円形又は角が丸められた略矩形状等の形状を採用することができる。
【0040】
防食部材40は、端子の芯線圧着部34と、当該芯線圧着部34が圧着された電線20の芯線露出部22とを被覆するための部材である(図1〜図3参照)。防食部材40は、長尺筒状(ここでは略円筒状)に形成された部材で、密着部42と、防食被覆部44とを有している。
【0041】
密着部42は、電線20の被覆部24に対して外嵌めされた状態でその外周部に密着可能な筒状に形成されている。より具体的には、密着部42は、内周寸法が被覆部24の外周寸法より小さく設定されることにより、被覆部24に外嵌めされると、内周面が被覆部24の外周面に対して止水性を有して密着するように形成されている。
【0042】
防食被覆部44は、密着部42から筒状に延出し、先端部から密着部42側(基端部側)に向けて丸められている(巻かれている)。より具体的には、防食被覆部44は、筒状体の先端部を外周側に拡げつつ基端部側に向けて裏返し、当該先端部を内側にくるむようにして筒状体の外周面に沿って密着部42側に丸められている。そして、防食被覆部44は、丸められた状態から展開可能であり、展開されることにより筒状となる。ここで、防食被覆部44が丸められた形態を裏返し形態としての丸め形態(図1参照)といい、防食被覆部44が丸め形態から展開された形態を展開形態(図3参照)という。すなわち、防食被覆部44は、丸め形態と展開形態とで変形可能に形成されている。丸め形態の防食被覆部44aは、ドーナツ状となり、密着部42の外周面上に配設されている。
【0043】
また、防食部材40の形態についても、防食被覆部44の形態に対応して、丸め形態及び展開形態として説明する。なお、後述するが、防食部材40は、丸め形態で電線20に対して取り付けられ、丸め形態から展開形態に変形されることにより、芯線圧着部34及び芯線露出部22を被覆する。
【0044】
また、防食被覆部44は、内周寸法が端子30の止水壁部38の外周寸法より小さく設定されている。すなわち、防食被覆部44は、止水壁部38に被せられると、内周面が止水壁部38の外周部に対して止水性を有して密着するように形成されている。
【0045】
防食部材40は、電解質水溶液としての水を実質的に通さない合成樹脂材料又はゴム材料等を用いて、押出成型、射出成型等により筒状(展開形態)に形成されるとよい。この防食部材40は、防食被覆部44を裏返して丸め可能なように、柔軟性、伸縮性に優れる材料を採用すると共に薄く形成されているとよい。また、防食部材40の内周面は、電線20又は端子30に対してより密着し易いように滑らかに形成されているとよい。さらに、防食部材40は、耐熱性に優れる材料(例えば100度の環境で使用可能な材料)で形成されていることが好ましい。より具体的には、防食部材40の材料としては、シリコン系ゴム、アクリル系ゴム等を採用することができる。
【0046】
なお、防食部材40は、密着力の観点から、密着部42を、防食被覆部44より内径を小さくすると共に肉厚にして形成されていてもよい。
【0047】
また、密着力の観点から、図5の防食部材50のように、防食被覆部54が、先端部ほど細くなるように形成されていてもよい。これにより、防食部材50の先端部の位置で端子30に対する密着力を強くして止水性を高め、防食部材50で被覆される部分の防食性能をより向上させることができる。もっとも、防食被覆部54の先端部ほど細くなる形態としては、他にも、一定径部分と縮小部分とを有する形態等が挙げられる。なお、このような形状を採用する場合、防食部材50は射出成型で形成されるとよい。
【0048】
端子付き電線10に用いられる形態の防食部材40について説明する(図3参照)。
【0049】
密着部42は、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分に対して端子30の基端側の位置で電線20の被覆部24に対して外嵌めされて密着している。より具体的には、密着部42は、被覆部24のうち、被覆圧着部36が圧着された部分の直ぐ後方の位置に外嵌めされ、内周面が被覆部24の外周面に対して止水性を有して密着している。もっとも、密着部42は、被覆圧着部36に対して外嵌めされ、その外周面に密着するように設けられていてもよい。
【0050】
防食被覆部44は、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆するように密着部42から端子30の先端部側に延出している。より具体的には、防食被覆部44は、密着部42の先端部から、止水壁部38より端子30の先端側で且つ端子嵌合部32より基端側の位置までを被覆している。そして、防食被覆部44は、その先端部が止水壁部38の外周部に密着している。なお、防食被覆部44は、止水壁部38の外周部以外では、電線20及び端子30のうち被覆している部分に対する密着の有無を問わない。
【0051】
これにより、端子付き電線10は、端子30の長手方向において、防食部材40の密着部42が密着した被覆部24の位置と、防食被覆部44が密着した止水壁部38の位置との間で止水されている。すなわち、この範囲が、端子付き電線10の防食構造部である。
【0052】
上記端子付き電線10は、以下のようにして製造される(図1〜図3参照)。ここで、電線20にはまだ端子30が圧着されていないものとする。なお、図1では、下記の工程(a)、(b)が行われた状態を示している。
【0053】
まず、防食部材40の防食被覆部44を、丸め形態に変形させる(図1参照)。すなわち、防食被覆部44を外周側に丸めて(巻いて)いき、丸められた防食被覆部44が密着部42の外周面上に配設された状態にする。もっとも、予め丸め形態にされた防食部材40aが供給されてもよい。
【0054】
先端部から基端部に向けて丸められている防食部材40aを、電線20の被覆部24に外嵌めする(工程(a)、図1参照)。ここでは、密着部42の内周寸法が被覆部24の外周寸法より小さく設定されているため、密着部42を外周側に拡げつつ、その内側に電線20を挿通する。そして、丸め形態の防食部材40aが被覆部24に外嵌めされることにより、密着部42が被覆部24の外周面に対して密着する。ここで、防食部材40aの姿勢は、密着部42の基端部が電線20の芯線露出部22側から被覆部24側に向かう姿勢である。なお、この時点では、被覆圧着部36が被覆部24に対して圧着されていないため、防食部材40aは、被覆部24のうち、被覆圧着部36が圧着される箇所より後方側で、且つ、被覆圧着部36圧着用の圧着金型に干渉しない位置(図1の位置より後方(右側))に配設されるとよい。
【0055】
次に、芯線露出部22に対して芯線圧着部34を圧着すると共に、被覆部24に対して被覆圧着部36を圧着する(工程(b)、図1参照)。より具体的には、端子30を、芯線圧着部34及び被覆圧着部36が、それぞれ、芯線圧着部34圧着用の一対の金型間及び被覆圧着部36圧着用の一対の金型間に位置するように位置決めする。これと共に、芯線圧着部34の内側に芯線露出部22を配設すると共に、被覆圧着部36の内側に被覆部24を配設する。この状態で、各一対の金型を近接移動させることにより、芯線圧着部34が芯線露出部22に圧着され、被覆圧着部36が被覆部24に圧着される。
【0056】
端子30が電線20に圧着された状態で、丸め形態の防食部材40aを、密着部42が被覆圧着部36の直ぐ基端側で被覆部24に密着する位置(又は被覆圧着部36に外嵌めされる位置)に移動させるとよい。なお、防食部材40aが既に上記位置にある場合、防食部材40aを移動させなくともよい。
【0057】
端子30を電線20に圧着した後に、丸め形態の防食被覆部44aを展開して、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆する(工程(c))。より具体的には、丸め形態の防食被覆部44aを、端子30の先端部側に向けて転がすように展開していく(図2参照)。換言すると、端子30の先端部側に向けて、被覆圧着部36、芯線露出部22及び芯線圧着部34、止水被覆部38に対して順に、防食被覆部44aにより覆っていく。なお、図2では、丸め形態から展開形態に変形されるまでの形態についても、丸め形態と同様の符号(40a、44a)を付しており、説明においてもその符号を使用する。そして、防食被覆部44aの先端部まで展開して、防食被覆部44aの先端部を止水壁部38に被せてその外周部に密着させる。これにより、防食部材40は、展開形態となり、被覆部24のうち被覆圧着部36より基端側の位置から止水壁部38の位置との間でその内外に止水性を有して取り付けられる。
【0058】
以上の工程により、端子付き電線10が製造される。上記一連の工程は、専用機によって行われても、作業者の手作業によって行われてもよい。
【0059】
もっとも、丸め形態の防食部材40aは、電線20の長尺切断、皮剥ぎ工程の前又は途中で、電線20に対して外嵌めされてもよい。
【0060】
これまで、裏返し形態が丸め形態(44a)である例で防食部材40について説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、防食被覆部44は、密着部24から筒状に延出し、先端部から密着部24側に向けて折り返しされて形成されている(図6参照)。より具体的には、防食被覆部44は、内周面を外周側に向けるように、その基端部で折り返して裏返され、その状態から筒状に展開することもできる。ここで、防食被覆部44が折り返しされた形態が裏返し形態としての折り返し形態である。折り返し形態の防食被覆部44bは、密着部42の外周側に重なった状態で、密着部42の先端部から基端部に向かう方向に延在している。
【0061】
この防食部材40は、防食被覆部44を折り返し可能なように、柔軟性、伸縮性に優れる材料を採用すると共に薄く形成されているとよい。
【0062】
そして、製造工程では、まず、防食部材40の防食被覆部44を、折り返して折り返し形態(44b)に変形させる(図6参照)。そして、工程(a)では、防食部材40bを、折り返し形態の防食被覆部44bの先端部が電線20の後方(芯線露出部22側から被覆部24側に)に向かう姿勢で、被覆部24に外嵌めする。端子30を電線20に圧着(工程(b))した後、工程(c)では、折り返し形態の防食被覆部44aを、先端部を端子30の先端側に移動させるようにして展開させ、展開形態に変形させる(図7参照)。以上の工程によっても、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分が防食部材40により被覆された端子付き電線10を製造することができる。
【0063】
もっとも、折り返し形態の防食部材40bは、上記形態に限られるものではなく、防食被覆部44が多段に折り返しされた形態であってもよい。例えば、先端部側から基端部側に向けて複数回折り返される形態、又は、先端部側から基端部側に折り返した後、基端部側から先端部側に折り返すように交互に複数回折り返される形態を採用することもできる。
【0064】
また、防食部材40は、上記形状に限られるものではない。例えば、図8に示す防食部材60のように、その内周部のうち、防食被覆部64の基端部に、周方向に沿った凹条の癖付け用凹部68が形成されていてもよい。より具体的には、癖付け用凹部68は、折り返し形態の防食被覆部64b(防食部材60b)の屈曲部分、すなわち、防食被覆部64bの基端部に形成される。すなわち、防食部材60は、癖付け用凹部68が形成された部分で薄肉となり、より曲がり易くなる。そして、展開させる外力を作用させない状態では折り返し形態から展開し難くなり、折り返し形態をより確実に維持することができる。また、防食被覆部64を、癖付け用凹部68の位置で曲げて折り返しすることにより、毎回略同じ折り返し形態を得ることができる。これにより、折り返す位置が毎回異なることを抑制し、防食被覆部64を展開したときに、防食部材60が芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆した端子付き電線の形態を毎回略同じ形態にすることができる。すなわち、製品ごとの個体差をより小さくして製品形態を安定化することができる。
【0065】
なお、図8では、折り返し形態の防食部材60bが示されているが、丸め形態の防食部材40aでも効果を得られる。すなわち、癖付け用凹部(68)が形成されることにより、薄肉の部分が曲がり易くなって、防食被覆部44aが癖付け用凹部まで丸められると、上記と同様の効果が得られる。
【0066】
これまで、端子付き電線10について、防食部材40の密着部42が芯線圧着部34と芯線露出部22との接触部分に対して端子30の基端側の位置で電線20に対して外嵌めされてその外周部に密着している例で説明してきたが、端子付き電線10はこれに限られるものではない。
【0067】
すなわち、端子付き電線は、防食部材40の密着部42が、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分に対して端子30の先端側の位置で、端子30に対して外嵌めされてその外周部に密着している構成でもよい。より具体的には、防食部材40の密着部42は、端子30の止水壁部38の外周部に密着可能に形成されているとよい。すなわち、密着部42の内周寸法が止水壁部38の外周寸法より小さく設定されていればよい。
【0068】
端子付き電線の製造時には、裏返し形態の防食部材40a(40b)を端子30に外嵌めする(工程(a))。より具体的には、密着部42を止水壁部38に被せてその外周部に密着させる。もっとも、密着部42を止水壁部38に被せるのは、端子30を電線20に圧着する工程(b)の後でもよい。
【0069】
また、これまで、端子30を電線20に圧着する工程(b)の前に、裏返し形態の防食部材40a(40b)を電線20又は端子30に外嵌めする工程(a)を行う例で説明してきたが、工程(a)の前に工程(b)を行ってもよい。例えば、端子がオス端子である場合には、端子嵌合部が棒状に形成されているため、圧着を行ってからでも、比較的防食部材40を外嵌めしやすい。
【0070】
すなわち、防食部材40は、少なくとも、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆可能であればよく、外嵌めする位置、展開する向きは適宜に決定されればよい。
【0071】
また、被覆圧着部36を有する端子30を用いる例について説明したが、被覆圧着部36を省略した端子を用いてもよい。
【0072】
また、端子30の止水壁部38は、省略されてもよい。すなわち、防食部材40が、端子嵌合部32と芯線圧着部34との間の部分に対して、全周に亘って隙間なく密着可能な場合、例えば、当該間の部分が底部31だけで構成される板状であり、防食部材40の内周寸法が板状部分の外周寸法より小さい場合等には省略できる。
【0073】
上記構成に係る防食部材40、端子付き電線10及びその製造方法によると、防食部材40の防食被覆部44が丸め又は折り返し可能に形成されているため、裏返し形態(丸め形態又は折り返し形態)の防食部材40a、40bを電線20の被覆部24に外嵌めしておき、裏返し形態の防食被覆部44a、44bを展開して展開形態に変形させることにより、芯線露出部22及び芯線圧着部34を被覆することができ、端子30と電線20との金属接触部分の防食処理を効率良く行うことができる。
【0074】
また、防食部材40の裏返し形態として丸め形態を採用する場合、丸め形態の防食被覆部44を転がすことにより容易に展開することができる。一方、防食部材40の裏返し形態として折り返し形態を採用する場合、長尺方向一箇所で折り返すだけで容易に折り返し形態に変形させることができる。
【0075】
また、端子30が断面視環状の外周部を有する止水壁部38を有しているため、防食部材40が止水壁部38の外周部に被されることにより、防食部材40が端子30に対して隙間なく密着し易く、端子30と防食部材40との間の止水性を向上させて防食性能を向上させることができる。
【0076】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る端子付き電線110について説明する(図9、図10参照)。なお、第1実施形態に係る端子付き電線10と同様の構成、工程等については、同符号を付すと共に説明を省略する。
【0077】
本端子付き電線110は、上述した防食部材40の代わりに、位置決め部146を有する防食部材140を備えている。
【0078】
より具体的には、防食部材140の密着部142が、位置決め部146を有している。位置決め部146は、防食被覆部144の基端部から、丸め形態の防食被覆部144aより先端側に延出する(図9参照)と共に、展開形態の防食被覆部144の内周側に延出するように形成されている(図10参照)。
【0079】
ここでは、位置決め部146は、密着部142の先端側の部分であり、筒状に形成されている。すなわち、防食部材140は、展開形態で、密着部142の後端側部分から、防食被覆部144(外周側)と位置決め部146(内周側)とが内外方向に重なって延出する形状である。もっとも、位置決め部146は、筒状に限られず、断面視弧状の延出片であってもよい。
【0080】
位置決め部146の延出寸法は、端子30の長手方向における被覆圧着部36の寸法より大きく設定されている。また、防食被覆部144との関係では、位置決め部146の延出寸法は防食被覆部144の延出寸法より小さく、その差は、少なくとも止水壁部38の前端部と芯線圧着部34の後端部との間の寸法分より大きく設定されている。すなわち、位置決め部146に対して被覆圧着部36が圧着され且つ芯線圧着部34が圧着されないと共に、防食被覆部144が止水壁部38まで被覆できるように各寸法が設定されていればよい。
【0081】
この防食部材140は、射出成型により形成されるとよい。
【0082】
端子付き電線110では、被覆圧着部36が、位置決め部146を挟んで被覆部24に対して圧着されている(図10参照)。すなわち、位置決め部146は、被覆部24の外周面に密着した状態で、被覆部24と被覆圧着部36との間の位置に配設されている。そして、防食被覆部144が位置決め部146及び被覆圧着部36の外周側を通って芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆している。
【0083】
端子付き電線110の製造時には、防食部材140を丸め形態に変形させた後、丸め形態の防食部材140aを被覆部24に外嵌めする工程(a)において、被覆部24のうち被覆圧着部36が圧着される位置に位置決め部146が配設されるように防食部材140aを外嵌めする(図9参照)。この位置では、丸め形態の防食被覆部144aは、被覆圧着部36が圧着される位置より芯線露出部22に対する被覆部24側の位置に配設される。すなわち、防食被覆部144aの位置は、被覆圧着部36が自身に対して圧着されない程度に被覆部24側の位置で且つ被覆圧着部36圧着用の金型が干渉しない程度に被覆部24側の位置である。
【0084】
そして、端子30を電線20に圧着する工程(b)では、被覆圧着部36を、位置決め部146を挟んで被覆部24に対して圧着する(図9参照)。すなわち、位置決め部146が外嵌めされている部分の被覆部24を被覆圧着部36の内側に配設して、被覆圧着部36を、一対の金型で位置決め部146ごと被覆部24に対して圧着する。なお、この場合、被覆圧着部36の一対の突出片間の幅寸法は、被覆部24に外嵌めされる位置決め部146を配設可能に設定される。また、当該一対の突出片の突出寸法も、位置決め部146を挟んで圧着可能に設定される。
【0085】
端子30が電線20に圧着されると、丸め形態の防食被覆部144aを展開して芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆する(工程(c))。
【0086】
以上の工程により、端子付き電線110を製造することができる。
【0087】
もっとも、位置決め部146を有する防食部材140は、上記形状に限られるものではない。例えば、防食部材は、密着部の基端部と防食被覆部144の基端部とが連続し、密着部と防食被覆部144とが同方向に延出して内外方向に重なる形状を採用することもできる。
【0088】
また、これまで、端子付き電線110について防食被覆部144の裏返し形態が丸め形態(144a)である例で説明してきたが、裏返し形態が折り返し形態であってもよい。
【0089】
また、第1実施形態に係る端子付き電線10について説明した各種変形例も、本端子付き電線110でも適宜採用することができる。
【0090】
上記構成に係る防食部材140、端子付き電線110及びその製造方法によると、位置決め部146が、防食被覆部144の内周側でその先端側に延出するように形成されているため、防食被覆部144aが丸め又は折り返しされた防食部材140aを被覆部に外嵌めした状態で、被覆圧着部36を、位置決め部146を挟んで被覆部24に圧着することができる。そして、被覆圧着部36が位置決め部146を挟んで被覆部24に対して圧着されていることにより、防食部材140がより正確に位置決めされる。これにより、防食部材140は、被覆部24に外嵌めされた状態で電線20の延在方向に位置ずれすることを抑制され、芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分をより確実に被覆できると共に、展開後に芯線露出部22と芯線圧着部34との接触部分を被覆した状態をより確実に維持することができる。
【0091】
また、被覆圧着部36が位置決め部146を挟んで被覆部24に対して圧着されているため、密着部142(位置決め部146)が被覆圧着部36による押圧力によっても被覆部24の外周面により強力に密着され、止水性が向上すなわち防食性能の向上にも寄与する。
【符号の説明】
【0092】
10、110 端子付き電線
20 電線
22 芯線露出部
24 被覆部
30 端子
34 芯線圧着部
36 被覆圧着部
38 止水壁部
40(40a、40b)、50、60(60b)、140(140a) 防食部材
42、142 密着部
44(44a、44b)、54、64(64b)、144(144a) 防食被覆部
68 癖付け用凹部
146 位置決め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線が被覆部により覆われ、端部に芯線露出部を有する電線と、
前記電線の前記芯線露出部に対して圧着されている芯線圧着部を有する端子と、
前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分に対して前記端子の先端側又は前記電線の前記被覆部側のいずれかの位置で前記端子又は前記電線の前記被覆部に対して外嵌めされて密着している密着部と、前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分を被覆するように前記密着部から延出し、先端部から前記密着部側に向けて丸め又は折り返し可能な防食被覆部とを有する防食部材と、
を備える、端子付き電線。
【請求項2】
請求項1に記載の端子付き電線であって、
前記端子は、前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分に対して前記端子の先端側の位置に形成され、断面視環状の外周部を有し、前記外周部の内側で前記端子の長手方向において止水可能な止水壁部を有し、
前記防食被覆部又は前記密着部は、前記止水壁部の外周部に密着している、端子付き電線。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の端子付き電線であって、
前記端子は、前記電線の前記被覆部に対して圧着される被覆圧着部を有し、
前記防食部材の前記密着部は、前記防食被覆部の内周側でその先端側に延出する位置決め部を有し、
前記被覆圧着部は、前記位置決め部を挟んで前記被覆部に対して圧着されている、端子付き電線。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の端子付き電線であって、
前記防食部材の内周部のうち、前記防食被覆部の基端部には、周方向に沿った凹条の癖付け用凹部が形成されている、端子付き電線。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の端子付き電線であって、
前記防食被覆部は、先端部ほど細くなるように形成されている、端子付き電線。
【請求項6】
電線端部で被覆部から露出される芯線露出部と、前記芯線露出部に対して圧着される端子の芯線圧着部との接触部分を防食部材で被覆して構成される端子付き電線の製造方法であって、
(a)先端部から基端部に向けて丸め又は折り返しされて形成されている筒状の前記防食部材を、前記端子又は前記電線の前記被覆部に外嵌めする工程と、
(b)前記芯線露出部に対して前記芯線圧着部を圧着する工程と、
(c)前記防食部材の丸め又は折り返しされた部分を展開して、前記芯線露出部と前記芯線圧着部との接触部分を被覆する工程と、
を有する、端子付き電線の製造方法。
【請求項7】
電線端部で被覆部から露出される芯線露出部と、前記芯線露出部に対して圧着される端子の芯線圧着部との接触部分に被覆される防食部材であって、
前記端子又は前記電線の前記被覆部の外周部に対して密着可能な筒状の密着部と、
前記密着部から筒状に延出し、先端部から前記密着部側に向けて丸め又は折り返しされている防食被覆部と、
を備える、防食部材。
【請求項8】
請求項7に記載の防食部材であって、
前記密着部は、前記防食被覆部の基端部から、前記防食被覆部より先端側に延出する位置決め部を有している、防食部材。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の防食部材であって、
前記防食部材の内周部のうち前記防食被覆部の基端部には、周方向に沿った凹条の癖付け用凹部が形成されている、防食部材。
【請求項10】
請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載の防食部材であって、
前記防食被覆部は、先端部ほど細くなるように形成され、当該先端部から基端部に向けて丸め又は折り返しされている、防食部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−74176(P2012−74176A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216727(P2010−216727)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】