説明

端子圧着電線製造装置及び端子圧着電線製造方法

【課題】 マシンタクトタイムを下げることなく、すなわち、製造能力を確保しつつ、より高品質の製品を製造できる端子圧着電線製造機を提供する。
【解決手段】 端子圧着電線製造機の操作パネル100には、端子圧着電線の先端処理サイクルタイム、後端処理サイクルタイム、排出処理サイクルタイムが表示されるウィンドウ110、120、130が設けられている。さらに、これら各サイクルタイムの最も長いサイクルタイムから各サイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間が、ウィンドウ111、121、131に表示される。そして、各加工作業の側方に、各々の加工作業に対応する細目動作が表示されており、各細目動作の両側には、オペレータにより決定される選択ボタン112、122、132と、余力時間(付加時間)を表示するウィンドウ113、123、133が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端に端子が圧着された電線(端子圧着電線)を製造する装置及び方法に関する。特には、製造能力を確保しつつ、より高品質の端子圧着電線を製造できる装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
端子圧着電線製造機は、詳細は後述するが、ロール状に巻かれた電線を所定の長さに切断する装置や、電線端末の皮むき装置、電線端末に端子を圧着する装置、完成した端子圧着電線を排出する装置、などを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
1本の端子圧着電線を製造するには、電線端末の皮むきから電線排出までの作業を順に連続して行っていく必要があるが、機構的にみると、各装置は独立して作動している。例えば、電線端末を皮むきする装置は、1本目の電線端末を皮むきした後、次に、2本目の電線端末を皮むきする作業にとりかかる。
【0004】
各装置の作業内容は異なるので、各装置が一つの作業を行う時間(サイクルタイム)も異なる。製品1本の生産時間(マシンタクトタイム)は、最も遅いサイクルタイムの装置によって決定される。この場合、速いサイクルタイムの装置においては、そのサイクルタイムとマシンタクトタイムとの差が待ち時間となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−102354
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、マシンタクトタイムを下げることなく、すなわち、製造能力を確保しつつ、より高品質の製品を製造できる端子圧着電線製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の端子圧着電線製造機は、 電線を任意の長さ送給する送給装置と、 該電線の先端部の皮をむく先端皮むき装置と、 該先端部に端子を圧着する先端端子圧着装置と、 該電線を切断する切断装置と、 切断された電線の後端部の皮をむく後端皮むき装置と、 該後端部に端子を圧着する後端端子圧着装置と、 両端に端子が圧着された電線の排出装置と、 前記後端端子圧着装置から前記電線排出装置との間で電線を受け渡す電線受け渡し装置と、 各装置を制御する制御装置と、 該制御装置を介して各装置を操作する操作パネルと、を備え、 製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造機であって、
前記制御装置が、製品種別毎に以下ア)〜エ)を算出して前記操作パネルに表示し、
ア)前記電線送給装置、前記先端皮むき装置及び前記先端端子圧着装置を含む装置により行われる先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき装置及び前記後端端子圧着装置を含む装置により行われる後端処理工程の1周期の長さである後端処理サイクルタイム、
ウ)前記排出装置を含む装置により行われる排出工程の1周期の長さである排出サイクルタイム、
エ)各サイクルタイムのうちの最も長いサイクルタイムから各サイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
さらに、前記操作パネルには、前記調整余力時間を振り分ける候補となる、各工程毎の細目動作項目がリストアップされており、 オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された前記細目動作項目のうちのいくつかのものに前記調整余力時間が割り振られることを特徴とする。
【0008】
製品の安定生産に関わる動作に余裕時間を割り振り、その動作を遅くするか、又は、動作間隔を長くする。これにより、マシンタクトタイムを維持したまま、品質向上、製品の不良率低下、安定操業を図れる。なお、この態様の端子圧着電線製造機はにおいては、後端端子圧着装置から電線排出装置との間で電線を受け渡す電線受け渡し装置を設けたので、後端処理作業と排出作業とを、平行して行うことができる。その結果、先端処理作業、後端処理作業、排出作業の三者を平行して行うことができる。そこで、三者のうち余力のあるもの(クリティカルでないもの)に余力を割り振ることにより、品質向上などを図れる。
【0009】
本発明の第2の態様の端子圧着電線製造機は、 電線を任意の長さ送給する送給装置と、 該電線の先端部の皮をむく先端皮むき装置と、 該先端部に端子を圧着する先端端子圧着装置と、 該電線を切断する切断装置と、 切断された電線の後端部の皮をむく後端皮むき装置と、 該後端部に端子を圧着する後端端子圧着装置と、 両端に端子が圧着された電線の排出装置と、 各装置を制御する制御装置と、 該制御装置を介して各装置を操作する操作パネルと、を備え、 製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造機であって、
前記制御装置が、製品種別毎に以下ア)〜ウ)を算出して前記操作パネルに表示し、
ア)前記電線送給装置、前記先端皮むき装置及び前記先端端子圧着装置を含む装置により行われる先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき装置及び前記後端端子圧着装置を含む装置により行われる後端処理工程、並びに、前記排出装置を含む装置により行われる排出工程を合わせた工程の1周期の長さである後端処理・排出サイクルタイム、
ウ)2個のサイクルタイムのうちの長いサイクルタイムからもう一方のサイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
さらに、前記操作パネルには、前記調整余力時間を振り分ける候補となる、各工程毎の細目動作項目がリストアップされており、 オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された前記細目動作項目のうちのいくつかのものに前記調整余力時間が割り振られることを特徴とする。
【0010】
この態様の端子圧着電線製造機においては、後端端子圧着装置から電線排出装置との間で電線を受け渡す電線受け渡し装置を設けていないので、後端処理作業と排出作業とは連続して行う必要がある。そこで、先端処理作業と、後端処理作業及び排出作業と、のいずれか余力のあるもの(クリティカルでないもの)に余力時間を割り振ることにより、品質向上などを図れる。
【0011】
以上の発明においては、 前記細目動作項目として、以下のA)〜E)の1以上を含むことを特徴とする;
A)前記送給装置の電線送り開始時のフィード加速時間、
B)前記皮むき装置に電線端部が搬送されてきてから被覆切込み動作を開始するまでの被覆切込み待ち時間、
C)前記皮むき装置において皮むき用のブレードを電線の被覆に切り込ませてから、ブレードを電線長手方向に移動させ始めるのを待つブレード移動待ち時間、
D)前記端子圧着装置における端子圧着位置に電線端部が搬送されてきてから圧着動作を開始するまでの圧着待ち時間、
E)前記排出装置の電線排出時の排出加減速時間。
【0012】
各項目の作用の一例を示す。
(A)フィード加減速時間:この加減速時間を長くすることによって、電線の滑りや腰折れなどを防ぎ、軟らかい電線の場合でも、電線を安定に送り出すことができる。
(B)被覆切込み待ち時間:この時間を長くすることによって、搬送による電線の振れが安定した後でブレードを被覆に切り込ませることができる。
(C)ブレード移動待ち時間:この時間を長くすることによって、確実に被覆を切断した後にブレードを移動させることができるので、皮むき精度を高くできる。
(D)圧着待ち時間:この時間を長くすることによって、搬送による電線の振れが安定した後で圧着動作を行うことができる。
(E)排出加減速時間:電線排出の加減速時間を長くすることによって、電線への慣性力が軽減され、電線に加わる勢いを低減し、電線を揃えて排出することができる。
【0013】
さらに、以上の発明においては、 選択された複数の前記細目動作項目に前記調整余力時間を等分に振り分けることとすれば、調整可能な項目を選択するだけで、面倒な按分計算と入力作業を軽減できる。
【0014】
本発明の第1の態様の端子圧着電線製造方法は、 電線を任意の長さ送給する工程と、 該電線の先端部の皮をむく工程と、 該先端部に端子を圧着する工程と、 該電線を切断する工程と、 切断された電線の後端部の皮をむく工程と、 該後端部に端子を圧着する工程と、 両端に端子が圧着された電線(端子圧着電線)を排出する工程と、 前記後端端子圧着工程と前記電線排出工程との間で、前記端子圧着電線をいったん持ち替える持ち替え工程と、を有し、 製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造方法であって、
製品種別毎に以下ア)〜エ)を算出し、
ア)前記電線送給工程、前記先端皮むき工程及び前記先端端子圧着工程を含む先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき工程及び前記後端端子圧着工程装置を含む後端処理工程の1周期の長さである後端処理サイクルタイム、
ウ)前記排出工程の1周期の長さである排出サイクルタイム、
エ)各サイクルタイムのうちの最も長いサイクルタイムから各サイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
そして、前記調整余力時間を、オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された、前記各工程毎の細目動作項目のうちのいくつかのものに割り振ることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の態様の端子圧着電線製造方法は、 電線を任意の長さ送給する工程と、 該電線の先端部の皮をむく工程と、 該先端部に端子を圧着する工程と、 該電線を切断する工程と、 切断された電線の後端部の皮をむく工程と、 該後端部に端子を圧着する工程と、 両端に端子が圧着された電線を排出する工程と、を有し、製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造方法であって、
製品種別毎に以下ア)〜ウ)を算出し、
ア)前記電線送給工程、前記先端皮むき工程及び前記先端端子圧着工程を含む先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき工程及び前記後端端子圧着工程を含む後端処理工程、並びに、前記排出工程を合わせた工程の1周期の長さである後端処理・排出サイクルタイム、
ウ)2個のサイクルタイムのうちの長いサイクルタイムからもう一方のサイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
そして、前記調整余力時間を、オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された、前記各工程毎の細目動作項目のうちのいくつかのものに割り振ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、端子圧着電線製造機の各サイクルタイムのうちの最も長いタクトタイムから各装置のサイクルタイムを引いた時間を余裕時間として、製品の安定生産に関わる動作に割り振り、サイクルタイムに余裕のある装置の細目動作を遅くするか、又は、動作間隔を長くする。これにより、マシンタクトタイムを維持したまま、製品の品質向上、不良率低下などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る端子圧着電線製造機の全体構造(各装置の配置)を模式的に示す図である。
【図2】図1の端子圧着電線製造機の製造工程を説明する図である。
【図3】図1の端子圧着電線製造機の操作パネルの一例を示す図である。
【図4】端子圧着電線の構造を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る端子圧着電線製造機の全体構造(各装置の配置)を模式的に示す図である。
【図6】図5の端子圧着電線製造機の製造工程を説明する図である。
【図7】図5の端子圧着電線製造機の操作パネルの一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図4を参照して、端子圧着電線の加工過程について説明する。
端子圧着電線200は、電線本体201と、その両端に圧着された端子203とを有する。この端子圧着電線200は、以下の順に加工されて製造される。
(1)ロール状に巻かれた電線の先端側端末201aの被覆を皮むきする。
(2)先端側の端末201aに端子203を圧着する。
(3)電線を所定の長さに切断する。
(4)切断した電線の後端側の端末201bの被覆を皮むきする。
(5)後端側の端末201bに端子203を圧着する。
【0019】
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る端子圧着電線製造機について説明する
端子圧着電線製造機1は、ロール状に巻かれた電線から所定の長さの電線を送り出す電線送給装置10、電線を把持及び搬送する2個のクランプ装置20A、20B、電線切断装置30、残留電線(電線送給装置10側の電線)の先端の皮むき装置40A、残留電線の先端への端子圧着装置50A、切断電線の後端の皮むき装置40B、切断電線の後端への端子圧着装置50B、両端に端子が圧着された電線(端子圧着電線)の排出装置60、を備える。さらに、端子圧着電線を、クランプ装置20Bから電線排出装置60へ受け渡す電線受け渡し装置80、を備える。
さらに、各装置を制御する制御装置と、制御装置を介して各装置を操作する操作パネル100(図3参照)と、を備える。
【0020】
電線送給装置10は一対のエンコーダローラ11と一対のフィードローラ12を備え、ロール状に巻き回された電線を所定の長さだけ送り出す。この電線送給装置10と、二個のクランプ装置20A、20Bは、電線送り方向(電線長手方向)に直列に並んで配置されている。ここで、電線送給装置10に近い側のクランプ装置20Aを先端側クランプ装置、もう一方のクランプ装置を後端側クランプ装置20Bという。また、両クランプ装置20A、20Bが電線送り方向に直列に並んだ位置を、原点位置P1という。
【0021】
先端側クランプ装置20Aは、電線の先端を把持するクランプ21A、同クランプ21Aを開閉するカム機構や同カム機構を駆動するシリンダ等が設けられたクランプ駆動機構22A、クランプ21Aとクランプ駆動機構22Aが載置された搬送テーブル23Aなどから構成される。搬送テーブル23Aは、電線送り方向に移動可能であるとともに、横方向に延びるレール24A上を電線搬送方向(この例では、電線送り方向と直交する方向)に移動可能に設けられている。
後端側クランプ装置20Bは、電線送給装置10から所定の長さ(製品となる端子圧着電線の長さ)繰り出された後の電線の後端を把持するクランプ21B、同クランプ21Bを開閉するカム機構や同カム機構を駆動するシリンダ等が設けられたクランプ駆動機構22B、クランプ21Bとクランプ駆動機構22Bが載置された搬送テーブル23Bなどから構成される。搬送テーブル23Bは、電線送り方向に移動可能であるとともに、横方向にレール24B上を電線搬送方向に移動可能に設けられている。
両クランプ装置20A、20B間には、電線を切断する切断装置30が設けられている。
【0022】
先端側クランプ装置20Aが原点位置P1から、搬送レール24A上を所定の距離移動した先には、先端端子圧着装置50Aが設けられている。また、この移動軌道の途中には、先端皮むき装置40Aが設けられている。
後端側クランプ装置20Bが原点位置P1から、搬送レール24B上を所定の距離移動した先には、後端端子圧着装置50Bが設けられている。この移動軌道の途中には後端皮むき装置40Bが設けられている。なお、後端側クランプ装置20Bは、搬送レール24B上を、後端端子圧着装置50Bから原点位置P1と反対方向に離れた持ち替え位置P2まで移動する。
【0023】
持ち替え位置P2の近辺には、端子圧着電線をトレイ80に排出する排出装置60が設けられている。排出装置60には、持ち替え位置P2と排出トレイ70の上方の排出位置P3との間を移動可能な排出ツメ61が設けられている。さらに、持ち替え位置P2の近辺には、電線受け渡し装置(持ち替えツメ)80が備えられている。この持ち替えツメ80は、持ち替え位置P2に移動したクランプ装置20Bから、端子圧着電線を取り出して一時的に保持する。
【0024】
図2と図1を参照して、この端子圧着電線製造機1の加工作業を説明する。
加工動作は、(I)先端側の加工作業、(II)後端側の加工作業、(III)両端加工後の排出作業、に分けられ、各作業間に切断作業及び受け渡し作業が介される。
原点状態は、切断作業終了後に、両クランプ装置20A、20Bが原点位置P1に位置し、残留電線の先端が先端側クランプ装置20Aのクランプ21Aで把持され、切断電線の後端が後端側クランプ装置20Bのクランプ21Bで把持されている状態である。なお、加工開始時は、先端側の加工作業のみとなる。また、排出装置60の排出ツメ61は、同装置60における原点位置に位置している。
【0025】
(I)先端側の加工作業(図2の最上段に示す)
送給された電線が切断された後、
(1)先端側クランプ装置20Aが先端皮むき装置40Aまで移動する。
(2)−1 皮むき装置のブレードが、残留電線の先端端部の被覆に切り込む。
(2)−2 皮むき装置のブレードが移動し、残留電線の先端端部の被覆をむく。
(3)先端側クランプ装置20Aが先端端子圧着装置50Aまで移動する。
(4)被覆がむかれた先端端部に先端端子圧着装置50Aによって端子が圧着される。
(5)先端側クランプ装置20Aが原点位置P1に戻る。
(6)先端側クランプ装置20Aのクランプ21Aが開いて、電線送給装置10により、先端端部に端子が圧着された残留電線が、所定の長さだけ送り出される(送り出された電線を切断電線という)。
(7)残留電線の先端が先端側クランプ装置20Aのクランプ21Aでクランプされる。
【0026】
(II)後端側の加工作業(図2の中段に示す)
送給された電線が切断された後、
(1)後端側クランプ装置20Bが後端皮むき装置40Bまで移動する。
(2)−1 皮むき装置のブレードが、切断電線の後端端部の被覆に切り込む。
(2)−2 皮むき装置のブレードが移動し、切断電線の後端端部の被覆をむく。
(3)後端側クランプ装置20Bが後端端子圧着装置50Bまで移動する。
(4)被覆がむかれた後端端部に後端端子圧着装置50Bによって端子が圧着される(圧着後の電線を端子圧着電線という)。
(5)後端側クランプ装置20Bが持ち替え位置P2に移動する。
(6)端子圧着電線が、後端側クランプ装置20Bから持ち替えツメ80に持ち替えられる。
(7)後端側クランプ装置20Bが原点位置P1に戻る。
(8)切断電線(送り出された電線)の後端が後端側クランプ装置20Bでクランプされる。
【0027】
(III)排出作業(図2の最下段に示す)
(1)排出装置60の排出ツメ61が原点位置から持ち替え位置P2に移動する。
(2)端子圧着電線が持ち替えツメ80から排出ツメ81に持ち替えられる。
(3)排出ツメ61が排出位置P3へ移動する。
(4)排出ツメ61が開き、端子圧着電線をトレイ70上に排出する。
(5)排出ツメ61が原点位置に戻る。
【0028】
加工作業終了時には、(I)先端側加工作業を行わず、先端側加工済みの電線の(II)後端側加工作業を行い、その後、両端加工済み電線(端子圧着電線)の(III)排出作業を行う。これにより、製造機上には電線が残っていない状態となる。
【0029】
このように、(I)先端側加工作業と(II)後端側加工作業との間には切断作業を介し、(II)後端側加工作業と(III)排出作業との間に受け渡し作業を介することにより、切断作業を基点として、先端側加工作業、後端側加工作業及び排出作業をそれぞれ独立して(平行して)行うことができる。
つまり、電線を切断した後、先端側クランプ装置20Aは、切断された電線(1本目の電線)の加工(後端側加工作業、排出作業)には干渉しないので、2本目の電線の先端側加工に取り掛かることができる。
また、持ち替えツメ80が1本目の電線をクランプした後、後端側クランプ装置20Bは、1本目の電線の加工(排出作業)には干渉しないので、2本目の電線の後端側加工に取り掛かることができる。
そして、排出装置60は、持ち替えツメ80に保持されている端子圧着電線を排出トレイ70に搬送する作業のみを行うので、後端側クランプ装置20Bの動作と干渉しない。
【0030】
1本の端子圧着電線100を製造するのにかかる時間は、(I)先端側加工作業に必要な時間(先端処理サイクルタイム)、(II)後端側加工作業に必要な時間(後端処理サイクルタイム)、(III)排出作業に必要な時間(排出処理サイクルタイム)の合計となる。しかし、前述のように、実際には各作業が独立して(平行して)行われるので、実質的に必要な時間はこの合計時間ではなく、これら3個のサイクルタイムの中の最も長い時間であり、これがマシンタクトタイムとなる。つまり、3個のサイクルタイムの中の最も長い時間を要する作業が、律速過程となる。各サイクルタイムは、例えば、端子圧着電線の長さ、電線の固さ(柔らかさ)、電線径、被覆表面の特性、端子の種類などによって決定される。
【0031】
第1の例として、電線長が短く、電線が軟らかい場合の例を述べる。
作業者は電線加工に先立ち、電線長、フィード速度、被覆切込み量、被覆切込み待ち時間、皮むき長さ、皮むき待ち時間、圧着高さ、圧着待ち時間、電線の搬送速度、排出加減速度、他主要な運転条件を入力画面(図示せず)から入力する。この場合軟らかい電線であることを考慮して排出加減速度は通常より小さい値を入力する。
そして試運転を行い、制御装置で先端処理サイクルタイム、後端処理サイクルタイム、排出サイクルタイムを計測する。これらの値は、操作パネルに表示される。
この場合の例として、先端処理サイクルタイム:0.55秒、後端処理サイクルタイム:0.6秒、排出サイクルタイム:0.75秒とする。
この例では、電線長を短く、排出の加減速度を遅く設定したために、排出サイクルタイムが最も遅い時間となる。つまり、排出工程が律速過程であり、マシンタクトタイムは0.75秒となる。
【0032】
第2の例として、例えば、電線長が長く、電線が硬い場合の例を述べる。加工に先立つ運転条件の入力及び試運転の方法は第1例と同様である。この場合は電線が硬いということを考慮し排出加減速度は通常の値に設定されている。
そして試運転を行い、制御装置により先端処理サイクルタイム、後端処理サイクルタイム、排出サイクルタイムを計測する。これらの値は、操作パネルに表示される。
この場合の例として、先端処理サイクルタイム:1.42秒、後端処理サイクルタイム:0.5秒、排出サイクルタイム:0.3秒とする。
この例では、電線長が長いため、電線フィードに時間を要し、先端処理サイクルタイムが最も長い時間となる。つまり、先端処理工程が律速過程であり、マシンタクトタイムは1.42秒である
この第2の例において、先端側加工作業が行われている間に、後端側加工作業が通常のシーケンス通り行われた場合、後端側クランプ装置20Bは原点位置P1に戻った状態で、先端側加工作業が終了するまでの間(この例では、1.42−0.5=0.95秒間)待機している。また、同様に、排出作業が通常のシーケンス通り行われた場合、排出ツメ61は原点位置で、先端側加工作業が終了するまでの間(1.42−0.3=1.12秒間)待機している。
【0033】
本発明においては、これらの待機時間を、各工程の調整余力時間として、各工程毎の細目動作項目に振り分ける。細目動作項目と、これらの動作に余力時間を分配することによって得られる効果の一例を示す。
(I)先端側加工作業
(A)電線送給加速時間:電線送給装置から電線を送り出す際の加速度。この加速度を遅くすることによって、電線の滑りなどを防ぎ、電線が柔らかい場合でも電線の腰折れを防ぎ、電線を安定に送り出すことができる。
(I)先端側加工作業、(II)後端側加工作業
(B)被覆切込み待ち時間:電線が皮むき装置に搬送されてから、ブレードを電線の被覆に切り込ませるまでの時間。この時間を長くすることによって、搬送による電線の振れが安定した後でブレードを被覆に切り込ませることができる。
(C)ブレード移動待ち時間:皮むき装置において、ブレードを電線の被覆に切り込ませてから、電線長手方向に移動させ始めるまでの時間。この時間を長くすることによって、ブレード確実に被覆に切り込んだ後移動するので、皮むき精度を高くできる。
(D)圧着待ち時間:電線が圧着装置に搬送されてから圧着動作を開始するまでの時間。この時間を長くすることによって、搬送による電線の振れが安定した後で圧着動作を行うことができる。
(III)排出作業
(E)排出加減速時間:電線を排出する際の加減速時間。この時間を長くすることによって、電線に加わる慣性力を小さく出来るため、排出の整列性を高めると共に電線の屈曲などを防ぐことが出来る。
【0034】
図2を参照して、前述の第2の例(先端処理サイクルタイムが1.42秒、後端処理サイクルタイムが0.5秒、排出処理サイクルタイムが0.3秒)における、余力時間の振り分け例を説明する。
この例では、後端処理サイクルタイムに0.92秒(=1.42秒−0.5秒)の余力時間が存在し、排出処理サイクルタイムに1.12秒(=1.42秒−0.3秒)の余力時間が存在する。
【0035】
そこで、(II)後端側加工作業において、(1)皮むき装置へ移動、と、(2)−1皮むき加工(被覆切込み)、との間(白抜き矢印a−1)に、0.3秒の被覆切込み待ち時間を付加できる。これにより、前述の表に示したように、電線の搬送時の振れが収まってからブレードによる皮むきを行うことができる。
次に、(2)−1皮むき加工(被覆切込み)と(2)−2皮むき加工(ブレード移動)との間(白抜き矢印a−2に0.3秒のブレード移動待ち時間を付加できる。これによりブレードが確実に被覆を切断した後に皮むきを行うことができ、皮むき精度が向上する。
さらに、(3)端子圧着装置へ移動、と、(4)端子圧着加工、との間(白抜き矢印b)に、0.3秒の圧着待ち時間を付加することが出来る。これにより、電線の搬送時の振れが収まってから圧着作業を行うことができる。
この結果、後端側加工作業時間は全部で1.4秒となる。
【0036】
さらに、(III)排出作業工程において、(3)排出位置へ搬送する際(白抜き矢印c)に、排出加減速時間を1.1秒だけ付加できる。これにより、排出時における電線に加わる慣性力を小さく出来るため、排出の整列性を高めると共に電線の屈曲などを防ぐことが出来る。
この結果、排出作業時間は全部で1.4秒となる。
【0037】
このように余力時間を適切に分配することにより、前述のような効果が得られる。その結果、完成した製品の長さ、被覆の皮むきの精度、端子の圧着の確実さなどが向上した高品質の製品を製造できる。さらに、完成した製品を取り出しやすく整列させることができる。
【0038】
余力時間や、細目動作項目は、端子圧着電線製造機1に設けた操作パネル100に表示される。操作パネル100の一例を図3に示す。
パネル100には、前述したように、製品となる端子圧着電線の特性によって予め算出される先端処理サイクルタイム、後端処理サイクルタイム、排出サイクルタイムが表示されるウィンドウ110、120、130が設けられている。これらの数値は制御部に送られて、これらの時間のうちの最も長いサイクルタイムの作業が判定される。そして、この作業のサイクルタイムからそれ以外の作業のサイクルタイムを引いた各作業の調整余力時間が算出される。これらの結果は、各ウィンドウの下方に設けられた、各作業に存在する余力時間を表示するウィンドウ111、121、131に表示される。
例えば、前述の第2の例(先端処理サイクルタイムが1.42秒、後端処理サイクルタイムが0.5秒、排出サイクルタイムが0.3秒)においては、先端処理サイクルタイムを示すウィンドウ110に1.42、後端処理サイクルタイムを示すウィンドウ120に0.5、排出サイクルタイムを示すウィンドウ130に0.3が表示される。そして、先端側加工作業の余力時間を示すウィンドウ111に0、後端側加工時間の余力時間を示すウィンドウ121に0.92、排出作業の余力時間を示すウィンドウ131に1.12が表示される。
【0039】
さらに、各加工作業の側方に、前述の、各作業に対応する細目動作が表示されている。具体的には、先端処理サイクルタイムの側方に、「フィード加速時間(電線送給加速時間)」、「被覆切り込み待ち時間」、「ブレード移動待ち時間」、「圧着待ち時間」が表示される。また、後端処理サイクルタイムの側方に、「被覆切り込み待ち時間」、「ブレード移動待ち時間」、「圧着待ち時間」が表示される。また、排出サイクルタイムの側方に、「排出加減速時間」が表示されている。各細目動作の左方には、選択ボタン112、122、132が設けられている。オペレータは、余力時間を分配したい細目動作を決定し、該当する、選択ボタンを押す。さらに、各細目動作の右方には、余力時間(付加時間)を表示するウィンドウ113、123、133が設けられている。オペレータは、分配したい余力時間を決定し、例えば、テンキー(図示されず)から入力する。
【0040】
なお、細目動作項目のみを選択すると、余力時間を選択された細目動作に等分に振り分けることもできる。この場合、面倒な按分計算と入力作業を軽減できる。
【0041】
今回の例では、先端側サイクルタイムが最も長い場合について説明したが、他の加工作業時間が長く、先端側サイクルタイムに余力時間が存在する場合には、余力時間を図2に示すように、以下に述べるように分配することができる。
(1)皮むき装置に移動、と、(2)−1皮むき加工、との間(白抜き矢印d−1)に、被覆切り込み待ち時間を設け、(2)−1皮むき加工(被覆切込み)と(2)−2皮むき加工(ブレード移動)との間(白抜き矢印d−2)にブレード移動待ち時間を設ける。また、(3)端子圧着装置への移動、と、(4)端子圧着作業、との間(白抜き矢印e)に、圧着待ち時間を設ける。
さらに、(6)電線送給、において、電線送給装置から電線を送り出す際(白抜き矢印f)に、送り出しの加速度を遅くする。これにより、電線の滑りなどを防ぎ、電線が柔らかい場合でも電線の腰折れを防いで、電線を安定に送り出すことができる。
【0042】
次に、図5、図6を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る端子圧着電線製造機について説明する。この形態の端子圧着電線製造機は、図5に示すように、図1で説明した端子圧着電線製造機とほぼ同じ構造を有するが、持ち替えツメ80が具備されていない。そして、後端側クランプ装置20Bは、後端端子圧着装置50Bへ移動した位置から、原点位置P1と反対方向に離れた持ち替え位置P2まで移動する。また、排出装置60の排出ツメ61は、持ち替え位置P2と排出トレイ70の上方の排出位置P3との間を移動する。
【0043】
図5と図6を参照して、この端子圧着電線製造機1の加工作業を説明する。
(I)先端側の加工作業については、図2の作業と同じであるので説明を省略する。
【0044】
(II)後端側加工作業
(1)〜(4)までは、図2の作業と同じである。
(5)後端側クランプ装置20Bが持ち替え位置P2に移動する。
(6)端子圧着電線が、後端側クランプ装置20Bから排出装置60の排出ツメ61に持ち替えられる。
(7)後端側クランプ装置20Bが原点位置に戻る。
(8)切断電線の後端が後端側クランプ装置20Bでクランプされる。
【0045】
(III)排出作業
(1)排出装置60の排出ツメ61で端子圧着電線の後端部がクランプされる(後端側作業の(6)と同じ)。
(2)排出ツメ61が排出位置P3へ移動する。
(3)排出ツメ61が開き、端子圧着電線をトレイ70上に排出する。
(4)排出ツメ61が持ち替え位置P2に戻る。
【0046】
この例においては、持ち替えツメ80が存在しないため、(4)端子圧着後に、持ち替え位置P2において、端子圧着電線を、後端側クランプ装置20Bから排出装置60に受け渡す必要がある。このため、(II)後端側加工作業と(III)排出作業とは、独立して(平行して)行うことができず、これらの作業を連続して行う必要がある。ただし、(I)先端側加工作業と、(II)後端側加工作業及び(III)排出作業とは、電線切断作業を基点として平行に行うことができる。
【0047】
この場合、先端処理サイクルタイム、及び、後端処理サイクルタイムと排出処理サイクルタイムとを足した時間との、どちらか長い時間を要する作業が、律速過程となる。
【0048】
第1の例として、先端処理サイクルタイムが0.65秒、後端処理サイクルタイムが0.5秒、排出サイクルタイムが0.75秒の場合、後端処理サイクルタイムと排出処理サイクルタイムとを足した時間は1.25秒である。したがって、連続する(II)後端側加工作業と(III)排出作業とが律速過程であり、先端処理サイクルタイムに、0.6秒(=1.25秒−0.65秒)の余力調整時間が存在する。
【0049】
第2の例として、先端処理サイクルタイムが1.42秒、後端処理サイクルタイムが0.5秒、排処理サイクルタイムが0.3秒の場合、後端処理サイクルタイムと排出処理サイクルタイムとを足した時間は0.8秒である。この例では、(I)先端側加工作業が律速過程であり、後端処理サイクルタイムと排出処理サイクルタイムとに、0.62秒(=1.42秒−0.8秒)の余力調整時間が存在する。
【0050】
この例の端子圧着電線製造機1の操作パネル100Aの一例を図7に示す。
この例においては、パネル100Aには、先端処理サイクルタイム、及び、後端処理・排出サイクルタイムが表示されるウィンドウ110、140が設けられている。これらの数値は制御部に送られて、長い方のサイクルタイムの作業が判定される。そして、この作業のサイクルタイムからもう一方の作業のサイクルタイムを引いた調整余力時間が算出される。これらの結果は、各ウィンドウの下方に設けられた、各作業に存在する余力時間を表示するウィンドウ111、141に表示される。
【0051】
さらに、各加工作業の側方に、前述の、各作業に対応する細目動作が表示されている。具体的には、先端処理サイクルタイムの側方に、「フィード加速時間」、「被覆切り込み待ち時間」、「ブレード移動待ち時間」、「圧着待ち時間」が表示される。また、後端処理サイクルタイムの側方に、「被覆切り込み待ち時間」、「ブレード移動待ち時間」、「圧着待ち時間」、「排出加減速時間」が表示される。各細目動作の左方には、選択ボタン112、142が設けられている。オペレータは、余力時間を分配したい細目動作を決定し、該当する、選択ボタンを押す。さらに、各細目動作の右方には、余力時間(付加時間)を表示するウィンドウ113、143が設けられている。オペレータは、分配したい余力時間を決定し、例えば、テンキー(図示されず)から入力する。
【0052】
余力時間の分配方法については、第1の実施の形態と同様であり、図6の白抜き矢印で示す工程に、所望の調整余力時間を振り分けることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 端子圧着電線製造機
20A、20B クランプ装置 21A、21B クランプ
22A、22B クランプ駆動機構 23A、23B 搬送テーブル
24A、24B レール 30 切断装置
40A、40B 皮むき装置 50A、50B 端子圧着装置
60 排出装置 61 排出ツメ
70 トレイ 80 電線受け渡し装置(持ち替えツメ)
100、100A 操作パネル
110、120、130、140 ウィンドウ
111、121、131、141 ウィンドウ
112、122、132、142 選択ボタン
113、123、133、143 ウィンドウ
200 端子圧着電線 201 電線本体
203 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を任意の長さ送給する送給装置と、
該電線の先端部の皮をむく先端皮むき装置と、
該先端部に端子を圧着する先端端子圧着装置と、
該電線を切断する切断装置と、
切断された電線の後端部の皮をむく後端皮むき装置と、
該後端部に端子を圧着する後端端子圧着装置と、
両端に端子が圧着された電線の排出装置と、
前記後端端子圧着装置から前記電線排出装置との間で電線を受け渡す電線受け渡し装置と、
各装置を制御する制御装置と、
該制御装置を介して各装置を操作する操作パネルと、を備え、
製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造機であって、
前記制御装置が、製品種別毎に以下ア)〜エ)を算出して前記操作パネルに表示し、
ア)前記電線送給装置、前記先端皮むき装置及び前記先端端子圧着装置を含む装置により行われる先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき装置及び前記後端端子圧着装置を含む装置により行われる後端処理工程の1周期の長さである後端処理サイクルタイム、
ウ)前記排出装置を含む装置により行われる排出工程の1周期の長さである排出サイクルタイム、
エ)各サイクルタイムのうちの最も長いサイクルタイムから各サイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
前記操作パネルには、前記調整余力時間を振り分ける候補となる、各工程毎の細目動作項目がリストアップされており、
オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された前記細目動作項目のうちのいくつかのものに前記調整余力時間が割り振られることを特徴とする端子圧着電線製造機。
【請求項2】
電線を任意の長さ送給する送給装置と、
該電線の先端部の皮をむく先端皮むき装置と、
該先端部に端子を圧着する先端端子圧着装置と、
該電線を切断する切断装置と、
切断された電線の後端部の皮をむく後端皮むき装置と、
該後端部に端子を圧着する後端端子圧着装置と、
両端に端子が圧着された電線の排出装置と、
各装置を制御する制御装置と、
該制御装置を介して各装置を操作する操作パネルと、を備え、
製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造機であって、
前記制御装置が、製品種別毎に以下ア)〜ウ)を算出して前記操作パネルに表示し、
ア)前記電線送給装置、前記先端皮むき装置及び前記先端端子圧着装置を含む装置により行われる先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき装置及び前記後端端子圧着装置を含む装置により行われる後端処理工程、並びに、前記排出装置を含む装置により行われる排出工程を合わせた工程の1周期の長さである後端処理・排出サイクルタイム、
ウ)2個のサイクルタイムのうちの長いサイクルタイムからもう一方のサイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
前記操作パネルには、前記調整余力時間を振り分ける候補となる、各工程毎の細目動作項目がリストアップされており、
オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された前記細目動作項目のうちのいくつかのものに前記調整余力時間が割り振られることを特徴とする端子圧着電線製造機。
【請求項3】
前記細目動作項目として、以下のA)〜E)の1以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の端子圧着電線製造機;
A)前記送給装置の電線送り開始時のフィード加速時間、
B)前記皮むき装置に電線端部が搬送されてきてから被覆切込み動作を開始するまでの被覆切込み待ち時間、
C)前記皮むき装置において皮むき用のブレードを電線の被覆に切り込ませてから、ブレードを電線長手方向に移動させ始めるのを待つブレード移動待ち時間、
D)前記端子圧着装置における端子圧着位置に電線端部が搬送されてきてから圧着動作を開始するまでの圧着待ち時間、
E)前記排出装置の電線排出時の排出加減速時間。
【請求項4】
選択された複数の前記細目動作項目に前記調整余力時間を等分に振り分けることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の端子圧着電線製造機。
【請求項5】
電線を任意の長さ送給する工程と、
該電線の先端部の皮をむく工程と、
該先端部に端子を圧着する工程と、
該電線を切断する工程と、
切断された電線の後端部の皮をむく工程と、
該後端部に端子を圧着する工程と、
両端に端子が圧着された電線(端子圧着電線)を排出する工程と、
前記後端端子圧着工程と前記電線排出工程との間で、前記端子圧着電線をいったん持ち替える持ち替え工程と、
を有し、
製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造方法であって、
製品種別毎に以下ア)〜エ)を算出し、
ア)前記電線送給工程、前記先端皮むき工程及び前記先端端子圧着工程を含む先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき工程及び前記後端端子圧着工程装置を含む後端処理工程の1周期の長さである後端処理サイクルタイム、
ウ)前記排出工程の1周期の長さである排出サイクルタイム、
エ)各サイクルタイムのうちの最も長いサイクルタイムから各サイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
前記調整余力時間を、オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された、前記各工程毎の細目動作項目のうちのいくつかのものに割り振ることを特徴とする端子圧着電線製造方法。
【請求項6】
電線を任意の長さ送給する工程と、
該電線の先端部の皮をむく工程と、
該先端部に端子を圧着する工程と、
該電線を切断する工程と、
切断された電線の後端部の皮をむく工程と、
該後端部に端子を圧着する工程と、
両端に端子が圧着された電線を排出する工程と、
を有し、製品種別毎に定められた長さに電線を切断して両端に端子を圧着する端子圧着電線製造方法であって、
製品種別毎に以下ア)〜ウ)を算出し、
ア)前記電線送給工程、前記先端皮むき工程及び前記先端端子圧着工程を含む先端処理工程の1周期の長さである先端処理サイクルタイム、
イ)前記後端皮むき工程及び前記後端端子圧着工程を含む後端処理工程、並びに、前記排出工程を合わせた工程の1周期の長さである後端処理・排出サイクルタイム、
ウ)2個のサイクルタイムのうちの長いサイクルタイムからもう一方のサイクルタイムを引いた各工程の調整余力時間、
前記調整余力時間を、オペレーターの適宜の選択及び/又は事前の設定により選択された、前記各工程毎の細目動作項目のうちのいくつかのものに割り振ることを特徴とする端子圧着電線製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−262877(P2010−262877A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114185(P2009−114185)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000228257)日本オートマチックマシン株式会社 (39)
【Fターム(参考)】