説明

端子金具の継線構造及び継線方法

【課題】継線する導線への損傷を抑制した端子金具の継線構造及び継線方法の提供。
【解決手段】導線が継線される端子金具6の継線構造であって、端子金具6は、導線が継線される継線部62を有し、継線部62は、端子金具6へ向けて引き回された導線が載置される台座部62Aと、台座部62Aから延出され台座部62A上に載置された導線を保持する保持部64と、台座部62Aから延出されると共に導線と溶接された溶接部と、を有し、保持部64は、台座部62Aから延出される延出方向先端側に位置して台座部表面に当接若しくは近接する受け部64Aと、延出方向基端側に位置して受け部64Aの台座部62A表面からの離間を抑制するバネ部64Bとを有し、受け部64Aと台座部62Aとの間に導線を弾性的に保持する端子金具6の継線構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端子金具の継線構造及び継線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコイル部品に用いられる端子金具では、特許文献1に示されるように、固定部を折り曲げてかしめることによって導線を端子金具に固定し、その後に溶接により継線を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−67206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、固定部をかしめる構成では、かしめる時の圧力により、導線に傷が入るおそれがある。導線が十分に太い場合ならば、強度的な低下は微々たるものであるが、細線の導線の場合には、取り扱いに特に注意が必要である。よって本発明は、継線する導線への損傷を抑制した端子金具の継線構造及び継線方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、導線が継線される端子金具の継線構造であって、端子金具は、導線が継線される継線部を有し、継線部は、端子金具へ向けて引き回された導線が載置される台座部と、台座部から延出され台座部上に載置された導線を保持する保持部と、台座部から延出されると共に導線と溶接された溶接部と、を有し、保持部は、台座部から延出される延出方向先端側に位置して台座部表面に当接若しくは近接する受け部と、延出方向基端側に位置して受け部の台座部表面からの離間を抑制するバネ部とを有し、受け部と台座部との間に導線を弾性的に保持する端子金具の継線構造を提供する。
【0006】
このような構成によると、予め閉じている箇所である受け部と台座部との間に導線を挿入して導線を保持する構造であるため、導線は保持部のバネ力のみで保持される。よってこのバネ力を予め適正な強さとすることにより、導線に傷が入ることを抑制することができる。
【0007】
上記構成の継線構造において、受け部は、台座部と当接若しくは近接する対面部と、延出方向において対面部より先端側に位置し先端側に行くに従い台座部から離間する離間部とを有し、対面部から台座部までの距離が導線の直径より小さくなると共に、離間部の最先端位置における台座部までの距離が導線の直径より大きくなるように構成されていることが好ましい。
【0008】
このような構成によると、容易に導線を受け部と台座部との間に挿入して保持することができる。
【0009】
また受け部は、台座部に対向すると共に台座部表面と共に導線を保持する受け面を有し、受け面には、導線の引き出し方向において上流側に位置する縁部が規定され、縁部は面取加工されていることが好ましい。
【0010】
このような構成によると、導線の損傷を更に抑制することができる。
【0011】
またバネ部は、台座部から受け部にかけてなだらかな弧状に構成されていることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、バネ部の特性をよくして、細い導線から太い導線まで好適に保持することができる。
【0013】
また導線は、複数の線が撚られて構成される撚り線であってもよい。
【0014】
また上記課題を解決するために本発明は、端子金具に導線を継線する継線方法であって、端子金具へ向けて引き回された導線が載置される台座部と、台座部から延出され台座部上に載置された導線を保持する保持部と、台座部から延出されると共に導線と溶接される溶接片と、を有し、保持部は、台座部からの延出方向先端側に位置して台座部表面に当接若しくは近接する受け部と、延出方向基端側に位置して受け部の台座部表面からの離間を抑制するバネ部とを有する端子金具を準備する準備工程と、保持部に導線を挟みつつ導線を台座部上に載置する導線保持工程と、台座部上に載置された導線に溶接片を添わせると共に導線と溶接片とを溶接して継線を行う溶接工程と、により導線を端子金具に継線する端子金具の継線方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の端子金具の継線構造及び継線方法によれば、継線する導線への損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るコイル部品の斜視図。
【図2】本発明の実施の形態に係るコイル部品の部品本体の斜視図。
【図3】本発明の実施の形態に係るコイル部品のコアの(a)側面図、(b)底面図、(c)平面図、(d)正面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るコイル部品の端子金具の(a)側面図、(b)底面図、(c)正面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るコイル部品の鍔部に端子金具を装着した状態での部分側面図。
【図6】本発明の実施の形態に係るコイル部品の鍔部に端子金具を装着した状態での部分底面図。
【図7】本実施の形態に係る端子金具の保持部と導線との大小関係を示す図。
【図8】本発明の実施の形態に係るコイル部品の導線を撚り線にする工程を示す図。
【図9】本発明の実施の形態に係るコイル部品の製造過程を示す図であって、導線保持工程に係る図。
【図10】本発明の実施の形態に係るコイル部品の製造過程を示す図であって、導線を巻芯部に巻回している状態の図。
【図11】本発明の実施の形態に係るコイル部品の製造過程を示す図であって、導線を固定した状態の図。
【図12】本発明の実施の形態に係るコイル部品の製造過程を示す図であって、被覆剥離工程に係る図。
【図13】本発明の実施の形態に係るコイル部品の製造過程を示す図であって、溶接工程に係る図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1から図13に基づき説明する。図1に示されるコイル部品1は、実装基板10上のランドパターン10A、10Aにハンダで実装されるアンテナコイルであり、長手方向(後述の巻芯部3の軸方向)の長さが約8.0mm、長手方向と直交する上下方向(実装基板10からコイル部品1に向かう方向を上方と定義)、上下方向及び長手方向と直交する幅方向がそれぞれ約2.7mmである。コイル部品1は、本体1Aと、本体1Aを覆うケース1Bとから構成されている。ケース1Bは、一面が開口して内部に本体1Aを収容する空間が画成された略直方体状の絶縁樹脂ケースであり、内部に本体1Aを固定する爪が複数設けられている。
【0018】
図2に示されるように、本体1Aは、コア2と、一対の端子金具6、7と、導線8とから主に構成されており、長手方向、幅方向、上下方向でそれぞれ7.0mm、2.0mm、1.8mmになるように構成されている。
【0019】
コア2は、図3(a)に示されるように、巻芯部3と、巻芯部3の長手方向一端及び他端に設けられ、互いに同形状の一対の鍔部4、鍔部5より構成されている。鍔部4、鍔部5は同形状・同構成であるため、代表として鍔部4について説明する。
【0020】
巻芯部3は、長手方向に直交する断面が略方形に構成され、図3(b)に示されるように一対の鍔部4、鍔部5に対して、それぞれの幅方向の中央に位置するように配置されている。
【0021】
鍔部4は、コイル部品1が実装基板10に実装された状態で実装基板10に対面すると共に、図3(a)に示されるように、巻芯部3の軸と略平行な実装面41と、巻芯部3の軸を鍔部4側に延長した仮想線Xに対して実装面41の反対側に位置し実装面41と平行な継線面42と、幅方向と交差し実装面41と継線面42との間に位置する側面43、43(図3(d))を有している。図3(b)に示されるように、実装面41には、幅方向に並んだ一対の実装側凹部41a、41aが形成されている。図3(c)に示されるように、継線面42には、その幅方向において中心位置に一の継線側凹部42aが形成されている。また図3(d)に示されるように、鍔部4において、側面43、43には、それぞれ段部43a、43aが設けられている。これら段部43a、43aは、本体1Aがケース1B内に挿入された際にケース1B内の図示せぬ爪に掛止され、本体1Aがケース1Bから脱落するのを防いでいる。
【0022】
一対の端子金具6、7は、リン青銅の板材から形成されており、互いに同形状、同構成を成している。よって代表として端子金具6について説明する。
【0023】
端子金具6は、図4(a)に示されるように、互いに略平行に伸びる実装部61及び継線部62と、実装部61と継線部62とを接続する連結部63とから略コの字状に構成されている。実装部61と継線部62とは、それぞれ実装面41と継線面42とに接した状態で、その間に鍔部4を挟持可能な距離に配置されている。
【0024】
実装部61は、コイル部品1が実装基板10に実装される際の実装箇所となる部材であり、略コの字状の内周面になる面に、図4(a)(b)に示されるように、ボッチである一対の凸部61A、61Aを有している。この一対の凸部61A、61Aは、端子金具6を鍔部4に装着した状態で、一対の実装側凹部41a、41a内に挿入される。また一対の凸部61A、61Aは、図5に示されるように、実装部61の内周面が実装面41から僅かに離間して実装部61内周面と実装面41との間に隙間が形成されるように、実装側凹部41a、41a内に完全に収まらない程度の大きさに構成されている。
【0025】
また図4(b)、図6に示されるように、実装部61には、長手方向であって鍔部4から巻芯部3に向かう方向(第一方向)の終端位置に幅方向(第二方向)に延びる縁部61Bが規定されており、縁部61Bから第一方向と反対の方向へ向けて切り欠かれた切欠61aが形成されている。この切欠61a内の最深部には、幅方向に延びる底縁部61Cが規定されている。底縁部61Cの幅方向の長さは、切欠61aの縁部61Bにおける開口幅より小さくなるように構成されている。また切欠61aは、図6に示されるように、巻芯部3の軸を鍔部4側に延長した仮想線Xと実装面41の平面視で重なる位置、即ち、幅方向における鍔部4の略中心位置に配置されるように形成されている。
【0026】
継線部62は、導線8の端部が継線される部材であり、台座部62Aと、保持部64と、溶接片62Bとを主に備えて構成されている。台座部62Aは、連結部63と接続され実装部61と略平行な平板であり、上述の略コの字状の一部を構成している。台座部62Aにおいて、略コの字状の内周面になる面には、図4(b)に示されるように、ボッチである凸部62Cを有している。この凸部62Cは、端子金具6を鍔部4に装着した状態で、継線側凹部42a内に挿入される。また凸部62Cは、図5に示されるように、台座部62Aの内周面が継線面42から僅かに離間して台座部62A内周面と継線面42との間に隙間が形成されるように、継線側凹部42a内に完全に収まらない程度の大きさに構成されている。また台座部62Aにおいて、上面の巻芯部3側に位置し幅方向に延びる縁部は、面取加工されている。
【0027】
保持部64は、図4(c)に示されるように、台座部62Aの幅方向と交差する縁から幅方向に向けて延出されると共に、折り返されて先端部分が台座部62A上面の上方に位置するように構成されており、延出方向の先端側位置に受け部64Aが規定され、基端側位置にバネ部64Bが規定されている。受け部64Aには、図7に示されるように、保持部64の延出方向最先端に位置する離間部64Cと、離間部64Cとバネ部64Bとの間に位置し台座部62A上面と最近接する対面部64Dとを有している。また受け部64Aは、離間部64Cの台座部62Aまでの距離:aとし、対面部64Dの台座部62Aまでの距離:bとした場合に、導線8を保持していない状態でa>bとなるようになだらかに屈曲して構成されている。
【0028】
バネ部64Bは、受け部64Aを台座部62A上に配置するべくなだらかな弧状に折り曲げられて構成されている。
【0029】
また保持部64においては、図5に示されるように、台座部62Aに対向する面(受け面)の巻芯部3側となる縁部が面取り加工されている。
【0030】
溶接片62Bは保持部64と同様に台座部62Aから幅方向へ向けて延出されており、導線8の端部と溶接されて溶接部65(図2)を構成する。溶接片62Bは、長手方向において、巻芯部3からの距離が、保持部64より遠い位置に設けられており、その長手方向幅も幅広に構成されている。
【0031】
導線8は、ポリアミドイミド等を被覆とする耐熱絶縁被覆導線であって30μm程度の線径の導線であり、図2に示されるように、巻芯部3へと巻回されて両端がそれぞれ端子金具6及び端子金具7の保持部64、74で保持されると共に溶接部65、75に溶接により接続されている。導線8において、巻芯部3に巻回されている部分の大部分は単線であり、巻芯部3への巻初め一ターン〜数ターン及び巻き終わり数ターン〜一ターンと、巻芯部3から保持部64、74までの間とは三本の導線8が撚られて構成されている(撚り線8A)。この撚り線8Aは、図8に示されるように、図8(a)に示される一本の導線8を、図8(b)に示されるように折り返して三本重なるようにし、その後に、図8(c)に示されるように撚ることにより構成される線であり、一本の線より強度を増し、破断等に対して強くなっている線である。またこの撚り線8Aの径は、図7に示されるようにaより小さくbより大きくなるように構成されている。
【0032】
上記構成を備えたコイル部品1を実装する実装基板10上のランドパターン10Aは、切欠61aを備える実装部61の形状と略相似形状であって、ランドパターン10A上に実装部61を載置した状態で、実装部61の周縁との間にフィレットを引くことができる程度の余剰部分を備えるように構成されている。この余剰部分としては、具体的には、巻芯部3側で0.15mm、反巻芯部3側で0.85mm、幅方向の側面側で0.15mmになる程度である。
【0033】
以下、上記構成のコイル部品1の製造方法について説明する。この説明においても、特に言及しない限りは、代表として鍔部4及び端子金具6についてのみ説明する。またコイル部品1の完成形状において導線8は、巻芯部3に毎回されている箇所を上流側とし、そこから端子金具6、7に延出された端部を下流側として説明する。先ず端子金具6、7がそれぞれ鍔部4、5に装着されたコア2を準備し(準備工程)、このコア2を図示せぬ治具に取り付ける。またノズルから吐出される導線8から撚り線8Aを形成しておく。その状態で、図9に示されるように、撚り線8Aを、台座部62A上に載置して保持部64で保持する(導線保持工程)。具体的には、撚り線8Aを、離間部64Cの開口部分から受け部64Aと台座部62Aとの間の隙間に押し込み、受け部64Aと台座部62Aとで挟持する。尚、撚り線8Aは、長手方向において反巻芯部3側の、溶接片62Bの反巻芯部3側の先端と同じ位置まで保持部64から延びるように構成される。
【0034】
このように撚り線8Aを保持することにより、保持部64のバネ力(バネ部64Bのバネ力)のみで撚り線8Aを保持することができる。バネ部64Bのバネ力は、保持片等により導線をかしめて保持する際のカシメ力に比べて弱い力であるため、撚り線8Aが損傷、ほぐれることはなく、好適に撚られた状態で保持することができる。バネ力を受け部64Aに伝えるバネ部64Bは、なだらかな円弧状に構成されているため、受け部64Aが大きく開いた状態でもバネ力を受け部64Aに伝えることができる。よって撚り線8Aの径が大きい場合でも、好適に保持部64で撚り線8Aを保持することができる。
【0035】
撚り線8Aが挿入される離間部64Cと台座部62Aとの間(図7のa)は、撚り線8Aの径より大きいため、容易に受け部64Bと台座部62Aとの間まで撚り線8Aを押し込むことができる。また保持部64から巻芯部3に向けて撚り線8Aが引き回されるが、保持部64において撚り線8Aを挟持する面及び台座部62A上面の巻芯部3側は、それぞれ面取されているため、端子金具6から巻芯部3に引き回される撚り線8Aに傷が入ることは抑制される。
【0036】
撚り線8Aを保持部64で保持した後に、保持部64から反巻芯部3側に延びる撚り線8Aを図8(c)のc−c線に対応する位置(撚り線8Aの端部近傍位置)で切断し、図10に示されるように、その後に図示せぬ治具を回転させて巻芯部3に導線8を所謂バンク巻きで巻き取っていく。この時に撚り線8Aは、少なくとも最初の一ターンが巻芯部3に巻回される。よって端子金具6から巻芯部3までの間(引き出し部分)に配線される導線8は、撚り線8Aになる。上述のように撚り線8Aは、単線の導線8より高強度であるため、引き出し部分における断線等を低減することができる。
【0037】
巻芯部3において鍔部5近傍まで導線8を巻いた後に、再び撚り線8Aを形成し、更に一〜数ターン撚り線8Aを巻芯部3に巻回した後に端子金具7の継線部71に向けて引き出し、図11に示されるように、保持部74で撚り線8Aを保持し、端子金具6側と同様に、撚り線8Aを切断する。
【0038】
次に図12に示されるように、保持部64より反巻芯部3側(下流側)の撚り線8Aの撚りをほぐしていく(撚り解し工程)。撚りをほぐす手段としては、図示せぬ櫛状の治具で撚り線8Aを櫛ほどくことにより行われる。この時に、保持部64で撚り線8Aが保持されているため、保持部64から巻芯部3側(上流側)の撚り線8Aの撚りが解けることは抑制される。
【0039】
次に、撚り線8Aの撚りをほぐした箇所であって、溶接片62Bを台座部62Aに向けて折り曲げた際に重なる箇所に、図示せぬレーザ照射装置によりレーザ光を照射し、絶縁被覆層を剥離する(被覆剥離工程)。予め撚りほぐし工程で撚り線8Aはほどかれた状態にあるため、導線8が過度に重なることはない。よってレーザ照射により容易に撚り線8Aの解かれた箇所の絶縁被覆を剥離することができる。
【0040】
次に図13に示されるように、溶接片62Bを撚り線8Aの剥離箇所を覆うように折り曲げて溶接し、図2に示される溶接部65を形成する(溶接工程)。撚り線8Aの溶接される箇所は絶縁被覆が剥離されているため、溶接時に絶縁被覆が溶接箇所に入り込むことが抑制され、好適に溶接片62Bと撚り線8Aとを溶接することができる。また保持部64で撚り線8Aを押さえているため、保持部64から巻芯部3側の撚り線8Aがほぐれたり、溶接されることはない。これにより、保持部64から巻芯部3までの間の導線8を、確実に撚り線8Aとして保持することができ、保持部64から巻芯部3までの間の導線8の強度を確実に確保することができる。
【0041】
その後にケース1Bを装着することによりコイル部品1が完成する。このコイル部品1において、通電した際には、鍔部4〜巻芯部3〜鍔部5を通過する磁束が発生する。この磁束は主に鍔部4、鍔部5長手方向と交差する面を通過してコア2外に出る。この時に磁束が最も通過する箇所の一つに実装面41の巻芯部3側がある。本実施の形態では、実装面41に配置される実装部61の巻芯部3側を切り欠いて切欠61aを形成することにより、端子金具6で磁束の流れが妨げられることを抑制している。
【0042】
また切欠61aは、磁束の影響が大きい巻芯部3側が拡がり磁束の影響の少ない底縁部61C側が狭くなっているため、磁束の通過を阻害せずかつ極力実装面積を大きくできる。
【0043】
一般にコイル部品では磁束の流れが妨げられることにより過電流損が発生するが、本実施の形態では、上述のように磁束の流れを妨げない構成であるため、過電流損を低減することがされる。また切り欠いているのみであるため、実装部61の実装面積が過度に減少することは無い。よって実装強度を確保した状態でQ特性を向上させることができる。
【0044】
更に細かくは、凸部61A、凸部62Aが実装側凹部41a、継線側凹部42aに挿入されて、実装部61、継線部62がそれぞれ実装面41、継線面42から離間して隙間が形成されている。この隙間から磁束がコア2外に出ることができるため、更に過電流損を低減することができる。また上述のように凹凸が係合するため、コア2に対する端子金具6の位置を正確に規定することができ、かつコア2から端子金具6がずれることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・コイル部品 1A・・本体 1B・・ケース 2・・コア 3・・巻芯部
4、5・・鍔部 6、7・・端子金具 8・・導線 8A・・撚り線 10・・実装基板
10A・・ランドパターン 41・・実装面 41a・・実装側凹部 42・・継線面
42a・・継線側凹部 43・・側面 43a・・段部 61・・実装部
61A・・凸部 61B・・縁部 61C・・底縁部 61a・・切欠
62・・継線部 62A・・台座部 62B・・溶接片 62C・・凸部
63・・連結部 64・・保持部 64A・・受け部 64B・・バネ部
64C・・離間部 64D・・対面部 65・・溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線が継線される端子金具の継線構造であって、
該端子金具は、該導線が継線される継線部を有し、
該継線部は、該端子金具へ向けて引き回された該導線が載置される台座部と、該台座部から延出され該台座部上に載置された該導線を保持する保持部と、該台座部から延出されると共に該導線と溶接された溶接部と、を有し、
該保持部は、該台座部から延出される延出方向先端側に位置して該台座部表面に当接若しくは近接する受け部と、該延出方向基端側に位置して該受け部の該台座部表面からの離間を抑制するバネ部とを有し、該受け部と該台座部との間に該導線を弾性的に保持することを特徴とする端子金具の継線構造。
【請求項2】
該受け部は、該台座部と当接若しくは近接する対面部と、該延出方向において該対面部より先端側に位置し該先端側に行くに従い該台座部から離間する離間部とを有し、該対面部から該台座部までの距離が該導線の直径より小さくなると共に、該離間部の最先端位置における該台座部までの距離が該導線の直径より大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子金具の継線構造。
【請求項3】
該受け部は、該台座部に対向すると共に該台座部表面と共に該導線を保持する受け面を有し、
該受け面には、該導線の引き出し方向において上流側に位置する縁部が規定され、該縁部は面取加工されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の端子金具の継線構造。
【請求項4】
該バネ部は、該台座部から該受け部にかけてなだらかな弧状に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一に記載の端子金具の継線構造。
【請求項5】
該導線は、複数の線が撚られて構成される撚り線であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一に記載の端子金具の継線構造。
【請求項6】
端子金具に導線を継線する継線方法であって、
該端子金具へ向けて引き回された該導線が載置される台座部と、該台座部から延出され該台座部上に載置された該導線を保持する保持部と、該台座部から延出されると共に該導線と溶接される溶接片と、を有し、該保持部は、該台座部からの延出方向先端側に位置して該台座部表面に当接若しくは近接する受け部と、該延出方向基端側に位置して該受け部の該台座部表面からの離間を抑制するバネ部とを有する端子金具を準備する準備工程と、
該保持部に該導線を挟みつつ該導線を該台座部上に載置する導線保持工程と、
該台座部上に載置された該導線に該溶接片を添わせると共に該導線と該溶接片とを溶接して継線を行う溶接工程と、により該導線を該端子金具に継線することを特徴とする端子金具の継線方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−119553(P2012−119553A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269081(P2010−269081)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】