説明

端末装置

【課題】放送局が有するコンテンツを簡易に取得すること。
【解決手段】配信システム100は、放送局10と、端末装置30と、ネットワーク50と、WLAN用基地局装置60と、課金管理装置70と、セルラー用基地局装置80とを含む。放送局10は、端末装置30に対して、放送コンテンツを放送する。また、放送局10は、端末装置30から要求された通信コンテンツが有料である場合、課金管理装置70に対して、ネットワーク50を介して課金処理を依頼する。課金管理装置70は、ネットワーク50およびセルラー用基地局装置80を介して、端末装置30との間で課金処理を実行する。放送局10を介して依頼された課金処理が完了した場合、課金管理装置70は、ネットワーク50を介して、課金処理が完了した旨を放送局10に報告する。放送局10は、要求された通信コンテンツを端末装置30で再生可能なフォーマットに変換した後に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に、無線ネットワーク内における端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータを用いて、テレビジョン放送や、ラジオ放送などの放送番組を視聴できるようになった。しかし、パーソナルコンピュータを用いる場合、自宅等の限られた場所でしか放送番組を視聴できなかった。そのため、持ち運び可能な端末装置を用いることによって、場所を問わずに、放送番組を視聴していた(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−164860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、放送事業者は、番組を作成し、蓄積している。しかしながら、放送に用いられる周波数帯や、放送時間は有限であるため、蓄積された番組(以下、「コンテンツ」と表記する。)の中には、放送される対象とはならない未公開映像や楽曲なども含まれる。一方、ユーザは、放送されない未公開映像や楽曲などの視聴を希望する場合がある。したがって、ユーザの希望に応じて、個別に、未公開映像等のコンテンツを配信することが望ましい。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、放送局が有するコンテンツを簡易に取得できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、通信システムでの基地局装置から、当該通信システムにおいて規定された形式のデータを受信し、また、通信システムとは別の放送システムから、当該放送システムにおいて放送用に規定された形式のデータを受信する通信部と、放送用に規定された形式のデータを再生する再生部と、を備える。通信部において基地局装置から受信したデータには、放送用に規定された形式のデータが含まれており、再生部は、通信部において基地局装置から受信したデータから、放送用に規定された形式のデータを抽出し、抽出したデータを再生する。
【0006】
ここで、「通信システムでの基地局装置」は、WLAN(Wireless Local Area Network)システムにおけるアクセスポイントを含む。また、「通信システムにおいて規定された形式」は、たとえば、IEEE802.11にて標準化された物理レイヤのデータフォーマットなどを含む。また、「放送用に規定された形式」は、たとえば、MPEG−2 TS(Moving Picture Expert Group−2 Transport Stream)として規定されたTSパケットのフォーマットなどを含む。
【0007】
この態様によると、配信側の基地局装置から、放送用に規定された形式のコンテンツが含まれたデータを配信し、かつ、再生側の端末装置において、受信したデータから、放送用に規定された形式のデータを抽出し、抽出されたデータを再生するので、端末装置は、コンテンツを簡易に取得できる。
【0008】
通信部において放送システムから受信したデータには、基地局装置から受信可能な番組を示すリストが含まれており、通信部は、リストに示された番組のうち、いずれかの番組の配信を基地局装置に要求し、要求した番組が含まれたデータを基地局装置から受信してもよい。
【0009】
この場合、放送システムから受信した識別情報に示された1以上の番組のうち、いずれかの番組の配信を基地局装置に要求することによって、ユーザが希望するコンテンツを簡易に取得できる。
【0010】
通信部は、データの要求を契機として、当該端末装置と通信システムとの間の経路とは異なるセルラー用の通信経路を介して、通信システムとは別のセルラー用の通信システムに対して、当該データに対する課金処理を依頼する手段と、セルラー用の通信システムから課金処理の結果を示す情報を受信する手段と、受信した情報が課金処理が完了した旨を示すものである場合、基地局装置から、当該データを受信する手段を含んでもよい。
【0011】
この場合、データが配信される通信システムとは異なる既存の課金システムとの間で課金処理を実施することによって、簡易に課金処理を実現できる。
【0012】
通信部は、セルラー用の通信システムからセルラー用の通信経路を介して受信した情報に課金処理が完了した旨が示されている場合、基地局装置から、データの再生を実行するために必要な情報を受信してもよい。データの再生を実行するために必要な情報は、データを復号するための鍵情報などを含む。この場合、データの再生を実行するために必要な情報を別途取得することによって、安全にデータを再生できる。
【0013】
放送システムは、放送用に規定された形式のデータが含まれた配信データを通信網を介して基地局装置に配信するデータ配信装置を含み、通信部が基地局装置から受信するデータは、データ配信装置から基地局装置に対して配信された配信データを含んでもよい。通信網は、有線通信網を含む。この場合、端末装置は、基地局装置を介して、放送用に規定された形式のデータを含んだデータを容易に取得できる。
【0014】
本発明の別の態様もまた、端末装置である。この装置は、放送局から放送された配信番組のリストと放送番組とを再生し、表示する表示部と、表示部に放送番組とともに表示されたリストから、所望の配信番組の選択を入力する操作部と、を備える。表示部は、基地局装置に対して、操作部によって選択された配信番組の配信を要求し、さらに、通信用に規定された形式のデータであって、かつ、放送用に規定された形式の配信番組が含まれたデータを受信した後に、受信したデータから放送用に規定された形式の配信番組を抽出して、抽出された配信番組を表示する。
【0015】
この場合、端末装置は、ユーザに接続先を意識させることなく、放送局から取得した放送番組を表示でき、また、通信システムから取得した配信番組を表示できる。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、通信方法である。この方法は、放送システムから、当該放送システムにおいて放送用に規定された形式の番組を含むデータを受信するステップと、放送用に規定された形式の番組を再生するステップと、放送システムとは異なる通信システムでの基地局装置から、再生するステップにおいて再生可能な形式の番組が含まれたデータであって、当該通信システムにおいて規定された形式のデータを受信するステップと、基地局装置から受信したデータから、放送用に規定された形式の番組を抽出し、抽出した番組を再生するステップとを含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、通信システムである。この通信システムは、配信番組のリストと放送番組とが含まれたデータであって、かつ、放送用に規定されたデータを放送する放送局と、放送用に規定されたデータを再生する端末装置と、リストに示された配信番組のうちのいずれかの配信番組について、端末装置から配信を要求されたことを契機として、要求された配信番組を通信用に規定されたデータに含めて端末装置に配信する基地局装置と、を含む。端末装置は、基地局装置から配信されたデータに対して、放送用に規定された形式の配信番組を抽出する処理を実行し、抽出された番組を表示する。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放送局が有するコンテンツを簡易に取得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態を具体的に説明する前に、まず、概要について述べる。本発明の実施形態にかかる通信システムは、放送局と、端末装置とを含む。放送局は、番組を放送する。端末装置は、放送局によって放送された番組を取得する。ここで、端末装置は、たとえば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などを含む。
【0021】
一般的に、放送局は、コンテンツを作成し、作成したコンテンツを蓄積している。コンテンツは、映像だけでなく、映像と音声、楽曲、もしくは、文字情報が重畳されたデータや、音声、楽曲、もしくは、文字情報のみのデータを含む。しかしながら、放送に用いられる周波数帯や、放送時間は有限であるため、蓄積された番組(以下、「コンテンツ」と表記する。)の中には、放送される対象とはならない未公開映像や楽曲なども含まれる。
【0022】
一方、ユーザは、放送されない未公開映像や楽曲などの視聴を希望する場合がある。たとえば、映画に関する未公開映像として、映画ができるまでを記録したメイキング映像などである。したがって、ユーザの希望に応じて、個別に、未公開映像等のコンテンツを配信することが望ましい。
【0023】
放送の対象とはならないコンテンツを個別に配信するためには、放送に用いられる放送システムとは異なる通信システムを用いる必要がある。放送システムと異なる通信システムとは、たとえば、WLANを用いた通信システムなどを含む。この場合、放送局は、有線網を介して端末装置の近傍に存在するWLANの基地局となるアクセスポイント(Access Point。以下、「AP」と表記する。)に向けてコンテンツを配信し、端末装置は、APにアクセスして、配信されたコンテンツを取得する。
【0024】
なお、以下においては、説明の便宜上、放送システムを用いて配信されるコンテンツを放送コンテンツと表記する。また、放送システムとは異なる通信システムを用いて配信されるコンテンツを通信コンテンツと表記する。
【0025】
放送コンテンツは、放送システムにおける放送のために、所定の動画符号化方式や音声符号化方式、たとえば、H.264やMPEGなどのように、放送用に規定されたフォーマット(以下、「放送用フォーマット」と表記する。)で作成され、蓄積されている場合が多い。
【0026】
端末装置において、放送用の電波を受信して放送コンテンツを取得する機能と、取得した放送コンテンツを再生する機能とが備えられていたとしても、通信システムによる配信において用いられるフォーマットのコンテンツを再生できる再生機能を有していない場合が多い。そうすると、通信システムによる配信において用いられるフォーマットで構成された通信コンテンツがWLANで配信されたとしても、既存の再生機能では再生できないため、通信システムによる配信において用いられるフォーマットを再生するコーデックなどが新たに必要となる。この場合、コストの増大、消費電力の増大などの問題が発生しうる。
【0027】
そこで、本実施形態では、端末装置が備える再生部に入力される通信コンテンツのフォーマットを放送局に蓄積されている放送コンテンツのフォーマットと同一にすることとした。具体的には、配信側の放送局において、放送用フォーマットで構成されている通信コンテンツを通信用に規定された形式の信号に含める。端末装置は、受信した信号を復調して、通信コンテンツを抽出する。抽出された通信コンテンツは、放送用フォーマットで構成されており、放送用フォーマットを再生可能な再生部によって再生できる。具体的には未公開コンテンツを視聴出来たり、放送された際に見逃したコンテンツを視聴者が見たいときに容易に見ることが可能となる。つまり、放送局が有するコンテンツのうち、見たいコンテンツを見たいときに容易に見ることが可能になる。
【0028】
図1は、本発明の実施形態にかかる配信システム100の構成例を示す。配信システム100は、放送局10と、端末装置30と、ネットワーク50と、WLAN用基地局装置60と、課金管理装置70と、セルラー用基地局装置80とを含む。端末装置30は、WLAN用基地局装置60との間で、WLAN方式による通信を実行する。また、端末装置30は、セルラー用基地局装置80との間で、セルラー用通信を実行する。なお、説明の便宜上、図1においては、端末装置30を1台のみを図示したが、複数の端末装置30が存在してもよい。
【0029】
放送局10は、放送コンテンツを放送する。放送コンテンツには、配信可能な通信コンテンツのリストが含まれる。端末装置30は、放送された放送コンテンツを受信する。また、端末装置30は、放送コンテンツに含まれたリストを取得する。ここで、ユーザが、リストに含まれる通信コンテンツの視聴を希望した場合、端末装置30は、WLAN用基地局装置60を介して、通信コンテンツの配信を放送局10に要求する。
【0030】
ここで、要求にかかるコンテンツが有料である場合、端末装置30は、コンテンツの配信要求に先立って、セルラー用基地局装置80を介して、課金管理装置70に課金処理を依頼する(以下、「課金処理要求」と表記する。)。一般的に、コンテンツが有料である場合、ユーザは、放送局に対して、料金を支払う必要がある。一方、放送局は、有料の通信コンテンツを配信するための課金処理システムを新たに構築する必要があり、コスト上、好ましくない。したがって、本実施形態においては、有料の通信コンテンツの配信に対する課金処理を、端末装置に対して課金を実行するための既存の課金システムを利用することによって、課金処理に要するコストの増加を抑制する。
【0031】
課金管理装置70は、セルラー用基地局装置80を介して、端末装置30との間で課金処理を実行する。端末装置30から課金処理要求があった場合、課金管理装置70は、通信コンテンツに対する料金について、課金処理を実施する。課金処理が完了した後、課金管理装置70は、セルラー用基地局装置80を介して、「課金処理が完了した旨」が含まれた課金処理の結果を端末装置30に報告する。
【0032】
なお、課金管理装置70は、課金に同意する否かについて、セルラー用基地局装置80を介して、端末装置30(利用者)に問い合わせてもよい。その場合、端末装置30(利用者)は、課金管理装置70からの問い合わせに対して、セルラー用基地局装置80を介して、課金に同意するか否かについて回答する。回答があった場合、課金管理装置70は、ネットワーク50を介して、「課金処理が完了した旨」が含まれた課金処理の結果を端末装置30に報告する。
【0033】
セルラー用基地局装置80は、端末装置30とセルラー通信を行う。また、セルラー用基地局装置80は、端末装置30と課金管理装置70との間の課金処理に関する通信を相互に中継する。なお、セルラー通信は、たとえば、CDMA(Code Division Multiple Access)方式やTDMA(Time Division Multiple Access)方式などを用いた無線通信を含む。
【0034】
端末装置30は、セルラー用基地局装置80を介して、課金管理装置70から「課金処理が完了した旨」の報告を受けた後に、その報告にしたがって、コンテンツの配信を放送局10に要求する。WLAN用基地局装置60は、ネットワーク50を介して、放送局10に対して、端末装置30からの配信要求を送信する。ここで、WLAN用基地局装置60を介する通信は、WLAN方式が用いられているものとする。
【0035】
配信が要求された場合、放送局10は、ネットワーク50とWLAN用基地局装置60を介して、要求されたコンテンツを端末装置30に配信する。具体的には、放送局10は、放送用フォーマットで構成されたコンテンツを通信用に規定された形式の信号に変換し、変換されたコンテンツをネットワーク50を介してWLAN用基地局装置60に送信する。WLAN用基地局装置60は、受信したコンテンツを端末装置30に送信する。また、放送局10は、要求されたコンテンツを再生するための鍵情報、たとえば、暗号鍵やパスワードなどを端末装置30に送信してもよい。鍵情報は、端末装置30からコンテンツの要求を受けたことを契機として、コンテンツの配信に先立って送信されてもよく、また、コンテンツと同時に、あるいは、コンテンツを配信した後に送信されてもよい。
【0036】
ここで、放送局10の構成について、具体的に説明する。図2は、図1の放送局10の構成例を示す図である。放送局10は、配信制御部12と、放送コンテンツ配信部14と、コンテンツ記憶部16と、コンテンツ要求受信部18と、フォーマット変換部22と、通信コンテンツ配信部24と、を含む。これらは、バス26により、それぞれ接続されている。
【0037】
配信制御部12は、バス26を介して、放送コンテンツ配信部14と、コンテンツ記憶部16と、コンテンツ要求受信部18と、フォーマット変換部22と、通信コンテンツ配信部24を制御する。放送コンテンツ配信部14は、コンテンツ記憶部16に記憶されたコンテンツを放送コンテンツとして、放送する。この放送は、たとえば、地上デジタル放送に用いられている複数のセグメントのうちの1つのセグメントを用いて行われる、ワンセグ放送とも呼ばれるものである。
【0038】
放送コンテンツには、放送すべき番組と、配信可能な通信コンテンツのリストが含まれる。リストは、放送された番組に関する情報やその他の情報を含む。番組に関する情報とは、たとえば、番組がドラマである場合、ドラマに含まれる楽曲の情報や、ドラマの提供者のCM(Commercial Message)番組に関する情報などである。また、その他の情報とは、放送すべき番組とは直接関連がない番組である。たとえば、天気予報や選挙速報などである。これらの番組に関する情報またはその他の情報(以下、「付加情報」と表記する。)は、放送用フォーマットで記憶される。なお、付加情報は、番組に関する情報やその他の情報が示された識別情報を含む。本実施形態では、配信可能な通信コンテンツのリストは、BML(Broadcast Markup Language)で記述され、データ放送として伝送されるものとする。
【0039】
コンテンツ要求受信部18は、図示しない個々の端末装置30から送信された通信コンテンツの配信要求が示された要求信号を受信して、配信制御部12に通知する。
【0040】
配信制御部12は、要求された通信コンテンツを配信する処理を実行する。具体的には、配信制御部12は、コンテンツ記憶部16に記憶されたコンテンツから、要求された通信コンテンツにかかるコンテンツを読み出す。読み出したコンテンツは、放送用フォーマットで構成されているため、配信制御部12は、フォーマット変換部22に対して、読み出したコンテンツのフォーマットを通信用に規定された形式の信号に変換させる。
【0041】
フォーマット変換部22は、コンテンツ記憶部16から読み出したコンテンツを、通信用に規定された形式に変換する。通信コンテンツ配信部24は、ネットワーク50とWLAN用基地局装置60を介して、通信用に規定された形式の信号に変換された通信コンテンツを端末装置30に配信する。
【0042】
ここで、フォーマット変換部22が実行する変換処理について具体的に説明する。ここでは、放送用フォーマットとして、MPEG2のTSパケットが用いられるとする。なお、TSパケットは、MPEG2の特徴的なストリームで、放送等を対象として標準化されたものである。標準化においては、放送等に適合しやすいように、TSパケットの長さは小さく(188バイト)規定され、かつ、その長さは固定長として規定されている。
【0043】
ここで、フォーマット変換部22における変換処理の具体例を示す。図3(a)〜(d)は、コンテンツのフォーマット例を示したものである。図3(a)は、記録用フォーマット200を示したものである。コンテンツ記憶部16において記憶されているコンテンツのフォーマットは、記録用フォーマット200である。記録用フォーマット200には、TSパケット110で代表される第1TSパケット110a〜第3TSパケット110cと、タイムスタンプ120で代表される第1タイムスタンプ120a〜第3タイムスタンプ120cとが含まれる。
【0044】
図3(b)は、放送用フォーマット210の例である。フォーマット変換部22は、コンテンツ記憶部16が保持している記録用フォーマット200のデータに含まれるタイムスタンプ120と、自身のクロックカウンタが一致するのを待ち、放送用フォーマット210に変換する。この際、フォーマット変換部22のクロック周波数は、例えば、27MHzであってもよい。放送用フォーマット210には、TSパケット110に代表される第1TSパケット110a〜第3TSパケット110cが含まれる。
【0045】
図3(c)は、通信用フォーマット220の例である。通信用フォーマット220には、ヘッダ情報122で代表される第1ヘッダ情報122a〜第3ヘッダ情報122cと、TSパケット110とが含まれる。これは、放送用フォーマット210を、通信システムにおいて配信や受信が可能な形式に変換したものである。
【0046】
具体的には、フォーマット変換部22は、放送用フォーマット210に含まれるそれぞれのTSパケット110から、RTP(Real−time Transport Protocol)パケットを生成する。その後、生成したRTPパケットからUDP(User Datagram Protocol)パケットを生成し、UDPパケットからIP(Internet Protocol)パケットを生成する。
【0047】
つまり、ヘッダ情報122は、RTPパケットヘッダ、UDPパケットヘッダ、IPパケットヘッダから成る。これらの変換により、コンテンツ記憶部16が保持している記録用フォーマットのコンテンツを、通信システムで配信できる。ここでは、1つのTSパケットが1つのRTPパケットとなっているが、複数のTSパケットを1つのRTPパケットとして構成しても良いし、他の階層のパケット化についても同様の拡張は考えられる。また、一般にMAC層や物理層と呼ばれる層のためのMACフレーム化なども必要であるが、既存の技術であるので、説明は省略する。なお、図3(d)については、後述する。
【0048】
図1に戻る。WLAN用基地局装置60について説明する。WLAN用基地局装置60は、端末装置30との間で、WLAN方式による通信を実行する。具体的には、端末装置30から送信された配信要求を受信する。また、WLAN用基地局装置60は、ネットワーク50を介して、受信した配信要求を送信する。また、WLAN用基地局装置60は、ネットワーク50を介して、放送局10から通信コンテンツを受信する。その後、WLAN用基地局装置60は、受信した通信コンテンツを端末装置30に送信する。また、放送局10から、送信すべき通信コンテンツに関する鍵情報が送られた場合、その鍵情報も端末装置30に送信する。
【0049】
つぎに、端末装置30の構成について、具体的に説明する。図4は、図1の端末装置30の構成例を示す図である。端末装置30は、放送コンテンツ受信部32と、再生部34と、出力部36と、受付部38と、コンテンツ要求部40と、モバイル通信部42と、通信コンテンツ受信部46と、フォーマット変換部48と、切替部28とを含む。
【0050】
放送コンテンツ受信部32は、アンテナとワンセグチューナとを含む。アンテナは、放送局10によって放送された放送コンテンツを含む放送波を受信し、ワンセグチューナへ出力する。ワンセグチューナは、アンテナからの入力を受け、放送波に対して、周波数変換処理、A/D(Analog/Digital)変換処理、復調処理、誤り訂正復号処理などの受信処理を実行する。また、ワンセグチューナは、受信処理が施された放送コンテンツを含む信号を切替部28に出力する。切替部28に出力される「放送コンテンツを含む信号」には、TSパケットが含まれる。
【0051】
切替部28は、放送コンテンツ受信部32、あるいは、後述するフォーマット変換部48から出力された信号のうち、一方の信号を選択して、再生部34に出力する。
【0052】
再生部34は、切替部28から出力された通信コンテンツを再生し、出力部36に表示させる。
【0053】
図5は、図4の再生部34の構成例を示す図である。再生部34は、Demux部90と、H264デコーダ92と、AAC(Advanced Audio Coding)デコーダ94と、データ放送ブラウザ96とを含む。Demux部90は、TSパケットに含まれるPID(Packet ID)に基づいて、H264デコーダ92、AACデコーダ94、あるいは、データ放送ブラウザ96に出力する。
【0054】
具体的には、Demux部90は、SI/PSI(Service Information / Program Specific Information)と呼ばれる制御用情報が含まれたパケットを使用して、切替部28から出力されたTSパケットを選別し、対応するデコーダ、あるいは、ブラウザに出力する。ここで、TSパケットが映像用のデータを含む場合、Demux部90は、TSパケットをH264デコーダ92に出力する。また、TSパケットが音声データを含む場合、Demux部90は、TSパケットをAACデコーダ94に出力する。
【0055】
また、TSパケットが、データ放送用のパケットの場合、Demux部90は、TSパケットから、DSM−CC(Digital Storage Medeia−Command and Control)データカルーセル方式で伝送されたBMLファイルやそれらの構成要素となるGIF(Graphic Interchange Format)形式の画像ファイルなどを取り出し、データ放送ブラウザ96に出力する。
【0056】
H264デコーダ92では、映像に関連するTSパケットのヘッダを取り除き、ペイロードを連結して、PES(Packetized Elementary Stream)パケットを生成する。また、H264デコーダ92は、PESパケットのヘッダを取り除き、ペイロードを連結して、ES(Elementary Stream)を生成する。さらに、H264デコーダ92は、生成したESを復号し、非圧縮の映像信号を出力部36に出力する。
【0057】
AACデコーダ94は、音声が含まれたTSパケットについて、H264デコーダ92と同様の動作を実行して、復号した音声データを出力部36に出力する。
【0058】
データ放送ブラウザ96では、入力されたBML文書を解釈し、文字列やGIF形式の画像ファイルなどをBML文書の指示に従って整列して出力画面を作成し、出力部36に出力する。BML文書は、前述の付加情報や課金情報などを含む。BML文書には静的な表現だけでなくECMAScriptと呼ばれるスクリプト言語で書かれた動的な処理も含まれており、データ放送ブラウザでは、ECMAScriptを解釈して実行することとなる。本実施形態において、BML文書に記述されているECMAScriptの関数は、放送コンテンツへの遷移を促す関数であり、かつ、コンテンツの名前が順に記載され、それぞれを指定することにより実行される関数である。この関数は、異なる遷移先であるWLANの通信コンテンツへの遷移を促す別の関数を呼び出すものとなっている。なお、データ放送ブラウザでは、音声も出力可能であるが、ここでは説明を省略している。
【0059】
図4に戻る。出力部36は、図示しない音声出力部と表示部とを含む。音声出力部は、スピーカーなどであって音声を出力する。表示部は、OSD(On Screen Display)の機能を用いて、H.264デコーダが出力する映像と、データ放送ブラウザが出力する画面とを合成して、ディスプレイに画面を表示する。
【0060】
また、出力部36は、WLAN通信への遷移を促すECMAScriptの関数、たとえば、”X_DPA_startExAV()”、および、そのコンテンツ上の時間的開始位置と終了位置を含んだBML文書が送られてきた場合、コンテンツのリストを含む付加情報を表示する。なお、受付部38において受け付けたユーザからの表示指示にしたがって、番組とともに付加情報を表示し、あるいは、番組を表示することに代えて、付加情報を表示してもよい。
【0061】
ここで、出力部36において表示される表示例について具体的に説明する。図6は、図4の出力部36における表示例を示す図である。表示例は、番組と、付加情報を一画面に表示する例を示す。表示例は、番組表示欄130と付加情報表示欄140とを含む。番組表示欄130は、再生部34のH.264デコーダ92において復元された番組が表示される個所を示す。また、付加情報表示欄140は、再生部34のデータ放送ブラウザ96において復元された付加情報が表示される個所を示す。付加情報表示欄140には、配信可能な通信コンテンツの一覧が表示される。図6においては、第1通信コンテンツ情報144aである「NG集」と、第2通信コンテンツ情報144bである「主題歌「XXXX」」と、第3通信コンテンツ情報144cである「天気予報」と、それらのいずれかを選択するためのカーソル142が表示されている。
【0062】
図4に戻る。受付部38は、ユーザからの指示を受け付けるインタフェースである。ユーザからの指示は、前述した出力部36に対する表示指示と、図6の付加情報表示欄140に表示された通信コンテンツの選択指示と、後述する課金処理に関する指示などを含む。通信コンテンツの選択は、図6のカーソル142をユーザが動かし、配信を要求する通信コンテンツ情報144を選択することによって、指示される。ユーザから通信コンテンツを選択する指示を受け付けた場合、受付部38は、選択された通信コンテンツに関する情報をコンテンツ要求部40に通知する。
【0063】
コンテンツ要求部40は、通知された通信コンテンツに関する情報に従って、ユーザが希望するコンテンツの配信を放送局10に要求する。その際、要求するコンテンツが有料である場合、モバイル通信部42に対して、課金処理要求の送信を依頼する。その後、モバイル通信部42から、「課金処理が完了した旨」の通知を取得すると、放送局10に対して、コンテンツの要求を行う。モバイル通信部42から「課金処理が未完了である旨」の通知を取得すると、コンテンツの要求は行わない。また、コンテンツが無料である場合には、課金処理を要求せず、コンテンツ要求を行う。
【0064】
モバイル通信部42は、セルラー用基地局装置80を介して、課金管理装置70との間で、セルラー通信を実行する。モバイル通信部42は、コンテンツ要求部40からの依頼に基づいて、課金管理装置70に対して課金処理要求を送信する。また、モバイル通信部42は、課金管理装置70から、課金処理の結果を受信し、それを、コンテンツ要求部40に送る。
【0065】
通信コンテンツ受信部46は、放送局10から、WLAN用基地局装置60を介して配信される通信コンテンツを取得する。また、通信コンテンツ受信部46は、通信コンテンツ受信部46で受信した通信コンテンツに関する鍵情報を取得する。また、通信コンテンツ受信部46は、受信した通信コンテンツに対して、周波数変換処理、A/D変換処理、各種復調処理、誤り訂正復号処理、および、鍵情報を用いた復号処理を実行し、IPパケットを出力する。取得されるIPパケットのフォーマットは、たとえば、前述の図3(c)に示される通信用フォーマット220となる。
【0066】
フォーマット変換部48は、通信コンテンツ受信部46で取得した通信用フォーマットの通信コンテンツを、再生部34で再生可能なフォーマット、すなわち、放送用フォーマットに変換する。フォーマット変換部48における変換は、前述した放送局10における変換に対応する処理を実行する。具体的には、フォーマット変換部48は、取得したIPパケットを順に分解して、所望のTSパケットを生成する。TSパケットの生成の際に、バッファリング処理などを実行して、TSパケットを安定的に出力する機能も有してもよい。生成されたTSパケットは、前述の切替部28へ出力される。
【0067】
具体的に説明する。たとえば、図3(c)の通信用フォーマット220に示すようなフォーマットを受信した場合、フォーマット変換部48は、通信用フォーマット220で構成されたそれぞれのIPパケットからTSパケット110を抽出して、並べる処理を実行すればよい。並べる処理は、通信用フォーマット220に含まれたTSパケットの識別情報を用いて、図3(d)に示された放送用フォーマット210となるように、それぞれのパケットに含まれたTSパケットを整列する処理を含む。変換後の放送用フォーマット210は、複数のTSパケット110を含み、図3(b)に示される放送用フォーマット210と同様のフォーマットとなる。
【0068】
つぎに、課金管理装置70の構成について、具体的に説明する。図7は、図1の課金管理装置70の構成例を示す図である。課金管理装置70は、課金情報通信部72と、課金制御部74とを含む。
【0069】
課金情報通信部72は、図示しない端末装置30からの課金処理要求をセルラー用基地局装置80を介して受信して、課金制御部74に通知する。この課金処理要求には、通信コンテンツを要求した端末装置30を示す情報と、通信コンテンツを示す情報と、通信コンテンツの料金を示す情報とが含まれる。課金制御部74は、課金処理要求を契機として、課金処理を実行する。この課金処理の実行は、たとえば、端末装置30を示す電話番号等に対して課金してもよい。課金処理が完了した後に、課金制御部74は、端末装置30に向けて、課金情報通信部72に課金処理の結果を送信させる。
【0070】
また、課金情報通信部72は、課金制御部74の指示にしたがって、セルラー用基地局装置80を介して、図示しない端末装置30に課金処理の結果を送信する。課金処理の結果には、通信コンテンツを示す情報と、通信コンテンツを配信するための料金を示す情報とが含まれてもよい。
【0071】
また、課金処理の結果は、「課金処理が完了した旨」、もしくは、「課金処理が未完了である旨」が含まれてもよい。たとえば、課金管理装置70と端末装置30との間の無線環境の悪化により、課金処理が所定時間内に正常に完了しなかった場合は、「課金処理が未完了である旨」が含められる。
【0072】
上述したこれらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0073】
次に、本実施形態における配信システム100の動作について説明する。図8は、図1の配信システム100の動作例を示すシーケンス図である。まず。放送局10は、放送コンテンツを放送する(S10)。端末装置30は、放送された放送コンテンツを受信し、番組と、付加情報とを再生し、表示する(S14)。
【0074】
ここで、ユーザが要求する通信コンテンツが有料である場合、端末装置30は、課金管理装置70に対して、セルラー用基地局装置80を介して、要求する通信コンテンツに対する課金処理を要求する(S19、S20)。
【0075】
課金管理装置70は、端末装置30から送信された課金処理要求を受信する(S22)。端末装置30からの課金処理要求を契機として、課金管理装置70は、課金処理を実行する(S34)。さらに、課金管理装置70は、セルラー用基地局装置80を介して、端末装置30に課金処理要求の結果を返答する(S35、S36)。
【0076】
端末装置30は、課金管理装置70からの返答を受け、放送局10に対し、WLAN用基地局装置60を介して、通信コンテンツの配信を要求する(S38、S40)。放送局10は、配信すべきコンテンツのフォーマットを通信用フォーマットに変換して、通信コンテンツを生成する(S42)。その後、放送局10は、WLAN用基地局装置60を介して、生成された通信コンテンツを端末装置30に配信する(S44、S46)。
【0077】
端末装置30は、配信された通信コンテンツを受信し、受信した通信コンテンツのフォーマットを再生部34で再生可能な放送フォーマットに変換する(S48)。また、端末装置30は、変換された通信コンテンツを再生し、表示する(S49)。
【0078】
図9は、図1の端末装置30の動作例を示すフローチャートである。このフローチャートは、放送された放送コンテンツの受信を開始したことを契機として開始されてもよい。まず、端末装置30は、受信した放送コンテンツに含まれる番組と、付加情報を表示する(S50)。ここで、ユーザが、付加情報に示される通信コンテンツの配信を要求しなかった場合(S52のN)、S72の終了判定に移る。一方、ユーザが配信を要求した場合(S52のY)、端末装置30は、課金管理装置70に対して、課金処理要求する(S54)。
【0079】
つぎに、端末装置30は、課金管理装置70から、課金処理要求の結果を受信する(S56)。ここで、端末装置30は、放送局10に対して、ユーザが希望する通信コンテンツの配信を要求する(S58)。ここで、端末装置30は、放送局10からWLAN用基地局装置60を介して送信された通信コンテンツを受信する(S64)。さらに、端末装置30は、受信した通信コンテンツのフォーマットを再生部34で再生可能な放送用フォーマットに変換する(S66)。また、端末装置30は、変換された通信コンテンツを再生し、表示する(S68)。その後、コンテンツの視聴の終了が指示されたか否かについて判断を行う(S72)。指示されていない場合(S72のN)には、処理をS50に移す。一方、指示された場合(S72のY)には、処理を終了する。
【0080】
図10は、図1の放送局10の動作例を示すフローチャートである。放送局10は、番組と付加情報が含まれた放送コンテンツを放送する(S100)。なお、放送コンテンツの放送は、この後、コンテンツの配信を終了するまで継続される。ここで、端末装置30から通信コンテンツの配信を要求されなかった場合(S102のN)、S114に移行させる。一方、配信を要求された場合(S102のY)、放送局10は、配信すべきコンテンツのフォーマットを通信用フォーマットに変換して、配信すべき通信コンテンツを生成する(S110)。さらに、放送局10は、WLAN用基地局装置60を介して、生成された通信コンテンツを端末装置30に配信する(S112)。その後、コンテンツの配信を終了するか否かの判断を行い(S114)、終了しない場合(S114のN)はS100へ処理を移し、終了する場合(S114のY)には処理を終了する。
【0081】
図11は、図1の課金管理装置70の動作例を示すフローチャートである。まず、課金管理装置70は、セルラー用基地局装置80を介して、端末装置30からの課金処理要求を受信する(S120)。つぎに、課金管理装置70は、課金処理要求にしたがって、課金処理を実行する(S130)。さらに、課金管理装置70は、課金処理要求を送信した端末装置30に対して、課金処理の結果を通知する(S132)。
【0082】
本発明の実施形態によると、配信側において、再生側にて再生可能な放送用に規定された形式の通信コンテンツを含めたデータについて、放送システムとは異なる通信システムを介して配信し、かつ、再生側において、受信したデータから、放送用に規定された形式のデータを抽出し、抽出されたデータを再生することによって、端末装置30は、通信コンテンツを簡易に取得できる。
【0083】
また、通信コンテンツが配信される通信システムとは異なる別の課金システムであって、すでに端末装置30との間における既存の課金処理システムにおいて、通信コンテンツの配信に対する課金処理を実施することによって、放送事業者は新たに課金処理のシステムを構築する必要がなくなり、また、端末装置30は、簡易に課金処理を実現できる。また、端末装置30は、ユーザに接続先を意識させることなく、放送局10から取得した放送コンテンツの番組を表示でき、また、通信システムを介して取得した通信コンテンツの番組を表示できる。
【0084】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0085】
なお、実施形態において、配信システム100は、課金管理装置70を含むとして説明したが、これにかぎらず、配信システム100は、課金管理装置70を含まない構成であってもよい。この場合、放送局10は、有料の通信コンテンツの課金処理を実行するための機能を搭載すればよい。このような態様であっても、端末装置30は、放送局10に蓄積されたコンテンツを簡易に取得できる。なお、本実施形態では、放送局10内に放送コンテンツ配信部と通信コンテンツ配信部の双方が含まれ、同一のバスで接続される構成としたが、これらは別々に存在してもよく、バスのようなものではなく、ネットワークのようなもので接続されてもよい。
【0086】
また、図3に示す変換例においては、それぞれのIPパケットにつき、ヘッダ情報122を付加するとして説明したが、これにかぎらず、たとえば、複数のIPパケットを一単位として、ヘッダ情報122を付加してもよい。また、それぞれのIPパケットの長さ、および、区切りによらずに、IPパケットを通信用フォーマット200bに搭載してもよい。これらの場合であっても、端末装置30における変換処理は、上記変換処理に対応するような逆の変換処理を実行することによって、上述と同様の効果を得られることは言うまでもない。
【0087】
また、課金処理は、配信要求に先立って、端末装置30が課金管理装置70に対して、課金処理要求を依頼するとして説明した。しかしながらこれにかぎらず、たとえば、端末装置30は、放送局10に対して、間接的に、課金処理要求を依頼してもよい。つまり、端末装置30が、放送局10に対して課金処理要求を依頼すると、放送局10は、その依頼を課金管理装置70に転送する。課金管理装置70において課金処理が完了すれば、その結果が、放送局10に送られ、放送局10から端末装置30に通信コンテンツが配信される。このような態様により、端末装置30の負荷が軽減されるほか、モバイル通信網内のリソースの効率化が図れる。さらに、端末装置30は、課金に関する装置を備える必要がなくなるため、コストを減少できる。
【0088】
また、端末装置30が通信コンテンツを要求した際に、アクセス可能なWLAN用基地局装置60がなかった場合には、その通信コンテンツに対するビットレートの情報から別の通信手段でアクセスが可能であるかの判断を行い、別の通信手段でのアクセスを行ってもよい。別の通信手段は、セルラー用の無線通信手段でもよい。この際、判断条件としてユーザが別な通信手段を所望しているかどうかの判断をさらに行ってもよい。また、コンテンツの遷移先をビットレートの情報とともに複数準備しておき、その中から最良の画質を選ぶようなものであってもよいし、通信費の観点からもっとも通信量の少ないものを選んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の放送局の構成例を示す図である。
【図3】図3(a)〜(d)は、コンテンツのフォーマットの例を示す図である。
【図4】図1の端末装置の構成例を示す図である。
【図5】図4の再生部の構成例を示す図である。
【図6】図4の出力部における表示例を示す図である。
【図7】図1の課金管理装置の構成例を示す図である。
【図8】図1の通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【図9】図1の端末装置の動作例を示すフローチャートである。
【図10】図1の放送局の動作例を示すフローチャートである。
【図11】図1の課金管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
10 放送局、 30 端末装置、 50 ネットワーク、 60 WLAN用基地局装置、 70 課金管理装置、 80 セルラー用基地局装置、 100 配信システム、 110 TSパケット、 120 タイムスタンプ、 122 ヘッダ情報、 130 番組表示欄、 140 付加情報表示欄、 142 カーソル、 200 記録用フォーマット、 210 放送用フォーマット、 220 通信用フォーマット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムでの基地局装置から、当該通信システムにおいて規定された形式のデータを受信し、また、前記通信システムとは別の放送システムから、当該放送システムにおいて放送用に規定された形式のデータを受信する通信部と、
放送用に規定された形式のデータを再生する再生部と、
を備え、
前記通信部において基地局装置から受信したデータには、放送用に規定された形式のデータが含まれており、
前記再生部は、前記通信部において前記基地局装置から受信したデータから、放送用に規定された形式のデータを抽出し、抽出したデータを再生することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記通信部において放送システムから受信したデータには、基地局装置から受信可能な少なくとも1以上の番組が示されたリストが含まれており、
前記通信部は、リストに示された番組のうち、いずれかの番組の配信を基地局装置に要求し、要求した番組が含まれたデータを基地局装置から受信することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記通信部は、データの要求を契機として、当該端末装置と前記通信システムとの間の経路とは異なるセルラー用の通信経路を介して、前記通信システムとは別のセルラー用の通信システムに対して、当該データに対する課金処理を依頼する手段と、前記セルラー用の通信システムから課金処理の結果を示す情報を受信する手段と、受信した情報が課金処理が完了した旨を示すものである場合、基地局装置から、当該データを受信する手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記放送システムは、放送用に規定された形式のデータが含まれた配信データを通信網を介して前記基地局装置に配信するデータ配信装置を含み、
前記通信部が基地局装置から受信するデータは、前記データ配信装置から前記基地局装置に対して配信された配信データを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−28152(P2010−28152A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304596(P2006−304596)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】