端末装置
【課題】キーなどを配置できる部分の面積が大きく、且つ閉じたときにヒンジが露出しない端末装置を提供する。
【解決手段】端末装置10は、第1の筺体1と、第2の筺体2と、ヒンジ3とを有する。また、ヒンジ3は、回転軸5と、連結アーム4とを有する。第1の筺体1には連結アーム4を収納する溝部4が設けられており、第2の筺体2には連結アーム4のガイド部4cに接続して第2の筺体2をスライド可能にするスライド溝21が設けられている。端末装置10を閉じた状態のときには連結アーム4は第2の筺体2に隠れる。第2の筺体2をスライドさせると溝部11に収納された連結アーム4が露出し、回転軸5を回転中心として第2の筺体2を回転させることが可能になる。
【解決手段】端末装置10は、第1の筺体1と、第2の筺体2と、ヒンジ3とを有する。また、ヒンジ3は、回転軸5と、連結アーム4とを有する。第1の筺体1には連結アーム4を収納する溝部4が設けられており、第2の筺体2には連結アーム4のガイド部4cに接続して第2の筺体2をスライド可能にするスライド溝21が設けられている。端末装置10を閉じた状態のときには連結アーム4は第2の筺体2に隠れる。第2の筺体2をスライドさせると溝部11に収納された連結アーム4が露出し、回転軸5を回転中心として第2の筺体2を回転させることが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式の端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型端末装置が広く使用されるようになった。これらの端末装置には、キーボードを有する筺体とディスプレイを有する筺体とをヒンジで接続して開閉自在とした折り畳み式(クラムシェルタイプ)のものも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−129992号公報
【特許文献2】特開2005−208143号公報
【特許文献3】特開2001−44659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キーなどを配置できる部分の面積が大きく、且つ閉じたときにヒンジが露出しない端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の技術の一観点によれば、回転軸に回転可能に支持された連結アームと、一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、前記第1の筺体の前記一方の面に対向する面側にスライドレールを備え、前記スライドレールに前記連結アームの先端部がスライド可能に接続される第2の筺体とを有する端末装置が提供される。
【0006】
開示の技術の他の一観点によれば、回転軸に回転可能に支持された連結アームと、一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、前記連結アームの先端部が接続された第2の筺体とを有し、前記連結アームは前記回転軸に接続される基部と、前記基部から導出する導出部と、前記導出部から前記第2の筺体に向けて延びるアーム部とを有し、前記第1の筐体の前記端部側の外側面が、前記回転軸を中心とし、該中心から前記連結アームの前記導出部と前記アーム部との接続部までを半径とする円の内側に位置し、前記第2の筺体が前記円の外側に位置する端末装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上記観点の端末装置によれば、第1の筺体に設けられた溝部内に連結アームが収納されるので、キーなどを配置する部分の面積を大きくとることができる。また、第1の筺体の一方の面上に第2の筺体を重ね合わせると連結アームが隠れ、デザイン的に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る端末装置の外観図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る端末装置の分解図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、ヒンジと第2の筺体との接続部を拡大して示す模式的断面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、端末装置を開くときの動作を説明する斜視図である。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る端末装置を例示した斜視図である。
【図6】図6(a),(b)は、端末装置の側部を切断して連結アームとスライド溝との位置関係を説明する模式図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る端末装置の分解図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、第3の実施形態に係る端末装置の先端部及び後端部の模式的断面図である。
【図9】図9は、第4の実施形態に係る端末装置のヒンジ部分の透視図である。
【図10】図10は、第4の実施形態に係る端末装置の分解図である。
【図11】図11は、第4の実施形態に係る端末装置の後端部の断面図である。
【図12】図12(a),(b)は、ロックアームの動作を説明する図である。
【図13】図13は、第4の実施形態に係る端末装置の開いた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一般的な折り畳み式端末装置では、キーボードが配置された筺体の端部の上にヒンジを配置している。このため、ヒンジの分だけキーなどを配置する領域が狭くなり、配置できるキーの数が限定されてしまう。また、端末装置を閉じた状態でヒンジが露出していると、デザインの観点から好ましくない。以下、実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る端末装置の外観図、図2は同じくその端末装置の分解図である。なお、本実施形態では、端末装置が携帯電話の場合について説明しているが、携帯電話以外の装置、例えば折り畳み式のPDAに適用することもできる。
【0011】
本実施形態に係る端末装置10は、図1,図2のように、ほぼ直方体形状の第1の筺体1及び第2の筺体2と、第1の筺体1の長手方向の端部に配置されて第2の筺体2を回転可能に連結するヒンジ3とを有する。以下、説明の便宜上、筺体1,2の長手方向においてヒンジ3が配置された側を後端側、その反対側を先端側という。
【0012】
第1の筺体1にはテンキー及びその他の入力デバイス1aが設けられており、第2の筺体2には液晶パネル等の表示デバイス2aが設けられている。図1のように端末装置10を閉じたときには、第1の筺体1の入力デバイス1aが設けられた面と、第2の筺体2の表示デバイス2aが設けられた面とが対向する。
【0013】
以下、第1の筺体1の入力デバイス1aが設けられた面を入力デバイス設置面と呼び、第2の筺体2の表示デバイス2aが設けられた面を表示デバイス設置面と呼ぶ。
【0014】
ヒンジ3は、図2のように、棒状の回転軸5と、回転軸5の中央部に配置されて回転軸5を回転可能に支持する円筒状の軸受け部5aと、回転軸5の両端に固定されて第2の筺体2に接続される連結アーム4とを有する。連結アーム4は、回転軸5に固定される基部4aと、第2の筺体2に接続される矩形板状のガイド部4cと、基部4aとガイド部4cとの間を連結するアーム部4bとを有する。アーム部4bは回転軸5を内側とする湾曲した形状を有している。
【0015】
第1の筺体1の後端側には、回転軸5及び軸受け部5aを収納するスペース12と、連結アーム4を収納する溝部11とが設けられており、端末装置10を閉じた状態でヒンジ3が見えないようにしている。
【0016】
図3(a)〜(c)は、ヒンジ4と第2の筺体2との接続部を拡大して示す模式的断面図である。図3(a)は端末装置10を閉じた状態、図3(b)は第2の筺体2をスライドさせた状態、図3(c)は端末装置10を開いた状態を表している。
【0017】
図3(a)のように、第2の筺体2の表示デバイス設置面の後端側であって幅方向の両側部には、筺体2の長手方向に延びるスライド溝21が設けられている。このスライド溝21に連結アーム4のガイド部4cが係合した状態で、第2の筺体2は先端側(図3中矢印Aで示す方向)に向けてスライドする。なお、スライド溝21は、スライドレールの一例である。
【0018】
図3(b)は、スライド溝21の後端がガイド部4cに当接するまで第2の筺体2をスライドさせた状態を表している。この図3(b)に示す位置まで第2の筺体2をスライドさせると、溝部11に収納されている連結アーム4が露出する。回転軸5の中心から第1の筺体1aの外側面までの距離をD1とすると、第2の筺体2のスライド長D2は、2D1よりも若干大きく(D2≧2D1)設定されている。このため、第2の筺体2を回転軸5に対し回転させると、第2の筺体2の後端は図3(b)中に破線で示す軌跡を描いて、すなわち開く途中に第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが接触することなく、図3(c)に例示する位置まで移動する。
【0019】
以下、本実施形態の端末装置10を開くときの動作について、図3(a)〜(c)の断面図及び図4(a)〜(c)の斜視図を参照して説明する。
【0020】
図4(a)のように端末装置10を閉じた状態では第1の筺体1の上に第2の筺体2が重なり、図3(a)のように第1の筺体1の後端面と第2の筺体2の後端面とはほぼ同一平面上にある。この状態では、第2の筺体2の先端側を持ち上げようとしても、第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部(図3(a)中に破線円で示す部分)とが当接して、第2の筺体2の先端側を持ち上げることができない。すなわち、図4(a)の状態では、端末装置10を開くことができない。
【0021】
端末装置10を開くときには、図3(b),図4(b)のように、スライド溝21の後端がガイド部4cに当接するまで第2の筺体2をスライドさせる。これにより、図3(b)のように第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部との距離がD2だけ離れる。このように第2の筺体2をスライドさせた後、第2の筺体2の先端側を持ち上げると、第2の筺体2はヒンジ3の回転軸5を回転中心として回転する。すなわち、図3(c),図4(c)のように、端末装置10を開くことができる。
【0022】
端末装置10を開いた状態では、入力デバイス1aを操作したり、表示デバイス2aに表示された文字や画像を見ることができる。
【0023】
上述したように、本実施形態では、第1の筐体1内にヒンジ3を収納しており、端末装置10を開いた状態でもヒンジ3のうち露出する部分は連結アーム4のみである。このため、第1の筺体1の入力デバイス設置面の有効面積が大きく、例えば従来よりも多くの入力デバイスを設置することができる。これにより、携帯端末の操作性が向上するという効果を奏する。
【0024】
また、本実施形態では、図4(a)のように端末装置10を閉じた状態ではヒンジ3が露出せず、デザイン的に優れている。
【0025】
更に、本実施形態の端末装置10は、第2の筺体2をスライドさせてから開くので、開く途中に第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが接触することがなく、図3(c),図4(c)のように第2の筺体2の開き角(回転角)が大きい。これにより、良好な操作性が得られる。
【0026】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る端末装置を例示した斜視図である。なお、図5において、図1,図2と同一物には同一符号を付している。
【0027】
第1の実施形態の端末装置10では、入力デバイス1aが設けられた第1の筐体1内にヒンジ3を収納し、表示デバイス2aが設けられた第2の筺体2にスライド溝21を設けている(図1,図2参照)。
【0028】
これに対し、本実施形態に係る端末装置10aでは、表示デバイス2aが設けられた第2の筺体2内にヒンジ23を収納し、入力デバイス1aが設けられた第1の筐体1にスライド溝17を設けている。
【0029】
ヒンジ23は、第1の実施形態と同様に(図2参照)、回転軸5と、軸受け部5aと、連結アーム4とを有する。そして、連結アーム4の先端のガイド部4cが第1の筺体1のスライド溝17に係合し、第2の筺体2をスライド溝17の長手方向にスライド可能としている。
【0030】
図6(a),(b)は端末装置10aの側部を切断して連結アーム4とスライド溝17との位置関係を説明する模式図である。
【0031】
本実施形態の端末装置10aは、図6(a),(b)に示すように、ガイド部4cがスライド溝17の後端部に当接するまで、第2の筺体2を後端側(図6(a)に矢印Aで示す方向)にスライドさせる。これにより、第2の筺体2の後端部の位置がずれて、第2の筺体2を回転させるときに第2の筺体2の後端部が第1の筺体1の後端部に当接することが回避される。その結果、第2の筺体2をヒンジ23の回転軸5を中心に回転させて、図5のように端末装置10aを大きく開くことができる。
【0032】
本実施形態においては、第2の筺体2内にヒンジ23を収納している。そして、第1の筐体1にはスライド溝17を設けているものの、スライド溝17間のスペースに入力キーなどのデバイスを配置することができる。これにより、例えば従来よりも多くの入力デバイスを設置でき、端末装置の操作性が向上するという効果を奏する。
【0033】
また、本実施形態においても、端末装置10aを閉じた状態ではヒンジ23が露出せず、デザイン的に優れている。
【0034】
更に、本実施形態の端末装置10aは、第2の筺体2をスライドさせてから開くので、開く途中に第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが接触することがなく、第2の筺体2の開き角(回転角)が大きい。これにより、良好な操作性が得られる。
【0035】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る端末装置の分解図である。また、図8(a)〜(c)は、同じくその端末装置の先端部及び後端部の模式的断面図である。図7,図8(a)〜(c)において、図1,図2と同一物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態においても、端末装置20は、入力デバイス1aが設けられた第1の筺体1と、表示デバイス2aが設けられた第2の筺体2と、第1の筺体1と第2の筺体2とを連結するヒンジ3とを有している。但し、ヒンジ3の回転軸5の両側部にはそれぞれねじりコイルばね6が装着されている。このねじりコイルばね6は、その一端側が第1の筺体1に係止され、他端側が連結アーム4に係止されて、第2の筺体2が開く方向に回転力を付与する。
【0037】
また、本実施形態では、図8(a)のように、第2の筺体2のスライド溝21内に圧縮コイルばね7が配置されている。この圧縮コイルばね7は、その一端側がガイド部4cの端面に当接し、他端側がスライド溝21の端面に当接して、第2の筺体2を先端側にスライドさせる方向に付勢する。
【0038】
更に、図7のように、第2の筺体2には、先端面に固定されて表示デバイス設置面に突出するL字状のロック爪24が設けられている。また、第1の筺体1のロック爪24に整合する位置には、ロックボール16a及び係止部材15が配置された溝13が設けられている。
【0039】
ロックボール16aは金属又は硬質の樹脂等により形成されており、溝13の底部に設けられた孔14内に、ロックボール16aを上方に向けて付勢する圧縮コイルばね16bとともに収納されている。孔14の上端部はロックボール16aの球径よりも若干小さく設定されており、ロックボール16aはその一部分のみが孔14の上に突出する。
【0040】
係止部材15は溝13内に固定されており、その上面は第1の筺体1の入力デバイス設置面と同じ高さに位置している。そして、係止部材15の上部はロックボール16a側に若干突出し、その突出した部分には下向きの傾斜面15aが設けられている。
【0041】
一方、第2の筺体2に設けられたロック爪24のロックボール16aに整合する位置には、ロックボール16aの曲面に対応する曲面の凹部24bが設けられている。また、ロック爪24の係止部材15に整合する位置には、係止部材15の傾斜面15aに接触する上向きの傾斜面24aが設けられている。なお、上述のロックボール16a、圧縮コイルばね16b、係止部材15及びロック爪24は、ロック機構の一例である。
【0042】
以下、本実施形態の端末装置20を開くときの動作について、図8(a)〜(c)を参照して説明する。
【0043】
端末装置20を閉じた状態では、図8(a)のように、ロック爪24の凹部24bにロックボール16aが嵌合し、ロック爪24の傾斜面24aが係止部材15の傾斜面15aに係合している。
【0044】
スライド溝21内に配置された圧縮コイルばね7により第2の筺体2には先端側にスライドしようとする付勢力が付与されている。しかし、この付勢力はロック爪24の凹部24bとロックボール16aとの嵌合(ロック)を解除させるのに必要な力よりも小さく、第2の筺体2の先端側へのスライドが阻止される。
【0045】
また、ねじりコイルばね6により第2の筺体2を回転させようとする力が付与されているが、ロック爪24が係止部材15に係止されて上方への移動ができないようになっているため、第2の筺体2の回転も阻止される。なお、係止部材15がなくても、端末装置20を閉じた状態で第2の筺体2を回転させようとすると第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが当接するため、第2の筺体2を回転させることはできない。
【0046】
端末装置20を開くときには、ユーザが第2の筺体2を先端側に若干スライドさせる。第2の筺体2をある程度強い力でスライドさせると、ロック爪24の移動によりロックボール16aは下方に押圧され、ロック爪24の凹部24bとロックボール16aとの嵌合(ロック)が解除される。そして、ロック爪24の凹部24bとロックボール16aとの嵌合が解除されると、図8(b)のように圧縮コイルばね7が伸長を開始して、スライド溝21の後端がガイド部4cに当接するまで第2の筺体2が先端側に移動する。
【0047】
また、第2の筺体2の移動により係止部材15によるロック爪24の係止が外れると、ねじりコイルばね6の回転力により第2の筺体2が回転を開始する。これにより、図8(c)のように、端末装置20が開いた状態となる。
【0048】
なお、端末装置20を閉じるときには、第2の筺体2を逆方向に回転させて第1の筺体1に重ね合わせた後、ロックボール16aがロック爪24の凹部24bに嵌合するまで第2の筺体2を後端側にスライドさせればよい。
【0049】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の筐体1内にヒンジ3を収納している。そして、端末装置20を開いた状態でも、ヒンジ3のうち露出する部分は連結アーム4のみである。このため、第1の筺体1の入力デバイス設置面の有効面積が大きく、例えば従来よりも多くの入力デバイスを設置することができる。これにより、携帯端末の操作性が向上するという効果を奏する。
【0050】
また、本実施形態においても、端末装置20を閉じた状態ではヒンジ3が露出せず、デザイン的に優れている。更に、本実施形態の端末装置20は、第2の筺体2をスライドさせてから開くので、第2の筺体2の開き角(回転角)が大きく、良好な操作性が得られる。更にまた、本実施形態においては、第2の筺体2を若干スライドさせるだけで、第2の筺体2が自動的にスライドを開始して更に回転する。このため、端末装置20を容易に且つ素早く開くことができる。
【0051】
なお、第2の実施形態で説明したように、ヒンジ3を第2の筺体2内に収納し、第1の筺体1にスライド溝21を設けてもよい。
【0052】
(第4の実施形態)
図9は第4の実施形態に係る端末装置のヒンジ部分の透視図、図10は同じくその端末装置の分解図である。
【0053】
本実施形態に係る端末装置30は、入力デバイス31aが設けられた第1の筺体31と、表示デバイス32aが設けられた第2の筺体32と、それらの第1の筺体31と第2の筺体32との間を連結するヒンジ33とを有している。
【0054】
図10のように、ヒンジ33は、棒状の回転軸35と、回転軸35の中央部に配置されて回転軸35を回転可能に支持する円筒状の軸受け部35aと、回転軸35の両端に固定されて第2の筺体32に接続される連結アーム34とを有する。
【0055】
ヒンジ33の回転軸35の両端部にはそれぞれねじりコイルばね36が装着されている。このねじりコイルばね36は、その一端側が第1の筺体31に係止され、他端側が連結アーム34に係止されて、第2の筺体32が開く方向に回転力を付与する。
【0056】
第1の筺体31の後端側には、回転軸35、軸受け部35a及びねじりコイルばね36を収納するスペース42と、連結アーム34を収納する溝部41とが設けられており、端末装置30を閉じた状態でヒンジ33が見えないようにしている。
【0057】
また、第1の筺体31の後端側には、ロックアーム37を収納するスペース43が設けられている。ロックアーム37はL字状の板状部材であり、その一端側は第1の筺体31の側面に露出してロック解除ボタン37cとなっている。そして、ロックアーム37の他端側は、軸受け部35aに設けられた開口部35cを介して回転軸35を係止する係止片37aとなっている。このロックアーム37は、その屈曲部とロック解除ボタン37cとの間の支点37bを中心に所定の角度だけ回動する。スペース43には、ロックアーム37の他端側を回転軸35に向けて付勢する圧縮コイルばね38が配置される。なお、ロックアーム37は、ロック機構の一例である。
【0058】
図11は、端末装置30の後端部の断面図である。この図11のように、第1の筺体1の外側面(後端側の面)は、回転軸35を中心とし、この中心から後述する連絡アーム4の導出部34bとアーム部34cとの接続までを半径とする円(図11中に破線で表した半径Rの円)の内側に位置している。
【0059】
連結アーム34は、回転軸35に固定される円柱状の基部34aと、第2の筺体32に接続される接続部34dと、基部34aと接続部34dとの間を連絡する導出部34b及びアーム部34cとを有している。導出部34bは、端末装置30を閉じた状態のときに第1の筺体31の底面近傍に配置され、アーム部34cは導出部34bの先端と接続部34dとの間を連絡する。
【0060】
アーム部34c、接続部34d及び第2の筺体32は、図11に破線で表した半径Rの円の外側に配置されている。これにより、回転軸35を中心として第2の筺体32を回転させたときに、アーム部34c、接続部34d及び第2の筺体32が第1の筺体31に接触することが回避される。その結果、連結アーム34の導出部34bが溝部41の端部に当接するまで、第2の筺体32を回転させることができる。
【0061】
図12(a),(b)は、ロックアーム37の動作を説明する図である。なお、図12(a),(b)において、左側の図はロックアーム37を上方から見たときの図、右側の図はロックアーム37と回転軸35とが接触する部分における断面図である。
【0062】
図12(a)のように、回転軸35の長手方向中央部には切り欠き35cが設けられている。端末装置30を閉じた状態のときには、圧縮コイルばね38によりロックアーム37が押圧されて、係止部37aが切り欠き35c内に進入している。このとき、回転軸32にはねじりコイルばね36により回転力が付与されているが、係止部37aの切り欠き35c内への進入により、回転軸35の回転が阻止される。
【0063】
図12(b)のようにロック解除ボタン37cを後端側(図12(b)中に矢印Hで示す方向)に押すと、ロックアーム37は支点37bを中心に回動して、係止部37aが回転軸35の切り欠き35cから外れる。そうすると、ねじりコイルばね36の回転力により、第2の筺体32が回転軸35を中心に回転する。この回転は、図13のように、連結アーム34の導出部34bが溝部41の端部に当接したところで停止する。このようにして、端末装置30を開くことができる。
【0064】
本実施形態においても、第1の筺体31内にヒンジ33を収納しており、端末装置30を開いた状態でもヒンジ33のうち露出する部分は連結アーム34のみである。このため、第1の筺体31の入力デバイス設置面の有効面積が大きく、従来よりも多くの入力デバイスを設置することができる。
【0065】
また、本実施形態では、端末装置30を閉じた状態ではヒンジ33が露出せず、デザイン的に優れている。
【0066】
以上の諸実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0067】
(付記1)回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記第1の筺体の前記一方の面に対向する面側にスライドレールを備え、前記スライドレールに前記連結アームの先端部がスライド可能に接続される第2の筺体と
を有することを特徴とする端末装置。
【0068】
(付記2)前記第1の筺体と前記第2の筺体とを重ね合わせたときに前記溝部が前記第2の筺体に隠れ、前記第2の筺体を前記スライドレールの延びる方向にスライドさせると前記溝部が露出して、前記第2の筺体が前記回転軸を中心に回転可能となることを特徴とする付記1に記載の端末装置。
【0069】
(付記3)前記第2の筺体は、少なくとも前記回転軸の中心から第1の筺体の端部側の外側面までの距離の2倍以上スライド可能であることを特徴とする付記2に記載の端末装置。
【0070】
(付記4)更に、前記連結アームに回転力を付与するばねが設けられていることを特徴とする付記2又は3に記載の端末装置。
【0071】
(付記5)更に、前記第2の筺体をスライドさせる方向に付勢するばねと、前記第2の筺体のスライドを阻止するロック機構とを有することを特徴とする付記4に記載の端末装置。
【0072】
(付記6)前記連結アームが前記回転軸の両端にそれぞれ配置されていることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の端末装置。
【0073】
(付記7)前記第1の筺体の前記一方の面側には入力デバイスが設置され、前記第2の筺体の前記第1の筺体に対向する面側には表示デバイスが設置されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の端末装置。
【0074】
(付記8)回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記連結アームの先端部が接続された第2の筺体とを有し、
前記連結アームは前記回転軸に接続される基部と、前記基部から導出する導出部と、前記導出部から前記第2の筺体に向けて延びるアーム部とを有し、
前記第1の筐体の前記端部側の外側面が、前記回転軸を中心とし、該中心から前記連結アームの前記導出部と前記アーム部との接続部までを半径とする円の内側に位置し、前記第2の筺体が前記円の外側に位置することを特徴とする端末装置。
【0075】
(付記9)更に、前記連結アームに回転力を付与するばねと、前記連結アームの回転を阻止するロック機構とを有することを特徴とする付記8に記載の端末装置。
【0076】
(付記10)前記連結アームが前記回転軸の両端にそれぞれ配置されていることを特徴とする付記8又は9に記載の端末装置。
【符号の説明】
【0077】
1,31…第1の筺体、1a,31a…入力デバイス、2,32…第2の筺体、2a,32a…表示デバイス、3,23,33…ヒンジ、4…連結アーム、4a…基部、4b…アーム部、4c…ガイド部、5,35…回転軸、5a,35a…軸受け部、6,36…ねじりコイルばね、7,38…圧縮コイルばね、10,10a,20,30…端末装置、11,41…溝部、14…孔、15…係止部材、16…ロックボール、17,21…スライド溝、24…ロック爪、34…連結アーム、34a…基部、34b…導出部、34c…アーム部、34d…接続部、35c…切り欠き。
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式の端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型端末装置が広く使用されるようになった。これらの端末装置には、キーボードを有する筺体とディスプレイを有する筺体とをヒンジで接続して開閉自在とした折り畳み式(クラムシェルタイプ)のものも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−129992号公報
【特許文献2】特開2005−208143号公報
【特許文献3】特開2001−44659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キーなどを配置できる部分の面積が大きく、且つ閉じたときにヒンジが露出しない端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の技術の一観点によれば、回転軸に回転可能に支持された連結アームと、一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、前記第1の筺体の前記一方の面に対向する面側にスライドレールを備え、前記スライドレールに前記連結アームの先端部がスライド可能に接続される第2の筺体とを有する端末装置が提供される。
【0006】
開示の技術の他の一観点によれば、回転軸に回転可能に支持された連結アームと、一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、前記連結アームの先端部が接続された第2の筺体とを有し、前記連結アームは前記回転軸に接続される基部と、前記基部から導出する導出部と、前記導出部から前記第2の筺体に向けて延びるアーム部とを有し、前記第1の筐体の前記端部側の外側面が、前記回転軸を中心とし、該中心から前記連結アームの前記導出部と前記アーム部との接続部までを半径とする円の内側に位置し、前記第2の筺体が前記円の外側に位置する端末装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上記観点の端末装置によれば、第1の筺体に設けられた溝部内に連結アームが収納されるので、キーなどを配置する部分の面積を大きくとることができる。また、第1の筺体の一方の面上に第2の筺体を重ね合わせると連結アームが隠れ、デザイン的に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る端末装置の外観図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る端末装置の分解図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、ヒンジと第2の筺体との接続部を拡大して示す模式的断面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、端末装置を開くときの動作を説明する斜視図である。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る端末装置を例示した斜視図である。
【図6】図6(a),(b)は、端末装置の側部を切断して連結アームとスライド溝との位置関係を説明する模式図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る端末装置の分解図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、第3の実施形態に係る端末装置の先端部及び後端部の模式的断面図である。
【図9】図9は、第4の実施形態に係る端末装置のヒンジ部分の透視図である。
【図10】図10は、第4の実施形態に係る端末装置の分解図である。
【図11】図11は、第4の実施形態に係る端末装置の後端部の断面図である。
【図12】図12(a),(b)は、ロックアームの動作を説明する図である。
【図13】図13は、第4の実施形態に係る端末装置の開いた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一般的な折り畳み式端末装置では、キーボードが配置された筺体の端部の上にヒンジを配置している。このため、ヒンジの分だけキーなどを配置する領域が狭くなり、配置できるキーの数が限定されてしまう。また、端末装置を閉じた状態でヒンジが露出していると、デザインの観点から好ましくない。以下、実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る端末装置の外観図、図2は同じくその端末装置の分解図である。なお、本実施形態では、端末装置が携帯電話の場合について説明しているが、携帯電話以外の装置、例えば折り畳み式のPDAに適用することもできる。
【0011】
本実施形態に係る端末装置10は、図1,図2のように、ほぼ直方体形状の第1の筺体1及び第2の筺体2と、第1の筺体1の長手方向の端部に配置されて第2の筺体2を回転可能に連結するヒンジ3とを有する。以下、説明の便宜上、筺体1,2の長手方向においてヒンジ3が配置された側を後端側、その反対側を先端側という。
【0012】
第1の筺体1にはテンキー及びその他の入力デバイス1aが設けられており、第2の筺体2には液晶パネル等の表示デバイス2aが設けられている。図1のように端末装置10を閉じたときには、第1の筺体1の入力デバイス1aが設けられた面と、第2の筺体2の表示デバイス2aが設けられた面とが対向する。
【0013】
以下、第1の筺体1の入力デバイス1aが設けられた面を入力デバイス設置面と呼び、第2の筺体2の表示デバイス2aが設けられた面を表示デバイス設置面と呼ぶ。
【0014】
ヒンジ3は、図2のように、棒状の回転軸5と、回転軸5の中央部に配置されて回転軸5を回転可能に支持する円筒状の軸受け部5aと、回転軸5の両端に固定されて第2の筺体2に接続される連結アーム4とを有する。連結アーム4は、回転軸5に固定される基部4aと、第2の筺体2に接続される矩形板状のガイド部4cと、基部4aとガイド部4cとの間を連結するアーム部4bとを有する。アーム部4bは回転軸5を内側とする湾曲した形状を有している。
【0015】
第1の筺体1の後端側には、回転軸5及び軸受け部5aを収納するスペース12と、連結アーム4を収納する溝部11とが設けられており、端末装置10を閉じた状態でヒンジ3が見えないようにしている。
【0016】
図3(a)〜(c)は、ヒンジ4と第2の筺体2との接続部を拡大して示す模式的断面図である。図3(a)は端末装置10を閉じた状態、図3(b)は第2の筺体2をスライドさせた状態、図3(c)は端末装置10を開いた状態を表している。
【0017】
図3(a)のように、第2の筺体2の表示デバイス設置面の後端側であって幅方向の両側部には、筺体2の長手方向に延びるスライド溝21が設けられている。このスライド溝21に連結アーム4のガイド部4cが係合した状態で、第2の筺体2は先端側(図3中矢印Aで示す方向)に向けてスライドする。なお、スライド溝21は、スライドレールの一例である。
【0018】
図3(b)は、スライド溝21の後端がガイド部4cに当接するまで第2の筺体2をスライドさせた状態を表している。この図3(b)に示す位置まで第2の筺体2をスライドさせると、溝部11に収納されている連結アーム4が露出する。回転軸5の中心から第1の筺体1aの外側面までの距離をD1とすると、第2の筺体2のスライド長D2は、2D1よりも若干大きく(D2≧2D1)設定されている。このため、第2の筺体2を回転軸5に対し回転させると、第2の筺体2の後端は図3(b)中に破線で示す軌跡を描いて、すなわち開く途中に第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが接触することなく、図3(c)に例示する位置まで移動する。
【0019】
以下、本実施形態の端末装置10を開くときの動作について、図3(a)〜(c)の断面図及び図4(a)〜(c)の斜視図を参照して説明する。
【0020】
図4(a)のように端末装置10を閉じた状態では第1の筺体1の上に第2の筺体2が重なり、図3(a)のように第1の筺体1の後端面と第2の筺体2の後端面とはほぼ同一平面上にある。この状態では、第2の筺体2の先端側を持ち上げようとしても、第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部(図3(a)中に破線円で示す部分)とが当接して、第2の筺体2の先端側を持ち上げることができない。すなわち、図4(a)の状態では、端末装置10を開くことができない。
【0021】
端末装置10を開くときには、図3(b),図4(b)のように、スライド溝21の後端がガイド部4cに当接するまで第2の筺体2をスライドさせる。これにより、図3(b)のように第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部との距離がD2だけ離れる。このように第2の筺体2をスライドさせた後、第2の筺体2の先端側を持ち上げると、第2の筺体2はヒンジ3の回転軸5を回転中心として回転する。すなわち、図3(c),図4(c)のように、端末装置10を開くことができる。
【0022】
端末装置10を開いた状態では、入力デバイス1aを操作したり、表示デバイス2aに表示された文字や画像を見ることができる。
【0023】
上述したように、本実施形態では、第1の筐体1内にヒンジ3を収納しており、端末装置10を開いた状態でもヒンジ3のうち露出する部分は連結アーム4のみである。このため、第1の筺体1の入力デバイス設置面の有効面積が大きく、例えば従来よりも多くの入力デバイスを設置することができる。これにより、携帯端末の操作性が向上するという効果を奏する。
【0024】
また、本実施形態では、図4(a)のように端末装置10を閉じた状態ではヒンジ3が露出せず、デザイン的に優れている。
【0025】
更に、本実施形態の端末装置10は、第2の筺体2をスライドさせてから開くので、開く途中に第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが接触することがなく、図3(c),図4(c)のように第2の筺体2の開き角(回転角)が大きい。これにより、良好な操作性が得られる。
【0026】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る端末装置を例示した斜視図である。なお、図5において、図1,図2と同一物には同一符号を付している。
【0027】
第1の実施形態の端末装置10では、入力デバイス1aが設けられた第1の筐体1内にヒンジ3を収納し、表示デバイス2aが設けられた第2の筺体2にスライド溝21を設けている(図1,図2参照)。
【0028】
これに対し、本実施形態に係る端末装置10aでは、表示デバイス2aが設けられた第2の筺体2内にヒンジ23を収納し、入力デバイス1aが設けられた第1の筐体1にスライド溝17を設けている。
【0029】
ヒンジ23は、第1の実施形態と同様に(図2参照)、回転軸5と、軸受け部5aと、連結アーム4とを有する。そして、連結アーム4の先端のガイド部4cが第1の筺体1のスライド溝17に係合し、第2の筺体2をスライド溝17の長手方向にスライド可能としている。
【0030】
図6(a),(b)は端末装置10aの側部を切断して連結アーム4とスライド溝17との位置関係を説明する模式図である。
【0031】
本実施形態の端末装置10aは、図6(a),(b)に示すように、ガイド部4cがスライド溝17の後端部に当接するまで、第2の筺体2を後端側(図6(a)に矢印Aで示す方向)にスライドさせる。これにより、第2の筺体2の後端部の位置がずれて、第2の筺体2を回転させるときに第2の筺体2の後端部が第1の筺体1の後端部に当接することが回避される。その結果、第2の筺体2をヒンジ23の回転軸5を中心に回転させて、図5のように端末装置10aを大きく開くことができる。
【0032】
本実施形態においては、第2の筺体2内にヒンジ23を収納している。そして、第1の筐体1にはスライド溝17を設けているものの、スライド溝17間のスペースに入力キーなどのデバイスを配置することができる。これにより、例えば従来よりも多くの入力デバイスを設置でき、端末装置の操作性が向上するという効果を奏する。
【0033】
また、本実施形態においても、端末装置10aを閉じた状態ではヒンジ23が露出せず、デザイン的に優れている。
【0034】
更に、本実施形態の端末装置10aは、第2の筺体2をスライドさせてから開くので、開く途中に第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが接触することがなく、第2の筺体2の開き角(回転角)が大きい。これにより、良好な操作性が得られる。
【0035】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る端末装置の分解図である。また、図8(a)〜(c)は、同じくその端末装置の先端部及び後端部の模式的断面図である。図7,図8(a)〜(c)において、図1,図2と同一物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態においても、端末装置20は、入力デバイス1aが設けられた第1の筺体1と、表示デバイス2aが設けられた第2の筺体2と、第1の筺体1と第2の筺体2とを連結するヒンジ3とを有している。但し、ヒンジ3の回転軸5の両側部にはそれぞれねじりコイルばね6が装着されている。このねじりコイルばね6は、その一端側が第1の筺体1に係止され、他端側が連結アーム4に係止されて、第2の筺体2が開く方向に回転力を付与する。
【0037】
また、本実施形態では、図8(a)のように、第2の筺体2のスライド溝21内に圧縮コイルばね7が配置されている。この圧縮コイルばね7は、その一端側がガイド部4cの端面に当接し、他端側がスライド溝21の端面に当接して、第2の筺体2を先端側にスライドさせる方向に付勢する。
【0038】
更に、図7のように、第2の筺体2には、先端面に固定されて表示デバイス設置面に突出するL字状のロック爪24が設けられている。また、第1の筺体1のロック爪24に整合する位置には、ロックボール16a及び係止部材15が配置された溝13が設けられている。
【0039】
ロックボール16aは金属又は硬質の樹脂等により形成されており、溝13の底部に設けられた孔14内に、ロックボール16aを上方に向けて付勢する圧縮コイルばね16bとともに収納されている。孔14の上端部はロックボール16aの球径よりも若干小さく設定されており、ロックボール16aはその一部分のみが孔14の上に突出する。
【0040】
係止部材15は溝13内に固定されており、その上面は第1の筺体1の入力デバイス設置面と同じ高さに位置している。そして、係止部材15の上部はロックボール16a側に若干突出し、その突出した部分には下向きの傾斜面15aが設けられている。
【0041】
一方、第2の筺体2に設けられたロック爪24のロックボール16aに整合する位置には、ロックボール16aの曲面に対応する曲面の凹部24bが設けられている。また、ロック爪24の係止部材15に整合する位置には、係止部材15の傾斜面15aに接触する上向きの傾斜面24aが設けられている。なお、上述のロックボール16a、圧縮コイルばね16b、係止部材15及びロック爪24は、ロック機構の一例である。
【0042】
以下、本実施形態の端末装置20を開くときの動作について、図8(a)〜(c)を参照して説明する。
【0043】
端末装置20を閉じた状態では、図8(a)のように、ロック爪24の凹部24bにロックボール16aが嵌合し、ロック爪24の傾斜面24aが係止部材15の傾斜面15aに係合している。
【0044】
スライド溝21内に配置された圧縮コイルばね7により第2の筺体2には先端側にスライドしようとする付勢力が付与されている。しかし、この付勢力はロック爪24の凹部24bとロックボール16aとの嵌合(ロック)を解除させるのに必要な力よりも小さく、第2の筺体2の先端側へのスライドが阻止される。
【0045】
また、ねじりコイルばね6により第2の筺体2を回転させようとする力が付与されているが、ロック爪24が係止部材15に係止されて上方への移動ができないようになっているため、第2の筺体2の回転も阻止される。なお、係止部材15がなくても、端末装置20を閉じた状態で第2の筺体2を回転させようとすると第1の筺体1の後端部と第2の筺体2の後端部とが当接するため、第2の筺体2を回転させることはできない。
【0046】
端末装置20を開くときには、ユーザが第2の筺体2を先端側に若干スライドさせる。第2の筺体2をある程度強い力でスライドさせると、ロック爪24の移動によりロックボール16aは下方に押圧され、ロック爪24の凹部24bとロックボール16aとの嵌合(ロック)が解除される。そして、ロック爪24の凹部24bとロックボール16aとの嵌合が解除されると、図8(b)のように圧縮コイルばね7が伸長を開始して、スライド溝21の後端がガイド部4cに当接するまで第2の筺体2が先端側に移動する。
【0047】
また、第2の筺体2の移動により係止部材15によるロック爪24の係止が外れると、ねじりコイルばね6の回転力により第2の筺体2が回転を開始する。これにより、図8(c)のように、端末装置20が開いた状態となる。
【0048】
なお、端末装置20を閉じるときには、第2の筺体2を逆方向に回転させて第1の筺体1に重ね合わせた後、ロックボール16aがロック爪24の凹部24bに嵌合するまで第2の筺体2を後端側にスライドさせればよい。
【0049】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の筐体1内にヒンジ3を収納している。そして、端末装置20を開いた状態でも、ヒンジ3のうち露出する部分は連結アーム4のみである。このため、第1の筺体1の入力デバイス設置面の有効面積が大きく、例えば従来よりも多くの入力デバイスを設置することができる。これにより、携帯端末の操作性が向上するという効果を奏する。
【0050】
また、本実施形態においても、端末装置20を閉じた状態ではヒンジ3が露出せず、デザイン的に優れている。更に、本実施形態の端末装置20は、第2の筺体2をスライドさせてから開くので、第2の筺体2の開き角(回転角)が大きく、良好な操作性が得られる。更にまた、本実施形態においては、第2の筺体2を若干スライドさせるだけで、第2の筺体2が自動的にスライドを開始して更に回転する。このため、端末装置20を容易に且つ素早く開くことができる。
【0051】
なお、第2の実施形態で説明したように、ヒンジ3を第2の筺体2内に収納し、第1の筺体1にスライド溝21を設けてもよい。
【0052】
(第4の実施形態)
図9は第4の実施形態に係る端末装置のヒンジ部分の透視図、図10は同じくその端末装置の分解図である。
【0053】
本実施形態に係る端末装置30は、入力デバイス31aが設けられた第1の筺体31と、表示デバイス32aが設けられた第2の筺体32と、それらの第1の筺体31と第2の筺体32との間を連結するヒンジ33とを有している。
【0054】
図10のように、ヒンジ33は、棒状の回転軸35と、回転軸35の中央部に配置されて回転軸35を回転可能に支持する円筒状の軸受け部35aと、回転軸35の両端に固定されて第2の筺体32に接続される連結アーム34とを有する。
【0055】
ヒンジ33の回転軸35の両端部にはそれぞれねじりコイルばね36が装着されている。このねじりコイルばね36は、その一端側が第1の筺体31に係止され、他端側が連結アーム34に係止されて、第2の筺体32が開く方向に回転力を付与する。
【0056】
第1の筺体31の後端側には、回転軸35、軸受け部35a及びねじりコイルばね36を収納するスペース42と、連結アーム34を収納する溝部41とが設けられており、端末装置30を閉じた状態でヒンジ33が見えないようにしている。
【0057】
また、第1の筺体31の後端側には、ロックアーム37を収納するスペース43が設けられている。ロックアーム37はL字状の板状部材であり、その一端側は第1の筺体31の側面に露出してロック解除ボタン37cとなっている。そして、ロックアーム37の他端側は、軸受け部35aに設けられた開口部35cを介して回転軸35を係止する係止片37aとなっている。このロックアーム37は、その屈曲部とロック解除ボタン37cとの間の支点37bを中心に所定の角度だけ回動する。スペース43には、ロックアーム37の他端側を回転軸35に向けて付勢する圧縮コイルばね38が配置される。なお、ロックアーム37は、ロック機構の一例である。
【0058】
図11は、端末装置30の後端部の断面図である。この図11のように、第1の筺体1の外側面(後端側の面)は、回転軸35を中心とし、この中心から後述する連絡アーム4の導出部34bとアーム部34cとの接続までを半径とする円(図11中に破線で表した半径Rの円)の内側に位置している。
【0059】
連結アーム34は、回転軸35に固定される円柱状の基部34aと、第2の筺体32に接続される接続部34dと、基部34aと接続部34dとの間を連絡する導出部34b及びアーム部34cとを有している。導出部34bは、端末装置30を閉じた状態のときに第1の筺体31の底面近傍に配置され、アーム部34cは導出部34bの先端と接続部34dとの間を連絡する。
【0060】
アーム部34c、接続部34d及び第2の筺体32は、図11に破線で表した半径Rの円の外側に配置されている。これにより、回転軸35を中心として第2の筺体32を回転させたときに、アーム部34c、接続部34d及び第2の筺体32が第1の筺体31に接触することが回避される。その結果、連結アーム34の導出部34bが溝部41の端部に当接するまで、第2の筺体32を回転させることができる。
【0061】
図12(a),(b)は、ロックアーム37の動作を説明する図である。なお、図12(a),(b)において、左側の図はロックアーム37を上方から見たときの図、右側の図はロックアーム37と回転軸35とが接触する部分における断面図である。
【0062】
図12(a)のように、回転軸35の長手方向中央部には切り欠き35cが設けられている。端末装置30を閉じた状態のときには、圧縮コイルばね38によりロックアーム37が押圧されて、係止部37aが切り欠き35c内に進入している。このとき、回転軸32にはねじりコイルばね36により回転力が付与されているが、係止部37aの切り欠き35c内への進入により、回転軸35の回転が阻止される。
【0063】
図12(b)のようにロック解除ボタン37cを後端側(図12(b)中に矢印Hで示す方向)に押すと、ロックアーム37は支点37bを中心に回動して、係止部37aが回転軸35の切り欠き35cから外れる。そうすると、ねじりコイルばね36の回転力により、第2の筺体32が回転軸35を中心に回転する。この回転は、図13のように、連結アーム34の導出部34bが溝部41の端部に当接したところで停止する。このようにして、端末装置30を開くことができる。
【0064】
本実施形態においても、第1の筺体31内にヒンジ33を収納しており、端末装置30を開いた状態でもヒンジ33のうち露出する部分は連結アーム34のみである。このため、第1の筺体31の入力デバイス設置面の有効面積が大きく、従来よりも多くの入力デバイスを設置することができる。
【0065】
また、本実施形態では、端末装置30を閉じた状態ではヒンジ33が露出せず、デザイン的に優れている。
【0066】
以上の諸実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0067】
(付記1)回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記第1の筺体の前記一方の面に対向する面側にスライドレールを備え、前記スライドレールに前記連結アームの先端部がスライド可能に接続される第2の筺体と
を有することを特徴とする端末装置。
【0068】
(付記2)前記第1の筺体と前記第2の筺体とを重ね合わせたときに前記溝部が前記第2の筺体に隠れ、前記第2の筺体を前記スライドレールの延びる方向にスライドさせると前記溝部が露出して、前記第2の筺体が前記回転軸を中心に回転可能となることを特徴とする付記1に記載の端末装置。
【0069】
(付記3)前記第2の筺体は、少なくとも前記回転軸の中心から第1の筺体の端部側の外側面までの距離の2倍以上スライド可能であることを特徴とする付記2に記載の端末装置。
【0070】
(付記4)更に、前記連結アームに回転力を付与するばねが設けられていることを特徴とする付記2又は3に記載の端末装置。
【0071】
(付記5)更に、前記第2の筺体をスライドさせる方向に付勢するばねと、前記第2の筺体のスライドを阻止するロック機構とを有することを特徴とする付記4に記載の端末装置。
【0072】
(付記6)前記連結アームが前記回転軸の両端にそれぞれ配置されていることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の端末装置。
【0073】
(付記7)前記第1の筺体の前記一方の面側には入力デバイスが設置され、前記第2の筺体の前記第1の筺体に対向する面側には表示デバイスが設置されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の端末装置。
【0074】
(付記8)回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記連結アームの先端部が接続された第2の筺体とを有し、
前記連結アームは前記回転軸に接続される基部と、前記基部から導出する導出部と、前記導出部から前記第2の筺体に向けて延びるアーム部とを有し、
前記第1の筐体の前記端部側の外側面が、前記回転軸を中心とし、該中心から前記連結アームの前記導出部と前記アーム部との接続部までを半径とする円の内側に位置し、前記第2の筺体が前記円の外側に位置することを特徴とする端末装置。
【0075】
(付記9)更に、前記連結アームに回転力を付与するばねと、前記連結アームの回転を阻止するロック機構とを有することを特徴とする付記8に記載の端末装置。
【0076】
(付記10)前記連結アームが前記回転軸の両端にそれぞれ配置されていることを特徴とする付記8又は9に記載の端末装置。
【符号の説明】
【0077】
1,31…第1の筺体、1a,31a…入力デバイス、2,32…第2の筺体、2a,32a…表示デバイス、3,23,33…ヒンジ、4…連結アーム、4a…基部、4b…アーム部、4c…ガイド部、5,35…回転軸、5a,35a…軸受け部、6,36…ねじりコイルばね、7,38…圧縮コイルばね、10,10a,20,30…端末装置、11,41…溝部、14…孔、15…係止部材、16…ロックボール、17,21…スライド溝、24…ロック爪、34…連結アーム、34a…基部、34b…導出部、34c…アーム部、34d…接続部、35c…切り欠き。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記第1の筺体の前記一方の面に対向する面側にスライドレールを備え、前記スライドレールに前記連結アームの先端部がスライド可能に接続される第2の筺体と
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第1の筺体と前記第2の筺体とを重ね合わせたときに前記溝部が前記第2の筺体に隠れ、前記第2の筺体を前記スライドレールの延びる方向にスライドさせると前記溝部が露出して、前記第2の筺体が前記回転軸を中心に回転可能となることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第2の筺体は、少なくとも前記回転軸の中心から第1の筺体の端部側の外側面までの距離の2倍以上スライド可能であることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
更に、前記連結アームに回転力を付与するばねが設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の端末装置。
【請求項5】
回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記連結アームの先端部が接続された第2の筺体とを有し、
前記連結アームは前記回転軸に接続される基部と、前記基部から導出する導出部と、前記導出部から前記第2の筺体に向けて延びるアーム部とを有し、
前記第1の筐体の前記端部側の外側面が、前記回転軸を中心とし、該中心から前記連結アームの前記導出部と前記アーム部との接続部までを半径とする円の内側に位置し、前記第2の筺体が前記円の外側に位置することを特徴とする端末装置。
【請求項1】
回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記第1の筺体の前記一方の面に対向する面側にスライドレールを備え、前記スライドレールに前記連結アームの先端部がスライド可能に接続される第2の筺体と
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第1の筺体と前記第2の筺体とを重ね合わせたときに前記溝部が前記第2の筺体に隠れ、前記第2の筺体を前記スライドレールの延びる方向にスライドさせると前記溝部が露出して、前記第2の筺体が前記回転軸を中心に回転可能となることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第2の筺体は、少なくとも前記回転軸の中心から第1の筺体の端部側の外側面までの距離の2倍以上スライド可能であることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
更に、前記連結アームに回転力を付与するばねが設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の端末装置。
【請求項5】
回転軸に回転可能に支持された連結アームと、
一方の面側の端部に前記連結アームを収納する溝部が設けられた第1の筺体と、
前記連結アームの先端部が接続された第2の筺体とを有し、
前記連結アームは前記回転軸に接続される基部と、前記基部から導出する導出部と、前記導出部から前記第2の筺体に向けて延びるアーム部とを有し、
前記第1の筐体の前記端部側の外側面が、前記回転軸を中心とし、該中心から前記連結アームの前記導出部と前記アーム部との接続部までを半径とする円の内側に位置し、前記第2の筺体が前記円の外側に位置することを特徴とする端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−182771(P2012−182771A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46060(P2011−46060)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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