説明

端末認証方法、端末認証システム及び基地局

【課題】端末認証計算の処理を短時間で効率的に行うことが可能な端末認証方法を実現する。
【解決手段】ハンドオーバ時、端末10は登録要求を基地局Aへと送信する。当該登録要求は基地局A内の無線通信部101で受信され、制御部102へと出力される。制御部102は入力した登録要求に基づいて端末10の認証を行うよう端末認証部103へ指示する。端末認証部103は、端末10の端末番号をキーとして認証情報キャッシュメモリ104を検索し、端末10の登録情報を検索する。登録されていない場合は、ハンドオーバ元の基地局Bから端末10の登録情報を要求する。基地局Bで端末10が登録されていない場合は基地局Aで通常通り認証を行い、基地局Bで端末10が登録されている場合は、端末10から送信された端末証明書の認証を簡略化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端末と端末の認証を行う基地局とで構成される端末認証方法及び端末認証システム、端末の認証を行う基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の端末と基地局とで構成される端末認証方法においては、端末が基地局と接続する際に、基地局はまず端末の認証を行い、認証が成功した後に当該端末の登録を行っていた。
【0003】
図7は、従来の端末認証方法における処理の流れを示すフロー図である。図7において、端末からの登録要求を基地局が受信すると、基地局は端末番号や暗号化方法、端末証明書などの基本情報を取得する(ステップS701)。
【0004】
続いて、基地局はステップS701で取得した端末証明書が認証局から発行された正規の証明書であるかを判定する(ステップS702)。ここでの認証は、例えば、楕円暗号(ECC)等を用いて行われる。端末証明書の認証を行うことにより、基地局は正規の端末からの登録要求であるかを確認し、なりすまし等の不正を防止する。
【0005】
端末証明書の認証が完了すると、続いてメッセージダイジェストの認証を行い、端末証明書が改ざんされていないかを判定する(ステップS703)。ここでの認証は、例えば、一方向ハッシュ関数(SHA:Secure Hash Algorithm)等を用いて行われ、端末から受信した端末証明書のメッセージダイジェストのハッシュ値と、基地局で作成したメッセージのハッシュ値を比較する。
【0006】
ステップS702における端末証明書の認証及びステップS703におけるメッセージダイジェストの認証の双方が成功すると、基地局は当該端末に認証結果として登録応答を送信する(ステップS704)。
【0007】
近年、VOIP(Voice Over IP)等の機能追加や性能高度化が進む中、基地局の処理能力は限られている。そのため、上述した端末認証等の既存の機能は、より効率的で短時間の処理が求められている。
なお、本出願に関する従来技術の参考文献として、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特表2004−513543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の端末認証方法では、常に端末から受信した情報をそのまま使用して端末認証計算を実施していたため、以下のような問題が発生する。
一点目は、端末からのハンドオーバ登録要求を処理する際に起きる問題である。端末からのハンドオーバ要求を他の端末の登録要求と同様に処理すると、ハンドオーバ時に他の端末からの登録要求が頻発した場合にハンドオーバ処理が遅延することとなり、ハンドオーバ要求を行った端末に長時間の接続待ち状態が発生する。
【0009】
二点目は、アプリケーションの処理等で端末と基地局との間で頻繁に接続が行われる場合に起きる問題である。同一端末からの登録要求に対しても、基地局は当該端末から受信する全ての登録要求に対して毎回認証を行うため、認証処理に大きな負荷がかかることになり、端末登録時の応答時間が遅れる。
【0010】
三点目は、端末証明書の認証後に行われるメッセージダイジェスト認証における問題である。メッセージダイジェスト認証では現在SHA−1が使用されているが、将来的にはSHA−1よりハッシュ値ビット数が多く、安全性の高いSHA−256、384等の関数に変更する必要がある。しかし、ハッシュ値ビット数が長ければ長いほど認証に多大な時間を必要とするため、将来の認証処理の拡張化に問題をきたす恐れがある。
【0011】
このように、基地局が常に端末から受信した情報をそのまま使用して端末認証計算(端末証明書の認証及びメッセージダイジェストの認証で行う計算)を行う従来の方法では、端末認証に処理に時間がかかるという課題があった。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、端末認証計算の処理を短時間で効率的に行うことが可能な端末認証方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、移動端末からの登録要求に基づいて、基地局が当該移動端末を認証する端末認証方法において、前記基地局が前記登録要求を送信した移動端末の認証情報を有するか否かを判定するステップと、前記判定ステップで当該移動端末の認証情報を有すると判定した場合には、当該認証情報に基づいて前記認証を行うステップと、前記判定ステップで当該移動端末の認証情報を有しないと判定した場合には、当該移動端末の認証情報を取得する認証情報取得処理を行い、当該認証情報取得処理で取得した認証情報に基づいて当該移動端末の認証を行うステップとを具備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認証情報取得処理は、前記基地局が他の基地局から当該移動端末の認証情報を取得する処理であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認証情報取得処理は、当該移動端末からの登録要求に基づいて行う認証計算の処理であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3に記載の発明において、前記判定ステップで当該移動端末の認証情報を有しないと判定した場合に行うステップは、当該移動端末が音声通信を行う端末であり、かつ当該移動端末がハンドオーバを実行する端末である場合には、当該移動端末からの認証を他の移動端末の認証より優先して行うことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認証は、前記基地局と前記移動端末とでハッシュ関数に基づくハッシュ計算を行い、当該ハッシュ計算により得られたハッシュ値を比較するハッシュ値比較ステップを有し、前記ハッシュ値比較ステップは、前記ハッシュ計算の計算途中のハッシュ値に基づいて認証処理を行い、当該認証処理後に前記ハッシュ値を比較して一致しない場合には前記移動端末の認証を終了することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、移動端末と、前記移動端末からの登録要求に基づいて当該移動端末を認証する基地局とで構成される端末認証システムにおいて、前記基地局は、前記移動端末の認証情報を登録する登録手段と、前記登録要求を受信する受信手段と、前記登録要求を送信した移動端末の認証情報が前記登録手段に登録されているかを検索する検索手段と、前記検索手段で当該移動端末の認証情報が検索されなかった場合に、当該移動端末の認証情報を取得する認証情報取得手段と、前記認証情報取得手段で取得した認証情報に基づいて前記登録要求を送信した移動端末の認証を行う認証手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、移動端末からの登録要求に基づいて当該移動端末を認証する基地局であって、前記移動端末の認証情報を登録する登録手段と、前記登録要求を受信する受信手段と、前記登録要求を送信した移動端末の認証情報が前記登録手段に登録されているかを検索する検索手段と、前記検索手段で当該移動端末の認証情報が検索されなかった場合に、当該移動端末の認証情報を取得する認証情報取得手段と、前記認証情報取得手段で取得した認証情報に基づいて前記登録要求を送信した移動端末の認証を行う認証手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1から請求項3に記載の発明によれば、基地局で移動端末から登録要求を受けた場合に、基地局に当該移動端末の認証情報がある場合には、その認証情報を使うことにより、基地局での認証計算に要する負荷を軽減させることできる。
【0020】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、音声通信を行う移動端末のハンドオーバ処理を優先的に行うため、ハンドオーバ時における音声通信の切断時間を短縮することが可能である。
【0021】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、ハッシュ計算の途中結果に基づいて認証処理を行うことで、認証に要する時間を短縮することができる。また、将来的な機能拡張で、一方向性ハッシュ計算のハッシュビット長が長い関数を使用する場合、予めチェックポイントを基地局−端末間で定め、チェックポイントでの仮認証を実施することにより、ハッシュビット長に依存せず、認証に要する時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態にかかる端末認証システムの構成を示す構成図である。図1において、符号1〜3は無線通信基地局(基地局)であり、符号10は無線通信を行う移動可能な端末(移動端末)である。なお、以下では、符号1を基地局A、符号2を基地局B、符号3を基地局Cと呼ぶ。
【0023】
基地局A内の無線通信部101は、端末10との無線通信を司るものである。制御部102は、無線通信部101及び端末認証部103を制御するものである。端末認証部103は、端末10の端末認証計算を行うものである。
【0024】
認証情報キャッシュメモリ104は、端末認証部103で行う端末認証計算結果の情報の一部を一時的に保存するメモリである。本実施形態では、認証情報キャッシュメモリ104は認証が成功した端末の端末番号(電話番号)をキーとして、当該端末のMACアドレス、認証局番号等を保存する。有線通信部105は、他の基地局B、基地局Cとの通信を司るものである。なお、基地局B、基地局Cの構成は基地局Aと同様である。
【0025】
次に、上述した実施形態の動作を図2から図6を参照して説明する。
図2は、本発明の端末認証システムにおけるハンドオーバ時のデータの流れを示すシーケンス図であり、端末10はハンドオーバ前に基地局Bと接続しており、ハンドオーバで基地局Aと接続する。
【0026】
図2において、端末10がハンドオーバを行う際には、ハンドオーバ先の基地局Aに対して登録要求を送信する。ハンドオーバの場合、端末10は以前に接続していた基地局Bの情報を登録要求に含めて送信する。
【0027】
基地局Aが端末10からの登録要求を受信すると、当該登録要求から端末10のハンドオーバ元が基地局Bであることを確認し、その基地局Bに対して認証情報キャッシュ検索要求を送信する。ここで、認証情報キャッシュ検索要求には、端末10の端末番号や端末10から送信された端末証明書が含まれる。
【0028】
基地局Bが認証情報キャッシュ検索要求を基地局Aから受信すると、端末10の情報をキャッシュ情報として保持しているかを検索する。検索後、基地局Bはその検索結果を認証情報キャッシュ検索応答として基地局Aへ送信する。
【0029】
基地局Aが認証情報キャッシュ検索応答を基地局Bから受信すると、その応答に基づいて端末10の認証を行い、認証が成功した場合には端末10へ登録応答として送信する。一方、認証が失敗し場合には、基地局Aは端末10へ登録不可の応答を送信する。
【0030】
続いて図2に示したハンドオーバ処理における、基地局A及び基地局Bの詳細な処理の流れを図3から図6を参照して説明する。
図3及び図4は、基地局Aの処理を表すフローチャートであり、図5は基地局Bの処理を表すフローチャートである。
【0031】
図3において、基地局Aが端末10からの登録要求を無線通信部101で受信すると(受信手段、ステップS301)、受信した登録要求を制御部102へと通知する。制御部102は、入力した登録要求を端末認証部103へ出力して端末認証を行うように指示する。
【0032】
端末認証部103は、制御部102から入力した端末10の端末番号をキーとして認証情報キャッシュメモリ104内を検索し(検索手段)、端末10の登録情報がキャッシュに登録されているか否かを判定する(ステップS302)。
【0033】
認証情報キャッシュメモリ104に端末10の情報が登録されていた場合は(ステップS302:キャッシュ登録あり)、端末認証部103は端末10の登録情報を認証情報キャッシュメモリ104から取得する(ステップS303)。
【0034】
認証情報キャッシュメモリ104から取得した端末10の端末証明書が、無線通信部101で受信した端末10の端末証明書と一致した場合には、端末10が過去に基地局Aで認証されたことのある正規の端末であると判断し、端末証明書の認証処理を簡略化する。
【0035】
具体的には、例えば端末証明書がECC(Elliptic Curve Cryptosystem)及びRSA(Rivest Shamir Adleman)で二重に暗号化されていた場合、計算量が多く時間のかかるRSAの復号化結果を認証情報キャッシュメモリ104に保持し、計算量の少ないECCの復号化のみをステップS303で行う。ステップS308で端末証明書の認証処理を簡略化する場合においても同様である。その後、図4のステップS312へと移行しメッセージダイジェストのハッシュ計算を行う。
【0036】
ハンドオーバ時ではなく、アプリケーションの処理等で同一端末から頻繁に基地局Aへ登録要求が発生する場合には、ステップS302からステップS303への経路で処理を行い端末証明書の認証を簡略化することで、従来技術と比較して短時間で認証処理を行うことが可能となる。
【0037】
一方、認証情報キャッシュメモリ104に端末10の情報が登録されていなかった場合は(ステップS302:キャッシュ登録なし)、続いて端末認証部103は端末10からの登録要求がハンドオーバ要求であるか否かを判定する(ステップS304)。ハンドオーバ要求でない場合は(ステップS304:No)、端末証明書の認証を行い端末Bの登録情報を取得する(ステップS309)。なお、ステップS304:No〜ステップS309の処理は、請求項3に記載の認証情報取得処理の一例である。
【0038】
一方、端末からのハンドオーバ要求である場合は(ステップS304:Yes)、登録要求に含まれるハンドオーバ前の接続先(基地局B)の情報を取得し、その基地局Bに対してキャッシュ検索要求を有線通信部105から送信する(ステップS305)。ここで、キャッシュ検索要求では端末10の端末番号及び端末証明証書のデータを送信する。キャッシュ検索要求を受信する基地局Bの処理に関しては、図5を参照して後述する。
【0039】
有線通信部105で基地局Bからのキャッシュ検索応答を受信すると、その応答が端末認証部103へと出力される。端末認証部103は基地局Bからの応答を参照し、基地局Bに端末10のキャッシュ登録があるか否かを判定する(ステップS307)。
【0040】
基地局Bに端末10のキャッシュ登録がある場合には(ステップS307:Yes)、端末認証判定部103はキャッシュ検索応答から登録情報を取得し(ステップS308)、端末証明書の認証処理を簡略化する。この後、図4のステップS312へと移行しメッセージダイジェストのハッシュ計算を行う。なお、図3のステップS304:Yes〜ステップS308の処理は、請求項2に記載の認証情報取得処理の一例である。
【0041】
このように、ハンドオーバ前の基地局で行った認証情報を利用することでハンドオーバ時に端末認証の処理に要する時間を短くすることができる。さらに、端末認証部103で端末10が音声通信を行う端末である場合に、ハンドオーバ要求を(通常のハンドオーバではない登録要求より)優先的に処理することで、ハンドオーバ時の基地局における端末登録作業を短時間で行うことが可能となり、ハンドオーバ時の音声通信の切断時間を短縮することできる。
【0042】
一方、基地局Bに端末10のキャッシュ登録がない場合には(ステップS307:No)、端末証明書の認証を行い端末10の登録情報を取得する(ステップS309)。続いて、端末認証部103は、ステップS309で取得した登録情報から端末10から受信した端末証明書が認証局から発行された正規の証明書であるか否かを判定する(ステップS310)。
【0043】
正規の証明書であれば(ステップS310:Yes)、図4のステップS312へと移行しメッセージダイジェストのハッシュ計算を行う。一方、正規の証明書でなければ(ステップS310:No)、無線通信部101から端末10へ登録不可の応答を送信し(ステップS311)、端末登録の手順を終了する。
【0044】
続いて、図4及び図6を参照してメッセージダイジェストの認証に関して説明する。
図6はSHA−1におけるハッシュ計算の仕組みを示した図である。SHA−1ではハッシュ値を求めるメッセージを512ビットのブロックに分割する。この分割の際に、元のメッセージの長さが512ビットの倍数でない場合、paddingにより512ビットの倍数とする。
【0045】
続いて、分割した512ビットの各ブロックを32ビット×80個のブロック処理用ビットへと変換する。ハッシュ値を求める過程では、まず初期状態となる160ビット(32ビット×5個)と一つ目のブロック処理用ビットとに対してハッシュ計算を行い、一段階目の内部状態160ビット(32ビット×5個)を求める。
【0046】
次に、一段階目の内部状態と二つ目のブロック処理用ビットとに対してハッシュ計算を行い、二段階目の内部状態160ビット(32ビット×5個)を求める。この操作を繰り返し実行し、最後(図6の例では五つ目)のブロック処理用ビットに対するハッシュ計算が終了すると、最終状態(32ビット×5個)が確定する。この最終状態の160ビットがハッシュ値(160ビット)となる。
【0047】
従来のメッセージダイジェストの認証においては、端末及び基地局で独立にメッセージダイジェストのハッシュ値計算を行い、双方で求めたハッシュ値が一致したときに認証成功、一致しなかった時に認証失敗としていた。そのため、基地局側でハッシュ値の計算が終了するまで、端末の登録要求に応答することができなかった。また、将来的な機能拡張で、一方向性ハッシュ計算のハッシュビット長が長い関数を使用する場合、ハッシュビット長に応じてハッシュ値の計算に要する時間が増える。
【0048】
そこで、本実施形態では、ハッシュ値計算の途中の段階における内部状態を仮認証として用い、仮認証が成功した時点で端末の登録要求に応答する方法を採用する。本実施形態では、図6に示した一段階目の内部状態で仮認証を行う例を紹介する。なお、端末側で行うハッシュ計算における一段階目の内部状態は、最終結果であるハッシュ値と共に登録要求で基地局へ送信される。
【0049】
図4において、基地局Aの端末認証部103がメッセージダイジェストのハッシュ値計算を開始すると(ステップS312)、上述した手順で一段階目の内部状態が求められる。この段階で、端末認証部103は端末10より受信した一段階目の内部状態と比較し(ステップS313)、双方の一段階目の内部状態の値が一致するか否かを判定する(ステップS314)。
【0050】
一致しなかった場合は(ステップS314:No)、この時点で認証手順を終了し、無線通信部101から端末10へ登録不可の応答送信を行う(ステップS315)。一方、一致した場合は(ステップS314:Yes)、無線通信部101から仮認証成功として端末10へ登録応答の送信を行う(ステップS316)。
【0051】
この後、ハッシュ値の計算を続行して最終的なハッシュ値が確定すると、端末認証部103は端末10より受信したハッシュ値と比較し、一致するか否かの判定(本認証)を行う(ステップS317)。一致しなかった場合は(ステップS317:No)、無線通信部101から端末10へ登録不可の応答送信を行う(ステップS318)。一致した場合は、仮認証の結果を本認証の結果とするが、すでに端末10へ登録応答を送信済みであるため、端末登録の手順を終了する。なお、ステップS313〜ステップS317における処理は、請求項5に記載のハッシュ値比較ステップの一例である。
【0052】
最後に、端末10に登録応答を送信し本認証が成功した場合には、端末認証部103は端末10の登録情報を認証情報キャッシュメモリ104へ登録する(登録手段)。ここで登録する情報は、例えば、前述したとおり、端末10の端末証明書をECCで復号化した結果である。
【0053】
以上述べたように、本実施形態では、メッセージダイジェストの認証において、その認証計算(例えば、ハッシュ値計算)の途中段階の情報(たとえば、図6の一段階目の内部状態)に基づいて認証を行うため、認証に要する時間を短縮することができる。また、将来的な機能拡張で、一方向性ハッシュ計算のハッシュビット長が長い関数を使用する場合、予めチェックポイントを基地局−端末間で定め、チェックポイントでの仮認証を実施することにより、ハッシュビット長に依存せず、認証に要する時間を短縮できる。
【0054】
次に、図5を参照し、図2のハンドオーバ処理におけるハンドオーバ元の基地局Bの処理を説明する。
図5において、基地局Bが図3のステップS305で基地局Aから送信されたキャッシュ検索要求を受信すると(ステップS501)、受信したキャッシュ検索要求から端末10の端末番号を取得する。取得した端末番号をキーとして基地局B内の認証情報キャッシュメモリを検索する(ステップS502)。
【0055】
続いて、ステップS502における検索で端末10の登録情報が検索できた場合には、基地局Aから受信した端末証明書と基地局Bキャッシュ内の端末証明書とを比較する(ステップS503)。比較が終了した後、基地局Bは基地局Aへキャッシュ検索応答を送信する(ステップS504)。
【0056】
ここで、キャッシュ検索応答は、ステップS503における比較結果及び、その比較結果が一致した場合には基地局B内の認証情報キャッシュメモリに登録された基地局Aの登録情報を含む。
【0057】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態では、基地局Aはハンドオーバ時にのみ他の基地局Bへキャッシュ検索要求を送信する形態であるが、ハンドオーバ時以外においても、基地局Aでキャッシュ登録されていない端末からの登録要求に関しては、基地局Aの周辺に位置する他の基地局(例えば、図1の基地局B及び基地局C)に対してキャッシュ検索要求を送信し、他の基地局で登録された認証情報を利用する形態でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、端末と端末の認証を行う基地局とで構成される端末認証システムに用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態にかかる端末認証システムの構成を示す構成図である。
【図2】図1の端末認証システムにおけるハンドオーバ時のデータの流れを示すシーケンス図である。
【図3】図2のシーケンスにおける、基地局Aの処理を表すフローチャートである。
【図4】図2のシーケンスにおける、基地局Aの処理を表すフローチャートである。
【図5】図2のシーケンスにおける、基地局Bの処理を表すフローチャートである。
【図6】SHA−1におけるハッシュ計算の仕組みを示した図である。
【図7】従来の端末認証システムにおける処理の流れを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3…基地局、10…端末(移動端末)、101…無線通信部(受信手段)、102…制御部、103…端末認証部(認証手段)、104…端末認証キャッシュメモリ、105…有線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末からの登録要求に基づいて、基地局が当該移動端末を認証する端末認証方法において、
前記基地局が前記登録要求を送信した移動端末の認証情報を有するか否かを判定するステップと、
前記判定ステップで当該移動端末の認証情報を有すると判定した場合には、当該認証情報に基づいて前記認証を行うステップと、
前記判定ステップで当該移動端末の認証情報を有しないと判定した場合には、当該移動端末の認証情報を取得する認証情報取得処理を行い、当該認証情報取得処理で取得した認証情報に基づいて当該移動端末の認証を行うステップと
を具備することを特徴とする端末認証方法。
【請求項2】
前記認証情報取得処理は、前記基地局が他の基地局から当該移動端末の認証情報を取得する処理であることを特徴とする請求項1に記載の端末認証方法。
【請求項3】
前記認証情報取得処理は、当該移動端末からの登録要求に基づいて行う認証計算の処理であることを特徴とする請求項1に記載の端末認証方法。
【請求項4】
前記判定ステップで当該移動端末の認証情報を有しないと判定した場合に行うステップは、当該移動端末が音声通信を行う端末であり、かつ当該移動端末がハンドオーバを実行する端末である場合には、当該移動端末からの認証を他の移動端末の認証より優先して行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端末認証方法。
【請求項5】
前記認証は、前記基地局と前記移動端末とでハッシュ関数に基づくハッシュ計算を行い、当該ハッシュ計算により得られたハッシュ値を比較するハッシュ値比較ステップを有し、
前記ハッシュ値比較ステップは、前記ハッシュ計算の計算途中のハッシュ値に基づいて認証処理を行い、当該認証処理後に前記ハッシュ値を比較して一致しない場合には前記移動端末の認証を終了することを特徴とする請求項1に記載の端末認証方法。
【請求項6】
移動端末と、前記移動端末からの登録要求に基づいて当該移動端末を認証する基地局とで構成される端末認証システムにおいて、
前記基地局は、
前記移動端末の認証情報を登録する登録手段と、
前記登録要求を受信する受信手段と、
前記登録要求を送信した移動端末の認証情報が前記登録手段に登録されているかを検索する検索手段と、
前記検索手段で当該移動端末の認証情報が検索されなかった場合に、当該移動端末の認証情報を取得する認証情報取得手段と、
前記認証情報取得手段で取得した認証情報に基づいて前記登録要求を送信した移動端末の認証を行う認証手段と
を具備することを特徴とする端末認証システム。
【請求項7】
移動端末からの登録要求に基づいて当該移動端末を認証する基地局であって、
前記移動端末の認証情報を登録する登録手段と、
前記登録要求を受信する受信手段と、
前記登録要求を送信した移動端末の認証情報が前記登録手段に登録されているかを検索する検索手段と、
前記検索手段で当該移動端末の認証情報が検索されなかった場合に、当該移動端末の認証情報を取得する認証情報取得手段と、
前記認証情報取得手段で取得した認証情報に基づいて前記登録要求を送信した移動端末の認証を行う認証手段と
を具備することを特徴とする基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−150721(P2007−150721A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342309(P2005−342309)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】