説明

竹の加熱乾燥破砕物、該竹の加熱乾燥破砕物が保持される消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品

【課題】製品の外観を損なうことなく、優れた消臭抗菌効果を付与できる白色の竹の加熱乾燥破砕物、該加熱乾燥破砕物が保持される消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品を提供すること。
【解決手段】竹を少なくとも70℃以上250℃未満の温度で加熱乾燥して製造する竹の加熱乾燥破砕物であって、前記竹の加熱乾燥破砕物の比表面積が0.5〜10m/gであって、前記竹の加熱乾燥破砕物が白色であることを特徴とする竹の加熱乾燥破砕物、該加熱乾燥破砕物が保持される消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品及びその製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹の加熱乾燥破砕物、該加熱乾燥破砕物を保持する消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品に関する。詳細には、該加熱乾燥破砕物は白色であるから、この加熱乾燥破砕物を含む消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品の外観を損なうことなく、優れた消臭及び抗菌効果を付与できる竹の加熱乾燥破砕物、該加熱乾燥破砕物を保持する消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般消費者の生活レベルの向上に伴い、生活空間、衣料、生活用品などの臭気に対する関心が高まっている。尿臭や腐肉臭に代表されるアンモニア、タバコ臭などの衣服や髪に付着する悪臭等を低減する種々の消臭剤が提案されている。
【0003】
竹は、フローリングなどの各種建築資材、カーペットや壁材などの各種内装資材、各種工芸品、花器、食器などに広く使用されている。近年木材の枯渇化が深刻な問題となっているが、竹は成長が早いため木材に代わる天然資材として好適であり、竹製品が普及することは森林伐採を抑制し地球環境を守ることの一助となり得る。
【0004】
竹は生の状態(竹)での利用も可能であるが、高温の窯の中で蒸気により乾留することが広く行われている。竹を乾留することにより、竹の主成分であるタケキノンが全体に浸透して、繊維状態を安定させて寸法安定性を向上させるとともに、防菌・防虫・消臭効果を高めることができる。消臭効果を有する乾留竹を粉末状にして利用した消臭剤は知られているが、例えば、特許文献1には、抗菌効果を有する乾留竹粉末を用いた消臭体が開示されている。
【特許文献1】特開平8−281042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の乾留竹粉末、及び従来の製造方法による乾留竹粉末は濃い茶褐色を呈するものであるから、乾留竹粉末を繊維等に付着させた場合、その繊維等の外観を損なうという大きな問題を有していた。
【0006】
本発明者らは、竹の加熱乾燥破砕物が消臭及び抗菌効果を有すること、及び該加熱乾燥破砕物は白色であるから、それを保持する消臭抗菌材料の外観を損なわずに優れた消臭及び抗菌効果を付与できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の課題は、竹の加熱乾燥破砕物が使用される消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品の外観を損ねず、かつ消臭及び抗菌効果に優れた竹の加熱乾燥破砕物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1にかかる発明は、竹を少なくとも70℃以上250℃以下の温度で加熱乾燥して製造する竹の加熱乾燥破砕物であって、前記竹の加熱乾燥破砕物の比表面積が0.5〜10m/gであって、前記竹の加熱乾燥破砕物が白色であることを特徴とする竹の加熱乾燥破砕物。
請求項2にかかる発明は、前記竹の加熱乾燥破砕物の長辺が5〜20mmであることを特徴とする請求項1記載の竹の加熱乾燥破砕物に関する。
請求項3にかかる発明は、前記竹の加熱乾燥破砕物が粉末状であり、その粒径が0.1〜500μmであることを特徴とする請求項1記載の竹の加熱乾燥破砕物に関する。
請求項4にかかる発明は、前記白色が、マンセル表色系において、色相5YR〜5GY、明度7.0以上及び彩度10.0以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物に関する。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物を表面及び/又は内部に保持する紙材又は繊維素材であることを特徴とする消臭抗菌材料に関する。
請求項6にかかる発明は、前記竹の加熱乾燥破砕物を表面上に保持し、前記表面上に少なくとも前記竹の加熱乾燥破砕物を保持する部分と保持しない部分の両方を設けることにより、前記表面上に凸部を形成することを特徴とする請求項5記載の消臭抗菌材料に関する。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物を混合した液体からなる液状消臭抗菌剤であって、前記竹の加熱乾燥破砕物を1〜70重量%含有することを特徴とする液状消臭抗菌剤に関する。
請求項8にかかる発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物又は請求項5又は6に記載の消臭抗菌材料を構成部品の一つとして製造されてなる消臭抗菌製品であって、前記消臭抗菌製品が、衣料用品、動物用品、介護用品、医療用品、寝具用品、インテリア用品、日用品、食品から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする消臭抗菌製品に関する。
請求項9にかかる発明は、前記消臭抗菌製品が動物用飼育小屋であって、前記動物用飼育小屋は、底板部材、キャスター、柱部材、背面パネル、側面右パネル、側面左パネル、天枠部材、天板部材を備える第1ユニットと、前面パネル、キャスター、スライド右パネル、スライド左パネル、固定材、スライド底板部材、ストッパー、補助板部材を備える第2ユニットと、前記竹の加熱乾燥破砕物を充填する引き出し部材を備え、前記第2ユニットは、前記第1ユニットの前記天枠部材が有するスライド溝に沿って前後にスライド可能であるとともに第1ユニット内に収容可能であって、前記引き出し部材は、前記第1ユニットの前記底板部材が有するスライド溝に沿って前後にスライド可能であるとともに本体ユニットの下に収容可能であることを特徴とする請求項8記載の消臭抗菌製品に関する。
請求項10にかかる発明は、比表面積が0.5〜10m/gであって、白色である竹の加熱乾燥破砕物の製造方法であって、前記竹を少なくとも70度以上250℃以下の温度で加熱乾燥する工程及び破砕する工程の両方を備えることを特徴とする製造方法に関する。
請求項11にかかる発明は、下記の工程(1)乃至(7)を備えることを特徴とする請求項10記載の製造方法に関する。
(1)竹の地上茎に竹酢液を塗った後乾燥させる工程
(2)工程(1)で得られた竹を窯に配置する工程
(3)工程(2)で得られた竹を窯の中で200〜250℃で加熱処理した後、150〜190℃で加熱処理する工程
(4)工程(3)で得られた竹を余熱により乾燥させる工程
(5)工程(4)で得られた竹を窯の内部と外気との温度差が20℃以下になってから窯から取り出す工程
(6)工程(5)で得られた竹を窯の外部で乾燥させる工程
(7)工程(6)で得られた竹の炭化表面を取り除いた内側部分を破砕して、粒径が0.1〜500μmの竹の加熱乾燥破砕物を得る工程
請求項12にかかる発明は、下記の工程(A)及び(B)を備えることを特徴とする請求項10記載の製造方法に関する。
(A)竹の地上茎を破砕する工程
(B)工程(A)で得られた竹を窯内に配置し、70〜120℃で加熱処理しながら乾燥して、長辺が5〜20mmである竹の加熱乾燥破砕物を得る工程
【発明の効果】
【0008】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、白色の竹の加熱乾燥破砕物であるから、この加熱乾燥破砕物が含まれる消臭抗菌材料及び消臭抗菌製品の外観が損なわれないという優れた効果を有する。この竹の加熱乾燥破砕物は、竹を特定の温度で加熱乾燥した特定の比表面積を有する竹の加熱乾燥破砕物であり、消臭効果及び抗菌効果に優れる。また、前記加熱乾燥破砕物が特定の粒径を有する場合、より優れた消臭及び抗菌効果を得ることができる。
【0009】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、アンモニア、ピリジン、酪酸ガス、トルエン、イソ吉草酸ガスに対して有効である。また、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)で定められている基準を満たし、高い抗菌効果を示す。したがって、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は消臭効果を有し、さらに抗菌効果を有するから、衣類、寝具類、医療用具等に好適に用いられる。
【0010】
本発明の消臭抗菌材料は、前記白色の竹の加熱乾燥破砕物を保持するから、優れた消臭及び抗菌効果を有するとともに、竹の加熱乾燥破砕物によって外観が損なわれない。さらに、本発明の消臭抗菌材料は、前記加熱乾燥破砕物を特定量保持することによって、より優れた消臭及び抗菌効果を得ることができる。
また、本発明の消臭抗菌材料は、少なくともその表面に本発明の加熱乾燥破砕物を保持する部分と保持しない部分の両方を設けて凸部を形成してもよい。これにより、滑り止め効果を得ることができる。さらに、この凸部を行列状に形成することにより、より優れた滑り止め効果を得ることができる。たとえば、このような消臭抗菌材料が人工肛門被覆袋である場合、ビニール(人工肛門ストマー)等と重ねて使用した時、複数の凸部による摩擦力によってビニールの滑りを防止できる。また、このように表面に加熱乾燥破砕物を保持する部分と保持しない部分を設けた消臭抗菌材料は、その通気性、吸水性を損なうことがない。
また、繊維素材からなる本発明の消臭抗菌材料は、衣類や寝具類、医療用具への使用に適している。
【0011】
本発明の液状消臭抗菌剤は、前記白色の竹の加熱乾燥破砕物を含むから、それ自体の色に影響を及ぼさずに、優れた消臭及び抗菌作用を有する。
また、液状消臭抗菌剤は、塗料剤、染料剤、コーティング剤等に用いられ、流動性に優れるとともに消臭抗菌材料に対して塗り易いので作業効率が向上する。
さらに、この液状消臭抗菌剤を紙材又は繊維素材の表面に塗布あるいは浸漬した後、乾燥させることによって、消臭抗菌材料を容易に製造できる。
【0012】
本発明の消臭抗菌製品は、前記竹の加熱乾燥破砕物又は前記消臭抗菌材料からなるから、消臭及び抗菌効果に優れるとともに、含まれる竹の加熱乾燥破砕物によって外観が損なわれない。
特定の大きさを有する竹の加熱乾燥破砕物は、空気中に飛散することがないから、製品の一部に敷き詰める又は充填するという方法で消臭抗菌製品に使用できる。
特定の小さい粒径を有する竹の加熱乾燥破砕物は、液体に混合した後、対象物に対して塗布又は浸漬しやすいため、消臭抗菌製品の生産が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物の原料として用いる竹として、イネ目イネ科タケ亜科マダケ属(Poales Poaceae Bambusoideae Phyllostachys)に属する竹が挙げられるが、これらに限定されない。マダケ属として、マダケ(Phyllostachys bambusoides Sieb.et Zucc.)、モウソウチク(Phyllostachys heterocycla Mitf. var.pubescens Ohwi)、クロチク(Phyllostachys nigra Munro)、ハチク(Phyllostachys nigra Munro var.henonis Stapf)、ホテイチク(Phyllostachys bambusoides Sieb.et Zucc.var. aurea Makino)ケイチク(Phyllostachys makinoi Hayata)等が挙げられる。このマダケ属の中で、モウソウチクが最も好適に用いられる。前記モウソウチクにはキッコウチク(Phyllostachys heterocycla Mitf. var. pubescens Ohwi cv.Heterocycla)、キンメイモウソウチク(Phyllostachys heterocycla Mitf. var.pubescens Ohwi cv.Nabeshimana)等の品種も含まれる。原料として用いられる竹の部位は特に限定されないが、地上茎部分を用いることが好ましい。この理由は、モウソウチクの地上茎部分を使用すると本発明の竹の加熱乾燥破砕物を製造しやすく、また防臭抗菌効果に優れるからである。
【0014】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、少なくとも70度以上250℃以下の温度で加熱乾燥して製造される。この温度より低いと乾燥が十分に行われないため、十分な比表面積が得られず、防臭抗菌効果を十分に付与できない。また、この温度より高いと竹が炭化し竹が濃い茶褐色を呈し、白色の加熱乾燥破砕物を得ることができなくなるため、好ましくない。
【0015】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、比表面積が0.5〜10m/gの範囲である。前記比表面積は、窒素吸着脱着法により測定したものである。尚、本発明の工程である70℃以上250℃以下の加熱乾燥を行わずに、常温で乾燥させた竹の比表面積は、0.3m/g程度である。比表面積が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合と比較して、消臭及び抗菌効果が劣る結果となり、好ましくない。
【0016】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物の大きさは特に限定されないが、長辺が5〜20mmの加熱乾燥破砕物が用いられる。この理由は、この大きさの加熱乾燥破砕物は、空気中に飛散することがなく、製品の一部に投与する又は充填するという方法で使用できるからである。このようにして、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を対象物に塗布せずに好適にそのままの形状で使用できる。尚、ここでいう長辺とは、本発明の竹の加熱乾燥破砕物の長さ寸法のうち、長い方をさす。
また、大きさは特に限定されないが、好ましくは0.01〜1000μm、より好ましくは0.1〜500μmとして用いられる。さらに好ましくは1〜100μm、最も好ましくは10〜70μmである。この理由は、加熱乾燥破砕物の粒径が0.01μm未満であると消臭抗菌効果に劣るからであり、1000μmを超えると対象物に塗布した時に剥がれやすいためである。このようにして、この粒径を有する本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、好適に対象物に塗布して使用できる。
【0017】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、白色であることを特徴とする。なお、上記白色には、黄白色及び茶白色も含まれる。上記白色とは、マンセル表色系において、色相5YR〜5GY、明度7.0以上及び彩度10.0以下の範囲を示す。好ましくは、色相5YR〜5GY、明度8.0以上及び彩度6.0以下の範囲である。前記マンセル表色系とは、アルバート・マンセルが創案した表色系をアメリカ光学会が修正して発表した表色系を意味し、色を色相、明度および彩度の3属性によって表わしたものである。
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、白色であるから、たとえば、竹の加熱乾燥破砕物を繊維素材に付着させた場合であっても、繊維と共に染色することが可能であるなど、竹の加熱乾燥破砕物が含まれる製品の外観に影響を及ぼすことがない。
【0018】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、優れた消臭効果を有する。
特に、尿臭や腐肉臭の原因となるアンモニア、タバコ臭に含まれるピリジン、酪酸ガス及び足臭の原因であるイソ吉草酸ガスに対して優れた消臭効果を発揮する。
たとえば、本発明の竹の加熱乾燥破砕物が30g/m付着された布は、アンモニアに対して2時間で95%の減少率(100ppmを3.5ppmに減少)を示す。
【0019】
さらに、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、優れた抗菌効果を有する。
たとえば、本発明の竹の加熱乾燥破砕物が30g/m付着された布は、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)で定められている基準を満たし、菌の増殖を抑制して高い抗菌効果を示す。
【0020】
以下、液状消臭抗菌剤について説明する。
本発明の液状消臭抗菌剤は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を混合した液体からなる。前記竹の加熱乾燥破砕物を混合するために用いられる液体は特に限定されないが、水、有機溶媒、極性溶媒、非極性溶媒等が挙げられる。
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は白色であるから、液状消臭抗菌剤自体の色に、殆ど影響を及ぼさずに所望の消臭及び抗菌効果を得ることができる。
【0021】
液状消臭抗菌剤に含まれる竹の加熱乾燥破砕物の量は特に限定されないが、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは3〜50重量%、最も好ましくは5〜40重量%である。1〜70重量%の竹の加熱乾燥破砕物が含まれる液状消臭抗菌剤は、流動性に優れるから、たとえば表面が滑らかな塗工に塗られた場合、平滑な塗膜面を形成することができる。また、塗り易いので作業効率が向上する。
また、液状消臭抗菌剤に含まれる竹の加熱乾燥破砕物の粒径が小さい場合、たとえば、0.01μm〜100μmの粒径である場合は、外観上でも竹の加熱乾燥破砕物が確認できないため、あらゆる用途に使用できる。
【0022】
本発明の液状消臭抗菌剤は、たとえば、塗料剤、捺染剤、染料剤、コーティング剤、インクが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
以下、消臭抗菌材料について説明する。
本発明の消臭抗菌材料は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を表面及び/又は内部に保持する紙材または繊維素材である。本発明の消臭抗菌材料は前記竹の加熱乾燥破砕物を保持するから、優れた消臭及び抗菌効果を有する。また、消臭抗菌材料に含まれる竹の加熱乾燥破砕物が白色であるから、消臭抗菌材料の外観が損なわれない。
【0024】
本発明の消臭抗菌材料がその表面に竹の加熱乾燥破砕物を保持する場合、該竹の加熱乾燥破砕物の量は特に限定されず、用途に応じて適宜定めればよいが、好ましくは1〜500g/m、より好ましくは5〜200g/m、最も好ましくは10〜100g/mである。
竹の加熱乾燥破砕物の含有量が1g/m未満であると十分な消臭効果を得ることができないため、また含有量が500g/mを超えると竹の加熱乾燥破砕物が紙材または繊維素材からはがれやすくなるため、いずれの場合も好ましくない。
【0025】
本発明の消臭抗菌材料がその表面に竹の加熱乾燥破砕物を保持する場合、本発明の消臭抗菌材料は、表面全体に均一に竹の加熱乾燥破砕物を保持してもよい。また、本発明の消臭抗菌材料は、表面に竹の加熱乾燥破砕物を保持する部分と保持しない部分を設けてもよく、さらに模様を形成してもよい。
また、本発明の消臭抗菌材料は、その表面に均一に竹の加熱乾燥破砕物を保持する部分と模様部分の両方を設けて一面を形成してもよい。
【0026】
消臭抗菌材料表面に竹の加熱乾燥破砕物を保持する部分と保持しない部分を設けると、竹の加熱乾燥破砕物を保持する部分に凸部が形成される。これにより、消臭抗菌材料が備える凸部と該消臭抗菌材料が接する物体との間に摩擦力を生じさせることができ、滑り止め効果が得られる。
【0027】
また、本発明の消臭抗菌材料は、その表面に前記凸部により模様を形成することができる。たとえば、この凸部を行列状に形成する(図15参照)、即ち行列模様を形成することができる。この行列模様により、さらに優れた滑り止め効果を得ることができる。この理由は、消臭抗菌材料が表面に備える凸部が規則正しく形成されることにより、該消臭抗菌材料が接する物体との間に、高い摩擦力が生じるからである。
たとえば、このような消臭抗菌材料が人工肛門被覆袋である場合、ビニール(人工肛門ストマー)等と重ねて使用した時、人工肛門被覆袋が備える凸部とビニールとの間に生じる摩擦力によって、ビニールの滑りを防止できる。
【0028】
また、表面に竹の加熱乾燥破砕物を保持する部分と保持しない部分を設けた消臭抗菌材料は、消臭抗菌材料の通気性、吸水性を損なうことがない。
【0029】
本発明の消臭抗菌材料は紙材又は繊維素材である。繊維素材は特に限定されないが、天然植物繊維から製造されるセルロース系繊維、或いは、綿、麻、布帛、羊毛、ポリエチレン、レーヨン、ナイロン、絹及びアクリルが挙げられる。
【0030】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物を含む繊維素材は、洗濯によってその消臭効果が低下しない。たとえば、30g/mの竹の加熱乾燥破砕物を保持した布帛(100cm)は、10回洗濯後であってもアンモニアに対して2時間で66%の減少率(100ppmを25ppmに減少)を示す。
【0031】
本発明の消臭抗菌材料の表面及び/又は内部に竹の加熱乾燥破砕物を保持する方法は、特に限定されない。
たとえば、本発明の消臭抗菌材料が繊維素材である場合、この消臭抗菌材料は、竹の加熱乾燥破砕物を繊維素材に編み込んで製造される。
【0032】
たとえば、本発明の消臭抗菌材料が紙材又は繊維素材である場合、以下の工程(ア)乃至(ウ)により消臭抗菌材料が製造される。
(ア)液状消臭抗菌剤を調製する工程(方法は前述した)
(イ)工程(ア)で得られた液状消臭抗菌剤を紙材又は繊維素材の表面に塗布する又は液状消臭抗菌剤に紙材又は繊維素材を浸漬させる工程
(ウ)工程(イ)で得られた紙材又は繊維素材を乾燥させて、消臭抗菌材料を得る工程
【0033】
前記工程(イ)において、液状消臭抗菌剤を紙材又は繊維素材の表面に塗布する又は液状消臭抗菌剤に紙材又は繊維素材を浸漬させる方法は特に限定されないが、好ましくは、通常の繊維、布帛材料に適用する染色方法を応用することができる。即ち、一般的な染色方法で使用される染色液に変えて本発明の液状消臭抗菌剤を使用することによって、繊維、布帛材料に本発明の竹の加熱乾燥破砕物を保持させることができる。
たとえば、前記染色方法として、繊維、布帛材料を染料液に浸漬する浸染、及び捺染等が挙げられる。なお、浸染は水を媒体として染色が行われ、捺染は糊を媒体として染色が行われる。本発明においては、これらのうち捺染が好適に採用される(後に詳説する)。
【0034】
前記工程(ウ)において工程(イ)で得られた紙材又は繊維素材を乾燥させることにより、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を剥がれにくくすることができる。
【0035】
以下、捺染について説明する。
捺染とは、一般的にはプリントと呼ばれており、布地等(布地や製品(布地以外の素材からなる製品))に糊剤と染液を調合した染液を印捺して、模様を現す染色方法である。前記印捺とは、捺染版を用いて、布地の模様を出す部分に染液を一定の厚さに置く操作をいう。この後、蒸熱処理を施すことにより、絵柄を固着させることができる。
【0036】
本発明で用いられる捺染は、糊剤と本発明の竹の加熱乾燥破砕物を含む染液(即ち本発明に係る液状消臭抗菌剤)を用いて、布地等に絵柄と竹の加熱乾燥破砕物をともに固着させる方法である。着色料(染料、顔料)は任意に添加することができる。糊剤は、通常、布に用いられる樹脂なら制限はないが、アクリル系等が好ましく用いられる。
【0037】
前記捺染が好適に用いられる理由として、捺染は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を強固に消臭抗菌材料の上に付着させることができることが挙げられる。これにより、たとえば消臭抗菌材料が布地である場合、複数回の洗濯の後も消臭抗菌材料から竹の加熱乾燥破砕物が剥がれない。
また、竹の加熱乾燥破砕物を捺染により消臭抗菌材料に付着させると、消臭抗菌材料に滑り止め効果も付与することができるため優れる。
【0038】
本発明の消臭抗菌材料が人工肛門被覆袋である場合を例に挙げ、以下、捺染により竹の加熱乾燥破砕物を人工肛門被覆袋に保持させる方法を述べる。
人工肛門被膜袋の内側となる布地の面を上にし、その上に捺染版を設置する。糊剤と本発明の竹の加熱乾燥破砕物を含む染液を調合し、捺染版の上から塗布する。この捺染版は、塗布された染液が人工肛門被膜袋に行列状の複数の凸部を形成する型に彫られている。その後、蒸熱処理を施すことにより、人工肛門被膜袋の表面に竹の加熱乾燥破砕物を含む複数の凸部を固着させることができる。
このようにして製造された人工肛門被膜袋は、人工肛門被膜袋内側の面に複数の凸部を備えるから、ビニール(人工肛門ストマー)を重ね入れた時、ビニールの滑りを防止できる。
【0039】
なお、捺染の方法は、前記捺染版を用いた方法のみに限定されず、インクジェット方式の捺染も同様の技術的思想に基づいて使用できる。即ち、インクジェット捺染用の印刷機を用いて、竹の加熱乾燥破砕物を含む染料を消臭抗菌材料たとえば布地等の上に固着させることができる。
【0040】
本発明の消臭抗菌材料が紙材である場合、竹の加熱乾燥破砕物を保持する方法は特に限定されない。たとえば、インクジェットの印刷機を使用して文字、絵等として、製紙にプリントしてもよい。あるいは、和紙を製造する工程中に、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を混ぜ合わせて、(即ち、原料繊維を含む水中に竹の加熱乾燥破砕物を含み、それを漉くことにより)製造されてもよい。
【0041】
次に本発明の消臭抗菌製品について説明する。本発明の消臭抗菌製品は、前記竹の加熱乾燥破砕物又は前記消臭抗菌材料を構成部品の一つとして製造されてなる製品のことをいう。
本発明の消臭抗菌製品は、竹の加熱乾燥破砕物が白色であり、容易に所望の色に染色することができるから、製品の外観が損なわれずに優れた消臭及び抗菌効果を得ることができる。
【0042】
本発明の消臭抗菌製品は、衣料用品、動物用品、介護用品、医療用品、寝具用品、インテリア用品、日用品、食品において、消臭及び抗菌効果を要する製品である。
上記の例を以下に挙げるが、これらに限定されない。前記衣料用品として、ユニホーム、運動着、帽子が挙げられる。前記動物用品として、動物用衣類、動物用敷物、動物用覆布、動物用飼育小屋が挙げられる。前記医療用品として、人工肛門被覆袋が挙げられる。寝具用品として、布団、枕が挙げられる。前記インテリア用品として、面材、膜材、カーテン、クッションフロアー、壁クロス、壁紙材、マット、カーペット、障子、襖が挙げられる。前記日用品として、包装材料、鞄、カレンダー、色紙、文房具、プラスチック容器が挙げられる。前記食品として、飲料、飴、ペットフードが挙げられる。
【0043】
消臭抗菌製品に用いられる竹の加熱乾燥破砕物の大きさは、使用用途に応じて選択すればよい。
例えば、大きさの長辺が5〜20mmである加熱乾燥破砕物は、製品の一部に投入する又は充填するという方法で使用できる。これは、この大きさの加熱乾燥破砕物は空気中に飛散することがないからである。
一例として、大きさの長辺が5〜20mmである加熱乾燥破砕物は、動物用飼育小屋に好適に使用される。例えば、ある動物用飼育小屋は、本体(第1ユニット)から小屋の一部分(第2ユニット)を引き出すと遊び場のスペースが確保でき、第1ユニットの床下には竹の加熱乾燥破砕物を投入するための引き出し部材が設けられている。詳細には、第1ユニットは、底板部材、キャスター、柱部材、背面パネル、側面右パネル、側面左パネル、天枠部材、天板部材を備える。第2ユニットは、前面パネル、キャスター、スライド右パネル、スライド左パネル、固定材、スライド底板部材、ストッパー、補助板部材を備える。第2ユニットは、第1ユニットの前記天枠部材が有するスライド溝に沿って前後にスライド可能であるから第1ユニット内に収容できる。引き出し部材は、第1ユニットの前記底板部材が有するスライド溝に沿って前後にスライド可能であるから本体ユニットの下に収容できる。
この飼育小屋は、前記引き出しに竹の加熱乾燥破砕物を投入することにより、防臭抗菌効果を備えることが可能である。これにより、ペットの臭いとペットの排泄物の臭いが軽減され、家族の一員としてペットと快適に共生することが可能となる。
【0044】
例えば、粒径が0.1〜500μmの竹の加熱乾燥破砕物は、液状(液状消臭抗菌剤)にすることで、上記した通り様々な紙材又は繊維素材に塗布し、消臭抗菌製品に用いることが容易である。
さらに、粒径が0.1〜500μmの竹の加熱乾燥破砕物は、食品又は飲料に添加できる。前記飲食品を摂取すると、ぜんそく及び花粉症の症状を軽減するという効果を示し、また疲労感を減少させる等の効果を有する。また、喫煙者がこれらの飲食品を摂取することにより、ニコチンが体内から排出されるという作用がある。さらに、ペットフードに混入させてペットに摂取させることにより、ペットの腸を綺麗に保つという効果を有する。例えば、前記竹の加熱乾燥破砕物をプラスチックに混入してプラスチック容器を製造し、これにより食品を好適に保存することができる。即ち、プラスチックに含まれる竹の加熱乾燥破砕物によって、食品の臭いを軽減し、抗菌効果を発揮することができる。
【0045】
以下、本発明の竹の加熱乾燥破砕物の製造方法について説明する。
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、竹を少なくとも70℃以上250℃以下の温度で加熱乾燥して製造される。前記加熱乾燥とは、竹を少なくとも70℃以上250℃以下で加熱することにより、竹を乾燥させることを意味する。前記竹の加熱乾燥破砕物は、その比表面積が0.5〜10m/gであるとともに白色であるという特徴を有する。
さらに、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、加熱乾燥工程及び破砕工程により製造されるが、加熱乾燥工程と破砕工程はどちらの工程を先に行ってもよい。
【0046】
製造方法の例として、以下製法1と製法2を説明する。
<製法1>
竹の加熱乾燥破砕物は、以下の工程(1)〜(7)により製造できる。
(1)竹の地上茎に竹酢液を塗った後乾燥させる工程
(2)工程(1)で得られた竹を窯に配置する工程
(3)工程(2)で得られた竹を窯の中で200〜250℃で加熱処理した後、150〜190℃で加熱処理する工程
(4)工程(3)で得られた竹を余熱により乾燥させる工程
(5)工程(4)で得られた竹を窯の内部と外気との温度差が20℃以下になってから窯から取り出す工程
(6)工程(5)で得られた竹を窯の外部で乾燥させる工程
(7)工程(6)で得られた竹の炭化表面を取り除いた内側部分を破砕して竹の加熱乾燥破砕物を得る工程
【0047】
工程(1)は、竹にある疵を目立たなくするとともに仕上げの色を均一にするために行われる。
【0048】
工程(2)において竹が窯に配置され、これにより、次の工程(3)において全ての竹が略均等に焼かれる。詳細には、竹の含水量(含水率)、太さ、重量が大きいほど燃焼(炭化)に時間を要する。これを解消するために、窯の中の温度は窯の下部より上部、手前(入り口側)より奥の方が高くなるという窯の温度分布に従って、竹が配置される。
【0049】
竹を焼くために用いる窯として、図1および図2に示すように、鉄などで形成されかつその表面に粘土を盛りつけて略ドーム状とされた窯10を用いることができる。窯10の内部には入口11から奥に至るまで略直径(たとえば約3m)に等しい長さだけ延長するレール12が敷設され、その上を台車13が走行可能である。台車13は多段に棚14a〜14cを有し、各棚に竹15を載置可能である。図示しないが、入口11は鉄扉などで密閉可能とされている。また、図示しないが、窯10の天井などには温度センサが設置されるとともにこれにより測定された温度を外部から目視確認するための温度表示部が窯10の外壁などに設けられており、後述する窯10内の温度制御を行う際に利用できる。
【0050】
このような窯10を用いて工程(3)を行うと、最上段の棚14aの最奥に配置した竹15a1と最も手前側に配置した竹15a2を比べると、竹15a1の方が高温となる。同様に、中段の棚14bの最奥に配置した竹15b1と最も手前側に配置した竹15b2を比べると、15b1の方が高温となる。同様に、最下段の棚14cの最奥に配置した竹15c1と最も手前側に配置した竹15c2を比べると、竹15c1の方が高温となる。また、窯10の奥行き方向の配置位置が同じであれば、最上段の棚14aに載置された竹が最も高温となり、最下段の棚14cに載置された竹が最も温度上昇が緩慢となる。したがって、このような窯10内の温度分布に従い、含水量・太さ・重量の大きい竹は窯内の温度が高くなる位置に配置され、含水量・太さ・重量の小さい竹は窯内の温度が比較的低くなる位置に配置される。
【0051】
工程(3)は、窯10内で台車13の各欄14a〜14cに載置された多数の竹15を木片、竹片などの燃料を用いて焼く(部分的に炭化させる)工程であり、図3に示すような温度制御の下で実行される。なお、燃料は特に限定されないが、竹には油分が多く含まれていることから高温(たとえば200℃以上)で焼くときには竹片を用い、中温(たとえば150〜200℃)で焼くときには木片を用い、低温(たとえば150℃以下)で焼くときには原木の丸太などを用いることが好ましい。
【0052】
工程(3)は、以下の工程(3−a)〜(3−d)を含む。
(3−a)窯に燃料を投入し、これを燃焼させて窯内の温度を短時間で温度T1まで上昇させる工程
(3−b)燃料投入を断続的に行い、T1を30分程度維持する工程
(3−c)燃料投入を中止し、窯の温度をT2まで下げる工程
(3−d)燃料投入を行い、温度T2を所定時間維持する工程
【0053】
図3を参照して、多数の竹15を収容した窯10に入口11から木片などの燃料を必要量投入する。その後、この燃料を燃焼させて、窯10内の温度を短時間で急激に上昇させて温度T1とする(3−a)。温度T1は200〜250℃であり、たとえば230℃とすることができる。このような高温T1に、たとえば燃焼開始後30分以内に一挙に昇温させることは、窯10の容量および竹15の含水量や数量などを考慮した上で、大量の竹片を燃料として用いることにより容易に実行可能である。また、必要であれば燃料投入を断続的に複数回行う。
この工程で温度T1が250℃を超えると、窯内で竹が破裂して、竹の内面まで炭化して濃い茶褐色を呈するため、白色の破砕物を得ることができなくなるため好ましくない。また、温度T1が200℃未満であると、乾燥が十分でなく、消臭及び抗菌効果も不十分となるため好ましくない。
【0054】
次に、この高温状態T1を30分程度、好ましくは15〜60分間維持する(3−b)。高温状態T1を維持するために燃料投入を断続的に行う。燃焼開始から3−b工程終了までの時間は30〜60分程度とすることが好ましい。
【0055】
その後、燃料投入を一旦中止して窯10の温度をT2(T2<T1)に下げる(3−c)。温度T2は150〜190℃、好ましくは170〜180℃である。この降温3−cに要する時間は10〜30分であり、好ましくは15分程度である。
【0056】
次に、窯10をこの温度範囲T2に所定時間、たとえば15〜45分、より好ましくは20〜40分維持する(3−d)。このために燃料投入を断続的に行う。
この3−c及び3−dの工程を行わないと、竹が均等に乾燥されず、十分な消臭及び抗菌効果を得られないため好ましくない。
【0057】
工程(4)において、燃料投入を中止して余熱で竹に残存する水分を除去する。この作業は、窯10の容量などにもよるが、ほぼ一昼夜に亘って行われ、この間に竹に残存する水分の大部分が除去されて乾燥される。
【0058】
そして、工程(5)で、窯10の温度(T3)と外気温との差が20度以下となったことを確認して、乾燥された竹を窯10から取り出す。この作業は、台車13をレール12に沿って窯10から引き出すことにより行うことができる。
【0059】
これら工程(3)から工程(5)の一連の作業により、竹の乾燥を行う。たとえば午前10時に燃焼を開始して3−aを20分間、3−bを30分間、3−cを15分間、3−dを30分間行った後、翌朝まで工程(4)で余熱処理および放冷を行って、工程(5)で乾燥した竹を取り出す。このようにすると、一日サイクルで乾燥した竹を繰り返し製造できる。
【0060】
工程(6)において、窯の外部でさらに竹を乾燥させる。乾燥に要する期間としては、湿度の低い場所で6ヶ月程度放置して乾燥させることが好ましい。この工程により、竹の水分を除去して竹の含水量を10.0%以下、好ましくは8.0%以下にする。このようにして竹の含水量を減少させることにより、カビの発生を抑えることができる。
【0061】
工程(6)で得られた竹は、表面部分が炭化し、茶褐色を呈しているが、内側部分は白色を呈している。工程(7)において、炭化した表面部分を取り除いた竹を破砕することにより、白色の竹の加熱乾燥破砕物が製造される。
工程(7)において、前記竹の加熱乾燥破砕物の粒径が0.1〜500μmとなるまで破砕することにより、粉状の竹の加熱乾燥破砕物を製造することもできる。
工程(7)で得られる竹の加熱乾燥破砕物の比表面積は0.5m/g以上である。詳細には、0.5m/g以上1.0m/g未満の範囲である。
【0062】
<製法2>
竹の加熱乾燥破砕物は、以下の工程(A)及び(B)により製造することができる。
(A)竹の地上茎を破砕する工程
(B)工程(A)で得られた竹を窯内に配置し、70〜120℃で加熱処理しながら乾燥して竹の加熱乾燥破砕物を得る工程
【0063】
工程(A)は、竹の地上茎を破砕する。破砕した竹は、乾燥が十分に短期間で行われる大きさであればよいが、長辺が5〜20mmであることが好ましい。5mmより小さいと窯内において該破砕物は飛散し、取り扱いが難しくなるため好ましくない。また、20mmより大きいと乾燥が短期間で十分に行われないため、好ましくない。
工程(A)によって、工程(B)における乾燥に要する時間を短縮し、効率よく加熱乾燥処理を行うことができる。
【0064】
工程(B)は、70〜120℃の範囲で竹の破砕物を加熱乾燥させる工程である。乾燥時間は、好ましくは3〜30時間、より好ましくは8〜15時間である。
この工程(B)で加熱乾燥させる竹は、製法1の工程(3)(4)の竹に比べて小さい形状を有するから、窯内において空気に触れる表面積が大きい。したがって、工程(B)の窯内の温度は低いが、竹に含まれる水分は比較的早く蒸発する。
この工程により、竹の水分は除去され、竹の含水量は8.0%以下、好ましくは6.5%以下にする。竹の含水量を減少させることにより、カビの発生を抑えることができる。
工程(B)で得られる竹の加熱乾燥破砕物の比表面積は1.0m/g以上である。詳細には、1.0m/g以上10m/g以下の範囲である。
【0065】
製法2で製造された竹の加熱乾燥破砕物は、そのままの形状で用いても良く、さらに以下の工程(C)により、粉末状にして用いても良い。
(C)工程(B)で得られた竹を粒径0.1〜500μmとなるまで破砕する工程
【0066】
製法1の工程(7)、又は製法2の工程(C)において、竹を粉末状にまで破砕する方法は特に限定されないが、粉砕処理により行われることが望ましい。前記粉砕処理としては、たとえば、ハンマーミル、カッターミル、エアジェットミル、叩解機、石臼式ミル、繊維解砕機等の物理的に粉砕を行う粉砕機を用いることができる。あるいは、水や薬品等の竹繊維質の膨潤剤を使用してもよい。また、蒸気等により加熱、加湿しながら機械的に粉砕することもできる。
【実施例】
【0067】
以下に、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0068】
(竹の加熱乾燥破砕物の製造)
本発明の竹の加熱乾燥破砕物を以下の如く製造した。原料として、山形県鶴岡市近辺で採集したモウソウチクを用いた。前記モウソウチクは、高さ20m、根元部直径20cmに成長したものを用いた。
(実施例1)
伐採後のモウソウチクを2mの長さになるように切断し、これを200本準備した。得られた200本のモウソウチクを、図1及び図2に示す窯と同じ構造の窯へ入れた。午後10時に、燃料の燃焼を開始し、20分で窯内の温度を230℃まで上げた。この温度に30分間維持した後、燃料投入を15分間中断して、窯内の温度を170℃まで下げた。燃料投入を再度行ってこの温度を30分間維持した。燃料投入を中止して自然放冷した。翌朝午前7時に竹を窯から取り出した。このときの窯の温度は20℃であり、外気温は10℃であった。このモウソウチクを常温で6ヶ月乾燥させた。モウソウチク表面の炭化部分を取り除いた後、粒径を50〜100μmとなるように粉砕機を用いて粉砕した。得られた竹の加熱乾燥破砕物を実施例1の試料とした。
(実施例2)
実施例1と同様に入手したモウソウチクを、長辺が5〜20mmであり短辺がこの長さより小さい長さとなるように破砕した。この破砕物10kgを窯内に置き、80℃に温度を維持しながら8時間乾燥させた。得られた竹の加熱乾燥破砕物を実施例2の試料とした。
(実施例3)
実施例2で得られた竹の加熱乾燥破砕物を、粒径を50〜100μmとなるように粉砕機を用いて粉砕した。得られた竹の加熱乾燥破砕物を実施例3の試料とした。
【0069】
<試験例1>
試験例1は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物の物性試験である。
【0070】
(比表面積測定試験)
以下に比表面積測定試験の方法を示す。
試料として、実施例1及び実施例3を用いた。
窒素吸着脱着法により比表面積を測定した。測定にはMicromeritics社製、FlowSorbIIIを使用した。実施例1、実施例3の試料をそれぞれ約0.2gサンプルホルダーに入れ、90℃で1時間、105℃で1時間乾燥させた。測定は窒素ガスを使用し、吸着量及び脱着量を求めた。脱ガス温度は100℃で、時間は30分とした。測定はそれぞれ4回行った。実施例1はサンプル1〜4、実施例3はサンプル5〜8とした。測定環境は、766mmHg、18.0℃であった。
【0071】
(比表面積の算出)
測定値から比表面積を算出するにあたり、用いた実施例1及び実施例3のサンプル量は脱ガス後の値であり、実施例1の試料は0.1846g、実施例3の試料は0.1933gであった。
比表面積測定試験結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
表1から、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、0.6〜1.14m/gの比表面積を有していることが示された。実施例1の試料の比表面積の平均値は0.73m/gであり、実施例3の試料の比表面積の平均値は1.07m/gであった。実施例1と実施例3を比較すると、実施例3の方が大きい比表面積を有していた。
<試験例2>
試験例2は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物の消臭試験である。
【0074】
(ガスの除去性能評価試験)
以下に、アンモニアの除去性能評価試験の方法を示す。
試料として、実施例2、実施例3、活性炭(比較例)を用いた。各試料1gを入れた1リットルの密閉ガラス容器に、アンモニアガスを注入し、容器内の初期ガス濃度が400ppmになるように調整した。20℃、65%RHの環境下で、30分後及び60分後の容器内のガス濃度を検知管((株)ガステック製No.3M)で測定した。
【0075】
消臭率については、下式により求めた。
消臭率(%)=((A―B)÷A)×100
A=初期ガス濃度
B=試験後のガス濃度
アンモニアガスの除去性能評価試験結果を表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
表2から明らかなように、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、悪臭の原因となるアンモニアガスに対して優れた消臭効果を示す。特に、粉状の竹の加熱乾燥破砕物である実施例3は、比較例の活性炭を超える消臭率を示し、顕著に優れた消臭効果を示した。
【0078】
<試験例3>
試験例3は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を保持する繊維の消臭試験である。
(消臭抗菌材料の製造:試験片1)
得られた実施例1の試料を、捺染法によって、片面30g/mとなるように綿繊維の布帛に保持させた。得られた布帛の試験片1(100cm)を使用して、下記の試験を行った。
【0079】
(ガスの除去性能評価試験)
以下に、(1)アンモニア、(2)ピリジンガス、(3)酪酸ガス、(4)トルエンガス、(5)イソ吉草酸ガスの除去性能評価試験の方法を示す。
【0080】
(1)アンモニア及び(2)ピリジンの減少率については、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)に定める方法、即ちガス検知管法と下式により求めた。
減少率(%)={(A−B)/A}×100
A=空試験の測定値
B=試料の測定値
アンモニア及びピリジンガスの除去性能評価試験結果を表4及び表5に示す。
【0081】
(3)酪酸ガス及び(4)トルエンガスの減少率については、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)に定める方法を準用して、即ち表3に基づきガス検知管法により測定し、下式により求めた。
減少率(%)={(A−B)/A}×100
A=空試験の測定値
B=試料の測定値
酪酸ガス及びトルエンガスの除去性能評価試験結果を表6及び表7に示す。
【0082】
【表3】

【0083】
(5)イソ吉草酸ガスについては、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)に定める方法、即ち、ガスクロマトグラフィー法を用いて下式により求めた。
減少率(%)={(C−D)/C}×100
C=空試験のピーク面積
D=試料のピーク面積
イソ吉草酸ガスの除去性能評価試験結果を表8に示す。
【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
【表8】

【0089】
表4〜表8から明らかなように、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を保持した消臭抗菌材料である試験片1は、悪臭の原因となるアンモニア、ピリジン、酪酸ガス、トルエンガス、イソ吉草酸ガスに対して優れた消臭効果を示す。特にアンモニア、酪酸ガス、イソ吉草酸ガスに対しては90%以上の減少率を示し、顕著に優れた消臭効果を示すことが分かる。
さらに、本発明の消臭抗菌材料は、洗濯の繰り返しによってその効果が減少することなく、洗濯10回後の繊維でも優れた消臭効果を示す。特に、酪酸ガス及びイソ吉草酸ガスに対しては、洗濯前と洗濯10回後は、同等の効果を示した。この結果から、捺染により、粒径が50〜100μmである竹の加熱乾燥破砕物は、繊維に強固に保持されているということが示された。上記竹の加熱乾燥破砕物がどれだけ強固に保持されるかという程度は、保持される素材によって変わるが、最も強固に保持できる素材は綿繊維であり、好適に消臭抗菌材料として用いられる。
【0090】
<試験例4>
試験例4は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を保持する繊維の消臭試験である。
(消臭抗菌材料の製造−試験片2)
得られた実施例1の試料を、捺染法によって、片面30g/mとなるように、綿とポリエステル混紡(70:30)の布帛に保持させた。得られた布帛の試験片2(100cm)を使用して、下記の試験を行った。
【0091】
(ガスの除去性能評価試験)
以下に、アンモニアの除去性能評価試験の方法を示す。
アンモニアについて、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)に定める方法により、即ちガス検知管法と下式により測定した。
減少率(%)={(A−B)/A}×100
A=空試験の測定値
B=試料の測定値
アンモニアの除去性能評価試験結果を表9に示す。
【0092】
【表9】

【0093】
表9から明らかなように、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を保持した消臭抗菌材料である試験片は悪臭の原因となるアンモニアに対して優れた消臭効果を示すことが分かった。
【0094】
<試験例5>
試験例5は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物及び消臭抗菌材料(繊維)の消臭性試験である。
竹の加熱乾燥破砕物(実施例1)、消臭抗菌材料(試験片3、比較対照(活性炭))を使用する。
(消臭抗菌材料の製造−試験片3、比較対照)
得られた実施例1の試料を、捺染法によって、片面30g/mとなるように、綿繊維の布帛に保持させた。得られた布帛の試験片3(100cm)と、比較対照として活性炭(クロマトグラフィー用、半井化学製)を使用して下記の試験を行った。
【0095】
(標準試料の作製)
アンモニア水(関東化学製)25ml、ピリジン(関東化学製)25mg、プロピオン酸(東京化成製)250μl、n−酪酸(東京化成製)250μl、イソ酪酸(東京化成製)250μl、n−吉草酸(東京化成製)250μl、イソ吉草酸(東京化成製)250μlを採取・混合し、標準試料とした。
【0096】
実施例1及び比較対照(活性炭)の試料を約1〜2g、試験片3を入れた35ml容バイエルに、標準試料を250μl、1mlあるいは3mlを加え、密封後、よく攪拌した。
室温(25℃)に所定時間放置後、液相0.1〜0.5μlまたはヘッド・スペース・ガス2.5mlを採取しガスクロマトグラフィーに注入し、下式により測定した。
減少率(%)={(C−D)/C}×100
C=空試験のピーク面積
D=試料のピーク面積
【0097】
実施例1の試料と試験片3における、アンモニア及びピリジンの減少率を表10に示す。
また、実施例3の試料と標準試料を混ぜて60分放置後、ほぼ一定となり安定化した。実施例1と比較対照(活性炭)における、アンモニアの減少率を表11に示す。
【0098】
なお、ガスクロマトグラフィーの分析条件は次のとおりである。
HITACHI G-3500(カラム;DB-WAX、長さ60m、内径0.32mm、膜厚0.15μm(J&W Scientific)、カラム温度;100℃(2min)100〜160℃(10℃/min)160℃(2min)、注入口及び検出器温度;180℃)による。
【0099】
【表10】

【0100】
表10から明らかなように、本発明の竹の加熱乾燥破砕物と本発明の竹の加熱乾燥破砕物を保持した消臭抗菌材料である試験片は悪臭の原因となるアンモニア、ピリジンに対して優れた消臭効果を示す。
【0101】
【表11】

【0102】
表11から明らかなように、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、悪臭の原因となるアンモニアに対して高い減少率にて安定化することを示し、クロマトグラフィー用の吸着力の高い最高級の活性炭とほぼ同等の減少率を示した。
【0103】
<試験例6>
試験例6は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を保持する繊維の抗菌性試験である。
(消臭抗菌材料の製造−試験片4)
得られた実施例1の試料を、片面30g/mとなるように、レーヨン白布に、捺染法により保持した。得られた繊維の試験片4(100cm)を使用して、下記の試験を行った。
得られた実施例2の試料を、30g用いた。
比較対照としてレーヨン白布(100cm)を用いた。
【0104】
(抗菌性評価試験)
JIS L 1902「繊維製品の抗菌性試験方法」に準拠した方法を用いた。この試験方法は、抗菌加工を施した試験片と無加工の比較対照に細菌を接種し、培養後の生菌数を測定し、無加工品の比較対照に対する菌の生菌数の差を示すものである。
【0105】
この試験における菌は、黄色ブドウ球菌(Staphyococcus aureus (JCM No.2151))及び肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae (IAM 12015))を用いた。
まず、2本のL字型チューブにそれぞれ10mlのニュートリエント(Nutrient)液体培地を入れ、各チューブに黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌をそれぞれ植菌した。37℃で18時間振とう培養した後、培地中に生息している菌の濃度を測定し、初期菌数とした。
【0106】
同時に、黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌それぞれにおいて、10個程度の菌を通常の1/40の濃度を有する培養液に入れ、試験片4、実施例2の試料の上と比較対照の上に植菌した。37℃のインキュベーター内で18時間培養した後、20mlの生理食塩水で菌を洗い出した。その中から1ml取り出し、希釈系列を作製して、生存していた菌の数を調べた(生菌数)。また、後述する方法により、増殖値、静菌活性値、殺菌活性値を算出した。結果を表12に示す。
【0107】
(増殖値、静菌活性値、殺菌活性値の算出方法)
生菌数を元に、増殖値、静菌活性値、殺菌活性値を算出する。
算出方法を以下に示す。培養後の生菌数が10個未満の場合は、生菌数=10個として計算した。
増殖値=log(18時間培養後の比較対照上の生菌数)−log(初期菌数)
静菌活性値=log(18時間培養後の比較対照上の生菌数)−log(18時間培養後の試験片上の生菌数)
殺菌活性値=log(初期菌数)−log(18時間培養後の試験片上の生菌数)
【0108】
【表12】

【0109】
表12を参照する。社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)で定められている基準によると、静菌活性値は2.2以上、殺菌活性値は0以上であれば抗菌性があるとされている。また、数値が高いほど抗菌性が優れる。また、増殖値が1.5より大きい場合は、試験は有効であるとされる。
試験片4については、本静菌活性値は、黄色ブドウ球菌が6.40、肺炎桿菌が6.68であり、ともに2.2以上である。本殺菌活性値は、黄色ブドウ球菌が3.49、肺炎桿菌が4.03であり、ともに0以上である。
実施例2の試料については、本静菌活性値は、黄色ブドウ球菌が4.56、肺炎桿菌が6.08であり、ともに2.2以上である。本殺菌活性値は、黄色ブドウ球菌が3.02、肺炎桿菌が3.51であり、ともに0以上である。
したがって、本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)で定められている基準を満たし、菌の増殖を抑制して高い抗菌性を持つことが示された。
【0110】
<消臭抗菌製品の製造方法>
(動物用飼育小屋)
本発明の竹の加熱乾燥破砕物を構成部品の一つとして備える消臭抗菌製品の一例として、動物用飼育小屋を例に挙げ、以下図面を参照し説明する。
以下の実施例においては、竹の加熱乾燥破砕物は実施例2の試料を使用した。
【0111】
図17は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物を備える動物用飼育小屋の一例を概略的に示す図である。
動物用飼育小屋は、第1ユニット20、第2ユニット30、引き出し部材40を備える。
前記第1ユニット20は、底板部材21、キャスター22、柱部材23、背面パネル24、側面右パネル25、側面左パネル26、天枠部材27、天板部材28を備える。
第2ユニット30は、前面パネル31、キャスター32、スライド右パネル33、スライド左パネル34、固定材35、スライド床板部材36、ストッパー37、補助板部材38を備える。
引き出し部材40は、本発明の竹の乾燥粉砕物を投入する部材である。
【0112】
説明にあたり、飼育小屋からAの方向を前方、Bの方向を後方という。第1ユニット20を中心とし、第2ユニット30は前方にスライド可能であり、引き出し部材40は後方にスライド可能である。
【0113】
上記動物用飼育小屋の製造方法の詳細を図18乃至28を用いてさらに説明する。
まず、図18乃至22は第1ユニット20の製造工程を示す。
図18は、底板部材21の上面角部に4本の柱部材23が垂直に配されている。柱部材23を底板部材21に取り付ける際、底板部材21が下面角部に備える4つのキャスター22をロックすることが安全上好ましい。
【0114】
図19は、図18で示した第1ユニット20を上下逆に表示した図である。
底板部材21と4本の柱部材23は、ビスで固定されている。ビスは底板部材21側から垂直方向に取り付けられる。
【0115】
図20は、図19で示した第1ユニット20の上下を戻した図である。
背面パネル24が、底板部材21が上面後方に備える溝上に垂直に配され、2本の柱部材23の間に配される。背面パネル24を構成する柵状部分が外側表面となるよう配置される。
【0116】
図21では、側面右パネル25と側面左パネル26が、底板部材21が上面両横に備える溝上に垂直に配される。底板部材21から前方方向に向かって右側の溝に側面右パネル25が、左側の溝に側面左パネル26が配される。側面右パネル25と側面左パネル26を構成する柵状部分が外側表面となるよう配置される。
【0117】
図22では、天枠部材27が、背面パネル24、側面右パネル25及び側面左パネル26の上部に備わる溝に合致するように配される。天枠部材27の前方に位置する辺の両端から後方に向かって延びる両横の辺の裏面に沿って、スライド溝が配される。この溝は、完成品において第2ユニットをスライドさせる部位である。
【0118】
図23乃至26は第2ユニット30の製造工程を示す。
図23では、図示の如く、前面パネル31の両横から後方に向かって、それぞれスライド右パネル33とスライド左パネル34が接続され、前面パネル31を中心とする「コ」の字型に形成される。前面パネル31を前方として右側にスライド右パネル33が、左側にスライド左パネル34が配される。前面パネル31とスライド右パネル33は、前面パネル31の凹部とスライド右パネル33の凸部を合致させて接続する。前面パネル31とスライド左パネル34も同様に、前面パネル31の凹部とスライド左パネル34の凸部を合致させて接続する。前面パネル31、スライド右パネル33及びスライド左パネル34を構成する柵状部分が外側表面となるよう配置される。スライド右パネル33とスライド左パネル34は、それぞれ裏面上部にストッパー37を一つずつ備える。前記ストッパー37は、一点を軸として回転可能にスライド右パネル33とスライド左パネル34にそれぞれ配される。
【0119】
前面パネル31は前方に開閉可能な扉を備えるパネル部材である。その扉を開くことにより、ペットが飼育小屋の内外に移動可能となる。
前面パネル31が有する略直角の角部に沿って接続されるL型金具は、ビスによってスライド右パネル33及びスライド左パネル34と固定される。尚、このL型金具は、あらかじめ前面パネル31に取り付けられていることが好ましい。
【0120】
前面パネル31は補助板部材38を備える。補助板部材38は、前面パネル31の下面の少なくとも一部に接するように配される。補助板部材38は、両端にキャスター32を備える。スライドパネル33を前面パネル31に取り付ける際、補助板部材38が備える2つのキャスター32はロックしておくことが安全上好ましい。第1ユニット20と第2ユニット30が組み立てられた時、この補助板部材38によって第1ユニット20が備えるキャスター22と第2ユニット30が備えるキャスター32の高さ位置が同じとなり、第2ユニット30がスライド可能となる。
【0121】
図24は、図23で示した第2ユニット30を上下逆に表示した図である。
補助板部材38とスライド右パネル33及びスライド左パネル34は、ビスによって固定されている。ビスは補助板部材38側から垂直方向に取り付けられる。
【0122】
図25では、固定材35は柱状であり、その固定材35の両端がスライド右パネル33及びスライド左パネル34の後方の下端部(上下が逆である図16等では上端部となる)に接続されている。この固定材35は、前面パネル31と略平行となるように配される。これにより、前面パネル31の両横部とスライド右パネル33及びスライド左パネル34が固定される。これはビスによって固定され、ビスは固定材35側からスライド右パネル33及びスライド左パネル34に垂直方向に取り付けられる。
【0123】
図26は、図25で示した第2ユニット30の上下を戻した図である。
前面パネル31、スライド右パネル33、スライド左パネル34、固定材35によって囲まれて形成される四角形状である床板部材35を第2ユニット30の底面として用いる。床板部材35は接着剤により、スライド右パネル33、スライド左パネル34、固定材35に取り付けられる。
【0124】
図27は第1ユニット20と第2ユニット30の組み立て工程を示す。
第1ユニット20と第2ユニット30を組み立てる際、第2ユニット30の補助板部材38が備える2つのキャスター32のロックは解除しておく。スライド右パネル33及びスライド左パネル34がそれぞれ上部に備えるストッパー37を水平にすることで、ストッパー37の位置決めをする。第1ユニット20が備えるスライド溝に第2ユニット30の上面を合わせて、第2ユニット30を奥までスライドさせることができる。これにより、第2ユニット30は第1ユニット20内に収容可能である。また、第2ユニット30を前方に引くと動物の遊び場のスペースが確保できる。
【0125】
図28は第1ユニット20、第2ユニット30及び引き出し部材40の組み立て工程である。
第1ユニット20が備える底板部材21の下面後方にはスライド溝が2つ配され、引き出し部材40をスライドさせることができる。これにより、引き出し部材40は第1ユニット20の下に収容可能である。引き出しを常時収容しておいても、十分な竹の乾燥粉砕物の消臭抗菌効果が得られる。
第2ユニット30のスライド右パネル33とスライド左パネル34が有するそれぞれのストッパー37を回転させて第1ユニットと接触させることにより、第1ユニット20と第2ユニット30の不用意な分離を防ぐことができる。その後、第1ユニット20の天枠部材27上面に天板部材28が取り付けられる。
引き出し部材40には、本発明の実施例2の試料を300g投入した。
【0126】
第1ユニット20の背面パネル24、側面右パネル25、側面左パネル26、天板部材28及び第2ユニット30の前面パネル31、スライド右パネル33、スライド左パネル34は、ペットを周囲から視認できるよう柵状となっている。
【0127】
さらに、第1ユニット20の底板部材21、背面パネル24、側面右パネル25、側面左パネル26、天板部材28及び第2ユニット30の前面パネル31、スライド右パネル33、スライド左パネル34、スライド底板部材35の外面側に、竹が取り付けられている。この竹は実施例1の試料の製造方法によるものであり、破砕工程を行う前(即ち、製法1の工程(6)後)に、各部材の形状に合わせて加工したものを用いた。これにより、視覚による癒し効果とともにさらなる消臭抗菌効果が得られる。
【0128】
上記の例による飼育小屋では、その床下に竹の加熱乾燥破砕物を投入することにより、防臭及び抗菌効果を備えることが可能である。また実施例2の試料は、大きさが5mm〜20mmであるから、引き出し部材40に投入しても空気中に飛散することがない。上記飼育小屋は、本発明の竹の加熱乾燥破砕物によってペットの臭いとペットの排泄物の臭いが軽減され、家族の一員としてペットと快適に共生することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、白色であり、染色が容易であるため、消臭及び抗菌効果を付与する製品の外観を損なわずに消臭及び抗菌効果を得ることができる。本発明の竹の加熱乾燥破砕物は、特に、動物用衣類や飼育小屋、介護高齢者用の衣類・寝具類、各種スポーツユニフォーム、人工肛門被覆袋などの医療用具など、消臭及び抗菌効果が必要とされる衣類や寝具等に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の竹の加熱乾燥破砕物に用いる竹の乾燥に用いる窯の一例を示す内部断面図である。
【図2】この窯の内部平面図である。
【図3】本発明の竹の加熱乾燥破砕物を製造する際の温度/時間を示すグラフである。
【図4】試験例3のアンモニアに対する消臭作用を示すグラフである。
【図5】試験例3のピリジンに対する消臭作用を示すグラフである。
【図6】試験例3の酪酸ガスに対する消臭作用を示すグラフである。
【図7】試験例3のトルエンガスに対する消臭作用を示すグラフである。
【図8】試験例3のイソ吉草酸ガスに対する消臭作用を示すグラフである。
【図9】試験例4のアンモニアに対する消臭作用を示すグラフである。
【図10】試験例5の標準試料の液相のガスクロマトグラフィーの分析図である。
【図11】試験例5の標準試料のヘッド・スペース・ガスのガスクロマトグラフィーの分析図である。
【図12】試験例5の実施例1の試料のヘッド・スペース・ガスのガスクロマトグラフィーの分析図である。
【図13】試験例5の試験片3のヘッド・スペース・ガスのガスクロマトグラフィーの分析図である。
【図14】竹の加熱乾燥破砕物の写真である。
【図15】竹の加熱乾燥破砕物の写真である。
【図16】消臭抗菌材料(竹の加熱乾燥破砕物を保持した布)の写真である。
【図17】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の概略図である。
【図18】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図19】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図20】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図21】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図22】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図23】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図24】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図25】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図26】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図27】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【図28】消臭抗菌製品(竹の加熱乾燥破砕物を投入した動物用飼育小屋)の詳細図である。
【符号の説明】
【0131】
10 窯
11 入口
12 レール
13 台車
14a〜14c 棚
15 竹
20 第1ユニット
21 底板部材
22 キャスター
23 柱部材
24 背面パネル
25 側面右パネル
26 側面左パネル
27 天枠部材
28 天板部材
30 第2ユニット
31 前面パネル
32 キャスター
33 スライド右パネル
34 スライド左パネル
35 固定材
36 スライド床板部材
37 ストッパー
38 補助板部材
40 引き出し部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹を少なくとも70℃以上250℃以下の温度で加熱乾燥して製造する竹の加熱乾燥破砕物であって、
前記竹の加熱乾燥破砕物の比表面積が0.5〜10m/gであって、
前記竹の加熱乾燥破砕物が白色であることを特徴とする竹の加熱乾燥破砕物。
【請求項2】
前記竹の加熱乾燥破砕物の長辺が5〜20mmであることを特徴とする請求項1記載の竹の加熱乾燥破砕物。
【請求項3】
前記竹の加熱乾燥破砕物が粉末状であり、その粒径が0.1〜500μmであることを特徴とする請求項1記載の竹の加熱乾燥破砕物。
【請求項4】
前記白色が、マンセル表色系において、色相5YR〜5GY、明度7.0以上及び彩度10.0以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物を表面及び/又は内部に保持する紙材又は繊維素材であることを特徴とする消臭抗菌材料。
【請求項6】
前記竹の加熱乾燥破砕物を表面上に保持し、前記表面上に少なくとも前記竹の加熱乾燥破砕物を保持する部分と保持しない部分の両方を設けることにより、前記表面上に凸部を形成することを特徴とする請求項5記載の消臭抗菌材料。
【請求項7】
請求項1乃至4いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物を混合した液体からなる液状消臭抗菌剤であって、
前記竹の加熱乾燥破砕物を1〜70重量%含有することを特徴とする液状消臭抗菌剤。
【請求項8】
請求項1乃至4いずれかに記載の竹の加熱乾燥破砕物又は請求項5又は6に記載の消臭抗菌材料を構成部品の一つとして製造されてなる消臭抗菌製品であって、
前記消臭抗菌製品が、衣料用品、動物用品、介護用品、医療用品、寝具用品、インテリア用品、日用品、食品から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする消臭抗菌製品。
【請求項9】
前記消臭抗菌製品が動物用飼育小屋であって、前記動物用飼育小屋は、
底板部材、キャスター、柱部材、背面パネル、側面右パネル、側面左パネル、天枠部材、天板部材を備える第1ユニットと、
前面パネル、キャスター、スライド右パネル、スライド左パネル、固定材、スライド底板部材、ストッパー、補助板部材を備える第2ユニットと、
前記竹の加熱乾燥破砕物を充填する引き出し部材を備え、
前記第2ユニットは、前記第1ユニットの前記天枠部材が有するスライド溝に沿って前後にスライド可能であるとともに第1ユニット内に収容可能であって、
前記引き出し部材は、前記第1ユニットの前記底板部材が有するスライド溝に沿って前後にスライド可能であるとともに本体ユニットの下に収容可能であることを特徴とする請求項8記載の消臭抗菌製品。
【請求項10】
比表面積が0.5〜10m/gであって、白色である竹の加熱乾燥破砕物の製造方法であって、
前記竹を少なくとも70度以上250℃以下の温度で加熱乾燥する工程及び破砕する工程の両方を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項11】
下記の工程(1)乃至(7)を備えることを特徴とする請求項10記載の製造方法。
(1)竹の地上茎に竹酢液を塗った後乾燥させる工程
(2)工程(1)で得られた竹を窯に配置する工程
(3)工程(2)で得られた竹を窯の中で200〜250℃で加熱処理した後、150〜190℃で加熱処理する工程
(4)工程(3)で得られた竹を余熱により乾燥させる工程
(5)工程(4)で得られた竹を窯の内部と外気との温度差が20℃以下になってから窯から取り出す工程
(6)工程(5)で得られた竹を窯の外部で乾燥させる工程
(7)工程(6)で得られた竹の炭化表面を取り除いた内側部分を破砕して、粒径が0.1〜500μmの竹の加熱乾燥破砕物を得る工程
【請求項12】
下記の工程(A)及び(B)を備えることを特徴とする請求項10記載の製造方法。
(A)竹の地上茎を破砕する工程
(B)工程(A)で得られた竹を窯内に配置し、70〜120℃で加熱処理しながら乾燥して、長辺が5〜20mmである竹の加熱乾燥破砕物を得る工程

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−133268(P2008−133268A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279702(P2007−279702)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月1日 財団法人 山形県企業振興公社発行の「産業情報やまがた 5月号 No.428」に発表
【出願人】(506362808)株式会社ファミリーファッション (1)
【出願人】(506362819)株式会社笠盛 (1)
【Fターム(参考)】