説明

竹材粉砕装置

【課題】針状繊維が全く生じず、騒音が小さい竹木粉砕装置を提供する。
【解決手段】竹木Bを切削する切削機構10と該切削機構10に竹木Bを押し付ける押付機構20とを備え、切削機構10は中心周りに回転する切削円板31を有し、切削円板31の表面である切削面には端面切削刃34が設けられており、押付機構20は竹木Bの先端部端面を先端部端面中心位置が切削円板31の回転軸に一致するように切削面に押し付ける竹木粉砕装置Aである。断面円形の竹木Bの断面を端面切削刃34が周方向に移動して切削するので、針状繊維が全く生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹木粉砕装置に関する。さらに詳しくは、竹材や木材を微粉体に粉砕する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
竹を微粉砕した竹粉は、繊維質が豊富でチロシン、アルギン酸等のアミノ酸を多く含んだ畜産健康飼料や家畜の敷料、堆肥原料として利用価値が高いことが知られている。また、デトックス効果(解毒効果)が期待できるうどん・ソバ・パンなどの竹成分を生かした健康食品原材料としても期待できるものである。しかし、従来の破砕方式の粉体化では、針状の繊維が残り、胃腸を傷つけるため、食品・飼料化は断念されていた。
【0003】
そこで、竹の断面の繊維を鋭利な刃物で高速切断し、維管束をつぶさず、針状の繊維を残すことなく、畜産飼料はもちろん、人間の食品材料としても利用できることを意図した粉砕技術が開発されてきた。
そのような従来技術の一例が特許文献1である。
【0004】
図15に示すように、上記従来技術は、回転駆動源により回転する回転切削歯120を有する回転切削機構と、被加工物である竹の直径に対応して、竹の切削加工部位を回転切削歯120に対して略直交する位置に位置決めするとともに、竹の切削加工部位を回転切削歯120に接触するように案内する位置決めガイド機構126とを備えている。
【0005】
回転切削歯120を構成する切削加工用チップソー138の中心を通り、切欠部160が形成された当接用側壁154の軸線と略直交する直線Bと、直径が異なる種々の竹124a〜124dの一方の側周面172とが略一致する位置に可動用側壁152を設けている。
換言すると、切削加工用チップソー138の中心を通る直線Bと竹124a〜124dの一方の側周面172とを略一致させることにより、回転切削歯120の周面に対して竹124a〜124dの切削部位が略直交する位置に設定される。
この場合、被加工物である竹124は、当接用側壁154と可動用側壁152とによってX軸方向およびY軸方向に沿って正確に位置決めされる。
【0006】
このようにして被加工物である竹124が位置決めされた後、回転駆動源の回転駆動力がシャフト132を介して回転切削歯120に伝達される。複数の切削加工用チップソー138が積層されて略円柱体に構築された回転切削歯120は、シャフト132を回転中心点として矢印C方向(図15の時計回り方向)に回転され、当接用側壁154の切欠部160の先端と直線Bとの間の範囲で竹124に対する切削加工が施される。
【0007】
上記従来技術により、竹(生竹)124を常温で切削加工すれば、ミクロン単位(例えば、約10μ〜30μ)に粉砕することができる。
【0008】
しかるに、上記従来例では、断面円形の竹木124の端面を回転切削歯120が径方向に横断するので、竹124の外周表面部分および内周表面部分については、切削外力に抗する組織がないことからバックアップ力がなく、繊維が針状に剥がされることがあり、竹粉に針状繊維が混入する原因となっていた。
また、竹124の節部分を十分に回転切削歯120に押し付けることができないため、節部分を竹粉に粉砕することはほとんどできないものであった。
さらに、竹124の横方向のズレ(図15におけるY軸方向のズレ)を可動用側壁152で支えているだけなので、切削加工中にびびり振動が生じ、かなり大きな騒音が生ずる。このため、近隣への騒音被害により操業することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−236403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、針状繊維が全く生じず、騒音が小さい竹木粉砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の竹木粉砕装置は、長尺の竹木を切削する切削機構と、該切削機構に竹木を押し付ける押付機構とを備え、前記切削機構は、中心周りに回転する切削円板を有し、該切削円板の表面である切削面には、竹木の端面を切削する端面切削刃が設けられており、前記押付機構は、竹木の先端部端面を、先端部端面中心位置が前記切削円板の回転軸に一致するように、前記切削面に押し付けるものであることを特徴とする。
第2発明の竹木粉砕装置は、第1発明において、前記切削機構は、穿孔手段を有し、該穿孔手段は前記切削円板の切削面側に配置されており、前記押付機構で押し付けられている竹木の中心部を穿孔するものであることを特徴とする。
第3発明の竹木粉砕装置は、第2発明において、前記穿孔手段は、前記切削円板の切削面に対して近接した位置と、そこから前進した位置との間で移動自在であることを特徴とする。
第4発明の竹木粉砕装置は、第2または第3発明において、前記穿孔手段は、回転する三角形または円錐のヘッドを備えており、該ヘッドの頂点に設けられた先端刃と、側面部に設けられた刃からなる穿孔刃が設けられていることを特徴とする。
第5発明の竹木粉砕装置は、第1,第2,第3または第4発明において、前記押付機構は、長尺の竹木をクランプして前記切削機構方向に付勢する押込み手段と、竹木の先端部端面中心位置を前記切削円板の回転軸に一致させるように導き、かつ、竹木の径方向への動きを固定するガイドローラーとを備えることを特徴とする。
第6発明の竹木粉砕装置は、第5発明において、前記押込み手段は、竹木をクランプするクランプ部と、該クランプ部を移動させる駆動部とを有し、該クランプ部が、水平面内で揺動自在であり、かつ、竹木の径方向に移動自在であることを特徴とする。
第7発明の竹木粉砕装置は、第5または第6発明において、前記ガイドローラーにより竹木の節を検知して検知信号を発し、該検知信号により、前記穿孔手段が竹木方向に突き出るよう制御する制御部を有することを特徴とする。
第8発明の竹木粉砕装置は、第5または第6発明において、前記ガイドローラーと前記穿孔手段がリンク機構を介して接続されており、該リンク機構は、前記ガイドローラーが竹木の節で押されたときの揺動を、前記穿孔手段の前進へと変換するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、押付機構が竹木の先端部端面を、先端部端面中心位置が切削円板の回転軸に一致するように、切削面に押し付けるため、断面円形の竹木の端面を端面切削刃が周方向に移動して切削する。このとき、竹木の被切削部位は未切削部位でバックアップされているので、繊維が針状に剥がされることがない。このため、完全に微粉化された竹木の粉末が得られる。
第2発明によれば、穿孔手段により、竹材の節部分を穿孔することができ、その外周部分を端面切削刃で切削できるので、竹材の全ての部位を残すことなく粉体化することができる。
第3発明によれば、穿孔手段は、切削円板の切削面に近接した位置から前進させることができるので、予め竹材の節部分を穿孔した状態でその外周部分を端面切削刃で切削させることができ、竹材の節部分の切削残りが生じないようにすることができる。
第4発明によれば、穿孔刃で竹材の節部分を穿孔するので、穿孔しやすく、かつ比較的大きな孔をあけることができるので、竹材の断面の全てを切削して粉体化することができる。
第5発明によれば、竹木の径方向への動きを固定するガイドローラーにより、竹木の先端部端面が切削面に対して固定されるので、切削加工中にびびり振動が生じることがなく、騒音が小さくなる。
第6発明によれば、竹木に曲がりがあったとしても、クランプ部が揺動したり、竹木の径方向に移動したりすることにより、ガイドローラーによる竹木の拘束に抗することなく竹木を押し付けることができるので、切削機構での切削を円滑に行わせることができる。
第7発明によれば、ガイドローラーにより竹木の節を検知するので、適切なタイミングで、穿孔手段を突き出すことができ、端面切削刃による竹木の切削開始前に、竹材の節部分を粉砕することができる。
第8発明によれば、リンク機構が、ガイドローラーが竹木の節で押されたときの揺動を、穿孔手段の前進へと変換するので、ガイドローラーが節を乗り越えるときに、自動的に穿孔手段を前進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る竹木粉砕装置Aの概略側面図である。
【図2】同竹木粉砕装置Aの概略平面図である。
【図3】切削機構10の平面図であり、(A)は切削円板31に対して穿孔手段40が突き出た状態、(B)は穿孔手段40が引っ込んだ状態の説明図である。
【図4】端面切削部30の説明図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図5】穿孔刃41の説明図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図6】垂直ガイドローラー50の説明図である。
【図7】水平ガイドローラー60の説明図である。
【図8】クランプ部71の説明図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図9】竹材Bの切削工程の説明図であり、(A)は節部分bの切削状態、(B)は本体部分の切削状態の説明図である。
【図10】竹材Bの切削状態の説明図である。
【図11】他の実施形態の穿孔刃41の出没機構の説明図であり、(A)は穿孔刃41が引っ込んだ状態、(B)は穿孔刃41が突き出た状態の説明図である。
【図12】他の実施形態の端面切削部30の説明図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図13】同端面切削部30を用いた場合の竹材Bの切削状態の説明図である。
【図14】他の実施形態の穿孔刃41の説明図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図15】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2に示すように、本発明の一実施形態に係る竹木粉砕装置Aは、長尺の竹木Bを切削する切削機構10と、その切削機構10に竹木Bを押し付ける押付機構20とを備えている。
【0015】
図3に示すように、切削機構10は竹木Bを切削する部分として端面切削部30と穿孔手段40とを有している。端面切削部30は、切削円板31と円筒状の回転筒32を備え、切削円板31は回転筒32の一端に取り付けられている。穿孔手段40は、穿孔刃41と回転軸42とからなり、穿孔刃41は回転軸42の先端に取り付けられている。
【0016】
回転筒32の内周面にはスプライン33が形成されており、穿孔刃41が切削円板31側に位置するように、スプライン33に回転軸42のスプライン軸部42aが挿入されている。
スプライン33と回転軸42はスプライン結合されているので、回転筒32の周方向にはトルクが伝達されるが、軸方向には摺動可能となっている。すなわち、穿孔刃41は、切削円板31に対して前進したり(図3(A)参照)、切削円板31に近接した位置まで引っ込んだり(図3(B)参照)することができる。
【0017】
穿孔刃41とその回転軸42を出没させる機構は任意であり、たとえば回転軸42の後端部をヨーク等で挟み、ヨークをエアーシリンダ等に直接連結するか、リンク機構を介して連結しておけばよい。この場合、エアーシリンダの伸縮動作で、回転軸42を出没させ、ひいては穿孔刃41を、図3(A)、(B)に示すように、出没させることができる。
【0018】
回転筒32または回転軸42は、図示しない駆動装置により切削円板31の中心周りに回転するようになっている。スプライン33とスプライン軸部42aはスプライン結合されているため、この駆動装置は回転筒32と回転軸42のいずれかに、歯車列やチェーン伝動を介してモーター等のトルクを伝えるようにすればよい。
【0019】
図4に示すように、切削円板31の表面である切削面には、端面切削刃34が取り付けられている。端面切削刃34としては旋盤などの切削加工用のバイトの刃を用いることができる。
本実施形態では端面切削刃34としてバイトの刃を8個用い、各バイトの刃先を径方向に向けて、切削円板31の周方向に等角度間隔、かつ、径方向にバイトの刃先長さ分だけずらしながら配置している。また、切削円板31の中心を挟んで対称の位置に配置される端面切削刃34は、それぞれ中心からの距離が同じとなるように配置されている。したがって、切削円板31上のいずれの径においても、端面切削刃34が配置されているようになっており、切削面のいずれの位置においても、被切削物を切削できるようになっている。
【0020】
なお、切削面のいずれの位置においても切削できるようにすれば、端面切削刃34の形状や配置を任意に選択することができる。
【0021】
図5に示すように、穿孔刃41は、頂点に先端刃44が取り付けられた三角板状のヘッド43からなる。ヘッド43の2辺の縁部は刃が形成され全体として二等辺三角形となる三角刃45が形成されている。先端刃44としてはドリル刃を用いることができ、三角刃45はヘッド43の縁部を鋭利に研ぐことにより形成することができる。
回転筒32に回転軸42が挿入された状態では、先端刃44が取り付けられたヘッド43の頂点は切削円板31の回転軸上にあり、ヘッド43はその頂点周りに回転するようになっている。
【0022】
なお、本実施形態では三角板状のヘッド43を用いたが、これに代えて、竹木Bを穿孔できる他の穿孔手段を用いることができる。この場合、穿孔手段は、切削円板31の切削面側に配置され、押付機構20で押し付けられている竹木Bの中心部を穿孔できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、押付機構20は、切削機構10の近傍に設けられる垂直ガイドローラー50および水平ガイドローラー60からなるガイド機構と、竹木Bをクランプし、切削機構10方向に押し付ける押込み手段70とを有している。
【0024】
図6に示すように、垂直ガイドローラー50は、一対のアーム51を有しており、それぞれの中央がピン52で軸支されている。また、アーム51の一端には竹木Bを垂直方向に挟む一対のローラー53が回転自在に取り付けられている。アーム51の他端同士はエアーシリンダ54で連結されている。そのため、エアーシリンダ54が収縮することにより一対のローラー53の間隔が広がり、エアーシリンダ54が伸長することにより一対のローラー53の間隔が狭くなるようになっている。
【0025】
前記垂直ガイドローラー50の各ローラー53は、モーター等の駆動力を得て自力回転し、竹木Bに送り駆動をかけるものでもよく、無駆動のもので竹木Bの送りに従動するものであってもよいが、駆動タイプであると、竹木Bを最後端部まで送り込んで切削できるので、残材が少なくなり好適である。
【0026】
上記垂直ガイドローラー50によれば、エアーシリンダ54により、竹木Bを垂直方向に動かないように固定しつつ、切削機構10方向に導くことができる。
また、本機構では、一対のローラー53間の中心が垂直方向にずれることがなく、ローラー53どうしの間隔のみを広狭に調整することができる。そのため、様々な太さの竹木Bを挿入しても、その中心を常に一定にすることができる。
【0027】
図7に示すように、水平ガイドローラー60は、一対のアーム61を有しており、それぞれの一端がピン62で軸支されている。また、アーム61にはピン62を回転軸としたセクター歯車63が取り付けられており、互いのセクター歯車63がかみ合うようになっている。アーム61の他端には竹木Bを水平方向に挟む一対のローラー64が回転自在に取り付けられている。さらに、一方のアーム61には、一対のローラー64の間隔を調整できるエアーシリンダ65が設けられている。
【0028】
したがって、エアーシリンダ65により、竹木Bを水平方向に動かないように固定しつつ、切削機構10方向に導くことができる。
また、一対のアーム61はセクター歯車63で連結されているので、一対のローラー64間の中心が水平方向にずれることがなく、ローラー64どうしの間隔のみを広狭に調整することができる。そのため、様々な太さの竹木Bを挿入しても、その中心を常に一定にすることができる。
【0029】
前記水平ガイドローラー60では、セクター歯車63により一対のローラー64の開閉動作の同期をとったが、セクター歯車63による同期調整は確実に行える利点がある。ただし、セクター歯車63を用いずに一対のアーム61のそれぞれにエアーシリンダ65を取り付け、何らかの同期手段を付加してもよい。
また、一対のローラー64をモーター等の駆動力を得て竹木Bに送り駆動をかけるようにしてもよく、無駆動で従動するものとしてもよい。
【0030】
垂直ガイドローラー50と水平ガイドローラー60は、竹木Bを、その先端部端面中心位置が、前述の切削円板31の回転軸に一致した位置に導くように設置されている(図1および図2参照)。このため、曲がりがある長尺の竹木Bであっても、確実に先端面から切削していくことができる。
【0031】
図8に示すように、押込み手段70は、竹木Bをクランプするクランプ部71を有している。クランプ部71は固定部71aと可動部71bと、可動部71bにクランプ力を伝えるエアーシリンダ71cとからなる。固定部71aと可動部71bには正面視菱形の溝が形成されており(図8(B)参照)、可動部71bが固定部71a側に動くことにより、竹木Bをクランプできるようになっている。
【0032】
クランプ部71は台座72に設けられたピン73に回動自在に固定されている。したがってクランプ部71は水平面内で揺動自在となっている。また、台座72はスライド74上に摺動自在に固定されており、クランプ部71は竹木Bの径方向に摺動自在となっている。
【0033】
図1に示すように、押込み手段70はクランプ部71を移動させる駆動部75を有している。駆動部75は一対のスプロケット75aと、それらスプロケット75a間に架設されたチェーン75bと、一方のスプロケット75aを正・逆両方向に回転させる図示しない駆動装置とで構成される。
チェーン75bは、切削円板31の回転軸と平行に切削機構10近傍までのびており、そのチェーン75bにスライド74が固定されている。そのため、クランプ部71は竹木Bをクランプしたまま切削機構10に押し付けることができる。また、切削終了後にクランプ部71を後方まで後退させることもできる。
【0034】
竹木Bを切削する場合は、前述の垂直ガイドローラー50および水平ガイドローラー60に竹木Bを挿入してクランプし、押込み手段70でもクランプしたうえで竹木Bを押し込めば、竹木Bの先端部端面を、先端部端面中心位置が切削円板31の回転軸に一致させて、切削円板31の切削面に押し付けることができる。そして切削円板31および穿孔刃41を回転させれば、竹木Bの先端部端面を切削し、粉砕することができる。
【0035】
一般に竹木は曲がっているものが多い。しかし、図2に示すように、クランプ部71は、水平面内で揺動自在であり、かつ、竹木Bの径方向に摺動自在であるので、竹木Bをクランプする位置・方向に自由度がある。そのため、竹木Bの先端部を垂直ガイドローラー50および水平ガイドローラー60で固定していても、クランプ部71は竹木Bの拘束に抗することなく竹木Bを押し付けることができるので、切削機構10での切削を円滑に行わせることができる。
【0036】
ところで竹材は中空であるが所々に節がある。図9に示すように、竹材Bの節部分bが切削円板31に近づいたときに、穿孔刃41が竹材B方向に突き出る(A)。そうすると、ヘッド43の頂点に取り付けられた先端刃44により、節部分bに孔をあけ、縁部に形成された三角刃45により節部分bを切削するので、節部分bを竹粉に粉砕しやすくなる。すなわち、節部分bでも穿孔刃41を押し付けることができるため、竹粉に粉砕することができる。また、比較的大きな孔をあけることができるので、竹材Bの断面の全てを切削して粉体化することができる。
【0037】
そして、節部分bの粉砕が終われば、穿孔刃41は切削円板31と接触するまで引っ込み、切削円板31で竹材Bの外周部分の粉砕を行えば、竹材Bの全ての部位を残すことなく粉体化することができる。このように穿孔刃41は出没自在であるので、予め竹材Bの節部分bを穿孔し、中空にした状態でその外周部分を端面切削刃34で切削させることができ、粉体化が容易に行え、竹材Bの節部分bの切削残りが生じないようにすることができる。
【0038】
竹木Bの切削中に、竹材Bの節部分bが切削円板31に近づいたことの検知は、垂直ガイドローラー50のエアーシリンダ54もしくは水平ガイドローラー60のエアーシリンダ65で行えばよい。ローラー53,64が節部分bを乗り越える際にエアーシリンダ54,65の内圧が高くなるので、その圧力変化を圧力計で測定すれば節部分bが切削円板31に近づいたことを検知することができる。
【0039】
そして、圧力計からの信号を、回転軸42を出し引きする図示しない駆動機構の入力信号とすれば、竹材Bの節部分bが切削円板31に近づいたときに、穿孔刃41を竹材Bの方向に突き出すことができる。
したがって、適切なタイミングで、穿孔刃41を突き出すことができ、端面切削刃34による竹木Bの切削開始前に、竹材Bの節部分bを粉砕することができる。
【0040】
本実施形態の竹木粉砕装置Aによれば、図10に示すように、断面円形の竹材Bの端部を端面切削刃34が周方向に移動しながら切削していく。この場合、端面切削刃34の外力Fが竹材Bの被切削部位に加わっても、竹材Bの被切削部位は未切削部でバックアップされているので、繊維が針状に剥がされることがない。このため、端面切削刃34の切り込み深さに応じた微粉にのみ切削されていく。したがって、従来例のように、竹木Bの外周表面部分や内周表面部分で剥がれが生じて、針状繊維が生ずるような不都合は全く発生しない。このため、完全に微粉化された竹木の粉末が得られる。
【0041】
また、竹木Bの先端部は垂直ガイドローラー50および水平ガイドローラー60により、しっかりと固定されているので、切削加工中にびびり振動が生じることがない。しかも端面切削刃34による切削外力は周方向にのみ働き竹材Bの径方向には働かないので、よけいにびびり振動は生じない。よって切削加工中の騒音は非常に小さくなる。
【0042】
図1に示すように、端面切削部30の下方にはシュート81とボックス82が設けられており、ボックス82には図示しないブロワーを介して粉体収納器が接続されている。粉体収納器に取替式の収納袋をセットしておけば、端面切削部30で切削された竹木Bの切削粉がシュート81を介してボックス82に貯えられ、さらにブロワーを介して収納袋に収納される。
なお、端面切削部30の周りは、切削粉の飛散を防止し、全ての切削粉を回収できるようにカバー等で覆っておくのが好ましい。
【0043】
つぎに、本発明の他の実施形態を説明する。
図11は、穿孔刃41の出没機構を示しており、この出没機構は水平ガイドローラー60と同期した構造である点に特徴がある。
穿孔刃41とその回転軸42は、図3に示すものと同一構造であり、水平ガイドローラー60は図7に示すものと同一構造である。回転軸42の後端には、内輪が回転軸42に固定されたスラスト型の軸受66が嵌められており、軸受66の外輪にレバー67の一端がピン連結されている。このレバー67の中央部はピン68で切削機構10の固定部材に軸支されており、レバー67の他端はロッド69にピン連結されている。また、ロッド69は水平ガイドローラー60のアーム61の基部にピン連結されている。このようにアーム61と回転軸42は、ロッド69とレバー67からなるリンク機構で連結されている。
【0044】
図11(A)に示すように、ローラー64が竹材Bの節でない部分に当接しているときは、穿孔刃41は引き込まれた位置にあるが、同図(B)に示すように、ローラー64が節部分に乗って外向きに開くと、その動きがロッド69を介してレバー67の揺動に変換されるので、回転軸42が前方に押し出される。この結果、穿孔刃41が前方に突出して、竹材Bの節部分を穿孔しはじめることになる。
【0045】
上記のように、図11の実施形態では、節の存在に連動して穿孔刃41を自動的に出没させることができる。
なお、前記軸受66は回転軸42の内部に嵌めて、前記レバー67と連結するようにしてもよい。要するに、回転軸42の回転を許容しつつ、軸方向への出没がローラー64の開閉動と連動して行えればよい。
【0046】
図12は端面切削部30の他の実施形態を示している。説明の便宜のため、同図(A)には、横軸xと縦軸yを切削円板31の中心を通る中心線として示し、切削円板31の回転方向を矢印Rで示している。
切削刃35は、工具鋼等からなる角棒状の部材であり、角部が直角ないしは鋭角に形成されて刃となっているものである。切削刃35は4本用いられているが、いずれも中心軸x,yに対し、交差するように配置されている。交差の方向は、切削刃35の外端側が回転方向Rの前方に位置し、内端側が後方に位置する向きである。
各切削刃35は3本以下でも5本以上でもよい。切削円板31に対する取り付け方は任意であるが、切削円板31に溝を形成し、その溝内に切削刃35を差し込み、さらにボルト等で固定するのが切削抵抗に抗して脱落せず、確実に取り付けることができるので好ましい。
【0047】
本実施形態の切削刃35によると、図13に示すように、竹木Bの外皮の繊維に対して接触部位が切削刃35の外端側から内側に向けて順に移動しつつ切削していくことになる。このとき、外皮の繊維は竹材Bの内側に押し付けられながら切断されるので、切断残しは生じず、必ず微粉状に切断される。よって、本実施形態では、より確実に針状の繊維の混入を防止しうる。
【0048】
図14は、穿孔刃41の他の実施形態を示している。
同図において46は回転軸42の先端に取り付けられた円錐状のヘッドである。このヘッド46の側面に中心対称に溝を形成して、この溝内に四角棒状の刃47を差し込んで、ボルト等の任意の手段で固定している。刃47は工具鋼等の適宜の刃物が用いられる。このようにして、2本の刃47を用いているが、3本あるいは4本用いてもよい。
また、ヘッド46の中心部には、同軸方向に図5に示すものと同様の先端刃44を取り付けている。
本実施形態の穿孔刃41においても、竹材Bの節を容易に穿孔することができる。
【0049】
上記のようにして製造された竹木の微粉は、まったく針状繊維を含んでおらず10μm〜300μmの均一な大きさの微粉となるので、畜産健康飼料や人の健康食品材料として利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る竹木粉砕装置は、竹材を粉砕するだけでなく、木材を粉砕するのにも利用される。
【符号の説明】
【0051】
A 竹木粉砕装置
B 竹木
10 切削機構
20 押付機構
30 端面切削部
40 穿孔手段
50 垂直ガイドローラー
60 水平ガイドローラー
70 押込み手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の竹木を切削する切削機構と、該切削機構に竹木を押し付ける押付機構とを備え、
前記切削機構は、中心周りに回転する切削円板を有し、
該切削円板の表面である切削面には、竹木の端面を切削する端面切削刃が設けられており、
前記押付機構は、竹木の先端部端面を、先端部端面中心位置が前記切削円板の回転軸に一致するように、前記切削面に押し付けるものである
ことを特徴とする竹木粉砕装置。
【請求項2】
前記切削機構は、穿孔手段を有し、
該穿孔手段は前記切削円板の切削面側に配置されており、前記押付機構で押し付けられている竹木の中心部を穿孔するものである
ことを特徴とする請求項1記載の竹木粉砕装置。
【請求項3】
前記穿孔手段は、前記切削円板の切削面に対して近接した位置と、そこから前進した位置との間で移動自在である
ことを特徴とする請求項2記載の竹木粉砕装置。
【請求項4】
前記穿孔手段は、回転する三角形または円錐のヘッドを備えており、
該ヘッドの頂点に設けられた先端刃と、側面部に設けられた刃からなる穿孔刃が設けられている
ことを特徴とする請求項2または3記載の竹木粉砕装置。
【請求項5】
前記押付機構は、
長尺の竹木をクランプして前記切削機構方向に付勢する押込み手段と、
竹木の先端部端面中心位置を前記切削円板の回転軸に一致させるように導き、かつ、竹木の径方向への動きを固定するガイドローラーとを備える
ことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の竹木粉砕装置。
【請求項6】
前記押込み手段は、竹木をクランプするクランプ部と、該クランプ部を移動させる駆動部とを有し、
該クランプ部が、揺動自在であり、かつ、竹木の径方向に移動自在である
ことを特徴とする請求項5記載の竹木粉砕装置。
【請求項7】
前記ガイドローラーにより竹木の節を検知して検知信号を発し、
該検知信号により、前記穿孔手段が竹木方向に突き出るよう制御する制御部を有する
ことを特徴とする請求項5または6記載の竹木粉砕装置。
【請求項8】
前記ガイドローラーと前記穿孔手段がリンク機構を介して接続されており、
該リンク機構は、前記ガイドローラーが竹木の節で押されたときの揺動を、前記穿孔手段の前進へと変換するものである
ことを特徴とする請求項5または6記載の竹木粉砕装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−161735(P2011−161735A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25877(P2010−25877)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【特許番号】特許第4681076号(P4681076)
【特許公報発行日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(510035886)有限会社藤井鉄工所 (1)
【出願人】(508047093)株式会社さぬきテクノ (2)
【Fターム(参考)】