説明

第一胃内保護用必須アミノ酸

【課題】反芻動物の第一胃では分解されず、腸へ送られた後の物質を、腸で高吸収できかつ生体的に利用できる形態の必須アミノ酸の誘導体を提供する。
【解決手段】第一胃で保護される必須アミノ酸源を反芻動物の餌に補うための組成物であって、非毒性のキャリア、及び餌補完として効果的な量の、構造1の式を有する必須アミノ酸のイミン誘導体を含んで成る組成物。
【化1】



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体利用できる、好ましくはヒスチジン及びメチオニンである必須アミノ酸を提供できる、第一胃内で安定で生体利用できる反芻動物用の栄養補助食品に関する。本発明は、本願出願人が所有するアンダーソンの先の米国特許第5885610号のバイパスの第一胃生成物の改良である。
【背景技術】
【0002】
家畜として良好に行動するために、反芻動物には、生体利用できる必須アミノ酸が必要であることは周知である。これに関して、例えば乳牛がリシンやメチオニンなどの必須アミノ酸の最小必要量を摂取できないと、前記乳牛は適切な量のミルクを提供せず、健康も下降気味になる。
【0003】
必須アミノ酸を反芻動物に与えることは、見掛けほど簡単ではない。例えば牛の第一胃内のバクテリアは、リシンやメチオニンのようなアミノ酸源を日常的に分解している。換言すると、第一胃内のバクテリアは、アミノ酸源を代謝し、アミノ酸の効能を動物から「奪う」。代謝された副生成物が第一胃から腸へ通過すると、アミノ酸はなくなってしまう。従って。第一胃内でアミノ酸を安定化し、第一胃から腸へ通過する際に吸収する挑戦が試みられている。つまり、リシンやメチオニンのような必須アミノ酸を腸内のみで生物活性があるようにし、第一胃内では代謝させないようにすることが必要である。
【0004】
過去においてもこの問題は認識され、飼料開発者は、第一胃での分解からアミノ酸を保護するために、脂肪、ミネラル類、炭水化物及びバインダを使用している。この技術は、被覆されたアミノ酸が第一胃で安定であるという希望の下、物質を単純に被覆することを含む。最近、ローヌプーラン社はpH感応性のポリマー被覆を販売している。アミノ酸用のpH感応性のポリマー被覆の理論は、第一胃と腸の間のpHの差異を利用する。例えば第一胃のpHは通常5.5から7.0で、腸のpHは2〜3である。ポリマー被覆した必須アミノ酸の理論は、第一胃のpHである5.5から7.0で安定であるが腸のpHである酸性pHである2〜3で代謝する被覆は、第一胃で安定なことであるが腸では利用できる筈であることである。
【0005】
従来使用されている両技術、つまり脂肪のような被覆を使用する技術と、最近開発されたpH感応性ポリマー被覆の技術は、成功例が少なく、問題を抱えている。第一胃安定性の被覆に依存する製品に関する主要な問題は、取扱いの間や動物による咀嚼の間に被覆が磨耗することである。取扱者が被覆に刺激を与えると、アミノ酸は第一胃内の微生物に消費され、動物により浪費される。同様に、動物の咀嚼の間に被覆が磨耗すると、第一胃内バクテリアに利用されて、動物により浪費される。更に脂肪で保護され又は被覆された必須アミノ酸は、保護用脂肪被覆を消化できる第一胃内の酵素に対する脂肪耐性、及び第一胃内の後の消化能力に影響される。しかし、第一胃内の攻撃に対する耐性と腸内の消化の間に適正なバランスがないと、動物に対するアミノ酸の効果が失われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述から、第一胃で安定な、つまり第一胃で分解耐性を有するが、第一胃から腸へ送られた後の物質を、腸で高吸収できかつ生体的に利用できる形態の必須アミノ酸を反芻動物に与えることに関する開発に対する真のかつ継続的な要望があることが判る。本発明の主要な目的は、安定に、効果的に、効率的にかつ低コストで、前記目的を満足する、入手可能な改良製品を提供することである。
【0007】
マイケル・アンダーソンが発明した先行するジンプロ・コーポレーションの先行特許では、第一胃のバイパス製品を製造するために使用できるある種アミノ酸のカルシウム又はマグネシウム錯体が発見された。本発明は、反芻動物中の必須アミノ酸の利用可能性を改良する、特定の問題点を異なった面から解決しようとするものである。
【0008】
リシンは、哺乳類の餌用の必須アミノ酸である。つまり、リシンは、哺乳類では、代謝要求に応じた十分な速度で合成できず、従って餌で補給しなければならない。コーン(トウモロコシL)はリシン含有量が顕著に低く、単独使用の場合には、動物の健康のため、及び経済的な動物成長を達成の両者のために、リシンの補給が必要である。保護されたリシンイミン誘導体が、「第一胃保護リシン」という発明の名称で同日に提出された同一出願人の出願で開示されている。
【0009】
従来、ラット用の、生物学的活性を有する誘導体用に開発された、リシンのα―イミンとε―イミンがある。非特許文献参照。非特許文献1は、誘導体の生物学的利用性は、メイラード反応において、遊離のリシンより反応性が4から7倍低く、従って熱の影響を受けやすいと結論付けた。非特許文献2は、ミルク中のリシンとラクトース間のシッフ塩基の化学的評価を扱っている。いずれの文献も、第一胃内のリシン誘導体に安定性を付与し、あるいは、第一胃通過後に、腸で成功裏に吸収されて、リシンがこの重要な必須アミノ酸が餌の補完として動物に利用できることを保証するような化合物を提供できる有用な化合物に関する教示ない。リシン以外の必須アミノ酸に関する教示もない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】フィノット、Adv. Exp. Med. Bio. 1978; 105:549-570「栄養中のリシン源としてのN−置換リシン」。「食品及び供給たんぱく質の栄養的改良」ニューヨークのプレナム社刊行、フリーマン編集。
【非特許文献2】フィノットら、Adv. Exp. Med. Biol. 1977; 86B:343-365.「リシンの真のシッフ塩基の利用性、ミルク中のリシンとラクトース間のシッフ塩基の化学的評価」。
【0011】
本発明は、前述の技術から、第一胃では微生物のアタックに対して実質的に不活性であるが、腸壁では消化され吸収される高度に生物活性である、第一胃の有機体のアタックには驚くほど不活性な必須アミノ酸の形態の化合物を形成することによる、他の限定的な及び/又は必須アミノ酸の技術にまで及ぶ。調製される化合物の構造は、必須アミノ酸のイミン(シッフ塩基)を中心とする。
【0012】
他の主要な目的は、反芻動物の餌補完として、主要な餌用とうもろこし粒(リシン及びメチオニン含有量が低いことで知られている)として頻繁に使用される動物用の必須アミノ酸補完を行うための反芻動物の餌の補完を行うことである。その結果、動物の総体的で経済的な成長が促進され、必須アミノ酸補完の費用が動物に使われ、第一胃を通る間に第一胃内の微生物に「奪われる」ことがなくなる。
【0013】
必須アミノ酸のイミン(シッフ塩基)の化学構造を前提として前記目的を達成する方法は、本発明の他の主要な目的である。
【0014】
本発明の他の主要な目的は、カプセル化に依存せず、供給形態のまま容易に加工できる化合物を使用して必須アミノ酸補完を第一胃をバイパスする形で成功裏に達成するために利用できる化合物を提供することである。
【0015】
更に他の目的は、第一胃で保護されるメチオニン、ヒスチジン及び他の必須アミノ酸を提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、必須アミノ酸イミンの使用、及び反芻動物用の第一胃で保護される必須アミノ酸源としての前記必須アミノ酸を含む組成物に関する。特に好ましいのは、メチオニン及びヒスチジンである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい態様における基本的な概念は、必須アミノ酸及びそれらの誘導体や塩のイミン(シッフ塩基)に関する。それは、アルデヒドやケトンと、任意の必須アミノ酸から生産される多様なイミンである。それは、アルデヒドやケトンと、メチオニンやヒスチジンなどの必須アミノ酸から生産されるイミンである。それは、アルデヒドやケトンと、これらの必須アミノ酸のエステルや錯体から生産されるイミンである。換言すると、本発明は、必須アミノ酸の第一胃における耐性源としてのαアミノ基のイミンを使用し、必要ならば他の官能基を修飾しても良く、又しなくても良い。
【0018】
反芻動物では、摂取された餌はなず第一胃を通過し、ここで部分的にバクテリア発酵で分解される。第一胃での発酵の間、第一胃の微生物は分解した窒素化合物からの窒素を利用して微生物蛋白質を生成する。第一胃微生物用の窒素源は、蛋白質で分解できる蛋白質及びペプチド、遊離のアミノ酸及び尿素を含む。微生物蛋白質及び分解されていない供給蛋白質は、第四胃及び小腸へ通過し、ここで塩酸及び哺乳動物酵素が、微生物蛋白質及び分解されていない供給蛋白質を、遊離のアミノ酸及び短いペプチドに分解する。当該アミノ酸及び短いペプチドは腸で吸収され、反芻動物は、生命の維持、成長、再生及びミルクの生産のために、前記アミノ酸を利用する。しかしリシン、メチオニン又はヒスチジンのようなアミノ酸が、第一胃微生物で代謝されると、対象動物に対するその価値は失われる。
【0019】
動物が蛋白質合成に利用できる20種又はそれ以上のアミノ酸のうち、9種が必須と考えられている。必須アミノ酸の例は、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、スレオニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラミン及びトリプトファンである。必須アミノ酸は、動物が生産できる量を超える量を必要とし、微生物蛋白質又は第一胃で分解されない蛋白質として供給されなければならない。過剰に供給されたアミノ酸は動物が分解し、尿素として排泄する。アンモニアからの尿素合成は、動物からのエネルギを必要とするプロセスである。ある種の必須アミノ酸が十分に供給されないと、生産する蛋白質の量とタイプが不足し、動物の能力が低下する。従って適正量の必須アミノ酸を供給すると動物の能力が最大になり、動物によるエネルギ利用の効率も向上する。
【0020】
リシンとメチオニンは、とうもろこしを主とする餌が与えられる際の、最も限定的な必須アミノ酸の2種である。研究結果によると、ミルク蛋白質含有量は、十二指腸消化のアミノ酸含有量の変化に対する、生産に関する因子(ミルク生産量、脂肪補正乳、ミルク蛋白質、ミルク脂肪及びミルク脂肪と蛋白質の含有量)に影響する最も鋭敏なものである。乳牛の泌乳のために十二指腸中に制限アミノ酸を多く注入することにより、研究者は、最大のミルク生産量のための十二指腸消化の全必須アミノ酸に対するリシン及びメチオニンの必要な寄与は、それぞれ約15%及び5.2%であると決定した。
【0021】
本発明は、メチオニン及びヒスチジンのようないくつかの必須アミノ酸を含む、最も好ましい必須アミノ酸のイミンに関する。本明細書では、メチオニン及びヒスチジン、それらの誘導体及び塩を最も好ましいものとして扱うが、α―アミノ基を含む他のα―アミノ酸も使用できる。
【0022】
第一胃で安定で、反芻動物の餌供給用に腸で溶解する第一胃で保護される必須アミノ酸源としての本発明の組成物は、α―アミン残基のイミン(シッフ塩基)である補給用組成物として記載する。これらは、下記実施例で立証するように、多様なアルデヒド又はケトンから誘導されるイミンである。当該分子のアミノ酸部分は、カルボキシル基の塩、エステル又はアミドであっても良い。一般に、前記組成物は、補給として効果的な量の構造1のイミンを含む。
【化1】

【0023】
Wは、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、スレオニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラミン及びトリプトファンから成る群から選択される必須アミノ酸の残基を示す。Wが構造2のヒスチジン、又は構造3のメチオニンであることが好ましい。カルボン酸残基は、酸自身、又は塩、アミド、エステルなどの官能基置換誘導体であることはいうまでもない。
【化2】

【0024】
前記構造式で、R1及びR2は、同じでも異なっていても良く、水素、脂肪族、芳香族及び環状残基から成る群から選択されろ。好ましい構造は、R1が水素、R2が芳香族、R3が-OHである。R3が-OHであることが好ましいが、本発明は列挙した他の残基も含み、第三者は他の残基と置換して依然として本発明の利益を受けながら非侵害を主張することはできない。
【0025】
1及び/又はR2の位置の好ましい残基は、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、シンナムアルデヒド又はバニリンとしての使用から形成され、前述の一般式の構造に含まれる最も好ましい化合物が得られるものである。それらを下記に示す。
【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
前記化合物、特に好ましいものとして挙げた化合物は、容易に調製できる。これらの化合物は、補給用添加剤として販売及び分割され、かつキャリアと混合されて、梱包性、加工性及び味が改善されている。好ましいキャリアは、例えばそれを摂取する反芻動物用の味を大きく改善する粉末の砂糖である。例えばベンズアルデヒド誘導体は、粉末の砂糖でマスクできるアーモンド味を有している。
【0031】
本発明の化合物は、追加のキャリアや充填剤物質なしに添加することが好ましく、前述の香味料はそのまま又はキャリアとともに使用できる。キャリアを使用する場合、該キャリアは、蒸留物、発酵可溶分、供給穀物、軸付きとうもろこしの粉、乳清及び他のセルロース性キャリア物質のような適切なキャリアとする。これらは、痕跡量のミネラル調製物の添加と同時に添加しても良い。換言すると、他の栄養成分と混合しても良い。
【0032】
勿論供給する餌に添加する補給量は、純粋な組成物を使用するか、あるいはキャリアとともに組成物を使用するかにより変化する。基本的に、補給組成物を、販売されている供給用餌に単に混合する。
【0033】
一般に、イミンは、動物の1日に必要な栄養のために十分な必須アミノ酸を与えられるレベルになるように、つまり1動物1日当たり、約1gから約50gの範囲で与えるべきである。
【0034】
下記の実施例は、本発明のリシン、メチオニン及びヒスチジンのイミン(シッフ塩基)の調製を例示するもので、R1からR3位に結合する多様で異なった残基を例示する。
【0035】
[実施例1、リシンハイドロクロライド及びベンズアルデヒドからのN−ベンズアルデヒドーL−リシンの調製]
リシンハイドロクロライド(4.8g、26.3ミリモル)を35mLの水に溶解した。NaOH(1g、26.3ミリモル)を前記溶解液に添加し、アイスバスで冷却した。この混合物に、ベンズアルデヒド(2.8g、26.3ミリモル)を添加し、約10分掛けて生成物を沈殿させた。混合物を濾過し、水洗した。得られた固体を乾燥し、約5.2gの白色固体を得た。
【0036】
[実施例2、リシンハイドロクロライド及びトランスーシンナムアルデヒドからの2−アミノー6−(E)−3−フェニルアリリデンアニリノ)ヘキサノ酸の調製]
リシンハイドロクロライド(4.2g、23ミリモル)を30mLの水に溶解した。NaOH(0.91g、23ミリモル)を前記溶解液に添加し、アイスバスで冷却した。この混合物に、トランスーシンナムアルデヒド(3.0g、23ミリモル)を添加し、約10分掛けて生成物を沈殿させた。混合物を濾過し、水洗した。得られた固体を乾燥し、約4.9gの固体を得た。
【0037】
[実施例3、リシンハイドロクロライド及び4−ヒドロキシー3−メトキシベンズアルデヒドからの2−アミノー6−(4−メトキシベンジリデンアミノ)ヘキサン酸の調製]
リシンハイドロクロライド(2.2g、12ミリモル)を25mLの水に溶解した。NaOH(0.48g、12ミリモル)を前記溶解液に添加し、アイスバスで冷却した。この混合物に、4−メトキシベンズアルデヒド(1.6g、12ミリモル)を添加し、約10分掛けて生成物を沈殿させた。混合物を濾過し、水洗した。得られた固体を乾燥し、約2.6gの固体を得た。
【0038】
[実施例4、リシンハイドロクロライド及びオクチルアルデヒドからの2−アミノー6−(オクチリデンアミノ)ヘキサン酸の調製]
リシンハイドロクロライド(2.7g、14.8ミリモル)を100mLの水に溶解した。NaOH(0.59g、14.8ミリモル)を前記溶解液に添加し、アイスバスで冷却した。この混合物に、オクチルアルデヒド(1.9g、14.8ミリモル)を添加し、約10分掛けて生成物を沈殿させた。沈殿物は、オイル状に凝集した。溶媒をデカントし、オイル状沈殿物を減圧乾燥した。オイル状物質2.5gが得られた。
【0039】
[実施例5、授乳用ホルスタイン乳牛へのN−ベンジリデンーL−リシン補給の評価]
処理期間:14日間
処理:1)コントロール
2)コントロール+N−ベンジリデンーL−リシンからのリシン40g
全ての牛に同じ基本量の餌を与えた。牛は2つの処理グループのいずれかに振り分けた。(1)コントロール及び(2)コントロール+N−ベンジリデンーL−リシン(TrTA)。牛が1日に53.0ポンドの乾燥物質を消費するごとに、40gのリシンを補給できるように、N−ベンジリデンーL−リシンを与えた。コントロールの餌ではリシンが不足した。コントロールの餌及びN−ベンジリデンーL−リシンを補給した餌の授乳に対する応答を表1に示す。「P」は確率値(P値)を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1のデータから、イミン組成物を補給すると、ミルク生産が増え、蛋白質が増え、脂肪の増え、更にP値で示されるように、その差異が顕著であることが結論付けられる。対照的に単にリシンを補給するだけだと、それらの間の差異は観察できない。これは第一胃内の微生物がリシンを単に消費して効果的に動物に補給されず、際や卓越した結果を生じさせないからである。
【0042】
従って本発明は、前記した目的の全てを達成できることが分かる。
【0043】
[実施例6、メチオニン及びベンズアルデヒドからの2−(ベンジリデンアミノ)−4−(メチルチオ)ブタネートの調製]
メチオニン(2.2g、14.7ミリモル)を100mLのMeOHに溶解した。NaOH(0.59g、14.7ミリモル)を前記液に添加し、全てが溶解するまで攪拌した。これに、ベンズアルデヒド(1.9g、17.9ミリモル)を添加し、この混合物を約10分攪拌した。この混合物を減圧濃縮し、残渣をEtOHに添加した。この溶液から生成物を結晶化させた。これを乾燥して約1.5gの固体を得た。生成物は白色固体で、窒素の含有量を分析し、理論値と比較した。理論値は、窒素5.9%で、実測値は窒素5.9%であった。
【化7】

【0044】
[実施例7、ヒスチジンハイドロクロライド及びベンズアルデヒドからの2−(ベンジリデンアミノ)−3−(1Hイミダゾールー4−イル)プロピオン酸ナトリウムの調製]
ヒスチジンモノハイドロクロライド一水和物(5.3g、25.3ミリモル)を100mLのMeOHに溶解した。NaOH(2.0g、50ミリモル)を前記液に添加し、攪拌した。ヒスチジンは完全には溶解しなかったので、全てが溶解するまで水を加えた。この混合物に、ベンズアルデヒド(2.6g、25ミリモル)を添加し、この混合物を約10分攪拌した。この混合物を減圧濃縮し、残渣をEtOHに添加した。生成物を濾過し、EtOHで洗浄した。これを乾燥して約3.7gの白色固体を得た。
【化8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一胃で保護される必須アミノ酸源を反芻動物の餌に補うための組成物であって、
非毒性のキャリア、及び
餌補完として効果的な量の、構造1の式を有する必須アミノ酸のイミン誘導体(ここでR1及びR2は、同じでも異なっていても良く、水素、脂肪族、芳香族及び環状残基から成る群から選択され、Wはアミノ酸の残部を示し、R3は、-OH,エステル生成基、又は無機塩生成残基、又はアミド生成残基である)を含んで成る組成物。
【化1】

【請求項2】
Wは、メチオニン又はヒスチジンの有機残基である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1は水素、R2は反応物ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、シンナムアルデヒド又はバニリンとしての使用から形成され、R3は-OHである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1は水素、R2は反応物ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオン又はオクチルアルデヒドとしての使用から形成され、R3は-OHである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1及びR2は同一で、反応物シクロヘキサノン、プロピオフェノン、ジエチルケトン、オクタノン、デカノン又はアセトンとしての使用から形成される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
3が、エステルを形成する有機残基又は無機塩残基のいずれかである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
非毒性のキャリアが、香味料である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
非毒性のキャリアが、糖、発酵可溶分、供給穀物、軸付きとうもろこしの粉、乳清及び他のセルロース性キャリア物質から成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
餌補完として効果的な量が、1動物1日に、1gから50gのアミノ酸を補給するために十分な量である請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
第一胃で保護された必須アミノ酸源として、少なくとも1種の必須アミノ酸イミンを選択して使用する、反芻動物の餌補完のために、第一胃で保護されたリシンを使用することを特徴とする方法。
【請求項11】
アミノ酸イミンが、構造1の式を有する少なくとも1種の必須アミノ酸のイミン(ここでR1及びR2は、同じでも異なっていても良く、水素、脂肪族、芳香族及び環状残基から成る群から選択され、Wはアミノ酸の残部を示し、R3は、-OH,エステル生成基、又は無機塩生成残基、又はアミド生成残基である)である請求項10記載の方法。
【化1】

【請求項12】
Wが、ヒスチジン又はメチオニン残基のいずれかである請求項10に記載の方法。
【請求項13】
1は水素、R2は反応物ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、シンナムアルデヒド又はバニリンとしての使用から形成され、R3は-OHである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
1は水素、R2は反応物ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオン又はオクチルアルデヒドとしての使用から形成され、R3は-OHである請求項11に記載の方法。
【請求項15】
3が、エステルを形成する有機残基又は塩を形成できる無機塩残基のいずれかである請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
必須アミノ酸を、香味料である非毒性のキャリアと混合することを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
非毒性のキャリアが、糖、発酵可溶分、供給穀物、軸付きとうもろこしの粉、乳清及び他のセルロース性キャリア物質から成る群から選択される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
餌補完として効果的な量が、1動物1日に、1gから50gのアミノ酸を補給するために十分な量である請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−523686(P2010−523686A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503097(P2010−503097)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/052607
【国際公開番号】WO2008/127759
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(592144711)ジンプロ コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】ZINPRO CORPORATION
【Fターム(参考)】