説明

第三級カルボン酸類の光学分割法

【課題】 有機合成、分析化学、医薬、農薬、機能性材料などの属する分野、および他の分野において要求されている第三級カルボン酸の光学分割法を提供すること。
【解決手段】 ラセミ第三級カルボン酸と光学活性フェニルアラニノールのアミド体ジアステレオマーは、大きな分離度を有しており、このジアステレオマーを使用することにより光学分割が容易となった。また、光学分割したアミド体は、一旦オキサゾリン体とすることで加水分解が可能となり、光学的に純粋な第三級カルボン酸が製造できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第三級カルボン酸の光学分割法に関するもので、有機合成、分析化学、医薬、農薬、機能性材料などの属する分野、および他の分野において要求されている光学活性第三級カルボン酸を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
カルボキシル基のα位に不斉点を有する光学活性カルボン酸は、液晶材料や光学活性ポリマーなどの機能性材料の原料として盛んに利用されている。また、光学活性カルボン酸はアミド、エステル、アルデヒドに誘導することができ、極めて有用な光学活性ビルディングブロックとして用いられている。一方、分析化学の分野では、生理活性物質などの主要な構成要素である水酸基やアミノ基を有する化合物の光学分割に光学活性カルボン酸を光学分割剤とするジアステレオマー分離法が利用されており、光学活性カルボン酸はアルコールやアミンの光学純度測定や絶対配置決定にも利用されている。その代表例としてはMosherらの光学活性α−メトキシ−α−トリフルオロメチル−α−フェニル酢酸(MTPA)[H.S.Mosher,et al.,J.Org.Chem.,34,2543(1969)]が挙げられる。また、発明者らは先に光学活性な2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオン酸(以下MαNPと表示)を開発し、キラル誘導体化試薬としての有用性を報告しており[N.Haradaら,天然有機物討論会講演要旨集,42,73(2000)]、光学活性第三級カルボン酸の需要は益々高まりつつある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第三級カルボン酸から光学活性第三級カルボン酸を得る方法としては、光学分割剤と反応させることにより得られるジアステレオマーを再結晶する方法やHPLCといった手法で光学分割する方法が有効である。例えば、光学活性MαNPの入手法としては、MαNPを(+)−α−メチルベンジルアミンで晶析することにより、(−)−MαNPを得る方法が報告されている。[J.Goto,et al.,Chem.Pharm.Bull.,25,849(1977)]。また、発明者らはラセミMαNPと(−)−メントールの反応で得られるジアステレオマーのエステルをHPLCで分離することにより、光学活性MαNPを得て、絶対配置を(R)−(−)および(S)−(+)と決定している。しかしながら、Gotoらの方法ではエナンチオマーの混入を避けることができず、満足できる方法ではない。(−)−メントールを用いる方法は分離係数αが1.83と大きく、有効な方法であるが改善の余地がある。光学分割で純粋なエナンチオマーを効率的に得る条件としては、ジアステレオマー間の分離度が大きいこと、温和な条件で誘導体化できることなどが挙げられる。さらに、大量入手可能な方法であることが望ましい。純粋な光学活性第三級カルボン酸を大量入手できる光学分割法の開発が強く望まれている。
【課題を解決しようとするための手段】
【0004】
そこで発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は縮合剤の存在下、下記構造式(1)
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、Rはアルキル基、分枝アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基から選択され、Rはアルキルオキシ基、ヒドロキシル基、ペルフルオロアルキルオキシ基から選択され、Rは置換されても良い芳香環、ヘテロ環から選択される)で示される第三級カルボン酸に、下記構造式(2)
【0007】
【化2】

(式中、Rは水素、アルキル基、分枝アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基から選択される)で示される光学活性なアミノアルコール誘導体を反応させ、下記構造式(3)
【0008】
【化3】

(式中、Rはアルキル基、分枝アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基から選択され、Rはアルキルオキシ基、ヒドロキシル基、ペルフルオロアルキルオキシ基から選択され、Rは置換されても良い芳香環、ヘテロ環から選択され、Rは水素、アルキル基、分枝アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基から選択される)で示されるアミドのジアステレオマーを生成させ、このジアステレオマーを光学分割したのち、下記構造式(4)
【0009】
【化4】

(式中、Rはアルキル基、分枝アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基から選択され、Rはアルキルオキシ基、ヒドロキシル基、ペルフルオロアルキルオキシ基から選択され、Rは置換されても良い芳香環、ヘテロ環から選択され、Rは水素、アルキル基、分枝アルキル基、アルキルオキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基から選択される)で示されるオキサゾリン誘導体を形成し、次いでメチル化、加水分解を行うことを特徴とする、光学活性第三級カルボン酸の光学分割法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の代表的な例として下記構造式(5)
【0011】
【化5】

で示されるMαNPを第三級カルボン酸とし、下記構造式(6)
【0012】
【化6】

で示される光学活性アミノアルコールを光学分割剤として取り上げ、本発明の有用性を例示する。本発明に係るMαNPの光学分割法は下記反応式に従って進行する。
【0013】
【化7】

【0014】
第一工程はMαNPとL−フェニルアラニノールを縮合剤の存在下、縮合させ、N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノールのジアステレオマー混合物を得る工程である。この工程で用いられる縮合剤は、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフロロホスフェート(HATV)等の中から単独または組み合わせで適宜選択され、好ましくはDCC−HOBtの組み合わせである。必要に応じて、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の塩基を加えてもよい。使用し得る溶媒は塩化メチレン、トルエン、THF、エチルエーテル、あるいはこれら混合溶媒から適宜選択され、好ましくは塩化メチレンである。反応温度は−80℃から110℃まで選択されるが、好ましくは0℃から40℃の間で選択される。
【0015】
第二工程は得られたN−2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノールのジアステレオマー混合物を光学分割する工程である。ジアステレオマー混合物をHPLCで光学分割したところ、分離係数α=4.53と驚異的なジアステレオマー分離を示した(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)。一般に、アミドはエステルと比べてシリカゲルとの親和性が大きいことから、その分離は大きくなる。また、分子内にシリカゲルとの相互作用の強い水酸基を有していることも影響したと考えられる。また、ジアステレオマー混合物は、メタノールから容易に分別再結晶することもできる。フラッシュカラムクロマトグラフィー、HPLC、再結晶を組み合わせることで、効率良く光学分割を行うことができる。
【0016】
第三工程はハロゲン化、メシル化、あるいはトシル化した後、閉環反応を行い、オキサゾリン環を形成する工程である。ハロゲン化剤、メシル化剤、あるいはトシル化剤は塩化チオニル、三塩化リン、塩酸、オキザリルクロライド、メシルクロリド、トシルクロリド等から選択されるが、好ましくは塩化チオニルである。溶媒はトルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、エチルエーテル等から適宜選択され、また、反応温度は−80℃から110℃まで選択されるが、好ましくは0℃から80℃の間で選択される。閉環反応はアルカリで処理して行う。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等から選択されるが、好ましくは水酸化ナトリウムである。溶媒としてはメタノール、エタノール等から選択され、また反応温度は−80℃から110℃まで選択されるが、好ましくは0℃から80℃の間で選択される。
【0017】
第四工程はメチル化、加水分解により、(R)−(−)−MαNPを得る工程である。メチル化剤はヨウ化メチル、臭化メチル、ジメチル硫酸等から適宜選択されるが好ましくはヨウ化メチルである。加水分解におけるアルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキサイド等から適宜選択され、また、反応温度は室温から溶媒の還流温度の間で適宜選択される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明の方法で得られるラセミ第三級カルボン酸のアミド体ジアステレオマーは、分離度が非常に大きいため効率のよい光学分割ができ、両方の光学異性体が収率よく生成できるようになった。例示したMαNPにおいては再結晶法でも効率的にジアステレオマーを光学分割することができた。また、アミド体から光学活性第三級カルボン酸の回収は、一旦オキサゾリンにすることで加水分解が容易となり、収率よく実施できるようになった。従って、本発明は光学活性第三級カルボン酸の有用な製造法といえる。
【実施例】
【0019】
以下に本発明の好ましい実施例を記載するが、これは例示の目的であり、本発明を制限するものではない。本発明の範囲内では変形が可能なことは当業者には明らかであろう。
【実施例1】
N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノールのジアステレオマー混合物の合成および光学分割
【0020】
ラセミMαNP4.32g(18.8mmol)、カンファースルホン酸417mg(1.80mmol)、HOBt3.05g(22.6mmo1)、塩化メチレン20mlを加え、氷冷下撹拌し、ジイソプロピルエチルアミン2.43g(18.8mmol)、DCC4.66g(22.6mmol)、(S)−フェニルアラニノール2.82g(18.8mmol)を加え、室温まで昇温後34度で一晩撹拌した。TLCによりカルボン酸が消失したのを確認した後、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止し、30分撹拌した。不溶物をセライトで除去し、ろ液を飽和塩化アンモニウム水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=2/1)により精製しFr.1(第一溶出成分メイン、3.27g)、Fr.2(ジアステレオマー混合物、1.49g)、Fr.3(第二溶出成分メイン、2.03g)を得た。Fr.1をメタノールから分別再結晶することにより、光学的に純粋な(R,S)−N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノール2.67gを得た。またFr.2をHPLC(hexane/EtOAc=2/1)により光学分割し、第一溶出成分(R,S)−N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノール0.44g、第二溶出成分(S,S)−N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノール1.01gを得た。合わせて第一溶出成分(R,S)−N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノール3.11g(8.57mmol)を収率46%、第二溶出成分(S,S)−N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノール3.04g(8.37mmol)を収率45%で得た。
以下に主な物性を示す。
(R,S)−(−)−Amide:colorless prism recrystallized from MeOH;融点154.6−154.9℃;[α]24−73.8(c1.07,CHCl);H NMR(600MHz,CDCl)δ1.79(3H,s),2.47(1H,br s),2.85(1H,dd,J=13.8,7.9Hz),2.97(1H,dd,J=13.8,7.0Hz),2.98(3H,s),3.59(1H,dd,J=10.6,4.0Hz),3.70(1H,dd,J=10.6,4.0Hz),4.20(1H,dddd,J=7.9,7.0,4.0,4.0Hz),7.21(1H,br d,J=8.1Hz),7.23(2H,br dd,J=7.1,7.1Hz),7.30(2H,br dd,J=7.1,7.1Hz),7.40−7.45(3H,m),7.58(1H,br d,J=7.3Hz),7.81(1H,br d,J=8.3Hz),7.83(1H,m),8.34(1H,m);13C NMR(150MHz,CDCl)δ22.2,37.1,50.7,52.8,64.4,82.5,124.7,124.9,125.6,126.1,126.6,127.0,128.6,128.9,129.2,129.6,131.4,134.3,134.8,137.6,175.0.
(S,S)−(+)−Amide:colorless amorphous;[α]22+84.8(c1.10,CHCl);H NMR(600MHz,CDCl)δ1.93(3H,s),2.87(1H,dd,J=13.8,8.2Hz),2.96(1H,dd,J=13.8,6.6Hz),2.97(1H,br s),3.00(3H,s),3.64(1H,dd,J=11.0,5.9Hz),3.70(1H,dd,J=11.0,2.8Hz),4.13(1H,dddd,J=8.2,6.6,5.9,2.8Hz),7.20−7.24(3H,m),7.27(1H,m),7.32(2H,br dd,J=7.0,7.0Hz),7.41(1H,ddd,J=8.0,6.,1.1Hz),7.42(1H,dd,J=8.3,7.3Hz),7.58(1H,dd,J=7.3,1.3Hz),7.80(1H,br d,J=8.3Hz),7.81(1H,br d,J=8.2Hz),8.01(1H,br d,J=8.8Hz);13C NMR(150MHz,CDCl)δ22.6,36.9,50.7,53.6,65.1,82.5,124.6,124.7,125.5,126.2,126.7,127.0,128.7,128.8,129.2,129.7,131.4,134.2,134.5,137.6,175.7.
【実施例2】
(R,S)−2−[1−メトキシ−1−(1−ナフチル)エチル−1−イル]−4−ベンジル−2−オキサゾリンの合成
【0021】
(R,S)−N−[2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオニル]フェニルアラニノール0.1g(0.276mmol)、トルエン2mlの混合物に室温下、塩化チオニル325mg(0.942mmol)を加えた。溶液を70℃で30分撹拌した。TLCにより原料消失を確認後、室温まで冷却し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液から減圧下溶媒を留去し、粗生成物を得た。粗生成物に5%苛性ソーダ/メタノール4mlを加え、68℃で2時間撹拌した。TLCにより反応終了を確認後、塩化メチレンで抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。後、減圧下溶媒を留去し、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=2/1)により精製し、(R,S)−2−[1−メトキシ−1−(1−ナフチル)エチル−1−イル]−4−ベンジル−2−オキサゾリン85.7mg(0.248mmol)を収率90%で得た。
以下に主な物性を示す。
(R,S)−Oxazoline:colorless syrup;[α]24+0.706(c1.03,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl)_δ_2.02(3H,s),2.60(1H,dd,J=13.7,9.3Hz),3.17(3H,s),3.23(1H,dd,J=13.7,4.6Hz),3.92(1H,dd,J=8.8,7.1Hz),4.11(1H,dd,J=9.1,8.9Hz),4.48(1H,dddd,J=9.3,9.1,7.1,4.6Hz),7.15−7.30(5H,m),7.43−7.50(3H,m),7.67(1H,dd,J=7.3,1.2Hz),7.83(1H,d,J=8.3Hz),7.86(1H,dd,J=6.4,3.2Hz),8.60(1H,m);13C NMR(100MHz,CDCl)δ_23.2,41.5,50.8,67.6,72.2,78.3,124.8,125.1,125.4,125.5,126.0,126.5,128.5,128.8,129.2,129.4,131.1,134.2,135.9,137.8,169.5.
【実施例3】
(R)−(−)−MαNPの合成
【0022】
(R,S)−2−[1−メトキシ−1−(1−ナフチル)エチル−1−イル]−4−ベンジル−2−オキサゾリン42.5mg(0.123mmol)、ヨウ化メチル2mlを加え一晩加熱還流させた。溶液から減圧下溶媒を留去後、得られた残査に20%苛性ソーダ水溶液2ml、水2mlを加え、36時間加熱還流させた。後、ジエチルエーテルを加え抽出した。また、水層を6Nの塩酸で弱酸性にし、ジエチルエーテルで抽出、先の抽出液と合わせ、減圧下溶媒を留去することにより生成物27.6mg(0.120mmol)を収率90%で得た。
以下に主な物性を示す。
[α]23=−67.4(c=1.305,CHCl),融点107−108℃;H NMR(400MHz,CDCl)δ2.04(3H,s),3.09(3H,s),7.45−7.51(3H,m),7.63(1H,dd,J=7.3,1.0Hz),7.86−7.88(1Hm),7.87(1H,d,J=9.0Hz),8.22−8.24(1H,m)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)
【化1】

(式中、Rはアルキル基、分枝アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基から選択され、Rはアルキルオキシ基、ヒドロキシル基、ペルフルオロアルキルオキシ基から選択され、Rは置換されても良い芳香環、ヘテロ環から選択される)で示される第三級カルボン酸に、下記構造式(2)
【化2】

(式中、Rは水素、アルキル基、分枝アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基から選択される)で示される光学活性なアミノアルコール誘導体を反応させ、下記構造式(3)
【化3】

(式中、Rはアルキル基、分枝アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基から選択され、Rはアルキルオキシ基、ヒドロキシル基、ペルフルオロアルキルオキシ基から選択され、Rは置換されても良い芳香環、ヘテロ環から選択され、Rは水素、アルキル基、分枝アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基から選択される)で示されるアミドのジアステレオマーを生成させ、このジアステレオマーを光学分割したのち、下記構造式(4)
【化4】

(式中、Rはアルキル基、分枝アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基から選択され、Rはアルキルオキシ基、ヒドロキシル基、ペルフルオロアルキルオキシ基から選択され、Rは置換されても良い芳香環、ヘテロ環から選択され、Rは水素、アルキル基、分枝アルキル基、アルキルオキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基から選択される)で示されるオキサゾリン誘導体を形成し、次いでメチル化、加水分解を行うことを特徴とする、光学活性第三級カルボン酸の光学分割法。
【請求項2】
がメチル基、Rがメトキシ基、Rが1−ナフチル基、Rが水素である請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2006−328036(P2006−328036A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182552(P2005−182552)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(591105993)東京化成工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】