説明

筋骨格関連障害の処置におけるヘッジホッグアゴニストの使用

本発明は、ソニックヘッジホッグ(shh)を、そしてそれ故にヘッジホッグシグナル伝達経路を刺激する薬剤を用いた、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ筋ジストロフィー)を含み、これに限定されない、ヘッジホッグ経路に関連する筋骨格障害の診断および処置方法を提供する。前記刺激薬は、例えば、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を含む。本発明はまた、筋肉および/または筋肉前駆細胞の増殖を増大させ得る薬剤のスクリーニング方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達は、最初にショウジョウバエで胚発生パターンの形成、または胚細胞が分化組織の秩序だった空間的配置を形成するプロセスの重要な調節機構として同定された(Nusslein-Volhard et al. (1980) Nature 287, 795-801)。哺乳類細胞では、ソニックヘッジホッグ(Sonic Hedgehog)(Shh)、インディアンヘッジホッグ(Indis Hedgehog)(Ihh)およびデザートヘッジホッグ(Desert Hedgehog)(Dhh)の3つのヘッジホッグ遺伝子が同定されている。ヘッジホッグ遺伝子は分泌型タンパク質をコードし、N末端の自己触媒的切断および脂質修飾(パルミトイル化)およびC末端のコレテロール修飾を含む翻訳後修飾を受ける。
【0002】
脂質修飾されたN末端ヘッジホッグタンパク質は、タンパク質経路のシグナル伝達活性を誘発し、シグナル伝達細胞からの可溶性ヘッジホッグタンパク質の発送と応答細胞による受容により、細胞と細胞のコミュニケーションが生じる。応答細胞において、12回膜貫通型受容体Patched(Ptch)は、Hhシグナル伝達の負のレギュレーターとして働き、7回膜貫通型タンパク質Smoothened(Smo)はHhシグナル伝達の正のレギュレーターとして働く。休止状態では、遊離Ptch(すなわち、Hhが結合していない)は、Smoにより誘発される経路活性を準化学量論的に抑制する(Taipale et al. (2002) Nature 418: 892)が、リガンドHhタンパク質が結合すると、Smoの抑制は緩み、結果として生じるシグナル伝達カスケードがGli転写因子(Gli1、Gli2およびGli3)の活性化および核移行に至る。
【0003】
Hhシグナル伝達転写の下流標的遺伝子はWnts、TGFβ、およびPtcおよびGli1を含み、これらは正および負の調節フィードバックループの要素である。c−myc、サイクリンDおよびEなどのいくつかの細胞周期および増殖調節遺伝子もまたHhシグナル伝達の標的遺伝子である。
【0004】
Shhシグナル伝達は胚発生に重要であり、特に筋形成の開始および筋肉前駆体細胞の拡大に必要である (Duprez, D. et al. (1998) Development 125, 495-505)(Cossu, G. et al. (1999) Embo J 18, 6867-72)。確立されているとは言えないが、Shhシグナル伝達が虚血または筋肉損傷後に成体筋肉において繰り返されていることを示す最近の証拠がある(Pola, R. et al. (2003) Circulation 108, 479-85)。一方、組換えShhタンパク質(rShh)は、マウスおよびニワトリの双方の骨格筋から単離された筋肉サテライト細胞(SC)の増殖を促進することが実証されている(Koleva, M. et al. (2005) Cell Mol Life Sci 62, 1863-70)(Elia, D. (2007) Biochim Biophys Acta 1773, 1438-46)。SCは最もよく特徴付けられた骨格筋の常在性幹細胞であり、それらは骨格筋組織の内在性再生のための手段となる(Collins, C.A. et al. (2005) Cell Cycle 4, 1338-41)(Tajbakhsh, S. (2005) Exp Cell Res 306, 364-72)。しかしながら、傷害、遺伝子疾患または加齢の場合、この再生能は低下する。ソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達は胚の筋肉発達中の前駆体細胞の拡大に重要であり、成人において筋肉損傷後に再活性化されるようになる。
【0005】
通常、サテライト細胞は筋線維膜と基底膜の間にある筋肉繊維の端部では静止したままであるが、運動または外傷などの筋肉刺激に応答して活性化され得る(Bornemann, A. et al. (1999) Neuropediatrics 30, 167-75)。ヒトでは、サテライト細胞の数および活性化能の双方が年齢とともに低下すると考えられる(Sajko, S. et al. (2004) J Histochem Cytochem 52, 179-85)。さらに、筋ジストロフィーなどの遺伝子疾患を有する患者は再生不全に苦しむことがあり、このことはサテライト細胞の置き換わりが無限ではないことを示している。
【0006】
これらのタイプの筋障害は、最終的に細胞に基づく療法で処置可能であるが、内在性幹細胞の増殖を増進するための薬理学的処置に著しい治療価値がある。Hhシグナル伝達経路のアゴニストは筋肉傷害または疾患に対する処置としての治療上の有用性を有すると考えられ、それ自体、当技術分野およびより広い科学界の研究者に注目されている。内在性筋肉サテライト細胞を活性化し得る化合物はこれまでのところ存在しないことから、組換えShhタンパク質と類似の様式で作用し得るShh刺激(agonize)化合物を同定することが、筋障害および筋骨格障害の処置に望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般に、ソニックヘッジホッグ(shh)を、故にヘッジホッグシグナル伝達経路を刺激する薬剤を用いた、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ筋ジストロフィー)を含み、これに限定されない、ヘッジホッグ経路に関連する筋骨格障害の診断および処置に関する。該刺激薬は、例えば、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を含む。本発明の方法および化合物は、例えばShhリガンド非依存性のSmo受容体を活性化することによるヘッジホッグシグナル伝達経路の刺激に関し、細胞と本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を、正常なShh活性を刺激するか、正常なPtc活性に拮抗するか、またはSmoothened活性を刺激する(例えば、異常増殖状態を逆転または制御する)のに十分な量で接触させることを含む。
【0008】
本発明の1つの局面は、ヘッジホッグ(リガンド)非依存性経路の活性化を刺激するために化合物を用いる方法を利用可能とする。ある態様において、本方法は、ヘッジホッグ機能喪失型、Ptc機能獲得型またはSmoothened機能喪失型突然変異から生じるようなヘッジホッグ経路の望まない阻害の表現型的影響を打ち消すために使用可能である。例えば、対象方法は、細胞(in vitroまたはin vivo)と、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、Shh−Ag))または他の小分子などのShhアゴニストを、ヘッジホッグ非依存性活性化経路を刺激するのに十分な量で接触させることを含み得る。
【0009】
さらに下記の通り本発明の化合物は、ヘッジホッグ(例えば、ソニックヘッジホッグ)の合成、発現、産生、安定化、リン酸化、細胞内での再配置および/または活性の小分子アゴニストを含む。本発明の化合物には式Iの化合物が含まれるが、これに限定されない。
【0010】
本発明は、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られている薬剤が一次筋芽細胞増殖を(例えば、PI3K/Akt依存的様式で)増大させるか否かを判定するための方法であって、(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し;そして(ii)その対象において生じた一次筋芽細胞の増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定し、それにより、その薬剤が一次筋芽細胞の増殖を増大させるか否かを判定することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明は、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られている薬剤がサテライト細胞(SC)の増殖を促進するか否かを判定するための方法であって、(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し;そして(ii)その対象において生じたサテライト細胞(SC)増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定し、それにより、その薬剤がサテライト細胞(SC)の増殖を促進するか否かを判定することを含む方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路を刺激するかまたは他の方法でアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤の治療上有効量を罹患対象に投与することにより筋骨格障害を処置するための方法であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた細胞増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路を刺激するかまたは他の方法でアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤の予防上有効量をそれを必要とする対象に投与することにより筋骨格障害の発症を阻害するための方法であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた細胞増殖の増大が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、方法を提供する。
【0014】
本発明はさらに、(a)薬学上許容される担体と、(b)ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤を含む組成物であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、組成物を提供する。
【0015】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤を包含するパッケージング材料と、対象における筋骨格障害の発症を阻止するための該薬剤の使用を示すラベルを含む製品であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖の増大が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、製品を提供する。
【0016】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤を包含するパッケージング材料と、対象における筋骨格障害を処置するための薬剤の使用を示すラベルを含む製品であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖の増大が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、製品を提供する。
【0017】
本発明の方法は、in vitroおよび/またはin vivoで、例えば、新たなまたは再生された筋肉組織の形成において細胞(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC))の増殖を調節するために使用することができる。別の特定の態様では、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)と細胞を接触させるか、またはそれを細胞に導入することにより、細胞増殖の増進および筋骨格の傷害または障害からの回復が生じる。よって、別の特定の態様は、傷害を受けた、または罹患した細胞に本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を使用することによりHh経路を刺激するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】Shh−Ag処置がGli1発現を誘導し、筋芽細胞およびサテライト細胞の増殖を増進することを示す。図1Aに見られる通り、24時間のShh−Ag(10ηM)処置の後、ソニックヘッジホッグ感受性ライディッヒ細胞系統TM3、一次マウス筋芽細胞(PM)、C2C12筋芽細胞および単離されたサテライト細胞(SC)においてGli1 mRNAがアップレギュレートされる。グラフはビヒクル処置=1に対する平均値±標準偏差を表す。P<0.05。図1Bに見られる通り、Shh−Ag処置(24時間)は一次筋芽細胞の増殖を増進し、細胞周期のG/M期の細胞のパーセンテージを高める。PI染色後のFACS分析の例とグラフ要約の双方を示す。P<0.05。図1Cに見られる通り、48時間Shh−Ag処置は単離されたSCの増殖を誘導し、総細胞数とBrdU組み込み細胞の双方を高める。P<0.05。
【図2】図2AはShh−Agにより誘導された筋芽細胞増殖に対するホスファチジルイノシトール3−キナーゼ/Akt経路阻害剤LY29002(1μM)の遮断作用を示す。図2BはShh−Agまたは組換ソニックヘッジホッグタンパク質(rSHH)処置(1μg/mL)後のGli1およびサイクリンD1タンパク質レベルの上昇がLY29002により媒介されるPI3K/AKT阻害により完全に遮断されることを示す。値はビヒクル=100に対して表される平均濃度スコアを表す。P<0.05。
【図3】本明細書でさらに詳細に示されるin vivo実験の計画をグラフで示したものである。6〜8週齢の野生型(WT)、DMDMDXまたはWT心臓毒傷害マウス(Ctx−inj)に前脛骨筋(TA)または腓腹筋(GA)への連続2回のビヒクル(10%DMSO/PBS)またはShh−Ag(500μM)のいずれかの両側IM注射を施した後、BrdUのIP注射を施した。マウスを屠殺後、ctx傷害の3または7日後に免疫染色(TA)またはFACS分析(GA)のために筋肉を採取した;全ての群でn=4。
【図4】Shh−Ag注射が心臓毒傷害後の再生を改善することを示す。Shh−Agにより活性化されたサテライト細胞の増殖を定量するため、処置した筋肉(GA)からサテライト細胞を単離し、FACS分析によりBrdUの発現を調べた。サテライト細胞の総パーセンテージはShh−Ag処置でわずかに増えるに過ぎないが、BrdU+サテライト細胞のパーセンテージはほぼ2倍となる(それぞれ4.8と10.6%)。グラフは、全単一細胞調製物のうちの細胞の平均パーセンテージ±標準偏差を表す。P<0.05。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、Shh、patched(ptc)、gliおよび/またはsmoothenedにより調節されるシグナル伝達経路が少なくとも部分的に小分子により調節され得るという発見に関する。特定の理論に縛られるものではないが、細胞表面会合(複合体など)の変更によるpatched-smoothened経路の活性化は、これらの薬剤が作用する機序であり得る。
【0020】
Hh経路は、例えばタンパク質複合体の形態でのpatchedおよびsmoothenedの会合により負の調節を受け、この会合はヘッジホッグとpatchedの結合により妨げられる。よって、これらの薬剤の、ヘッジホッグ経路を活性化させる能力は、このような分子の、patchedまたはsmoothenedと相互作用する、または結合する、他の方法でsmoothenedとpatchedとの会合を妨げる、またはそれらのタンパク質の、ヘッジホッグ、ptcおよび/またはsmoothenedにより媒介されるシグナル伝達経路を活性化させる能力を少なくとも増進する能力によるものであり得る。この作用様式、例えば、smoothened依存経路の調節は、例えば、PKA、アデニル酸シクラーゼ、cAMPホスホジエステラーゼなどと結合または相互作用させることにより、cAMP経路を直接活性化させることによりヘッジホッグ経路を調節する化合物とは区別されるべきである。
【0021】
ある特定の態様では、本明細書で開示されるヘッジホッグアゴニストは、ヘッジホッグタンパク質それ自体の不在下でヘッジホッグ活性を調節する、例えば、これらの化合物は、例えばヘッジホッグとpatchedの結合を増進することによりヘッジホッグタンパク質の活性を単に補足または増加させるのではなく、ヘッジホッグの活性を模倣する。これらの化合物は本明細書ではヘッジホッグ非依存性アゴニストと呼ばれ、単独でヘッジホッグ処置から生じる表現型または効果を模倣することができる。他の態様では、本化合物はヘッジホッグタンパク質の活性を増強し、ヘッジホッグの誘導から生じる表現型または効果を観察するのにヘッジホッグタンパク質の存在または添加を必要とする。このようなヘッジホッグ依存性アゴニストはヘッジホッグタンパク質を含む治療用調製物または処置において用いることができ、あるいはアゴニストで処置される細胞または組織により本来産性されるヘッジホッグタンパク質の活性を増大させるために使用することができる。本明細書で開示されるヘッジホッグアゴニストは、例えば、patchedまたはsmoothenedに結合し、それによりヘッジホッグ経路を活性化させることにより、patched-smoothened複合体の解離を誘導し得るか、またはpatchedとsmoothenedの間の相互作用を妨げ得る。ある特定の態様では、本発明の組成物および方法は、標的細胞の細胞外膜の1種以上の成分に作用する化合物を用いる。
【0022】
ある特定の態様では、本発明に有用なヘッジホッグアゴニストは、gli1またはptc遺伝子の発現などのようなヘッジホッグ依存性転写調節を誘導する。従って、このようなアゴニストは、例えば、高レベルのヘッジホッグタンパク質から生じるヘッジホッグ依存性経路の活性化を誘導または増大させることができる。
【0023】
よって、特に、ヘッジホッグ、ptcまたはsmoothenedシグナル伝達活性の側面を調節するこれらの小分子も同様に、機能的ptc−smo経路を有する細胞における増殖(またはその他の生物学的結果)を増進し得ると考えられる。好ましい態様では、対象アゴニストは、2500amu未満、より好ましくは1500amu未満、さらに好ましくは750amu未満の分子量を有する有機分子であり、好ましくは特に標的細胞において、ヘッジホッグタンパク質の生物活性の少なくとも一部を誘導または増進し得る。ヘッジホッグアゴニストによるヘッジホッグ経路の活性化は、例えば、アゴニストの不在下の対象に比べてアゴニストの存在下でのptcまたはgli−1転写の増加を検出することにより定量することができる。例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%またはさらには少なくとも50%の増加は、試験化合物によるヘッジホッグ経路の活性化の指標となり得る。
【0024】
ある特定の態様では、上記のものなどの本発明に有用な化合物は、1種以上のHh活性の誘導または増進(ptcまたはgli発現のアップレギュレーションなど)に関して約1000nM未満、約100nM未満、約10nM未満またはさらには約1nM未満のEC50を持ち得る。例示的ヒトGli遺伝子のコード配列としては、例えば、GenBank受託番号X07384のGli−1遺伝子配列およびGenBank受託番号AB007298のGli−2遺伝子配列が含まれる。gliまたはptc発現のレベルは、例えば、mRNAのレベル(転写)またはタンパク質のレベル(翻訳)を測定することにより決定することができる。
【0025】
別の局面において、本発明は、in vivoにおける増殖またはその他の生物学的結果を増進するのに十分な量で製剤された、有効成分として本明細書に記載されているヘッジホッグアゴニスト、ptcアンタゴニストまたはsmoothenedアゴニストを含む医薬製剤を提供する。
【0026】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、原子価および安定性が許容する限り、
ArおよびAr’は独立して置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Yは互いに独立して、存在しないか、または−N(R)−、−O−、−S−もしくは−Se−を表し;
Xは−C(=O)−、−C(=S)−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=NCN)−、−P(=O)(OR)−、および低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基などの1〜2個の基で所望により置換されていてもよいメチレン基から選択され;
Mは互いに独立して、−CH−、−CHF−、−CHOH−、−CH(Me)−、−C(=O)−などのような置換もしくは非置換メチレン基を表すか、または2つのMが一体となって置換もしくは非置換エテンもしくはエチンを表し、ここで、M中のMの一部または全てが環式構造の全体または一部を形成し;
Rは互いに独立して、Hまたは置換もしくは非置換アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アラルキル、へテロアラルキル、アルキニル、アルケニルまたはアルキルを表すか、または2つのRが、例えばNと一体となって4〜8員環を形成してもよく;
Cy’は置換または非置換アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはシクロアルキル(多環式基を含む)を表し;
jは互いに独立に0〜10、好ましくは2〜7の整数を表し;かつ
iは互いに独立に0〜5、好ましくは0〜2の整数を表す]
の化合物を含む、本発明の化合物に関する。
【0027】
ある特定の態様では、Mは、互いに独立に−CH−、−CHF−、−CHOH−、−CH(Me)−、−C(=O)−などのような置換または非置換メチレン基を表す。
【0028】
ある特定の態様では、ArおよびAr’は、例えば、非置換型であるか、またはO、NおよびSなどのヘテロ原子を含む1以上の基で置換されたフェニル環を表す。ある特定の態様では、ArおよびAr’の少なくとも1つがフェニル環を表す。ある特定の態様では、ArおよびAr’の少なくとも1つがヘテロアリール環、例えば、ピリジル、チアゾリル、チエニル、ピリミジルなどを表す。ある特定の態様では、YおよびAr’はメタおよび/または1,3−関係でArと結合している。
【0029】
ある特定の態様では、Yは全ての位置で存在しない。Yがある一カ所に存在し、隣接するMにおいてiが好ましくは1〜2の整数を表す態様では、i=0であれば、2つのYの存在は直接結合であるか、またはYの存在がNまたはNRと直接結合することになる。
【0030】
ある特定の態様では、Cy’は置換または非置換アリールまたはヘテロアリールである。ある特定の態様では、Cy’はXと直接結合している。ある特定の態様では、Cy’は置換または非置換二環式またはヘテロアリール環、好ましくは、双方ともベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾピリジンなどのような二環式およびヘテロアリールである。ある特定の態様では、Cy’は、少なくとも置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環で置換された単環式アリールまたはヘテロアリール環であり、すなわち、ビアリール系を形成している。ある特定の態様では、Cy’は、例えば同じまたは異なる、1以上の結合により直接連結されて例えばビアリールまたは二環式環系を形成した、2つの置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を含む。
【0031】
ある特定の態様では、Xは−C(=O)−、−C(=S)−および−S(O)−から選択される。
ある特定の態様では、RはHまたは低級アルキル、例えば、HまたはMeを表す。
【0032】
ある特定の態様では、NRは、第一級アミンまたは1または2個の低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基でそれぞれ置換された第二級または第三級アミン、好ましくは、第一級アミンまたは第二級アミンを表す。
【0033】
ある特定の態様では、ArまたはAr’に対する置換基は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、ヘテロアリール、カルボニル、チオカルボニル、ケトン、アルデヒド、アミノ、アシルアミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アジド、スルホニル、スルホキシド、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、−(CH)アルキル、−(CH)アルケニル、−(CH)アルキニル、−(CH)アリール、−(CH)アラルキル、−(CH)OH、−(CH)O−低級アルキル、−(CH)O−低級アルケニル、−O(CH)R、−(CH)SH、−(CH)S-低級アルキル、−(CH)S-低級アルケニル、−S(CH)R、−(CH)N(R)、−(CH)NR−低級アルキル、−(CH)NR-低級アルケニル、−NR(CH)R、および上記の保護形態から選択される(ここで、pおよびnはそれぞれ独立に0〜10、好ましくは0〜5の整数を表す)。
【0034】
以下にさらに記載する通り、本発明の化合物は米国特許公報US20050070578および関連するファミリー(これら全ての内容は出典明示により本明細書の一部とされる)に記載されている通りに製造することができる。
【0035】
ある特定の態様では、Shh−Agは次のような本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)である。
【化2】

【0036】
本明細書において、「処置」とは、予防的または防止的処置ならびに治癒的または疾患抑制的処置の双方を含み、本発明の障害(例えば、筋骨格障害(例えば、筋ジストロフィー)のリスクのある患者ならびに罹患患者の処置を含む。この用語はさらに疾患の進行の遅延のための処置も含む。
【0037】
例えば、筋骨格障害(例えば、筋ジストロフィー)を「抑制する、および/または逆転させる」により出願者らは、該筋骨格障害(例えば、筋ジストロフィー)を排除するか、または該症状を処置前または処置しないときよりも低い重症度にすることを意味する。
【0038】
本明細書で用いる「治癒」とは、処置を介して患者における筋骨格障害(例えば、筋ジストロフィー)またはその進行中の事象の緩解に至ることを意味する。
【0039】
「予防」または「防止」とは、筋骨格障害、例えば、筋ジストロフィーの発症または再発を妨げることを意味する。
【0040】
「処置」または「処置する」とは、治療、防止および予防を意味し、特に、虚弱質または疾患または患者が影響を受けている症状または事象の予防(防止)または治癒またはその程度もしくは発生の可能性の軽減のために、患者に対する医薬の投与または医学的処置を実施することを意味する。
【0041】
「診断」は、臨床試験への参加者を含む患者の診断、予後診断、モニタリング、特徴付け、選択および特定の障害または臨床事象のリスクのある患者、または特定の障害または臨床事象を有する患者、もしくは特定の治療的処置に最も応答しそうな患者の同定、または特定の治療的処置に対する患者の応答の評価またはモニタリングを意味する。
【0042】
「対象」または「患者」とは、症状、障害または疾患の処置を必要とする哺乳類、好ましくはヒトを意味する。
【0043】
本明細書で用いる「本発明の化合物」とは、式Iの化合物を含み、これに限定されない。本発明の化合物は、本願の実施例に挙げられているものを含め、本明細書に挙げられている明示された化合物を含む。
【0044】
本明細書で用いる「進行の遅延」とは、筋骨格障害(例えば、筋ジストロフィー)の前段階または初期相の患者への本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の投与が、疾患がさらに進行しないようにするか、または、有効化合物を投与しないときの疾患の進行と比較して疾患の進行を遅延させることを意味する。
【0045】
本明細書で用いる「小有機分子」とは、3キロダルトン未満、好ましくは1.5キロダルトン未満の分子量を有する有機化合物(または無機化合物(例えば、金属)と複合体化している有機化合物)である。
【0046】
本明細書で用いる「レポーター」遺伝子とは、「マーカー遺伝子」と互換的に用いられ、容易に検出でき、かつ/またはルシフェラーゼのような容易に検出できる遺伝子産物をコードする核酸である。
【0047】
転写および翻訳制御配列は、宿主細胞においてコード配列の発現を提供する、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどのようなDNA調節配列である。真核細胞では、ポリアデニル化シグナルが制御配列である。
【0048】
「プロモーター配列」とは、細胞においてRNAポリメラーゼと結合し、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を定義する目的で、プロモーター配列は、その3’末端に転写開始部位が結合し、バックグラウンドを超える検出可能なレベルで転写を開始させるのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に伸びている。プロモーター配列内で、転写開始部位(便宜には、例えば、ヌクレアーゼS1でのマッピングにより定義)、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見られる。
【0049】
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、次いでそれがトランスRNAスプライシングされ、該コード配列によりコードされるタンパク質に翻訳される場合、細胞内で転写および翻訳制御配列の「制御下」にある。
【0050】
「薬学上許容される」とは、生理学的に耐容性であり、ヒトに投与した際に典型的にアレルギー性または類似の望ましくない反応、例えば胃不調、目眩などを生じない分子存在および組成物を意味する。好ましくは、本明細書で用いる「薬学上許容される」とは、連邦政府または州政府の規制当局により承認されている、または動物、より具体的にはヒトへの使用に関して米国薬局方または一般的に認知されている他の薬局方に挙げられていることを意味する。
【0051】
「担体」とは、本化合物が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを意味する。このような医薬担体は、滅菌液体、例えば水および油(落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などのような石油、動物、植物または合成起源のものを含む)であり得る。好ましくは、水または食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が特に注射用溶液のための担体として用いられる。好適な医薬担体は、E. W. Martinにより「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0052】
「治療上有効な量」とは、本発明では、臨床上有意な宿主の活性、機能および応答の欠損を、少なくとも約15%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%低下させる、最も好ましくは妨げるのに十分な量を意味するために用いられる。あるいは、治療上有効な量は、宿主における臨床上有意な症状/徴候の改善をもたらすのに十分な量である。
【0053】
「薬剤」とは、医薬組成物および診断組成物の製造に使用し得る、または化合物、核酸、ポリペプチド、フラグメント、イソ型、変異体またはこのような目的のために独立に使用し得る他の物質であり得る全ての物質を意味し、全て、本発明に従う。
【0054】
本明細書で用いる「類似体」とは、本発明の所望の活性および治療効果(例えば、腫瘍増殖の阻害)を有する化合物、ヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチドまたは化合物と類似または同一の活性または機能を有するが、必ずしも好ましい態様の配列または構造と類似または同一の配列または構造を含む必要のない小有機化合物、ヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチドを意味する。
【0055】
「誘導体」は、アミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加の導入により変更された親タンパク質もしくはポリペプチドのアミノ酸配列を含む化合物、タンパク質もしくはポリペプチド、またはヌクレオチドの置換または欠失、付加もしくは変異のいずれかの導入により修飾された核酸もしくはヌクレオチドのいずれかを意味する。核酸、ヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチド誘導体は親ポリペプチドと類似または同一の機能を有する。
【0056】
「アゴニスト」および「ミメティクス」は、ある経路を介するシグナル伝達(例えば、Hhシグナル伝達)を増大、助長、増進または発生させ、かつ、タンパク質相互作用および複合体の形成を妨げる薬剤であり得る。
【0057】
本明細書で用いる「筋骨格障害」には、骨疾患(例えば、代謝性骨疾患)、滑液包炎、軟骨疾患、関節疾患、筋緊張症、神経筋緊張症、悪液質および消耗症、虚血、ポーランド症候群、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌおよびベッカー筋ジストロフィー、ならびに肢帯筋ジストロフィー)、筋骨格異常、筋障害(例えば、先天性筋障害、炎症性筋障害、中心核筋障害、筋細管筋障害、および代謝性筋障害(例えば、グリコーゲン貯蔵疾患、脂質貯蔵障害))、骨関節炎、骨軟骨炎、骨形成不全症、骨髄炎、骨壊死、大理石骨病、骨粗鬆症および側弯症が含まれる。本明細書で用いる「筋骨格障害」にはまた、筋肉または骨格損傷、ならびに遺伝子疾患および/または加齢に関連する筋肉または骨格障害も含まれる。
【0058】
「アルキル」とは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基、好ましくは1〜7個の炭素原子の低級アルキルを意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチルなどが挙げられる。C−C−アルキルが好ましい。
【0059】
本明細書に有機基または化合物と関連して記載される「低級」とは、違った定義がされない限り、一般に7個まで(7個を含む)、好ましくは4個まで(4個を含む)、有利には1個または2個の炭素原子を定義する。これは直鎖であっても分枝していてもよい。
【0060】
「所望により置換されていてもよいアルキル」とは、1〜20個の炭素原子を有する非置換または置換直鎖または分枝鎖炭化水素基、好ましくは1〜7個の炭素原子の低級アルキルを意味する。非置換アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチルなどが挙げられる。
【0061】
「置換アルキル」とは、以下の群:ハロ(F、Cl、BrおよびIなど)、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、置換アミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アミノスルホニル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、アルコキシカルボニル、アリール、アラルコキシ、グアニジノ、ヘテロシクリル(例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル)などの1以上で置換されているアルキル基を意味する。
【0062】
「低級アルキル」とは、1〜7個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する上記のようなアルキル基を意味する。「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」とは、アルキル−O−を意味する。
【0063】
「アリール」または「アル」とは、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルおよびビフェニル基などの環部分に6〜12個の炭素原子を有する炭素環式単環式または二環式芳香族炭化水素基を意味し、この各々は、所望によりアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、置換アミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アミノスルホニルなどの、1〜4個、例えば、1個または2個の置換基で置換されていてもよい。
【0064】
「アラルキル」とは、アルキル基に結合したアリール基、例えばベンジルを意味する。
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
「ハロアルキル」とは、ハロで一置換または多置換されているアルキル、例えばトリフルオロメトキシを意味する。
【0065】
「アルキレン」とは、一重結合により結合している1〜6個の炭素原子の直鎖架橋(例えば、−(CH)−、ここでxは1〜6である)を意味し、これは1〜3個の低級アルキル基で置換されていてもよい。
【0066】
「O、S、N−(H、アルキルまたはアラルキル)が挿入されているアルキレン」とは、O、S、N−(H、アルキルまたはアラルキル)が挿入されている2〜6個の炭素原子の直鎖、例えば、(メ)エチレンオキシ(メ)エチレン、(メ)エチレンチオ(メ)エチレンまたは(メ)エチレンイミノ(メ)エチレンを意味する。
【0067】
「シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子の環式炭化水素基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを意味する。
「アルカノイルオキシ」とは、アルキル−C(O)−O−を意味する。
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」とは、それぞれ(アルキル)NH−および(アルキル)N−を意味する。
【0068】
「アルカノイルアミノ」とは、アルキル−C(O)−NH−を意味する。
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−を意味する。
「アルキルチオノ」とは、アルキル−S(O)−を意味する。
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−を意味する。
【0069】
「カルバミル」とは、−C(O)−アミノまたは−C(O)−置換アミノを意味する。
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−C(O)−を意味する。
「アシル」とは、アルカノイル、アロイル、ヘテロアロイル(heteroaryol)、アリール−アルカノイル、ヘテロアリールアルカノイルなどを意味する。
【0070】
「ヘテロアリール」または「ヘテロアル」とは、所望により、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロなどの1〜4個、例えば1個または2個の置換基で置換されていてよい、芳香族複素環、例えば、単環式または二環式複素環式アリール、例えば、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリルなどを意味し、該複素環の結合点は、複素環式環の炭素原子である。好ましいヘテロアリール残基は1−メチル−2−ピロリル、2−、3−チエニル、2−チアゾリル、2−イミダゾリル、1−メチル−2−イミダゾリル、2−、3−、4−ピリジル、または2−キノリルである。
【0071】
「アルカノイル」とは、例えば、C−C−アルカノイル、とりわけアセチル、プロピオニルまたはピバロイルなどのC−C−アルカノイルを意味する。
「アラルコキシ」とは、アルコキシ基に結合したアリール基を意味する。
「アリールスルホニル」とは、アリール−SO−を意味する。
「アロイル」とは、アリール−CO−を意味する。
【0072】
「カルボニル」とは、当技術分野で認知されており、一般式:
【化3】

[式中、Xは結合であるか、または酸素もしくは硫黄を表し、R11水素、アルキル、アルケニル、−(CH)−R8または薬学上許容される塩を表し、R’11は水素、アルキル、アルケニルまたは−(CHH)−Rを表し、ここで、mおよびRは上記で定義された通りである]
で表すことができる部分を含む。Xが酸素であり、R11またはR’11が水素でない場合、式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R11が上記で定義された通りである場合、本明細書においてこの部分はカルボキシル基と呼ばれ、特にR11が水素である場合、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり、R’11が水素である場合、式は「ホルメート」を表す。一般に、上式の酸素原子が硫黄に置き換わっている場合、式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄であり、R1またはR’11が水素でない場合、式は「チオエステル」を表す。Xが硫黄であり、R11が水素である場合、式は「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄であり、R11が水素である場合、式は「チオホルメート」を表す。他方、Xが結合であり、R11が水素でない場合、上式は「ケトン」基を表す。Xが結合であり、R11が水素である場合、上式は「アルデヒド」基を表す。
【0073】
「ヘテロシクリル」とは、所望により置換されていてよい、完全に飽和したまたは不飽和の、芳香族または非芳香族環式基であり、例えば、それは4〜7員単環式、7〜11員二環式、または10〜15員三環式環系であり、少なくとも1個の炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含む複素環式基の各環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含んでよく、ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子はまた所望により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子はまた所望により第4級化されていてもよい。複素環式基はいずれのヘテロ原子または炭素原子で結合されていてもよい。
【0074】
「ヘテロシクリル」または「複素環式基」とは、その環構造が1〜4個のヘテロ原子を含む3〜10員環構造、より好ましくは3〜7員環を意味する。複素環はまた多環であってもよい。ヘテロシクリル基としては、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(アゼチジノンおよびピロリジノンなど)、スルタム、スルトンなどが挙げられる。この複素環式環は1以上の位置において、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネートホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または複素芳香族部分,−CF、−CNなどで置換されていてもよい。
【0075】
二環式複素環式基の例としては、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル(enzopyranyl)、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えば、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)などが挙げられる。
【0076】
三環式複素環式基の例としては、カルバゾリル、ベンジドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが挙げられる。
【0077】
「ヘテロシクリル」はまた置換複素環式基を含む。置換複素環式基は、以下の1個、2個または3個で置換された複素環式基を意味する:
(a)アルキル;
(b)ヒドロキシ(または保護ヒドロキシ);
(c)ハロ;
(d)オキソ(すなわち=O);
(e)アミノまたは置換アミノ;
(f)アルコキシ;
(g)シクロアルキル;
(h)カルボキシ;
(i)ヘテロシクロオキシ;
(j)アルコキシカルボニル、例えば、非置換低級アルコキシカルボニル;
(k)カルバミル、アルキルカルバミル、アリールカルバミル、ジアルキルカルバミル;
(l)メルカプト;
(m)ニトロ;
(n)シアノ;
(o)スルホンアミド、スルホンアミドアルキルまたはスルホンアミドジアルキル;
(p)アリール;
(q)アルキルカルボニルオキシ;
(r)アリールカルボニルオキシ;
(s)アリールチオ;
(t)アリールオキシ;
(u)アルキルチオ;
(v)ホルミル;
(w)アリールアルキル;または
(x)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロで置換されたアリール。
【0078】
「ヘテロシクロオキシ」とは、酸素架橋を介して結合した複素環式基を意味する。
「ヘテロアリール」または「ヘテロアル」とは、所望により、例えば、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロで置換されていてもよい芳香族複素環、例えば、単環式または二環式アリール、例えば、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリルなどを意味する。
【0079】
「ヘテロアリールスルホニル」とは、ヘテロアリール−SO−を意味する。
「ヘテロアロイル」とは、ヘテロアリール−CO−を意味する。
【0080】
「アシルアミノ」とは、当技術分野で認知されており、一般式:
【化4】

[式中、Rは水素、アルキル、アルケニル、−(CH)−Rを表すか、またはRはそれが結合しているN原子と一体となって、その環構造に4〜8原子を有する複素環を完成し;Rはアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し;mは0、または1〜8の範囲の整数であり;R’11は水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH)−Rを表す]
で表すことができる部分を意味する。
【0081】
「置換アミノ」とは、アルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキルで一置換または独立に二置換されている、または低級アルキレンもしくはO、S、N−(H、アルキル、アラルキル)などが挿入されている低級アルキレンで二置換されているアミノを意味する。
【0082】
本発明のいずれかの酸性化合物の薬学上許容される塩は、塩基と形成される塩、すなわちナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、ならびにアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウムおよびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩といったカチオン性塩である。
【0083】
同様に、アミノまたはピリジルなどの塩基性基が構造の一部を構成するならば、鉱酸、有機カルボン酸および有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸などの酸付加塩が可能である。
【0084】
本発明の化合物の薬学上許容される塩は、ピリジルなどの塩基性基が構造の一部を構成するならば、特に、鉱酸、有機カルボン酸および有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸などの酸付加塩である。
【0085】
本発明の化合物は、置換基の性質によって、1以上の不斉炭素原子を有し、従って、ラセミ体、およびその(R)および(S)胸像異性体として存在する。全てが本発明の範囲内にある。典型的に(NR置換基が存在する炭素で)S配置を割り当てられる、より活性の高い鏡像異性体が好ましい。
【0086】
本発明は、例えば本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)によりヘッジホッグ経路を刺激することが、一次筋芽細胞およびサテライト細胞(SC)の増殖の増大をもたらし得るという発見に関する。本発明はまた、PI3K/Akt経路など、ヘッジホッグ経路の上流経路を刺激することが、一次筋芽細胞およびサテライト細胞(SC)の増殖の増大をもたらし得るという発見に関する。
【0087】
本発明は、一般に、ソニックヘッジホッグ(shh)を、そしてそれ故にヘッジホッグシグナル伝達経路を刺激する薬剤を用いた、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ筋ジストロフィー)を含み、これに限定されない、ヘッジホッグ経路に関連する筋骨格障害の診断および処置に関する。該刺激薬は、例えば、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を含む。本発明の方法および化合物は、例えばShhリガンド非依存性のSmo受容体を活性化することによるヘッジホッグシグナル伝達経路の刺激に関し、細胞と本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を、正常なShh活性を刺激するか、正常なPtc活性に拮抗するか、またはSmoothened活性を刺激する(例えば、異常増殖状態を逆転または制御する)のに十分な量で接触させることを含む。
【0088】
本発明の1つの局面は、ヘッジホッグ(リガンド)非依存性経路の活性化を刺激するために化合物を用いる方法を利用可能とする。ある態様において、本方法は、ヘッジホッグ機能喪失型、Ptc機能獲得型またはSmoothened機能喪失型突然変異から生じるようなヘッジホッグ経路の望まない阻害の表現型的影響を打ち消すために使用可能である。例えば、対象方法は、細胞(in vitroまたはin vivo)と、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、Shh−Ag))または他の小分子などのShhアゴニストを、ヘッジホッグ非依存性活性化経路を刺激するのに十分な量で接触させることを含み得る。
【0089】
さらに下記の通り本発明の化合物は、ヘッジホッグ(例えば、ソニックヘッジホッグ)の合成、発現、産生、安定化、リン酸化、細胞内での再配置および/または活性の小分子アゴニストを含む。本発明の化合物には、式Iの化合物が含まれるが、これに限定されない。
【0090】
本発明は、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られている薬剤が一次筋芽細胞増殖を(例えば、PI3K/Akt依存的様式で)増大させるか否かを判定するための方法であって、(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し;そして(ii)その対象において生じた一次筋芽細胞の増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定し、それにより、その薬剤が一次筋芽細胞の増殖を増大させるか否かを判定することを含む方法を提供する。
【0091】
本発明は、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られている薬剤がサテライト細胞(SC)の増殖を促進するか否かを判定するための方法であって、(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し;そして(ii)その対象において生じたサテライト細胞(SC)増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定し、それにより、その薬剤がサテライト細胞(SC)の増殖を促進するか否かを判定することを含む方法を提供する。
【0092】
ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られている薬剤が一次筋芽細胞またはサテライト細胞の増殖を増大させることができるか否かを判定する手段は、Gli1がヘッジホッグ下流転写因子であり、従って、ヘッジホッグ経路活性のレポーターであることから、Gli1 mRNAのレベルを測定することを含む(Gli−1遺伝子配列はGenBank受託番号X07384を有し、Gli−2遺伝子配はGenBank受託番号AB007298を有する)。該判定手段は、確立された細胞周期レギュレーターであるサイクリンD1とGli転写標的を含み得る。該判定手段はまた、転写因子であるPax7と筋肉サテライト細胞(SC)のマーカーを含み得る(Seale, P. et al. (2000) Cell 102, 777-86)。
【0093】
上記の方法(例えば、スクリーニング法)はいずれもin vitroまたはin vivoで行うことができる。例として、該方法は単離された培養細胞、例えば、TM3細胞(よく確立されたShh感受性細胞系統)、ならびに任意の数の筋肉または筋肉前駆細胞で行うことができる。これらの筋肉または筋肉前駆細胞は一次筋芽細胞(PM)、C2C12筋芽細胞および単離されたサテライト細胞(SC)を含み得る。さらなる例として、該方法は、限定されるものではないが、筋ジストロフィーモデルであるDMDMDXマウスを含む筋障害の動物モデルで行うことができる。筋肉細胞および組織はこれらの動物モデルから本明細書に記載されている方法に従って採取することができる。
【0094】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路を刺激するかまたは他の方法でアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤の治療上有効量を罹患対象に投与することにより筋骨格障害を処置するための方法であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた細胞増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、方法を提供する。
【0095】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路を刺激するかまたは他の方法でアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤の予防上有効量をそれを必要とする対象に投与することにより筋骨格障害の発症を阻害するための方法であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた細胞増殖の増大が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、方法を提供する。
【0096】
本発明はさらに、(a)薬学上許容される担体と、(b)ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤を含む組成物であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、組成物を提供する。
【0097】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤を包含するパッケージング材料と、対象における筋骨格障害の発症を阻止するための薬剤の使用を示すラベルを含む製品であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖の増大が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、製品を提供する。
【0098】
本発明はさらに、ソニックヘッジホッグ経路をアップレギュレートすることが知られ、そして、(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖を増大させる能力を有すると判定された薬剤を包含するパッケージング材料と、対象における筋骨格障害を処置するための薬剤の使用を示すラベルを含む製品であって、当該薬剤の上記能力が(i)その薬剤を非ヒト対象に投与し、そして(ii)その対象において生じた(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC)の)細胞増殖の増大が、薬剤が投与されなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定することを含む方法により判定された、製品を提供する。
【0099】
本発明の方法は、in vitroおよび/またはin vivoで、例えば、新たなまたは再生された筋肉組織の形成において細胞(例えば、一次筋芽細胞および/またはサテライト細胞(SC))の増殖を調節するために使用することができる。別の特定の態様では、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)と細胞を接触させるか、またはそれを細胞に導入することにより、細胞増殖の増進および筋骨格の傷害または障害からの回復が生じる。よって、別の特定の態様は、傷害を受けた、または罹患した細胞において本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を使用することによりHh経路を刺激するための方法を提供する。
【0100】
ヘッジホッグ経路
ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達は、最初にショウジョウバエで胚発生パターンの形成、または胚細胞が分化組織の秩序だった空間的配置を形成するプロセスの重要な調節機構として同定された(Nusslein-Volhard et al. (1980) Nature 287, 795-801)。シグナル伝達分子のヘッジホッグファミリーメンバーは、脊椎動物の発育中の多くの重要な短期および長期パターン化プロセスを媒介する。パターン形成は、胚細胞が分化組織の秩序だった空間的配置を形成する営みである。高等生物の身体の複雑性は、胚発生中に細胞内在系統と細胞外シグナル伝達の相互作用を介して起こる。誘導性相互作用は、最も初期のボディープランの確立からの脊椎動物発達における胚パターン化、臓器系のパターン化、組織分化中の種々の細胞型の生成に不可欠である。
【0101】
ヘッジホッグ遺伝子の脊椎動物ファミリーには、哺乳類に存在する、デザート(Dhh)、ソニック(Shh)およびインディアン(Ihh)ヘッジホッグとして知られる3つのメンバーが含まれ、これらは全て分泌型タンパク質をコードしている。これらの種々のヘッジホッグタンパク質は、シグナルペプチド、高度に保存されているN末端領域およびより発散性の高いC末端ドメインからなる。生化学的研究では、Hh前駆体タンパク質の自己タンパク質分解的切断が内部チオエステル中間体を介して進行し、これが次に求核置換において切断されることが示されている。求核試薬は小親油性分子であり得、それは細胞表面にそれを繋留するN−ペプチドのC末端と共有結合することになる。生物学的関与は深い。繋留の結果、N末端ヘッジホッグペプチドの高い局所濃度がヘッジホッグ産生細胞の表面に生成される。短距離および長距離ヘッジホッグシグナル伝達活性に必要かつ十分であるのはこのN末端ペプチドである。
【0102】
Hhシグナル伝達転写の下流標的遺伝子には、Wnts、TGFβ、ならびにPtcおよびGli1が含まれ、これらは正および負の調節フィードバックループの要素である。c−myc、サイクリンDおよびEなどのいくつかの細胞周期および増殖調節遺伝子もまたHhシグナル伝達の標的遺伝子である。
【0103】
ヘッジホッグ遺伝子は分泌型タンパク質をコードし、N末端の自己触媒的切断および脂質修飾(パルミトイル化)およびC末端のコレテロール修飾を含む翻訳後修飾を受ける。脂質修飾されたN末端ヘッジホッグタンパク質は、タンパク質経路のシグナル伝達活性を誘発し、シグナル伝達細胞からの可溶性ヘッジホッグタンパク質の発送と応答細胞による受容により、細胞と細胞のコミュニケーションが生じる。応答細胞において、12回膜貫通型受容体Patched(Ptch)は、Hhシグナル伝達の負のレギュレーターとして働き、7回膜貫通型タンパク質Smoothened(Smo)はHhシグナル伝達の正のレギュレーターとして働く。休止状態では、遊離Ptch(すなわち、Hhが結合していない)は、Smoにより誘発される経路活性を準化学量論的に抑制する(Taipale et al. (2002) Nature 418: 892)が、リガンドHhタンパク質が結合すると、Smoの抑制は緩み、結果として生じるシグナル伝達カスケードがGli転写因子(Gli1、Gli2およびGli3)の活性化および核移行に至る。
【0104】
不活性なヘッジホッグシグナル伝達経路は、膜通過タンパク質受容体Patched(Ptc)がSmoothened(Smo)の安定化、リン酸化および活性を阻害する場合に見られる。Hhシグナル伝達の下流成分である転写因子Gliが、Fused(Fu)およびSuppressor of fused(Sufu)を含む、細胞質タンパク質との相互作用を介して核への進入を妨げられる。その結果、ヘッジホッグ標的遺伝子の転写の活性化は抑制される。本経路の活性化は、3つの哺乳類リガンド(Dhh、ShhまたはIhh)のいずれかのPtcへの結合を介して誘導される。
【0105】
Hhによるリガンド結合は、SmoとPtcの相互作用を変化させ、Smoの抑制を逆転させ、その上でSmoは細胞内の内部構造から原形質膜に移行する。Smoの原形質膜への局在は、Hh非依存的様式でHh経路標的遺伝子の活性化を誘発する(Zhu et al. (2003) Genes Dev. 17(10):1240)。Smoにより活性化されたカスケードは、活性型の転写因子Gliの核への移行を導く。移行した核Gliを介したSmoの活性化は、Wnts、TGFβ、ならびにPtcおよびGliそれ自体を含む、Hh経路標的遺伝子の発現を活性化する。
【0106】
このプロセスはまた、Shh刺激化合物、組換えShhタンパク質またはその他のShhミメティクスの投与によるなど、天然リガンド非依存的な様式でも起こり得る。
【0107】
Hhシグナル伝達は、細胞増殖、分化および臓器形成などの多様な生体プロセスを、組織特異的および用量依存的様式で調節することが知られている。神経管の発達中、Shhは底板に発現し、運動ニューロンおよびドーパミン作動性ニューロンを含むニューロンの特異的サブタイプの分化を指示する。Hhは小脳顆粒細胞および神経幹細胞などの神経始原細胞の増殖を調節する。
【0108】
Hhシグナル伝達はまた、正常組織のホメオスタシスおよび再生にも重要な役割を果たす。Hh経路は、マウスモデルにおいて、網膜、胆管、肺、骨および前立腺などの組織の傷害後に活性化される。Hh経路は毛包、骨髄および中枢神経系(CNS)のある一定の領域において常に活性であり、良性前立腺肥大および滲出型黄斑変性症における血管形成にはヘッジホッグ経路の活性が必要である。
【0109】
骨格筋は常在性幹細胞を含み、最もよく特徴づけられているのは筋肉サテライト細胞(SC)であり、それらは骨格筋組織の内在性再生のための手段となる。しかしながら、傷害、遺伝子疾患または加齢の場合、この再生能は低下する。ソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達は胚の筋肉発達中の前駆体細胞の拡大に重要であり、成人において筋肉損傷後に再活性化されるようになる。
【0110】
投与および医薬組成物:
本発明は、筋骨格障害の治療的(および本発明のより広い局面では予防的)処置における、式Iの化合物を含む医薬組成物の使用に関する。
【0111】
一般に、本発明の化合物は、単独で、または1種類以上の治療薬と組み合わせて、当技術分野で公知の通常の許容される様式のいずれかを介して、治療上有効な量で投与される。治療上有効な量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態、使用する化合物の効果および他の因子によって広範囲に変動し得る。一般に、約0.03〜2.5mg/kg体重の1日用量で満足の行く結果が全身的に得られることが示される。大型哺乳類、例えばヒトにおいて指示される1日量は、約0.5mg〜約100mgの範囲であり、好都合には、例えば1日4回までの分割量でまたは遅延形態で投与される。経口投与に好適な単位投与形は、約1〜50mgの有効成分を含む。
【0112】
本発明の化合物は、医薬組成物として、任意の慣用の経路で、特に、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で経腸的、例えば経口的に、または例えば注射溶液または懸濁液の形態で非経腸的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で局所的に、または鼻腔内もしくは坐剤形態で投与することができる。遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物を少なくとも1種類の薬学上許容される担体または希釈剤とともに含む医薬組成物は、常法で混合、造粒またはコーティング法により製造することができる。例えば、経口組成物は、有効成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびまたはポリビニルピロリドン;所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤とともに含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射用組成物は、水性等張溶液または懸濁液であり得、坐剤は脂肪エマルションまたは懸濁液から製造することができる。
【0113】
本組成物は滅菌可能性あり、かつ/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらは他の治療上有用な物質も含んでよい。経皮適用に好適な製剤は、有効量の本発明の化合物を担体とともに含む。担体は、宿主の皮膚通過を助けるために、吸収性の薬理学上許容される溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体とともに含むリザーバー、所望により化合物を制御されかつ所定の速度で宿主の皮膚に長期にわたって送達するための速度制御バリア、および該デバイスを皮膚に固定するための手段を含むバンデージの形態である。マトリックス経皮製剤も使用可能である。例えば、皮膚および眼への局所適用に好適な製剤は、好ましくは当分野で周知の水性溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これらは可溶化剤、安定化剤、張性増加剤、緩衝剤および保存剤を含み得る。
【0114】
本発明の化合物は、治療上有効な量で1種類以上の治療薬と組み合わせて投与することができる(医薬組合せ)。例えば、免疫調節性または抗炎症性物質または他の抗腫瘍性治療薬と乗作用が起こり得る。本発明の化合物を他の療法と同時に投与する場合、同時投与する化合物の用量は、当然のことながら、用いる併用薬のタイプ、用いる具体的な薬剤、処置する症状などによって異なる。
【0115】
本発明はまた、a)遊離形態または薬学上許容される塩形態の、本明細書で開示される本発明の化合物である第一剤と、b)少なくとも1種の併用薬を含む医薬組合せ、例えばキットも提供する。本キットはその投与のための説明書を含み得る。
【0116】
本明細書で用いる「同時投与」または「組合せ投与」などは、選択された治療薬の個々の患者への投与を包含するものとし、これらの薬剤が必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与されない処置計画を含むものとする。
【0117】
本明細書で用いる「医薬組合せ」とは、1種類を超える有効成分の混合または組合せから得られる製品を意味し、有効成分の固定された組合せと固定されていない組合せの双方を含む。「固定された組合せ」とは、有効成分、例えば式Iの化合物と併用薬を両方とも患者に同時に単一物または単一用量の形態で投与することを意味する。「固定されていない組合せ」とは、有効成分、例えば式Iの化合物と併用薬を両方とも患者に別個の物として同時に、一緒にまたは特定の時間制限なく連続的に投与することを意味し、ここで、このような投与は患者の体内で2成分の治療上有効なレベルを提供する。このことはまた、カクテル療法、例えば3種類以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0118】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物は、遊離塩基形態の本化合物と薬学上許容される無機または有機酸を反応させることにより、薬学上許容される酸付加塩として製造することができる。あるいは、本発明の化合物の薬学上許容される塩基付加塩は、遊離酸形態の本化合物と薬学上許容される無機または有機塩基を反応させることにより製造することができる。
【0119】
あるいは、塩形態の本発明の化合物は、出発物質または中間体の塩を使用して製造することもできる。
【0120】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態は、それぞれ対応する塩基付加塩または酸付加塩形から製造することができる。例えば、酸付加塩形態の本発明の化合物は、好適な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩形態の本発明の化合物は、好適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより対応する遊離酸に変換することができる。
【0121】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に公知の方法により製造することができる(例えば、さらなる詳細についてはSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。
【0122】
本発明の化合物の保護された誘導体は、当業者に公知の手段により製造することができる。保護基の作製およびそれらの除去に適用できる技術の詳細な記載は、T. W. Greene, Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見出すことができる。
【0123】
本発明の化合物は溶媒和物(例えば、水和物)として好都合に製造することができるか、または本発明のプロセスで形成され得る。本発明の化合物の水和物は、便宜にはジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールなどの有機溶媒を用い、水性/有機溶媒混合物からの再結晶により製造することができる。
【0124】
本発明の化合物は、それらの個々の立体異性体として、本化合物のラセミ混合物と光学的に活性な分割剤を反応させてジアステレオ異性化合物対を形成し、該ジアステレオ異性体を分離し、光学的に純粋な鏡像異性体を回収することにより製造することができる。鏡像異性体の分割は、本発明の化合物の電子対を共有するジアステレオ異性誘導体を用いて行うことができるが、分割可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性異性体塩)。ジアステレオ異性体は、異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの差異を利用することにより容易に分離することができる。ジアステレオ異性体はクロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解度の差異に基づく分離/分割技術により分離することができる。次に、光学的に純粋な鏡像異性体を、ラセミ化をもたらさない任意の実用手段により分割剤とともに回収する。化合物の立体異性体のラセミ混合物からの分割に適用できる技術のさらに詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions,” John Wiley And Sons, Inc., 1981に見出すことができる。
【0125】
本発明を以下の代表的な例によってさらに例示するが、これに限定されず、これらの例は本発明を説明することを目的としており本発明の限定するものと解釈してはならない。特に断りのない限り、前記例では以下の材料および方法を使用する。
【実施例】
【0126】
細胞。TM3およびC2C12細胞はATCCから入手し、製造業者の使用説明書に従って増殖させ、サブコンフルエントに維持した。初代筋芽細胞および単離したサテライト細胞の両方を、20%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補給したβFGFを含まないハムF10培地で増殖させた。全ての細胞を、コラーゲンプレコーティング皿(MatTek)またはラット尾コラーゲンI型(BD)で処理したプラスチック培養プレートにプレーティングした。
【0127】
RNAおよびqRT−PCR。遺伝子発現の解析のため、細胞をビヒクル(DMSO)または10nM Shh−Agで24時間処置した。RNEasy Miniprep Kit(Qiagen)で全RNAを単離し、DNアーゼ処理し(RQ1,Promega)、製造業者の使用説明書に従って逆転写した(iScript, Biorad)。ABI7500 Fast systemにおいてTaqman Gene Expression Assays (Applied Biosystems)を用いて製造業者の使用説明書の通りに定量PCRを実施した。比較ΔΔCT法を用いて遺伝子発現の変化を算出した。
【0128】
タンパク質の発現。タンパク質の抽出および解析に関する詳細については、オンラインでの方法に関する補足情報(Supplementary Methods)を参照。ウェスタン法に使用する抗体はGli1に対するウサギポリクローナル抗体、全Akt、リン酸化Akt−Ser473(Cell signaling)およびサイクリンD1(Abcam)である。
【0129】
筋芽細胞およびサテライト細胞の単離。本明細書に記載の通り、一次マウス筋芽細胞はマウス後肢筋肉から単離した。筋サテライト細胞は、4〜6週齢のC57BL/6Jマウスの後肢筋肉から単離した。筋肉を切開し、DMEM中でカミソリの刃で細かく切り刻んだ。切り刻んだ筋肉を、30mLの解離溶液(DMEM中0.1%コラゲナーゼD、0.25%トリプシン)の入った50mLファルコンチューブに入れ、37℃で20分間攪拌した。解離後、トリプシン活性をブロックするために500μlのウシ胎児血清を加え、サンプルを37μMフィルターに通した。溶液をDMEMで2倍希釈し、70μMフィルターに通し、1000RPMで15分間遠心分離し、得られたペレットを1%FCS/PBS中に再懸濁させた。次いで、ARIA−UVセルソーター(BD)を利用した蛍光活性化細胞選別(FACS)によりシンデカン4陽性サテライト細胞を単離した。
【0130】
マウス。全てのマウスプロトコールについては、ノバルティスバイオメディカル研究所の動物実験委員会(the Animal Care and Use Committee of Novartis Institutes for BioMedical Research)の承認を受けた。野生型(C57BL/6J)およびC57BL/10 DMDMDXマウスはJackson Labsから入手した。全ての解析をおよそ6〜8週齢の雄マウスで実施した。
【0131】
心臓毒による再生。40μl(TA)または100μl(GA)の心臓毒(10μMタイワンコブラ(Naja atra); Sigma)をWT C57BL/6Jマウスのそれぞれの前脛骨筋または腓腹筋に注射することにより筋肉再生を誘導した。
【0132】
Shh−Ag処置。20μl(TA)または50μl(GA)のビヒクル(10%DMSO/PBS)または500μM Shh−Agをそれぞれの前脛骨筋または腓腹筋に1日1回2日間連続して注射した。
【0133】
BrdU処置。単離SCの処置では、ビヒクルまたはShh−Ag処置から24時間、培養培地に5−ブロモデオキシウリジン(BrdU)標識試薬(10mg/mL;、Invitrogen)の1:100希釈溶液を加えた。その後、細胞をさらに5時間インキュベートし、固定し、BrdUについてプローブし、Dapi含有剤(Vector Labs)を加えて検鏡板に固定した後、方法における材料(Materials in Methods)に記載の通り画像化した。4つの反復試験からの3つの無作為画像を総細胞(Dapi)およびBrdU+細胞数について解析した。in vivo送達のために、第2回目のビヒクルまたはShh−Ag筋肉内注射の後、100μlのBrdUを腹膜内に(IP)注射した。
【0134】
FACS解析。この研究では次の抗体を使用した:APC結合抗CD45(BD)、PE結合抗シンデカン4(BD)、およびFITC結合抗BrdU(BioVision)。記載の通り、処置マウスの筋肉を切開し解離した。さらなる試験のためにサテライト細胞を選別するために、ARIA(BD)を介した細胞選別後に、APC結合抗シンデカン4を利用して細胞を陽性選択した。関連したBrdU発現を解析するために、単離細胞をPBS中1%パラホルムアルデヒド中に15分間固定し、70%ETOH中−20℃で保存した。その後、細胞をTween 20溶液(PBS中0.2%;Sigma)で10分間透過処理し、洗浄し、LSRII(BD)を使用するFACS解析の前に記載した抗体とともに30分間インキュベートした。
【0135】
免疫染色。この研究では次の抗体を使用した:抗ラミニンウサギポリクローナル(1:25;Sigma)、抗BrdUラットモノクローナル(1:100;Abcam)、および抗Pax7マウスモノクローナル(1:25;DSHB、University of Iowa)。筋肉を切開し、10%ホルマリン/PBS中に一晩固定し、パラフィン包理し、10μM切片にカットした。次いで、筋肉切片をブロックとし、Discovery XTシステム(Ventana)を用いて上述の抗体で染色した。ScanScope XTスキャナーを使用して画像を取得し、Aperio ImageScope 6.25ソフトウエア(Aperio Technologies)を用いて解析した。
【0136】
免疫蛍光。免疫蛍光染色では、前記抗体を、マウス、ラット、および/またはヤギに対する結合型二次抗体(Alexa Fluor 488/555, 1:400;Invitrogen)とともに用いた。次に、これらの切片をDAPI含有剤(Vector Labs)にマウントし、AxioImager顕微鏡(Zeiss)を使用して視覚化した。
【0137】
統計学。全ての値を平均±標準偏差(s.d.)として表している。2群(ビヒクルとShh−Ag処置群)間の有意性を決定するために、本発明者らは、対応のないスチューデントt検定を用いてを比較し、この際、P<0.05を統計的に有意と見なした。
【0138】
タンパク質の発現。細胞を溶解バッファー(20mM Tris、pH7.5、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、1%Nonidet NP−40、1mM β−グリセロールホスフェート、1mM NaVO、1μg/mlロイペプチン、および1mM PMSF)中に集め、BCAプロテインアッセイキット(Pierce)でタンパク質濃度について測定した。4〜12%ミニゲル(Invitrogen)で、20〜60μgのタンパク質を用いて電気泳動分離を行った。タンパク質をPVDF膜に転写し、5%blotto[TBST(Tris緩衝生理食塩水、1%Tween 20)中5%粉乳]で1時間ブロックし、次いで一次抗体とともに4℃で一晩インキュベーションを行った。一晩のインキュベーションの後、膜をTBSTで30分間洗浄し、その後、抗ウサギ抗体で室温にて45分間プローブした。TBSTでさらに30分洗浄した後、ブロットをECLで発色させた。適当な画像を取り込んだところで、膜をクーマシーブルーで染色して全レーンにおけるローディングが等しいことを確認した。AlphaEaseソフトウエア(Alpha Innotech)を使用して濃度測定を行った。
【0139】
筋芽細胞の単離。試験には2〜3週齢の雄C57/BL/6Jの子を使用した。COを用いてこれらのマウスを安楽死させた。その後、踝関節から腰に向かって上方の皮膚および筋膜を剥がして下層にある筋肉を露出させた。両肢の筋肉(膝腱、四頭筋、前脛骨筋、長指伸筋、腓腹筋およびひらめ筋)を慎重に摘出し、腱と非筋肉組織にした。切開した筋肉をPBSの入った滅菌10cm皿に入れ、洗浄して体毛およびその他の残屑を除去した。次いで、筋肉を滅菌35mm皿に移し、1.5mlのコラゲナーゼ/ディスパーゼ溶液を加えて組織を消化した。滅菌ディスポを使用してこれらの組織にマルチングしてかなり滑らかな軟塊にし、続いて37℃で12分間のインキュベートを行った。その後、5mlプラスチックピペットを使用してこれらをトリチュレートして混合物をホモジナイズした。再度インキュベーションおよびトリチュレート工程を繰り返した。
【0140】
消化した組織混合物を5mlピペットで15〜20回さらに摩砕した後、70μmフィルターにロードした。フィルター処理した混合物を1000rpmで5分間遠心分離した。この細胞ペレットを3mlの増殖培地中に再懸濁し、コラーゲンコーティングしていない60mm皿にプレーティングした。これらのプレートを37℃で2〜4時間インキュベートして繊維芽細胞を付着させる一方で、筋芽細胞の大部分は懸濁液中に存在した。次いで、筋芽細胞を含む上清をコラーゲンコーティングしていないプレートから取り出し、コラーゲンコーティングプレートに播種した。これらの細胞に増殖培地を毎日供給し、単層が70%集密状態に達した時に分割して筋芽細胞を富化および増殖させた。富化の3〜4週後に比較的純粋な筋芽細胞集団を得た。
【0141】
実施例1:Shhシグナル伝達に対するShh−Agの効果のin vitro判定
Shh−Agが筋肉細胞におけるShhシグナル伝達を活性化し得るか否かを判定するために、標的で下流の機能的遺伝子、Gli1の発現を、十分に確立されたShh感受性細胞系統、TM3と、3つの他のマウス筋肉細胞系統:初代筋芽細胞(PM)、市販のC2C12筋芽細胞、および単離SCのいずれにおいても、定量PCR解析によって調べた。リアルタイムtaqman法により測定しGAPDHレベルに対して正規化したGli1遺伝子発現を、上記の方法およびプロトコールに従って、ビヒクル(DMSO)およびShh−Ag処置(10μM)細胞の両方において比較した。
【0142】
図1に見られる通り、24時間のShh−Ag処置(10μM)は、調べた全ての細胞系統においてGli1 mRNAレベルを確実に上昇させた(すなわち、それぞれ、TM3細胞では40倍を超え、筋芽細胞および筋管の両方では20倍を超えて上昇した)。図1Aによれば、TM3細胞において41.79±3.09;PM細胞において23.09±3.21;C2C12細胞において7.80±1.24;SCにおいて8.14±2.01(GAPDHに対する正規化後のビヒクル相当値に対する各倍率変化)である。ベースラインGli1発現レベルは分化した筋管においてかなり低かった(例えば図1C参照)が、このデータは、Shhシグナル伝達が分化によって減少する他の細胞種と一致し、筋管がShh活性化に応答する能力を保持していることを示唆している。また、Shh−Ag処置は、市販のC2C12細胞系統に対しても同様の効果を有していた。
【0143】
Shh−Ag処置がShhシグナル伝達を誘導し得ることを確認した後、細胞増殖に対するShh−Agの効果を蛍光活性化細胞選別(FACS)解析によって調べた。24時間のShh−Ag処置(10nM)は初代筋芽細胞の増殖を誘導し、これはヨウ化プロピジウム(PI)染色およびFACS解析による細胞周期G/M期の細胞の割合の増加によって示された(例えば図1B参照;34.4±0.48対39.6±0.61)。次に、48時間のShh−Ag処置後の単離サテライト細胞の有糸分裂活性を評価し、SC数の著しい増加、ならびに増殖マーカーBrdUを組み込んでいるSCの割合の2倍増加が認められた(例えば図1C参照;それぞれ、100±2.8対121±5.8および100±24.7対214±17.8)。
【0144】
筋肉細胞増殖に対して観察されたShh−Ag媒介効果の分子機構に対処するために、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)/Aktシグナル伝達経路との潜在的協力作用を調べた。PI3K/Aktを通じてシグナル伝達するインスリン様増殖因子I(IGF−1)は既知骨格筋マイトジェンであり、筋肉細胞増殖のrShh媒介誘導にはAkt活性化が必要であることが分かっている(Elia, D. et al. (2007) Biochim Biophys Acta 1773, 1438-46)(Coolican, S.A., et al. (1997) J Biol Chem 272, 6653-62)。
【0145】
Shh−AgとIGF−1との同時処置は筋芽細胞増殖をあまり増加させなかった;しかしながら、PI3K/Aktシグナル伝達経路の強力な阻害剤であるLY294002での処置は、細胞増殖を完全にブロックした(例えば図2A参照)。また、LY294002処置は、Gli1タンパク質レベルについてのShh−AgおよびrShhの両方の媒介による誘導もブロックし(例えば図2B参照)、下流でのShh活性化の調節におけるAktの役割をさらに裏付けている。確立されている細胞周期レギュレーターでGli転写標的であるサイクリンD1は、Shh−Ag処置後のタンパク質発現の上昇も示した(例えば図2A参照)。加えて、筋芽細胞および単離SCの両方においてShh−Ag処置後にサイクリンD1 mRNA発現の50%を超える増加が観察された。これらの結果は、Shhと上皮細胞増殖因子などの他の増殖シグナル伝達経路によるサイクリンD1の相乗的共刺激の観察結果と一致する(Kasper, M. et al. (2006) Mol Cell Biol 26, 6283-98)。まとめると、これらの結果により、Shh−Ag処置は下流の標的の誘導および筋肉前駆細胞増殖の促進をPI3K/Aktシグナル伝達経路に依存していることが確認される。
【0146】
実施例2:Shh−Agの筋肉内注射はin vivoでのサテライト細胞の増殖を誘導する
Shh−Agのマウス骨格筋への直接筋肉内(IM)注射を実施することによりShh−Agをin vivoで検証した。野生型(WT)マウスまたは筋ジストロフィーモデルであるDMDMDXマウスの前脛骨筋(TA)または腓腹筋(GA)に20μl(TA)または40μl(GA)の、ビヒクル(10%DMSO/PBS)またはShh−Ag(500μM)のいずれかを1日1回2日間連続して注射した。これらのマウスには、第2回目のIM注射直後に、100μlのBrdUも腹膜内(IP)注射した。BrdU注射の24時間後、マウスを犠牲にし、それらの筋肉を採取し、FACS解析(GA)または免疫染色(TA)のために準備した。免疫染色では、筋肉切片を、基底膜をはっきり示すために抗ラミニンと、増殖細胞を確認するために抗BrdUとでプローブし、全ての核を染色するためにヘマトキシリン色素で処理した。
【0147】
ビヒクルを注射したWT筋肉切片がBrdU染色に対して陰性であったが、Shh−Agを注射した筋肉はBrdU+前駆細胞を提示した。興味深いことに、DMDMDX筋肉がBrdU+染色の高バックグラウンドを提示したが、Shh−Ag注射はさらに大きな単核細胞浸潤を促進すると考えられた。Shh−Ag処置によって刺激を受ける常在増殖細胞(BrdU+)が本当にサテライト細胞(SC)であるか否かを判定するために、本発明者らは、筋肉SCの転写因子でありマーカーであるPax7について切片を染色した。そのようなものとして、Pax7+SCはWTおよびDMDMDX筋肉の末梢に適切に存在した。予想通り、常に再生するDMDMDX筋肉は多数のPax7+SCと、中央に核を有する筋原繊維を提示した;しかしながら、高細胞損傷部位では多少の非特異的染色も見られた。
【0148】
核発現されたPax7/BrdUの同時視覚化は難しいため、Shh−Ag処置した筋肉におけるBrdU+細胞が本当にPax7+SCであるか否かを判定するために、蛍光同時染色を実施した。ビヒクルを注射したWT筋肉切片では、全てのPax7発現SCはBrdUに対して陰性であったが、一方、Shh−Agを注射したWT筋肉ではPax7+/BrdU+二重陽性細胞が容易に見られた。DMDMDX筋肉では、通常の非処置条件下でほとんどのSCがBrdU+であったが、Shh−Ag処置によりPax7−/BrdU+細胞の数が著しく増加した。まとめると、これらの結果により、WT筋肉では、Shh−Ag注射によってSCの増殖が直接活性化されるが、DMDMDX筋肉の常に再生する状況では、Pax7発現SCの増殖反応はすでに最大となっていることが示される。
【0149】
DMDMDX筋肉の特有の病的状態から、十分に確立された心臓毒による損傷モデルを利用してWT筋肉再生に対するShh−Ag処置の効果を調査した(Cooper, R.N. et al. (1999) J Cell Sci 112, 2895)(Meeson, A.P. et al. (2004) Stem Cells 22, 1305-20)。単一心臓毒(ctx)損傷に応答して、Shh−Ag処置は、再生の初期段階にBrdU+細胞の数を著しく増加させることが分かった。さらに、Pax7およびBrdUの蛍光同時染色により、Shh−Ag処置した筋肉ではビヒクル対照と比べてより大きな割合のPax7発現SCがPax7+/BrdU+二重陽性であることが示される。
【0150】
SC増殖の誘導を定量するために、Shh−Ag処置したctx損傷筋肉サンプル(GA)を採取し、FACS解析のために処理した。筋肉SCの慣用識別要素であるCD45−およびシンデカン4+発現に基づいて単一細胞筋肉懸濁液をゲーティングし、その後、得られた集団を細胞内BrdU局在性について解析した(例えば図4参照)。Shh−Ag処置だけで筋肉サンプルにおけるSCの全割合はやや増加したが、増殖(BrdU+)SCの割合は倍以上になった((図3参照);それぞれ、全割合については13.06±0.31対16.15±1.57、BrdU+の割合については4.82±0.33対10.67±1.87)。
【0151】
初期サテライト細胞増殖のこのようなShh−Ag活性化によって筋肉再生の永続的改善がもたらされるか否かを判定するために、上記の通り、筋肉を処置し、ctx損傷後より遅い時点(7日)で解析した。抗ラミニンとBrdUで同時染色した縦走筋切片により、Shh−Ag処置した筋肉ではBrdU+の、中心に整列した核の増加が示される(図3参照)。骨格筋核は有糸分裂後であるため、BrdU+筋核は、最終的に融合し筋肉繊維の再生に寄与した増殖性前駆体である。BrdU+筋核の増加によりShh−Ag処置後の初期SC活性化の機能的影響が明示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効量のソニックヘッジホッグ(Shh)経路のアゴニストを罹患対象に投与することを含む、筋骨格障害の処置方法。
【請求項2】
前記Shhアゴニストが式(I):
【化1】

[式中、原子価および安定性が許容する限り、
ArおよびAr’は独立して置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Yは互いに独立して、存在しないか、または−N(R)−、−O−、−S−もしくは−Se−を表し;
Xは−C(=O)−、−C(=S)−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=NCN)−、−P(=O)(OR)−、および低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基などの1〜2個の基で所望により置換されていてもよいメチレン基から選択され;
Mは互いに独立して、−CH2−、−CHF−、−CHOH−、−CH(Me)−、−C(=O)−などのような置換もしくは非置換メチレン基を表すか、または2つのMが一体となって置換もしくは非置換エテンもしくはエチンを表し、ここで、M中のMの一部または全てが環式構造の全体または一部を形成し;
Rは互いに独立して、Hまたは置換もしくは非置換アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アラルキル、へテロアラルキル、アルキニル、アルケニルまたはアルキルを表すか、または2つのRが、例えばNと一体となって4〜8員環を形成してもよく;
Cy’は置換または非置換アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはシクロアルキル(多環式基を含む)を表し;
jは互いに独立に0〜10、好ましくは2〜7の整数を表し;かつ
iは互いに独立に0〜5、好ましくは0〜2の整数を表す]
の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ShhアゴニストがShh−Agである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
筋骨格障害が筋ジストロフィーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
筋骨格障害が筋障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
治療上有効量のソニックヘッジホッグ(Shh)経路のアゴニストを罹患対象に投与することを含む、筋骨格障害の診断方法。
【請求項7】
Shhアゴニストが式(I):
【化2】

[式中、原子価および安定性が許容する限り、
ArおよびAr’は独立して置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Yは互いに独立して、存在しないか、または−N(R)−、−O−、−S−もしくは−Se−を表し;
Xは−C(=O)−、−C(=S)−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=NCN)−、−P(=O)(OR)−、および低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基などの1〜2個の基で所望により置換されていてもよいメチレン基から選択され;
Mは互いに独立して、−CH−、−CHF−、−CHOH−、−CH(Me)−、−C(=O)−などのような置換もしくは非置換メチレン基を表すか、または2つのMが一体となって置換もしくは非置換エテンもしくはエチンを表し、ここで、M中のMの一部または全てが環式構造の全体または一部を形成し;
Rは互いに独立して、Hまたは置換もしくは非置換アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アラルキル、へテロアラルキル、アルキニル、アルケニルまたはアルキルを表すか、または2つのRが、例えばNと一体となって4〜8員環を形成してもよく;
Cy’は置換または非置換アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはシクロアルキル(多環式基を含む)を表し;
jは互いに独立に0〜10、好ましくは2〜7の整数を表し;かつ
iは互いに独立に0〜5、好ましくは0〜2の整数を表す]
の化合物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ShhアゴニストがShh−Agである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
筋骨格障害が筋ジストロフィーである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
筋骨格障害が筋障害である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
試験薬剤が一次筋芽細胞の増殖を増大させるか否かを判定する方法であって、(i)ソニックヘッジホッグ(Shh)経路をアップレギュレートすることが知られている試験薬剤を非ヒト対象に投与し;そして(ii)その対象において生じた一次筋芽細胞の増殖が薬剤を投与しなかった対象での増殖よりも大きいか否かを判定し、それにより、その薬剤が一次筋芽細胞の増殖を増大させるか否かを判定することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−510947(P2011−510947A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544676(P2010−544676)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050868
【国際公開番号】WO2009/095378
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】