説明

筐体装置および画像形成装置

【課題】開閉扉を開閉自在に支持する支持軸がその開閉扉から分離してしまうことを、他の開閉扉を用いて抑制する。
【解決手段】外装カバー60および手差し給紙部30を共に閉めた状態では、図7(a)に示すように、支持軸78のフランジ部79の一部に第2ブラケット41が重なって重なり部45を形成する。この重なり部45は、支持軸78がY軸に沿って抜けるのを阻止する。外装カバー60に対して手差し給紙部30を開いた状態では、図7(b)に示すように、支持軸78のフランジ部79に第2ブラケット41が覆って重なり部45を形成する。重なり部45の面積が、手差し給紙部30を閉めた状態よりも開いた状態の方が大きく確保されるため、支持軸78が矢印Aの逆方向への抜け止めがより確実に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、筐体にカバー等の扉が設けられた筐体装置においては、扉を開閉するために、所謂ヒンジ構造が用いられている。例えば特許文献1には、ヒンジ構造を構成する支持軸を固定する方法として、その支持軸の一方の端部に向かい合う位置に抜け止め部材を設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−93877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、開閉扉を開閉自在に支持する支持軸がその開閉扉から分離してしまうことを、他の開閉扉を用いて抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1記載の筐体装置は、外部空間に対して開口される第1の開口部を有する筐体と、前記第1の開口部を前記外部空間に対して開らき又は閉じる第1の開閉扉であって、前記外部空間に対して開口される第2の開口部を有する第1の開閉扉と、前記第1の開閉扉を前記筐体に対して開閉自在に支持する第1の支持軸と、前記第1の支持軸が当該第1の支持軸の一端側から他端側へ向かう第1の方向に移動して前記第1の開閉扉から分離することを阻止する阻止手段と、前記第2の開口部を前記外部空間に対して開らき又は閉じる第2の開閉扉であって、当該第2の開閉扉がいずれの位置であっても、前記第1の支持軸が前記第1の方向の反対方向となる第2の方向に移動して分離するのを阻止する部位を有する第2の開閉扉と、を具備することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の筐体装置は、請求項1記載の筐体装置において、前記第2の方向から見て、前記第2の開閉扉と前記一端側の端部とが重なる部分の面積は、当該第2の開閉扉を閉めたときよりも開いたときの方が大きくなることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の筐体装置は、請求項1記載の筐体装置において、前記第2の開閉扉には、前記一端側の端部に接触する部位として、当該第2の開閉扉を前記第1の開閉扉に対して開閉自在に支持する第2の支持軸が設けられた支持軸形成部位を有し、前記第2の方向から見て、前記第2の開閉扉が開かれたときに前記支持軸形成部位が前記一端側の端部を覆う面積が、前記第2の開閉扉が閉められたときに前記支持軸形成部位が前記一端側の端部を覆う面積よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の筐体装置は、請求項1記載の筐体装置において、前記第2の開閉扉が前記第2の開口部を開閉するように、当該前記第2の開閉扉を前記第1の開閉扉に対して開閉自在に支持する第2の支持軸を有し、前記第2の開閉扉は、前記一端側の端部に接触する部位として、前記第2の支持軸が挿入される孔が形成された孔形成部を有し、前記第2の方向から見て、前記第2の開閉扉が開かれたときに前記孔形成部が前記一端側の端部を覆う面積が、前記第2の開閉扉が閉められたときに前記孔形成部が前記一端側の端部を覆う面積よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の筐体装置は、請求項1〜4記載のいずれか1項に筐体装置において、
前記一端側の端部の縁がテーパ状になっているか又は丸められていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の画像形成装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の筐体装置と、前記筐体装置内に収容され、記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備え、前記第1の開閉扉が、前記画像形成手段を前記第1の開口部を介して外部空間に開らき又は閉じるための手段となり、前記第2の開閉扉が、開かれたときに、前記第2の開口部を介して前記画像形成手段に供給される記録媒体が置かれる手段となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の筐体装置によれば、第1の開閉扉を開閉自在に支持する第1の支持軸がその第1の開閉扉から分離してしまうことを、第2の開閉扉を用いて抑制することができる。
【0012】
請求項2記載の筐体装置によれば、第2の開閉扉が開いていると第1の支持軸が第1の開閉扉から分離しやすいという状況であっても、第2の開閉扉を開けた状態にあっては、閉めた状態よりも、第1の支持軸が第1の開閉扉から分離しにくくすることができる。
【0013】
請求項3記載の筐体装置によれば、第2の開閉扉の開閉に伴って姿勢が変わる支持軸形成部位を用いて、第2の開閉扉が開いていると第1の支持軸が第1の開閉扉から分離しやすいという状況であっても、第2の開閉扉を開けた状態にあっては、閉めた状態よりも、第1の支持軸が第1の開閉扉から分離しにくくすることができる。
【0014】
請求項4記載の筐体装置によれば、第2の開閉扉の開閉に伴って姿勢が変わる孔形成部を用いて、第2の開閉扉が開いていると第1の支持軸が第1の開閉扉から分離しやすいという状況であっても、第2の開閉扉を開けた状態にあっては、閉めた状態よりも、第1の支持軸が第1の開閉扉から分離しにくくすることができる。
【0015】
請求項5記載の筐体装置によれば、第1の支持軸の一端側の端部の縁がテーパ状になっているか又は丸められていない場合に比べて、第1の支持軸の一端側の端部が第2の開閉扉を開閉動作を邪魔する程度を小さくすることができる。
【0016】
請求項6記載の画像形成装置によれば、画像形成手段を前記第1の開口部を介して外部空間に開らき又は閉じるための第1の開閉扉を回転自在に支持する第1の支持軸がその第1の開閉扉から分離してしまうことを、開かれたときに第2の開口部を介して画像形成手段に供給される記録媒体が置かれる手段となる第2の開閉扉を用いて抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による筐体装置を用いた画像形成装置を示す斜視図である。
【図2】画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図3】側面カバーに対して手差し給紙部を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】図3中の要部を拡大して示す斜視図である。
【図5】一方の第1支持機構および第2支持機構を示す断面図である。
【図6】図5中の矢視VI−VI方向から見た断面図である。
【図7】(a)が手差し給紙部を閉めた状態、(b)が手差し給紙部を開いた状態を、図5中の矢視VII−VII方向から見た断面図である。
【図8】変形例による図6と同じ位置から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.実施形態>
例えばプリンタやコピー機などの画像形成装置は、構成部品のメンテナンスや交換、或いは記録媒体の詰まりなどの不具合を解消する作業を行うために、その筐体の側面などに開閉カバーが設けられている。以下の実施形態では、このような画像形成装置を例に挙げて説明する。図1は本実施形態に係る筐体装置が適用された画像形成装置の外観を示す斜視図、図2は画像形成装置の筐体内の構造を模式的に示す図である。
【0019】
<画像形成装置の構成>
画像形成装置1は、図1に示すように、ボックス状の筐体装置50によって外形が構成され、筐体装置50の基台をなす筐体51の右側面には外部空間に対して開口する第1の開口部52が形成され、この第1の開口部52には、第1の開口部52を外部空間に対して開放し又は閉じる第1の開閉扉となる外装カバー60が開閉自在に設けられる。この外装カバー60には外部空間に対して開口する第2の開口部61が形成され、この第2の開口部61には第2の開閉扉となる手差し給紙部30が開閉自在に設けられる。この筐体装置50内には、画像の形成を行うための画像形成機構が設けられている。外装カバーは、この画像形成機構を第1の開口部52を介して外部空間に開放し又は閉じるための手段となる。また、手差し給紙部30は、開かれたときに、第2の開口部61を介して画像形成機構に供給される記録媒体としての記録用紙が置かれる手段となる。図1において、筐体装置1が備えるいずれか1の面が画像形成装置1の正面であり、利用者はこの正面から画像形成装置1を見て操作を行う。以下では、利用者が画像形成装置1を正面から見たときの左右方向をX軸・奥行き方向をY軸・高さ方向をZ軸として、以下説明する。
【0020】
ここで、図2を参照しつつ、画像形成装置1の内部構成および動作の一例について説明する。画像形成装置1はタンデム型のフルカラープリンターを構成するものであり、この内部には、図示しないスキャナーやパーソナルコンピュータ、或いは電話回線等から送られてくる画像データに対して画像処理を行なう画像処理装置(図示せず)が設けられている。この画像形成装置1の内部には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4つの画像形成ユニット(画像形成部)2Y,2M,2C,2Kが設けられる。画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、第1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット2Yが相対的に高く、最終色の黒(K)の画像形成ユニット2Kが相対的に低くなるように、水平方向に対してある角度(例えば、10度)だけ傾斜した状態である間隔を隔てて並列的に配置されている。このように、4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを、ある角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを水平に配置した場合に比較して、幅方向の距離が短くなる。
【0021】
これらの4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、基本的に同様に構成されており、駆動手段(図示せず)によってある速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム3と、この感光体ドラム3の表面を帯電する一次帯電用の帯電ロール4と、後述する画像露光装置5による画像露光によって感光体ドラム3上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像器6と、感光体ドラム3の表面を清掃するクリーニング装置7と、を具備している。感光体ドラム3は、例えば、直径30mmのドラム状に形成され、表面にオーバーコート層を有する有機感光体であり、駆動モーター(図示せず)によって回転駆動される。帯電ロール4は、例えば、芯金の表面に合成樹脂やゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器であり、この帯電ロール4の芯金には、帯電バイアスが印加されるものが用いられている。さらに、この帯電ロール4の表面には、この帯電ロール4の表面に付着したトナー等の異物を除去するためのクリーニングロール4aが接触するように配置されている。
【0022】
画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部には、画像露光装置5が設けられる。この画像露光装置5は、画像データに応じて変調されたレーザービームを射出する半導体レーザー(いずれも図示せず)を4つ備えている。これらの半導体レーザーから射出された4本のレーザービームは、ポリゴンミラーによって偏向走査されるとともに、レンズやミラー(いずれも図示せず)を介して、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に走査露光される。この実施の形態では、画像露光装置5が4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部に沿って配設されており、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、水平方向に対して傾斜した状態で設けられている。このため、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に走査露光する各レーザービームの光路長は、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kで等しくなる。
【0023】
画像処理装置からは、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kに共通して設けられた画像露光装置5に、各色の画像データが順次出力される。この画像露光装置5から画像データに応じて射出されたレーザービームは、対応する感光体ドラム3の表面に走査露光させ、静電潜像を形成させる。上記感光体ドラム3上に形成された静電潜像は、現像器6Y,6M,6C,6Kによって、各色のトナー像として現像される。上記各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に順次形成された各色のトナー像は、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの上方にわたって傾斜した状態で配置された中間転写体としての中間転写ベルト10上に、一次転写ロール11によって多重に転写される。
【0024】
この中間転写ベルト10は、複数のロールによって張架されたベルト状部材であって、このベルト状部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が低く、且つ上流側が高くなるように、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。即ち、中間転写ベルト10は、テンションロール12と、ドライブロール13と、バックアップロール14と、第1のアイドラーロール15と、第2のアイドラーロール16と間にテンションで掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モーター(図示せず)によって回転駆動されるドライブロール13により、矢印方向に循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト10としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フイルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フイルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。上記中間転写ベルト10は、その下辺走行領域において、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kに接触するように配置されている。
【0025】
中間転写ベルト10を挟んでドライブロール13と対向する位置には、中間転写ベルト10の表面に突き当たった状態で接触するように二次転写ロール17が配置される。この二次転写ロール17は、中間転写ベルト10上に一次転写されたトナー像を記録用紙18上に二次転写する。中間転写ベルト10上に多重に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像は、ドライブロール13に圧接する二次転写ロール17によって、圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙18上に二次転写される。これらの各色のトナー像が転写された記録用紙18は、上方に位置する定着器19へと搬送される。
そして、各色のトナー像が転写された記録用紙18は、定着器19によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、定着器19の出口ロール20及び用紙排出経路21を介して排出ロール22によって画像形成装置1の上部に設けられた用紙受部23上に排出される。
【0026】
記録用紙18は、画像形成装置1の内部に配置された用紙収容部24から規定のサイズ及び材質のものが、給紙ローラ25及び用紙分離搬送用のローラ対26により1枚ずつ分離された状態でレジストロール28まで一旦搬送され、停止される。上記用紙収容部24から給紙された記録用紙18は、予め決まったタイミングで回転駆動されるレジストロール28によって中間転写ベルト10の二次転写位置へ送出される。
【0027】
用紙受部23と中間転写ベルト10と間には、トナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが設けられ、このトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kは、現像器6Y,6M,6C,6Kにトナーを供給する。黒(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ29Kは、使用頻度が多いため、他のカラーのトナーカートリッジと比較して大型に形成されている。
【0028】
また、筐体装置50の側面には手差し給紙部30が設けられ、この手差し給紙部30からは、規定の材質及び規定のサイズの記録用紙18が、給紙ローラ31及び用紙分離搬送用のローラ32を介してレジストロール28へと搬送される。
【0029】
<筐体装置の構成>
次に、筐体装置50の構造について、図1,図3乃至図7を参照しつつ説明する。図3は外装カバー60に対して手差し給紙部30を開いた状態を示す斜視図、図4は図3中の要部を拡大して示す斜視図、図5は一方の第1支持機構70および第2支持機構40を示す断面図、図6は図5中の矢視VI−VI方向から見た断面図、図7は(a)が手差し給紙部30を閉めた状態、(b)が手差し給紙部30を開いた状態を図5中の矢視VII−VII方向から見た断面図である。
【0030】
外装カバー60は、図1に示すように、筐体51の右側面に形成された第1の開口部52を外部空間に対して開放したり閉じたりする第1の開閉扉となる。この外装カバー60は、図1及び図3,図4中のおいて下側に位置する辺が開閉中心となる。また、手差し給紙部30は、外装カバー60に形成された第2の開口部61を外部空間に対して開放したり閉じたりする第2の開閉扉となる。この手差し給紙部30も下側に位置する辺が開閉中心となる。各開閉中心については後述する。
【0031】
用紙排出経路21やレジストロール28、さらに搬送途中の記録用紙18等に不具合が発生した際、ユーザ或いはサービス担当者等の作業者が、第1の開口部52を開口した状態で作業を行う。このため、外装カバー60は開閉自在となっている。一方、手差し給紙部30は、前述した如く、用紙収容部24に収容された記録用紙18と異なった材質やサイズの記録用紙18をレジストロール28へと搬送する構成である。このため、手差し給紙部30が開閉自在となっている。図3及び図4に示すように、外装カバー60は、第1支持機構70,70で開閉自在に支持され、手差し給紙部30は、第2支持機構40,40で開閉自在に支持される。各第1支持機構70および各第2支持機構40は、それぞれ2箇所設けられているが、いずれも同じ構成となるため、一方の機構のみを説明して他方についての説明は省略するものとする。
【0032】
<第1支持機構の構成>
第1支持機構70は、図5,6等に示すように、一方の端部にフランジ部79が形成された支持軸78をY軸に沿って配置することにより、筐体51に対して外装カバー60を開閉自在に支持するものである。支持軸78は、外装カバー60を筐体51に対して開閉自在に支持する第1の支持軸の一例である。支持軸78は、フランジ部79が設けられているため、フランジ部79が設けられている一端側から、フランジ部79が設けられている他端側へ向かう方向に移動して外装カバー60から分離しないようになっている。つまり、フランジ部79は、支持軸78が外装カバー60から分離することを阻止する阻止手段の一例である。また、このフランジ部79の縁はテーパ状になっているか又は丸められている。これは、手差し給紙部30の開閉を邪魔しないようにするためのである。
【0033】
外装カバー60の裏面側には、図5,6に示すように、貫通孔72を有する第1ブラケット71がX軸に沿って突出して形成される。また、外装カバー60の端部を折り返して形成されたリブ62には、貫通孔72と同軸線となるように貫通孔73(図6、参照)が形成される。一方、筐体51側には、内側がY軸に沿って延びる挿入孔75(図6、参照)となる円筒状のボス74が、筐体フレーム53,53に跨って形成される。ここで、第1ブラケット71(貫通孔72)およびリブ62(貫通孔73)が第1支持機構70における第1支持部となり、ボス74(挿入孔75)が第1受持部となる。また、筐体フレーム53には、後述する第2ブラケット41の端部41Aが突き当たることで、外装カバー60に対する手差し給紙部30の開度を規制する開度規制部54がY軸に沿って形成される。この開度規制部54は、図7(b)に示すように、手差し給紙部30を開いた状態では、第2ブラケット41の端部41Aが突き当たって、手差し給紙部30が開き角度を規制する。
【0034】
筐体51に外装カバー60を取り付ける際には、図6に示すように、第1ブラケット71とリブ62との間に、ボス74が入るように、外装カバー60を筐体51に位置決めし、貫通孔72,73と挿入孔75とを合わせる。その上で、支持軸78の一方を先頭にして、リブ62(貫通孔73)側からY軸に沿った矢印A方向(第1の方向)に挿入する。そして、支持軸78の他方に形成されたフランジ部79がリブ62の表面に突き当たるまで挿入することで、支持軸78が矢印A方向へ位置決めされる。この第1支持機構70では、支持軸78の軸線が第1軸線C1となって、外装カバー60の開閉中心となる。
【0035】
<第2支持機構の構成>
第2支持機構40は、手差し給紙部30側に形成された円柱状の突起42を、外装カバー60側の貫通孔43に嵌め込むことで、外装カバー60に対して手差し給紙部30を開閉自在に支持するものである。手差し給紙部30の裏面(手差し給紙部30を閉じた状態)側には、図5に示すように、先端にY軸に沿って延びる突起42を有する台形状の第2ブラケット41(図7、参照)がX軸に沿って筐体51の奥側に向けて突出して形成される。一方、外装カバー60のリブ62には、貫通孔73よりも相対的に高い位置に貫通孔43が形成される。ここで、第2ブラケット41(突起42)が第2支持機構40における第2支持部となり、貫通孔43が第2受持部となる。
【0036】
外装カバー60に手差し給紙部30を取り付ける際には、図5に示すように、第2ブラケット41の弾性を利用して矢印b方向に内側に折り曲げて、突起42を貫通孔43に挿入する。手差し給紙部30の両側で突起42を貫通孔43にそれぞれ挿入することにより、手差し給紙部30を外装カバー60に対して開閉自在に支持する。つまり、この突起42は手差し給紙部30を外装カバー60に対して開閉自在に支持する支持軸として機能する。この第2支持機構40では、突起42の軸線が第2軸線C2となって、手差し給紙部30を開閉中心となる。この第2軸線C2は、図6及び図7に示すように、第1軸線C1と共にY軸に沿って延び、第1軸線C1よりも相対的に高い位置となる。
【0037】
<手差し給紙部の開閉動作に伴う支持軸の支持動作>
筐体装置50にあっては、第1支持機構70によって外装カバー60を筐体51に対して支持軸78で開閉自在に支持した上で、第2支持機構40の突起42を貫通孔43に挿入して、手差し給紙部30を外装カバー60に対して開閉自在に支持する。
この手差し給紙部30の開閉状態にかかわらず、矢印Aの逆方向から見て、支持軸78のフランジ部79に重なり部45が常に存在するように、第1軸線C1と第2軸線C2との相対距離・相対位置を考慮して第2ブラケット41の形状が台形状となっている。この第2ブラケット41は、手差し給紙部30を支持する支持軸として突起42が形成された支持軸形成部位部である。これが台形形状であるがゆえに、支持軸78の軸線方向から見た場合、手差し給紙部30が開かれたときにも支持軸78の端部(フランジ部79)を覆っているし、手差し給紙部30が閉められたときにも支持軸78の端部(フランジ部79)を覆っているし、また、その開閉動作中に置いても支持軸78の端部(フランジ部79)を覆っている。第2ブラケット41は、このように支持軸78の端部を覆うことで、支持軸78の他端側(フランジ部79が設けられていない側)から一端側(フランジ部79が設けられている側)へ向かう方向に移動して外装カバー60から分離しようとしたときに、支持軸78の一端側の端部に接触して、支持軸78が外装カバー60から分離することを阻止する部位となる。
【0038】
例えば、外装カバー60および手差し給紙部30を共に閉めた状態では、図6及び図7(a)に示すように、支持軸78のフランジ部79の一部に第2ブラケット41が重なって重なり部45を形成する。この重なり部45は、支持軸78が矢印Aの逆方向(第2の方向)に抜けるのを阻止する。一方、外装カバー60に対して手差し給紙部30を開いた状態では、図7(b)に示すように、支持軸78のフランジ部79に第2ブラケット41が覆って重なり部45を形成する。この重なり部45は、支持軸78が矢印A(図6,参照)の逆方向に抜けるのを阻止する。
特に、重なり部45の面積は、手差し給紙部30を閉めた状態よりも開いた状態の方が大きくなる。手差し給紙部30が開かれた状態ということは、給紙がなされている可能性が高いが、このようなときには、画像形成機構が画像を形成する動作を行うことで、微少な振動が発生する。この振動が支持軸78に伝わって支持軸78の位置が移動して外装カバー60から抜けやすくなる。このように、手差し給紙部30が開いていると支持軸78が外装カバー60から分離しやすいという状況であっても、支持軸78が外装カバー60から分離しにくくする。
【0039】
本実施形態では、画像形成装置として必要な部位である手差し給紙部30を支持する第2ブラケット41を利用して支持軸78の抜け止めを図っているので、Eリングやスナップフィット等の抜け止め部材を用いて支持軸の抜け止めを図る構成のもの、さらには従来技術のように、軸の端部に対向するように抜け止め部材を別途形成する構成のもの等に比べ、省スペース化と組立作業性の向上が図れる。ひいては、コスト低減も図れる。
【0040】
<2.変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例であってよい。
<2−1>
前述した実施形態では、支持軸78にフランジ部79を形成して矢印A方向への抜け止めを図る構成としたが、本発明はこれに限らず、支持軸の挿入方向(矢印A)への抜け止めを図る構成であればよい。
例えば、図8に示すように、軸部のみの支持軸78Aの場合には、外装カバー60のうち、挿入方向(矢印A)の端部に対向する位置に抜け止め部材65を形成してもよい。また、第1ブラケット71の貫通孔72に底部を形成して、抜け止め部としてもよい。要は、支持軸を矢印A方向に挿入する際に、この挿入方向への位置決めを行う構造であればよい。
【0041】
<2−2>
実施形態では、第2支持機構40を突起42を貫通孔43に嵌め込む構成としたが、本発明はこれに限らず、第2ブラケットのように第1支持機構70の支持軸と重なり部分を有して支持する構造であれば、例えば第1支持機構70と同様に支持軸による支持機構であってもよい。
【0042】
<2−3>
実施形態では、筐体装置50を画像形成装置1に適用した場合を例示したが、本発明はこれに限らず、他の装置に適用してもよいことは勿論である。
【0043】
<2−4>
実施形態では、手差し給紙部30に、手差し給紙部30を支持する支持軸として突起42が形成された第2ブラケット41が設けられており、外装カバー60側に貫通孔43を設けていた。これを、第2ブラケット41が貫通孔が形成された孔形成部としてのブラケット部を有し、外装カバー60側にその貫通孔に挿入される支持軸を設けるようにしてもよい。このときも、ブラケット部の形状を、支持軸78の軸線方向から見た場合、手差し給紙部30が開かれたときにも支持軸78の端部を覆っているし、手差し給紙部30が閉められたときにも支持軸78の端部を覆っているし、また、その開閉動作中に置いても支持軸78の端部を覆っているようなものにすればよい。
【0044】
<2−5>
実施形態では、支持軸78のフランジ部79に重なり部45が常に存在するように、第2ブラケット41の形状を台形状としたが、手差し給紙部30の動作に関係なく、重なり部45が常に存在する形状であれば、長方形,三角形等、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…画像形成装置、30…手差し給紙部(第2の開閉扉)、40…第2支持機構、41…第2ブラケット(第2支持部)、42…突起(第2支持部)、43…貫通孔(第2受持部)、45…重なり部、50…筐体装置、51…筐体、52…第1の開口部、54…開度規制部、60…外装カバー(第1の開閉扉)、61…第2の開口部、62…リブ(第1支持部)(第2受持部)、65…抜け止め部材、70…第1支持機構、71…第1ブラケット(第1支持部)、72,73…貫通孔(第1支持部)、74…ボス(第1受持部)、75…挿入孔(第1受持部)、78…支持軸、79…フランジ部(鍔部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間に対して開口される第1の開口部を有する筐体と、
前記第1の開口部を前記外部空間に対して開らき又は閉じる第1の開閉扉であって、前記外部空間に対して開口される第2の開口部を有する第1の開閉扉と、
前記第1の開閉扉を前記筐体に対して開閉自在に支持する第1の支持軸と、
前記第1の支持軸が当該第1の支持軸の一端側から他端側へ向かう第1の方向に移動して前記第1の開閉扉から分離することを阻止する阻止手段と、
前記第2の開口部を前記外部空間に対して開らき又は閉じる第2の開閉扉であって、当該第2の開閉扉がいずれの位置であっても、前記第1の支持軸が前記第1の方向の反対方向となる第2の方向に移動して分離するのを阻止する部位を有する第2の開閉扉と、
を具備することを特徴とする筐体装置。
【請求項2】
請求項1記載の筐体装置において、
前記第2の方向から見て、前記第2の開閉扉と前記一端側の端部とが重なる部分の面積は、当該第2の開閉扉を閉めたときよりも開いたときの方が大きくなる
ことを特徴とする筐体装置。
【請求項3】
請求項1記載の筐体装置において、
前記第2の開閉扉には、前記一端側の端部に接触する部位として、当該第2の開閉扉を前記第1の開閉扉に対して開閉自在に支持する第2の支持軸が設けられた支持軸形成部位を有し、
前記第2の方向から見て、前記第2の開閉扉が開かれたときに前記支持軸形成部位が前記一端側の端部を覆う面積が、前記第2の開閉扉が閉められたときに前記支持軸形成部位が前記一端側の端部を覆う面積よりも大きい
ことを特徴とする筐体装置。
【請求項4】
請求項1記載の筐体装置において、
前記第2の開閉扉が前記第2の開口部を開閉するように、当該前記第2の開閉扉を前記第1の開閉扉に対して開閉自在に支持する第2の支持軸を有し、
前記第2の開閉扉は、前記一端側の端部に接触する部位として、前記第2の支持軸が挿入される孔が形成された孔形成部を有し、
前記第2の方向から見て、前記第2の開閉扉が開かれたときに前記孔形成部が前記一端側の端部を覆う面積が、前記第2の開閉扉が閉められたときに前記孔形成部が前記一端側の端部を覆う面積よりも大きい
ことを特徴とする筐体装置。
【請求項5】
請求項1〜4記載のいずれか1項に筐体装置において、
前記一端側の端部の縁がテーパ状になっているか又は丸められている
ことを特徴とする筐体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の筐体装置と、
前記筐体装置内に収容され、記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備え、
前記第1の開閉扉が、前記画像形成手段を前記第1の開口部を介して外部空間に開らき又は閉じるための手段となり、前記第2の開閉扉が、開かれたときに、前記第2の開口部を介して前記画像形成手段に供給される記録媒体が置かれる手段となる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−64807(P2011−64807A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213589(P2009−213589)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】