説明

筒状シュリンクラベル、筒状シュリンクラベル付き容器およびこれらの製造方法

【課題】炭酸ガスレーザー光で溶着してなる生産性に優れる筒状シュリンクラベルを提供する。
【解決手段】縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着することを特徴とする。筒状シュリンクラベル熱収縮率および接着強度に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸方向で切断したラベルの両端を筒状に重ねた後に炭酸ガスレーザー光で溶着してなる筒状シュリンクラベル、該筒状シュリンクラベルを装着した容器およびこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲料などの容器に全周にわたる筒状シュリンクラベルが使用され、このようなシュリンクラベルを装着した容器として、予め筒状のシュリンクラベルを調製し、これを容器外周に外嵌し、ついで熱処理してシュリンク形成するものがある(特許文献1)。該特許文献1では、筒状シュリンクラベルを製造する際に、シュリンクラベルの両端部にホットメルト型接着剤を貼付し、このホットメルト型接着剤を介してラベル両端を筒状に張り合わせている。
【0003】
また、筒状にシュリンクラベルを接着する際に、レーザー光によって溶着し、得られた筒状シュリンクラベルを容器に外嵌装着する方法もある(特許文献2)。前記特許文献2で使用するラベルは、印刷が施された合成樹脂製フィルムの両端部を重ね合わせてレーザー光の照射によって溶着して筒状に形成したラベルであって、基材と、該基材の両面側に積層された表面層とを備え、該表面層は、前記基材よりも融点の低い材料からなり、前記両端部の溶着面は、印刷層が施されていない無印刷部に形成されている、というものである。
【0004】
また、筒状シュリンクラベルの製造方法として、検出マークが印刷されたシュリンクラベル用ロールをラベル長に切断した後に筒状に成形してなる筒状シュリンクラベルもある(特許文献3)。長尺の熱収縮性のフィルム基材には、所定間隔ごとに検出マークが印刷され、該検出マークをセンサで検出することによりラベルの位置合わせなどを行うが、前記検出マークを熱収縮時の熱で消去可能なインキで印刷することで、別途特別な加熱工程を経ることなく検出マークを目立たなくすることができ、各ラベル及びフィルムに施したデザイン等の所定の表示の邪魔になるのを防止できる、という。特許文献3では、熱収縮フィルムの熱収縮方向の両端部を接着して筒状に成形するため、熱収縮フィルムを切断した後に切断ラベルを90度回転させ、ラベル両端を筒状に接着している。
【特許文献1】特開2006−117269号公報
【特許文献2】特開2000−141469号公報
【特許文献3】特開2003−43922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の筒状シュリンクラベルは、ホットメルト型接着剤によって容器と筒状シュリンクラベルとを接着する方法であるため、接着後に容器が高温条件下にある場合には、ホットメルト型接着剤が溶融し外観を損なう場合がある。特に、該容器の内容物が加温製品の場合には、内容物の保管温度によって移送中や販売期間内にホットメルト型接着剤が溶融する恐れがあり、シュリンクラベルの場合には熱収縮処理を行う際にホットメルト型接着剤が溶け出す場合がある。加えて、反応性ホットメルト型接着剤を使用すると、硬化後に熱に対する耐性を有するが、反応時間が長いために生産性が低下する。
【0006】
また、特許文献2記載のラベルは、レーザー光によって筒状ラベルとしたものであるが、レーザーでの接着性を確保するため、使用するラベルの層構成が複雑となる場合がある。また、レーザー光は樹脂の切断などにも使用されるものであり、照射範囲が狭いためレーザー溶着幅が狭く、溶着強度に劣る場合がある。このため透明なPETフィルムに半導体レーザー光を照射してもレーザー光がフィルムを透過し、フィルムを溶着することができない。
【0007】
一方、シュリンクラベルは延伸方向に熱収縮するため、延伸方向と胴巻き方向とを一致させて容器に装着する。従来は、横一軸延伸フィルムを使用し、例えば特許文献3の図3に示すように、所定ラベル長さに切断した後に切断ラベルを90度回転させた後に筒状に成形し、直立する容器の上部から筒状ラベルを鉛直方向に装着していた。すなわち、シュリンクラベル用ロールの切断面を接着部として使用できないため、筒状に接着する際にラベルを90度回転させる工程が必要となっている。しかしながら、このような工程をなくすことができれば、筒状シュリンクラベルの製造がより簡単な工程で製造できる。
【0008】
上記現状に鑑み、本発明は、接着剤を使用することなく製造され、接着強度に優れる筒状シュリンクラベルを提供するものである。
【0009】
また本発明は、凹凸が際立つ容器にも装着することができ、容器形状の多様化、消費者の購買意欲を満たしうる、熱収縮率に優れる筒状シュリンクラベルを提供するものである。
【0010】
また本発明は、このような筒状シュリンクラベルを装着した容器を提供するものである。
【0011】
更に本発明は、簡便な工程で迅速に、生産効率に優れる筒状シュリンクラベルの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、筒状シュリンクラベルについて詳細に検討した結果、熱収縮率に優れる縦一軸延伸フィルムを使用して筒状シュリンクラベルを製造すれば、延伸方向と移送方向とを同方向にできるため、フィルムを所定のラベル長に切断した後に切断面を溶着部として筒状に形成でき、ラベルを90度回転する工程を省略できること、ラベル重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着すれば透明樹脂フィルムを、接着剤の使用を行うことなく短時間で効率的に溶着することができること、特に炭酸ガスレーザーをデフォーカスして照射するとラベル重ね部を安定して幅広に溶着することができ、接着強度に優れる筒状シュリンクラベルを製造しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち本発明は、熱収縮性基材フィルムの延伸方向にあるラベル両端を溶着してなる筒状シュリンクラベルであって、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベルを提供するものである。
【0014】
また、前記筒状シュリンクラベルを装着し、熱収縮処理してなる筒状シュリンクラベル付き容器を提供するものである。
【0015】
また、縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベルの製造方法を提供するものである。
【0016】
さらに、縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、前記ラベルを鉛直に配置されたシリンダにまき付けて前記切断端を重ね、前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着して筒状シュリンクラベルを成形し、前記筒状シュリンクラベルの下部側または上部側から前記シリンダを抜き出し、かつラベルの上部側または下部側から容器を挿入して前記容器に筒状シュリンクラベルを装着し、ついで熱収縮処理することを特徴とする、筒状シュリンクラベル付き容器の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の筒状シュリンクラベルは接着剤を使用しないため、生産工程を簡略化することができ、コストも低下させることができる。また、ホットメルト型接着剤を使用する場合と比較して、広い温度幅の環境で保管、流通させることができる。
【0018】
本発明の筒状シュリンクレベルは炭酸ガスレーザー光を照射して調製するものであるため、レーザー溶着部が透明である筒状シュリンクレベルを提供することができる。
【0019】
本発明の筒状シュリンクレベルの製造方法は、炭酸ガスレーザー光を照射して筒状に溶着するため、短時間で溶着しうるため生産効率に優れる。また、半導体レーザー光などと相違して、溶着時に溶着部を加圧する必要がないため、より効率的に筒状シュリンクラベルを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の第一は、熱収縮性基材フィルムの延伸方向にあるラベル両端を溶着してなる筒状シュリンクラベルであって、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベルである。
【0021】
縦一軸延伸基材フィルムを使用することで、延伸方向にフィルムを移送して切断し、切断面を筒状に重ねて溶着することで筒状シュリンクラベルを製造することができ、このため溶着の際にラベル方向を90度回転させる必要がなく、従来よりもラベラーの構造を簡略化することができる。また、炭酸ガスレーザー光で溶着されるため透明の基材フィルムからなり、溶着幅が広く接着強度に優れる。以下、本発明の筒状シュリンクラベル、筒状シュリンクラベル付き容器、筒状シュリンクラベルの製造方法について説明する。
【0022】
(1)筒状シュリンクラベルの構成
本発明の筒状シュリンクラベルは、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断し、前記ラベルの切断した両端を筒状に重ね、重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着して調製される。従って、図1に示すように、得られた筒状シュリンクラベル(100)は、ラベル(30)の両端の重ね部(37)にレーザー溶着部(35)が形成されたものであり、円周方向と二重矢印で示すラベル延伸方向とが同方向となっている。
【0023】
筒状シュリンクラベルの長さや太さは、装着する容器の形状や装着の態様に応じて適宜選択することができる。一方、レーザー溶着部(35)の幅は、0.5〜10mmであることが好ましい。この範囲で十分な溶着強度を確保することができる。
【0024】
また、レーザー溶着のための筒状シュリンクラベルの溶着部の重ね部(37)の幅は、3〜30mmであることが好ましい。この範囲であれば、上記レーザー溶着部幅を十分に確保することができ、かつラベルの美粧性を確保することができる。
【0025】
本発明の筒状シュリンクラベルは、ラベル−ラベル間の剥離強度、すなわちレーザー溶着部(35)の剥離強度を、0.5〜30N/15mm、より好ましくは2.5〜20N/15mmとすることができる。また、レーザー溶着部(35)の剪断強度は、2〜65N/15mm、より好ましくは3.5〜60N/15mmである。なお、剥離強度および剪断強度は、後記する実施例で記載する数値である。
【0026】
なお、前記重ね部のレーザ溶着部と平行に、1以上のミシン目列が形成されていてもよい。使用後の容器からラベルを離脱することが容易だからである。
【0027】
(i)熱収縮性基材フィルム
本発明の筒状シュリンクラベルは、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを使用する。
【0028】
熱収縮性基材フィルムとしては、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、およびこれらのフィルムの2種以上の積層フィルムであって、縦一軸延伸したものを好適に使用することができる。より好ましくは、前記ポリオレフィン系フィルムが縦一軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、前記ポリエステル系フィルムが縦一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムであり、その他ポリエステル−ポリスチレン共押出しフィルムの縦一軸延伸フィルムなどである。従来から、縦一軸延伸フィルムは存在したが、縦一軸延伸フィルムをシュリンクラベルとして使用することはなかった。しかしながら、本発明では縦一軸延伸フィルムを使用することで製造工程を簡略化できることを見出し、特に縦一軸延伸フィルムに限定して使用することにした。
【0029】
一般には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜したものを使用することができ、テンター方式やチューブラー方式等で縦一軸延伸してなる各種の延伸フィルムを使用することができる。
【0030】
本発明において、熱収縮性基材フィルムの厚みは特に限定されないが、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない範囲で適宜選択され、非発泡性縦一軸延伸フィルムの場合には15〜50μmである。上記範囲であれば、容器に装着して使用する際に、十分な機械的強度を確保しうると共に、炭酸ガスレーザー光で溶着強度に優れるからである。特に、本発明では炭酸ガスレーザー光でラベル端部を溶着するため、ラベル重ね部を加圧・押圧して接着させる必要がなく、非接触で両者を固定することができる。なお、前記ラベル厚は、熱収縮前の層厚である。
【0031】
上記の熱収縮性基材フィルムには、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤が添加されたものであってもよい。また、熱収縮性基材フィルムの表面には、印刷性を向上させるためにコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの慣用の表面処理を施してもよい。
【0032】
本発明では、上記熱収縮性基材フィルムとして、縦方向の熱収縮率が温度100℃で5〜85%、より好ましくは20〜70%のものを好適に使用することができる。熱収縮率に優れるため凹部を有する容器にも好適に使用することができる。なお、本発明における熱収縮率とは、100℃の温水による熱収縮率であって、延伸方向の熱収縮率が下記式に従うものとする。従って、縦一軸延伸フィルムの場合には、収縮方向は、フィルム流れ方向であるため、流れ方向に対する熱収縮率が5〜85%である。
【0033】
【数1】

本発明の筒状シュリンクラベルのサイズは、貼付対象の容器のサイズに応じて適宜選択することができる。同様に、溶着部のサイズも、例えばラベル貼付装置の使用態様などに応じて適宜選択することができる。
【0034】
本発明では、熱収縮性基材フィルムとして市販のフィルムを使用してもよい。このようなフィルムとして、PET縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、50%、)、ポリプロピレン縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;80℃、10秒;10%、100℃、10秒、25%)、ポリサックプラスチックインダストリーリミテッド(Polysack Plastic Industries Ltd.)の商品名「ポリファンFIT ST(Polyphane FIT ST)」などの100℃での縦方向最大収縮率19%、130℃で70%の縦一軸延伸ポリスチレンフィルム、エクロンモービル社製、商品名「Label−Lyte−Roll−On−Shink−on LR210」、縦方向最大収縮率18%などの縦一軸延伸ポリプロピレンフィルム、縦一軸延伸白色ポリプロピレンフィルム、縦一軸延伸PLA系フィルムなどを好適に使用することができる。
【0035】
なお、本発明において「シュリンクラベル」とは、熱処理によって収縮しうるラベルであるが熱収縮の有無は問わない。従って、熱収縮前後のいずれにおいても、シュリンクラベルである。
【0036】
(ii)レーザー吸収剤層
本発明の筒状シュリンクラベルは、前記重ね部の前記熱収縮性基材フィルムと熱収縮性基材フィルムとの間にレーザー光吸収剤層が積層されていてもよい。熱収縮性基材フィルム/レーザー吸収剤層/熱収縮性基材フィルムとなるようにラベル端部を重ね、いずれかの熱収縮性基材フィルムから半導体レーザーを照射すると、レーザー光が熱収縮性基材フィルムを透過してレーザー吸収剤層に到達し、レーザー光のエネルギーを吸収し当該端部の熱収縮性基材フィルムを軟化し、下側熱収縮性基材フィルムとの溶着を促進することができる。
【0037】
本発明では、レーザー吸収剤層として、前記熱収縮性基材フィルムのガラス転位温度よりも低いTgの樹脂を使用することが好ましい。レーザー吸収剤層を積層することで照射時間を短くし、生産性を向上させることができる。このような樹脂としては、前記した熱収縮性基材フィルムを構成する樹脂の中から適宜選択することができる。より好ましくは、熱収縮性基材フィルムと同種の樹脂を使用することである。例えば、熱収縮性基材フィルムがポリエステル系樹脂の場合には、レーザー吸収剤層に使用する樹脂もポリエステル系樹脂とし、熱収縮性基材フィルムがポリオレフィン系樹脂の場合には、レーザー吸収剤層に使用する樹脂もポリオレフィン系樹脂とする。
【0038】
また、レーザー吸収剤層には、更にパール顔料が配合されていてもよい。炭酸ガスレーザー光はPETなどの透明フィルムに吸収されるため、特に透明フィルムを短時間に溶着しうるが、レーザー吸収剤層にパール顔料を配合すると、より安定して溶着することが判明した。また、パール顔料の配合により溶着部をパール光沢のあるものとすることができ、美粧性に優れる。なお、パール顔料とは、白色雲母の粒子径5〜130の微粉末であり、市販品であってもよい。このようなパール顔料として、例えば、メルク社製の商品名「レーザーフレア800」などを使用することができる。
【0039】
本発明では、上記パール顔料の合計は、レーザー吸収剤層中に3〜80質量%含有されることが好ましい。この範囲で、フィルムがレーザーをより効率よく吸収して、接着に十分な熱を得ることにより、強度及び生産効率のより優れる溶着を行うことができる。
【0040】
レーザー光吸収剤層は、熱収縮性基材フィルムに、パール顔料と熱収縮性基材フィルムを構成する樹脂よりもTgの低い樹脂とからなる組成物を印刷し、または塗布することで形成することができる。
【0041】
ただし、本発明で使用する熱収縮性基材フィルムは、炭酸ガスレーザーの吸収性があるため、上記レーザー吸収剤層を設けることなく、重ね部を溶着することができる。
【0042】
(iii)デザイン印刷層
本発明の筒状シュリンクラベル(100)は、熱収縮性基材フィルムのラベル最内層または最外層にデザイン印刷層を有するものであってもよい。ただし、前記重ね部(37)において、筒状に重ねる際に熱収縮性基材フィルムと熱収縮性基材フィルムとの間には印刷層がないことが好ましい。炭酸ガスレーザー光による溶着を阻害する場合があるからである。
【0043】
印刷方法に限定はなく、例えばグラビア印刷で印刷層を形成することができる。印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
【0044】
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
【0045】
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
【0046】
上記は、グラビア印刷で説明したが、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。また、印刷は、裏印刷でも、表印刷でもよい。
【0047】
本発明で好適に使用できるラベルの構成を図5に示す。熱収縮性基材フィルム(10)のレーザー溶着部の重ね部の双方(37,37’)を除いて印刷層(15)が裏印刷された態様を示し、図5(b)は、前記印刷層(15)と共に、レーザー溶着部の重ね部の一方(37’)にレーザー吸収剤層(17)が裏印刷された態様を示す。図5(a)を筒状に成形すると、熱収縮性基材フィルム/熱収縮性基材フィルムとなり、図5(b)は、熱収縮性基材フィルム/レーザー吸収剤層/熱収縮性基材フィルムとなる。なお、図5では、重ね部(37)には、印刷層(15)のない態様を示したが、印刷層(15)が存在してもよい。
【0048】
(iv)外層
本発明の筒状シュリンクラベルは、前記熱収縮性基材フィルムの表面側に更に外層を設けてもよい。このような外層としては、筒状シュリンクラベルの用途や意匠性などによって適宜選択することができ、ラベル表面の滑り性を付与する場合にはOPニスを、ラベルを触ったときの触感を付与する場合にはスエードインキによる印刷層を、マット感を付与する場合にはマットOPなどを使用することが好ましい。なお、外層は、2層以上の積層とすることができ、外層にデザイン印刷層を形成してもよい。図5の(c)に熱収縮性基材フィルム(10)の外側に外層(13)を含む態様を示す。この際、重ね部(37’)の外側の外層には墨を含む印刷層(15)は形成されないことが好ましい。切断しやすくなる場合があるからである。
【0049】
(2)容器
本発明の筒状シュリンクラベルを添付しうる容器としては、ガラス容器;PETなどの合成樹脂性容器;セラミックボトルなどの無機物容器;アルミや鉄、SUSなどの金属製容器;ガラス、合成樹脂、セラミック、金属、紙などを含む複合材からなる容器に好適に装着することができる。
【0050】
一方、前記容器が合成樹脂製容器である場合には、該容器を構成する熱可塑性樹脂層としては、PETなどのポリエステル樹脂、PPなどのポリオレフィン系樹脂を使用することが、軽量で、機械的強度、耐熱性、ガス遮断性、耐薬品性、保香性、衛生性等に優れるため好ましい。容器は、ポリエステル樹脂やポリオレフィン系樹脂を射出成形、真空成形、圧空成形等することにより製造することができる。
【0051】
容器の形状としては、筒状シュリンクラベルが装着される容器の横断面が丸型に限定されず、四角、八角などの多角型であってもよい。また、筒状シュリンクラベルが装着される容器胴部は、胴部の全長に亘って同一径である場合に限定されず、容器の胴部縦断面が四角である以外に、たとえばひょうたん型などであってもよい。むしろ、本発明では、熱収縮率に優れる縦一軸延伸フィルムを使用するため、容器が凹凸のある形状であっても好適に装着することができる。従って、図2に示すように、容器の筒状シュリンクラベル装着部の最大周径に対する最小周径(最小周径×100/最大周径(%))が50〜100%、より好ましくは70〜90%、特に好ましくは75〜85%のものを好適に使用することができる。
【0052】
本発明の筒状シュリンクラベルを図2の容器に装着し、熱収縮処理した後の筒状シュリンクラベル付き容器を図3に示す。
【0053】
(3)筒状シュリンクラベルの製造方法
(i)ラベルの調製
本発明で使用するラベルは縦一軸延伸フィルムを使用し、適宜印刷層やレーザー吸収剤層を形成することで調製することができる。
【0054】
(ii)ラベルの筒状成形
本発明の筒状シュリンクラベルは、縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、この重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着することで筒状シュリンクラベルを製造することができる。この方法によれば、フィルム搬送方向と延伸方向とが同方向であるから、切断したラベルを筒状に成形して切断端を重ねると延伸方向の両端部を溶着することができる。すなわち、フィルムを水平方向に移動させるだけでフィルム切断、ラベル筒状溶着を行うことができるために、横一軸延伸フィルムを使用する場合のように、ラベルを90度回転させる工程が不要となる。また、炭酸ガスレーザー光で溶着するため、接着剤を使用することなく接着でき、短時間で効率的な溶着が行え、重ね合わせ部分を少なくすることもでき、デザイン印刷部分を隠蔽する部分を少なくすることができる。また、容器リサイクル時にラベルを剥がした際、接着剤で接着する場合と相違して、溶着部分が汚れることがなくリサイクル性に優れる。
【0055】
より具体的には図4に示すように、鉛直に配置されたシリンダ(20)にまきつけるように前記熱収縮性基材フィルム(10)を繰り出し、所定のラベル長に切断し、ラベル(30)の前端部からシリンダ(20)を回転させながらまきつけ、前記ラベル前端部の上にラベル後端部を重ね、この重ね部(35)をラベル後端部側から炭酸ガスレーザー光を照射して溶着し、幅0.5〜10mmでレーザー溶着部(37)を形成し、筒状シュリンクラベル(100)を製造することができる。使用するシリンダ(20)は、その表面に空気を吸引しまたは排出する空気孔(25)が多数設けられたものであれば、切断されたラベル(30)を前記シリンダ表面で吸引しながら安定してまき付けることができる。また、シリンダ(20)を鉛直方向を軸として回転させればラベル(30)のまき付けが容易となる。一般には重ね部は、幅3〜30mmである。
【0056】
重ね部は、図8に示すように押さえ具で上部から押さえることができ、これによって照射を容易に行うことができる。図8(a)は、重ね部のラベル端部を二股の金属製の押さえ具(110)で押さえる態様を示す。炭酸ガスレーザーは金属を透過できないため、レーザー照射位置に金属が存在することはできず、このため、レーザー照射位置を確保しつつ重ね部のラベル端部のみを押さえる態様となっている。また、図8(b)は、炭酸ガスレーザーが透過できる材質を使用し、重ね部の全面を押さえる態様を示す。このような広幅の押さえ具の材質としては、石英ガラスを好ましく使用することができる。
【0057】
本発明では、炭酸ガスレーザー光を照射して溶着する点に特徴がある。炭酸ガスレーザー光は波長が10.6μmであり、半導体レーザーなどと比較して物質に対する影響が大きく、短時間かつ非接触で筒状シュリンクラベルを製造することができる。例えばシリンダ(20)に巻きつけて固定した重ね部(37)に、外側から炭酸ガスレーザー光を照射する。
【0058】
本発明では、炭酸ガスレーザー光の照射をデフォーカスして行うことが好ましい。本発明における「デフォーカス」とは、通常は炭酸ガスレーザー光を照射する際に目的個所に焦点をあわせてレーザー光を照射するが、焦点を合わせることなくレーザー光を照射するであり、焦点を合わせる場合よりも広い範囲にレーザー光を照射することをいう。デフォーカスによれば、幅広い範囲に照射エネルギーを分散して単位面積当たりのエネルギー密度を下げることができるため、高い加工速度で広範囲に接着強度を確保することができる。しかも、照射エネルギーが希釈されるため、ラベル表面および溶着部の過剰な溶融を抑制することができ、広範に均一かつ安定的な溶着を行うことができる。高出力と低出力で炭酸ガスレーザーを照射した場合のスポット径と出力エネルギーとの関係を図9に模式的に示す。図9(a)に示すように、高出力でフォーカス照射すると、狭い範囲に照射されるため、出力エネルギーを示すピーク高さ(Hfa)が高くなり、フォーカス照射を行うとラベル表面の溶融が大きくなり、溶着できずに切断される、またはラベル表面の溶融が生じる。このような場合、図9(b)のように低出力でフォーカス照射すれば切断や溶融を回避することができるが、溶着幅が狭いために近傍を複数回炭酸ガスレーザーで照射して、溶着幅を広げなければ、筒状シュリンクラベルの実用に耐えることができない。本発明では、図9(a)に示すように、デフォーカス照射を行うことで溶着幅を広げ、かつ出力エネルギーを示すピーク高さ(Hdfa)を低くして、ラベルの切断やラベル表面の溶融などを回避する。なお、低出力でデフォーカス照射を行うと、出力エネルギーを示すピーク高さ(Hdfb)が低いため、ラベルを溶着させることができない。炭酸ガスレーザーの規定出力は使用する装置によって定められており、また、フォーカス照射の場合の照射幅、すなわち溶着範囲も装置によって定められている。そこで本発明では、いずれの装置を使用する場合であっても、デフォーカスしてラベル重ね部の溶着に適する溶着幅を選択し、溶着する。デフォーカスの程度は、使用する装置によって異なるが、一般に、フォーカス照射の場合の照射幅は、0.1〜1mmであるため、レーザー光の照射幅に換算して、フォーカス照射した場合の幅に対するデフォーカス照射した場合の幅(デフォーカス照射した場合の幅/フォーカス照射した場合の幅)が2倍以上であることが好ましい。なお、一般に、フォーカス照射の場合の照射幅は、0.1〜1mmであるため、1mmを超える溶着幅は一般にデフォーカス照射となっている。
【0059】
なお、本発明の筒状シュリンクラベルが、レーザ溶着部と平行に、1以上のミシン目列を形成する場合には、例えば、炭酸ガスレーザー光をデフォーカスすることなく、前記レーザー溶着部と平行して照射すればよい。
【0060】
(4)筒状シュリンクラベル付き容器の製造方法
本発明の筒状シュリンクラベル付き容器は、上記で製造した筒状シュリンクラベルに、ラベルの上部または下部から容器を挿入して容器に筒状シュリンクラベルを装着し、ついで熱収縮処理することで製造することができる。
【0061】
例えば、図6、図7に示すように、(a)ラベル(30)をシリンダ(20)にまき付け、(b)ラベル切断端の重ね部(37)を形成し、(c)重ね部(37)に外側からシリンダに向けてレーザー溶着部(35)を形成して筒状に溶着する。次いで、(d)シリンダ(20)を下方から引き抜く。具体的には、シリンダ(20)には多数の空気孔(25)が設けられており、炭酸ガスレーザー光で溶着した後にシリンダ(20)の前記空気孔(25)から空気を排出させると、シリンダ(20)とラベル(30)との間に空気を送り込むことができる。この状態で、シリンダ(20)をラベルの下端から下方に移動させると、容易に筒状シュリンクラベルからシリンダ(20)を引き抜くことができる。(e)これにより筒状シュリンクラベル(100)を鉛直した状態で製造することができる。
【0062】
次いで、(f)筒状シュリンクラベルの上部から容器(90)を降下させ、(g)筒状シュリンクラベル(100)を容器(90)に装着し、次いで(h)熱収縮処理を順次行う。熱収縮処理は、ラベルの熱収縮性基材フィルムの種類や厚さ、延伸率などによって適宜選択することができ、例えば、60〜230℃の熱風や、水蒸気及び水蒸気が結露した湯気により加熱するスチームや、赤外線等の輻射熱を作用させてシュリンクラベルを周方向に高収縮させ、容器の胴部をシュリンクラベルで被覆することができる。なお、上記は、シリンダ(20)を、筒状シュリンクラベルの下部側から引き抜き、上部側から容器を挿入する態様を示したが、筒状シュリンクラベルの上部側から引き抜き、下部側から容器を挿入する態様であってもよい。
【0063】
本発明では、前記したように、フィルムを水平方向に移動するだけでフィルムの切断、ラベルの筒状溶着を行うことができるため、鉛直に配置されたシリンダにまきつければラベルの筒状化を円滑かつ容易に行うことができ、シリンダの外部から炭酸ガスレーザー光を照射することで、簡便かつ確実にレーザー溶着部を行うことができる。
【0064】
(5)筒状シュリンクラベル付き容器
本発明の筒状シュリンクラベル付き容器は、上記筒状シュリンクラベル(100)が容器(90)の全長に亘って被覆するように装着されたものでもよく、容器(90)の上部のみ、下部のみ、蓋部のみ、など容器の一部のみに装着してもよい。更に、容器底部を包み込むように熱収縮させたり、容器蓋部から底部の全体に筒状シュリンクラベルを装着し、熱収縮させて、全面被覆することもできる。
【実施例】
【0065】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0066】
(実施例1)
115mm巾、フィルム厚さが50μmのポリプロピレン縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、25%)を使用し、ラベルデザイン印刷をラベル後端の溶着部を除いて裏刷りし、延伸方向に巻き取った。
【0067】
ラベラーに上記印刷ロールラベルをセット、延伸方向に繰り出してロータリーカッター部分で238mmの長さにカットして枚葉ラベルとした。
【0068】
前記枚葉ラベルの切断した先端部を前記シリンダにエアーで吸引しながら巻きつけ、ラベル両端部に8mmの重なりを設けて固定した。前記重なり部は、外側からPP/PP/デザイン印刷層/シリンダとなる。
【0069】
ラベル両端重なり部分に外側から、コヒレント社製、DIAMOND K−250(出力250W、100Hz、波長10.6μ)を使用し、パルス間隔500μs、パルス幅70μs、加工速度12m/minの条件でレーザ光を照射して溶着させた。なお、溶着線巾は約2mmとなるように焦点距離をずらしてレーザー光を照射し、これにより、筒状シュリンクラベルを調製した。
【0070】
次いで、前記筒状シュリンクラベルを500mLの変形PETボトルの上部から装着し、熱風式シュリンクトンネルで120℃×10秒加熱してラベルを収縮させた。
【0071】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例2)
フィルム厚さが50μmのポリプロピレン縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、25%)に代えて、フィルム厚さが50μmのポリエステル縦一軸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、50%、Tg81℃)を使用し、レーザー光の照射条件を、コヒレント社製、DIAMOND K−250(出力250W、100Hz、波長10.6μ)を使用し、パルス間隔500μs、パルス幅19μs、加工速度12m/minの条件で、溶着線巾が約2mmとなるように焦点距離をずらしてレーザー光を照射した以外は実施例1と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。
【0073】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表1に示す。
【0074】
また、接着部の横断面を図10に示す。
【0075】
(実施例3)
コヒレント社製、DIAMOND K−250(出力250W、100Hz、波長10.6μ)を使用し、レーザー光の照射条件を、ラベル両端重なり部分に外側から、パルス間隔500μs、パルス幅70μs、加工速度12m/minの条件でレーザ光を照射し、溶着線巾は約2mmとなるように焦点距離をずらしてレーザー光を照射して溶着させるとともに、前記溶着部12mmはなれた平行線上に、別途のコヒレント社製、DIAMOND K−250(出力250W、100Hz、波長10.6μ)で、パルス間隔500μs、パルス幅200μs、加工速度12m/minの条件でレーザ光をフォーカス照射し、ミシン目穴あけ加工を行った以外は、実施例1と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。
【0076】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。さらに、熱収縮後にミシン目部分からラベルを手で容易に剥がすことができた。結果を表1に示す。
【0077】
(実施例4)
フィルム厚さが25μmのポリプロピレン縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、25%)に代えて、115mm巾、フィルム厚さが25μmのPET縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、50%、Tg81℃)を使用し、コヒレント社製、DIAMOND K−250(出力250W、100Hz、波長10.6μ)を使用し、レーザー光の照射条件を、パルス間隔500μs、パルス幅43μs、出力35W、加工速度60m/min、溶着線巾2.9mm、に代えた以外は、実施例1と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。なお、接着強度は、剪断強度21N/15mm、剥離強度5.1N/15mm)であった。
【0078】
なお、剥離強度は、試験片を長さ50mm、幅15mmに切出し、端部をはがしてつまみしろを作成した。これを引張試験機(オリエンテック社製)を用いて、JIS K6854に準じて、180度剥離により300mm/分の引張速度で測定し、15mm当たりの剥離強度(単位:N/15mm)で評価した。また、剪断強度は、試験片を長さ70mm、幅15mmに切り出し、引張り試験機でJIS K6850に準じて300mm/分で測定した。
【0079】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例5)
115mm巾、フィルム厚さが25μmのPET縦一軸延伸フィルム(東洋紡社製、熱収縮率;100℃、10秒、50%、Tg81℃)を使用し、ラベルデザイン印刷をラベル後端の溶着部を除いて裏刷りし、および前記ラベル後端の溶着部に、ポリエステル樹脂(商品名「エリーテルUE3223」、Tg4℃)からなるレーザー光吸収剤層を8g/m2となるように裏印刷し、延伸方向に巻き取った。
【0081】
ラベラーに上記印刷ロールラベルをセット、延伸方向に繰り出してロータリーカッター部分で238mmの長さにカットして枚葉ラベルとした。
【0082】
前記枚葉ラベルの切断した先端部を前記シリンダにエアーで吸引しながら巻きつけ、ラベル両端部に4mmの重なりを設け固定した。前記重なり部は、外側側から、PET/レーザー光吸収剤層/PET/デザイン印刷層/シリンダとなる。
【0083】
ラベル重なり部に炭酸ガスレーザー光を照射して溶着した。照射条件は、コヒレント社製、DIAMOND K−250(出力250W、100Hz、波長10.6μ)を使用し、パルス間隔500μs、パルス幅70μs、加工速度12m/minの条件でレーザ光を照射して溶着させた。なお、溶着線巾は約2mmとなるように焦点距離をずらしてレーザー光を照射した。これにより、筒状シュリンクラベルを調製した。
【0084】
なお、接着強度は、剪断強度24N/15mm、剥離強度5.9N/15mmであった。
【0085】
次いで、前記筒状シュリンクラベルを500mLの変形PETボトルの上部から装着し、熱風式シュリンクトンネルで95℃×10秒加熱してラベルを収縮させた。
【0086】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表1に示す。
【0087】
(実施例6)
ポリエステル樹脂からなるレーザー光吸収剤層に代えて、ポリエステル樹脂(商品名「エリーテルUE3223」、Tg4℃)にパール顔料(メルク社製、商品名「レーザーフレア800」)を1:1で配合したレーザー光吸収剤層を8g/m2となるように裏印刷した以外は実施例2と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。なお、接着強度は、剪断強度30N/15mm、剥離強度6.5N/15mm)であった。
【0088】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表1に示す。
【0089】
(比較例1)
レーザー光の照射条件を、キーエンスML−Z9520;波長10.6μを使用し、出力9W、加工速度750mm/sec、押さえ圧;溶着部はフリー、溶着部両サイドの未照射部分にSUS材を仮置して固定し、焦点を合わせて加工した以外は実施例2と同様に操作し、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。結果を表1に示す。また、接着部の横断面を図11に示す。
【0090】
(比較例2)
図12に示すように、重ね部(37)の上側端部とラベル(30)の下側1枚部をまたいで、斜線で示す照射幅(36)にレーザー照射した以外は、実施例2と同様に操作した。この結果、溶着する前にラベルの下側1枚部分が切断された。
【0091】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る筒状シュリンクラベルは、炭酸ガスレーザー光で溶着によりラベルを筒状に成形するものであり、生産性高く、かつ接着剤を使用することなく筒状シュリンクラベルを製造することができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明の筒状シュリンクラベルを説明する斜視図である。
【図2】図2は、本発明で使用しうる容器であって、胴部のラベル溶着部における最大周径に対する最小周径(最小周径×100/最大周径(%))が、50〜100%の凹部を有するものを説明する図である。
【図3】図3は、本発明の筒状シュリンクラベル付き容器の好ましい態様の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の筒状シュリンクラベルを製造する工程を説明する図である。
【図5】図5は、本発明で使用できるラベルの層構成を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の筒状シュリンクラベル付き容器を製造する工程のうち、(a)ラベルのシリンダへのまき付け、(b)切断端の重ね、(c)重ね部のレーザー溶着部、(d)シリンダの下方への移動を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の筒状シュリンクラベル付き容器を製造する工程のうち、(e)筒状シュリンクラベルの鉛直、(f)容器の降下、(g)筒状シュリンクラベルの容器への装着、(h)熱収縮処理した筒状シュリンクラベル付き容器を説明する図である。
【図8】重ね部を押さえる場合の押さえ具の形状を説明する図である。
【図9】デフォーカスおよびフォーカス照射の際の、出力エネルギーと溶着幅との関係を説明する図である。
【図10】実施例2で製造した筒状シュリンクラベルのレーザー溶着部の切断断面図である。
【図11】比較例1で製造した筒状シュリンクラベルのレーザー溶着部の切断断面図である。
【図12】比較例2で炭酸ガスレーザーを照射する際の照射幅を説明する図である。
【符号の説明】
【0094】
10・・・熱収縮性基材フィルム、
13・・・外層、
15・・・印刷層、
17・・・レーザー吸収剤層、
20・・・シリンダ、
25・・・空気孔、
30・・・ラベル、
35・・・レーザー溶着部、
37・・・ラベル重ね部、
90・・・容器、
100・・・筒状シュリンクラベル、
110・・・押さえ具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性基材フィルムの延伸方向にあるラベル両端を溶着してなる筒状シュリンクラベルであって、
縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、
前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、
前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベル。
【請求項2】
前記重ね部の前記熱収縮性基材フィルムと熱収縮性基材フィルムとの間にレーザー光吸収剤層が積層され、前記炭酸ガスレーザー光をレーザー光吸収剤層に照射して前記重ね部を溶着することを特徴とする、請求項1記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項3】
前記熱収縮性基材フィルムが、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、およびこれらのフィルムの2種以上の積層フィルムであって、縦方向の熱収縮率が温度100℃で5〜85%である、請求項1または2記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項4】
前記ポリオレフィン系フィルムが縦一軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、前記ポリエステル系フィルムが縦一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムである、請求項3記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項5】
前記筒状シュリンクラベルは、熱収縮性基材フィルムのラベル最内層または最外層にデザイン印刷層を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項6】
前記重ね部にレーザ溶着部と平行に、1以上のミシン目列が形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の筒状シュリンクラベルを装着し、熱収縮処理してなる筒状シュリンクラベル付き容器。
【請求項8】
前記容器は、容器の筒状シュリンクラベル装着部の最大周径に対する最小周径(最小周径×100/最大周径(%))が50〜100%の凹部を有することを特徴とする、請求項7記載の筒状シュリンクラベル付き容器。
【請求項9】
前記重ね部の前記熱収縮性基材フィルムと熱収縮性基材フィルムとの間に、熱収縮性基材フィルムのガラス転位温度(Tg)よりも低いTgの樹脂からなるレーザー光吸収剤層が積層され、前記炭酸ガスレーザー光をレーザー光吸収剤層に照射して前記重ね部を溶着することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項10】
前記レーザー光吸収剤層は、更にパール顔料を含むことを特徴とする、請求項9記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項11】
縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、
前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、
前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、
前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベルの製造方法。
【請求項12】
前記炭酸ガスレーザー光の照射は、デフォーカスして行うものである、請求項11記載の筒状シュリンクラベルの製造方法。
【請求項13】
縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、
前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、
前記ラベルを鉛直に配置されたシリンダにまき付けて前記切断端を重ね、
前記重ね部を炭酸ガスレーザー光で溶着して筒状シュリンクラベルを成形し、
前記筒状シュリンクラベルの下部側または上部側から前記シリンダを抜き出し、かつラベルの上部側または下部側から容器を挿入して前記容器に筒状シュリンクラベルを装着し、
ついで熱収縮処理することを特徴とする、筒状シュリンクラベル付き容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−12780(P2009−12780A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173316(P2007−173316)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】