説明

筒状容器の方向規制装置

【課題】簡単な構成により筒状容器の周方向位置を一定方向に的確に揃えることができる小型で安価な筒状容器の方向規制装置を提供する。
【解決手段】筒状容器の方向規制装置1は、方向規制手段3が、複数の係合突起を外周に有し駆動モータ8で回転される駆動プーリ19と従動プーリ23とに巻き掛けた回転ベルト7と、筒状容器Bを接触させて案内する案内部材9とを備え、回転ベルト7と案内部材9が、コンベヤ2の搬送方向aに対して所定傾斜角度θで傾斜されてコンベヤ2の上方に配置され、それらのコンベヤ2の搬送方向aにおける下流側端部が、筒状容器Bを下流側へ1つずつ通過させる位置に設定され、筒状容器Bが、搬送されて案内部材9に接触して回転した後、その突起と回転ベルト7の係合突起が係合して周方向に位置決めされ、回転ベルト7により前記下流側端部へと移動される構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤによって直立状態で搬送される筒状容器の周方向の位置を一定方向を揃える筒状容器の方向規制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧品、薬品、飲料等を充填された容器(筒状容器)は、製品の名称、内容物等を記載したラベルを容器表面の一定位置に貼付した状態で出荷するために、コンベヤによって前記筒状容器を直立状態で搬送してラベル貼付装置に供給するまでの間に、方向規制装置によって筒状容器の周方向の位置を一定方向に揃えるようにしている。
従来、この種の筒状容器の方向規制装置として、ボトルを直立状態で載置して搬送するコンベヤと、ボトルのキャップ部に両側から当接してコンベヤと並行して走行する一対のベルトと、該一対のベルトを速度差をもたせて駆動する駆動装置とを備え、ガイドによって整列されてコンベヤで搬送されるボトルのキャップ部を、その両側から走行する一対のベルトで挟み着けてベルトの速度差により回転させ、ベルトの走行区間内でボトルが所定位置に回転するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、容器を直立状態で載置して搬送するコンベヤの両側に沿って走行する一対の方向規制ベルトを容器の直径に対応させて所要間隔をあけて配置し、該一対の方向規制ベルトを速度差を生じさせて移動させまたは異なる方向へ移動させて、ガイドによって一列に整列されて一対の方向規制ベルト間に送り込まれた容器を、その胴部を各方向規制ベルトに係合させることにより周方向に回転させて、その外周の所定面が一定方向を向くようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−338211号公報
【特許文献2】特開2005−306458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の筒状容器の方向規制装置は、いずれも、筒状容器を周方向に回転させるための容器回転ベルトをコンベヤの両側に2つ配置する必要があると共に、前記一対の容器回転ベルト間に容器を整列して送り込むガイドを設ける必要があるので、装置の構造が複雑となり、製造コストが高くなると共に、保守、点検が煩雑になる問題がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡単な構成により筒状容器の周方向位置を一定方向に的確に揃えることができる小型で安価な筒状容器の方向規制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明はに係る筒状容器の方向規制装置は、外周部に突起または凹部が設けられた筒状容器を直立状態でコンベヤ上に載置して一定方向へ搬送しながら、方向規制手段によって前記筒状容器の周方向の位置を一定方向に揃える筒状容器の方向規制装置であって、前記方向規制手段は、前記筒状容器の突起または凹部と係合し得る係合突起が長さ方向に間隔をあけて複数個設けられ、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられた無端状の索状部材と、前記駆動プーリを回転させて前記索状部材を循環移動させる駆動モータと、前記筒状容器をその外周面に接触して案内する案内部材とを備え、前記索状部材と案内部材が、それぞれ、コンベヤの搬送面から上方に異なる高さで所定間隔をあけ、かつコンベヤの搬送方向に対して同一の所定傾斜角度で傾斜されて配置されると共に、それらの前記コンベヤの搬送方向おける下流側となる端部が、前記筒状容器を下流側へ1つずつ通過させるに必要な距離だけ、コンベヤの幅方向の端部より内側に寄せられた位置に設定され、前記コンベヤによって搬送されて前記案内部材に接触された筒状容器が、その突起または凹部を索状部材の係合突起に係合されると、その係合状態を保ちながらコンベヤの搬送方向の上流側の位置から下流側の位置に向けて前記案内部材に沿って移動されることを特徴としている。
【0006】
この筒状容器の方向規制装置においては、前記コンベヤで一列に整列することなく無作為に上流側から下流側へ向けて搬送されてくる筒状容器が、前記方向規制手段の案内部材に当接すると、案内部材の傾斜面に接触しながら周方向に自転して、その突起または凹部が索状部材側に向いたところで順次索状部材の係合突起と係合し、この係合によって筒状容器は周方向の回転位置を規制された後、該規制された回転位置を保ちながら、前記索状部材の移動に従い、案内部材に沿ってその下流側に搬送され、該下流側の端部から離脱してコンベヤの下流側へ搬送される。
【0007】
前記筒状容器の方向規制装置において、前記案内部材を、コンベヤの搬送方向の上流側を向く面に摩擦付与部が設けられた構成とすると、筒状容器の周方向への回転が確実に行われ、その突起または凹部が索状部材側へ確実に向けられるので、索状部材の係合突起を筒状容器の突起または凹部に容易に係合させることができる。
【0008】
前記筒状容器の方向規制装置において、前記案内部材を、前記索状部材に対するコンベヤの搬送方向への位置を移動調節可能に設けることが好ましい。
このようにすると、前記案内部材に接触する筒状容器と索状部材との間の間隔を調節することができるので、筒状容器の突起または凹部に対する索状部材の係合突起の係合状態を適正に調節することができる。
【0009】
前記筒状容器の方向規制装置において、前記索状部材を、伝動用のタイミングベルトを裏返して形成された構成とすることができる。
これによると、前記索状部材を既製品によって入手が容易であると共に、索状部材が柔軟性を有することから、コンベヤによって搬送されてくる筒状容器の突起または凹部と衝撃無く柔軟に接触係合して、筒状容器の回転位置決めを行いながら下流側へと円滑、静粛に移動させることができ、筒状容器に損傷を与えるおそれもない。
【0010】
前記筒状容器の方向規制装置において、前記索状部材におけるコンベヤの搬送方向の上流側を移動する索状部の裏面に沿って索状部を案内するガイド板を設けた構成とするのが好ましい。
このようにすると、前記筒状容器の当接によって前記索状部材が撓むのを防止することができ、その係合突起を筒状容器の突起または凹部にしっかりと係合させて、索状部材の下流側の端部まで筒状容器の周方向の位置決め状態を確実に維持しながら移動させることができる。
【0011】
前記筒状容器の方向規制装置において、前記索状部材の移動速度がコンベヤの搬送速度より低速度に設定されるのが好ましい。
このようにすると、筒状容器が前記案内部材の下流側の端部に移動したときに、索状部材の係合突起から筒状容器の突起または凹部が迅速、円滑に離脱するので、筒状容器はその周方向に位置決めされた突起または凹部の位置ずれを起こすことなく、コンベヤの下流側へ搬送される。
【0012】
また、本発明に係る筒状容器の方向規制装置は、外周部に突起または凹部が設けられた筒状容器を直立状態でコンベヤ上に載置して一定方向へ搬送しながら、方向規制手段によって前記筒状容器の周方向の位置を一定方向に揃える筒状容器の方向規制装置であって、前記方向規制手段は、前記コンベヤによって搬送される前記筒状容器の外周部と突起または凹部とをコンベヤの搬送方向の上流側を向く面に係合させる係合案内部材が、コンベヤの搬送面から上方に所定間隔をあけ、かつコンベヤの搬送方向に対して所定の傾斜角度で傾斜して配置されてなり、前記係合案内部材における前記コンベヤの搬送方向の下流側となる端部が、前記筒状容器を下流側へ1つずつ通過させるに必要な距離だけ、コンベヤの幅方向の端部より内側に寄せられた位置に設定されていることを特徴としている。
【0013】
この筒状容器の方向規制装置においては、前記コンベヤで一列に整列することなく無作為に上流側から下流側へ向けて搬送されてくる筒状容器が、前記方向規制手段の係合案内部材に当接すると、係合案内部材の傾斜面に接触しながら周方向に自転して、その外周部と突起または凹部とがコンベヤの搬送方向の上流側を向く面に向いて該面に係合したところで、筒状容器はその周方向の回転位置を規制される。この後、筒状容器は規制された回転位置を保ちながら、コンベヤの搬送方向の下流側への移動に伴い、前記係合案内部材に沿ってその下流側に搬送され、該下流側の端部から離脱してコンベヤの下流側へ搬送される。
【0014】
この筒状容器の方向規制装置において、前記係合案内部材におけるコンベヤの搬送方向の下流側となる端部に、案内面が前記係合案内部材におけるコンベヤの搬送方向の上流側を向く面に沿ってコンベヤの幅方向の外側へ延長した第1位置と、前記案内面がコンベヤの幅方向の外側を向い前記端部からコンベヤの搬送方向の下流側に延長した第2位置との間で水平旋回する旋回案内部材が設けられ、該旋回案内部材が、第1位置にある案内面に前記筒状容器の外周部と突起が係合されたときに、旋回駆動手段によって前記第2位置へ旋回される構成とするのが好ましい。
このようにすると、筒状容器が前記係合案内部材から離れてコンベヤの下流側へ移動するときに、周方向に位置決めされた筒状容器が係合案内部材の裏側に回り込む現象を防止することができるので、筒状容器は、その周方向に位置決めされた突起または凹部の位置ずれを起こすことなく、コンベヤの下流側へ搬送される。
【0015】
前記各筒状容器の方向規制装置において、前記案内部材または係合案内部材のコンベヤの搬送方向に対する傾斜角度を変更調節可能にすると、筒状容器の形状大きさ、コンベヤの搬送速度等に対応させて、前記案内部材または係合案内部材に沿ってそれらの下流側に移動する筒状容器の移動速度を適正に調節して、筒状容器の周方向の位置決め動作を円滑に行わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る筒状容器の方向規制装置によれば、コンベヤによって無作為に上流側から下流側へ向けて搬送されてくる筒状容器が、方向規制手段の案内部材または係合案内部材に接触して周方向に自転して突起又は凹部を索状部材に係合され、または係合案内部材に係合され、これらの係合によって筒状容器の周方向の回転位置が確実に一定方向を向くように規制することができる。また、この筒状容器の方向規制装置は、コンベヤの上方に1つの方向規制手段をコンベヤの搬送方向に対して傾斜させて設けるだけで所望の機能を確実に達成することができ、構造が極めて簡単であり、安価に製作することができると共に、保守、点検も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置について添付図面を参照して説明する。
図1〜図8は本発明の第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1を示す。この方向規制装置1は、筒状容器Bを載置して一方(図1で左方)から他方(図1で右方)へ搬送するベルトコンベヤ(以下、単に「コンベヤ」という)2と、該コンベヤ2の搬送ベルト2bの上面(搬送面)から上方に所定間隔をあけ、かつコンベヤ2の搬送方向aに対して所定の傾斜角度θをもって傾斜させて配置され、前記コンベヤ2によって搬送される前記筒状容器Bと係合してその周方向の位置を一定方向に揃える方向規制手段3とを備えている。
前記コンベヤ2は、脚部4aによって床面に設置された架台4に支持部材4bを介して一端側を支持され、他端側を支持脚5によって支持された水平のフレーム2aと、該フレーム2の両端部に配置された図示しない駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられた搬送ベルト2bと、前記駆動プーリを回転させる駆動モータ(図示せず)とを備え、該駆動モータの作動による前記駆動プーリの回転で前記搬送ベルト2bが前記搬送方向aに所定の速度(例えば、略10m/min)で移動するようになっている。
【0018】
前記方向規制手段3は、前記コンベヤ2に対して傾斜角度θをもって傾斜してコンベヤの上方に設けた長尺平板状の支持フレーム6と、該支持フレーム6の下側に支持されて支持フレーム6の傾斜に沿って移動する無端状の回転ベルト(索状部材)7と、該回転ベルト7を前記コンベヤ2の搬送速度より遅い所定の移動速度(例えば、略8m/min)で回転移動させる駆動モータ8と、前記回転ベルト7の下位に位置して前記支持フレーム6に支持され、その傾斜に沿って長手方向に延長されている案内部材9とを備えている。
前記回転ベルト7と案内部材9は、そのコンベヤ2の幅方向における一側(図1、図3で上側)がコンベヤ2の搬送方向aの上流側に位置され、他側(図1、図3で下側)がコンベヤ2の搬送方向aの下流側に位置され、該下流側となる端部は、前記筒状容器Bを下流側へ1つずつ通過させるに必要な距離だけ、コンベヤ2の幅方向の端部より内側に寄せられた位置に設定されている。
【0019】
前記コンベヤ2のフレーム2aの一側(図1、図3で上側)の外面には、支持板10がボルト10aで固定されており、該支持板10には、L字形の台板11がその水平板11aを前記フレーム2aの他側(図1、図3で下側)に向けてコンベヤ2に対して直角(幅方向)に向けて延長され、垂直板11bを介してボルト11cにより取り付けられている。該ボルト11cを挿通する前記垂直板11bのボルト穴11dは上下に長い長穴とされると共に、前記水平板11aの基部側に上下方向に螺合させた調整ボルト12の下端が前記支持板10の上端に当接され、前記調整ボルト12を回転させることにより、前記ボルト穴11dの範囲内で台板11の高さ位置が上下に調節可能となっている。
【0020】
また、前記台板11の水平板11aの上面には、該水平板11aの長さ方向に延長された矩形板状の支持板13が、該支持板13にその長さ方向に向けて長く形成したボルト穴13aに挿通させたボルト13bを前記台板11の水平板11aに螺合させ、ボルト穴13aの範囲内でコンベヤ2に直角な方向に移動調節可能に取り付けられている。
そして、前記支持フレーム6が、水平にされた状態でその基端側(図3、図4で右端側)の幅広部6aの略中央の設けた軸孔6bを、前記支持板13に下から鉛直に装着された軸ピン14に嵌合されて、座金14aとボルト14bで止められ、水平面内で旋回可能に支持板13に支持されている。前記支持フレーム6の幅広部6aの外端側には前記軸ピン14と同心の円弧状に形成されたボルト穴6bが設けられ、該ボルト穴6bを通して前記支持板13に螺合させた一対のボルト15によって、前記支持フレーム6が支持板13に固定されるようになっている。前記支持板13に対する支持フレーム6の旋回調節は、前記円弧状のボルト穴6bの両端部がボルト15に当接されまでの範囲であって、前記傾斜角度θを例えば15°〜45°の範囲で調節し得るようになっている。
【0021】
また、前記支持フレーム6の幅広部6aの上面には、前記駆動モータ8がその出力軸を下側に向けて取り付けられ、該出力軸には、前記支持フレーム6の下面に支持片16を介して支持された軸受箱17の軸受によって水平面で回転自在に支持されたプーリ軸18が連結され、該プーリ軸18には駆動プーリ19が固定されている。一方、前記支持フレーム6の先端部(図3、図4で左端部)の下面には、下面に軸受箱20を垂直に固定された支持板21がボルト21aで取り付けられている。前記軸受箱20内の軸受にはプーリ軸22が水平面内で回転自在に支持されており、該プーリ軸22の下端には従動プーリ23が固定されている。前記駆動プーリ19と従動プーリ23は前記コンベヤ2の搬送ベルト2bの上面から同一の高さ位置に設定されて、それらに前記回転ベルト7が長円形で無端状に巻き掛けられ、該回転ベルト7はコンベヤ2の搬送ベルト2bの上面から上方へ所定間隔をあけた平面内を循環移動するようになっている。
【0022】
前記支持板21の前記ボルト21aを挿通するボルト穴21bが、図3、図7に示すように前記支持フレーム6の長手方向に沿う長穴に形成され、ボルト穴21bの範囲内で支持板21を支持フレーム6に対して移動調節することにより、前記駆動プーリ19と従動プーリ23との間隔を変えて前記回転ベルト7の張力を調整できるようになっている。
前記回転ベルト7は、ゴム、ゴムや合成樹脂に織布を複合させたもの等の材料からなる長尺の帯状ベルト(索状部)7aの外周面に、外側に所定量突き出した突起(係合突起)7bを帯状ベルト7aの長手方向に所定間隔をあけて複数設けたものであり、例えば、伝動用のベルトとして周知のタイミングベルトを裏返しにして使用することができ、その歯部が前記突起7bの役目を果たす。
【0023】
前記支持フレーム6の下面の後端部(コンベヤ2の搬送方向aの下流側端部、図3で上端部、図8で右端部)には、支持フレーム6の基端側に寄った位置と先端側に寄った位置とに、一対の支持部材24,24がボルト24aによって上下方向に向けて垂直に固定されており、これらの支持部材24,24の下端側には、前記案内部材9が前記コンベヤ2の搬送ベルト2bの上面から上方に平行に所定間隔離間して掛け渡されている。
すなわち、図7、図8に示すように、前記各支持部材24の後側(図8で右側)には支持片25が上下方向に向けてボルト25aで固定されており、該支持片25の下端部に設けた貫通穴25bに支軸26が支持片25に直交する方向に挿通されている。前記支軸26は、これに螺合され前記支持片25を前後から挟み着けるように設けられたロックナット27と調整ナット28とにより前記支持片25に固定されている。そして、前記支軸26の先端部(コンベヤ2の搬送方向の上流側の端部、図8で左端部)に前記案内部材9が螺着され、ナット26aで固定されている。
前記案内部材9は、ロックナット27と調整ナット28の支軸26に対する螺合位置を変えることにより、前記支軸26の支持片25から前方(図8で左方)への突出量を調節して、前記回転ベルト7に対するコンベヤ2の搬送方向aにおける位置を移動調節することが可能となっている。図示の例では、前記筒状容器Bの形状の関係で、前記案内部材9が回転ベルト7の突起7aの先端の循環移動面よりもやや前側の位置(コンベヤ2の搬送方向aの上流側となる位置)となるように調節されている。
【0024】
前記案内部材9の前面(コンベヤ2の搬送方向の上流側面、図8で左側面)には、薄いゴム板からなる帯状の摩擦付与部材(摩擦付与部)29が、案内部材9の長手方向の全域にわたって貼付して設けられている。前記摩擦付与部材29は、ゴム板に限らず、筒状容器Bの外周面が前記案内部材9に接触したときに、その接触部に適度な摩擦を付加する部材であればよく、スポンジや織布、前記案内部材9の前面に直接に機械加工を施して縦横の微細な溝や凹凸による粗面を形成したものでもよい。
なお、前記支持片25は、これを前記支持部材24へ固定するボルト25aの挿通穴25cが上下方向に長い長穴とされており、該挿通穴25cの上下端部がボルト25aに当接するまでの範囲内で上下に移動調節が可能であり、この移動調節により前記案内部材9のコンベヤ2の搬送ベルト2aの上面からの高さを調整し得るようになっている。
【0025】
また、前記各支持部材24の前側(図8で左側)には、クランク状に折曲された支持片30が上下方向に向けてボルト30aで固定されており、該支持片30の前側に突き出した下端部は、前記回転ベルト7における前側(コンベヤ2の上流側)を移動する帯状ベルト7aの内側に隣接した位置に延出されており、該下端部には、前記回転ベルト7の幅とほぼ同じ幅を有し前面側が平滑に仕上げられた長尺のガイド板31がボルト31aによって取り付けられている。前記ガイド板31は、前記回転ベルト7の前側を移動する帯状ベルト7aの裏面に沿って近接され、前記駆動プーリ19と従動プーリ23との間の略全長(前記案内部材9と略同じ長さ)にわたって配置されている。
【0026】
なお、前記架台4における前記方向規制装置1の設置側と反対の他側(図1で下側)の上面には、前記コンベヤ2によって搬送されて、方向規制装置1によって周方向の位置を規制された筒状容器Bの外周面にラベルを貼付するラベル貼付装置35が設置され、また、コンベヤ2のフレーム2aには、前記方向規制装置1の下流側に位置して前記ラベル貼付装置35で筒状容器Bに貼付されたラベルを押し付けて筒状容器Bに密着させるラベル転圧装置36が設置されている。
【0027】
次に、前記のように構成された筒状容器の方向規制装置1の作用について図9を参照しながら説明する。
前記筒状容器Bは、例えば、下端より上端がやや径大となるテーパを外周面に付けられた円筒状をした容器本体B1の内部に飲料が充填され、容器本体B1の上端の開口部をアルミニウム製の蓋B2で密閉され、蓋B2の上に合成樹脂製のキャップB3を被せたものである。そして、前記蓋B2の外周の一箇所には、容器本体B1から蓋B2を取り外すための取っ手(突起)B4が、半径方向に突き出して下方へ折り曲げた状態で設けられている。
【0028】
前記方向規制装置1においては、予め、前記調整ボルト12によって支持板10に対する台板11の高さを調節することにより、前記回転ベルト7と案内部材9のコンベヤ2の搬送ベルト2bの上面からの高さを筒状容器Bの大きさに対応させて調整する。また、前記ボルト穴6aとボルト15とによって、前記軸ピン14を中心にして前記台板11上の支持板13に対する前記支持フレーム6の取付角度を調節して、前記支持フレーム6のコンベヤ2の搬送方向aに対する傾斜角度θを、筒状容器Bの直径の大きさ、コンベヤ2の搬送速度や回転ベルト7の移動速度等に対応させて調節する。さらに、さらに、前記筒状容器Bの突起B4の高さ方向の位置や半径方向への突出量等に対応させて、ボルト25aとその挿通穴25cとにより、前記支持フレーム6の支持部材24に対する支持片25の高さを調節すると共に、前記ロックナット27と調整ナット28とにより、前記支持部材24に対する支軸26の軸方向における固定位置を調節し、前記案内部材9の筒状容器Bの外周部に対する接触位置と前記回転ベルト7の突起7bに対する筒状容器Bの突起B4との係合状態とを微調整する。
【0029】
このように調整された前記方向規制装置1が作動されると、前記コンベヤ2が作動されてその搬送ベルト2bが搬送方向aに移動されると共に、前記方向規制手段3の駆動モータ8が作動されて、回転ベルト7が、その前側の帯状ベルト7aをコンベヤ2の上流側に位置する従動プーリ23から下流側に位置する駆動プーリ19側に向けて矢印bの方向に移動される。この状態で、前記コンベヤ2の前方に設置された他のコンベヤ等の容器供給装置(図示せず)によって、前記筒状容器Bが、前記コンベヤ2の上流側の一端側(図1、図3、図9で上端側)において、搬送ベルト2b上に直立状態とされて、容器整列装置を使用することなく、連続的して無作為に一列に供給される。
【0030】
前記コンベヤ2の搬送ベルト2bに供給された筒状容器Bは、直立状態を保って順次前記方向規制手段3の前面に搬送されて行き、その容器本体B1の外周部が、前記案内部材9の前面に当接されると、該案内部材9がコンベヤ2の搬送方向aに対して傾斜している関係で、搬送ベルト2bによる搬送方向aへの推力fが、前記案内部材9に対する筒状容器Bの当接点からコンベヤ2の搬送方向aに直角な方向に距離hだけ偏心して筒状容器Bに作用するために、該筒状容器Bに回転モーメントが生じる。これにより、筒状容器Bが図9で矢印cの方向(反時計方向)に回転しながら、案内部材9の一端側(上流側)から他端側(下流側)へ向けて矢印bの方向へと移動するので、これに伴って、任意の周方向位置にあった筒状容器Bの突起B4が、回転ベルト7側へ回転移動して行き、該回転ベルト7の前側を移動する帯状ベルト7aに対面したところで、その突起7bに引っ掛けられ(係合され)る。
【0031】
前記筒状容器Bが回転ベルト7側へ回転して帯状ベルト7aに対面したときに、タイミング良く突起B4が回転ベルト7の突起7bに係合されなかった場合でも、回転ベルト7には多数の突起7bが設けられており、それが連続して移動して来るので、筒状容器Bが繰り返し回転してコンベヤ2の他端側(下流側)に移動する間に突起B4が回転ベルト7の突起7bに確実に係合される。
前記回転ベルト7の突起7bに筒状容器Bの突起B4が係合されると、筒状容器Bは、回転を止められて底面がコンベヤ2の搬送ベルト2bの表面を滑りながら、回転ベルト7の他端側まで移動され、該他端側において回転ベルト7の突起7bがコンベヤ2の搬送方向aに直角な方向を向いたときに、突起7bから筒状容器Bの突起B4が係合を解かれて、筒状容器Bは前記突起B4を一定方向(コンベヤ2の幅方向の内側)に向けた状態で、前記回転ベルト7と案内部材9の他端部から離れてコンベヤ2の他端部側の部分によって順次1つずつ搬送方向aの下流側へ搬送される。
【0032】
前記筒状容器Bが突起B4の位置をコンベヤ2の幅方向の内側に向けて方向規制手段3からコンベヤ2の下流側へ搬送されると、該方向規制手段3に隣接して設置されているラベル貼付装置35において、供給リール35aに巻き付けたテープTにその長手方向に沿って貼付されている多数のラベルRが、ラベル貼付部35bにおけるテープ折返し部35cで折り返されて巻取リール35dにテープTが巻き取られる過程で、テープTから剥がされ、のり面を前記筒状容器B側に向けられ、ラベル貼付部35の先端部のローラ35eによって筒状容器Bの前記突起B4と反対側の外周面に貼付される。前記ラベルRが貼付された筒状容器Bは、コンベヤ2によって更に下流側に搬送される途上で、前記転圧装置36の転圧ベルト36aと押圧部材36bとによって外周面を押圧されることにより、筒状容器Bの外周面にラベルRが密着された後、コンベヤ2から取り外されて次の処理工程に搬送される。
【0033】
以上説明したように、前記実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1は、前記方向規制手段3が、前記筒状容器Bの突起B4と係合し得る突起7bが長さ方向に間隔をあけて複数個設けられ、駆動プーリ19と従動プーリ23とに巻き掛けられた無端状の回転ベルト7と、前記駆動プーリ19を回転させて前記回転ベルト7を循環移動させる駆動モータ8と、前記筒状容器Bをその外周面に接触して案内する案内部材9とを備え、前記回転ベルト7と案内部材9が、それぞれ、コンベヤ2の搬送ベルトの上面から上方に異なる高さで所定間隔をあけ、かつコンベヤ2の搬送方向aに対して同一の所定傾斜角度θで傾斜されて配置されると共に、それらの前記コンベヤ2の搬送方向aおける下流側となる端部が、前記筒状容器Bを下流側へ1つずつ通過させるに必要な距離だけ、コンベヤ2の幅方向の端部より内側に寄せられた位置に設定され、前記コンベヤ2によって搬送されて前記案内部材9に接触された筒状容器Bが、その突起B4を回転ベルト7の突起7bに係合されると、その係合状態を保ちながらコンベヤ2の搬送方向aの上流側の位置から下流側の位置に向けて前記案内部材9に沿って移動される構成とされている。
【0034】
したがって、前記実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1によれば、コンベヤ2によって無作為に上流側から下流側へ向けて搬送されてくる筒状容器Bが、方向規制手段3の案内部材9に接触して周方向に自転して突起B4を回転ベルト7に係合され、この係合によって筒状容器Bの周方向の回転位置が確実に一定方向(コンベヤ2の幅方向の内側を向く方向)を向くように規制することができる。また、この筒状容器Bの方向規制装置1は、コンベヤ2の上方に1つの方向規制手段3(回転ベルト7と案内部材9の組合せ)をコンベヤ2の搬送方向aに対して傾斜させて設けるだけで所望の機能を確実に達成することができ、構造が極めて簡単であり、安価に製作することができると共に、保守、点検も容易に行うことができる。することができる。
【0035】
また、前記実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1によれば、前記案内部材9におけるコンベヤ2の搬送方向aの上流側を向く面に摩擦付与部材29が設けられているので、筒状容器Bが案内部材9に接触するとその周方向への回転が確実に行われ、その突起B4が回転ベルト7側へ確実に向けられるので、回転ベルト7の突起7bを筒状容器Bの突起B4に容易に係合させることができる。
また、前記案内部材9が前記回転ベルト7に対するコンベヤの搬送方向aへの位置を移動調節可能に設けられているので、前記案内部材9に接触する筒状容器Bと回転ベルト7との間の間隔を調節することができ、筒状容器Bの突起B4に対する回転ベルト7の突起7bの係合状態を適正に調節することができる。
【0036】
また、前記回転ベルト7が伝動用のタイミングベルトを裏返して形成されているので、前記回転ベルト7を既製品によって容易に入手できると共に、回転ベルト7が柔軟性を有することから、コンベヤ2によって搬送されてくる筒状容器Bの突起B4と衝撃無く柔軟に接触係合して、筒状容器Bの回転位置決めを行いながら下流側へと円滑、静粛に移動させることができ、筒状容器Bに損傷を与えるおそれもない。
また、前記回転ベルト7におけるコンベヤ2の搬送方向aの上流側を移動する帯状ベルト7aの裏面に沿って該帯状ベルト7aを案内するガイド板31を設けたので、前記筒状容器Bの当接によって前記回転ベルト7が撓むのを防止することができ、その突起7bを筒状容器Bの突起B4にしっかりと係合させて、回転ベルト7の下流側の端部まで筒状容器Bの周方向の位置決め状態を確実に維持しながら移動させることができる。
【0037】
さらに、前記回転ベルト7の移動速度をコンベヤ2の搬送速度より低速度に設定したので、筒状容器Bが前記案内部材9の下流側の端部に移動したときに、回転ベルト7の突起7bから筒状容器Bの突起B4が迅速、円滑に離脱され、これにより、筒状容器Bを、その周方向に位置決めされた突起B4が位置ずれを起こすことなく、コンベヤ2の下流側へ搬送することができる。
また、前記支持フレーム6を介して前記回転ベルトと案内部材9のコンベヤ2の搬送方向aに対する傾斜角度θを変更調節可能にしたので、筒状容器Bの形状大きさ、コンベヤ2の搬送速度、回転ベルトの移動速度等に対応させて、前記案内部材9に沿ってそれらの下流側に移動する筒状容器Bの移動速度を適切に調節して、筒状容器Bの周方向の位置決め動作を円滑に行わせることができる。
【0038】
なお、前記筒状容器の方向規制装置1においては、前記回転ベルト7を前記案内部材9の上位に設けたが、回転ベルト7と案内部材9の上下の関係位置は、筒状容器Bの高さ寸法や前記突起B4の存在位置等によって適宜変更することができる。また、前記索状部材として帯状部7aに突起7bを設けた回転ベルト7を使用したが、これに代えて、無端状に連結したワイヤーロープやチェーンに突起を設けたものを使用することもできる。こ場合には、前記各プーリ19,23に代えてロープホイールやするポケットホイールが使用される。
【0039】
なお、前記第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1においては、直径に対して背丈が高く、頂部付近に突起B4を有する筒状容器Bを対象としたので、前記方向規制手段3を、前記回転ベルト7と、該回転ベルト7を循環移動させる駆動モータ8と、筒状容器Bをその外周部に接触させて下流側へ案内する案内部材9等とによって構成したが、本発明はこれに限らず、例えば、化粧用のコンパクトケースのように、円盤状のケース本体K1にヒンジ部(突起)K2で蓋K3を開閉自在に設け、蓋K3の前記突起K2と反対側に蓋あけ用の指掛けK4を設けた扁平な容器(筒状容器)Kを対象とする場合には、前記回転ベルト7と駆動モータ8を省略することができる。
【0040】
次に、図10〜図13は前記回転ベルト7と駆動モータ8を省略した第2の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1Aを示す。
この実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1Aにおいては、前記案内部材9に代わる係合案内部材9Aが、案内部材9と同様に前記支軸26に取り付けられて、コンベヤ2の搬送方向aに対して傾斜角度θをもって傾斜されて配置されている。前記係合案内部材9Aは、横断面がL字形をしており、その前方へ突き出した水平部9aが、前記案内部材9よりもコンベヤ2の搬送ベルト2bの上面に近接された高さ位置に設定され、該水平部9aの先端面9bに、コンベヤ2によって搬送されてくる筒状容器Kの外周部と突起K2が接触、係合するようになっている。前記水平部9aの先端面9bには前記摩擦付加部材(摩擦付加部)29が設けられている。
【0041】
また、前記係合案内部材9Aにおける前記コンベヤ2の搬送方向aの下流側となる端部には、ピン40に支持されてシリンダ、電磁アクチュエータ等のアクチュエータ(旋回駆動手段)41によって水平旋回される旋回板(旋回案内部材)42が設けられている。前記旋回板42は、その前記筒状容器Kが接触係合する案内面42aが、前記係合案内部材9Aにおけるコンベヤ2の搬送方向aの上流側を向く先端面9bに面一に沿ってコンベヤ2の幅方向の外側へ延長した第1位置p1と、前記案内面42aがコンベヤ2の幅方向の外側を向いて前記係合案内部材9Aの端部からコンベヤ2の搬送方向aの下流側に延長した第2位置p2との間で水平旋回するようになっている。
【0042】
そして、前記コンベヤ2のフレーム2aには、コンベヤ2上を上流側から下流側へ移動する筒状容器Kの通過路を挟むようにして発光器43aと受光器43bとからなる光センサ43が設置されており、前記係合案内部材9Aに沿って下流側へ移動して第1位置p1にある旋回板42に前記筒状容器Kの外周部と突起K2が接触係合したとき、前記発光器43aからの光が前記筒状容器Kの突起K2に遮られ、これによる受光器43bからの信号にもとづいて前記アクチュエータ41のロッドが収縮作動し、前記旋回板42が前記第2位置p2に旋回され、また、前記筒状容器Kが光センサ43の位置を通過したときに、発光器43aからの光を受光して発信する受光器43bからの信号にもとづいて前記アクチュエータダ41のロッドが伸長作動し、前記旋回板42が前記第1位置p1に旋回されるようになっている。
その他の構成は、第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1と同様であるので、同様の構成部分には同一の符号を付して、それらの説明は省略する。
【0043】
この第2の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1Aにおいては、図13に示すように、前記コンベヤ2が作動され、前記コンベヤ2の上流側の一端側(図13で上端側)における搬送ベルト2a上に前記筒状容器Kが連続的して無作為に一列に供給されると、搬送ベルト2bの搬送方向aへの移動に伴って筒状容器Kは順次前記方向規制手段3の前記係合案内部材9Aの前面に搬送されて行き、その容器本体K1の外周部が、前記係合案内部材9Aの先端面9bに当接される。すると、前記係合案内部材9Aがコンベヤ2の搬送方向aに対して傾斜している関係で、第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1の場合と同様に、前記筒状容器Kに回転モーメントが生じ、これにより、該筒状容器Kが図13で矢印c方向(反時計方向)に回転しながら、前記係合案内部材9Aの一端側から他端側へと移動するする。これに伴って、任意の周方向位置にあった筒状容器Kの突起K2が、係合案内部材9Aの先端面9b側へ回転移動して行き、突起K2の角が係合案内部材9Aの先端面9aに当接したところで、筒状容器Kの突起K2の角と該突起K2に隣接の筒状容器Kの外周部との二箇所で筒状容器が係合案内部材と接触係合して回転を停止される。前記係合案内部材9Aに接触係合して回転を停止された筒状容器Kは、その姿勢を保持して係合案内部材9Aに沿ってコンベヤ2の搬送ベルト2bの上面を滑りながら下流側の端部まで移動する。
【0044】
そして、係合案内部材9Aの下流側の端部に移動した筒状容器Kは、更に、第1位置p1に位置された案内板42まで移動し、前記係合案内部材9Aの先端面9bに面一とされた案内面42aに姿勢を変えることなく接触係合する。その際、前記光センサ43の発光器43aから発光された光が前記筒状容器Kの突起K2によって遮られるので、これを受光器43bが検知してはアクチュエータ41を作動させ、該アクチュエータ41が前記案内板42をすばやく第2位置p2に旋回させる。これにより、前記筒状容器Kがコンベヤ2の搬送方向aの下流側へ移動する通路があけられるので、該筒状容器Kは前記突起K2を一定方向(コンベヤ2の搬送方向a)に向けた状態で、前記係合案内部材9Aの下流側の端部から離れてコンベヤ2の他端部側の部分によって1つずつ搬送方向aの下流側へ搬送される。なお、筒状容器Kの1つが前記係合案内部材9Aの下流側の端部を離れてコンベヤ2の搬送方向aの下流側へ移動する毎に、それを光センサ43が検知してアクチュエータ41が作動されて、前記案内板42が第1位置p1に戻される。
【0045】
このように、筒状容器Kが前記係合案内部材9Aから離れてコンベヤ2の搬送方向aの下流側へ移動するときに、筒状容器Kを旋回板42に一旦接触係合させた後、前記アクチュエータ41により前記旋回板42を第1位置p1から第2位置p2へ旋回させると、係合案内部材9Aによって周方向に位置決めされた筒状容器Kが係合案内部材9Aの裏側に回り込む現象を防止することができるので、前記筒状容器Kを、その周方向に位置決めされた突起K2が位置ずれを起こすことなく、コンベヤ2の搬送方向aの下流側へ搬送させることができる。
なお、前記支持フレーム6を介して前記係合案内部材9Aのコンベヤ2の搬送方向aに対する傾斜角度θを変更調節することにより、筒状容器Bの形状大きさ、コンベヤ2の搬送速度等に対応させて、前記案内部材9に沿ってそれらの下流側に移動する筒状容器Kの移動速度を適切に調節して、筒状容器Kの周方向の位置決め動作を円滑に行わせることができる。
前記第2の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1Aによれば、前記第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1と同様な作用効果が奏されると共に、前記方向規制手段3が第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1のように、前記回転ベルト7とこれを循環移動させる駆動モータ8を備えていないので、その分構成が簡単となり、実施が容易である。
【0046】
なお、前記各実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置1,1Aにおいて、筒状容器として、円筒状容器B、円盤状容器Kの外周に突起B4,K2を設けられたものを処理の対象としたが、筒状容器の外形は、円筒状、円盤状に限らず、三角形以上の多角形の角部を大きな円弧状面として、前記案内部材9や係合案内部材9Aに外周部を接触させてそれらに沿って自転し得る全体として円形に近い形状のものであってもよく、突起B4,K2の代わりに筒状容器の外周に前記索状部材(回転ベルト)7の突起7bに係合し、または前記係合案内部材9に接触係合して、筒状容器の周方向の位置決め可能な凹部が形成されたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置を示す平面図である。
【図2】同じく正面図である。
【図3】図1のX部の拡大部図である。
【図4】図3の一部を断面で示したイ矢視図である。
【図5】図4のロ矢視図である。
【図6】図5のハ矢視図である。
【図7】図4のY部を一部断面で示した拡大図である。
【図8】図7のニ−ニ断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置の作用を示す説明図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置を示す平面図である。
【図11】同じく一部を断面で示した正面図である。
【図12】図11のホ−ホ断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る筒状容器の方向規制装置の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 方向規制装置
2 コンベヤ
2b 搬送ベルト
3 方向規制手段
4 架台
6 支持フレーム
7 回転ベルト(索状部材)
7a 帯状ベルト(索状部)
7b 突起(係合突起)
8 駆動モータ
9 案内部材
9A 係合案内部材
10,13 支持板
11 台板
14 軸ピン
18,22 プーリ軸
19 駆動プーリ
23 従動プーリ
24 支持部材
25,30 支持片
26 支軸
29 摩擦付与部材(摩擦付与部)
31 ガイド板
41 アクチュエータ(旋回駆動手段)
42 旋回板(旋回案内部材)
43 光センサ
B,K 筒状容器
B1 容器本体
B4 取っ手(突起)
K1 ケース本体
K2 ヒンジ部(突起)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に突起または凹部が設けられた筒状容器を直立状態でコンベヤ上に載置して一定方向へ搬送しながら、方向規制手段によって前記筒状容器の周方向の位置を一定方向に揃える筒状容器の方向規制装置であって、
前記方向規制手段は、前記筒状容器の突起または凹部と係合し得る係合突起が長さ方向に間隔をあけて複数個設けられ、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられた無端状の索状部材と、前記駆動プーリを回転させて前記索状部材を循環移動させる駆動モータと、前記筒状容器をその外周面に接触して案内する案内部材とを備え、前記索状部材と案内部材が、それぞれ、コンベヤの搬送面から上方に異なる高さで所定間隔をあけ、かつコンベヤの搬送方向に対して同一の所定傾斜角度で傾斜されて配置されると共に、それらの前記コンベヤの搬送方向おける下流側となる端部が、前記筒状容器を下流側へ1つずつ通過させるに必要な距離だけ、コンベヤの幅方向の端部より内側に寄せられた位置に設定され、前記コンベヤによって搬送されて前記案内部材に接触された筒状容器が、その突起または凹部を索状部材の係合突起に係合されると、その係合状態を保ちながらコンベヤの搬送方向の上流側の位置から下流側の位置に向けて前記案内部材に沿って移動されることを特徴とする筒状容器の方向規制装置。
【請求項2】
前記案内部材は、コンベヤの搬送方向の上流側を向く面に摩擦付与部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の筒状容器の方向規制装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記索状部材に対するコンベヤの搬送方向への位置を移動調節可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の筒状容器の方向規制装置。
【請求項4】
前記索状部材は、伝動用のタイミングベルトを裏返して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の筒状容器の方向規制装置。
【請求項5】
前記索状部材におけるコンベヤの搬送方向の上流側を移動する索状部の裏面に沿って索状部を案内するガイドが設けられていることを特徴とする請求項1〜4にいずれかに記載の筒状容器の方向規制装置。
【請求項6】
前記索状部材の移動速度が前記コンベヤの搬送速度より低速度に設定されていることを特徴とする請求項1〜5にいずれかに記載の筒状容器の方向規制装置。
【請求項7】
外周部に突起または凹部が設けられた筒状容器を直立状態でコンベヤ上に載置して一定方向へ搬送しながら、方向規制手段によって前記筒状容器の周方向の位置を一定方向に揃える筒状容器の方向規制装置であって、
前記方向規制手段は、前記コンベヤによって搬送される前記筒状容器の外周部と突起または凹部とをコンベヤの搬送方向の上流側を向く面に係合させる係合案内部材が、コンベヤの搬送面から上方に所定間隔をあけ、かつコンベヤの搬送方向に対して所定の傾斜角度で傾斜して配置されてなり、前記係合案内部材における前記コンベヤの搬送方向の下流側となる端部が、前記筒状容器を下流側へ1つずつ通過させるに必要な距離だけ、コンベヤの幅方向の端部より内側に寄せられた位置に設定されていることを特徴とする筒状容器の方向規制装置。
【請求項8】
前記係合案内部材におけるコンベヤの搬送方向の下流側となる端部には、案内面が前記係合案内部材におけるコンベヤの搬送方向の上流側を向く面に沿ってコンベヤの幅方向の外側へ延長した第1位置と、前記案内面がコンベヤの幅方向の外側を向いて前記端部からコンベヤの搬送方向の下流側に延長した第2位置との間で水平旋回する旋回案内部材が設けられ、該旋回案内部材は、第1位置にある案内面に前記筒状容器の外周部と突起が係合されたときに、旋回駆動手段によって前記第2位置へ旋回されることを特徴とする請求項7に記載の筒状容器の方向規制装置。
【請求項9】
前記傾斜角度が変更調節可能とされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の筒状容器の方向規制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−81223(P2008−81223A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260772(P2006−260772)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(390020156)三晴精機株式会社 (6)
【Fターム(参考)】