説明

管型白熱ヒータ

【課題】外管バルブをハロゲンランプの外側に配した2重管構造の管型白熱ヒータでありながらコンパクトな構成を実現する。
【解決手段】ハロゲンランプ11は、管型のバルブ13内の長手方向に直列接続され、電力供給により発光する発光部14および導電性の非発光部15を収容するとともに不活性ガスが封装され、バルブ13の両端部に封止部171,172がそれぞれ形成するとともに、封止部171,172を介して直列接続された発光部14、非発光部15の両端から導出されたアウターリード201,202から構成される。このハロゲンランプ11およびバルブ13の外表面に配した管状の外部バルブ12から管型白熱ヒータが構成される。封止部171,172は減圧封止されてハロゲンランプ11のバルブ13より径小にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射透過性バルブの内部に電気抵抗発熱体を備えた管型白熱ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の2重管構造の赤外線を発する管型白熱ヒータは、インクジェットプリンタのインク乾燥用のヒータや暖房用等として管型ハロゲンランプが用いられる。このような用途のハロゲンランプでは、外側に管状の石英ガラス等の外囲器を配して、外囲器に反射膜を設けて形成し、特別な反射板を設けることなく必要な熱を放射するようにしている。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開平7―288175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した特許文献1の技術は、バルブ上に排気管を設けて排気・ガス封入することからその封切跡が残るとともに、バルブ外面をバーナーで加熱溶融し左右のモールド型で加圧封着することから、封止部の断面の対角線の最長距離は、バルブの外径より大きいものとなっていた。このため、2重管構造にした場合外管バルブをランプに当接させることは困難であり、ヒータの小型化の弊害となっていた。
【0004】
この発明の目的は、外管バルブをハロゲンランプの外側に配した2重管構造でありながら小型に構成することのできる管型白熱ヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、この発明の管型白熱ヒータは、管型バルブ内の長手方向に直列接続され、電力供給により発光する発光部および導電性の非発光部を収容するとともに不活性ガスが封装され、前記バルブの両端部に封止部を形成するとともに、該封止部を介して直列接続された前記発光部および前記非発光部の両端から導出された導入線から構成されるハロゲンランプおよび前記バルブの外表面に配した外部バルブから構成される管型白熱ヒータにおいて、前記封止部は減圧封止され、前記ハロゲンランプのバルブよりも径小であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、封止部を減圧による封止法で封止させたことにより、ハロゲンランプのバルブと外部バルブは、接するような寸法の関係にすることができることから、二重のバルブ構造でありながら小型化の実現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図8は、この発明の管型白熱ヒータに関する第1の実施形態について説明するためのもので、図1は構成図、図2は図1要部の構成を示し(a)は正面図、(b)は側面図、図3(a)は図1要部の構成図、(b)は図3(a)の拡大断面図、図4は図1のa−a’断面図、図5は図1要部の斜視図、図6は図1の要部を拡大して示した構成図、図7(a)は図6のb−b’断面図、(b)はc−c’断面図、図8は図1要部の分解斜視図である。
【0008】
図1において、100は例えば定着用等の2重管構造とした管型白熱ヒータである。管型白熱ヒータ100は、ハロゲンランプ11とその外側に例えば石英ガラスの外部バルブ12が配置されている。
【0009】
ハロゲンランプ11は、図2に示すように、例えば外径がφ6mmで厚みが1mm程度の管状の長尺石英ガラス製のバルブ13内の長手方向に、タングステンを巻回して形成された複数の発光部14と耐熱性で導電性の非発光部15とが電気的に直列接続して収容してある。発光部14はバルブ13内の長手方向に配された複数のアンカー16を用いてそれぞれバルブ13内の中央部に位置するように支持される。発光部14と非発光部15は、同材料で形成しても構わない。
【0010】
バルブ13内には、それぞれ微量のハロゲン物質例えば臭素Brや塩素Clとの混合物とともに、アルゴンArや窒素Nなどの不活性ガスが常温25℃で0.9×10Pa程度の圧力で封入されている。バルブ13の軸方向両端部は、減圧封止法による一対の封止部171,172を形成し、これら封止部171,172内にはバルブ13と膨張係数が近似した導電性の例えばモリブデン(Mo)で形成された矩形状の金属箔181,182をそれぞれ埋設している。
【0011】
ここで、減圧による封止とはシュリンクシールと呼ばれる封止方法で、封止部以外で一旦ランプを封止し、封止部を含むランプ内部を減圧にした状態で、モリブデン箔を気密封止させるものである。この封止方法は、石英ガラスの肉厚がピンチシールによる封止方法のように偏ることがないことから封止部の強度を向上させることができる。また、封止部以外で一旦封止するときにバルブの開口からハロゲンや不活性ガスを封入できることから排気管の封切跡をなくすことが可能である。
【0012】
金属箔181,182は、その内端部に、一対のインナーリード191,192を介して複数の発光部14と非発光部15が電気的に直列接続された軸方向両端にそれぞれ接続される一方、各外端部には、給電用の導入線である一対のアウターリード201,202がそれぞれ接続されている。アウターリード201,202は、封止部171,172から気密状態で外部へ延出している。アウターリード201,202に給電が行われると、複数の発光部14から光熱が放出される。
【0013】
ハロゲンランプ11の外側に設けられた外部バルブ12は、例えば内径φ6.5mmである。図3(a),(b)にも示すように、外部バルブ12には外表面に可視光線をカットするという機能を備えた薄膜の干渉膜31が形成されている。また、外部バルブ12はハロゲンランプ11と同程度の長さとする。
【0014】
ハロゲンランプ11の外径r1と外部バルブ12の内径r2は、r1<r2の関係にあることから、図1のa−a’断面の図4に示したように、ハロゲンランプ11を外部バルブ12内に収容することができる。
【0015】
図4の破線41は従来のピンチシールの断面を示しており、その対角線の長さは、ハロゲンランプ11の1.2〜1.5倍程度である。そこで、外部バルブ12の内径r2は、バルブ13よりも大きく、1.25より小さい寸法関係してある。これにより、ピンチシールによる封止に比べて減圧封止による二重管バルブ構造の場合は、バルブ13と外部バルブ12とをより近接した関係とすることができる。
【0016】
外部バルブ12の両端の開口には、図5に示すアウターリード201,202を貫通させる貫通孔51がそれぞれ形成された耐熱性の例えばセラミック製の口金211,212が取り付けられている。口金211,212には、径大部52と径小部53が形成されている。径大部52は外部バルブ12の内径よりも大きく、径小部53は外部バルブ12の内径よりも小さい形状となっており、径小部53を外部バルブ12の開口に係合させることにより、図6にも示すように封止している。また、径小部53には貫通孔51に連通させ封止部171,172を収容する貫通孔51よりは径大の連通孔54がそれぞれ形成されている。
【0017】
貫通孔51は、図6のb−b’断面を示す。図7(a)および図6のc−c’断面を示す図7(b)からもわかるように、アウターリード201,202を貫通孔51に支持することにより、ハロゲンランプ11を外部バルブ12に同心的に配置させる役割も果たしている。
【0018】
図8は、図1要部の分解斜視図であり、この図8を参照し、図6の状態に構成するための手順例について説明する。なお、図8では片方の口金211の取り付けについてだけ示してある。
【0019】
すなわち、ハロゲンランプ11に干渉膜31が塗布された外部バルブ12を挿入する。次いで、口金211の連通孔54を封止部171に挿入させると同時に径小部53を、外表面に予め干渉膜31が形成された外部バルブ12の係合させる。口金211の径大部52が外部バルブ12の開口121と当たる位置まで移動させる過程で、アウターリード201は貫通孔51を貫通し、図6の状態を保持する。口金211と外部バルブ12は耐熱性の接着剤で固着される。また、アウターリード201を貫通させた貫通孔51も接着剤により塞いでいる。なお、もう片方の口金212についても同様の手順で開口122に係合される。
【0020】
この実施形態では、減圧による封止や封入ガスの排気管の封切跡をなくしたことでハロゲンランプ11のバルブ13と外部バルブ12は、接するような寸法の関係にすることができることから、二重のバルブ構造でありながら小型化を実現できる。
【0021】
また、口金211,212にハロゲンランプ11の封止部171,172を係合すると同時に、口金211,212を外部バルブ12の開口121,122に係合させることができる。さらに、口金211,212を外部バルブ12に係合したときと同時に、ハロゲンランプ11を外部バルブ12と同心的に支持させることも可能となる。
【0022】
なお、可視光線をカットとする機能性手段としては、外表面に予め加熱により赤外線を放射する遠赤外線放射材を塗布して形成された耐熱性金属であっても、結晶化ガラスのように遠赤外線を効率よく放射させるものであっても構わない。
【0023】
図9、図10は、この発明の管型白熱ヒータに関する第2の実施形態について説明するための、図9は構成図、図10は図9のd−d’断面図である。上記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して説明する。
【0024】
この実施形態は、外部バルブ12の外表面に開口角が例えば180°の赤外線を反射させる反射膜91が形成されたものである。反射膜91が形成されない部分は、アパーチャー92となり、赤外線を放射させる。
【0025】
この場合、アウターリード201,202に電力が供給されると、発光部14から赤外線が放射される。放射された赤外線のうち外部バルブ12に形成された反射膜91に到達したものはここで反射され、その反射光の大部分は発光部14に戻り、発光部14が発する熱の温度の上昇を高めることができる。
【0026】
この実施形態では、減圧による封止や封入ガスの排気管の封切跡をなくしたことで、外部バルブ12は、ハロゲンランプ11のバルブ13よりやや大きい程度の寸法の関係にすることができる。このため外部バルブ12は、ハロゲンランプ11と接するような寸法の関係に構成することができる。
【0027】
また、ハロゲンランプ11と外部バルブ12が接するような寸法関係にあることは、バルブ13と外部バルブ12間の熱の伝達ロスが少なくなり、ハロゲンランプ11が発する赤外線を反射膜91により効率よく特定方向に集めてアパーチャー92から放出させることができる。
【0028】
口金211,212については、ハロゲンランプ11の封止部171,172と外部バルブ12の開口121,122を同時に係合させることに伴い、ハロゲンランプ11を外部バルブ12と同心的に支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の管型白熱ヒータに関する第1の実施形態について説明するための構成図。
【図2】図1要部の構成を示し(a)は正面図、(b)は側面図。
【図3】(a)は図1要部の構成図、(b)は(a)の拡大断面図。
【図4】図1のa−a’断面図。
【図5】図1要部の斜視図。
【図6】図1の要部を拡大して示した構成図。
【図7】(a)は図6のb−b’断面図、(b)はc−c’断面図。
【図8】図1要部の分解斜視図。
【図9】この発明の管型白熱ヒータに関する第2の実施形態について説明するための構成図。
【図10】図9のd−d’断面図。
【符号の説明】
【0030】
11 ハロゲンランプ
12 外部バルブ
13 バルブ
14 発光部
15 非発光部
16 アンカー
171,172 封止部
181,182 金属箔
191,192 インナーリード
201,202 アウターリード
211,212 口金
31 干渉膜
51 貫通孔
52 径大部
53 径小部
54 連通孔
91 反射膜
92 アパーチャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管型バルブ内の長手方向に直列接続され、電力供給により発光する発光部および導電性の非発光部を収容するとともに不活性ガスが封装され、前記バルブの両端部に封止部を形成するとともに、該封止部を介して直列接続された前記発光部および前記非発光部の両端から導出された導入線から構成されるハロゲンランプおよび前記バルブの外表面に配した外部バルブから構成される管型白熱ヒータにおいて、
前記封止部は減圧封止され、前記ハロゲンランプのバルブよりも径小であることを特徴とする管型白熱ヒータ。
【請求項2】
前記封止部を収納するとともに前記外部バルブに取り付けられて、前記ハロゲンランプを前記外部バルブに同心的に支持する口金を有したことを特徴とする請求項1記載の管型白熱ヒータ。
【請求項3】
前記ハロゲンランプのバルブの外表面に、干渉膜または反射膜などの機能性薄膜を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の管型白熱ヒータ。
【請求項4】
前記外部バルブは、外表面に予め加熱により赤外線を放射する遠赤外線放射材を形成した耐熱性金属で形成されたことを特徴とする請求項1記載の管型白熱ヒータ。
【請求項5】
前記外部バルブは、遠赤外線を放射させる結晶化ガラスとしたことを特徴とする請求項1記載の管型ヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−270029(P2008−270029A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113231(P2007−113231)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】