管理工程マトリックステーブルを用いたコア管理工程全展開型統合生産管理の方法とシステム
【課題】操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】管理工程マトリックステーブル中の管理工程の情報がコア管理工程の設定基準に該当するかどうかを判定してコア管理工程を設定するステップ1と、生産必要量を算出するステップ2と、コア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行なうステップ4と、資材所要量を算出するステップ5と、ステップ5まで実施した結果が生産計画の内容とその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に是正措置を実施してステップ2からステップ5を繰り返すステップ6を有し、更に、設定したコア管理工程を基点として、コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の情報を管理工程マトリックステーブルから読み出し、コア管理工程に対して実施したステップ1からステップ6までをコア管理工程を含む全工程に対して実施するものである。
【解決手段】管理工程マトリックステーブル中の管理工程の情報がコア管理工程の設定基準に該当するかどうかを判定してコア管理工程を設定するステップ1と、生産必要量を算出するステップ2と、コア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行なうステップ4と、資材所要量を算出するステップ5と、ステップ5まで実施した結果が生産計画の内容とその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に是正措置を実施してステップ2からステップ5を繰り返すステップ6を有し、更に、設定したコア管理工程を基点として、コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の情報を管理工程マトリックステーブルから読み出し、コア管理工程に対して実施したステップ1からステップ6までをコア管理工程を含む全工程に対して実施するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産を管理する統合生産管理システムに関し、特に受注変動や生産実績変動を踏まえて、受注生産品または見込み生産品に対し、顧客ニーズの少量多品種化・短納期化及び製品特性の高度化に対応する為の製造ライン工程の複雑化に対応するため、コア管理工程を中軸とした工程スケジューリング及びMRP(資材所要量計画)を含む実需対応型の生産管理システムの短サイクル化によって、納期回答及び生産管理情報のフィードバックの即時化、棚卸資産の最小化、各設備稼働効率の最大化を実現させる統合生産管理システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の工程から成り立つ上工程に対して分流し得る複数の下流工程が存在する多品種の物品を加工・製造できる製造ラインにおいて、製造条件等により、下工程の製造手配量を再編成させ、工程指示量を適正化し、品種毎の必要量の変動に対応可能な生産管理方法を提供するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−151642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記従来技術では、複数種類の多段工程が合流同時処理する多品種の製造ライン等、生産プロセス一般に適用することが出来る生産管理の方法が提案されていない。特に、顧客への回答納期、各工程の材料所要量及び物質収支、リードタイム、工数等の生産性情報をフィードバックさせ、各工程の負荷山積計画等の短サイクル・ローリングによる納期遵守、棚卸資産縮減と原価低減の仕掛け作りの高度化を図り、企業経営の視点からサプライチェーン経営効率の最大化を実現する生産管理プロセス全体の操業計画最適化の考慮がされていなかった。
【0005】
例えば、工程Xからの製品Aと工程Yからの製品Bについて同じ処理を行う場合、それらの複数の製品A及びBを工程Zで同時に処理することにより生産性の向上が見込めるが、その際に工程Xで製品Aの処理が遅れると、他方の製品Bの工程Zでの処理も遅れることになり、製品Aだけでなく製品Bの生産性も低下してしまう。しかしながら前記従来技術では、前記の工程Zの様に基軸となる工程が製造ライン中に存在しているかどうかを考慮していないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は上記問題を解決し、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能な技術を提供することにある。本発明の他の目的は生産性情報の即時フィードバックによる設備稼働率・生産性の最大化を実現することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産を管理する統合生産管理システムにおいて、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するものである。
【0008】
本発明の統合生産管理システムでは、先ず各管理工程の情報を格納している管理工程マトリックステーブルを参照し、その管理工程マトリックステーブル中の管理工程の情報が、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の設定基準に該当するかどうかを判定することにより、前記コア管理工程を設定する。例えば、その生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を同時に処理する工程、リードタイムの最も長い工程、または多品種の材料を多量に消費する工程等の設定基準に該当するものを前記コア管理工程に設定する。そして、受注残情報や見込み生産情報から決定される最終的な製品生産量と、前記設定したコア管理工程から最下流工程までの各工程での製品歩留りとを用いて当該コア管理工程で処理する必要のある生産必要量を算出する。
【0009】
次に、前記算出された生産必要量の製品を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って当該コア管理工程における工程計画を立案し、前記設定したコア管理工程を基点として当該コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の工程計画を順次立案するドミノ連動を実行する。このドミノ連動では、例えば、各管理工程の情報を格納する為の管理工程マトリックステーブルに、その管理工程で処理される製品の製品ラインを識別する為の識別情報を格納しておき、前記コア管理工程の管理工程マトリックスに格納されている前記識別情報と同じ識別情報を持つ管理工程を、管理工程コードの順にコア管理工程から上流及び下流へ順に辿り、その前のステップで立案した工程計画の内容を基にその管理工程での工程計画を立案することによって、当該コア管理工程の上流及び下流の双方向に位置する全管理工程の工程計画を順次立案する。
【0010】
前記の様にして全管理工程の工程計画が立案されると、中長期売上計画・月次生産計画及び週次工程計画に基づいて、資材所要量計画を製品勘定部門毎に策定し、部門固有資材、部門共通資材及び中長期戦略資材を分類体系管理して日別MRPを展開し、資材の発注を依頼する処理を行う。
【0011】
また、前記の様にしてコア管理工程の工程計画を立案した際や全工程計画を立案した後に、その立案した工程計画の内容と実際の製造ラインでの工程実績進捗情報の内容とを比較し、進捗実績情報に示された設備稼働率や計画に対する進捗状況に応じて日程や生産量を変更する等の工程計画の微調整を行う様にしても良い。更に、前記工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して納期遅れが発生するかどうかを判定し、納期遅れの発生が検出された場合にアラート情報を出力する様にしても良い。
【0012】
前記の様に本発明では、生産プロセス全体をコントロールする上で特に重要なコア管理工程での工程計画を最適化しているので、ある製造品の処理の遅れが他の製造品に波及するのを防ぐことにより生産プロセス全体の遅れをできるだけ減らし、また、ある製造品の処理待ちに伴う仕掛かりを減らして資産を効率的に使用することができる。
【0013】
以上の様に本発明の統合生産管理システムによれば、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するので、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するので、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の統合生産管理の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の生産計画手段1の全体構成を示す図である。
【図3】本実施形態の全工程計画展開による工程計画実績MRP変動対応と生産活動実需ローリングの全体構成を示す図である。
【図4】本実施形態の管理工程マトリックス、生産性管理基準、製造仕様設計管理、資材発注管理基準のテーブル構成を示す図である。
【図5】本実施形態の計画制約条件及び段取切替時間展開のテーブル構成を示す図である。
【図6】本実施形態の生産計画立案処理の処理フローを示す図である。
【図7】本実施形態のコア管理工程設定処理の処理フローを示す図である。
【図8】本実施形態の複数の管理工程から成る生産プロセスの概要を示す図である。
【図9】本実施形態の管理工程マトリックステーブル8の一例を示す図である。
【図10】本実施形態の負荷山積展開シミュレーション処理部33の処理フローを示す図である。
【図11】本実施形態のドミノ連動による全工程計画展開処理の処理フローを示す図である。
【図12】本実施形態の所要量計画処理部18の処理フローを示す図である。
【図13】本実施形態の生産必要量策定対象一覧画面のレイアウトを示す図である。
【図14】本実施形態の工程計画・進捗実績管理一覧画面のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産を管理する一実施形態の統合生産管理システムについて説明する。
【0017】
図1は本実施形態の統合生産管理の全体構成を示す図である。図1に示す様に本実施形態の統合生産管理システムは、生産計画手段1と所要量計画手段2とを備えている。
【0018】
生産計画手段1は、受注受付処理において製品在庫及び作業仕掛りと既計画確定分への引き当て処理を実施した後に、コア管理工程3に対して負荷山積シミュレーションを行い、前記コア管理工程3を基点として全工程計画を自動展開する手段である。
【0019】
ここで基点となるコア管理工程3は、製造品名毎に製造仕様設計管理テーブル7によって定義される生産プロセス毎にインデックス化された管理工程マトリックステーブル8に基づいて、管理工程毎のリードタイム等を記憶する生産性管理基準テーブル9及び使用資材情報等を記憶する資材発注管理基準テーブル6から後述の設定基準により自動導出することができる様になっている。
【0020】
すなわちコア管理工程は、優先度1の設定基準である多品種同時処理型工程であるか(複数の多品種同時処理型工程が存在する場合には最上流工程を設定)、優先度2の設定基準であるリードタイム最長管理工程であるか、優先度3の設定基準である材料の多品種多量を消費する工程であるか等の基準により設定される。
【0021】
尚、全工程計画の情報は、コア管理工程を基点として上流・下流の双方向に製造仕様設計管理テーブル7と生産性管理基準テーブル9に基づいて、連続する管理工程の工程計画を連鎖的に自動展開する様になっている。一方、モノの流れ5は、所要量計画手段2により資材発注され上流のサプライヤーから納入された材料から製品化までの所定の生産プロセスの短サイクル・システム化を図ることにより、下流の顧客・市場が求める要求に即応できるシステムになっている。
【0022】
図2は本実施形態の生産計画手段1の全体構成を示す図である。図2に示す様に本実施形態の統合生産管理システムは、コア管理工程設定処理部31と、生産必要量算定処理部32と、負荷山積展開シミュレーション処理部33と、工程計画立案処理部34と、資材所要量計画処理部35と、上流・下流管理工程展開処理部36と、工程生産制約条件チェック処理部37とを有している。
【0023】
コア管理工程設定処理部31は、各管理工程の情報を格納している管理工程マトリックステーブルを参照し、その管理工程マトリックステーブル中の管理工程の情報が、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の設定基準に該当するかどうかを判定することにより、前記コア管理工程を設定する処理部である。
【0024】
生産必要量算定処理部32は、前記設定したコア管理工程での生産必要量を算出する処理部である。負荷山積展開シミュレーション処理部33は、前記算出された生産必要量の製品を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行う処理部である。
【0025】
工程計画立案処理部34は、当該コア管理工程における工程計画を立案する処理部である。資材所要量計画処理部35は、前記コア管理工程における資材所要量を算出する処理部である。上流・下流管理工程展開処理部36は、前記設定したコア管理工程を基点として管理工程マトリックステーブルを検索し、当該コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の情報を管理工程マトリックステーブルから読み出し、前記コア管理工程に対して実施した処理をコア管理工程を含む全工程に対して実施する処理部である。工程生産制約条件チェック処理部37は、前記処理の実施結果が生産計画の内容とその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に是正措置38を実施して前記の処理を繰り返す処理部である。
【0026】
統合生産管理システムをコア管理工程設定処理部31、生産必要量算定処理部32、負荷山積展開シミュレーション処理部33、工程計画立案処理部34、資材所要量計画処理部35、上流・下流管理工程展開処理部36及び工程生産制約条件チェック処理部37として機能させる為のプログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録され磁気ディスク等に格納された後、メモリにロードされて実行されるものとする。なお前記プログラムを記録する記録媒体はCD−ROM以外の他の記録媒体でも良い。また前記プログラムを当該記録媒体から情報処理装置にインストールして使用しても良いし、ネットワークを通じて当該記録媒体にアクセスして前記プログラムを使用するものとしても良い。
【0027】
図2の様に生産計画手段1において、先ず受注受付を始点として受注残情報からコア管理工程設定処理部31及び生産必要量算定処理部32の処理を行い、コア管理工程の設定と生産必要量算定処理を行う。次に製造仕様設計管理テーブル7により製造設備が設定され、負荷山積展開シミュレーション処理部33及び工程計画立案処理部34の処理を行って、負荷山積展開シミュレーション処理と工程計画立案処理を実行した後、資材所要量計画処理部35により資材所要量計画処理を行う。
【0028】
更に、上流・下流管理工程展開処理部36が、リードタイム、歩留り等の情報を持つ生産性管理基準テーブル9と、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブル14を参照して、連続する管理工程の負荷山積み計画を連鎖的に、コア管理工程の工程計画を中心としたP1工程計画、P2工程計画からPn-1工程計画、Pn工程計画に到る、生産プロセスの全工程計画を自動作成する。工程生産制約条件チェック処理部37は、各工程計画15に対して各工程の生産制約がある場合にその旨を生産必要量算定処理部32に伝えて前述の一連の処理を繰り返して全工程計画を立て直す。加えて、オプション機能として、加工工程の一部を外部に発注する為の加工外注展開機能も備えているものとする。
【0029】
図3は本実施形態の全工程計画展開による工程計画実績MRP変動対応と生産活動実需ローリングの全体構成を示す図である。図3に示す様に本実施形態の統合生産管理システムは、工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17と、所要量計画処理部18と、生産性管理アラート処理部19とを有している。
【0030】
全工程計画展開20では、コア管理工程を基準として自動作成された各工程P1〜Pnの生産計画の内容と、それらの工程の設備能力や制約(設備の稼働時間、各工程で利用可能な資材、人員数、担当人員の技能や能力等)とを比較して、各工程の生産計画の内容がその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に各工程P1〜Pnの再計画を行うことにより、全工程の生産計画の実需のローリングが行われる。例えば再計画には各工程の資材所要量の見直しがある。
【0031】
工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17は、前記立案した工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して工程計画の微調整を行う手段である。所要量計画処理部18は、中長期売上計画・月次生産計画及び週次工程計画に基づいて、資材所要量計画を製品勘定部門毎に策定し、部門固有資材、部門共通資材及び中長期戦略資材を分類体系管理して日別MRPを展開し、資材の発注依頼を行う処理部である。
【0032】
生産性管理アラート処理部19は、前記工程計画に基づいた生産活動における、リードタイム生産性、物質収支生産性や品質情報が所定の管理基準に達した場合や、前記工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して納期遅れが発生するかどうかを判定し、納期遅れの発生が検出された場合にアラート情報を出力する処理部である。
【0033】
統合生産管理システムを工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17、所要量計画処理部18及び生産性管理アラート処理部19として機能させる為のプログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録され磁気ディスク等に格納された後、メモリにロードされて実行されるものとする。なお前記プログラムを記録する記録媒体はCD−ROM以外の他の記録媒体でも良い。また前記プログラムを当該記録媒体から情報処理装置にインストールして使用しても良いし、ネットワークを通じて当該記録媒体にアクセスして前記プログラムを使用するものとしても良い。
【0034】
図3では、本実施形態に係る全工程計画展開による工程計画実績進捗管理と連動したMRP資材発注管理、いわゆる実需ローリング型生産活動管理の全体構成図を概略的に表している。
【0035】
全工程に展開された管理工程計画に基づいて生産活動が行われ、そのリードタイム生産性、物質収支生産性、及び、品質情報が即時に把握された状態で、生産性管理アラート処理部19の処理を実施することで、各々の管理基準に従い、アラートが表示される。アラートに従った是正アクションの入力を受け付けてその是正アクションによる改善状況をフィードバックし、必要に応じて全工程の再スケジューリング及び各管理基準等の変更を行える構成としている。
【0036】
全工程への展開を行い、資材発注ロジックを用いて所要量計画処理部18の処理を実施することで、資材調達の為のMRPが全工程計画に連動し自動展開される。更に、展開結果を短サイクルでローリング集計し、部門固有資材、共通資材、中長期戦略品に分類した上で、日別に新規発注・変更依頼情報等を画面表示する構成としている。
【0037】
図4は本実施形態の管理工程マトリックス、生産性管理基準、製造仕様設計管理、資材発注管理基準のテーブル構成を示す図である。生産プロセス毎にインデックス化された管理工程マトリックステーブル8は、製造品名毎に管理工程を定義したものであり、製造品名毎に連続する管理工程や、当該生産プロセスに対応する管理工程に関する情報を記憶している。
【0038】
更に管理工程マトリックステーブル8は、当該管理工程に対応するリードタイム(LT)、物質収支、品質規格基準等を記憶する生産性管理基準テーブル9、製造品名と製造設備との制約やその工程で用いられる材料の品種名及び使用量等を記憶する製造仕様設計管理テーブル7、資材発注方式や所要量算出基準等を記憶する資材発注管理基準テーブル6を関係付けて定義している。
【0039】
図4において、製造ラインNoはその管理工程で処理される製造品に対応する製品の生産が行われる製品ラインを識別する為の識別情報であり、ある製品は同一の製造ラインNoで識別される複数の管理工程を流れることにより生産されるものとする。また生産性管理基準書Noや製造仕様設計書Noは、その管理工程で用いられる生産性管理基準書や製造仕様設計書に対応した、生産性管理基準テーブル9や製造仕様設計管理テーブル7上のデータを識別する為の番号であり、資材発注管理基準テーブル6についても同様の番号が格納されているものとする。そして管理工程コードは、その管理工程を識別する為のコードであり、上流工程から下流工程に向かうに従って大きい値となる様に番号が付けられているものとする。
【0040】
図5は本実施形態の計画制約条件及び段取切替時間展開のテーブル構成を示す図である。図5では、製造品名、製造仕様設計書Noと製造設備、製造設備配置(割り付けロケーション)等を記憶する計画制約条件テーブル22と、設備毎に前作業製造品名と後作業製造品名及び段取り時間を記憶する段取切替時間展開テーブル23を表している。
【0041】
図6は本実施形態の生産計画立案処理の処理フローを示す図である。図6の処理では、コア管理工程を基点として双方向に連続する管理工程の工程計画を、製造仕様設計管理テーブル7と生産性管理基準テーブル9に基づいて連鎖的に自動展開するドミノ連動により全管理工程の工程計画を自動生成する。
【0042】
以下、処理フローに従ってステップS10からステップS90について説明する。先ずコア管理工程設定処理部31は、管理工程マトリックステーブル8よりコア管理工程の決定を行う。ここでは受注受付による受注残を示す受注残情報テーブル及び見込み生産の内容を示す月次生産計画テーブルの読み出しと、決定されたコア管理工程の情報の読み出しを行い、以下の処理ステップ実行の準備を行う(ステップS10)。
【0043】
工程生産制約条件チェック処理部37は、コア管理工程を基準として自動作成された各工程の生産計画の内容がその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、以下のステップS20からステップS90まで、全工程の生産計画の実需のローリングを行う(ステップS15)。
【0044】
生産必要量算定処理部32は、前記決定されたコア管理工程を基点として受注残情報と生産性管理基準テーブル9に基づいて生産必要量を算出し、コア管理工程における生産必要量の確定登録を行う(ステップS20)。
【0045】
次のステップで負荷山積展開シミュレーション処理部33は、前記ステップで算出された生産必要量を示す生産必要量策定対象一覧の内容を対象とし、前記の製造仕様設計管理テーブル7、生産性管理基準テーブル9、計画制約条件テーブル22、段取切替時間展開テーブル23等を用いてコア管理工程の負荷山積展開シミュレーションを行い、最適解を求めて工程計画立案処理部34によりコア管理工程の工程計画を確定した後、資材所要量計画処理部35によりコア管理工程の資材所要量を算出する(ステップS30)。
【0046】
次のステップで上流・下流管理工程展開処理部36は、前記の生産性管理基準テーブル9を用いて累積歩留りを考慮し、コア管理工程を基点として双方向に連続する全管理工程の工程計画を、ドミノ連動により自動生成する(ステップS40)。
【0047】
次のステップでは、工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17により、オプション機能として、自動生成された工程計画に対する工程計画の微調整を行える仕組みを提供しており、全管理工程の負荷バランスを考慮する為に、ローリング負荷山積み展開シミュレーションを行える様にしている。例えば特急注文の対応、及び突発的な工程遅れの是正の為に、特急指定を登録することにより、各管理工程作業のディスパッチングを可能とし、且つ当該管理工程における加工外注依頼処理が行える様に構成している(ステップS50)。
【0048】
更に次のステップ60で生産性管理アラート処理部19は、展開結果として割り付けられた各管理工程計画について、工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較し、納期遅れが発生するかどうかを前記比較結果に基づいて予測し、納期遅れが存在すると予測された場合には、次のステップS70で、納期遅れが存在することを示すアラート情報を出力する。ここでは例えば各管理工程の工程計画進捗実績管理一覧画面の該当データについて赤色表示を行うものとする。そしてステップS80では、残業/休日出勤、外注、納期変更等の是正措置の内容の入力を受け付けてステップS20へ戻る。一方、納期遅れが存在しない場合にはステップS90を経て生産計画立案処理を終了する。
【0049】
図7は本実施形態のコア管理工程設定処理の処理フローを示す図である。図7では、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ10の詳細ステップを表している。本実施形態のコア管理工程設定処理部31は、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程を、多品種の製品を同時に処理する工程、リードタイムの最も長い工程、多品種の材料を多量に消費する工程の優先順位で設定する処理を行うものとするが、他の設定基準を用いるものとしても良い。
【0050】
ステップ701でコア管理工程設定処理部31は、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の管理工程コードと製品名を読み出し、各管理工程の品種数をカウントする。カウントされる品種数は管理工程マトリックステーブル8中の品種数全体であるものとするが、前回計画時の計画品種数がカウントされる場合もあるものとする。
【0051】
ステップ702では、前記カウントした全管理工程の品種数を参照し、多品種(例えば2品種以上)の製品を同時に処理する管理工程が存在しているかどうかを調べて、その様な管理工程が存在している場合にはステップ703へ進む。
【0052】
ステップ703では、前記カウントした品種数の値の内で最大値のものが複数存在しているかどうかを調べ、最大値のものが複数存在している場合、すなわち最大の品種数を処理する管理工程が複数存在している場合にはステップ704へ進み、そうでない場合にはステップ705へ進む。
【0053】
ステップ704では、前記最大の品種数を処理する複数の管理工程の各管理工程コードの値を参照し、それらの内で最も値の小さい管理コードの管理工程、すなわち前記最大の品種数を処理する管理工程の内で最も上流の管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0054】
またステップ704では、前記最大の品種数を処理する管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0055】
ステップ706では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の生産性管理基準書Noを読み出した後、生産性管理基準テーブル9を参照し、前記読み出した生産性管理基準書Noに対応するデータ中のリードタイム(LT)を読み出して、リードタイムの最も長い管理工程の管理工程コードをメモリに格納する。
【0056】
ステップ707では、前記処理により得られたリードタイムの最も長い管理工程におけるリードタイムの値を参照して、その値が所定の値よりも小さいかどうかを判定し、所定の値よりも小さい場合にはステップ708へ進む。
【0057】
ステップ708では、前記参照したリードタイムの値の内で最大値のものが複数存在しているかどうかを調べ、最大値のものが複数存在している場合、すなわちリードタイムが最大である管理工程が複数存在している場合にはステップ709へ進み、そうでない場合にはステップ710へ進む。
【0058】
ステップ709では、前記リードタイムが最大である複数の管理工程から特定の管理工程(例えば管理工程コードが最小のもの)を選択し、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。またステップ710では、前記リードタイムが最大である管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0059】
ステップ711では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の製造仕様設計書Noを読み出した後、製造仕様設計管理テーブル7を参照し、前記読み出した製造仕様設計書Noに対応するデータ中の材料の品種名及び使用量を読み出して、各管理工程で用いられる材料の品種数及び使用量をメモリに格納する。
【0060】
ステップ712では、前記格納した材料の品種数の値の内で最大値のものが複数存在しているかどうかを調べ、最大値のものが複数存在している場合にはステップ713へ進み、そうでない場合にはステップ716へ進む。
【0061】
ステップ713では、前記材料の品種数が最大である複数の管理工程の材料の使用量を比較して、その使用量が同量であるものが複数存在しているかどうかを調べ、使用量が同量であるものが複数存在している場合にはステップ714へ進み、そうでない場合にはステップ715へ進む。
【0062】
ステップ714では、前記材料の使用量が同量である複数の管理工程から特定の管理工程(例えば管理工程コードが最小のもの)を選択し、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。またステップ715では、前記材料の品種数及び使用量が最大である管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。一方ステップ716では、前記材料の品種数が最大である管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0063】
次に、本実施形態の統合生産管理システムにおいて、多品種の製品を同時に処理する工程をコア管理工程として設定する処理を以下の図8及び図9を用いて説明する。
【0064】
図8は本実施形態の複数の管理工程から成る生産プロセスの概要を示す図である。図8では製品A、製品B、製品Cを管理工程801〜812で処理する生産プロセスの概要を表しており、各製品はそれぞれ製造ライン821〜823に沿って次の工程に渡されるものとする。ここで、図8における製造品名A1〜A5、B1〜B5、C1〜C4は、各製品のそれぞれの管理工程での名称であるものとする。
【0065】
図9は本実施形態の管理工程マトリックステーブル8の一例を示す図である。図9に示す様にこの管理工程マトリックステーブル8の例では、図8に示した管理工程801〜812に関する情報が格納されている。
【0066】
ステップ701でコア管理工程設定処理部31が、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照して各管理工程の品種数をカウントする場合、先ず管理工程コード905及び製品名902を読み出して、同一の管理工程コード905に対して異なる製品名902が設定されているものをカウントする。図9の場合では、管理工程コード905の値が「807」の製品名902が「A3」、「B3」、「C3」であるので、この管理工程807では3品種の製品が同時に処理されることが判り、この例では、他に多品種の管理工程が存在していないので、この管理工程807がコア管理工程となる。
【0067】
またステップ706の処理を行う場合では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の生産性管理基準書Noの「901」「902」「903」等を読み出した後、生産性管理基準テーブル9を参照し、前記読み出した生産性管理基準書Noに対応するデータ中のリードタイム(LT)を読み出して、リードタイムの最も長い管理工程を検出し、コア管理工程の決定に利用する。
【0068】
さらにステップ711の処理を行う場合では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の製造仕様設計書Noの「921」「922」「923」等を読み出した後、製造仕様設計管理テーブル7を参照し、前記読み出した製造仕様設計書Noに対応するデータ中の材料の品種名及び使用量を読み出して、各管理工程で用いられる材料の品種数及び使用量をカウントし、コア管理工程の決定に利用する。
【0069】
前記の様にしてコア管理工程が決定されると、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ20で生産必要量算定処理部32は、その決定されたコア管理工程を基点として受注残情報及び月次生産計画と生産性管理基準テーブル9に基づいて生産必要量を算出し、確定登録を行う。
【0070】
すなわち、図6のステップ20で生産必要量算定処理部32は、管理工程マトリックステーブル8中のデータを参照して、前記メモリに格納しておいたコア管理工程コードと一致する管理工程のデータを検索した後、コア管理工程以降の後工程に位置する管理工程の歩留情報を読み出し、コア管理工程から最終工程までの累積歩留を算出して、前記受注残情報及び月次生産計画で示される製品量を前記算出した累積歩留で除算する等の処理により、前記製品量を生産する為にコア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出し、生産必要量策定対象一覧等への出力を行う。
【0071】
図10は本実施形態の負荷山積展開シミュレーション処理部33の処理フローを示す図である。図10では、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ30の詳細ステップを表している。ここでは、先ず前記ステップで作成された生産必要量策定対象一覧に基づき、製造仕様設計管理テーブル7と生産性管理基準テーブル9及び計画制約条件テーブル22を読出し、これらによりコア管理工程の工程計画を決定する。
【0072】
以下、処理フローに従ってステップS10000からステップS70000について説明する。先ず負荷山積展開シミュレーション処理部33は、計画制約条件テーブル22、製造仕様設計管理テーブル7及び生産性管理基準テーブル9を読出す(ステップS10000)。次に、コア管理工程に対する工程計画情報テーブル15及び工程実績情報テーブル16等を読出し、以下の処理ステップ実行の準備を行う(ステップS20000)。
【0073】
納期遅れが存在する間は、以下のステップS30000からステップS70000まで、負荷山積みシミュレーションのローリングを行う(ステップS25000)。
【0074】
先ず次のステップでは、生産必要量の算出結果に基づいて負荷山積み優先順位ソートを実行する。ここでは例えば(1)製品在庫切れで受注残納期が短い注文、(2)受注引当残製品在庫が目標在庫切っている製品等の順位についてソートを実行する(ステップS30000)。
【0075】
更に次のステップでは、計画制約条件テーブル22、製造仕様設計管理テーブル7、及び生産性管理基準テーブル9に従って段取り時間を含めた負荷山積み展開を実行する。ここでは例えば(1)前後の製造品名の制約条件、(2)製造品名、製造設備毎の段取り時間の設定、(3)製品製造勘定部門、設備毎の稼働カレンダーの調整を実行する(ステップS40000)。
【0076】
次に前記ステップで決定された情報に基づきコア管理工程の負荷山積みシミュレーションを行い、コア管理工程の工程計画を作成する(ステップS50000)。
【0077】
次にステップS60000で生産性管理アラート処理部19は、前記作成された工程計画と工程実績進捗情報とを比較して当該コア管理工程の工程計画について納期遅れの有無を判定し、納期遅れが存在すると判定された場合には、次のステップS70000を実行して納期遅れのアラート情報を出力する。ここでは、例えばコア管理工程計画画面の該当データの赤色表示を行うものとする。尚、納期遅れが避けられない場合は、顧客との納期調整を実施後、変更された納期を基に再度シミュレーションを行って最終的な工程計画を確定させる。
【0078】
前記の様にしてコア管理工程での工程計画を決定した後、負荷山積展開シミュレーション処理部33は、管理工程マトリックステーブル8中のコア管理工程の工程計画コードで識別される工程計画情報テーブル15中の格納位置に前記決定した工程計画を格納する。
【0079】
図11は本実施形態のドミノ連動による全工程計画展開処理の処理フローを示す図である。図11では、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ40の詳細ステップを表しており、上流・下流管理工程展開処理部36は、前記設定したコア管理工程を基点として、そのコア管理工程で処理される製品の製品ラインに該当する上流または下流の管理工程を順次辿ることによって当該コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の工程計画を順次立案する処理を行う。
【0080】
ステップ1101で上流・下流管理工程展開処理部36は、管理工程マトリックステーブル8中のデータを参照し、前記の処理でメモリに格納しておいたコア管理工程コードと一致する管理工程コードを持つデータを検索する。
【0081】
ステップ1102では、前記検索されたデータ中の工程計画コードを読み出し、そのコードで識別される工程計画データを工程計画情報テーブル15から読み出してメモリ上に格納しておく。
【0082】
ステップ1103では、前記読み出した工程計画中に示されている製造品名を読み出した後、その製造品名に該当する製造ラインNoを管理工程マトリックステーブル8から読み出してメモリに格納しておく処理と、ステップ1104及びステップ1108の処理とを、前記工程計画中に示された製造品の種類の数だけ繰り返す。
【0083】
ステップ1104では、ステップ1102でメモリ上に格納したコア管理工程の工程計画データから、ステップ1103で読み出されている製造品名の工程計画データをメモリ上の他の領域にコピーした後、管理工程の検索位置を示す検索対象管理工程コードの格納領域をメモリ上に確保し、前記メモリに格納しておいたコア管理工程コードを前記検索対象管理工程コードに格納して、その検索対象管理工程コードが最も上流の管理工程コードに達するまでステップ1105からステップ1107までの処理を繰り返すことにより、コア管理工程よりも上流に位置する管理工程の工程計画を順次立案する。
【0084】
ステップ1105では、前記検索位置情報で示される管理工程の前工程を検索する。すなわち、前記検索対象管理工程コードを「1」減算した後、検索対象管理工程コードで示される管理工程の製造ラインNoを管理工程マトリックステーブル8から読み出して、ステップ1103でメモリに格納しておいた製造ラインNoと比較し、それらが一致する場合には検索対象管理工程コードで示される管理工程が前工程であると判定する。また、一致しない場合には更に前記検索対象管理工程コードを「1」減算して次の管理工程の製造ラインNoとの比較を行う。
【0085】
ステップ1106では、前記判定された前工程の生産必要量を算出する。すなわち、前記メモリにコピーしておいた工程計画中の生産必要量について、その生産必要量を後工程に提供する為に必要な製造品の量を、生産必要量算定処理部32の場合と同様にして当該管理工程の歩留等の値を用いて算出する。
【0086】
ステップ1107では、前記判定された前工程の工程計画を立案する。すなわち、前記算出された前工程で処理する製造品の量について、前記の負荷山積展開シミュレーション処理と同様の処理を行い、当該管理工程における工程計画を決定する。そして、その決定した工程計画を工程計画情報テーブル15中に格納した後、前記メモリにコピーしておいた工程計画データをこのステップで決定した工程計画データで更新し、その次の前工程についても前記と同様の処理を行う。
【0087】
一方、ステップ1108では、ステップ1102でメモリ上に格納したコア管理工程の工程計画データから、ステップ1103で読み出されている製造品名の工程計画データをメモリ上の他の領域にコピーした後、前記メモリに格納しておいたコア管理工程コードを前記検索対象管理工程コードに格納し、その検索対象管理工程コードが最も下流の管理工程コードに達するまでステップ1109からステップ1111までの処理を繰り返すことにより、コア管理工程よりも下流に位置する管理工程の工程計画を順次立案する。
【0088】
ステップ1109では、前記検索位置情報で示される管理工程の後工程を検索する。すなわち、前記検索対象管理工程コードに「1」加算した後、検索対象管理工程コードで示される管理工程の製造ラインNoを管理工程マトリックステーブル8から読み出して、ステップ1103でメモリに格納しておいた製造ラインNoと比較し、それらが一致する場合には検索対象管理工程コードで示される管理工程が後工程であると判定する。また、一致しない場合には更に前記検索対象管理工程コードに「1」加算して次の管理工程の製造ラインNoとの比較を行う。
【0089】
ステップ1110では、前記判定された後工程の生産必要量を算出する。すなわち、前記メモリにコピーしておいた工程計画中の生産必要量にその管理工程での歩留を乗じた量の製造品が後工程に提供されるものとして、その後工程で処理する製造品の量を算出する。
【0090】
ステップ1111では、前記判定された後工程の工程計画を立案する。すなわち、前記算出された後工程で処理する製造品の量について、前記の負荷山積展開シミュレーション処理と同様の処理を行い、当該管理工程における工程計画を決定する。そして、その決定した工程計画を工程計画情報テーブル15中に格納した後、前記メモリにコピーしておいた工程計画データをこのステップで決定した工程計画データで更新し、その次の後工程についても前記と同様の処理を行う。
【0091】
図12は本実施形態の所要量計画処理部18の処理フローを示す図である。図12に示す様に本実施形態においては、中長期売上計画・月次生産計画及び、週次工程計画に基づいて、資材所要量計画を製品勘定部門毎に自動策定し、部門固有資材、部門共通資材(まとめ発注)、中長期戦略資材を分類体系管理し、日別MRPを展開し、確定納期資材発注依頼処理を行う。
【0092】
以下、処理フローに従って、S100からS900について説明する。先ず所要量計画処理部18は、当日材料在庫データを読み出し、以下の処理ステップの実行準備を行う(ステップS100)。
【0093】
次に、今回の管理工程計画の材料分解を行い、日別使用量算出データを取り込む(ステップS200)。次に、前回所要量計画発注残データを取り込む(ステップS300)。次に、所要量の日別発注予定量の算出を行う(ステップS400)。次に、サプライヤーのロット指定情報を入力する(ステップS500)。
【0094】
次に、中長期購入戦略品の所要量計画として、例えば当期・翌期、翌々期月別発注計画を行う(ステップS600)。次に、部門共通材料の所要量計画管理として、例えば部門別所要量の日別発注量計画を行う。(ステップS700)。次に、部門固有材料の所要量計画管理として、例えば部門別所要量の日別発注量計画を行う(ステップS800)。最後に、発注依頼確定処理として、例えば(1)中長期購入戦略品、(2)部門共通材料、(3)部門固有材料を行う構成にしている(ステップS900)。
【0095】
図13は本実施形態の生産必要量策定対象一覧画面のレイアウトを示す図である。図13に示す様に本実施形態に係る生産必要量策定対象一覧画面では、製品勘定部門毎に受注情報、前記受注残情報に基づいてコア管理工程の工程計画情報を表示している。尚、受注残情報に紐付けされない作業仕掛在庫が存在する場合に限り、コア管理工程を基点にして、仕掛在庫情報を加味した前後管理工程を設定・表示を行うものとする。また受注情報では、受注残の数物量、納期、特急区分等の表示を行う。
【0096】
図14は本実施形態の工程計画・進捗実績管理一覧画面のレイアウトを示す図である。図14に示す様に本実施形態に係る工程計画・進捗実績管理一覧画面では、製品勘定部門毎の全管理工程の計画と実績進捗管理を行う際に、生産性情報を即時提供すると共に、異常発生時にアラートを発し、その異常に対する是正措置の入力とフィードバック機能を実行する際のユーザインタフェースを提供している。
【0097】
本実施形態においては、基本情報は作業指示日、着手実績日時、特急区分、遅延日数等により構成される。計画情報は生産性管理基準に基づいた各管理工程の計画数物量と歩留まりを加味した実行数物量等により構成させている。実績情報は作業進捗情報である工程進捗情報、実績数物量、品質情報等により構成させている。生産性情報は実績トランザクション情報と生産性管理基準を随時対比させ、歩留まり生産性、工数リードタイム生産性、不良品質情報等により構成させている。
【0098】
以上説明した様に本実施形態の統合生産管理システムによれば、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するので、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能である。
【0099】
また本実施形態の統合生産管理システムによれば、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して工程計画の微調整を行うので、生産性情報の即時フィードバックによる設備稼働率・生産性の最大化を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…生産計画手段、2…所要量計画手段、3…コア管理工程、4…情報の流れ、5…モノの流れ、6…資材発注管理基準テーブル、7…製造仕様設計管理テーブル、8…管理工程マトリックステーブル、9…生産性管理基準テーブル、10…ネットワーク手段、14…工程実績進捗情報テーブル、15…工程計画情報テーブル、16…工程実績情報テーブル、31…コア管理工程設定処理部、32…生産必要量算定処理部、33…負荷山積展開シミュレーション処理部、34…工程計画立案処理部、35…資材所要量計画処理部、36…上流・下流管理工程展開処理部、37…工程生産制約条件チェック処理部、38…是正措置、20…全工程計画展開、17…工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段、18…所要量計画処理部、19…生産性管理アラート処理部、22…計画制約条件テーブル、23…段取切替時間展開テーブル、801〜812…管理工程、821〜823…製造ライン、901…製造ラインNo、902…製品名、903…生産性管理基準書No、904…製造仕様設計書No、905…管理工程コード。
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産を管理する統合生産管理システムに関し、特に受注変動や生産実績変動を踏まえて、受注生産品または見込み生産品に対し、顧客ニーズの少量多品種化・短納期化及び製品特性の高度化に対応する為の製造ライン工程の複雑化に対応するため、コア管理工程を中軸とした工程スケジューリング及びMRP(資材所要量計画)を含む実需対応型の生産管理システムの短サイクル化によって、納期回答及び生産管理情報のフィードバックの即時化、棚卸資産の最小化、各設備稼働効率の最大化を実現させる統合生産管理システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の工程から成り立つ上工程に対して分流し得る複数の下流工程が存在する多品種の物品を加工・製造できる製造ラインにおいて、製造条件等により、下工程の製造手配量を再編成させ、工程指示量を適正化し、品種毎の必要量の変動に対応可能な生産管理方法を提供するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−151642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記従来技術では、複数種類の多段工程が合流同時処理する多品種の製造ライン等、生産プロセス一般に適用することが出来る生産管理の方法が提案されていない。特に、顧客への回答納期、各工程の材料所要量及び物質収支、リードタイム、工数等の生産性情報をフィードバックさせ、各工程の負荷山積計画等の短サイクル・ローリングによる納期遵守、棚卸資産縮減と原価低減の仕掛け作りの高度化を図り、企業経営の視点からサプライチェーン経営効率の最大化を実現する生産管理プロセス全体の操業計画最適化の考慮がされていなかった。
【0005】
例えば、工程Xからの製品Aと工程Yからの製品Bについて同じ処理を行う場合、それらの複数の製品A及びBを工程Zで同時に処理することにより生産性の向上が見込めるが、その際に工程Xで製品Aの処理が遅れると、他方の製品Bの工程Zでの処理も遅れることになり、製品Aだけでなく製品Bの生産性も低下してしまう。しかしながら前記従来技術では、前記の工程Zの様に基軸となる工程が製造ライン中に存在しているかどうかを考慮していないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は上記問題を解決し、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能な技術を提供することにある。本発明の他の目的は生産性情報の即時フィードバックによる設備稼働率・生産性の最大化を実現することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産を管理する統合生産管理システムにおいて、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するものである。
【0008】
本発明の統合生産管理システムでは、先ず各管理工程の情報を格納している管理工程マトリックステーブルを参照し、その管理工程マトリックステーブル中の管理工程の情報が、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の設定基準に該当するかどうかを判定することにより、前記コア管理工程を設定する。例えば、その生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を同時に処理する工程、リードタイムの最も長い工程、または多品種の材料を多量に消費する工程等の設定基準に該当するものを前記コア管理工程に設定する。そして、受注残情報や見込み生産情報から決定される最終的な製品生産量と、前記設定したコア管理工程から最下流工程までの各工程での製品歩留りとを用いて当該コア管理工程で処理する必要のある生産必要量を算出する。
【0009】
次に、前記算出された生産必要量の製品を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って当該コア管理工程における工程計画を立案し、前記設定したコア管理工程を基点として当該コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の工程計画を順次立案するドミノ連動を実行する。このドミノ連動では、例えば、各管理工程の情報を格納する為の管理工程マトリックステーブルに、その管理工程で処理される製品の製品ラインを識別する為の識別情報を格納しておき、前記コア管理工程の管理工程マトリックスに格納されている前記識別情報と同じ識別情報を持つ管理工程を、管理工程コードの順にコア管理工程から上流及び下流へ順に辿り、その前のステップで立案した工程計画の内容を基にその管理工程での工程計画を立案することによって、当該コア管理工程の上流及び下流の双方向に位置する全管理工程の工程計画を順次立案する。
【0010】
前記の様にして全管理工程の工程計画が立案されると、中長期売上計画・月次生産計画及び週次工程計画に基づいて、資材所要量計画を製品勘定部門毎に策定し、部門固有資材、部門共通資材及び中長期戦略資材を分類体系管理して日別MRPを展開し、資材の発注を依頼する処理を行う。
【0011】
また、前記の様にしてコア管理工程の工程計画を立案した際や全工程計画を立案した後に、その立案した工程計画の内容と実際の製造ラインでの工程実績進捗情報の内容とを比較し、進捗実績情報に示された設備稼働率や計画に対する進捗状況に応じて日程や生産量を変更する等の工程計画の微調整を行う様にしても良い。更に、前記工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して納期遅れが発生するかどうかを判定し、納期遅れの発生が検出された場合にアラート情報を出力する様にしても良い。
【0012】
前記の様に本発明では、生産プロセス全体をコントロールする上で特に重要なコア管理工程での工程計画を最適化しているので、ある製造品の処理の遅れが他の製造品に波及するのを防ぐことにより生産プロセス全体の遅れをできるだけ減らし、また、ある製造品の処理待ちに伴う仕掛かりを減らして資産を効率的に使用することができる。
【0013】
以上の様に本発明の統合生産管理システムによれば、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するので、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するので、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の統合生産管理の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の生産計画手段1の全体構成を示す図である。
【図3】本実施形態の全工程計画展開による工程計画実績MRP変動対応と生産活動実需ローリングの全体構成を示す図である。
【図4】本実施形態の管理工程マトリックス、生産性管理基準、製造仕様設計管理、資材発注管理基準のテーブル構成を示す図である。
【図5】本実施形態の計画制約条件及び段取切替時間展開のテーブル構成を示す図である。
【図6】本実施形態の生産計画立案処理の処理フローを示す図である。
【図7】本実施形態のコア管理工程設定処理の処理フローを示す図である。
【図8】本実施形態の複数の管理工程から成る生産プロセスの概要を示す図である。
【図9】本実施形態の管理工程マトリックステーブル8の一例を示す図である。
【図10】本実施形態の負荷山積展開シミュレーション処理部33の処理フローを示す図である。
【図11】本実施形態のドミノ連動による全工程計画展開処理の処理フローを示す図である。
【図12】本実施形態の所要量計画処理部18の処理フローを示す図である。
【図13】本実施形態の生産必要量策定対象一覧画面のレイアウトを示す図である。
【図14】本実施形態の工程計画・進捗実績管理一覧画面のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産を管理する一実施形態の統合生産管理システムについて説明する。
【0017】
図1は本実施形態の統合生産管理の全体構成を示す図である。図1に示す様に本実施形態の統合生産管理システムは、生産計画手段1と所要量計画手段2とを備えている。
【0018】
生産計画手段1は、受注受付処理において製品在庫及び作業仕掛りと既計画確定分への引き当て処理を実施した後に、コア管理工程3に対して負荷山積シミュレーションを行い、前記コア管理工程3を基点として全工程計画を自動展開する手段である。
【0019】
ここで基点となるコア管理工程3は、製造品名毎に製造仕様設計管理テーブル7によって定義される生産プロセス毎にインデックス化された管理工程マトリックステーブル8に基づいて、管理工程毎のリードタイム等を記憶する生産性管理基準テーブル9及び使用資材情報等を記憶する資材発注管理基準テーブル6から後述の設定基準により自動導出することができる様になっている。
【0020】
すなわちコア管理工程は、優先度1の設定基準である多品種同時処理型工程であるか(複数の多品種同時処理型工程が存在する場合には最上流工程を設定)、優先度2の設定基準であるリードタイム最長管理工程であるか、優先度3の設定基準である材料の多品種多量を消費する工程であるか等の基準により設定される。
【0021】
尚、全工程計画の情報は、コア管理工程を基点として上流・下流の双方向に製造仕様設計管理テーブル7と生産性管理基準テーブル9に基づいて、連続する管理工程の工程計画を連鎖的に自動展開する様になっている。一方、モノの流れ5は、所要量計画手段2により資材発注され上流のサプライヤーから納入された材料から製品化までの所定の生産プロセスの短サイクル・システム化を図ることにより、下流の顧客・市場が求める要求に即応できるシステムになっている。
【0022】
図2は本実施形態の生産計画手段1の全体構成を示す図である。図2に示す様に本実施形態の統合生産管理システムは、コア管理工程設定処理部31と、生産必要量算定処理部32と、負荷山積展開シミュレーション処理部33と、工程計画立案処理部34と、資材所要量計画処理部35と、上流・下流管理工程展開処理部36と、工程生産制約条件チェック処理部37とを有している。
【0023】
コア管理工程設定処理部31は、各管理工程の情報を格納している管理工程マトリックステーブルを参照し、その管理工程マトリックステーブル中の管理工程の情報が、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の設定基準に該当するかどうかを判定することにより、前記コア管理工程を設定する処理部である。
【0024】
生産必要量算定処理部32は、前記設定したコア管理工程での生産必要量を算出する処理部である。負荷山積展開シミュレーション処理部33は、前記算出された生産必要量の製品を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行う処理部である。
【0025】
工程計画立案処理部34は、当該コア管理工程における工程計画を立案する処理部である。資材所要量計画処理部35は、前記コア管理工程における資材所要量を算出する処理部である。上流・下流管理工程展開処理部36は、前記設定したコア管理工程を基点として管理工程マトリックステーブルを検索し、当該コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の情報を管理工程マトリックステーブルから読み出し、前記コア管理工程に対して実施した処理をコア管理工程を含む全工程に対して実施する処理部である。工程生産制約条件チェック処理部37は、前記処理の実施結果が生産計画の内容とその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に是正措置38を実施して前記の処理を繰り返す処理部である。
【0026】
統合生産管理システムをコア管理工程設定処理部31、生産必要量算定処理部32、負荷山積展開シミュレーション処理部33、工程計画立案処理部34、資材所要量計画処理部35、上流・下流管理工程展開処理部36及び工程生産制約条件チェック処理部37として機能させる為のプログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録され磁気ディスク等に格納された後、メモリにロードされて実行されるものとする。なお前記プログラムを記録する記録媒体はCD−ROM以外の他の記録媒体でも良い。また前記プログラムを当該記録媒体から情報処理装置にインストールして使用しても良いし、ネットワークを通じて当該記録媒体にアクセスして前記プログラムを使用するものとしても良い。
【0027】
図2の様に生産計画手段1において、先ず受注受付を始点として受注残情報からコア管理工程設定処理部31及び生産必要量算定処理部32の処理を行い、コア管理工程の設定と生産必要量算定処理を行う。次に製造仕様設計管理テーブル7により製造設備が設定され、負荷山積展開シミュレーション処理部33及び工程計画立案処理部34の処理を行って、負荷山積展開シミュレーション処理と工程計画立案処理を実行した後、資材所要量計画処理部35により資材所要量計画処理を行う。
【0028】
更に、上流・下流管理工程展開処理部36が、リードタイム、歩留り等の情報を持つ生産性管理基準テーブル9と、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブル14を参照して、連続する管理工程の負荷山積み計画を連鎖的に、コア管理工程の工程計画を中心としたP1工程計画、P2工程計画からPn-1工程計画、Pn工程計画に到る、生産プロセスの全工程計画を自動作成する。工程生産制約条件チェック処理部37は、各工程計画15に対して各工程の生産制約がある場合にその旨を生産必要量算定処理部32に伝えて前述の一連の処理を繰り返して全工程計画を立て直す。加えて、オプション機能として、加工工程の一部を外部に発注する為の加工外注展開機能も備えているものとする。
【0029】
図3は本実施形態の全工程計画展開による工程計画実績MRP変動対応と生産活動実需ローリングの全体構成を示す図である。図3に示す様に本実施形態の統合生産管理システムは、工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17と、所要量計画処理部18と、生産性管理アラート処理部19とを有している。
【0030】
全工程計画展開20では、コア管理工程を基準として自動作成された各工程P1〜Pnの生産計画の内容と、それらの工程の設備能力や制約(設備の稼働時間、各工程で利用可能な資材、人員数、担当人員の技能や能力等)とを比較して、各工程の生産計画の内容がその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に各工程P1〜Pnの再計画を行うことにより、全工程の生産計画の実需のローリングが行われる。例えば再計画には各工程の資材所要量の見直しがある。
【0031】
工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17は、前記立案した工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して工程計画の微調整を行う手段である。所要量計画処理部18は、中長期売上計画・月次生産計画及び週次工程計画に基づいて、資材所要量計画を製品勘定部門毎に策定し、部門固有資材、部門共通資材及び中長期戦略資材を分類体系管理して日別MRPを展開し、資材の発注依頼を行う処理部である。
【0032】
生産性管理アラート処理部19は、前記工程計画に基づいた生産活動における、リードタイム生産性、物質収支生産性や品質情報が所定の管理基準に達した場合や、前記工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して納期遅れが発生するかどうかを判定し、納期遅れの発生が検出された場合にアラート情報を出力する処理部である。
【0033】
統合生産管理システムを工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17、所要量計画処理部18及び生産性管理アラート処理部19として機能させる為のプログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録され磁気ディスク等に格納された後、メモリにロードされて実行されるものとする。なお前記プログラムを記録する記録媒体はCD−ROM以外の他の記録媒体でも良い。また前記プログラムを当該記録媒体から情報処理装置にインストールして使用しても良いし、ネットワークを通じて当該記録媒体にアクセスして前記プログラムを使用するものとしても良い。
【0034】
図3では、本実施形態に係る全工程計画展開による工程計画実績進捗管理と連動したMRP資材発注管理、いわゆる実需ローリング型生産活動管理の全体構成図を概略的に表している。
【0035】
全工程に展開された管理工程計画に基づいて生産活動が行われ、そのリードタイム生産性、物質収支生産性、及び、品質情報が即時に把握された状態で、生産性管理アラート処理部19の処理を実施することで、各々の管理基準に従い、アラートが表示される。アラートに従った是正アクションの入力を受け付けてその是正アクションによる改善状況をフィードバックし、必要に応じて全工程の再スケジューリング及び各管理基準等の変更を行える構成としている。
【0036】
全工程への展開を行い、資材発注ロジックを用いて所要量計画処理部18の処理を実施することで、資材調達の為のMRPが全工程計画に連動し自動展開される。更に、展開結果を短サイクルでローリング集計し、部門固有資材、共通資材、中長期戦略品に分類した上で、日別に新規発注・変更依頼情報等を画面表示する構成としている。
【0037】
図4は本実施形態の管理工程マトリックス、生産性管理基準、製造仕様設計管理、資材発注管理基準のテーブル構成を示す図である。生産プロセス毎にインデックス化された管理工程マトリックステーブル8は、製造品名毎に管理工程を定義したものであり、製造品名毎に連続する管理工程や、当該生産プロセスに対応する管理工程に関する情報を記憶している。
【0038】
更に管理工程マトリックステーブル8は、当該管理工程に対応するリードタイム(LT)、物質収支、品質規格基準等を記憶する生産性管理基準テーブル9、製造品名と製造設備との制約やその工程で用いられる材料の品種名及び使用量等を記憶する製造仕様設計管理テーブル7、資材発注方式や所要量算出基準等を記憶する資材発注管理基準テーブル6を関係付けて定義している。
【0039】
図4において、製造ラインNoはその管理工程で処理される製造品に対応する製品の生産が行われる製品ラインを識別する為の識別情報であり、ある製品は同一の製造ラインNoで識別される複数の管理工程を流れることにより生産されるものとする。また生産性管理基準書Noや製造仕様設計書Noは、その管理工程で用いられる生産性管理基準書や製造仕様設計書に対応した、生産性管理基準テーブル9や製造仕様設計管理テーブル7上のデータを識別する為の番号であり、資材発注管理基準テーブル6についても同様の番号が格納されているものとする。そして管理工程コードは、その管理工程を識別する為のコードであり、上流工程から下流工程に向かうに従って大きい値となる様に番号が付けられているものとする。
【0040】
図5は本実施形態の計画制約条件及び段取切替時間展開のテーブル構成を示す図である。図5では、製造品名、製造仕様設計書Noと製造設備、製造設備配置(割り付けロケーション)等を記憶する計画制約条件テーブル22と、設備毎に前作業製造品名と後作業製造品名及び段取り時間を記憶する段取切替時間展開テーブル23を表している。
【0041】
図6は本実施形態の生産計画立案処理の処理フローを示す図である。図6の処理では、コア管理工程を基点として双方向に連続する管理工程の工程計画を、製造仕様設計管理テーブル7と生産性管理基準テーブル9に基づいて連鎖的に自動展開するドミノ連動により全管理工程の工程計画を自動生成する。
【0042】
以下、処理フローに従ってステップS10からステップS90について説明する。先ずコア管理工程設定処理部31は、管理工程マトリックステーブル8よりコア管理工程の決定を行う。ここでは受注受付による受注残を示す受注残情報テーブル及び見込み生産の内容を示す月次生産計画テーブルの読み出しと、決定されたコア管理工程の情報の読み出しを行い、以下の処理ステップ実行の準備を行う(ステップS10)。
【0043】
工程生産制約条件チェック処理部37は、コア管理工程を基準として自動作成された各工程の生産計画の内容がその工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、以下のステップS20からステップS90まで、全工程の生産計画の実需のローリングを行う(ステップS15)。
【0044】
生産必要量算定処理部32は、前記決定されたコア管理工程を基点として受注残情報と生産性管理基準テーブル9に基づいて生産必要量を算出し、コア管理工程における生産必要量の確定登録を行う(ステップS20)。
【0045】
次のステップで負荷山積展開シミュレーション処理部33は、前記ステップで算出された生産必要量を示す生産必要量策定対象一覧の内容を対象とし、前記の製造仕様設計管理テーブル7、生産性管理基準テーブル9、計画制約条件テーブル22、段取切替時間展開テーブル23等を用いてコア管理工程の負荷山積展開シミュレーションを行い、最適解を求めて工程計画立案処理部34によりコア管理工程の工程計画を確定した後、資材所要量計画処理部35によりコア管理工程の資材所要量を算出する(ステップS30)。
【0046】
次のステップで上流・下流管理工程展開処理部36は、前記の生産性管理基準テーブル9を用いて累積歩留りを考慮し、コア管理工程を基点として双方向に連続する全管理工程の工程計画を、ドミノ連動により自動生成する(ステップS40)。
【0047】
次のステップでは、工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段17により、オプション機能として、自動生成された工程計画に対する工程計画の微調整を行える仕組みを提供しており、全管理工程の負荷バランスを考慮する為に、ローリング負荷山積み展開シミュレーションを行える様にしている。例えば特急注文の対応、及び突発的な工程遅れの是正の為に、特急指定を登録することにより、各管理工程作業のディスパッチングを可能とし、且つ当該管理工程における加工外注依頼処理が行える様に構成している(ステップS50)。
【0048】
更に次のステップ60で生産性管理アラート処理部19は、展開結果として割り付けられた各管理工程計画について、工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較し、納期遅れが発生するかどうかを前記比較結果に基づいて予測し、納期遅れが存在すると予測された場合には、次のステップS70で、納期遅れが存在することを示すアラート情報を出力する。ここでは例えば各管理工程の工程計画進捗実績管理一覧画面の該当データについて赤色表示を行うものとする。そしてステップS80では、残業/休日出勤、外注、納期変更等の是正措置の内容の入力を受け付けてステップS20へ戻る。一方、納期遅れが存在しない場合にはステップS90を経て生産計画立案処理を終了する。
【0049】
図7は本実施形態のコア管理工程設定処理の処理フローを示す図である。図7では、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ10の詳細ステップを表している。本実施形態のコア管理工程設定処理部31は、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程を、多品種の製品を同時に処理する工程、リードタイムの最も長い工程、多品種の材料を多量に消費する工程の優先順位で設定する処理を行うものとするが、他の設定基準を用いるものとしても良い。
【0050】
ステップ701でコア管理工程設定処理部31は、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の管理工程コードと製品名を読み出し、各管理工程の品種数をカウントする。カウントされる品種数は管理工程マトリックステーブル8中の品種数全体であるものとするが、前回計画時の計画品種数がカウントされる場合もあるものとする。
【0051】
ステップ702では、前記カウントした全管理工程の品種数を参照し、多品種(例えば2品種以上)の製品を同時に処理する管理工程が存在しているかどうかを調べて、その様な管理工程が存在している場合にはステップ703へ進む。
【0052】
ステップ703では、前記カウントした品種数の値の内で最大値のものが複数存在しているかどうかを調べ、最大値のものが複数存在している場合、すなわち最大の品種数を処理する管理工程が複数存在している場合にはステップ704へ進み、そうでない場合にはステップ705へ進む。
【0053】
ステップ704では、前記最大の品種数を処理する複数の管理工程の各管理工程コードの値を参照し、それらの内で最も値の小さい管理コードの管理工程、すなわち前記最大の品種数を処理する管理工程の内で最も上流の管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0054】
またステップ704では、前記最大の品種数を処理する管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0055】
ステップ706では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の生産性管理基準書Noを読み出した後、生産性管理基準テーブル9を参照し、前記読み出した生産性管理基準書Noに対応するデータ中のリードタイム(LT)を読み出して、リードタイムの最も長い管理工程の管理工程コードをメモリに格納する。
【0056】
ステップ707では、前記処理により得られたリードタイムの最も長い管理工程におけるリードタイムの値を参照して、その値が所定の値よりも小さいかどうかを判定し、所定の値よりも小さい場合にはステップ708へ進む。
【0057】
ステップ708では、前記参照したリードタイムの値の内で最大値のものが複数存在しているかどうかを調べ、最大値のものが複数存在している場合、すなわちリードタイムが最大である管理工程が複数存在している場合にはステップ709へ進み、そうでない場合にはステップ710へ進む。
【0058】
ステップ709では、前記リードタイムが最大である複数の管理工程から特定の管理工程(例えば管理工程コードが最小のもの)を選択し、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。またステップ710では、前記リードタイムが最大である管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0059】
ステップ711では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の製造仕様設計書Noを読み出した後、製造仕様設計管理テーブル7を参照し、前記読み出した製造仕様設計書Noに対応するデータ中の材料の品種名及び使用量を読み出して、各管理工程で用いられる材料の品種数及び使用量をメモリに格納する。
【0060】
ステップ712では、前記格納した材料の品種数の値の内で最大値のものが複数存在しているかどうかを調べ、最大値のものが複数存在している場合にはステップ713へ進み、そうでない場合にはステップ716へ進む。
【0061】
ステップ713では、前記材料の品種数が最大である複数の管理工程の材料の使用量を比較して、その使用量が同量であるものが複数存在しているかどうかを調べ、使用量が同量であるものが複数存在している場合にはステップ714へ進み、そうでない場合にはステップ715へ進む。
【0062】
ステップ714では、前記材料の使用量が同量である複数の管理工程から特定の管理工程(例えば管理工程コードが最小のもの)を選択し、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。またステップ715では、前記材料の品種数及び使用量が最大である管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。一方ステップ716では、前記材料の品種数が最大である管理工程をコア管理工程とし、その管理工程コードをコア管理工程コードとしてメモリに格納してコア管理工程設定処理を終了する。
【0063】
次に、本実施形態の統合生産管理システムにおいて、多品種の製品を同時に処理する工程をコア管理工程として設定する処理を以下の図8及び図9を用いて説明する。
【0064】
図8は本実施形態の複数の管理工程から成る生産プロセスの概要を示す図である。図8では製品A、製品B、製品Cを管理工程801〜812で処理する生産プロセスの概要を表しており、各製品はそれぞれ製造ライン821〜823に沿って次の工程に渡されるものとする。ここで、図8における製造品名A1〜A5、B1〜B5、C1〜C4は、各製品のそれぞれの管理工程での名称であるものとする。
【0065】
図9は本実施形態の管理工程マトリックステーブル8の一例を示す図である。図9に示す様にこの管理工程マトリックステーブル8の例では、図8に示した管理工程801〜812に関する情報が格納されている。
【0066】
ステップ701でコア管理工程設定処理部31が、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照して各管理工程の品種数をカウントする場合、先ず管理工程コード905及び製品名902を読み出して、同一の管理工程コード905に対して異なる製品名902が設定されているものをカウントする。図9の場合では、管理工程コード905の値が「807」の製品名902が「A3」、「B3」、「C3」であるので、この管理工程807では3品種の製品が同時に処理されることが判り、この例では、他に多品種の管理工程が存在していないので、この管理工程807がコア管理工程となる。
【0067】
またステップ706の処理を行う場合では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の生産性管理基準書Noの「901」「902」「903」等を読み出した後、生産性管理基準テーブル9を参照し、前記読み出した生産性管理基準書Noに対応するデータ中のリードタイム(LT)を読み出して、リードタイムの最も長い管理工程を検出し、コア管理工程の決定に利用する。
【0068】
さらにステップ711の処理を行う場合では、管理工程マトリックステーブル8中のデータを順次参照してそのデータ中の製造仕様設計書Noの「921」「922」「923」等を読み出した後、製造仕様設計管理テーブル7を参照し、前記読み出した製造仕様設計書Noに対応するデータ中の材料の品種名及び使用量を読み出して、各管理工程で用いられる材料の品種数及び使用量をカウントし、コア管理工程の決定に利用する。
【0069】
前記の様にしてコア管理工程が決定されると、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ20で生産必要量算定処理部32は、その決定されたコア管理工程を基点として受注残情報及び月次生産計画と生産性管理基準テーブル9に基づいて生産必要量を算出し、確定登録を行う。
【0070】
すなわち、図6のステップ20で生産必要量算定処理部32は、管理工程マトリックステーブル8中のデータを参照して、前記メモリに格納しておいたコア管理工程コードと一致する管理工程のデータを検索した後、コア管理工程以降の後工程に位置する管理工程の歩留情報を読み出し、コア管理工程から最終工程までの累積歩留を算出して、前記受注残情報及び月次生産計画で示される製品量を前記算出した累積歩留で除算する等の処理により、前記製品量を生産する為にコア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出し、生産必要量策定対象一覧等への出力を行う。
【0071】
図10は本実施形態の負荷山積展開シミュレーション処理部33の処理フローを示す図である。図10では、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ30の詳細ステップを表している。ここでは、先ず前記ステップで作成された生産必要量策定対象一覧に基づき、製造仕様設計管理テーブル7と生産性管理基準テーブル9及び計画制約条件テーブル22を読出し、これらによりコア管理工程の工程計画を決定する。
【0072】
以下、処理フローに従ってステップS10000からステップS70000について説明する。先ず負荷山積展開シミュレーション処理部33は、計画制約条件テーブル22、製造仕様設計管理テーブル7及び生産性管理基準テーブル9を読出す(ステップS10000)。次に、コア管理工程に対する工程計画情報テーブル15及び工程実績情報テーブル16等を読出し、以下の処理ステップ実行の準備を行う(ステップS20000)。
【0073】
納期遅れが存在する間は、以下のステップS30000からステップS70000まで、負荷山積みシミュレーションのローリングを行う(ステップS25000)。
【0074】
先ず次のステップでは、生産必要量の算出結果に基づいて負荷山積み優先順位ソートを実行する。ここでは例えば(1)製品在庫切れで受注残納期が短い注文、(2)受注引当残製品在庫が目標在庫切っている製品等の順位についてソートを実行する(ステップS30000)。
【0075】
更に次のステップでは、計画制約条件テーブル22、製造仕様設計管理テーブル7、及び生産性管理基準テーブル9に従って段取り時間を含めた負荷山積み展開を実行する。ここでは例えば(1)前後の製造品名の制約条件、(2)製造品名、製造設備毎の段取り時間の設定、(3)製品製造勘定部門、設備毎の稼働カレンダーの調整を実行する(ステップS40000)。
【0076】
次に前記ステップで決定された情報に基づきコア管理工程の負荷山積みシミュレーションを行い、コア管理工程の工程計画を作成する(ステップS50000)。
【0077】
次にステップS60000で生産性管理アラート処理部19は、前記作成された工程計画と工程実績進捗情報とを比較して当該コア管理工程の工程計画について納期遅れの有無を判定し、納期遅れが存在すると判定された場合には、次のステップS70000を実行して納期遅れのアラート情報を出力する。ここでは、例えばコア管理工程計画画面の該当データの赤色表示を行うものとする。尚、納期遅れが避けられない場合は、顧客との納期調整を実施後、変更された納期を基に再度シミュレーションを行って最終的な工程計画を確定させる。
【0078】
前記の様にしてコア管理工程での工程計画を決定した後、負荷山積展開シミュレーション処理部33は、管理工程マトリックステーブル8中のコア管理工程の工程計画コードで識別される工程計画情報テーブル15中の格納位置に前記決定した工程計画を格納する。
【0079】
図11は本実施形態のドミノ連動による全工程計画展開処理の処理フローを示す図である。図11では、図6の生産計画手段1の処理フロー図のステップ40の詳細ステップを表しており、上流・下流管理工程展開処理部36は、前記設定したコア管理工程を基点として、そのコア管理工程で処理される製品の製品ラインに該当する上流または下流の管理工程を順次辿ることによって当該コア管理工程の上流及び下流に位置する管理工程の工程計画を順次立案する処理を行う。
【0080】
ステップ1101で上流・下流管理工程展開処理部36は、管理工程マトリックステーブル8中のデータを参照し、前記の処理でメモリに格納しておいたコア管理工程コードと一致する管理工程コードを持つデータを検索する。
【0081】
ステップ1102では、前記検索されたデータ中の工程計画コードを読み出し、そのコードで識別される工程計画データを工程計画情報テーブル15から読み出してメモリ上に格納しておく。
【0082】
ステップ1103では、前記読み出した工程計画中に示されている製造品名を読み出した後、その製造品名に該当する製造ラインNoを管理工程マトリックステーブル8から読み出してメモリに格納しておく処理と、ステップ1104及びステップ1108の処理とを、前記工程計画中に示された製造品の種類の数だけ繰り返す。
【0083】
ステップ1104では、ステップ1102でメモリ上に格納したコア管理工程の工程計画データから、ステップ1103で読み出されている製造品名の工程計画データをメモリ上の他の領域にコピーした後、管理工程の検索位置を示す検索対象管理工程コードの格納領域をメモリ上に確保し、前記メモリに格納しておいたコア管理工程コードを前記検索対象管理工程コードに格納して、その検索対象管理工程コードが最も上流の管理工程コードに達するまでステップ1105からステップ1107までの処理を繰り返すことにより、コア管理工程よりも上流に位置する管理工程の工程計画を順次立案する。
【0084】
ステップ1105では、前記検索位置情報で示される管理工程の前工程を検索する。すなわち、前記検索対象管理工程コードを「1」減算した後、検索対象管理工程コードで示される管理工程の製造ラインNoを管理工程マトリックステーブル8から読み出して、ステップ1103でメモリに格納しておいた製造ラインNoと比較し、それらが一致する場合には検索対象管理工程コードで示される管理工程が前工程であると判定する。また、一致しない場合には更に前記検索対象管理工程コードを「1」減算して次の管理工程の製造ラインNoとの比較を行う。
【0085】
ステップ1106では、前記判定された前工程の生産必要量を算出する。すなわち、前記メモリにコピーしておいた工程計画中の生産必要量について、その生産必要量を後工程に提供する為に必要な製造品の量を、生産必要量算定処理部32の場合と同様にして当該管理工程の歩留等の値を用いて算出する。
【0086】
ステップ1107では、前記判定された前工程の工程計画を立案する。すなわち、前記算出された前工程で処理する製造品の量について、前記の負荷山積展開シミュレーション処理と同様の処理を行い、当該管理工程における工程計画を決定する。そして、その決定した工程計画を工程計画情報テーブル15中に格納した後、前記メモリにコピーしておいた工程計画データをこのステップで決定した工程計画データで更新し、その次の前工程についても前記と同様の処理を行う。
【0087】
一方、ステップ1108では、ステップ1102でメモリ上に格納したコア管理工程の工程計画データから、ステップ1103で読み出されている製造品名の工程計画データをメモリ上の他の領域にコピーした後、前記メモリに格納しておいたコア管理工程コードを前記検索対象管理工程コードに格納し、その検索対象管理工程コードが最も下流の管理工程コードに達するまでステップ1109からステップ1111までの処理を繰り返すことにより、コア管理工程よりも下流に位置する管理工程の工程計画を順次立案する。
【0088】
ステップ1109では、前記検索位置情報で示される管理工程の後工程を検索する。すなわち、前記検索対象管理工程コードに「1」加算した後、検索対象管理工程コードで示される管理工程の製造ラインNoを管理工程マトリックステーブル8から読み出して、ステップ1103でメモリに格納しておいた製造ラインNoと比較し、それらが一致する場合には検索対象管理工程コードで示される管理工程が後工程であると判定する。また、一致しない場合には更に前記検索対象管理工程コードに「1」加算して次の管理工程の製造ラインNoとの比較を行う。
【0089】
ステップ1110では、前記判定された後工程の生産必要量を算出する。すなわち、前記メモリにコピーしておいた工程計画中の生産必要量にその管理工程での歩留を乗じた量の製造品が後工程に提供されるものとして、その後工程で処理する製造品の量を算出する。
【0090】
ステップ1111では、前記判定された後工程の工程計画を立案する。すなわち、前記算出された後工程で処理する製造品の量について、前記の負荷山積展開シミュレーション処理と同様の処理を行い、当該管理工程における工程計画を決定する。そして、その決定した工程計画を工程計画情報テーブル15中に格納した後、前記メモリにコピーしておいた工程計画データをこのステップで決定した工程計画データで更新し、その次の後工程についても前記と同様の処理を行う。
【0091】
図12は本実施形態の所要量計画処理部18の処理フローを示す図である。図12に示す様に本実施形態においては、中長期売上計画・月次生産計画及び、週次工程計画に基づいて、資材所要量計画を製品勘定部門毎に自動策定し、部門固有資材、部門共通資材(まとめ発注)、中長期戦略資材を分類体系管理し、日別MRPを展開し、確定納期資材発注依頼処理を行う。
【0092】
以下、処理フローに従って、S100からS900について説明する。先ず所要量計画処理部18は、当日材料在庫データを読み出し、以下の処理ステップの実行準備を行う(ステップS100)。
【0093】
次に、今回の管理工程計画の材料分解を行い、日別使用量算出データを取り込む(ステップS200)。次に、前回所要量計画発注残データを取り込む(ステップS300)。次に、所要量の日別発注予定量の算出を行う(ステップS400)。次に、サプライヤーのロット指定情報を入力する(ステップS500)。
【0094】
次に、中長期購入戦略品の所要量計画として、例えば当期・翌期、翌々期月別発注計画を行う(ステップS600)。次に、部門共通材料の所要量計画管理として、例えば部門別所要量の日別発注量計画を行う。(ステップS700)。次に、部門固有材料の所要量計画管理として、例えば部門別所要量の日別発注量計画を行う(ステップS800)。最後に、発注依頼確定処理として、例えば(1)中長期購入戦略品、(2)部門共通材料、(3)部門固有材料を行う構成にしている(ステップS900)。
【0095】
図13は本実施形態の生産必要量策定対象一覧画面のレイアウトを示す図である。図13に示す様に本実施形態に係る生産必要量策定対象一覧画面では、製品勘定部門毎に受注情報、前記受注残情報に基づいてコア管理工程の工程計画情報を表示している。尚、受注残情報に紐付けされない作業仕掛在庫が存在する場合に限り、コア管理工程を基点にして、仕掛在庫情報を加味した前後管理工程を設定・表示を行うものとする。また受注情報では、受注残の数物量、納期、特急区分等の表示を行う。
【0096】
図14は本実施形態の工程計画・進捗実績管理一覧画面のレイアウトを示す図である。図14に示す様に本実施形態に係る工程計画・進捗実績管理一覧画面では、製品勘定部門毎の全管理工程の計画と実績進捗管理を行う際に、生産性情報を即時提供すると共に、異常発生時にアラートを発し、その異常に対する是正措置の入力とフィードバック機能を実行する際のユーザインタフェースを提供している。
【0097】
本実施形態においては、基本情報は作業指示日、着手実績日時、特急区分、遅延日数等により構成される。計画情報は生産性管理基準に基づいた各管理工程の計画数物量と歩留まりを加味した実行数物量等により構成させている。実績情報は作業進捗情報である工程進捗情報、実績数物量、品質情報等により構成させている。生産性情報は実績トランザクション情報と生産性管理基準を随時対比させ、歩留まり生産性、工数リードタイム生産性、不良品質情報等により構成させている。
【0098】
以上説明した様に本実施形態の統合生産管理システムによれば、生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程の工程計画を基点として上流及び下流の工程計画を順次立案するので、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による顧客要求納期への対応力向上と棚卸資産の最小化を行うことが可能である。
【0099】
また本実施形態の統合生産管理システムによれば、生産プロセス全体にわたる操業計画の一元的立案による工程計画の内容と工程実績進捗情報の内容とを比較して工程計画の微調整を行うので、生産性情報の即時フィードバックによる設備稼働率・生産性の最大化を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…生産計画手段、2…所要量計画手段、3…コア管理工程、4…情報の流れ、5…モノの流れ、6…資材発注管理基準テーブル、7…製造仕様設計管理テーブル、8…管理工程マトリックステーブル、9…生産性管理基準テーブル、10…ネットワーク手段、14…工程実績進捗情報テーブル、15…工程計画情報テーブル、16…工程実績情報テーブル、31…コア管理工程設定処理部、32…生産必要量算定処理部、33…負荷山積展開シミュレーション処理部、34…工程計画立案処理部、35…資材所要量計画処理部、36…上流・下流管理工程展開処理部、37…工程生産制約条件チェック処理部、38…是正措置、20…全工程計画展開、17…工程計画実績MRP変動対応/生産活動実需ローリング処理手段、18…所要量計画処理部、19…生産性管理アラート処理部、22…計画制約条件テーブル、23…段取切替時間展開テーブル、801〜812…管理工程、821〜823…製造ライン、901…製造ラインNo、902…製品名、903…生産性管理基準書No、904…製造仕様設計書No、905…管理工程コード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産プロセスを管理し、前記各種管理工程での負荷山積シミュレーションを行い全管理工程の工程計画を立案し、中長期売上計画、月次生産計画及び週次工程計画の情報に基づき、資材所要量を算出する統合生産管理システムにおける統合生産管理方法において、
前記統合生産管理システムは、製造品名、リードタイム、歩留、材料品種名及びその使用量の情報を含む各管理工程に関連する情報と、受注残情報、見込み生産情報を記憶する記憶手段と、情報処理手段と、を備え、
前記情報処理手段により、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を処理する工程、または前記リードタイムの最も長い管理工程、または多品種の材料を多量に消費する工程を、前記生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程として決定し、当該コア管理工程識別情報をメモリに格納する第1の処理と、
前記受注残情報及び前記見込み生産情報から決定される最終的な、最下流工程の製品生産量を算出し、前記コア管理工程から最下流管理工程までの各管理工程での製品歩留情報とを用いてコア管理工程から最下流工程までの累積歩留を算出し、累積歩留で前記最下流工程の製品生産量を除算する処理により、該コア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出する第2の処理と、
前記算出された該コア管理工程の製造品の必要量を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って該コア管理工程の最適な工程計画を立案し、該コア管理工程の最適な負荷山積工程計画における日別の資材所要量計画(MRP)を資材所要量処理部にて策定する第3の処理と、
前記製造品の必要量を設定したコア管理工程を基点として、各管理工程のリードタイム、歩留りの情報を持つ生産性管理基準テーブルと、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブルに基づき、当該コア管理工程の上流管理工程及び下流管理工程の製造品の必要量及び各管理工程の負荷山積計画を連鎖的に自動作成する第4の処理と、
前記全管理工程の負荷山積計画に基づいて資材所要量処理部にて資材発注につなげる日別の資材所要量計画(MRP)を展開策定する第5の処理と、
前記第5の処理まで実施した結果が顧客要求納期を含む生産計画の内容とその管理工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、是正措置を実施して前記第2の処理から前記第5の処理を繰り返し行い、最適な全管理工程計画を策定する第6の処理と、を実施する、
ことを特徴とする統合生産管理方法。
【請求項2】
複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産プロセスを管理し、前記各種管理工程での負荷山積シミュレーションを行い全管理工程の工程計画を立案し、中長期売上計画、月次生産計画及び週次工程計画の情報に基づき、資材所要量を算出する統合生産管理システムにおいて、
製造品名、リードタイム、歩留、材料品種名及びその使用量の情報を含む各管理工程に関連する情報と、受注残情報、見込み生産情報を記憶する記憶手段と、情報処理手段と、を備え、
前記情報処理手段により、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を処理する工程、または前記リードタイムの最も長い管理工程、または多品種の材料を多量に消費する工程を、前記生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程として決定し、当該コア管理工程識別情報をメモリに格納する第1の処理と、
前記受注残情報及び前記見込み生産情報から決定される最終的な、最下流工程の製品生産量を算出し、前記コア管理工程から最下流管理工程までの各管理工程での製品歩留情報とを用いてコア管理工程から最下流工程までの累積歩留を算出し、累積歩留で前記最下流工程の製品生産量を除算する処理により、該コア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出する第2の処理と、
前記算出された該コア管理工程の製造品の必要量を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って該コア管理工程の最適な工程計画を立案し、該コア管理工程の最適な負荷山積工程計画における日別の資材所要量計画(MRP)を資材所要量処理部にて策定する第3の処理と、
前記製造品の必要量を設定したコア管理工程を基点として、各管理工程のリードタイム、歩留りの情報を持つ生産性管理基準テーブルと、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブルに基づき、当該コア管理工程の上流管理工程及び下流管理工程の製造品の必要量及び各管理工程の負荷山積計画を連鎖的に自動作成する第4の処理と、
前記全管理工程の負荷山積計画に基づいて資材所要量処理部にて資材発注につなげる日別の資材所要量計画(MRP)を展開策定する第5の処理と、
前記第5の処理まで実施した結果が顧客要求納期を含む生産計画の内容とその管理工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、是正措置を実施して前記第2の処理から前記第5の処理を繰り返し行い、最適な全管理工程計画を策定する第6の処理と、を実施する、
ことを特徴とする統合生産管理システム。
【請求項3】
複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産プロセスを管理し、前記各種管理工程での負荷山積シミュレーションを行い全管理工程の工程計画を立案し、中長期売上計画、月次生産計画及び週次工程計画の情報に基づき、資材所要量を算出する統合生産管理システムにおける統合生産管理方法をコンピュータに実行させる為のプログラムにおいて、
前記統合生産管理システムは、製造品名、リードタイム、歩留、材料品種名及びその使用量の情報を含む各管理工程に関連する情報と、受注残情報、見込み生産情報を記憶する記憶手段と、情報処理手段と、を備え、
前記情報処理手段により、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を処理する工程、または前記リードタイムの最も長い管理工程、または多品種の材料を多量に消費する工程を、前記生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程として決定し、当該コア管理工程識別情報をメモリに格納する第1の処理と、
前記受注残情報及び前記見込み生産情報から決定される最終的な、最下流工程の製品生産量を算出し、前記コア管理工程から最下流管理工程までの各管理工程での製品歩留情報とを用いてコア管理工程から最下流工程までの累積歩留を算出し、累積歩留で前記最下流工程の製品生産量を除算する処理により、該コア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出する第2の処理と、
前記算出された該コア管理工程の製造品の必要量を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って該コア管理工程の最適な工程計画を立案し、該コア管理工程の最適な負荷山積工程計画における日別の資材所要量計画(MRP)を資材所要量処理部にて策定する第3の処理と、
前記製造品の必要量を設定したコア管理工程を基点として、各管理工程のリードタイム、歩留りの情報を持つ生産性管理基準テーブルと、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブルに基づき、当該コア管理工程の上流管理工程及び下流管理工程の製造品の必要量及び各管理工程の負荷山積計画を連鎖的に自動作成する第4の処理と、
前記全管理工程の負荷山積計画に基づいて資材所要量処理部にて資材発注につなげる日別の資材所要量計画(MRP)を展開策定する第5の処理と、
前記第5の処理まで実施した結果が顧客要求納期を含む生産計画の内容とその管理工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、是正措置を実施して前記第2の処理から前記第5の処理を繰り返し行い、最適な全管理工程計画を策定する第6の処理と、を実施する、
ことをコンピュータに実行させる為のプログラム。
【請求項1】
複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産プロセスを管理し、前記各種管理工程での負荷山積シミュレーションを行い全管理工程の工程計画を立案し、中長期売上計画、月次生産計画及び週次工程計画の情報に基づき、資材所要量を算出する統合生産管理システムにおける統合生産管理方法において、
前記統合生産管理システムは、製造品名、リードタイム、歩留、材料品種名及びその使用量の情報を含む各管理工程に関連する情報と、受注残情報、見込み生産情報を記憶する記憶手段と、情報処理手段と、を備え、
前記情報処理手段により、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を処理する工程、または前記リードタイムの最も長い管理工程、または多品種の材料を多量に消費する工程を、前記生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程として決定し、当該コア管理工程識別情報をメモリに格納する第1の処理と、
前記受注残情報及び前記見込み生産情報から決定される最終的な、最下流工程の製品生産量を算出し、前記コア管理工程から最下流管理工程までの各管理工程での製品歩留情報とを用いてコア管理工程から最下流工程までの累積歩留を算出し、累積歩留で前記最下流工程の製品生産量を除算する処理により、該コア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出する第2の処理と、
前記算出された該コア管理工程の製造品の必要量を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って該コア管理工程の最適な工程計画を立案し、該コア管理工程の最適な負荷山積工程計画における日別の資材所要量計画(MRP)を資材所要量処理部にて策定する第3の処理と、
前記製造品の必要量を設定したコア管理工程を基点として、各管理工程のリードタイム、歩留りの情報を持つ生産性管理基準テーブルと、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブルに基づき、当該コア管理工程の上流管理工程及び下流管理工程の製造品の必要量及び各管理工程の負荷山積計画を連鎖的に自動作成する第4の処理と、
前記全管理工程の負荷山積計画に基づいて資材所要量処理部にて資材発注につなげる日別の資材所要量計画(MRP)を展開策定する第5の処理と、
前記第5の処理まで実施した結果が顧客要求納期を含む生産計画の内容とその管理工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、是正措置を実施して前記第2の処理から前記第5の処理を繰り返し行い、最適な全管理工程計画を策定する第6の処理と、を実施する、
ことを特徴とする統合生産管理方法。
【請求項2】
複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産プロセスを管理し、前記各種管理工程での負荷山積シミュレーションを行い全管理工程の工程計画を立案し、中長期売上計画、月次生産計画及び週次工程計画の情報に基づき、資材所要量を算出する統合生産管理システムにおいて、
製造品名、リードタイム、歩留、材料品種名及びその使用量の情報を含む各管理工程に関連する情報と、受注残情報、見込み生産情報を記憶する記憶手段と、情報処理手段と、を備え、
前記情報処理手段により、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を処理する工程、または前記リードタイムの最も長い管理工程、または多品種の材料を多量に消費する工程を、前記生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程として決定し、当該コア管理工程識別情報をメモリに格納する第1の処理と、
前記受注残情報及び前記見込み生産情報から決定される最終的な、最下流工程の製品生産量を算出し、前記コア管理工程から最下流管理工程までの各管理工程での製品歩留情報とを用いてコア管理工程から最下流工程までの累積歩留を算出し、累積歩留で前記最下流工程の製品生産量を除算する処理により、該コア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出する第2の処理と、
前記算出された該コア管理工程の製造品の必要量を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って該コア管理工程の最適な工程計画を立案し、該コア管理工程の最適な負荷山積工程計画における日別の資材所要量計画(MRP)を資材所要量処理部にて策定する第3の処理と、
前記製造品の必要量を設定したコア管理工程を基点として、各管理工程のリードタイム、歩留りの情報を持つ生産性管理基準テーブルと、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブルに基づき、当該コア管理工程の上流管理工程及び下流管理工程の製造品の必要量及び各管理工程の負荷山積計画を連鎖的に自動作成する第4の処理と、
前記全管理工程の負荷山積計画に基づいて資材所要量処理部にて資材発注につなげる日別の資材所要量計画(MRP)を展開策定する第5の処理と、
前記第5の処理まで実施した結果が顧客要求納期を含む生産計画の内容とその管理工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、是正措置を実施して前記第2の処理から前記第5の処理を繰り返し行い、最適な全管理工程計画を策定する第6の処理と、を実施する、
ことを特徴とする統合生産管理システム。
【請求項3】
複数の管理工程からなる製造ラインでの製品の生産プロセスを管理し、前記各種管理工程での負荷山積シミュレーションを行い全管理工程の工程計画を立案し、中長期売上計画、月次生産計画及び週次工程計画の情報に基づき、資材所要量を算出する統合生産管理システムにおける統合生産管理方法をコンピュータに実行させる為のプログラムにおいて、
前記統合生産管理システムは、製造品名、リードタイム、歩留、材料品種名及びその使用量の情報を含む各管理工程に関連する情報と、受注残情報、見込み生産情報を記憶する記憶手段と、情報処理手段と、を備え、
前記情報処理手段により、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づき、前記生産プロセスを構成する複数の管理工程の内、多品種の製品を処理する工程、または前記リードタイムの最も長い管理工程、または多品種の材料を多量に消費する工程を、前記生産プロセス上の操業計画全体をコントロールする為の基軸となるコア管理工程として決定し、当該コア管理工程識別情報をメモリに格納する第1の処理と、
前記受注残情報及び前記見込み生産情報から決定される最終的な、最下流工程の製品生産量を算出し、前記コア管理工程から最下流管理工程までの各管理工程での製品歩留情報とを用いてコア管理工程から最下流工程までの累積歩留を算出し、累積歩留で前記最下流工程の製品生産量を除算する処理により、該コア管理工程で処理しなければならない製造品の必要量を算出する第2の処理と、
前記算出された該コア管理工程の製造品の必要量を生産する際のコア管理工程での負荷山積展開シミュレーションを行って該コア管理工程の最適な工程計画を立案し、該コア管理工程の最適な負荷山積工程計画における日別の資材所要量計画(MRP)を資材所要量処理部にて策定する第3の処理と、
前記製造品の必要量を設定したコア管理工程を基点として、各管理工程のリードタイム、歩留りの情報を持つ生産性管理基準テーブルと、各工程の進捗情報を持つ工程実績進捗情報テーブルに基づき、当該コア管理工程の上流管理工程及び下流管理工程の製造品の必要量及び各管理工程の負荷山積計画を連鎖的に自動作成する第4の処理と、
前記全管理工程の負荷山積計画に基づいて資材所要量処理部にて資材発注につなげる日別の資材所要量計画(MRP)を展開策定する第5の処理と、
前記第5の処理まで実施した結果が顧客要求納期を含む生産計画の内容とその管理工程の設備能力や制約条件に合わない場合に、是正措置を実施して前記第2の処理から前記第5の処理を繰り返し行い、最適な全管理工程計画を策定する第6の処理と、を実施する、
ことをコンピュータに実行させる為のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−257476(P2010−257476A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138081(P2010−138081)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【分割の表示】特願2003−77324(P2003−77324)の分割
【原出願日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【分割の表示】特願2003−77324(P2003−77324)の分割
【原出願日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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