説明

管理装置及びプログラム

【課題】電力供給装置と通信機器との関連付けにおいてユーザの手動設定を不要とすることにより、ユーザの利便性を向上することが可能な管理装置を得る。
【解決手段】管理装置4は、通信機器3の消費電力に関する情報を給電装置2から取得する取得部421と、通信機器3から送信された通信パケットを通信ネットワーク6から抽出する抽出部423と、取得部421によって取得された情報に基づいて、通信機器3における消費電力の変化を検出する電力変化検出部426と、抽出部423によって抽出された通信パケットに基づいて、通信機器3における動作モードの移行を検出するモード移行検出部427と、電力変化検出部426による検出結果と、モード移行検出部427による検出結果とに基づいて、給電装置2と、当該給電装置2に接続されている通信機器3の識別情報とを関連付ける関連付け部428と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の動作モードを有する通信機器を管理する管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年における環境意識の高まりにより、パソコン等の通信機器に関しても、さらなる低消費電力化の要望が強まりつつある。
【0003】
下記特許文献1には、プリンタの節電効率を向上することを企図したネットワークシステムが開示されている。当該ネットワークシステムにおいては、起動制御部を有するプリンタと、クライアント装置と、節電管理装置とが、ネットワークを介して相互に接続されている。プリンタは、クライアント装置からの印刷要求を所定時間以上継続して受信しない場合には、起動制御部以外の本体部への給電を停止して節電モードに移行するとともに、その旨を示す節電移行通知をネットワークに向けてブロードキャスト送信する。節電管理装置は、節電移行通知を受信することにより、プリンタが節電モードに移行した旨の情報を記録する。その後、クライアント装置からプリンタに向けて印刷要求が送信されると、節電管理装置はネットワーク上を流れるその印刷要求を検知し、起動要求通知をプリンタに対して送信する。起動制御部は、起動要求通知を受信することにより本体部への給電を再開し、これによりプリンタは印刷可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−75687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
管理対象である通信機器に接続された電源タップ等の電力供給装置(以下「給電装置」とも称す)と、給電装置から通信機器への給電を制御する管理装置とを備える電力管理システムにおいて、適切な電力管理を行うためには、給電装置と当該給電装置に接続されている通信機器とを正確に関連付けて、その関連付けに関する情報を管理装置に教示する必要がある。この関連付けをユーザの手動設定によって行う場合には、通信機器が複数である場合に設定作業が繁雑であり、また、通信機器が移動される度に設定を変更する必要があるため、ユーザの利便性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、電力供給装置と通信機器との関連付けにおいてユーザの手動設定を不要とすることにより、ユーザの利便性を向上することが可能な管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る管理装置は、電力供給装置及び通信ネットワークに接続された複数の動作モードを有する通信機器を管理する管理装置であって、前記通信機器の消費電力に関する情報を前記電力供給装置から取得する取得手段と、前記通信機器から送信された通信パケットを前記通信ネットワークから抽出する抽出手段と、前記取得手段によって取得された情報に基づいて、前記通信機器における消費電力の変化を検出する第1の検出手段と、前記抽出手段によって抽出された通信パケットに基づいて、前記通信機器における動作モードの移行を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段による検出結果と、前記第2の検出手段による検出結果とに基づいて、電力供給装置と、当該電力供給装
置に接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける関連付け手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る管理装置によれば、取得手段は、通信機器の消費電力に関する情報を電力供給装置から取得し、抽出手段は、通信機器から送信された通信パケットを通信ネットワークから抽出する。また、第1の検出手段は、取得手段によって取得された情報に基づいて、通信機器における消費電力の変化を検出し、第2の検出手段は、抽出手段によって抽出された通信パケットに基づいて、通信機器における動作モードの移行を検出する。そして、関連付け手段は、第1の検出手段による検出結果と、第2の検出手段による検出結果とに基づいて、電力供給装置と、当該電力供給装置に接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける。このように、通信機器における消費電力の変化状況と動作モードの移行状況とに基づいて、電力供給装置と通信機器との関連付けを自動で行うことにより、ユーザの手動設定が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る管理装置は、第1の態様に係る管理装置において特に、前記電力供給装置は、それぞれに通信機器を接続可能な複数のポートを有しており、前記取得手段は、前記通信機器の消費電力に関する情報を、前記ポートを区別して取得し、前記第1の検出手段は、前記通信機器における消費電力の変化を、前記ポートを区別して検出し、前記関連付け手段は、電力供給装置の各ポートと、各ポートに接続されている通信機器の識別情報とを関連付けることを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る管理装置によれば、関連付け手段は、電力供給装置の各ポートと、各ポートに接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける。従って、一つの電力供給装置に複数の通信機器が接続されている場合であっても、各ポートに接続された通信機器毎に適切な電力管理を行うことが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る管理装置は、第1又は第2の態様に係る管理装置において特に、前記複数の動作モードには、前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、前記通信機器の電源がオフ状態である非活性モードと、が含まれ、前記関連付け手段は、消費電力が増大する変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が増大する変化の後の所定期間内に、前記非活性モードから前記活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付けることを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る管理装置によれば、関連付け手段は、消費電力が増大する変化が第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が増大する変化の後の所定期間内に、非活性モードから活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付ける。通信機器が非活性モードから活性モードに移行した場合には、通信機器の消費電力が増大するとともに、活性モードへの移行に伴って所定の通信パケットが通信機器から送信される。従って、消費電力が増大した通信機器に接続されている電力供給装置と、活性モードへの移行に伴って所定の通信パケットを送信した通信機器とを関連付けることにより、電力供給装置と当該電力供給装置に接続されている通信機器とを正確に関連付けることが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る管理装置は、第1又は第2の態様に係る管理装置において特に、前記複数の動作モードには、前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、前記通信機器の電源がオフ状態である非活性モードと、が含まれ、前記関連付け手段は、消費電力が減少す
る変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が減少する変化の前の所定期間内に、前記活性モードから前記非活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付けることを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係る管理装置によれば、関連付け手段は、消費電力が減少する変化が第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が減少する変化の前の所定期間内に、活性モードから非活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付ける。通信機器が活性モードから非活性モードに移行した場合には、通信機器の消費電力が減少するとともに、非活性モードへの移行に伴って所定の通信パケットが通信機器から送信される。従って、消費電力が減少した通信機器に接続されている電力供給装置と、非活性モードへの移行に伴って所定の通信パケットを送信した通信機器とを関連付けることにより、電力供給装置と当該電力供給装置に接続されている通信機器とを正確に関連付けることが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る管理装置は、第1又は第2の態様に係る管理装置において特に、前記複数の動作モードには、前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器の一部の機能が動作していない状態である省電力モードと、が含まれ、前記関連付け手段は、消費電力が増大する変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が増大する変化の前後の所定期間内に、前記省電力モードから前記活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付けることを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係る管理装置によれば、関連付け手段は、消費電力が増大する変化が第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が増大する変化の前後の所定期間内に、省電力モードから活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付ける。通信機器が省電力モードから活性モードに移行した場合には、通信機器の消費電力が増大するとともに、活性モードへの移行に伴って所定の通信パケットが通信機器から送信される。従って、消費電力が増大した通信機器に接続されている電力供給装置と、活性モードへの移行に伴って所定の通信パケットを送信した通信機器とを関連付けることにより、電力供給装置と当該電力供給装置に接続されている通信機器とを正確に関連付けることが可能となる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る管理装置は、第1又は第2の態様に係る管理装置において特に、前記複数の動作モードには、前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器の一部の機能が動作していない状態である省電力モードと、が含まれ、前記関連付け手段は、消費電力が減少する変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が減少する変化の前後の所定期間内に、前記活性モードから前記省電力モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付けることを特徴とするものである。
【0018】
第6の態様に係る管理装置によれば、関連付け手段は、消費電力が減少する変化が第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、当該消費電力が減少する変化の前後の所定期間内に、活性モードから省電力モードへの移行に伴って送
信される所定の通信パケットの送信元として第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、を関連付ける。通信機器が活性モードから省電力モードに移行した場合には、通信機器の消費電力が減少するとともに、省電力モードへの移行に伴って所定の通信パケットが通信機器から送信される。従って、消費電力が減少した通信機器に接続されている電力供給装置と、省電力モードへの移行に伴って所定の通信パケットを送信した通信機器とを関連付けることにより、電力供給装置と当該電力供給装置に接続されている通信機器とを正確に関連付けることが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る管理装置は、第3〜第6の少なくとも二つの態様に係る管理装置における関連付け手段による関連付けの結果に基づいて、電力供給装置と通信機器の識別情報とを関連付けることを特徴とするものである。
【0020】
第7の態様に係る管理装置によれば、第3〜第6の少なくとも二つの態様に係る管理装置における関連付け手段による関連付けの結果に基づいて、電力供給装置と通信機器の識別情報との関連付けが行われる。従って、あるタイミングで複数の通信機器が同様の動作モードの移行をほぼ同時に行ったことにより、電力供給装置と通信機器との関連付けの組合せについて複数の候補が存在する場合であっても、別のタイミングで一の通信機器の動作モードが移行した際に再び関連付けを行うことにより、複数の候補の中から一の組合せを正確に特定することが可能となる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る管理装置は、第1〜第7のいずれか一つの態様に係る管理装置において特に、前記識別情報は、前記通信機器のMACアドレスを含むことを特徴とするものである。
【0022】
第8の態様に係る管理装置によれば、通信機器の識別情報には、当該通信機器のMACアドレスが含まれる。MACアドレスを用いることによって、通信機器を正確に特定することが可能となる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る管理装置は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る管理装置において特に、前記識別情報は、前記通信機器の種別に関する情報を含むことを特徴とするものである。
【0024】
ここで、通信機器の「種別」には、「パソコン」や「プリンタ」等の通信機器の種類を区別し得る情報が含まれる。
【0025】
第9の態様に係る管理装置によれば、通信機器の識別情報には、当該通信機器の種別に関する情報が含まれる。従って、管理装置が通信機器の電力管理状況等をユーザに提供する際に、ユーザにとって理解しやすい通信機器の種別によって通信機器を特定することができるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0026】
本発明の第10の態様に係る管理装置は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る管理装置において特に、前記識別情報は、前記通信機器の製造メーカに関する情報を含むことを特徴とするものである。
【0027】
第10の態様に係る管理装置によれば、通信機器の識別情報には、当該通信機器の製造メーカに関する情報が含まれる。従って、管理装置が通信機器の電力管理状況等をユーザに提供する際に、ユーザにとって理解しやすい製造メーカによって通信機器を特定することができるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0028】
本発明の第11の態様に係るプログラムは、電力供給装置及び通信ネットワークに接続
された複数の動作モードを有する通信機器を管理する管理装置に搭載されるコンピュータを、前記通信機器の消費電力に関する情報を前記電力供給装置から取得する取得手段と、前記通信機器から送信された通信パケットを前記通信ネットワークから抽出する抽出手段と、前記取得手段によって取得された情報に基づいて、前記通信機器における消費電力の変化を検出する第1の検出手段と、前記抽出手段によって抽出された通信パケットに基づいて、前記通信機器における動作モードの移行を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段による検出結果と、前記第2の検出手段による検出結果とに基づいて、電力供給装置と、当該電力供給装置に接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける関連付け手段と、として機能させることを特徴とするものである。
【0029】
第11の態様に係るプログラムによれば、取得手段は、通信機器の消費電力に関する情報を電力供給装置から取得し、抽出手段は、通信機器から送信された通信パケットを通信ネットワークから抽出する。また、第1の検出手段は、取得手段によって取得された情報に基づいて、通信機器における消費電力の変化を検出し、第2の検出手段は、抽出手段によって抽出された通信パケットに基づいて、通信機器における動作モードの移行を検出する。そして、関連付け手段は、第1の検出手段による検出結果と、第2の検出手段による検出結果とに基づいて、電力供給装置と、当該電力供給装置に接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける。このように、通信機器における消費電力の変化状況と動作モードの移行状況とに基づいて、電力供給装置と通信機器との関連付けを自動で行うことにより、ユーザの手動設定が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、電力供給装置と通信機器との関連付けにおいてユーザの手動設定が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る電力管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電力管理システムの全体構成の他の例を示す図である。
【図3】給電装置の構成を示すブロック図である。
【図4】管理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】プログラムを実行することによって処理部が実現する機能を示すブロック図である。
【図6】関連付け部による関連付け手法に関する第1の例を示すタイミングチャートである。
【図7】関連付け部による関連付け手法に関する第2の例を示すタイミングチャートである。
【図8】関連付け部による関連付け手法に関する第3の例を示すタイミングチャートである。
【図9】関連付け部による関連付け手法に関する第4の例を示すタイミングチャートである。
【図10】関連付け部による関連付け手法に関する第5の例を示すタイミングチャートである。
【図11】通信機器の動作モードを特定するためにモード特定部が参照する状態遷移図である。
【図12】電力管理部によって作成された管理データの一例を示す図である。
【図13】電力管理部によって作成された統計データの一例を示す図である。
【図14】所定の条件が成立した時に電力制御部が実行する処理を示す図である。
【図15】所定の条件が成立した時に電力制御部が実行する処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態に係る電力管理システム1の全体構成を示す図である。オフィスやユーザの住宅等の屋内に、給電装置2、通信機器3(図1における符号3A,3B)、管理装置4、及び終端装置7が配設されている。給電装置2は、通信機器3に電力を供給する電源タップ等である。給電装置2は複数個(以下の例では2個)のポート2A,2Bを有しており、ポート2A,2Bは通信機器3A,3Bにそれぞれ接続されている。通信機器3は、パソコン、プリンタ、セットトップボックス、通信機能付きゲーム機器、ホームサーバ、ホームゲートウェイ、ハブ、ルータ等の、通信機能を備える任意の種別の機器であり、以下の例では、ウェブサイトの閲覧や電子メールの送受信等のインターネット上のサービスを利用することを主用途とするパソコン(ネットブック)であるものとする。なお、互いに異なる種別の通信機器3A,3Bがポート2A,2Bにそれぞれ接続されていてもよい。
【0034】
通信機器3は複数の動作モードを有しており、以下の例では、通信機器3の電源がオン状態で、かつ通信機器3に対して通信パケットの送受信が行われている状態であるアクティブモード(活性モード)と、通信機器3の電源がオン状態で、かつ通信機器3に対して通信パケットの送受信が行われていない状態であるアイドルモード(待機モード)と、通信機器3の電源がオン状態で、かつ通信機器3の一部の機能が動作していない状態(動作が制限されている状態を含む)である省電力モードと、通信機器3の電源がオフ状態であるオフモード(非活性モード)と、を有するものとする。
【0035】
管理装置4は、通信機器3に対する電力管理や電力制御を行うための電力管理装置である。終端装置7は、例えばONU(Optical Network Unit)である。
【0036】
通信機器3、管理装置4、及び終端装置7は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク6に接続されている。給電装置2及び管理装置4は電力線5に接続されており、電力線通信(PLC:Power Line Communication)によって相互に信号の送受信が可能である。通信機器3は給電装置2に接続されており、通信機器3を動作させるための駆動電力は、電力線5から給電装置2を介して通信機器3に供給される。具体的に、通信機器3Aを動作させるための駆動電力は、電力線5から給電装置2のポート2Aを介して通信機器3Aに供給され、通信機器3Bを動作させるための駆動電力は、電力線5から給電装置2のポート2Bを介して通信機器3Bに供給される。なお、図1に示した例では電力線5に一つの給電装置2のみが接続されているが、複数の給電装置2が接続されていてもよい。
【0037】
終端装置7は、IPネットワーク等の屋外の通信ネットワーク8に接続されている。通信ネットワーク8には、プロバイダ等の契約サービス会社が有するサーバ9が接続されている。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態に係る電力管理システム1の全体構成の他の例を示す図である。給電装置2はアンテナ10を有しており、管理装置4はアンテナ11を有している。給電装置2及び管理装置4は、アンテナ10,11を用いた無線通信によって相互に信号の送受信が可能である。その他の構成は図1と同様である。
【0039】
図3は、給電装置2の構成を示すブロック図である。図3の接続関係で示すように、給電装置2は、通信部21、給電制御部22A,22B、及び計測部23A,23Bを備えて構成されている。給電制御部22Aは、電力線5からの駆動電力をポート2Aを介して
通信機器3Aに供給するか否か(つまり電力線5から通信機器3Aへの給電経路を接続するか切断するか)を、通信部21から入力される信号S11Aによって選択的に制御する。同様に、給電制御部22Bは、電力線5からの駆動電力をポート2Bを介して通信機器3Bに供給するか否か(つまり電力線5から通信機器3Bへの給電経路を接続するか切断するか)を、通信部21から入力される信号S11Bによって選択的に制御する。計測部23Aは、給電制御部22Aから通信機器3Aに供給されている電力を所定の時間間隔で定期的に測定することによって、通信機器3Aの消費電力を計測する。そして、計測した通信機器3Aの消費電力に関する情報を、信号S12Aとして通信部21に入力する。同様に、計測部23Bは、給電制御部22Bから通信機器3Bに供給されている電力を所定の時間間隔で定期的に測定することによって、通信機器3Bの消費電力を計測する。そして、計測した通信機器3Bの消費電力に関する情報を、信号S12Bとして通信部21に入力する。通信部21は、給電制御部22A,22Bをそれぞれ制御するための信号S11A,S11Bを、電力線通信(図1)又は無線通信(図2)によって管理装置4から受信する。また、通信部21は、計測部23A,23Bからそれぞれ入力された信号S12A,S12Bを、電力線通信(図1)又は無線通信(図2)によって管理装置4に送信する。
【0040】
図4は、管理装置4の構成を示すブロック図である。図4の接続関係で示すように、管理装置4は、通信部41、処理部42、表示部43、及び記憶部44を備えて構成されている。通信部41は、図1,2に示した通信ネットワーク6に接続されている。また、図1に示した例において通信部41は電力線5に接続されており、図2に示した例において通信部41はアンテナ11に接続されている。処理部42は、CPU等の信号処理装置である。表示部43は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の任意の表示装置である。記憶部44は、半導体メモリ又はハードディスク等の任意の記憶装置である。記憶部44には、処理部42を動作させるためのプログラム45が格納されている。
【0041】
図5は、プログラム45を実行することによって処理部42が実現する機能を示すブロック図である。処理部42は、取得部421、モード特定部422、抽出部423、電力管理部424、電力制御部425、電力変化検出部426、モード移行検出部427、及び関連付け部428を有している。換言すれば、プログラム45は、管理装置4に搭載されるコンピュータを、取得部421、モード特定部422、抽出部423、電力管理部424、電力制御部425、電力変化検出部426、モード移行検出部427、及び関連付け部428として機能させるためのプログラムである。
【0042】
取得部421は、ポート2Aに接続されている通信機器(この例では通信機器3A)から電力線通信(図1)又は無線通信(図2)によって通信部41が受信した信号S12Aに基づいて、通信機器3Aの消費電力に関する情報を取得する。そして、当該情報に関する信号S21Aを、モード特定部422、電力管理部424、及び電力変化検出部426に入力する。同様に、取得部421は、ポート2Bに接続されている通信機器(この例では通信機器3B)から電力線通信(図1)又は無線通信(図2)によって通信部41が受信した信号S12Bに基づいて、通信機器3Bの消費電力に関する情報を取得する。そして、当該情報に関する信号S21Bを、モード特定部422、電力管理部424、及び電力変化検出部426に入力する。
【0043】
抽出部423は、通信ネットワーク6上を流れる全ての通信パケットを通信部41を介して監視し、動作モードの移行に伴って通信機器3から送信される所定の通信パケットを含む、通信機器3に対して送受信される通信パケット(つまり通信機器3が送信元又は送信先である通信パケット)を通信ネットワーク6から抽出して、その内容を解析する。そして、その解析結果に関する信号S22(図5では代表的に、通信機器3Aに関連する信号S22A及び通信機器3Bに関連する信号S22B)を、モード特定部422及びモー
ド移行検出部427に入力する。なお、抽出部423には、動作モードの移行に伴って送信される通信パケットの種類を特定する情報が予め教示されており、抽出部423は当該情報に基づいて、動作モードの移行に伴って通信機器3から送信される通信パケットを抽出してその内容を解析する。但し、当該情報を抽出部423に予め教示するのではなく、抽出部423が全ての通信パケットを解析することによって、その中から必要な情報を抽出してもよい。
【0044】
電力変化検出部426は、取得部421によって取得された、ポート2Aに接続されている通信機器(この例では通信機器3A)の消費電力に関する情報(信号S21A)に基づいて、通信機器3Aにおける消費電力の変化を検出し、その検出結果に関する信号S24Aを出力する。同様に、電力変化検出部426は、取得部421によって取得された、ポート2Bに接続されている通信機器(この例では通信機器3B)の消費電力に関する情報(信号S21B)に基づいて、通信機器3Bにおける消費電力の変化を検出し、その検出結果に関する信号S24Bを出力する。
【0045】
モード移行検出部427は、抽出部423によって解析された通信パケットに関する情報(信号S22A,S22B)に基づいて、通信機器3A,3Bにおける動作モードの移行をそれぞれ検出し、その検出結果に関する信号S25A,S25Bをそれぞれ出力する。
【0046】
関連付け部428は、電力変化検出部426から入力された信号S24A,S24Bと、モード移行検出部427から入力された信号S25A,S25Bとに基づいて、給電装置2と、当該給電装置2に接続されている通信機器3A,3Bの識別情報とを関連付ける。本実施の形態の例では、関連付け部428は、給電装置2のどのポート2A,2Bにどの通信機器3A,3Bが接続されているのかを関連付ける。複数のポートを有する給電装置が複数存在する場合には、関連付け部428は、どの給電装置のどのポートにどの通信機器が接続されているのかを関連付ける。関連付け部428による関連付け手法については、後に詳述する。関連付け部428による関連付けの結果は、モード特定部422、電力管理部424、及び電力制御部425に教示される。
【0047】
モード特定部422は、抽出部423によって解析された通信パケットに関する情報(信号S22A,S22B)に基づいて、通信機器3A,3Bにおける動作モードをそれぞれ特定する。つまり、動作モードが移行する際又は移行した際に通信機器3A,3Bから送信される所定の通信パケットを抽出部423が通信ネットワーク6から抽出して解析し、モード特定部422は、抽出部423による解析結果に関する信号S22A,S22Bに基づいて、通信機器3A,3Bの現在の動作モードをそれぞれ特定する。モード特定部422は、特定した通信機器3A,3Bの動作モードに関する情報を、信号S23A,S23Bとして電力管理部424及び電力制御部425に入力する。
【0048】
これとは別の方法として、モード特定部422は、取得部421によって取得された通信機器3A,3Bの消費電力に関する情報(信号S21A,S21B)と、抽出部423によって解析された通信パケットに関する情報(信号S22A,S22B)とに基づいて、通信機器3A,3Bの現在の動作モードをそれぞれ特定することもできる。この方法に係るモード特定部422による動作モードの特定手法については、後に詳述する。
【0049】
電力管理部424は、取得部421から入力された信号S21A,S21Bと、モード特定部422から入力された信号S23A,S23Bとに基づいて、取得部421によって取得された通信機器3A,3Bの消費電力に関する情報と、モード特定部422によって特定された通信機器3A,3Bの動作モードとを互いに対応付けることにより、通信機器3A,3Bの各動作モードにおける消費電力をそれぞれ求める。電力管理部424によ
って求められた、通信機器3A,3Bの各動作モードにおける消費電力を示す情報の利用例については、後に詳述する。
【0050】
電力制御部425は、モード特定部422によって特定された通信機器3A,3Bの動作モード(信号S23A,S23B)に基づいて、各動作モードに応じた内容の電力制御を通信機器3A,3Bに対してそれぞれ実行する。各動作モードに応じて電力制御部425が実行する電力制御の具体例については、後に詳述する。
【0051】
<関連付け部による関連付け手法>
図6は、関連付け部428による関連付け手法に関する第1の例を示すタイミングチャートである。ここでは、給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器(この例では通信機器3A)の電源がオンされた状況、つまり、当該通信機器の動作モードがオフモードからアクティブモードに移行した状況を示している。
【0052】
当該通信機器の動作モードがオフモードからアクティブモードに移行したことに起因して、当該通信機器の消費電力は所定のしきい値Kを超える。このしきい値Kは、オフモード時における消費電力よりも大きく、アクティブモード時における消費電力よりも小さい任意の値に設定されている。関連付け部428には、「給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器の消費電力が時刻T11においてしきい値Kを超えた」旨を示す信号S24Aが、電力変化検出部426から入力される。
【0053】
また、当該通信機器の動作モードがオフモードからアクティブモードに移行したことに起因して、当該通信機器が送信元である通信ネットワーク6への接続開始を示す所定の通信パケットX1(SSDP(Simple Service Discovery Protocol)のアライブパケット又はIGMP(Internet Group Management Protocol)のアライブパケット)が、抽出部423によって抽出される。この通信パケットX1の所定領域には、当該通信機器の識別情報(MACアドレス、機器の種別、製造メーカ等)が含まれている。関連付け部428には、「通信機器3Aの動作モードが時刻T12においてオフモードからアクティブモードに移行した」旨を示す信号S25Aが、モード移行検出部427から入力される。信号S25Aには、通信機器3Aの識別情報が含まれている。
【0054】
関連付け部428は、信号S24A,S25Aに基づいて、時刻T12が、時刻T11からその直後(例えば数分後)の時刻T13までの期間P11内に含まれている場合に、給電装置2のポート2Aには通信機器3Aが接続されていると判定し、当該ポート2Aと通信機器3Aの識別情報とを関連付ける。
【0055】
図7は、関連付け部428による関連付け手法に関する第2の例を示すタイミングチャートである。ここでは、給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器(この例では通信機器3A)の電源がオフされた状況、つまり、当該通信機器の動作モードがアクティブモードからオフモードに移行した状況を示している。
【0056】
当該通信機器の動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したことに起因して、当該通信機器の消費電力はしきい値K未満となる。関連付け部428には、「給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器の消費電力が時刻T21においてしきい値K未満となった」旨を示す信号S24Aが、電力変化検出部426から入力される。
【0057】
また、当該通信機器の動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したことに起因して、当該通信機器が送信元である通信ネットワーク6からの離脱を示す所定の通信パケットX2(SSDPのリーブパケット又はIGMPのリーブパケット)が、抽出部423によって抽出される。この通信パケットX2の所定領域には、当該通信機器の識別情
報(MACアドレス、機器の種別、製造メーカ等)が含まれている。関連付け部428には、「通信機器3Aの動作モードが時刻T22においてアクティブモードからオフモードに移行した」旨を示す信号S25Aが、モード移行検出部427から入力される。信号S25Aには、通信機器3Aの識別情報が含まれている。
【0058】
関連付け部428は、信号S24A,S25Aに基づいて、時刻T22が、時刻T21からその直前(例えば数分前)の時刻T23までの期間P21内に含まれている場合に、給電装置2のポート2Aには通信機器3Aが接続されていると判定し、当該ポート2Aと通信機器3Aの識別情報とを関連付ける。
【0059】
図8は、関連付け部428による関連付け手法に関する第3の例を示すタイミングチャートである。ここでは、給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器(この例では通信機器3A)の動作モードが省電力モードからアクティブモードに移行した状況を示している。
【0060】
当該通信機器の動作モードが省電力モードからアクティブモードに移行したことに起因して、当該通信機器の消費電力はしきい値Lを超える。このしきい値Lは、省電力モード時における消費電力よりも大きく、アクティブモード時における消費電力よりも小さい任意の値に設定されている。しきい値Lは、上記のしきい値Kと同一の値に設定してもよいし、異なる値に設定してもよい。関連付け部428には、「給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器の消費電力が時刻T31においてしきい値Lを超えた」旨を示す信号S24Aが、電力変化検出部426から入力される。
【0061】
また、通信機器3には、省電力モードからアクティブモードに移行する(又は移行した)際に、そのモード移行に伴って所定の通信パケットX3を通信ネットワーク6に送信する機能が実装されている。従って、当該通信機器の動作モードが省電力モードからアクティブモードに移行したことに起因して、通信パケットX3が抽出部423によって抽出される。この通信パケットX3の所定領域には、当該通信機器の識別情報(MACアドレス、機器の種別、製造メーカ等)が含まれている。関連付け部428には、「通信機器3Aの動作モードが時刻T32において省電力モードからアクティブモードに移行した」旨を示す信号S25Aが、モード移行検出部427から入力される。信号S25Aには、通信機器3Aの識別情報が含まれている。
【0062】
関連付け部428は、信号S24A,S25Aに基づいて、時刻T32が、時刻T31の直前(例えば数分前)の時刻T33から、時刻T31の直後(例えば数分後)の時刻T34までの期間P31内に含まれている場合に、給電装置2のポート2Aには通信機器3Aが接続されていると判定し、当該ポート2Aと通信機器3Aの識別情報とを関連付ける。
【0063】
図9は、関連付け部428による関連付け手法に関する第4の例を示すタイミングチャートである。ここでは、給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器(この例では通信機器3A)の動作モードがアクティブモードから省電力モードに移行した状況を示している。
【0064】
当該通信機器の動作モードがアクティブモードから省電力モードに移行したことに起因して、当該通信機器の消費電力はしきい値L未満となる。関連付け部428には、「給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器の消費電力が時刻T41においてしきい値L未満となった」旨を示す信号S24Aが、電力変化検出部426から入力される。
【0065】
また、通信機器3には、アクティブモードから省電力モードに移行する(又は移行した
)際に、そのモード移行に伴って所定の通信パケットX4を通信ネットワーク6に送信する機能が実装されている。従って、当該通信機器の動作モードがアクティブモードから省電力モードに移行したことに起因して、通信パケットX4が抽出部423によって抽出される。この通信パケットX4の所定領域には、当該通信機器の識別情報(MACアドレス、機器の種別、製造メーカ等)が含まれている。関連付け部428には、「通信機器3Aの動作モードが時刻T42においてアクティブモードから省電力モードに移行した」旨を示す信号S25Aが、モード移行検出部427から入力される。信号S25Aには、通信機器3Aの識別情報が含まれている。
【0066】
関連付け部428は、信号S24A,S25Aに基づいて、時刻T42が、時刻T41の直前(例えば数分前)の時刻T43から、時刻T41の直後(例えば数分後)の時刻T44までの期間P41内に含まれている場合に、給電装置2のポート2Aには通信機器3Aが接続されていると判定し、当該ポート2Aと通信機器3Aの識別情報とを関連付ける。
【0067】
図10は、関連付け部428による関連付け手法に関する第5の例を示すタイミングチャートである。ここでは、給電装置2のポート2A,2Bに接続されている通信機器(この例では通信機器3A,3B)の電源がほぼ同時にオンされた状況、つまり、当該通信機器の動作モードがオフモードからアクティブモードにほぼ同時に移行した状況を示している。
【0068】
当該通信機器の動作モードがオフモードからアクティブモードに移行したことに起因して、当該通信機器の消費電力はしきい値Kを超える。関連付け部428には、「給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器の消費電力が時刻T51においてしきい値Kを超えた」旨を示す信号S24Aと、「給電装置2のポート2Bに接続されている通信機器の消費電力が時刻T52においてしきい値Kを超えた」旨を示す信号S24Bとが、電力変化検出部426からほぼ同時に入力される。
【0069】
また、通信機器3Aの動作モードがオフモードからアクティブモードに移行したことに起因して、通信機器3Aが送信元である通信ネットワーク6への接続開始を示す所定の通信パケットX1A(SSDPのアライブパケット又はIGMPのアライブパケット)が、抽出部423によって抽出される。同様に、通信機器3Bの動作モードがオフモードからアクティブモードに移行したことに起因して、通信機器3Bが送信元である通信ネットワーク6への接続開始を示す所定の通信パケットX1B(SSDPのアライブパケット又はIGMPのアライブパケット)が、抽出部423によって抽出される。これらの通信パケットX1A,X1Bの所定領域には、通信機器3A,3Bの識別情報(MACアドレス、機器の種別、製造メーカ等)がそれぞれ含まれている。関連付け部428には、「通信機器3Aの動作モードが時刻T53においてオフモードからアクティブモードに移行した」旨を示す信号S25Aと、「通信機器3Bの動作モードが時刻T54においてオフモードからアクティブモードに移行した」旨を示す信号S25Bとが、モード移行検出部427からほぼ同時に入力される。これらの信号S25A,S25Bには、通信機器3A,3Bの識別情報がそれぞれ含まれている。
【0070】
関連付け部428は、信号S24A,S24B,S25A,S25Bに基づいて、時刻T53,T54が、時刻T51からその直後(例えば数分後)の時刻T55までの期間P11内に含まれている場合には、給電装置2のポート2A,2Bの一方に通信機器3A,3Bの一方が接続され、ポート2A,2Bの他方に通信機器3A,3Bの他方が接続されていると判定する。そして、ポート2A,2Bと通信機器3A,3Bの識別情報とを組合せとして関連付けて、その暫定的な関連付けの結果を保持する。つまり、この時点では、ポート2Aに接続されている通信機器の候補として二つの通信機器3A,3Bが存在して
おり、同様に、ポート2Bに接続されている通信機器の候補として二つの通信機器3A,3Bが存在している。
【0071】
図10に示した例では、通信機器3A,3Bは、ある程度の時間間隔を以てオフされている。
【0072】
通信機器3Aの動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したことに起因して、通信機器3Aの消費電力はしきい値K未満となる。関連付け部428には、「給電装置2のポート2Aに接続されている通信機器の消費電力が時刻T57においてしきい値K未満となった」旨を示す信号S24Aが、電力変化検出部426から入力される。また、通信機器3Aの動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したことに起因して、関連付け部428には、「通信機器3Aの動作モードが時刻T56においてアクティブモードからオフモードに移行した」旨を示す信号S25Aが、モード移行検出部427から入力される。関連付け部428は、信号S24A,S25Aに基づいて、給電装置2のポート2Aには通信機器3Aが接続されていると判定し、当該ポート2Aと通信機器3Aの識別情報とを確定的に関連付ける。換言すれば、ポート2Aに接続されている通信機器の候補である二つの通信機器3A,3Bの中から、通信機器3Aを選択する。また、関連付け部428は、ポート2Aと通信機器3Aの識別情報とを関連付けた結果として、他方のポート2Bには他方の通信機器3Bが接続されていると判定し、ポート2Bと通信機器3Bの識別情報とを確定的に関連付ける。換言すれば、ポート2Bに接続されている通信機器の候補である二つの通信機器3A,3Bの中から、通信機器3Bを選択する。
【0073】
但し、ポート2Aと通信機器3Aの識別情報とを関連付けた時点で他方のポート2Bと他方の通信機器3Bの識別情報とを関連付けるのではなく、以下に述べる処理を行ってもよい。つまり、通信機器3Bの動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したことに起因して、通信機器3Bの消費電力はしきい値K未満となる。関連付け部428には、「給電装置2のポート2Bに接続されている通信機器の消費電力が時刻T59においてしきい値K未満となった」旨を示す信号S24Bが、電力変化検出部426から入力される。また、通信機器3Bの動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したことに起因して、関連付け部428には、「通信機器3Bの動作モードが時刻T58においてアクティブモードからオフモードに移行した」旨を示す信号S25Bが、モード移行検出部427から入力される。関連付け部428は、信号S24B,S25Bに基づいて、給電装置2のポート2Bには通信機器3Bが接続されていると判定し、当該ポート2Bと通信機器3Bの識別情報とを確定的に関連付ける。換言すれば、ポート2Bに接続されている通信機器の候補である二つの通信機器3A,3Bの中から、通信機器3Bを選択する。
【0074】
なお、図10に示した例では、図6に示した関連付け手法と図7に示した関連付け手法とを異なるタイミングで実行することによって、給電装置と通信機器との関連付けの組合せについての複数の候補の中から、一の組合せを特定する例について説明した。この例に限らず、図6〜9に示した関連付け手法のうちの少なくとも二つを異なるタイミングで実行することによって、複数の候補の中から一の組合せを特定することが可能である。
【0075】
このように本実施の形態に係る管理装置4によれば、取得部421は、通信機器3の消費電力に関する情報を給電装置2から取得し、抽出部423は、通信機器3から送信された通信パケットを通信ネットワーク6から抽出して解析する。また、電力変化検出部426は、取得部421によって取得された情報に基づいて、通信機器3における消費電力の変化を検出し、モード移行検出部427は、抽出部423によって抽出された通信パケットに基づいて、通信機器3における動作モードの移行を検出する。そして、関連付け部428は、電力変化検出部426による検出結果と、モード移行検出部427による検出結
果とに基づいて、給電装置2と、当該給電装置2に接続されている通信機器3の識別情報とを関連付ける。このように、通信機器3における消費電力の変化状況と動作モードの移行状況とに基づいて、給電装置2と通信機器3との関連付けを自動で行うことにより、ユーザの手動設定が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0076】
また、関連付け部428は、給電装置2の各ポート2A,2Bと、各ポート2A,2Bに接続されている通信機器3A,3Bの識別情報とを関連付ける。従って、一つの給電装置2に複数の通信機器3A,3Bが接続されている場合であっても、各ポート2A,2Bに接続された通信機器3A,3B毎に適切な電力管理を行うことが可能となる。
【0077】
また、図6に示した例によれば、関連付け部428は、消費電力が増大する変化が電力変化検出部426によって検出された通信機器3Aに接続されている給電装置2(上記の例ではポート2A)と、当該消費電力が増大する変化の後の所定期間P11内に、オフモードからアクティブモードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットX1の送信元としてモード移行検出部427によって検出された通信機器3Aの識別情報と、を関連付ける。通信機器3Aがオフモードからアクティブモードに移行した場合には、通信機器3Aの消費電力が増大するとともに、アクティブモードへの移行に伴って通信パケットX1が通信機器3Aから送信される。従って、消費電力が増大した通信機器3Aに接続されている給電装置2(ポート2A)と、アクティブモードへの移行に伴って通信パケットX1を送信した通信機器3Aとを関連付けることにより、給電装置2(ポート2A)と当該給電装置2(ポート2A)に接続されている通信機器3Aとを正確に関連付けることが可能となる。
【0078】
また、図7に示した例によれば、関連付け部428は、消費電力が減少する変化が電力変化検出部426によって検出された通信機器3Aに接続されている給電装置2(上記の例ではポート2A)と、当該消費電力が減少する変化の前の所定期間P21内に、アクティブモードからオフモードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットX2の送信元としてモード移行検出部427によって検出された通信機器3Aの識別情報と、を関連付ける。通信機器3Aがアクティブモードからオフモードに移行した場合には、通信機器3Aの消費電力が減少するとともに、オフモードへの移行に伴って通信パケットX2が通信機器3Aから送信される。従って、消費電力が減少した通信機器3Aに接続されている給電装置2(ポート2A)と、オフモードへの移行に伴って通信パケットX2を送信した通信機器3Aとを関連付けることにより、給電装置2(ポート2A)と当該給電装置2(ポート2A)に接続されている通信機器3Aとを正確に関連付けることが可能となる。
【0079】
また、図8に示した例によれば、関連付け部428は、消費電力が増大する変化が電力変化検出部426によって検出された通信機器3Aに接続されている給電装置2(上記の例ではポート2A)と、当該消費電力が増大する変化の前後の所定期間P31内に、省電力モードからアクティブモードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットX3の送信元としてモード移行検出部427によって検出された通信機器3Aの識別情報と、を関連付ける。通信機器3Aが省電力モードからアクティブモードに移行した場合には、通信機器3Aの消費電力が増大するとともに、アクティブモードへの移行に伴って通信パケットX3が通信機器3Aから送信される。従って、消費電力が増大した通信機器3Aに接続されている給電装置2(ポート2A)と、アクティブモードへの移行に伴って通信パケットX3を送信した通信機器3Aとを関連付けることにより、給電装置2(ポート2A)と当該給電装置2(ポート2A)に接続されている通信機器3Aとを正確に関連付けることが可能となる。
【0080】
また、図9に示した例によれば、関連付け部428は、消費電力が減少する変化が電力変化検出部426によって検出された通信機器3Aに接続されている給電装置2(上記の
例ではポート2A)と、当該消費電力が減少する変化の前後の所定期間P41内に、アクティブモードから省電力モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットX4の送信元としてモード移行検出部427によって検出された通信機器3Aの識別情報と、を関連付ける。通信機器3Aがアクティブモードから省電力モードに移行した場合には、通信機器3Aの消費電力が減少するとともに、アクティブモードへの移行に伴って通信パケットX4が通信機器3Aから送信される。従って、消費電力が減少した通信機器3Aに接続されている給電装置2(ポート2A)と、省電力モードへの移行に伴って通信パケットX4を送信した通信機器3Aとを関連付けることにより、給電装置2(ポート2A)と当該給電装置2(ポート2A)に接続されている通信機器3Aとを正確に関連付けることが可能となる。
【0081】
また、図10に示した例によれば、第6〜9に示した関連付け手法のうちの少なくとも二つの関連付けの結果に基づいて、給電装置2と通信機器3の識別情報との関連付けが行われる。従って、あるタイミングで複数の通信機器3A,3Bが同様の動作モードの移行をほぼ同時に行ったことにより、給電装置2と通信機器3との関連付けの組合せについて複数の候補が存在する場合であっても、別のタイミングで一の通信機器3の動作モードが移行した際に再び関連付けを行うことにより、複数の候補の中から一の組合せを正確に特定することが可能となる。
【0082】
また、通信機器3の識別情報には、当該通信機器3のMACアドレスが含まれる。MACアドレスを用いることによって、通信機器3を正確に特定することが可能となる。
【0083】
また、通信機器3の識別情報には、当該通信機器3の種別に関する情報が含まれる。従って、管理装置4が通信機器3の電力管理状況等(例えば後述の管理データ50及び統計データ51)をユーザに提供する際に、ユーザにとって理解しやすい通信機器の種別によって通信機器3を特定することができるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0084】
また、通信機器3の識別情報には、当該通信機器3の製造メーカに関する情報が含まれる。従って、管理装置4が通信機器3の電力管理状況等(例えば後述の管理データ50及び統計データ51)をユーザに提供する際に、ユーザにとって理解しやすい製造メーカによって通信機器3を特定することができるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0085】
<モード特定部による動作モードの特定手法>
図11は、通信機器3の動作モードを特定するためにモード特定部422が参照する状態遷移図である。この通信機器3に関する状態遷移図は予めモード特定部422に教示されており、また、どの給電装置のどのポートにどの通信機器が接続されているかについても、関連付け部428からモード特定部422に予め教示されている。なお、通信機器の種別によってその通信機器が有する動作モードや動作モード間の移行条件が異なるため、管理対象である通信機器に応じた状態遷移図が作成されて、管理装置4に教示される。
【0086】
モード特定部422は、まず通信機器3の動作モードとして、アクティブモード、アイドルモード、及びオフモードのいずれかを特定する。具体的に、モード特定部422は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が所定のしきい値(例えば5W)以上であり、かつ、通信機器3に対して送受信される通信パケット(TCP(Transmission Control Protocol)パケット又はUDP(User Datagram Protocol)パケット)を抽出部423が直近の所定期間(例えば10分)内に所定数(例えば10個)以上検出していることにより、通信機器3の動作モードをアクティブモードと特定する。これにより、通信機器3の動作モードがアクティブモードであることを、モード特定部422によって
正確に特定することが可能となる。なお、以上で述べた数値は一例であり、これに限定されるものではない。通信機器の種別や通信ネットワークの環境等に応じて、適切な数値が個々に設定される(以下同様)。
【0087】
また、モード特定部422は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が上記しきい値(例えば5W)以上であり、かつ、通信機器3に対して送受信される通信パケット(TCPパケット又はUDPパケット)を抽出部423が直近の所定期間(例えば10分)内に所定数(例えば10個)以上検出していないことにより、通信機器3の動作モードをアイドルモードと特定する。これにより、通信機器3の動作モードがアイドルモードであることを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0088】
また、モード特定部422は、上記の条件がいずれも満たされないことによってアクティブモード及びアイドルモードのいずれにも該当しない場合には、通信機器3の動作モードをオフモードと特定する。これにより、通信機器3の動作モードがオフモードであることを暫定的に特定することができ、その後の通信機器3の状態の遷移状況に基づいて、通信機器3の動作モードを正確に特定することが可能となる。
【0089】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードをアクティブモードと特定している状態において、条件K1を満たした場合には、通信機器3の動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したと特定する。条件K1は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が上記しきい値(例えば5W)未満となり、かつ、通信機器3が送信元である通信ネットワーク6からの離脱を示す所定の通信パケット(SSDPのリーブパケット又はIGMPのリーブパケット)を、抽出部423が検出したことである。これにより、通信機器3の動作モードがアクティブモードからオフモードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0090】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードをオフモードと特定している状態において、条件K2又は条件K3を満たした場合には、通信機器3の動作モードがオフモードからアクティブモードに移行したと特定する。条件K2は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が上記しきい値(例えば5W)以上となったことである。条件K3は、通信機器3が送信元である通信ネットワーク6への接続開始を示す所定の通信パケット(SSDPのアライブパケット又はIGMPのアライブパケット)を、抽出部423が検出したことである。これにより、通信機器3の動作モードがオフモードからアクティブモードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0091】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードをアクティブモードと特定している状態において、条件K4を満たした場合には、通信機器3の動作モードがアクティブモードからアイドルモードに移行したと特定する。条件K4は、通信機器3に対して送受信される通信パケット(TCPパケット又はUDPパケット)を抽出部423が直近の所定期間(例えば10分)内に所定数(例えば10個)以上検出しなかったことである。これにより、通信機器3の動作モードがアクティブモードからアイドルモードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0092】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードをアクティブモードと特定している状態において、条件K5を満たした場合には、通信機器3の動作モードがアクティブモードから省電力モードに移行したと特定する。条件K5は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が上記しきい値(例えば5W)未満となり、かつ、通信機器3が送信元である通信ネットワーク6からの離脱を示す所定の通信パケット(SSDPのリーブパケット又はIGMPのリーブパケット)を、抽出部423が検出しなかったこと
である。これにより、通信機器3の動作モードがアクティブモードから省電力モードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0093】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードを省電力モードと特定している状態において、条件K6を満たした場合には、通信機器3の動作モードが省電力モードからアクティブモードに移行したと特定する。条件K6は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が上記しきい値(例えば5W)以上となったことである。これにより、通信機器3の動作モードが省電力モードからアクティブモードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0094】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードをアイドルモードと特定している状態において、条件K7を満たした場合には、通信機器3の動作モードがアイドルモードからオフモードに移行したと特定する。条件K7は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が上記しきい値(例えば5W)未満となり、かつ、通信機器3が送信元である通信ネットワーク6からの離脱を示す所定の通信パケット(SSDPのリーブパケット又はIGMPのリーブパケット)を、抽出部423が検出したことである。これにより、通信機器3の動作モードがアイドルモードからオフモードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0095】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードをアイドルモードと特定している状態において、条件K8を満たした場合には、通信機器3の動作モードがアイドルモードからアクティブモードに移行したと特定する。条件K8は、通信機器3に対して送受信される通信パケット(TCPパケット又はUDPパケット)を抽出部423が直近の所定期間(例えば10分)内に所定数(例えば10個)以上検出したことである。これにより、通信機器3の動作モードがアイドルモードからアクティブモードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0096】
また、モード特定部422は、通信機器3の動作モードをアイドルモードと特定している状態において、条件K9を満たした場合には、通信機器3の動作モードがアイドルモードから省電力モードに移行したと特定する。条件K9は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力が上記しきい値(例えば5W)未満となり、かつ、通信機器3が送信元である通信ネットワーク6からの離脱を示す所定の通信パケット(SSDPのリーブパケット又はIGMPのリーブパケット)を、抽出部423が検出しなかったことである。これにより、通信機器3の動作モードがアイドルモードから省電力モードに移行したことを、モード特定部422によって正確に特定することが可能となる。
【0097】
なお、以上の通り、モード特定部422は、まず通信機器3の動作モードとしてアクティブモード、アイドルモード、及びオフモードのいずれかを特定するにあたって、アクティブモード及びアイドルモードのいずれにも該当しない場合には、通信機器3の動作モードを暫定的にオフモードと特定する。このように暫定的にオフモードと特定した場合において、仮に条件K2における消費電力のしきい値が条件K6における消費電力のしきい値よりも大きい値に設定されている場合には、条件K2における消費電力のしきい値として、条件K6における消費電力のしきい値(つまり本来の値よりも小さい値)を用いる。その後、オフモードからアクティブモードへの遷移を特定した時点で、条件K2における消費電力の値を本来の値に戻す。これにより、オフモードの暫定的な特定が誤りで正しくは省電力モードであった場合であっても、省電力モードからアクティブモードへの遷移を特定することができ、その後は通信機器3の動作モードを正確に特定することが可能となる。
【0098】
このように本実施の形態に係る管理装置4によれば、取得部421は、通信機器3の消
費電力に関する情報を取得し、抽出部423は、通信機器3に対して送受信される通信パケットを通信ネットワーク6から抽出して解析する。そして、モード特定部422は、取得部421によって取得された消費電力に関する情報(信号S21)と、抽出部423によって解析された通信パケットに関する情報(信号S22)とに基づいて、通信機器3の動作モードを特定する。このように、管理装置4がモード特定部422によって通信機器3の動作モードを自ら特定することにより、通信機器3から管理装置4への動作モードの通知が不要となる。その結果、動作モードの通知機能を通信機器3に実装することが不要になるとともに、動作モードの通知に起因するトラフィックの増大を回避することが可能となる。
【0099】
<各動作モードにおける消費電力を示す情報の利用例>
上記の通り、電力管理部424は、取得部421によって取得された通信機器3の消費電力に関する情報(信号S21)と、モード特定部422によって特定された通信機器3の動作モード(信号S23)とを互いに対応付けることにより、通信機器3の各動作モードにおける消費電力を求める。
【0100】
図12は、電力管理部424によって作成された管理データ50の一例を示す図である。計測部23が通信機器3の消費電力の測定を実行した時刻と、その時に測定された通信機器3の消費電力の値と、その時にモード特定部422によって特定された通信機器3の動作モードとが、互いに対応付けられて記憶されている。例えば時刻「000100」においては、消費電力は「30.1W」であり、動作モードは「アクティブモード」である。また、例えば時刻「000103」においては、消費電力は「1.0W」であり、動作モードは「省電力モード」である。電力管理部424は、作成した管理データ50を記憶部44(図4参照)に保存する。なお、管理装置4によって複数の通信機器3を管理している場合には、電力管理部424は、通信機器3ごとに管理データ50を個別に作成し、記憶部44に保存する。
【0101】
図13は、電力管理部424によって作成された統計データ51の一例を示す図である。電力管理部424は、記憶部44に保存されている管理データ50に基づいて、所定期間(図13の例では一日)単位で管理データ50を統計処理することによって、統計データ51を作成する。統計データ51においては、通信機器の識別情報と、各通信機器が有する動作モードと、各通信機器の各動作モードにおける一日あたりの消費電力の平均値と、各通信機器の各動作モードにおける一日内での使用時間と、各通信機器の一日あたりの総消費電力量とが、互いに対応付けられて記述されている。通信機器の識別情報としては、図5に示した関連付け部428から電力管理部424に教示された、通信機器のMACアドレス、機器の種別、及び製造メーカ等の情報が使用される。例えば通信機器Aにおいては、アクティブモードに関しては消費電力が「30.0W」で使用時間が「8.0h」であり、アイドルモードに関しては消費電力が「21.4W」で使用時間が「3.5h」であり、省電力モードに関しては消費電力が「1.1W」で使用時間が「0.5h」であり、オフモードに関しては消費電力が「0.1W」で使用時間が「12.0h」であり、一日あたりの総消費電力量は「100.65Wh」である。また、例えば通信機器Dにおいては、アクティブモードに関しては消費電力が「15.0W」で使用時間が「1.5h」であり、省電力モードに関しては消費電力が「12.0W」で使用時間が「22.5h」であり、一日あたりの総消費電力量は「49.50Wh」である。電力管理部424は、作成した統計データ51を記憶部44に保存する。
【0102】
図4を参照して、管理装置4は、記憶部44に保存されている管理データ50及び統計データ51を出力することが可能である。具体的には、記憶部44に保存されている管理データ50及び統計データ51を、出力手段としての表示部43に表示することが可能であり、また、記憶部44に保存されている管理データ50及び統計データ51を、出力手
段としての通信部41から終端装置7及び通信ネットワーク8を介してサーバ9(図1,2参照)に送信することが可能である。
【0103】
このように本実施の形態に係る管理装置4によれば、取得部421は、通信機器3の消費電力に関する情報を取得し、モード特定部422は、通信機器3の動作モードを特定する。そして、電力管理部424は、取得部421によって取得された消費電力に関する情報(信号S21)と、モード特定部422によって特定された動作モード(信号S23)とを対応付けることにより、通信機器3の各動作モードにおける消費電力を求める。このように通信機器3の各動作モードにおける消費電力を求めることにより、複数の動作モードを有する通信機器3の消費電力を正確に求めることが可能となる。
【0104】
また、出力手段は、電力管理部424によって求められた、通信機器3の各動作モードにおける消費電力に関する情報(管理データ50及び統計データ51)を出力する。当該情報を出力することにより、ユーザ等によって当該情報を利用することが可能となる。
【0105】
また、表示部43は、通信機器3の各動作モードにおける消費電力に関する情報(管理データ50及び統計データ51)を表示する。従って、当該情報をユーザに提供することができ、その結果、節電効果を実感させることによってユーザの環境意識を高めることができる。また、通信機器の買い換え時等において、ユーザは正確な消費電力を通信機器間で比較できるため、消費電力が大きい通信機器を撤去して省電力タイプの新たな通信機器を導入することにより、環境に配慮したネットワークシステムの構築に資することが可能となる。
【0106】
また、通信部41は、通信機器3の各動作モードにおける消費電力に関する情報(管理データ50及び統計データ51)を送信する。従って、当該情報をプロバイダ等の契約サービス会社のサーバ9に送信し、当該サービス会社において当該情報の蓄積及び分析を行うことにより、ユーザに対して消費電力をより低減するためのアドバイスを行う等のサービスを提供することが可能となる。
【0107】
<各動作モードに応じて電力制御部が実行する電力制御の具体例>
上記の通り、電力制御部425は、モード特定部422によって特定された通信機器3の動作モード(信号S23)に基づいて、各動作モードに応じた内容の電力制御を通信機器3に対して実行する。
【0108】
図14は、所定の条件K10が成立した時に電力制御部425が実行する処理を示す図である。条件K10は、通信機器3の動作モードをアイドルモードと特定している状態において、通信機器3に対して送受信される通信パケット(TCPパケット又はUDPパケット)を抽出部423が直近の所定期間(例えば10分)内に所定数(例えば1個)以上検出しなかったことである。条件K10の成立時における通信機器3の動作モードがアクティブモード、省電力モード、又はオフモードである場合には、電力制御部425は何も処理を行わない。一方、条件K10の成立時における通信機器3の動作モードがアイドルモードである場合には、電力制御部425は、リモートシャットダウンの実行命令を、通信部41から通信ネットワーク6を介して通信機器3に送信するとともに、通信機器3への給電を停止させる旨の信号S11を、通信部41から電力線通信(図1)又は無線通信(図2)によって給電装置2に送信する。通信機器3は、リモートシャットダウンの実行命令を受信することによりシャットダウンを実行し、これによって消費電力の低減が図られる。また、給電装置2は、通信機器3への給電を停止させる旨の信号S11を受信することにより、電力線5から通信機器3への給電を停止し、これによって消費電力のさらなる低減が図られる。
【0109】
図15は、所定の条件K11が成立した時に電力制御部425が実行する処理を示す図である。条件K11は、通信機器3の動作モードを省電力モードと特定している状態において、省電力モードの状態が所定時間(例えば10分)以上継続したことである。条件K11の成立時における通信機器3の動作モードがアクティブモード、アイドルモード、又はオフモードである場合には、電力制御部425は何も処理を行わない。一方、条件K11の成立時における通信機器3の動作モードが省電力モードである場合には、電力制御部425は、起動命令(省電力モードによって停止している機能の動作を再開させるための命令)及びリモートシャットダウンの実行命令を、通信部41から通信ネットワーク6を介して通信機器3に送信するとともに、通信機器3への給電を停止させる旨の信号S11を、通信部41から電力線通信(図1)又は無線通信(図2)によって給電装置2に送信する。通信機器3は、起動命令を受信した後にリモートシャットダウンの実行命令を受信することによりシャットダウンを実行し、これによって消費電力の低減が図られる。また、給電装置2は、通信機器3への給電を停止させる旨の信号S11を受信することにより、電力線5から通信機器3への給電を停止し、これによって消費電力のさらなる低減が図られる。
【0110】
このように本実施の形態に係る管理装置4によれば、モード特定部422は通信機器3の動作モードを特定し、電力制御部425は、モード特定部422によって特定された各動作モードに応じた内容の電力制御を行う。このように、電力制御部425が各動作モードに応じた内容の電力制御を行うことによって、動作モードに適さない電力制御が行われることに起因する障害の発生を回避しつつ、各動作モードに応じて最適な電力制御を行うことが可能となる。
【0111】
また、図14に示したように、電力制御部425は、モード特定部422が通信機器3の動作モードをアイドルモードと特定している状態において、条件K10を満たした場合に、通信機器3をシャットダウンさせる電力制御を行う。アイドルモードにおいても電力は消費されているため、アイドルモードからアクティブモードへ移行する可能性が低い状況においては、アイドルモードをそのまま継続させるのではなく通信機器3をシャットダウンさせる電力制御を行うことによって、アイドルモードがそのまま継続される場合と比較して、通信機器3における消費電力を低減することが可能となる。
【0112】
また、図15に示したように、電力制御部425は、モード特定部422が通信機器3の動作モードを省電力モードと特定している状態において、条件K11を満たした場合に、通信機器3をシャットダウンさせる電力制御を行う。省電力モードにおいても電力は消費されているため、省電力モードからアクティブモードへ移行する可能性が低い状況においては、省電力モードをそのまま継続させるのではなく通信機器3をシャットダウンさせる電力制御を行うことによって、省電力モードがそのまま継続される場合と比較して、通信機器3における消費電力を低減することが可能となる。
【0113】
また、電力制御部425は、通信機器3をシャットダウンさせる電力制御に加えて、通信機器3への給電を給電装置2に停止させる電力制御を行う。通信機器3への給電を停止させることにより、通信機器3における消費電力をさらに低減することが可能となる。
【0114】
なお、以上の説明では、モード特定部422は、取得部421によって取得された消費電力に関する情報(信号S21)と、抽出部423によって解析された通信パケットに関する情報(信号S22)とに基づいて、通信機器3の動作モードを特定した。これに代えて、モード特定部422は、通信機器3の現在の動作モードを示す情報を通信機器3から電力線通信(図1)又は無線通信(図2)によって取得することにより、通信機器3の動作モードを特定してもよい。通信機器3が自己の動作モードを示す情報を管理装置4へ通知することにより、モード特定部422において、通信機器3の動作モードを正確に特定
することが可能となる。
【0115】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
2 給電装置
2A,2B ポート
3A,3B 通信機器
4 管理装置
5 電力線
6 通信ネットワーク
9 サーバ
21 通信部
22 給電制御部
23 計測部
41 通信部
42 処理部
43 表示部
44 記憶部
45 プログラム
50 管理データ
51 統計データ
421 取得部
422 モード特定部
423 抽出部
424 電力管理部
425 電力制御部
426 電力変化検出部
427 モード移行検出部
428 関連付け部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給装置及び通信ネットワークに接続された複数の動作モードを有する通信機器を管理する管理装置であって、
前記通信機器の消費電力に関する情報を前記電力供給装置から取得する取得手段と、
前記通信機器から送信された通信パケットを前記通信ネットワークから抽出する抽出手段と、
前記取得手段によって取得された情報に基づいて、前記通信機器における消費電力の変化を検出する第1の検出手段と、
前記抽出手段によって抽出された通信パケットに基づいて、前記通信機器における動作モードの移行を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段による検出結果と、前記第2の検出手段による検出結果とに基づいて、電力供給装置と、当該電力供給装置に接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける関連付け手段と、
を備える、管理装置。
【請求項2】
前記電力供給装置は、それぞれに通信機器を接続可能な複数のポートを有しており、
前記取得手段は、前記通信機器の消費電力に関する情報を、前記ポートを区別して取得し、
前記第1の検出手段は、前記通信機器における消費電力の変化を、前記ポートを区別して検出し、
前記関連付け手段は、電力供給装置の各ポートと、各ポートに接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記複数の動作モードには、
前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、
前記通信機器の電源がオフ状態である非活性モードと、
が含まれ、
前記関連付け手段は、
消費電力が増大する変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、
当該消費電力が増大する変化の後の所定期間内に、前記非活性モードから前記活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、
を関連付ける、請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記複数の動作モードには、
前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、
前記通信機器の電源がオフ状態である非活性モードと、
が含まれ、
前記関連付け手段は、
消費電力が減少する変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、
当該消費電力が減少する変化の前の所定期間内に、前記活性モードから前記非活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、
を関連付ける、請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記複数の動作モードには、
前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、
前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器の一部の機能が動作していない状態である省電力モードと、
が含まれ、
前記関連付け手段は、
消費電力が増大する変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、
当該消費電力が増大する変化の前後の所定期間内に、前記省電力モードから前記活性モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、
を関連付ける、請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項6】
前記複数の動作モードには、
前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器に対して通信パケットの送受信が行われている状態である活性モードと、
前記通信機器の電源がオン状態で、かつ前記通信機器の一部の機能が動作していない状態である省電力モードと、
が含まれ、
前記関連付け手段は、
消費電力が減少する変化が前記第1の検出手段によって検出された通信機器に接続されている電力供給装置と、
当該消費電力が減少する変化の前後の所定期間内に、前記活性モードから前記省電力モードへの移行に伴って送信される所定の通信パケットの送信元として前記第2の検出手段によって検出された通信機器の識別情報と、
を関連付ける、請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項7】
請求項3〜6の少なくとも二つに記載の関連付け手段による関連付けの結果に基づいて、電力供給装置と通信機器の識別情報とを関連付ける、管理装置。
【請求項8】
前記識別情報は、前記通信機器のMACアドレスを含む、請求項1〜7のいずれか一つに記載の管理装置。
【請求項9】
前記識別情報は、前記通信機器の種別に関する情報を含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の管理装置。
【請求項10】
前記識別情報は、前記通信機器の製造メーカに関する情報を含む、請求項1〜9のいずれか一つに記載の管理装置。
【請求項11】
電力供給装置及び通信ネットワークに接続された複数の動作モードを有する通信機器を管理する管理装置に搭載されるコンピュータを、
前記通信機器の消費電力に関する情報を前記電力供給装置から取得する取得手段と、
前記通信機器から送信された通信パケットを前記通信ネットワークから抽出する抽出手段と、
前記取得手段によって取得された情報に基づいて、前記通信機器における消費電力の変化を検出する第1の検出手段と、
前記抽出手段によって抽出された通信パケットに基づいて、前記通信機器における動作モードの移行を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段による検出結果と、前記第2の検出手段による検出結果とに基づい
て、電力供給装置と、当該電力供給装置に接続されている通信機器の識別情報とを関連付ける関連付け手段と、
として機能させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−129026(P2011−129026A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288959(P2009−288959)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】