説明

管路内径測定装置

【課題】簡単な構造で管路内径の計測手段を常に適切な位置に保持することができる軽量かつ製造容易な管路内径測定装置を得ること。
【解決手段】管路の内径を計測可能な内径計測手段12を保持し管路内を走行する装置本体部14を有し、装置本体部14は、内径計測手段12を内径の計測が可能な状態で保持した躯体部(16)と、躯体部(16)に、管路内への導入状態にて、管路の周方向に等間隔に位置するように複数個固定され、それぞれ管路の内壁に押圧当接されて弾性変形し、躯体部をその中心位置が管路の中心位置と略一致するように支持する弾性力発生手段(18−1〜18−4)とを備えている。これにより、内径計測手段の的確な保持状態を簡単な構成によって確保することが可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内径測定装置、特に、既設管路内に導入して管路の特定の箇所或いは管路内を走行しつつ管路の内径を測定する管路内径測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地下に敷設された下水道管路は、当初から内径寸法に誤差がある場合が有り、また、長年に亘る使用で、例えば、下水から発生する硫化水素等の酸性物質の腐蝕により老朽化し、更に土圧による静荷重、特に重量車両が地表面を走行することに起因する活荷重により管の断面が大きく変化してしまうことがある。このような断面変形した管路では、強度の低下や流下能力の低下が生じ、その結果、浸入水や漏水を発生するばかりでなく、地盤の陥没等を引き起こすことがある。この様な事態を防止すべく、管路の健全度を定期的に計測して把握することが必要である。このような管路の健全度を把握するためには、内径測定が簡易で非常に有効な方法である。
【0003】
また、老朽化して健全度が低下した管路に対する補修工事は、例えば、浸入水の発生箇所を部分的に止水する工法や管路全体を補強するため管路内に未硬化の管状ライニング材を空気圧で反転させながら挿入して、その後、管状ライニング材を拡径させた状態で熱または光線によって硬化させるライニング工法が周知であるが、この補修工事を行う場合は、施工前に管の内径に適合する管状ライニング材を選択することが、高品質な管路の内壁の仕上がりのために重要である。一方、施工後においても、管路の内壁の品質の確認のために、補修工事の仕上がり具合を把握する必要がある。これらのライニング材の選択及び補修工事の仕上がり具合を把握する場合も、上記した管路の内径測定が必要となる。
【0004】
特許文献1には、管路の内径を測定する装置が開示されており、この内径測定装置は、管路に導入可能な中空円筒状の本体部を有し、この本体部をセンターリング手段により、管内中心軸線上に常時保持している。そして、その本体部に管路の内径を測定する測定部が設けられている。
【0005】
すなわち、このセンターリング手段によって、測定部を備える本体部が管内中心軸線上に保持することによって、管路の内径の測定が可能となっている。そして、センターリング手段の具体手な開示としては、パンタグラフ方式のものが示されており、2等辺3角形状のリンク構造物が、本体部の外周部に120°の間隔で3箇所設置されている。このパンタグラフ構造により、本体部は管路の内壁からの反力を三方から均等に受けることとなり、本体部は常に管路の中心、すなわち、同軸上に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−214958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術におけるセンタリング構造は、複数のアーム部材を回動可能に連結し、更に、アーム部材の一端をスライドさせる機構などが必要であり、製造の煩雑さや製造費の増大、更には装置全体の重量の増大を回避することが困難である。また、パンタグラフ構造などの複雑な機構において、バネ装置の管理、例えば、パンタグラフ構造により得られる反力を常に均等に保つことも容易ではない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造で管路内径の計測手段を常に適切な位置に保持することができる軽量かつ製造容易な管路内径測定装置を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る管路内径測定装置は、
測定対象の管路内を走行しつつ前記管路の内径を測定する管路内径測定装置において、
前記管路の内径を計測可能な内径計測手段と、該内径計測手段を保持し前記管路内を走行する装置本体部と、を有し、前記装置本体部は、前記内径計測手段を内径の計測が可能な状態で、1個又は前記管路の伸長方向に位置をずらして複数個保持した躯体部と、該躯体部に、前記管路内への導入状態にて、管路の周方向に等間隔に位置するように複数個固定され、それぞれ前記管路の内壁に押圧当接されて弾性変形し、前記躯体部をその中心位置が前記管路の中心位置と略一致するように支持する弾性力発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、管路内径を連続的に正確に測定するために必要な管路内における1又は複数の内径計測手段の保持状態を簡単な構成によって確保することが可能となっている。すなわち、躯体部に管路の周方向に等間隔で複数設置された弾性力発生手段の管路内壁への押圧による弾性変形によって、安定した中心位置での計測手段の設置が達成される。したがって、複雑なリンク機構などの設置や他の付勢手段の設置が不要であり、装置の構成の単純化、軽量化が図られている。
【0011】
請求項2に係る管路内径測定装置は、請求項1に係る管路内径測定装置において、
前記複数の弾性力発生手段は、それぞれ略長方形状の平板状に形成された弾性板状体として構成され、前記管路内への導入状態において長辺側が前記管路の管軸方向に略平行となるようにその中央部で前記躯体部に固定され、前記弾性板状体の長手方向の両端外側面には、それぞれ前記管路の内壁に押圧当接されて前記弾性板状体の弾性変形を生ぜしめ、且つ、前記装置本体部の管路内での走行を円滑化する突出部が設けられたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、弾性力発生手段を板状体という極めてシンプルな構造によって構成しており、その弾性板状体はその中央部で躯体部に固定され、その両端が押されて撓(しな)るように弾性変形することで、躯体部を管路内にて的確に支持することができる。そして、両端の突出部の存在により、各弾性板状体はそれぞれ2箇所で管路内壁に当接されて、走行抵抗を低減し、管路内での装置全体の円滑な走行を達成している。
【0013】
請求項3に係る管路内径測定装置は、請求項2に係る管路内径測定装置において、
前記突出部は、
前記管路内壁への押圧当接状態で前記走行時に回転可能な走行用回転体として形成されたことを特徴とする。この構成によれば、例えば突出部が、車輪や球体を回転可能に設置することで構成され、簡単な構成により、装置の管路内での走行時における抵抗を小さいものとすることができ、小さい力で装置全体を走行させることが可能となる。
【0014】
請求項4に係る管路内径測定装置は、請求項2又は3の何れか1項に係る管路内径測定装置において、
前記複数の弾性板状体が、弾性を有する金属板と板状の弾性樹脂部材とを積層して構成されたことを特徴とする。この構成によれば、良好な弾性を有する板状体を軽量に構成することができ、装置の操作性が向上する。
【0015】
請求項5に係る管路内径測定装置は、請求項1から4の何れか1項に係る管路内径測定装置において、
前記躯体部が、略正8角形の枠体として形成され、前記複数の弾性板力発生手段は、前記枠体の8つの辺の一辺おきに、それぞれ1枚づつ合計4個固定され、
前記内径測定手段が、前記弾性力発生手段の固定されていない対向する辺を貫通して取り付けられたことを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、簡単な構成により躯体部が構成され、一辺おきに4枚の弾性力発生手段が設置され、すなわち、ほぼ90度間隔で弾性力発生手段による管路内壁に対する押圧設置が可能となる。また、弾性力発生手段の設けられない躯体部の辺には、対向する辺に計測手段を設置すること等が可能となり、躯体部による計測手段の保持における「心出し」をより簡単に行うことが可能である。
【0017】
請求項6に係る管路内径測定装置は、請求項1から5の何れか1項に係る管路内径測定装置において、
前記内径測定手段の取付は、前記弾性力発生手段の固定されていない対向する2組の辺のそれぞれに前記管路の伸長方向の位置をずらして、且つ前記管路の周方向の回転角がほぼ90度異なるように取り付けられたことを特徴とする。この構成によれば、測定装置の1回の管路内走行によって、ほぼ直交する2方向での管路の内径測定を同時に行うことができる。したがって、より的確な管路の内径情報を取得することが可能となる。
【0018】
請求項7に係る管路内径測定装置は、請求項5又は6の何れか1項に係る管路内径測定装置において、
前記弾性力発生手段は、隣り合う何れか2個の弾性力発生手段の弾性力を他の2個の弾性力発生手段の弾性力よりも強くし、該弾性力を強くした2個の弾性力発生手段側を管路内設置状態における下方側として設置する様にしたことを特徴とする。
【0019】
この構成により、弾性力を強くした2個の弾性力発生手段側を管路内設置状態における下方側にして設置することで、内径計測手段の管路内における心だしをより的確に行うことが可能となる。すなわち、4箇所の弾性力発生手段の全てが同じ弾性力を有する場合、管路内径測定装置が管路内に設置されたとき、当該装置の重量が付加される下側の弾性力発生手段は、上側の弾性力発生手段よりも撓み量は大きくなる。したがって、この下側に位置する弾性力発生手段の弾性力を強くしておくことで、略正8角形の枠体の中心位置をより正確に心だしすることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、管路内径を測定する計測手段を簡単な構造の軽量な構成によって保持することができ、かつ、管路の内径を常に的確に測定することの可能な位置に計測手段が保持される。これにより、管路内径測定装置による管路全体の内径変化を的確に把握するための操作性が向上し、既設管路の補修における前段階の管路の状態の確認作業等が円滑且つ正確なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る管路内径測定装置の概略を説明する斜視図である。
【図2】図1の管路内径測定装置が、管路内に導入された状態の管軸方向に直交する方向の概略断面図である。
【図3】内径計測器を2個取り付けた実施の形態についての図1の管軸方向に直交する方向の概略断面図である。
【図4】図2の一部省略III−III線断面図である。
【図5】実施の形態に係る計測器の保持状態説明図である。
【図6】内径計測器の一例を示す説明図である。
【図7】実施の形態に係る管路内径測定装置の管路内における動作状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、実施の形態に係る管路内径測定装置10の全体構成を示しており、図示のように、管路内径を測定するための計測手段である内径計測器12を装置本体部14によって、その装置本体部14のほぼ中央部にて保持している。
【0023】
図2は、図1に示した管路内径測定装置10の断面形状、すなわち、測定対象である管路100に導入された状態における管軸方向に直交する方向の断面形状を示している。また、図3は内径計測器12を複数個設けた場合の断面形状を示しており、図4は装置本体部14の構造を示す概略断面図であり、内径計測器及びその取付のための構造等は省略して示している。以下、図1から図4に基づいて、管路内径測定装置10の具体的構成を説明する。
【0024】
本実施の形態に係る装置本体部14は、躯体部である略正8角形の枠体部16を有している。この枠体部16は、例えば、平板状の剛性を有する部材を屈曲させて構成され、全体として略正8角柱状に形成されている。そのサイズは、例えば、対向辺間の長さが12cm〜80cm程度であり、測定対象の管路の管径に合わせて種々選択される。
【0025】
そして、この枠体部16の外側面に弾性力発生手段が設けられている。本実施の形態では、弾性板状体18を用いており、この弾性板状体18が固定されている。弾性板状体18は、図1から理解されるように、所定長さ(例えば、30cm〜100cm)の長方形状の平板形状に構成されている。本実施の形態では、十分な弾性を確保できるステンレス等の金属プレート18aとゴムその他の樹脂プレート18bとを積層して貼着して形成している。
【0026】
弾性板状体18は、8角柱状の枠体部16の8つの辺の一辺おきに、それぞれ1枚づつ固定され、すなわち4枚が90度間隔で設置されている。この様に、枠体部16が略正8角形の形状を有しているので、簡単に4方向への均等な配分での弾性板状体18の設置が可能となっている。そして、弾性力をほぼ共通にする4枚の弾性板状体18を同様の取付状態で取り付けている。
【0027】
また、本実施の形態では、弾性板状体18の取付けは、長手方向のほぼ中央位置で、締結部材20によって枠体部16の1辺の外側面に固定することで行われている。したがって、図示のように、枠体部16の両側に弾性板状体18が伸長する形態をなしており、4枚の弾性板状体18−1〜18−4は、それぞれ1辺おき、すなわち、周方向に90度の間隔で放射方向に同様の取付け角で固定されている。すなわち、2枚の対向する弾性板状体18が互いに180度で対き合っている。
【0028】
更に、各弾性板状体18の長手方向の両端外側面には、それぞれ突出部が設けられている。この突出部は、装置本体部10の計測対象である管路内での走行を円滑化するため、すなわち、装置の管路内での走行時における抵抗を小さいものとするため、本実施の形態では、円筒形の台座22の先端部に球体24を回転自在に装填した走行ローラー部26として構成されている。
【0029】
次に、装置本体部10への計測手段の設置について説明する。図1から理解されるように、内径計測器12は、枠体部16の弾性板状体18の設けられない対向する2辺に設けられている。すなわち、内径計測器12を挿通させるための開口16aを枠体部16の2辺に形成し、その開口16aに内径計測器12を挿通して、固定している。
【0030】
図5は、枠体部16への内径計測器12の装着状態の一例を示す説明図であり、枠体部16と内径計測器12以外の構成要素を省略して示している。図示のように、内径計測器12は、枠体部16の対向する2辺16b、16cに形成された開口に挿通された状態にあり、その装着状態をガタつきのない安定した状態とするために、サポート部材28が2辺16b、16cの取り付けられ、このサポート部材28と内径計測器12とを結合部材30によって固定している。この装着により、内径計測器12は、枠体部16に安定して取付固定される。
【0031】
上述のように、枠体部16は、略正8角形状(図2参照乞う)を有しており、対向する2辺16b、16cの中央位置に内径計測器12を取り付けることで、内径計測器12の心出しが確実に行われる。すなわち、図2に示したように、内径計測器12によって的確に管路の内径を測定するために、管路の軸心を内径計測器12の中心線が通過するように設置することで常に正しい内径の測定が可能となるものである。
【0032】
図3は、内径計測器12を複数個設置した例を示しており、本実施の形態では内径計測器12を2個(12−1,12−2)設置している。図示のように、2本目の内径計測器12−2の取付が、図2に示した構成における内径計測器12の固定されていない枠体部16の対向する2辺16d、16eに対して行われている。すなわち、枠体部16における管路伸長方向の異なる位置に内径計測器12−2が取り付けられている。そして、2本の内径計測器12−1,12−2は、互いに管路100の周方向の回転角がほぼ直角をなすように取り付けられている。すなわち、互いに直交する様に取り付けられている。
【0033】
本実施の形態によれば、管路内径測定装置の1回の管路内走行によって、ほぼ直交する2方向での管路の内径測定を同時に行うことができ、同時に複数の内径データを確認することが可能となり、より的確な管路の内径測定が達成される。
【0034】
また、この内径計測器12の装置への的確な装着、すなわち、心出しのためには、装置全体の管路内における設置状態の調整が重要であり、上記実施の形態によれば、4枚の弾性板状体18−1〜18−4は、弾性力がほぼ同じになるように共通の厚さ、共通の材質のものが用いられている。本実施の形態では、弾性板状体18は、上述のようにステンレス製の基板18aとこの基板18aに貼着された硬質のゴム板18bとから構成されている。両者はほぼ同一のサイズと平面形状を有し、硬質ゴム板18bの方が厚い構成となっている。なお、基板18aは、十分な弾性力を得ることのできる金属であれば種々の材料を用いることが可能である。
【0035】
本実施の形態に係る略正8角形の枠体部16及び4枚の弾性板状体18−1〜18−4による内径計測器12の具体的な心出し設置について説明する。上述のように、4枚の弾性板状体18−1〜18−4には、それぞれ両端部に、台座22及び球体24を有する走行ローラー部26が設けられている。そして、図2〜図4から理解されるように、周方向の4箇所の走行ローラー部26の先端部の球体24がなす回転輪郭ライン200は、導入される管路の内壁ライン100よりも大きなサイズに設定されている。すなわち、枠体部16のサイズ及び弾性板状体18の厚さ、及び突出部である走行ローラー部26の突出高さは、上記の様に球体24の先端の回転輪郭ライン200が管路内壁の100よりも大きくなるようサイズ調整されている。
【0036】
したがって、この実施の形態に係る管路内径測定装置10を管路内に導入した場合、各弾性板状体18は、管路の内壁によって押し曲げられた状態となる。すなわち、枠体部16への固定部を中心としてその両端が撓んだ状態となる。すなわち、各弾性板状体18は、それぞれ両端部にある各球体24が管路内壁に衝突し、各弾性板状体18は弾性変形した状態となる。そして、各弾性板状体18は、周方向に等間隔に在り、同一の構成を有しているので、枠体部16は管路内のほぼ中央部に的確に保持された状態となる。したがって、上述のように、この枠体部16のほぼ中央位置で保持されている内径計測器12は、的確に管路の中心を通る位置で保持された状態が保たれる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、弾性板状体18の弾性力はそれぞれほぼ共通するものを用いたが、より緻密な心出しを行うために、隣り合う何れか2個の弾性板状体18を他の2個の弾性板状体18よりもその弾性力を強くすることも可能である。そして、弾性力を強くした2個の弾性板状体18が管路100内への設置状態で下方側となるよに設置して管路100の内径測定を行うものである。
【0038】
この構成によれば、弾性力を強くした2個の弾性板状体18は、管路100内で管路内径測定装置10の重量を受けることとなるが、他の2個の弾性板状体18よりも弾性力が強くなっているため、その反発力で撓み量は、上側に位置する弾性板状体18よりも少ない。これにより、枠体部16に取り付けられた内径計測器12の管路100内における心だしはよりズレのない正確なものとなる。
【0039】
なお、上記実施の形態では、略正8角形の枠体部16を用いた例を示したが、枠体部の形状はこれに限られず、例えば、略正12角形のものを用いることも可能である(図示せず)。その場合、内径計測器12を各60度間隔で枠体部の対向辺に取り付け、内径計測器12の取り付けられていない枠体部の対向辺のうち、3箇所、又は6箇所に弾性板状体12を取り付けるようにすることが可能である。この構成によれば、1回の走行で3方向の管路の内径を測定することが可能となる。
【0040】
また、同じく図示しないが、図1の実施の形態の様に内径計測器12を1個のみ装着する装置構成を用い、この装置を管路内で管路の軸中心に回転させて測定箇所を変更する構成としても良い。すなわち、管路の開放端からの操作により管路内径測定装置10自体を回転可能な構成とすることも可能である。
【0041】
次に、図6は、本実施の形態において用いた一例としての内径計測器12であり、既知の装置である。図示のように、大径部分である計測器本体部12aと、この計測器本体部12a内に一部が挿入された状態で装着され、且つその挿入長さが変位可能とされた伸縮部12bとを有している。伸縮部12bは伸長する方向に付勢された構成を有している。また、両端部には、測定対象である管路の内壁に当接された状態で走行容易とするための回転球体12cと車輪12dが設けられている。なお、回転球体12cは回転自在であり、当接面に対して回転することで円滑に摺動移動可能である。また、車輪12dが装着されている部分についても長手方向軸を中心に回転可能に構成され、当接面に対する円滑な摺動移動が確保されている。
【0042】
この内径計測器12を枠体部16に装着して、管路内を走行し、各位置における管路の直径を測定するものであり、計測器本体部12aには、目盛り表示部12fが設けられ、例えば、基準のサイズに対するプラス、マイナスの表示がなされている。
【0043】
図7は、上記実施の形態に係る管路内径測定装置10を用いて実施に管路300の内径測定を行っている状態を示している。図示のように、管路内径測定装置10は、管路300内に導入され、各弾性板状体18の撓み(弾性変形)による反発力によって枠体部16及び内径計測器12は、管路300の中央位置に保持され、的確に管路300の内径を測定可能な状態が保たれている。この状態で、管路内径測定装置10は管路300内を走行するが、この走行は、例えば、ワイヤ400を用いて図上500方向に牽引することで行われる。このために、本実施の形態では、ワイヤ400を取り付けるためのワイヤ取り付け部40が枠体部16の辺に設けられている。なお、この管路内径測定装置10の走行は、本実施の形態のように、牽引によるものに限定されるものではなく、この管路内径測定装置10に自走可能な走行装置を先導させるように取り付けたり、この管路内径測定装置10自体に自走のための駆動部を設けることも可能である。
【0044】
更に、本実施の形態では、カメラ42が枠体部16の所定の辺に設けられており、このカメラ42によって、内径計測器12の目盛り表示部12fを常に監視し、その映像データを外部に送信する様にしている。これにより、調査対象の管路の外部でこの目盛り表示部12fを確認し、適宜、管路の内径の変化などをチェックすることが可能である。
【0045】
以上のように、本実施の形態によれば、内径測定器12の管路内径を測定するための的確な保持を軽量で且つ簡単な構成の枠体部16及び弾性板状体18によって行うことができ、複雑な構成を伴う従来装置に比し、製造の容易化、操作性の向上等を達成することが可能である。
【0046】
なお、本発明に係る管路内径測定装置は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、枠体部16は、略正8角形の形状を有する板状体の例を示したが、この形状に限られるものではなく、弾性板状体18を均等に配置固定することのできる形状を有していいれば足り、例えば、略円筒形の板状体や他の多角形状に構成することも可能である。また、突状体の構成も台座22と球体24の構成に限られるものではなく、車輪などの他の走行容易化手段を用いることも可能である。更に、実施の形態では、弾性力発生手段を板状体の構成としたが、これに限られず、バネなどの付勢手段により、管路内壁を押圧する部材を管路の周方向に等間隔に位置するように躯体部に設けることでも構成することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 管路内径測定装置
12 内径計測器
14 装置本体部
16 枠体部
18 弾性板状体
22 台座
24 球体
26 走行ローラー部
24 カメラ
100 管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の管路内を走行しつつ前記管路の内径を測定する管路内径測定装置において、
前記管路の内径を計測可能な内径計測手段と、
該内径計測手段を保持し前記管路内を走行する装置本体部と、を有し、
前記装置本体部は、
前記内径計測手段を内径の計測が可能な状態で、1個又は前記管路の伸長方向に位置をずらして複数個保持した躯体部と、
該躯体部に、前記管路内への導入状態にて、管路の周方向に等間隔に位置するように複数個固定され、それぞれ前記管路の内壁に押圧当接されて弾性変形し、前記躯体部をその中心位置が前記管路の中心位置と略一致するように支持する弾性力発生手段と、
を備えたことを特徴とする管路内径測定装置。
【請求項2】
前記複数の弾性力発生手段は、それぞれ略長方形状の平板状に形成された弾性板状体として構成され、前記管路内への導入状態において長辺側が前記管路の管軸方向に略平行となるようにその中央部で前記躯体部に固定され、
前記弾性板状体の長手方向の両端外側面には、それぞれ前記管路の内壁に押圧当接されて前記弾性板状体の弾性変形を生ぜしめ、且つ、前記装置本体部の管路内での走行を円滑化する突出部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の管路内径測定装置。
【請求項3】
前記突出部は、
前記管路内壁への押圧当接状態で前記走行時に回転可能な走行用回転体として形成されたことを特徴とする請求項2に記載の管路内径測定装置。
【請求項4】
前記複数の弾性板状体は、
可撓性を有する金属板と板状の弾性体とを積層して構成したことを特徴とする請求項2又は3の何れか1項に記載の管路内径測定装置。
【請求項5】
前記躯体部は、
略正8角形の枠体として形成され、
前記複数の弾性板力発生手段は、
前記枠体の8つの辺の一辺おきに、それぞれ1枚づつ合計4個固定され、
前記内径測定手段は、
前記弾性力発生手段の固定されていない対向する辺を貫通して取り付けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の管路内径測定装置。
【請求項6】
前記内径測定手段の取付は、
前記弾性力発生手段の固定されていない対向する2組の辺のそれぞれに前記管路の伸長方向の位置をずらして、且つ前記管路の周方向の回転角がほぼ90度異なるように取り付けられたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の管路内径測定装置。
【請求項7】
前記弾性力発生手段は、
隣り合う何れか2個の弾性力発生手段の弾性力を他の2個の弾性力発生手段の弾性力よりも強くし、該弾性力を強くした2個の弾性力発生手段側を管路内設置状態における下方側として設置する様にしたことを特徴とする請求5又は6の何れか1項に記載の管路内径測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−38814(P2011−38814A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184120(P2009−184120)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000219358)東亜グラウト工業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】