説明

箱詰装置

【課題】包装物の厚みが変化した場合であっても、安定して包装物を一部重ねて搬送し、箱詰することができる箱詰装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る箱詰装置100においては、シールチェッカ700により包装物110の厚みが検出され、第1搬送部200により包装物110が搬送される。第2搬送装置400に集積部AR1が設けられ、集積部AR1において重ねあわされた包装物110が第2搬送装置400により搬送される。制御部301は、シールチェッカ700からの包装物110の厚みに基づいて第2搬送装置400の移動を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装物を箱詰めする箱詰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、包装物を箱詰する場合に種々の箱詰装置が使用されている。例えば、特許文献1には、個別の袋を複数集積して一群とし、その一群の袋を規定サイズの箱に詰める箱詰装置において、袋の厚みの偏りによる不都合に対応する箱詰装置について開示されている。
【0003】
この特許文献1記載の箱詰装置においては、個別の袋を複数集積して一群とし、その一群の袋を規定サイズの箱に繰り返し詰める箱詰装置であって、各個別の袋の厚みを検出する厚み検出手段と、検出手段により検出される厚みに基づいて、一群の袋を規定サイズの箱に詰めることの適否を判断する判断手段と、判断手段によって不適と判断される場合に、一群の袋のうち交換すべき袋を選択する選択手段と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−68915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、特許文献1記載の箱詰装置においては、袋の厚みの偏りによる不都合に対応することができる。
しかしながら、包装物の厚みは、内容量の大きさや、気候条件、包装条件等によって変化する。したがって、包装物を一部重ねて搬送する場合、包装物の厚みが変化することにより、本来重ねられるべき包装物の重ね合わせ量が増減し、包装物の姿勢が変化する。その結果、変化した姿勢のままの包装物を搬送した場合、包装物が反転したりし、箱詰め時に問題となる。
【0006】
本発明の目的は、包装物の厚みが変化した場合であっても、安定して包装物を一部重ねて搬送し、箱詰することができる箱詰装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
本発明に係る箱詰装置は、複数の包装物を搬送し、搬送された複数の包装物を箱詰めする箱詰装置であって、包装物を搬送する第1搬送装置と、包装物の厚みを検出する検出装置と、包装物の大きさ以下の間隔で包装物を受け入れることにより包装物の一部を互いに重ね合わせる集積部と、集積部を含み、集積部により重ねあわされた包装物を搬送する第2搬送装置と、検出装置からの検出値に基づいて第2搬送装置の稼動を調整する制御部と、を含むものである。
【0008】
本発明に係る箱詰装置においては、検出装置により包装物の厚みが検出され、第1搬送装置により包装物が搬送される。第2搬送装置に集積部が設けられ、集積部において重ねあわされた包装物が第2搬送装置により搬送される。制御部は、検出装置からの包装物の厚みに基づいて第2搬送装置の移動を調整する。
なお、検出装置からの検出値を制御部に直接与えてもよく、検出装置からの検出値を間接的にサーバ等、他の装置を介して制御部に与えてもよい。
【0009】
包装物の厚みは、湿度、気温、または包装条件等により包装物の袋が膨らんだりするので、刻々と変化する。このように包装物の厚みが変化した場合であっても、制御部により第2搬送装置の移動が調整されるので、集積部において包装物を確実に重ね合わせることができる。
【0010】
(2)
箱詰装置において、検出装置は、1または複数の包装物の厚みの情報を制御部に与えることが好ましい。
【0011】
この場合、検出装置は、1または複数の包装物の厚みの情報を制御部に与えることができる。すなわち、1個の包装物の厚みの情報を制御部に与えることもでき、複数の包装物の厚みの情報を制御部に与えることができる。なお、複数の包装物の厚みは、厚さの統計情報、例えば平均値、または偏差等であってもよい。
【0012】
(3)
箱詰装置において、検出装置は、シールチェッカからなることが好ましい。
【0013】
検出装置は、シールチェッカからなるので、新たにセンサーを設ける必要がない。すなわち、包装物の密封確認を行うシールチェッカを利用することでコスト上昇を抑制することができる。
なお、シールチェッカからの検出値を制御部に直接与えてもよく、シールチェッカからの検出値を間接的にサーバ等、他の装置を介して制御部に与えてもよい。
【0014】
(4)
箱詰装置において、制御装置は、検出装置からの1または複数の包装物の厚みの情報に基づいて第2搬送装置の稼動を制御することが好ましい。
【0015】
この場合、制御装置は、1の包装物の厚みに基づいて第2搬送装置の稼動を制御するので、袋の厚みが急激に変化した場合であっても、集積部において確実に包装物を重ね合わせることができる。
また、複数の包装物の厚みに基づいて第2搬送装置の稼動を制御することができるので、袋の厚みが徐々に変化した場合であっても、集積部において確実に包装物を重ね合わせることができる。
【0016】
(5)
箱詰装置において、制御装置は、複数の包装物のうち所定個数の1群となる包装物を互いに重ね合わせるように第2搬送装置を制御し、1群となる包装物の少なくとも最後に重ね合わせる包装物に対して重ね合わせ量を調整することが好ましい。
【0017】
この場合、所定個数の1群となる包装物の少なくとも最後に重ね合わせる包装物の重ね合わせ量を減らすことができる。その結果、包装物を重ね合わせた状態で第2搬送装置により搬送された場合であっても、包装物の重ね合わせた姿勢を乱すことを防止できる。なお、所定個数の1群となる包装物の最後に重ね合わせる包装物に近づくに連れて他の包装物の重ね合わせ量を減らすように制御を行ってもよい。
【0018】
(6)
箱詰装置において、制御装置は、検出装置からの1または複数の包装物の厚みの情報が所定の値を超えた場合に、エラー出力を行うことが好ましい。
【0019】
この場合、検出装置からの厚みの情報に基づいてエラー出力を行うことができるので、例えば、所定の個数の包装物の厚みが箱詰めする箱の大きさよりも大きい場合に、箱詰装置の稼動を遅くする、または停止させることができる。さらに、エラー出力を利用して作業者に告知することもできる。
【0020】
(7)
箱詰装置において、箱詰装置は、第2搬送装置の下流に設けられた包装物姿勢変更装置をさらに備え、制御装置は、検出装置からの1または複数の包装物の厚みの情報に応じて包装物姿勢変更装置を制御することが好ましい。
【0021】
この場合、包装物の厚みが大きくなった場合でも、包装物の厚みが小さい場合でも、制御装置により包装物姿勢変更装置を制御することができるので、包装物の姿勢を短時間で変更することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る箱詰装置によれば、包装物の厚みが変化した場合であっても、安定して包装物を一部重ねて搬送し、箱詰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態に係る箱詰装置の一例を示す模式的外観図
【図2】箱詰装置の主な構成を説明するための模式的構造図
【図3】シールチェッカの構造の一例を示す模式図
【図4】箱詰装置の第1搬送装置、第2搬送装置、第3搬送装置および伸縮性搬送部の動作概略の説明をする模式的側面図
【図5】箱詰装置の第1搬送装置、第2搬送装置、第3搬送装置および伸縮性搬送部の動作概略の説明をする模式的側面図
【図6】箱詰装置の第1搬送装置、第2搬送装置、第3搬送装置および伸縮性搬送部の動作概略の説明をする模式的側面図
【図7】箱詰装置の第1搬送装置、第2搬送装置、第3搬送装置および伸縮性搬送部の動作概略の説明をする模式的側面図
【図8】伸縮性搬送部における第1姿勢制御板,第2姿勢制御板および第3姿勢制御板の動作の一例を詳細に説明するための模式的斜視図
【図9】伸縮性搬送部における第1姿勢制御板,第2姿勢制御板および第3姿勢制御板の動作の一例を詳細に説明するための模式的斜視図
【図10】伸縮性搬送部における第1姿勢制御板,第2姿勢制御板および第3姿勢制御板の動作の一例を詳細に説明するための模式的斜視図
【図11】包装物の厚みの変化を説明するための模式図
【図12】第1搬送装置および第2搬送装置の構成の他の例を示す模式図
【図13】シールチェッカの構造の他の例を示す模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、柔軟な薄状体によって包装された包装物を重ね合わせる箱詰装置について具体例を挙げて説明する。なお、本実施の形態においては、柔軟な薄状体によって包装された包装物について説明するが、その他任意の包装物についても、適用することができる。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態に係る箱詰装置100の一例を示す模式的外観図である。
【0026】
図1に示す箱詰装置100は、主に第1搬送装置200、第2搬送装置400、第3搬送装置410、伸縮性搬送部420、箱搬送部550、回転防止ガイド部600およびシールチェッカ700を含む。
第1搬送装置200および第2搬送装置400、第3搬送装置410および伸縮性搬送部420は、無端のベルトコンベアを有する搬送構造からなる。また、伸縮性搬送部420は、伸縮自在なベルトコンベア、例えばシャトルコンベアからなる。この伸縮性搬送部420の詳細については、後述する。
【0027】
第1搬送装置200は、矢印M1の方向に複数の包装物110を移送する。第1搬送装置200は、搬送部204、水平部205および傾斜部210とからなり、搬送部204には、シールチェッカ700が設けられ、搬送部204の下流に水平部205が設けられる。また、傾斜部210は、水平部205の下流側に連続して設けられる。
【0028】
第1搬送装置200の下方には、第2搬送装置400、第3搬送装置410および伸縮性搬送部420が設けられ、第2搬送装置400、第3搬送装置410および伸縮性搬送部420は、矢印M1の方向と逆方向の矢印M2の方向に複数の包装物110を移送する。
【0029】
図1に示すように、包装物110は、第1搬送装置200の搬送部204上を移送され、搬送部204に設けられたシールチェッカ700において包装物110が確実に密閉されているか確認される。さらに、本実施の形態においては、シールチェッカ700により包装物110の厚みが検出される。
さらに、包装物110は、水平部205上を移送され、次いで、傾斜部210上を移送され、第2搬送装置400の受け入れ場所P1から集積部AR1において複数の包装物110が重ね合わされる。
【0030】
第2搬送装置400は、水平面に対して傾きα2だけ傾斜して設けられる(図4参照)。この場合、第2搬送装置400が角度α2傾斜して設けられているので、所定の個数の包装物110が下流に搬送される場合、急速に搬送速度が上昇しても、下流側に並べられる包装物110の姿勢がひっくり返って姿勢が変わらないため、安定して所定の個数の包装物を搬送することができる。第2搬送装置400には、第1搬送装置200の傾斜部210から移送される包装物110を受け入れる受け入れ場所P1および受け入れた包装物を重ね合わせて集積する集積部AR1が設けられる。
【0031】
そして、複数の包装物110が、重ね合わせの状態から直立させた状態に整列され、図1の奥方向に押し出された後、上方から下方に設けられた箱500内に投入される。そして、箱500が箱搬送部550により矢印M2の方向に移動され、シール装置(図示せず)により箱500のシールが行われ、箱詰作業が終了する。
【0032】
なお、図1においては、図示していないが、ダンボールを広げてシールし、箱500を形成する装置が別途備えられていることが好ましい。また、箱500を箱搬送部550により移動させているが、これに限定されず、他の任意の装置により箱500を移動させてもよい。さらに、本実施の形態においては、包装物110を箱500の上方から落下させて箱詰を行っているが、これに限定されず、箱500の開口部を側面に配置し、複数の包装物110をスライドして箱詰させてもよい。
【0033】
次に、図2は、箱詰装置100の主な構成を説明するための模式的構造図である。
【0034】
図2に示すように、箱詰装置100は、制御部301、記録部302、第1姿勢制御板駆動部305、第2姿勢制御板および伸縮性搬送駆動部306、フォトセンサ307、シールチェッカ700、入出力部308、第1搬送駆動部310、第2搬送駆動部320、第3搬送駆動部321、連結ローラ移動部330および先端ローラ移動部331を含む。なお、フォトセンサ307は、包装物110の通過を検出する検出装置である。
【0035】
制御部301は、入出力部308から入力された所定の包装物110の商品データに基づいて、記録部302に記録された当該商品データに応じた制御プログラムを選択する。また、制御部301は、後述するシールチェッカ700からの一群の包装物110の厚みが箱500のサイズを超越した場合、入出力部308からエラーを出力する。
制御部301は、記録部302に記録された制御プログラムを読み込み、シールチェッカ700からの包装物110の情報およびフォトセンサ307からの信号に応じて、第1搬送駆動部310、第2搬送駆動部320、第3搬送駆動部321、第1姿勢制御板駆動部305および第2姿勢制御板および伸縮性搬送駆動部306の各動作を制御する。
【0036】
ここで、第1搬送駆動部310は水平部205と傾斜部210との動作を制御し、第2搬送駆動部320は第2搬送装置400の動作を制御し、第3搬送駆動部321は、第3搬送装置410の動作を制御し、第1姿勢制御板駆動部305は、第1姿勢制御板405の動作を制御し、第2姿勢制御板および伸縮性搬送駆動部306は、第2姿勢制御板406の回転動作(図6,図7参照)および伸縮性搬送部420の伸縮動作を制御する。
【0037】
また、連結ローラ移動部330は、水平部205および傾斜部210間の各ローラの位置を変更させることにより水平部205の距離を変化させることができ、先端ローラ移動部331は、第1搬送装置200の傾斜部210の先端ローラ位置を変更させることにより、傾斜部210の傾斜を変更させることができる。
【0038】
次に、図3は、シールチェッカ700の構造の一例を示す模式図である。
【0039】
図3に示すように、シールチェッカ700は、搬送ベルト710、ローラ711,712,713、第1リンク部材720、第2リンク部材730およびモータを備えた本体740からなる。
【0040】
シールチェッカ700は、搬送部204上を包装物110が移送された場合、本体740内部のモータによりローラ711が回転され、搬送ベルト710がローラ711,712,713を介して時計回りに移動する。
【0041】
包装物110が搬送ベルト710および搬送部204の間を通過する際に、第1リンク部材720および第2リンク部材730が回転しつつ、包装物110に圧力を加える。そして、本体740の制御部により搬送部204および搬送ベルト710との間隔が検出され、包装物110のシール密閉性が判定される。
【0042】
例えば、制御部301は、包装物110の厚みが所定の範囲以上に急激に変化する場合には、不良であると判定し、所定の範囲内で変化する場合には、正常であると判定する。なお、本実施の形態においては、包装物110の厚みの情報を検出する。ここで、厚みの情報とは、包装物110の厚みの数値である。
【0043】
次に図4,〜,図7は、箱詰装置100の第1搬送装置200、第2搬送装置400、第3搬送装置410および伸縮性搬送部420の動作概略の説明をする模式的側面図である。
【0044】
まず、図4(a)に示すように、包装物110が、搬送部204および水平部205からなる第1搬送装置200から第2搬送装置400の受け入れ場所P1に移動される。包装物110は、受け入れ場所P1において角度α1で受け入れられる。
次に、図4(b)に示すように、包装物110の自重により包装物110が倒れる。ここで、制御部301は、シールチェッカ700からの包装物110の厚みに基づいて第2搬送装置400の駆動を制御する。その結果、第2搬送装置400により矢印M2の方向に包装物110の厚みよりも短い距離だけ搬送される。
【0045】
次いで、図4(c)に示すように、次の包装物110が、第1搬送部200から第2搬送装置400の受け入れ場所P1に移動される。この次の包装物110は、受け入れ場所P1において角度α1で受け入れられる。そして、図5(d)に示すように、次の包装物110が、第2搬送装置400の集積部AR1において、前の包装物110の上にずれて重ね合わされる。
【0046】
続いて、図5(e)に示すように、次の包装物110が、第2搬送装置400の受け入れ場所P1に移動され、同様にシールチェッカ700からの包装物110の厚みに基づいて制御部301により第2搬送装置400の駆動が制御されているので、集積部AR1において前の包装物110の上にずれて重ね合わされる。次いで、図5(f)に示すように、次の包装物110が順に、第2搬送装置400の受け入れ場所P1に移動され、同様にシールチェッカ700からの包装物110の厚みに基づいて制御部301により第2搬送装置400の駆動が制御されているので、前の包装物110の上に集積部AR1においてずれて重ね合わされる。
【0047】
続いて、図6(g)に示すように、順に包装物110が受け入れ場所P1に移動され、集積部AR1においてずれて重ね合わされる。この動作が繰り返され、所定の個数の包装物110が、第2搬送装置400の集積部AR1に重ね合わされるまで、制御部301により第2搬送装置400の速度制御が行われる。
【0048】
次いで、図6(h)に示すように、所定の個数の包装物110が、第2搬送装置400の集積部AR1に移動された場合、制御部301により第2搬送装置400および第3搬送装置410の速度が上昇され、所定の個数の包装物110が、矢印M2の方向に搬送される。この場合、図6(h)に示すように、所定の個数の包装物110が第3搬送装置410に全てに載せられ、次の包装物110が、第2搬送装置400の受け入れ場所P1に移動される。
【0049】
続いて、図6(i)に示すように、所定の個数の包装物110が、第3搬送装置410から伸縮性搬送部420に移動される。この場合、所定の個数の包装物110の下流端が伸縮性搬送部420に移送された場合、制御部301により第1姿勢制御板405が伸縮性搬送部420上に突出される。
この場合、第2搬送装置400においては、複数の包装物110をずれて重ねるため、制御部301により僅かずつ第2搬送装置400を駆動させるが、第2搬送装置400および第3搬送装置410が別個に設けられているので、第3搬送装置410を独自に駆動させることができる。これにより第3搬送装置410をバッファのように用いることができ、後述する第1姿勢制御板405、第2姿勢制御板406および第3姿勢制御板407の駆動時間を調整するために、第3搬送装置410に複数の包装物110を貯留させることができる。
【0050】
次に、図7(j)に示すように、制御部301により伸縮性搬送部420の軸Hが矢印R7の方向に移動されつつ、第2姿勢制御板406が、矢印R6の方向に回転および移動され始める。この場合、伸縮性搬送部420の軸Lが矢印R7の方向に移動する。
それにより、所定の個数の包装物110が、第2姿勢制御板406に支持されつつ、直立姿勢に近づく。
【0051】
続いて、図7(k)に示すように、制御部301により伸縮性搬送部420の軸Hが、さらに矢印R7の方向に移動されつつ、第2姿勢制御板406が、さらに矢印R6の方向に回転および移動される。この場合、伸縮性搬送部420の軸Lがさらに矢印R7の方向に移動する。そして、所定の個数の包装物110が、第2姿勢制御板406に支持されつつ、直立姿勢状態になる。
【0052】
続いて、図8〜図10は、伸縮性搬送部420における第1姿勢制御板405,第2姿勢制御板406および第3姿勢制御板407の動作の一例を詳細に説明するための模式的斜視図である。
【0053】
図8(a)に示すように、伸縮性搬送部420の下流側へ所定の個数の包装物110が搬送され、すべての包装物110が第1姿勢制御板405の近傍を通過した場合、第1姿勢制御板405が矢印M3の方向に移動される。また、図8(a)に示すように、所定の個数の包装物110が搬送され、最も下流の包装物110の約半分が第2姿勢制御板406に載置された場合、図8(b)に示すように、伸縮性搬送部420の駆動が停止され、第2姿勢制御板406の回転軸である軸Hが矢印R7の方向に移動しつつ、第2姿勢制御板406が矢印R6の方向に回転する。それにより、包装物110を短時間で直立姿勢に近づけることができる。また、伸縮性搬送部420の軸Lが矢印R7の方向に移動することにより、軸Hが矢印R7の方向に移動したベルトの弛みを吸収する。
【0054】
次に、図9(c)に示すように、第2姿勢制御板406が直立姿勢の状態まで回転軸Hが移動し、所定の個数の包装物110が直立した状態となる。なお、第2姿勢制御板406は、第1姿勢制御板405側(矢印R6の方向)にさらに回転させてもよい。それにより、包装物110を確実に直立させることができる。
また、図9(d)に示すように、第3姿勢制御板407が伸縮性搬送部420の上方に配設されている。
次いで、図10(e)に示すように、第3姿勢制御板407が矢印R8の方向に回転し、直立姿勢の所定の個数の包装物110の側方に移動する。
【0055】
最後に、図10(f)に示すように、第3姿勢制御板407が、矢印R9の方向にスライド移動し、所定の個数の包装物110が直立姿勢のまま、箱500へ搬送され、箱500内に投入される。
【0056】
次に、図11は、包装物110の厚みの変化を説明するための模式図である。図11(a)は包装物110の厚みが小さい場合を示し、図11(b)は包装物110の厚みが大きい場合を示し、図11(c)は図11(a)の包装物110を重ね合わせた状態を示し、図11(d)は図11(b)の包装物110を重ね合わせた状態を示し、図11(e)は一群の包装物110の最後の包装物110cの姿勢を変更した状態を示す。
【0057】
図11(a)に示す包装物110aと、図11(b)に示す包装物110bは、同じ包装物110である。これらは、包装物110において、気温、湿度、包装時の空気混入量、内容物の大きさ、製造時における他の条件等によって、変化する。
この場合、図11(a)の包装物110aは、厚みT1であり、図11(b)の包装物110bは、厚みT2(T1<T2)である。このように、包装物110の厚みは、変化することがある。本実施の形態においては、包装物110aの厚みT1および包装物110bの厚みT2をシールチェッカ700により検出し、制御部301に与える。以下、この制御部301の動作について説明する。
【0058】
図11(c)に示すように、包装物110aを一部重ねて配置した場合、先頭の包装物110aの先端から次の包装物110aまでの距離は距離L1であり、この距離L1は、シールチェッカ700からの包装物110aの厚みの情報(厚みT1)に基づいて制御部301により算定される。そして、制御部301は、第2搬送装置400の駆動を距離L1となるように制御する。
一方、図11(d)に示すように、包装物110bを一部重ねて配置した場合、先頭の包装物110bの先端から次の包装物110bまでの距離は距離L3であり、この距離L3は、シールチェッカ700からの包装物110bの厚み情報(厚みT2)に基づいて制御部301により算定される。そして、制御部301は、第2搬送装置400の駆動を距離L3となるように制御する。
【0059】
それにより、包装物110は、図4〜図7に示したように、一部重ね合わせて移送される。すなわち、仮に制御部301が第2搬送装置400の制御を行わない場合、包装物110aの上に次の包装物110aの一部が重ならなかったり、包装物110bの上に次の包装物110bの一部が重なりすぎたりする。本発明に係る箱詰装置100においては、制御部301がシールチェッカ700からの包装物110,110a,110bの厚みに基づいて第2搬送装置400を制御するので、適切に包装物110の一部を重ね合わせることができる。
【0060】
なお、制御部301は、包装物110の個々に対して厚みを受け取り第2搬送装置400を制御してもよく、複数の包装物110の厚みの平均値に基づいて第2搬送装置400を制御してもよい。また、包装物110の厚みが所定範囲内であれば、平均値に基づいて第2搬送装置400を制御し、包装物110の厚みが所定範囲外であれば、個々の包装物110の厚みに基づいて第2搬送装置400を制御してもよく、さらに、包装物110の厚みが規定値を超えた場合(例えば、箱500の中に所定個数の包装物110が入らない場合等)には、入出力部308よりエラーを出力したり、箱詰装置100を停止させたりしてもよい。
【0061】
さらに、制御部301は、シールチェッカ700からの包装物110aの厚みの情報(厚みT1)に基づいて図11(c)に示すように包装物110aの全体の距離L2を算定する。制御部301は、距離L2に基づいて、第3搬送装置410、伸縮性搬送部420を駆動させ、包装物110aの最後の端部が、第1姿勢制御板405を超えた位置まで移送するように制御する。
【0062】
同様に、制御部301は、シールチェッカ700からの包装物110bの厚み情報(厚みT2)に基づいて図11(d)に示すように包装物110bの全体の距離L4を算定する。制御部301は、距離L4に基づいて、第3搬送装置410、伸縮性搬送部420を駆動させ、包装物110bの最後の端部が、第1姿勢制御板405を超えた位置まで移送するように制御する。
【0063】
それにより、包装物110a,110bのいずれの場合も、第1姿勢制御板405を通過する位置まで搬送されるので、最後の包装物110a,110bが第1姿勢制御板405により搬送経路から排除されることを防止することができる。
また、距離L2および距離L4に基づいて、伸縮性搬送部420を制御することにより、適切に短時間で包装物110の姿勢を直立させることができる。
【0064】
さらに、図11(e)に示すように、制御部301は、包装物110bの最後の包装物110cだけ他の包装物110bと傾斜が異なるように、第2搬送装置400の移動を変化させてもよい。すなわち、最後の包装物110cのみ傾斜を大きくすることにより、下流の第3搬送装置410および伸縮性搬送部420への搬送時に一群の包装物110b,110cの姿勢が乱れない。すなわち、包装物110cがひっくりかえらない。
【0065】
なお、上記においては、包装物110cのみ傾斜を大きくすることとしたが、これに限定されず、先頭の包装物110bに一部重ねられた包装物110bから順に少しずつ包装物110cに向かって傾斜を大きくしてもよい。
また、図4〜図6においては、第2姿勢制御板406を水平にして所定の個数の包装物110を待機することとしているが、これに限定されず、シールチェッカ700からの包装物110の厚み情報に応じて、水平状態から僅かに矢印R6の方向に回転させた状態、または、水平状態から僅かに矢印R6の方向と逆方向に回転させた状態で、待機させてもよい。
【0066】
さらに、シールチェッカ700を箱詰装置100の構成内に入れたが、これに限定されず、箱詰装置100の外部にシールチェッカ700を設けるか、または包装物110の厚みの情報を入出力部308を介して制御部301に与える構成にしてもよい。
【0067】
また、上記の実施の形態においては、第1搬送部200と第2搬送装置400とが、上下同方向に延在することとしたが、これに限定されず、図12に示すように、第1搬送部200aと、第2搬送装置400とが、交差する構成を用いてもよい。
【0068】
具体的に、図12に示すように、第1搬送部200aが、傾斜して設けられ、第1搬送部200aの下流側に包装物110を支持する壁200bが設けられている。包装物110は、矢印M1の方向に搬送され、第1搬送部200aの端部から第2搬送装置400に落下される。落下された包装物110が矢印M2の方向に所定距離だけ搬送され、次の包装物110が傾斜して設けられた第1搬送部200aから落下されることにより包装物110を一部重ねた状態を形成することができる。この場合においても、制御部301によりシールチェッカ700からの包装物110の厚み情報に応じて第2搬送装置400を制御することにより、確実に包装物110と次の包装物110とを一部重ねた状態にすることができる。
【0069】
(他の例)
次に、図13は、シールチェッカ700の構造の他の例を示す模式図である。
【0070】
図13に示すように、シールチェッカ700aは、搬送ベルト760および搬送部204からなる。
シールチェッカ700aは、包装物110が搬送部204上を移送された場合、長手方向を有する搬送ベルト760の入口側と出口側とにおいて、包装物110の厚みの差があるか否かにより包装物110のシール密閉性が判定される。
【0071】
例えば、包装物110の厚みの差が所定の範囲以上である場合には、シール密閉性が不良であると判定し、所定の範囲以内である場合には、シール密閉性が正常であると判定する。
【0072】
以上のように、包装物110の厚み情報は、湿度、気温、または包装条件等により包装物110の袋が膨らんだりするので、刻々と変化するため、本発明に係る箱詰装置100においては、シールチェッカ700の包装物110の厚み情報に基づいて制御部301により第2搬送装置400が調整される。その結果、包装物110の厚み情報が変化した場合であっても、集積部AR1において包装物110を確実に重ね合わせることができる。
【0073】
また、シールチェッカ700を用いて包装物110の厚みを検出するので、新たにセンサー等を設けて、包装物110の厚みをチェックする必要がない。すなわち、包装物110の箱詰工程の前工程で必須となるシール密封確認のシールチェッカ700を利用することで、新たなコスト上昇を抑制することができる。
【0074】
さらに、制御部301が第2搬送装置400を制御することで、図11(e)の包装物110cのように、所定個数の1群となる包装物110の少なくとも最後に重ね合わせる包装物110cの重ね合わせ量を減らすことができる。その結果、重ね合わせた状態で搬送された場合であっても、包装物110の重ね合わせた姿勢を乱すことを防止できる。
【0075】
また、制御部301は、シールチェッカ700からの厚みの情報に基づいてエラー出力を行うことができるので、例えば、所定の個数の包装物110の厚みが箱詰めする箱500の大きさよりも大きい場合に、箱詰装置100を停止させることができる。また、入出力部308からのエラー出力を利用して作業者に告知することもできる。
【0076】
本発明においては、包装物110が複数の包装物に相当し、箱詰装置100が箱詰装置に相当し、搬送部204,水平部205および傾斜部210が第1搬送装置に相当し、包装物110cが最後に重ね合わせる包装物に相当し、第3搬送装置410、伸縮性搬送部420、第1姿勢制御板405、第2姿勢制御板406が包装物姿勢変更装置に相当し、厚みT1,T2が包装物の厚みに相当し、シールチェッカ700,700aが検出装置に相当し、集積部AR1が集積部に相当し、第2搬送装置400が第2搬送装置に相当し、制御部301が制御装置に相当する。
【0077】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0078】
100 箱詰装置
110,110a,110b,110c 包装物
200,200a 第1搬送装置
204 搬送部
205 水平搬送部
210 傾斜部
400 第2搬送装置
405 第1姿勢制御板
406,406a 第2姿勢制御板
407 第3姿勢制御板
410 第3搬送装置
420 伸縮性搬送部
700,700a シールチェッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の包装物を搬送し、前記搬送された複数の包装物を箱詰めする箱詰装置であって、
前記包装物を搬送する第1搬送装置と、
前記包装物の厚みを検出する検出装置と、
前記包装物の一部を互いに重ね合わせる集積部と、
前記集積部を含み、前記集積部において重ね合わされた前記包装物を搬送する第2搬送装置と、
前記検出装置からの検出値に基づいて前記第2搬送装置の稼動を調整する制御装置と、を含む、箱詰装置。
【請求項2】
前記検出装置は、1または複数の包装物の厚みの情報を前記制御装置に与える、請求項1記載の箱詰装置。
【請求項3】
前記検出装置は、シールチェッカからなる、請求項1または2に記載の箱詰装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記検出装置からの1または複数の包装物の厚みの情報に基づいて前記第2搬送装置の稼動を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の箱詰装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の包装物のうち所定個数の1群となる包装物を互いに重ね合わせるように前記第2搬送装置を制御し、前記1群となる包装物の少なくとも最後に重ね合わせる包装物に対して重ね合わせ量を調整する、請求項1から4のいずれか1項に記載の箱詰装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記検出装置からの1または複数の包装物の厚みの情報が所定の値を超えた場合に、エラー出力を行う、請求項1から5のいずれか1項に記載の箱詰装置。
【請求項7】
前記第2搬送装置の下流に設けられた包装物姿勢変更装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記検出装置からの1または複数の包装物の厚みの情報に応じて前記包装物姿勢変更装置を制御する、請求項1から6のいずれか1項に記載の箱詰装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−31989(P2011−31989A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147608(P2010−147608)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】