説明

節電のためにディスプレイのリフレッシュレートを調整するシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品

【課題】節電のためにリフレッシュレートを調整するシステムを提供する。
【解決手段】第1のモードの動作102において、第1の垂直リフレッシュレートでディスプレイをリフレッシュし、第1のレートでディスプレイをリフレッシュするのに使用された同じピクセル及びラインクロック信号を使用しつつ、第2のモードの動作104においてディスプレイの水平ラインを選択的にリフレッシュする。第1のモードの動作102と第2のモードの動作104との間の遷移は、少なくとも一つの同期信号を使用してグラフィックスプロセッサによって指示される。このような第2のモード104におけるリフレッシュレートは、ディスプレイによって必要とされる電力を減少させるために第1のリフレッシュレートよりも低くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイシステムに関するものであり、より詳細には、ディスプレイをリフレッシュするための技法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイリフレッシュレートとは、所定の時間においてディスプレイ上にて画像が再表示される、即ち「リフレッシュされる」回数を指す。リフレッシュレートは、通常、ヘルツ(Hz)で表され、従って、リフレッシュレートが75であるということは、画像が1秒間に75回リフレッシュされる等を意味する。問題なことに、ディスプレイをリフレッシュする必要がある毎に、付加的な電力が必要とされる。例えば、メモリからデータをフェッチしたり、インターフェースからピクセルを駆動したり、ディスプレイの各ピクセルをリフレッシュしたりする等のため、付加的な電力が必要とされる。
【0003】
現在までに、節電を行なうようディスプレイリフレッシュレートを動的に調整するための種々のシステムが開発されてきている。このような動的調整は、コンテンツの表示の種々の特性(例えば、コンテンツ自体等)の関数として行われる。例えば、単純なワードプロセッサアプリケーションの表示は、フレーム毎に非常に僅かしか変化しなく、一方、ビデオクリップはフレーム毎に劇的に変化する。このため、種々の従来技術によるシステムでは、このようなフレーム毎の変化に対応するために必要とされる最小レートへとリフレッシュレートを調整している。前述の例では、システムは、例えば、ワードプロセッサアプリケーションを使用しているときには40Hzのリフレッシュレートを必要とするだけであるが、ビデオクリップを見るときには60Hzのリフレッシュレートを必要とする。
【0004】
前述したようなリフレッシュレート間の遷移は、理想的には滑らかであり、及び/又はユーザには略気づかれないものである。しかしながら、問題なことに、このようなリフレッシュレート調整は、通常、モード切り換えを実行することによって行われるものであり、当該モード切り替えは、ラスタパラメータ及びクロック等を調整する際に、グラフィックスヘッドを切り離す必要のあるものである。
【概要】
【0005】
ディスプレイリフレッシュシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品を提供する。使用時には、リフレッシュレートが、節電目的及び/又はそのような他の目的で調整される。また、第1のリフレッシュレートと第2のリフレッシュレートとの間の遷移に関連した視覚的兆候(visual manifestation)を減少させるための種々の実施形態を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態に係り、ディスプレイのリフレッシュレートを調整するための方法を示す図である。
【図2】一実施形態に係り、ディスプレイのリフレッシュレートを減少させるためにラスタを調整することができる種々の技法を示す図である。
【図3】別の実施形態に係り、水平ブランキングを増大させることによりリフレッシュレートを減少させるための信号ダイアグラムである。
【図4】更に別の実施形態に係り、垂直ブランキングを増大させることによってリフレッシュレートを減少させるための信号ダイアグラムである。
【図5】一つの実施形態に係り、インターレース形式にてディスプレイの一部分のみをリフレッシュすることによりリフレッシュレートを減少させるための信号ダイアグラムである。
【図6】別の実施形態に係り、インターレース形式にてディスプレイの一部分のみをリフレッシュすることによりリフレッシュレートを減少させるための信号ダイアグラムである。
【図7】更に別の実施形態に係り、画像の複数のピクセルの各々を2回以上ディスプレイへ送出することによりリフレッシュレートを減少させるための信号ダイアグラムである。
【図8】更に別の実施形態に係り、インターレース形式にてディスプレイの一部分のみをリフレッシュし且つ画像の複数のピクセルの各々を2回以上ディスプレイへ送出することによりリフレッシュレートを減少させるための信号ダイアグラムである
【図9】更に別の実施形態に係り、ディスプレイに関連したリフレッシュモードを命令するための回路を示す図である。
【図10】一実施形態に係り、先述の実施形態のアーキテクチャー及び/又は機能を実施することのできる典型的なシステムを例示する図である。
【詳細な説明】
【0007】
図1は、ディスプレイのリフレッシュレートを調整するための一実施形態に係る方法100を示している。種々の実施形態において、ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、デジタル光処理(DLP)ディスプレイ、液晶オンシリコン(LCOS)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又はそのようなリフレッシュレート調整を行える他の任意のディスプレイであってもよい。
【0008】
図示するように、ディスプレイは、第1のレートでリフレッシュされる。動作102を参照されたい。次に、動作104にて、ディスプレイはまた、第2のレートでリフレッシュすることもできる。このような第2のリフレッシュレートは、ディスプレイによって必要とされる電力を減少させるために第1レートよりも低くすることができる。より詳細には、各リフレッシュ動作は電力を必要とするので、そのようなリフレッシュ動作の周波数、回数等を減少させることにより、節電することができる。勿論、節電を行わないような他の実施形態も考えられる(又、より多くの電力が必要とされることもありうる)。
【0009】
種々の実施形態を、第1のリフレッシュレートと第2のリフレッシュレートとの間の遷移に関連した視覚的兆候を減少させるために提供する。種々の実施形態の種々のオプションのアーキテクチャー及び/又は機能に関して、より実例的な情報を以下に説明する。これら実施形態は、ユーザの必要に応じて、前述の方法100を実施するか、又は実施しないようにすることが可能でできる。以下の情報は、例示の目的で与えられるものであり、如何なる形でも限定するものと見なされるべきものではないことに特に注意されたい。以下に述べる特徴の何れもが、説明する他の特徴を除外して又は除外せずに、オプションとして組み入れることができる。
【0010】
例えば、種々の実施形態において、前述の減少されたリフレッシュレートは、前述の遷移中にディスプレイ信号の水平及び/又は垂直ブランキング(帰線消去)期間を増大することによって達成することができる。より詳細には、このようなブランキング期間の同期、フロント部分及び/又はバック部分(通常は、表示されない)を増大することができる。アクティブなピクセルの数及びピクセルクロックを同じに維持しつつディスプレイへ送出されるピクセルの総数を増大することにより、全リフレッシュレートが減少される。同様の技法を使用することのできる種々の異なる実施形態に関しての更なる情報については、以下に、図2から図4を参照しながら、より詳細に説明する。
【0011】
更に別の実施形態では、前述の減少されたリフレッシュレート(例えば、垂直リフレッシュレート等)は、第1のレートでディスプレイをリフレッシュするのに使用される同じピクセル及びラインクロック信号を使用しつつ、ディスプレイの水平ラインを選択的にリフレッシュすることにより、達成することができる。例えば、第1の部分の水平ラインが、第1のリフレッシュ動作中にリフレッシュされ、第2の部分の水平ラインが、第2のリフレッシュ動作中にリフレッシュされる。一つの可能な実施形態では、第1の部分の水平ラインは、ディスプレイの奇数ラインを含み、第2の部分の水平ラインは、ディスプレイの偶数ラインを含む。交互に(又はその他の望ましい形式にて)各部分のリフレッシュを行わないようにすることにより、リフレッシュレートを効果的に減少させることができる。同様の技法を使用することのできる種々の異なる実施形態に関しての更なる情報については、図5及び図6を参照して以下により詳細に説明する。
【0012】
更に別の実施形態では、画像の複数のピクセルの各々が2回以上ディスプレイへ送出される。例えば、ピクセルクロックを一定のままとして各ピクセルが2回ディスプレイへと送出される一実施形態では、リフレッシュレートは、2分の1に減少される。同様の技法を使用することのできる種々の異なる実施形態に関する更なる情報については、図7及び図8を参照して以下により詳細に説明する。
【0013】
前述した実施形態のいずれにおいても、ディスプレイを第1のレートでリフレッシュすることと、ディスプレイを第2のレートでリフレッシュすることとの間の切換えは、手動及び/又は自動にて行うことができる。また、このような切換えは、少なくとも一つの同期信号(例えば、水平同期(HSync)信号、垂直同期(VSync)信号等)の関数として行うことができる。一実施形態では、このような遷移は、同期信号に関連するパルスの波形の関数としてグラフィックスプロセッサにより通知される。別の実施形態では、このような遷移及び減少リフレッシュモードに関連付けられたフレームフィールドシーケンスは、同期信号の論理値の関数としてグラフィックスプロセッサにより通知される。このような実施形態の種々のオプションの態様に関する更なる情報については、後続の図を参照して以下により詳細に説明する。
【0014】
さらに、コンテンツの表示に使用されるディスプレイのリフレッシュレートは、コンテンツの表示に関する任意の所望の特性に基づいて調整することができることに注意されたい。単なる例示として、一実施形態では、その特性は、コンテンツ自体に関連し得る。例えば、この特性は、第1の画像のコンテンツと、当該第1の画像に直ぐに続く第2の画像のコンテンツとの間の差を含むことができる。更に別の実施形態では、リフレッシュレートは、時間経過につれて一以上の特性の変化に基づいて動的に調整することができる。
【0015】
勿論、種々の異なる実施形態について別々に概説してきたが、かかる実施形態は、任意の所望の組合せにて使用することができ、又は、そのように組合せて使用しなくてもよいことに注意されたい。同様の技法を単独で又は組み合わせて使用する種々の例示的な実施形態に関する更なる情報について、より詳細に説明する。
【0016】
図2は、ディスプレイのリフレッシュレートを減少させるためにラスタ200が調整される、一実施形態に係る種々の技法を示している。一つのオプションとして、ラスタ200は、図1の方法100の下で調整することができる。しかしながら、勿論、ラスタ200は、任意の所望の環境において調整することができる。また、前述した定義は、以下の説明においても同様に当てはまる。
【0017】
図示するように、ラスタ200は、アクティブ領域202、通常ブランキング領域204、HSync領域206、及びVSync領域208を含む。そして、通常ブランキング領域204は、水平バック部分(例えば、水平バックポーチ210)、水平フロント部分(例えば、水平フロントポーチ212)、垂直バック部分(例えば、垂直バックポーチ214)、及び垂直フロント部分(例えば、垂直フロントポーチ216)を含む。
【0018】
更に図示するように、ラスタ200は、リフレッシュレートを減少させるために水平及び/又は垂直ブランキング期間を増大することによって調整され得る。本説明では、水平ブランキング期間は、水平ブランキング期間の同期部分(例えば、HSync領域206)、水平バックポーチ210、及び/又は水平フロントポーチ212等を含むことができる。同様に、垂直ブランキング期間は、垂直ブランキング期間の同期部分(例えば、VSync領域208)、垂直バックポーチ214、及び/又は垂直フロントポーチ216等を含むことができる。
【0019】
このような増大の実施例を図2に示す。詳細には、水平フロントポーチ212の増大218及び垂直フロントポーチ216の増大220を例示してある。勿論、通常ブランキング領域204、HSync領域206、VSync領域208等の任意の部分(又はそれらの組合せ)を増大するような実施形態も考えられる。
【0020】
このように、一実施形態では、水平ブランキング期間の増大218によって、各ラインに付加的な水平ブランキングピクセルを挿入することができる。従って、同じレートでピクセルをクロックアウトし続けることにより、アクティブ領域202をリフレッシュする周波数は、このような水平ブランキング期間におけるサンプル数を増大することにより減少させることができる。
【0021】
一つの特定の非限定的実施例では、アクティブ領域202は、1280x1024であり、ブランキング領域204の水平コンポーネント(HSync領域206を含む)は、408ピクセルであり、ブランキング領域204の垂直コンポーネント(VSync領域208を含む)は、42ラインであってもよい。これらのラスタのサイズ及び60Hzのリフレッシュレートの場合、ピクセルクロックは、式1によって表すことができる。
<式1>
(1280+408)(1024+42)60Hz=108MHzピクセルクロック
【0022】
ユーザに容易に認識されるようなリフレッシュレートの変化を避けるために(例えば、グラフィックスプロセッサヘッドを切り離さねばならない等による)、ピクセルクロック速度は一定に維持される。また、実効リフレッシュレートは、水平ブランキングを増大することにより、減少させることができる。例えば、40Hzのリフレッシュレートが望まれる場合には、式2を適用することができる。
<式2>
(1280+hblank)=108MHz/((1024+42)40Hz)
ここで、hblank=1252である。
【0023】
このようにして、水平ブランキングの量を調整することによりピクセルクロックを一定に維持しつつリフレッシュレートを選択することができる。各ピクセルは、それがブランキング領域にあるか又はアクティブ領域にあるのかを指示する信号と共に送出することができるので、ディスプレイは、必ずしも特別なシグナリングを付加する必要なしに、このようなスキームを採り入れることができる。
【0024】
前述の水平ブランキング領域の増大と同様に、同様の結果を得るために、垂直ブランキングを増大することもできる。前述の実施例から同じラスタのサイズを使用して、この実施態様に式3を適用することができる。
<式3>
(1024+vblank)+108MHz/((1280+408)40Hz)
ここで、vblank=575である。
【0025】
かくして、垂直ブランキング領域(VSync領域208等を含む)を増大することにより、リフレッシュレートを任意に調整することができる。種々の信号(VSync信号、HSync信号等)を使用して前述した技法を実施する方法の例に関する更なる情報について、以下に説明する。
【0026】
図3は、水平ブランキングを増大することによりリフレッシュレートを減少させるための一実施形態に係る信号ダイアグラム300を示している。オプションとして、この信号ダイアグラム300にて実施される技法は、図1の方法100及び図2のラスタ200の下で使用することができる。しかしながら、勿論、信号ダイアグラム300にて実施される技法は、任意の所望の環境において使用することができる。また、前述した定義は、以下の説明においても同様に当てはまる。
【0027】
図示するように、HSync信号302及びデータイネーブル信号304は、通常モード306の動作及び減少リフレッシュレートモード308の動作の両者で対比して示されている。このような通常モード306の動作中では、水平ブランキング期間のバック部分(例えば、バックポーチ)は、所定の持続時間310を有している。これに対して、減少リフレッシュレートモード308の動作中では、水平ブランキング期間のバックポーチは、所定の持続時間310を越える増大された持続期間312を有している。このような増大のため、水平ブランキング期間は、図示したように、増大されている。
【0028】
図4は、垂直ブランキングを増大することにより、リフレッシュレートを減少させるための一実施形態に係る信号ダイアグラム400を示している。オプションとして、この信号ダイアグラム400において実施される技法は、図1の方法100及び図2のラスタ200の下で使用することができる。しかしながら、勿論、このシグナルダイアグラム400において実施される技法は、任意の所望の環境において使用することができるものである。また、前述した定義は、以下の説明にも同様に当てはまる。
【0029】
図示するように、VSync信号402及びデータイネーブル信号404は、通常モード406の動作及び減少リフレッシュレートモード408の動作の両者で対比して示されている。このような通常モード406の動作中では、垂直ブランキング期間のフロント部分(例えば、フロントポーチ)は、所定の持続時間を有している。これに対して、減少リフレッシュレートモード408の動作中では、垂直ブランキング期間のフロントポーチは、増大された持続時間410を有している。このような増大のため、垂直ブランキング期間は、図示したように、増大されている。
【0030】
図5は、インターレース形式にてディスプレイの一部分のみをリフレッシュすることによりリフレッシュレートを減少させるための一実施形態に係る信号ダイアグラム500を示している。オプションとして、このシグナルダイアグラム500にて実施される技法は、前述の図のフレームワーク/機能の下で使用することができる。しかしながら、勿論、シグナルダイアグラム500において実施される技法は、任意の所望の環境においても使用することができるものである。また、前述の定義は、以下の説明においても同様に当てはまる。
【0031】
前述の図と同様に、信号ダイアグラム500は、通常モード501の動作と減少リフレッシュレートモード503の動作とを対比して示している。図示するように、第1の部分の表示は、第1のリフレッシュ動作508中にリフレッシュされ、第2の部分の表示は、第2のリフレッシュ動作510中にリフレッシュされる。本実施形態では、第1の部分の表示は、偶数ライン512の表示を含むことができ、一方、第2の部分の表示は、奇数ライン514の表示を含むことができる。勿論、図5は、第1の部分が偶数ライン512を含み、第2の部分が奇数ライン514を含むように示しているが、その反対の構成とした他の実施形態も考えられる。
【0032】
偶数ライン512の表示がリフレッシュされているときには、奇数ライン514は、無効とすることができる。例えば、一実施形態では、これは、奇数ライン514のアクティブ領域を零とすることにより、行うことができる。一実施形態では、システムは、メモリからフレーム全体をフェッチして、一つ置きにラインを前述の零で置き換えることができる。別の実施形態では、システムは、メモリから一つ置きのラインのみをフェッチし、ラインの間に零を挿入することもできる。
【0033】
どの部分を表示すべきかに関する指示をディスプレイに与えるために、VSync信号502は、第1の半分のラインに対してアサートして第1のリフレッシュ動作508を特定するように変更することができる。また、VSync信号502は、第2の半分のラインに対してアサートして第2のリフレッシュ動作510を特定するように変更することができる。勿論、接続されるディスプレイは、このような信号方式を適切に解釈するように変更される必要がある。このような減少リフレッシュレート動作モード503は、VSync信号502が全ラインに対してアサートされるような通常モード501と対照的である。
【0034】
本実施形態では、ラスタパラメータは、必ずしも調整される必要はないが、調整することもできる。交互に(任意の他の所望の形式にて)各部分を控えることにより、リフレッシュレートを効果的に減少させることができる。
【0035】
図6は、インターレース形式においてディスプレイの一部分のみをリフレッシュすることによりリフレッシュレートを減少させるための別の実施形態に係る信号ダイアグラム600を示している。オプションとして、この信号ダイアグラム600において実施される技法は、前述の図のフレームワーク/機能の下で使用することができる。しかしながら、勿論、この信号ダイアグラム600において実施される技法は、任意の所望の環境においても使用できる。また、前述の定義は、以下の説明にも同様に当てはまる。
【0036】
必ずしもHSync/VSync信号に依存しない表示に関する本実施形態では、HSync信号604又はVSync信号602を使用して、異なる動作モード(例えば、プログレッシブ、インターレース等)を指示することができる。表1は、これを達成する一つの典型的な方法を例示している。
【表1】

【0037】
図6及び表1に示すように、HSync信号604及びVSync信号602が「低」であるときに、プログレッシブモード608の動作を始動することができる。また、HSync信号604が「低」であり、VSync信号602が「高」であるとき、偶数フィールドインターレースモード612の動作を始動することができ、偶数ラインのみを表示することができる。更に、HSync信号604及びVSync信号602が共に「高」であるとき、奇数フィールドインターレースモード614の動作を始動することができ、奇数ラインのみを表示することができる。勿論、表1のエンコーディングは、例示のためだけのものであり、どのようにも限定しようとしているものと解釈されるべきではない。このような特徴により、図5において説明したような動作と同様の動作を達成することができるが、これは、前述したようなHSync信号604及びVSync信号602の両者の状態に基づいて行われるものである。
【0038】
表示デバイスが到来する信号がインターレースモード612、614の動作に従うものであることを検出するとき、当該表示デバイスは、特定のフレームの偶数行又は奇数行のピクセルを更新する。次のフレーム中には、別の行を更新する。このようにして、ディスプレイは、60Hzプログレッシブリフレッシュスキームから60Hzインターレースリフレッシュスキームへと切り換わることができる。ディスプレイはラスタ全体をフェッチし続けるが、ピクセルを送信する電力が節約され(一つ置きのラインが単にストリング0であるので)、また、ディスプレイにおける電力も節約される(ディスプレイはフレームにつきピクセルの半分を更新するだけであるので)。勿論、グラフィックスプロセッサがディスプレイへ送られる行をフェッチするだけとすることにより、更に電力を節約することができる。
【0039】
幾つかのタイミングコントローラがHSync信号604及びVSync信号602を無視するので、必ずしも機能を損なわずに、前述した技法を使用することができる。しかしながら、勿論、ある実施形態では、ディスプレイタイミングコントローラは、信号伝達スキームを知る必要がある。信号伝達フィールドの特定のための他のスキームも考えられ、モード切換え等に基づいてスキームを選択できるようにすることもできる。このような特徴に関する更なる情報については、図9を参照して以下により詳細に説明する。
【0040】
図7は、画像の複数のピクセルの各々を2回以上ディスプレイへ送ることによりリフレッシュレートを減少させるための更に別の実施形態に係る信号ダイアグラム700を示している。オプションとして、このシグナルダイアグラム700において実施される技法は、前述の図のフレームワーク及び/又は機能の下で使用することができる。しかしながら、勿論、このシグナルダイアグラム700において実施される技法は、任意の所望の環境においても使用することができる。また、前述した定義は、以下の説明にも同様に当てはまる。
【0041】
前述の図と同様に、このシグナルダイアグラム700は、通常モード701の動作と減少リフレッシュレートモード703の動作とを対比して示している。また、ピクセルクロック702、並びに、対応するデータ、データイネーブル及び同期信号の長さを表す信号704を示してある。図示するように、ピクセルクロック702は、通常モード701の動作及び減少リフレッシュレートモード703の動作で同じであるが、データイネーブル及び同期信号704は、減少リフレッシュレートモード703の動作中の方がより長い。
【0042】
詳細には、一実施形態では、データイネーブル及び同期信号704のこのような伸長は、画像の複数のピクセルの各々が2回以上(例えば、2回等)ディスプレイへ送られることを示している。例えば、各ピクセルがディスプレイへ2回送られるような実施形態では、リフレッシュレートは、2分の1に減少される。従って、ディスプレイが60Hzのレートでリフレッシュしており、ピクセルクロックが一定に維持され、各ピクセル(ブランキング及びアクティブの両方)が2回送られる場合には、そのディスプレイは、30Hzのレートでリフレッシュする。
【0043】
前述の実施形態の幾つかと同様に、ディスプレイは、システムが一つ置きにピクセルを廃棄する(drop)等のような特定モードに入ったことを知ることができる。例えば、ディスプレイは、ブランキング領域又は同期領域が2倍に増大したことを認識することにより、このようなモードが現在使用されていると決定することができる。別の実施形態では、少なくとも一つの信号(例えば、HSync及び/又はVSync信号)により、システムがこのようなモードにて動作しているか否かを指示することができる。このような特徴に関する更なる情報については、図9を参照して以下により詳細に説明する。
【0044】
図8は、インターレース形式にてディスプレイの一部分のみをリフレッシュし、画像の複数のピクセルの各々を2回以上ディスプレイへ送ることにより、リフレッシュレートを減少させるための更に別の実施形態に係る信号ダイアグラム800を示している。オプションとして、このシグナルダイアグラム800において実施される技法は、前述の図のフレームワーク及び/又は機能の下で使用することができる。
【0045】
例えば、信号ダイアグラム800において実施される技法は、図6及び図7にて説明した技法を組合せて使用することができる。しかしながら、勿論、信号ダイアグラム800にて実施される技法は、任意の所望の環境においても使用することができる。また、前述した定義は、以下の説明にも同様に当てはまる。
【0046】
図示するように、システムは、通常プログレッシブモード810の動作、偶数フィールドインターレースモード814の動作、奇数フィールドインターレースモード820の動作等にて動作することができる。勿論、このようなモードの間の切換えは、任意の所望の形式にて実施することができる(例えば、表1等参照)。さらに、インターレースモード814、820の動作では、同じピクセルデータ816を、2以上のピクセルクロックサイクルの期間に亘ってディスプレイへ送出することができる。勿論、このような技法の組合せは、単に例示の目的で説明したのであって、どのようにも限定しようとしているものとして解釈されるべきではない。例えば、図1から図8の前述の技法(又はそのような他の技法)の任意の組合せを使用することができる。
【0047】
図9は、ディスプレイに関連したリフレッシュモードを命令するための更に別の実施形態に係る回路900を示している。オプションとして、この回路900は、前述の図のフレームワーク及び/又は機能の下で使用することができる。例えば、この回路900は、前述の図で説明したどのリフレッシュレートモードの動作を使用すべきかを命令するために、ディスプレイ、インターフェースカード等に組み込むことができる。しかしながら、勿論、この回路900は、任意の所望の環境において使用することができる。更にまた、前述した定義は、以下の説明にも同様に当てはまる。
【0048】
図示するように、回路900は、状態マシン910、並びに、HSync信号902、VSync信号904、コントロール信号906及びレガシー信号908が供給される一対のマルチプレクサ912、914を有している。使用時には、この回路900は、コントロール信号906及びレガシー信号908により選択される所望のリフレッシュレートモードの動作をサポートするように、HSync信号902及びVSync信号904を制御する。
【0049】
表2は、ディスプレイが動作すべきモードを指示するための一つの典型的なエンコーディングを例示している。ここで、HSync信号902及びVSync信号904が各モード動作をサポートする形式は、表1を参照して前述した形式と同様であることに注意されたい。
【表2】

【0050】
表2に示すように、レガシー信号908及びコントロール信号906が共に「低」であるときは、HSync信号902及びVSync信号904は、レガシーシステム等をサポートするために、通常動作をサポートするように制御される。レガシー信号908が「高」であり、コントロール信号906が「低」であるときは、HSync信号902及びVSync信号904は、プログレッシブ動作をサポートするように制御される。最後に、レガシー信号908及びコントロール信号906が共に「高」であるときは、HSync信号902及びVSync信号904は、インターレース動作をサポートするように制御され、これらHSync信号902及びVSync信号904は、前述したように、ディスプレイが奇数フィールドインターレースモードの動作又は偶数フィールドインターレースモードの動作で動作するかを指示する。
【0051】
勿論、表2のエンコーディングは、例示に過ぎず、これに限定されるものと解釈されるべきではない。また、他の回路構成を使用して、どのリフレッシュレート動作モードを使用すべきかを制御してもよい。この場合において、このような回路900を有さないような実施形態も考えられる。
【0052】
図10は、前述した実施形態の種々のアーキテクチャー及び/又は機能を実施することのできる一つの実施形態に係る例示的なシステム1000を示している。しかしながら、勿論、システム1000は、任意の所望の環境においても実施することができる。
【0053】
図示するように、システム1000は、通信バス1002に接続された少なくとも一つのCPU1001を備えている。システム1000はまた、メインメモリ1004(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)等)を備えている。システム1000はまた、グラフィックスプロセッサ1006及びディスプレイ1008を備えており、これらは、任意の形式で採ることができ、図1を参照して説明したものに限定されない。一実施形態では、グラフィックスプロセッサ1006は、複数のシェーダーモジュール、ラスタ化モジュール等を有することがある。前述したモジュールの各々は、グラフィックス処理ユニット(GPU)を構成するよう単一半導体プラットフォーム上に搭載することもできる。
【0054】
本説明において、単一半導体プラットフォームとは、単独の半導体ベース集積回路、又はチップを意味することができる。「単一半導体プラットフォーム」との用語は、オンチップ動作をシミュレートし、従来の中央処理装置(CPU)及びバスによる実装を使用したものよりも相当な改善をなすように接続性が向上されたマルチチップモジュールをも意味していることに注意されたい。勿論、ユーザの要望に応じて、種々のモジュールを別々に又は半導体プラットフォームの種々の組合せにて配設することもできる。
【0055】
このシステム1000はまた、二次記憶装置1010を備えていてもよい。二次記憶装置1010は、例えば、ハードディスクドライブ及び/又はフロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、コンパクトディスクドライブ等のリムーバブル記憶装置ドライブを含む。リムーバブル記憶装置ドライブは、周知の方式にてリムーバブル記憶装置からの読み出し及び/又はリムーバブル記憶装置への書き込みを行う。
【0056】
メインメモリ1004及び/又は二次記憶装置1010には、コンピュータプログラム又はコンピュータ制御ロジックアルゴリズムを記憶しておくことができる。これらのコンピュータプログラムは、実行時に、システム1000が種々の機能を果たすことができるようにする。メモリ1004、記憶装置1010、及び/又はその他の記憶装置は、コンピュータ読み取り可能な媒体の可能な例である。
【0057】
一実施形態では、種々の前述の図のアーキテクチャー及び/又は機能は、CPU1001、グラフィックスプロセッサ1006、チップセット(即ち、関連機能を行うためのユニットとして動作するように設計され販売されている一群の集積回路等)、及び/又は、その他の集積回路の下で実施し得る。さらに、ディスプレイ1008は、前述したような種々のサポートアーキテクチャー及び/又は機能を備装備することが可能であり、装備しなくともよい。
【0058】
さらに、種々の前述の図のアーキテクチャー及び/又は機能は、汎用コンピュータシステム、サーキットボードシステム、娯楽専用ゲームコンソールシステム、特定用途向けシステム、モバイルシステム及び/又は、他の所望のシステムの下で実施することができる。単なる例ではあるが、このようなシステムは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、周辺機器(例えば、プリンタ等)、コンピュータのコンポーネント、及び/又は、任意の他のタイプのロジックを含むことができる。
【0059】
種々の実施形態について前述してきたが、これら実施形態は、単なる例に過ぎず、限定するものではないことに注意されたい。従って、好ましい実施形態の広さ及び範囲は、前述した典型的な実施形態の何れによっても限定されるべきものではなく、特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ定められるべきものである。
【符号の説明】
【0060】
200…ラスタ、202…アクティブ領域、204…通常ブランキング領域、206…水平同期(HSync)領域、208…垂直同期(VSync)領域、210…水平バックポーチ、212…水平フロントポーチ、214…垂直バックポーチ、216…垂直フロントポーチ、218…増大、220…増大、300…信号ダイアグラム、302…水平同期(HSync)信号、304…データイネーブル信号、306…通常モード、308…減少リフレッシュレートモード、310…所定の持続時間、312…増大された持続時間、400…信号ダイアグラム、402…垂直同期(VSync)信号、404…データイネーブル信号、406…通常モード、408…減少リフレッシュレートモード、410…増大持続時間、500…信号ダイアグラム、501…通常モード、502…垂直同期(VSync)信号、503…減少リフレッシュレートモード、504…水平同期(HSync)信号、508…第1のリフレッシュ動作、510…第2のリフレッシュ動作、512…ディスプレイの偶数ライン、514…ディスプレイの奇数ライン、600…信号ダイアグラム、602…垂直同期(VSync)信号、604…水平同期(HSync)信号、608…プログレッシブモード、612…偶数フィールドインターレースモード、614…奇数フィールドインターレースモード、700…信号ダイアグラム、701…通常モード、702…ピクセルクロック、703…減少リフレッシュレートモード、704…データ、データイネーブル及び同期信号の長さを表す信号、800…信号ダイアグラム、810…通常プログレッシブモード、814…偶数フィールドインターレースモード、816…ピクセルデータ、820…奇数フィールドインターレースモード、900…リフレッシュモードを命令するための回路、902…水平同期(HSync)信号、904…垂直同期(VSync)信号、906…コントロール信号、908…レガシー信号、910…状態マシン、912…マルチプレクサ、914…マルチプレクサ、1000…システム、1001…CPU、1002…通信バス、1004…メインメモリ、1006…グラフィックスプロセッサ、1008…ディスプレイ、1010…二次記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモードの動作において第1の垂直リフレッシュレートでディスプレイをリフレッシュし、前記第1のレートで前記ディスプレイをリフレッシュするのに使用された同じピクセル及びラインクロック信号を使用しつつ、第2のモードの動作において前記ディスプレイの水平ラインを選択的にリフレッシュするためのプロセッサを備えるシステム。
【請求項2】
前記ディスプレイの複数の水平ラインのうちの第1の部分が、第1のリフレッシュ動作中にリフレッシュされ、前記ディスプレイの前記複数の水平ラインのうちの第2の部分が、第2のリフレッシュ動作中にリフレッシュされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ディスプレイの前記複数の水平ラインのうちの前記第1の部分が、前記ディスプレイの奇数ラインを含み、前記ディスプレイの前記複数の水平ラインのうちの前記第2の部分が、前記ディスプレイの偶数ラインを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のモードの動作と前記第2のモードの動作との間の遷移は、少なくとも一つの同期信号を使用してグラフィックスプロセッサによって指示される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
第1のモードの動作において同期信号を使用して第1のレートでディスプレイをリフレッシュし、第2のレートで前記ディスプレイをリフレッシュするための第2のモードの動作へ、前記第1のモードの動作の前記同期信号を使用して遷移させるプロセッサを備え、
前記遷移及び前記第2のモードの動作におけるフレームフィールドシーケンスは、前記同期信号の論理値の関数としてグラフィックスプロセッサによって指示される、
システム。
【請求項6】
前記同期信号は、垂直同期信号を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記同期信号は、水平同期信号を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のレートは、前記ディスプレイによって必要とされる電力を減少させるために、前記第1のレートより低い、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のモードの動作及び前記第2のモードの動作のうちの少なくとも一つは、プログレッシブモードの動作、偶数フィールドインターレースモードの動作、及び奇数フィールドインターレースモードの動作からなる群から選択される、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
第1のモードの動作において同期信号を使用して第1のレートでディスプレイをリフレッシュし、第2のレートで前記ディスプレイをリフレッシュするための第2の動作モードへ、前記第1レートで前記ディスプレイをリフレッシュするために使用される前記同期信号を使用して、遷移させるプロセッサを備え、
前記遷移は、前記同期信号に関連したパルスの形状の関数としてグラフィックスプロセッサにより指示される、
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−191775(P2011−191775A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−103241(P2011−103241)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2007−298085(P2007−298085)の分割
【原出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(501261300)エヌヴィディア コーポレイション (166)
【Fターム(参考)】