説明

簡易屋根

【課題】防音性能を簡単に付与することができると共に、外観を向上することができる簡易屋根を提供する。
【解決手段】屋根材4の下面にその湾曲方向に沿って帯状の樹脂製シート5を貼着すると共に、その樹脂製シート5にカバー材9を被せて、前記カバー材9は樹脂製シート5を覆う基板部91の両側端より脚部92を上方に突出させ、該脚部92を屋根材4の裏面側に形成された溝部43に挿入するようにすれば、屋根材4の下面に貼着した樹脂製シート5を覆い隠すことにより、簡易屋根Pの外観を向上させることができると共に、樹脂製シート5に太陽光が直接照射されないよう保護することができるため、樹脂製シート5の劣化を防止でき、もって騒音低減作用を長期にわたり継続させ得るものとなすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車置き場等に用いられる簡易屋根に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根材としては種々の材料が用いられているが、鋼板製屋根材が用いられる場合があり、この場合、鋼板製屋根材単独では十分な遮音性能を得ることは難しく、特に雨音を遮音することはできなかった。上記鋼板製屋根材に遮音性能を付与するための方策として、例えば特許文献1には、以下のような屋根が開示されている。
すなわち、この屋根は上下二枚の鋼板製の折板屋根材間に断熱材を充填すると共に、断熱性連結具で連結し、下部折板屋根材と母屋又は梁との間に、グラスウール、スチロールなどの吸音性断熱材を配置し、さらに前記下部折板屋根材と前記吸音性断熱材との間に空気層を形成したものである。
【0003】
【特許文献1】実公平9−40572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の如き屋根においては、上下二枚の鋼板製折板屋根材の間に断熱材を充填すると共に、下部折板屋根材と母屋又は梁との間に、吸音性断熱材を配置しているため、屋根の防音性能は得られるものの、構造が複雑になり、大掛かりな組立作業とならざるを得ず、自転車置き場等の簡易屋根に適用するにはコスト面においても引き合わないものであった。
【0005】
そこで本発明は上記の如き問題点を解消し、防音性能を簡単に付与することができると共に、外観を向上することができる簡易屋根を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。すなわち、本発明に係る簡易屋根は、地表に立設された複数の支柱と、この支柱の上端に取付られた主梁と、この主梁に取着された母屋と、この母屋間に架け渡された屋根材とからなる簡易屋根において、前記屋根材を湾曲状に形成すると共に、前記屋根材の湾曲方向に沿って、制振性能を有する樹脂製シートを前記屋根材の下面に貼着してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、屋根材を湾曲状に形成すると共に、前記屋根材の湾曲方向に沿って、制振性能を有する樹脂製シートを前記屋根材の下面に貼着すれば、屋根材を湾曲形状となすことにより、平坦状の屋根材に比べ振動の発生が抑制できるので、雨滴による騒音を低減することができると共に、湾曲形状の湾曲方向に沿って貼着された樹脂製シートとにより、振動が効果的に低減され、これによって雨滴による騒音も低減されて、簡単に屋根材に防音性能を付与することができる。また、新設の簡易屋根のみならず、既設の簡易屋根の屋根材にも樹脂製シートを貼着するだけで、簡単に防音性能を具備した簡易屋根となすことができる。
【0008】
また本発明において、屋根材の下面にその湾曲方向に沿って帯状の樹脂製シートを貼着すると共に、その樹脂製シートにカバー材を被せて、前記カバー材は樹脂製シートを覆う基板部の両側端より脚部を上方に突出させ、該脚部を屋根材の裏面側に形成された溝部に挿入するようにしてもよい。かようにすれば、屋根材の下面に貼着した樹脂製シートを覆い隠すことにより、簡易屋根の外観を向上させることができると共に、樹脂製シートに太陽光が直接照射されないよう保護することができるため、樹脂製シートの劣化を防止でき、もって騒音低減作用を長期にわたり継続させ得るものとなすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
図1は本発明に係る簡易屋根の実施の一形態を示す図面であって、(イ)は一部切欠の平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図である。また、図2は図1に示す実施形態の基端部の拡大側面図である。また、図3及び4は本発明に係る簡易屋根の実施の別の形態を示す図面であって、それぞれ(イ)は一部切欠の平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図である。また、図5は本発明に係る簡易屋根の更に別の実施形態を示すものであって、屋根材の部分断面図である。また、図6は図5の部分拡大図である。また、図7は本発明に係る更に別の実施形態を示すものであって、屋根材の断面拡大図である。また、図8は本発明に係る簡易屋根の騒音低減効果を示すものである。
【0010】
まず、図1、図2の形態について説明する。
1は下部が地中に埋設され、適宜間隔をおいて立設された3本の支柱、2は各々の支柱1の上端に後述する保持具6を介して取付けられた主梁、3は3本の主梁2の両端と中央に架け渡して取付けられた3本の母屋、4は3本の母屋3間に架け渡された屋根材である。そして、この屋根材4の下面には、制振性能を有する樹脂製シート5が貼着されて、簡易屋根が構成されている。
【0011】
支柱1は円形の鋼管を適宜長さに切断して作製され、その上端部11には、後述する保持具6を介して主梁2を取付けるためのボルト孔A1が側壁12を貫通して穿設され、側壁12の適宜箇所に縦樋7を取付けるための取付具71が取付られている。支柱1の材質は前記した鋼管に限るものではなく、アルミ合金押出型材等であってもよいが、強度的に安定でコストの安い鋼管が好適に用いられる。
【0012】
主梁2は円形の鋼管を円弧状に湾曲して作製され、主梁2の基端部21を保持すると共に支柱1の上端部11をも保持する保持具6を介して支柱1上端に取付けるためのボルト孔A2が側壁22を貫通して穿設されている。そして、主梁2の先端部23上面と基端部21上面と中央部24上面には、それぞれ母屋3を取着するための略L字型受け金具K1が取付けられている。尚、主梁2の材質は前記した鋼管に限るものではなく、アルミ合金押出型材などでもよいが、強度的に安定でコストの安い鋼管が好適に用いられる。
【0013】
母屋3は矩形の鋼管を適宜長さに切断して作製され、その相対する一対の側面31には横方向に通孔A3が穿設され、その通孔A3と略L字型受け金具K1とにボルトを挿通して締着され、主梁2の上下方向に穿設された取付孔A4と略L字型受け具K1とに別のボルトを挿通して締着され、母屋3と主梁2とが固定されている。勿論、母屋3の材質は前記した鋼管に限るものではなく、アルミ合金押出型材などでもよいが、強度的に安定でコストの安い鋼管を用いるのが好ましい。
【0014】
母屋3間に架け渡された屋根材4は、円弧状に湾曲した主梁2と略同じ曲率で湾曲状に形成されて、上方よりタッピングビスやボルト等を螺着して、3本の母屋3上面に固定されている。屋根材4は、長方形の金属板を長辺方向に湾曲させると共に、短辺の両端に大きな突条41を2個長辺方向に形成し、また短辺の中央に等間隔に小さな突条41を2個長辺方向に形成した屋根材本体42を、隣接する屋根材本体42の端部に形成した大きな突条41同士を重ね合せて、複数の屋根材本体42から形成されている。これは平板金属板に比べ強度を向上させることができると共に、屋根材4を順次その端部に形成した大きな突条41同士を重ね合わせて施工できるので、簡易屋根の幅違いに対応し易い構造となされている。また、主梁2の基端部21側の屋根材4の下方には、屋根材4から滴り落ちる雨水を受ける横樋8が支持金具K2に支持されて、基端部21側の母屋3に取付けられている。
【0015】
保持具6は、主梁2を受ける部分と支柱1に当接する部分を供えた左右勝手違いの2個の板材からなり、その2個の板材をもって支柱1と主梁2とを左右から挟み、保持具6の側面をボルト・ナットで挟着することにより、支柱1の上端部11に主梁2の基端部21を固定している。従って、保持具6の内面は、それぞれ支柱1と主梁2の外形である円柱形に当接するように半円形状に形成されると共に、側面視で逆L字型に形成されている。また、保持具6の強度を向上させるため、保持具6の支柱1を保持する部分から主梁2を保持する部分にわたり、平担状の補強板部61が、支柱1及び主梁2とを左右から挟んだ際に、補強板部61が当接するように一体的に設けられている。
【0016】
樹脂製シート5は、制振性能を有するものであれば特に限定されるものではなく、ゴム又は熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂及び無機粉体を含有する樹脂組成物からなるシート等の樹脂製シートが用いられる。
【0017】
上記ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、EPDM等が挙げられ、加硫の有無に係わらず使用可能である。上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、イソプレン系、オレフィン系、エステル系等のエラストマーが挙げられる。これらの中で、特にスチレン−イソプレンブロック共重合体が好適に用いられる。
【0018】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、ポリエステル等が挙げられる。特に、これらの中でエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0019】
上記無機粉体としては、例えば、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物、粒子状金属、クレー、タルク、マイカ、石英粉等の鉱物系粉砕物の他、ガラス繊維、ガラス粉、炭酸カルシウム、石膏等が挙げられる。これらの中で、特に制振特性とコストの点から、マイカ、炭酸カルシウムが好ましい。
【0020】
上記樹脂組成物には、必要に応じて、熱安定剤、耐侯性改良剤、滑剤、加工助剤、顔料、着色剤などが配合されてもよい。
【0021】
上記樹脂製シート5の厚みは、樹脂組成物、制振性能等によって適宜決定されるが、通常10mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下である。
【0022】
上記樹脂製シート5を屋根材4の下面に貼着する際に用いられる接着剤としては、例えば、ゴム系の溶剤型接着剤、二液型のエポキシ接着剤、ウレタン接着剤等が使用可能であるが、特に、これらの中で制振性能を付与できるクロロプレン系ゴムの溶剤型接着剤が好ましい。そして、その接着剤を屋根材4の下面に塗り、樹脂製シート5をその上から貼着する。勿論、樹脂製シート5の形成時に、同時にその片面に接着層を一体的に形成しておき、屋根材4の下面に接着層が形成された面を押し付け貼着するようにしてもよい。
【0023】
なお、本発明においては、前記樹脂製シート5は湾曲状に形成された屋根材4の湾曲方向に沿って、該屋根材4の下面に貼着されている。かようにして、屋根材4を湾曲形状となすことにより、平坦状の屋根材に比べ振動の発生が抑制できるので、雨滴による騒音を低減することができると共に、湾曲形状の湾曲方向に沿って貼着された樹脂製シート5とにより、振動が効果的に低減され、これによって雨滴による騒音も低減されて、簡単に屋根材に防音性能を付与することができる。また、新設の簡易屋根のみならず、既設の簡易屋根の屋根材にも樹脂製シート5を貼着するだけで、簡単に防音性能を具備した簡易屋根を形成することができる。
【0024】
以下図3、4を用いて、図1に示す形態と異なる形態について説明するが、特に図1の形態と異なる点を説明し、他の点については図1の形態とほぼ同様であるのでその説明は省略する。
【0025】
図3に示された形態において、保持具6は、図1及び図2に示す形態と同様に、主梁2を受ける半円形状の部分と支柱1に当接する半円形状の部分を供えた左右勝手違いの2個の板材からなり、その板材をもって支柱1と主梁2とを左右から挟み、側面をボルト・ナットで挟着するようになされているが、主梁2はその中央部24において支柱1の上端部11に固定されるようにされているので、保持具6の形状は側面視で逆L字型ではなくT字型に形成され、補強板部61は左右両側に設けられている。
【0026】
図4に示された形態において、支柱1は主梁2の先端部23と基端部21とを保持するよう、前後に2本づつ、左右に3箇所、計6本設置されている。そして、主梁2の先端部23を保持する保持具6Aは、取付孔が穿設された2個のT字型平板を対向させて、支柱1と主梁2とを左右から挟み、ボルト・ナットで挟着して、支柱1の上端部11に主梁2を固定するもので、補強板部61を備えていない。また、主梁2の基端部21を保持する保持具6Bは、取付孔が穿設された2枚の逆L字型平板を対向させて、支柱1と主梁2とを左右から挟み、ボルト・ナットで挟着して、支柱1の上端部11に主梁2を固定するもので、主梁2の先端部23を保持する保持具6A同様、補強板部61を備えていない。これは、本形態においては、主梁2の先端部23と基端部21を2本の支柱1で支持しているため、荷重が分散され、図1、3に示す所謂片持ち梁の形態に比べ、保持具6の強度を低くすることができるためである。
【0027】
図1〜4に示す形態において、屋根材4の突条41間に形成された平坦部43のうち、最も振動を受ける中央の平坦部43にのみ樹脂製シート5を貼着しているが、特にこの形態に限定されるものではなく、平坦部43すべてに貼着してもよい。
【0028】
また、母屋3と屋根材4とが当接するのを防ぐように、母屋3の上面に前記樹脂製シート5を貼着して、その上に屋根材4を架け渡すようにすれば、雨滴等によって屋根材4にかかる振動を更に効果的に低減でき、これによって簡易屋根の騒音低減効果を更に向上させることができる。
【0029】
次に図5、図6に示す形態について説明する。9は断面コ字状のカバー材であって、樹脂製シート5を覆う基板部91の両側端より脚部92が上方に突出されて形成されており、屋根材本体42を表面側に折り曲げて形成した突条41の裏面側に形成された溝部44に、カバー材9の脚部92が挿入されて構成されている。そして、屋根材本体42の平坦部43下面にその湾曲方向に沿って貼着した制振性を有する帯状の樹脂製シート5の下方から、樹脂製シート5に添うように、樹脂製シート5の両側端に沿って両面粘着テープ10を貼着し、カバー材9を屋根材本体42に貼り付けて固定する。
【0030】
次に図7に示す形態について説明する。図6に示す形態と同じく、基板部91の両側端より脚部92が上方に突出されて形成された断面コ字状のカバー材9によって樹脂製シート5が覆うように、屋根材本体42を表面側に折り曲げて形成した突条41の裏面側に形成された溝部44に、カバー材9の脚部92が挿入されて構成されている。図6に示す形態と異なる点は、制振性を有する樹脂製シート5の下面に貼着された両面粘着テープ10により、樹脂製シート5とカバー材9とが直接貼り付けられている点である。
【0031】
ここで、制振性を向上させる上で、カバー材9が樹脂製シート5に密着している方が好ましく、上記如く、図5、図6に示す形態においては、樹脂製シート5にカバー材9が添うように、樹脂製シート5の両側に両面粘着テープ10が貼着されており、また図6に示す形態においては、樹脂製シート5の下面に両面粘着テープ10が貼着されてカバー材9が樹脂製シート5と密着され、いづれの実施形態においても制振性を向上させるようになされている。
【0032】
勿論言うまでもなく、カバー材9を屋根材本体42の下面に固定する方法としては、両面粘着テープ10に限定されたものでなく、タッピングビスを用いて螺着する等してもよいが、その場合は屋根材本体42に貫通孔が開くため、シーリング材等で止水して、雨水が屋根材本体42の下面側に浸入しないようにする必要がある。かようにして、屋根材本体42の下面に貼着した樹脂製シート5を覆い隠すことにより、簡易屋根の外観を向上させることができると共に、樹脂製シート5に太陽光が直接照射されないよう保護することができるため、樹脂製シート5の劣化を防止でき、もって騒音低減作用を長期にわたり継続させ得るものとなすことができる。
【0033】
図5、図6、図7に示す形態は、金属板の屋根材本体42と金属板のカバー材9との間に制振性を有する帯状の樹脂製シート5を積層させたものであるから、所謂、制振鋼板の如き制振効果が発揮されると共に、屋根材4全体に制振鋼板を用いた場合のコスト高の問題を解消することができ、更には、既設の簡易屋根に後付けで制振機能を付加できるという利点がある。
【実施例】
【0034】
次に、図8に示す本発明に係る簡易屋根の騒音低減効果を説明する。
実施例として、間隔をおいて載置した2個の主梁2に架け渡した3個の母屋3の上に、図1〜4の実施形態に示す屋根材本体42を2個、その端部に形成した大きな突条41同士を重ね合わせて固定したものを作成した。
【0035】
すなわち、円弧状に湾曲した主梁2と略同じ曲率で、厚み0.5mmの長方形の鋼板を長辺方向に湾曲させると共に、短辺の両端に大きな突条41を2個長辺方向に形成し、また短辺の中央に等間隔に小さな突条41を2個長辺方向に形成し、略同幅の平坦部43を3個形成して、幅303mm、奥行き2000mmとなるように形成した屋根材本体42を2個、その端部に形成した大きな突条41,41を重ね合わせてタッピングビスを螺着して3本の母屋3上面に固定した。そして、屋根材本体42に形成した3個の平坦部43のうち、中央の平坦部43に樹脂製シート5を貼着した。樹脂製シート5としては、帯状のポリオレフィン系合成樹脂製の積水化学工業(株)製・ビブレス ルーフシート(幅50mm、厚み1mm)を用いて、屋根材本体42の平坦部43下面側に湾曲方向に略端から端まで貼着した。比較例としては、前記屋根材本体42に樹脂製シート5を貼着しないものを用いて、人工降雨装置を用いて、両者に降雨させた際の騒音を測定した。
【0036】
測定条件は、高さ2mに設置した人工降雨装置から地面に設置した屋根材本体42に人工雨を、吐出圧0.04MPa、降雨強度117mm/時間で降雨させ、屋根材本体42から1m離れた位置に分析器内蔵騒音計(リオン(株)製、型番NA27A)を配置し、騒音測定を実施した。
【0037】
横軸が周波数、縦軸が騒音レベルを表している図8に示す通り、実施例と比較例では、特に1000Hz〜4000Hzと言う耳障りな高周波数域での騒音低減効果に顕著な差異が見られ、実施例においては人工雨により発生する騒音が低減されていることが分かる。
【0038】
また上記測定結果によれば、屋根材本体42に形成した3個の平坦部43のうち、中央の平坦部43のみに樹脂製シート5を貼着すれば、屋根材本体42全体の振動発生を低減できることが理解できるが、全ての平坦部43に制振性能を有する樹脂製シート5を貼着してもよく、また中央に変えて左右のいずれか一方の平坦部43に貼着しても、上記騒音低減効果はそれなりに期待される。
【0039】
なお、本発明は自転車置き場の屋根材として好適に用いられるが、これに限定されたものではなく、通路シェルターやバス停の屋根材等としても用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る簡易屋根は、屋根材を湾曲状に形成すると共に、前記屋根材の湾曲方向に沿って、制振性能を有する樹脂製シートを前記屋根材の下面に貼着するだけで、屋根材の湾曲形状と、該湾曲形状の湾曲方向に沿って貼着された樹脂製シートとにより、振動が効果的に低減され、これによって雨滴による騒音も低減され、簡単に屋根材に防音性能を付与することができる簡易屋根として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る簡易屋根の実施の一形態を示す図面であって、(イ)は一部切欠の平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図である。
【図2】図1に示す実施形態の基端部の拡大側面図である。
【図3】本発明に係る簡易屋根の実施の別の形態を示す図面であって、それぞれ(イ)は一部切欠の平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図である。
【図4】本発明に係る簡易屋根の実施の別の形態を示す図面であって、それぞれ(イ)は一部切欠の平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図である。
【図5】本発明にかかる簡易屋根の更に別の実施形態を示すものであって、屋根材近傍を示す断面図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】本発明に係る更に別の実施形態を示すものであって、屋根材近傍を示す断面の拡大図である。
【図8】本発明に係る簡易屋根の騒音低減効果を示すものである。
【符号の説明】
【0042】
1 支柱
11 上端部
12 側壁
2 主梁
21 基端部
22 側壁
23 先端部
24 中央部
3 母屋
31 側面
4 屋根材
41 突条
42 屋根材本体
43 平坦部
44 溝部
5 樹脂製シート
6 保持具
61 補強板部
7 縦樋
71 取付具
8 横樋
9 カバー材
91 基板部
92 脚部
10 両面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表に立設された複数の支柱と、この支柱の上端に取付られた主梁と、この主梁に取着された母屋と、この母屋間に架け渡された屋根材とからなる簡易屋根において、前記屋根材を湾曲状に形成すると共に、前記屋根材の湾曲方向に沿って、制振性能を有する樹脂製シートを前記屋根材の下面に貼着してなることを特徴とする簡易屋根。
【請求項2】
屋根材の下面にその湾曲方向に沿って帯状の樹脂製シートが貼着されると共に、その樹脂製シートにカバー材が被せられ、前記カバー材は樹脂製シートを覆う基板部の両側端より脚部が上方に突出され、該脚部が屋根材の裏面側に形成された溝部に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易屋根。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−150920(P2008−150920A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342311(P2006−342311)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】