説明

簡潔な光ファイバ・ファラデー効果センサの補償

本発明は、電力供給網における地絡事故を検出するための監視システムに関し、本システムは、いくつかの監視位置に取り付けられた複数の監視装置を有し、監視装置のそれぞれが、電力の高調波のレベルを検出するための検出器を備えている。高調波のレベルは、好ましくは、所定の周波数範囲において検出される。監視装置が、高調波基準値を保持するためのメモリ装置をさらに備え、また、高調波のレベルを基準レベルと比較するためのプロセッサをさらに備えている。さらに監視装置は、高調波のレベルが指定の時間期間にわたって基準レベルを上回る場合に警報を送信するための通信装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光の検出を備えるファラデー光電流センサに関し、更に、ファラデー光電流センサを備える電流センサ・システムを較正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力業界には、電力の急変および大電流パルスの測定に関して変電所を監視するという必要性がある。これらの目的に対して、ファラデー効果電流センサは、いくつかの利点を有している。ファラデー効果電流センサは、誘電体から構成することができ、大きな電磁干渉の存在下での大電流の測定において非常に重要である。ファラデー効果電流センサには、電流によって生成される磁場に応答してファラデー効果を呈する材料で形成された1本または複数本の光ファイバからなるコイルを使用することができる。米国特許第4,894,608号、米国特許第5,051,577号、米国特許第5,486,754号、米国特許第5,811,964号、および米国特許第6,043,648号など、いくつかの先行技術の特許文献には、ファラデー光電流センサが記載されており、これらはすべて、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
【0003】
ファラデー効果電流センサにおいては、偏光している入射光の偏光面が回転され、この回転は、測定対象の電流によって生み出される磁界の関数である。
【0004】
測定対象の電流を、当該光学式センサの出力における光の偏光面の回転の角度を測定することによって割り出すことができる。光は、ガラス棒を通過するときに回転される。回転の角度は、式
【数1】

によって表現することができ、ここで、βは回転の角度であり、dは検出素子の長さであり、Vはガラス棒の材料定数であってベルデ定数と呼ばれ、Bはベクトルとして表現された磁界である。ベルデ定数は、温度および波長の両者について依存性を有する。
【0005】
ファラデー効果電流センサにおいては、光源が光を生成し、その光が、磁気‐光学感受性材料を通過して移動する前に、偏光フィルタを通過し、あるいは他の方法で偏光される。偏光した入射光が回転され、この回転は、測定対象の電流によって生成される磁界の関数である。測定対象の電流を、ファラデー光電流センサの出力における光の偏光面の回転の角度を測定することによって割り出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光源および検出器を備えてなる光ファイバ電流センサは、何よりもまず、検出回路における光学的ノイズ、光源における電気的ノイズ、近傍のインダクタおよびシステムからの磁界の干渉、センサの取り付けおよび設定、導体(コンダクタ)の形状および直径、センサの製造公差、ベルデ定数に対する温度効果、光源および検出器に対する温度効果、ならびに製品寿命にわたる光源および検出器の劣化の影響を受けやすい。
【0007】
測定対象の電流の割り出しは、いくつかの誤差の原因に左右される。光学系または電気回路に基づくあらゆるシステムは、光学的ノイズや電磁源からの干渉など、ノイズおよび他の信号劣化の影響を受けやすい。光源、光検出ユニット、および光ファイバなどの光学的経路を有するシステムは、レンズや光ファイバなどの光学的経路または装置を形成するために使用されている材料中の欠陥によって引き起こされる光学的減衰によって、感度が喪失される可能性がある。光源および光検出回路は、電気的ノイズあるいは近傍のインダクタまたはシステムからの磁界の干渉を受け、あるいはシステムが電源の変動によって引き起こされるノイズを受け得る。更に、温度などの環境条件が、ベルデ定数などの材料の特性に影響し、光源および光検出回路において生じるノイズにも影響する。さらに、すべての電気部品および光源ならびに光検出素子は、経時劣化の問題を抱えている。以上述べたすべての要因が、システムによって実行される測定の正確さを低下させる原因となっている。
【0008】
ファラデー光電流センサの使用による変電所の測定および監視の開始に先立つ較正は、導体中の電流のより正確な測定をもたらすものと考えられる。さらに、正確な測定は、一定の量の光を出力する安定した光源を備えることに依存し、あるいは光源からの光の強度の変化ならびに温度変化によって生じる光強度の変化を割り出すことに依存する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
変電所を監視するためのシステムを、複数の変電所を監視する1つ以上のコンピュータへと収集したデータを伝送するためのデータ収集/データ伝送ユニットに適合させることができる。これらの通信ユニットは、無線の接続またはPOTS/PSTNネットワークなどの固定の接続によって構成できる。個々の変電所内に取り付けられた測定システムから中央のコンピュータまでの通信は、平均負荷、電流ピーク、高電圧電流線の実際の電流、エネルギの方向、最大電流、実際の電圧、および周温についての情報、ならびに前記情報のすべてについての時刻スタンプを含むことができる。さらに、測定システムは、ピーク電流が所与の最大しきい値を超え、あるいは最小しきい値を下回る状況、電圧が最大しきい値を上回り、あるいは最小しきい値を下回る状況、または周囲の温度が範囲を外れているなどの他の情報など、いずれも変電所における何らかの故障または障害を知らせている状況について、電力会社の運転員に警報を伝えるための警報機能を備えることができる。
【0010】
さらに、通信ユニットは、運転員に例えばピーク電流のレベル、電圧ドロップアウト・レベル、タイムアウト値、および警報オプションの決定など、システムを設定する能力を与え、遠方からシステムの設定を実行する機会を提供する。
【0011】
また、以上概括したシステムは、風車あるいは石炭火力発電所または原子力発電所などの産業においても使用することができ、変電所における使用に限られるものではない。
【0012】
さらに本発明は、導電体中の高電圧電流を測定する方法であって、
LEDベースの光源または白熱光源である光源を設けるステップと、
第1の光ファイバであり、前記光源から放射された光を案内する第1の光経路を設けるステップと、
第1の開放端および前記第1の開放端と反対側の第2の開放端を定めているハウジングと、
開口を有し、前記ハウジングの前記第1の開放端の幾何学的全体構成に対応する幾何学的全体構成を有し、前記第1の光ファイバを受け入れるように適合された開口をさらに有している第1のシーリング手段と、
前記第1の光ファイバを固定するための第1の固定手段と、
前記ハウジング内に取り付けられるとともに、前記第1の光ファイバを自身に光学的に連続させて取り付けるため前記第1の固定手段を受け入れるように適合された受け入れ部を有している第1の光学レンズと、
前記第1の光学レンズに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第1の偏光フィルタと、
磁気‐光学特性を有する材料から構成され、前記第1の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に収容および包囲されるガラス棒と、
前記ガラス棒に光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第2の偏光フィルタと、
前記第2の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられるとともに、第2の固定手段を受け入れるように適合されている第2の光学レンズと、
前記第2の光学レンズに受け入れられ、第2の光ファイバを固定するための第2の固定手段と、
第2の光ファイバを受け入れるための開口を有し、前記ハウジングの前記第2の端部に取り付けられ、前記ハウジングの前記第2の端部を密封するための第2のシーリング手段と、
それぞれ前記ハウジングの前記第1および第2の端部へと固定されるように適合され、それぞれ前記第1および第2の光ファイバを受け入れるための開口を備えている第1および第2の蓋と
を有しており、前記第1の光経路から前記光を受信する光学式電流測定装置を設けるステップと、
前記第2の光ファイバであって、前記光学式電流測定装置から発せられる前記光を受信する第2の光経路を設けるステップと、
前記第2の光経路から発せられる前記光を検出し、該受信した光を電気信号に変換するための検出手段を設けるステップと、
前記検出手段からの前記電気信号を処理するための処理手段を設けるステップと、
当該システムのために較正用の測定を実行するための電流測定システムを設けるステップと、
第1の通信手段を設けるステップと
を有する方法に関する。
【0013】
較正は、例えば消耗または損傷した構成部品によって引き起こされる信号劣化を除くために実行でき、さらに他の電気ケーブルなどの他の電界放射源からの干渉も補償できる。
【0014】
センサが、複数の導電ケーブルのうちの特定の電気ケーブルに配置される場合、当該システムは、前記複数の導電ケーブルのうちの残りの部分および/または他の導電体からの影響を除くために較正を実行することができる。
【0015】
較正は、当該システムが最初に設置されるときに実行され、したがって装置または構成部品の劣化を補償することができる。
【0016】
さらに本発明は、導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムを較正する方法であって、
高電圧電流を伝える導電体を設けるステップと、
光源を設けるステップと、
前記光源が接続された第1の端部および反対側の第2の端部を定めており、前記光源の放射する光が進入する第1の光経路を設けるステップと、
第1の端部および反対側の第2の端部を定めており、該第1の端部が前記第1の光経路の前記第2の端部に接続されており、前記第1の光経路からの前記光を受信するファラデー電流測定装置を設けるステップと、
第1の端部および反対側の第2の端部を定めており、該第1の端部が前記ファラデー電流測定装置の前記第2の端部に接続されている第2の光経路を設けるステップと、
前記第2の光経路の前記第2の端部に接続され、前記光を電気信号に変換するための光検出手段を設けるステップと、
前記導電体中の電流の測定を実行する電流測定システムを設けるステップと、
前記導電体中の前記電流の前記測定を実行し、前記導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムによって較正定数を計算し、前記電流測定システムを取り除くステップと
を含んでいる方法に関する。
【0017】
好ましくは、システムを較正するこの方法が、
前記導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムによって、前記電気信号のACおよびDC成分を測定することによって前記較正定数を周期的または非周期的に再計算するステップをさらに含んでいて、システムの測定精度を大幅に向上させる。
【0018】
本発明の特定の態様によれば、この方法が、
最初に前記光信号のDC成分を割り出し、次いで前記光信号のDC成分を周期的に割り出すステップと、
測定したAC成分を前記最初に割り出されたDC成分と前記周期的に割り出されたDC成分との比で乗算することによって、実際のAC成分を割り出すステップ
をさらに含んでいる。
【0019】
本発明による方法は、好ましくは、やはり本発明によるファラデー電流測定装置を使用して実現される。
【0020】
本発明による装置は、中電圧(MV)および低電圧(LV)の配電ネットワークの遠隔位置からの
−管理、
−制御、および
−状態監視
のための費用効果に優れたモジュール式のシステムである。このシステムを、以下では「本システム」と呼ぶ。本システムは、既存および新規のMV/LV変電所へと設置されるように設計されている。さらに、本システムは、将来の用途のための基盤をもたらす。例は、変圧器の状態監視、および詳細な電力品質の管理である。本明細書において、本発明による装置を備えるシステムの特徴を説明する。
【0021】
本システムは、通常の状況下および供給停止の最中の両者において、制御センターの運転員に、MV/LV変電所からの信頼できる情報を提供する。
【0022】
MVおよびLVの電流測定が、電流測定モジュールへの非導電性のファイバー・ケーブル接続を備えている小型の光学式センサを使用して行われる。これにより、これらのセンサを、例えば既存の気中変電所ならびに最近の小型な開閉装置など、あらゆる種類の変電所および設備において使用することが可能になる。
【0023】
さらに、本システムは、LV電圧測定、ヒューズの監視、電池充電装置の制御、電池の状態監視、および制御センターとのGSM通信のためのモジュールを特徴とする。
【0024】
これに加え、例えば変圧器の温度など、変電所の他のバイナリ値およびアナログ値についても、監視することが可能である。
【0025】
通常の動作時、本システムは、すべてのベイの電圧、電流、有効電力、および無効電力を計算し、それらを要求に応じて運転員へと伝達する。
【0026】
MVの短絡の場合、本システムは、短絡電流、故障の方向、および故障までの電気的距離を計算する。これらの値が、迅速な故障位置発見のために速やかに運転員へと伝えられる。
【0027】
さらに、運転員は、迅速な故障の切り離しおよび電力の回復のために、制御可能なブレーカ/スイッチの遠隔操作のために本システムを使用することができる。ブレーカの状態が、継続的に監視され、運転員へと伝えられる。
【0028】
本システムは、下記に焦点を合わせて設計されている。
万能性
−種々のレイアウトの新設および既設のMVおよび/またはLV変電所における使用。
−モジュラー設計ゆえ、システムを特定の用途へと容易にカスタマイズ可能である。
−変電所にいかなる電流または電圧測定も存在する必要がない。
−迅速な故障位置の特定、迅速な電力の回復、計画目的でのデータ収集、および最適な毎日の運転のための幅広い範囲の監視および制御機能を備える。
−種々のMV接地原理への対応(消弧リアクトル接地、非接地、抵抗接地)。
設置および使用の容易性
−システム・モジュールおよびセンサのために必要な空間が小さく、最近の小型開閉装置を備える小型の変電所に設置可能とする。
−顧客を停電させることなく、システムをリング・メイン・ユニット(RMU)に設置可能とする。
−統合された端子ブロックを使用する安全かつ迅速なモジュールの相互接続。
−グラフィカルなパラメータ設定用および較正用ツール。
−遠隔でのパラメータ設定の提供。
信頼性
−すべてのモジュールおよびセンサが連続的に監視され、システム警報または保守要求を発することが可能。
−時間切れおよび再送信の特徴。
−持続的な通信の喪失または深刻なシステム故障が、周期的な点検コールを使用して検出される。
−不可欠な告知(例えば、短絡の表示)が、モジュールHMI/MMI、ヒューマンまたはマン・マシン・インターフェイスにて現場にも表示される。
−定期的な検査または再較正が不要。実用的な構成部品の容易な後付け。
【0029】
本発明による装置の現在のモジュール範囲は、以下のモジュールを含んでいる。
モジュールA
MV回路および変圧器ベイの監視/制御モジュール。特徴は次のとおり。
−MVおよびLV電流の3相の光学的測定。
−回路遮断器(CB)の制御(開閉)。
−CBフィードバック位置。
モジュールB
LV配電盤/ネットワークへの変圧器インフィードのための監視モジュール。特徴は次のとおり。
−3相の電圧の監視(LV)。
−充電装置の制御。
−バックアップ電池の状態監視。
−2つの多目的アナログ入力。
−2つの多目的バイナリ入力。
−2つの多目的コマンド・リレー。
モジュールC
通信モジュール。特徴は次のとおり。
−SMSを使用する制御センターとの2方向動作可能な通信。
−遠方からのパラメータ設定およびデータ・アップロードのためのGPRS通信。
時間切れおよび再送信の特徴。
【0030】
本システムは、以下に示すとおりの3つのインターフェイス・レベルを有している。すなわち、制御センター・インターフェイス、システム(モジュール間)・インターフェイス、およびプロセス・インターフェイスである。図79を参照されたい。
【0031】
制御センター・インターフェイス
制御センターとシステム・モジュールとの間の日々の通信は、標準的なSMSメッセージによって取り扱われる。
【0032】
データ値は、フラットな8ビットPDUフォーマット・プロトコルへとエンコードされる。ベイ全体についてのすべてのデータ値が、1つのSMSに含まれる。このプロトコルは、例えば複数回の再伝送および受け取り確認など、エラー検出ならびにフロー制御を含んでいる。
【0033】
すべての通信は、別個のモジュールを介して制御センターへとブリッジされる。現在のバージョンにおいては、GSM/GRPSが通信媒体として使用される。将来においては、他の通信形式も存在するであろう。
【0034】
システム・インターフェイス
内部において、本システムのモジュールは、産業用CANネットワークを介して通信する。通信速度は、125kbpsである。
【0035】
すべてのコマンドが、いくつかのCANパッケージとして伝送されるSMSメッセージを除き、ただ1つのCANパッケージにカプセル化される。
【0036】
それぞれの通信ブリッジについて、最大126のモジュールをアドレスとすることができる。アドレスは、設置の際に自動生成される。
【0037】
プロセス・インターフェイス
本システムは、回線ごとの光電流センサによってMV/LV現場とインターフェイスする。光電流センサからの出力が、モジュールAにて監視される。
【0038】
変圧器の二次電圧が、モジュールBによって本システムへと供給される。二次電圧の低電圧提示が、モジュール間に分配される。
【0039】
変圧器の二次側からの電圧が、変圧器の一次および二次側の両方についてのすべての計算において使用される。
【0040】
本システムのモジュールは、バス・システム(システム・バス)を介して一体に接続される。システム・バスは、二次電圧の表現ならびにCANバスおよび電源を運ぶ。
【0041】
システム・バスに組み合わせられるモジュールのモジュール性ゆえ、ほぼすべての変電所の設置およびレイアウトに合うことが可能になる。
【0042】
本システムは、既存の制御センター・ソフトウェアへと容易に一体化するように開発されている。これにより、制御センターが、MV/LV変圧器からのオンライン測定を得ることができるようになる。
【0043】
本システムによれば、制御センターは、任意の単一の監視対象ベイからの静的、平均、およびピーク負荷を提示することができる。同時に、変電所に設置された開閉装置または他の補助設備を操作することが可能である。
【0044】
モジュールは、携帯電話番号、変圧器ID、およびベイIDで構成される固有の番号によって識別される。固有の番号が、すべてのメッセージが制御センターと実際のモジュールとの間で正しく渡されるように保証する。
【0045】
固有の番号の先頭において、電話番号ロックが本システムにおいて実行される。この特徴は、制御システムへのSMSメッセージおよび制御システムからのSMSメッセージのみを受け入れる。固有の番号と電話番号ロックとの組み合わせが、権限のない者がシステムを動作させることを防止している。
【0046】
システムおよび制御センターの固有の番号は、設置の際に同期される。
【表1】

現在のところ、モジュールAにおいては1つのコマンド・リレーのみが利用可能
タイ‐ブレーカステーション(tie‐breaker station)/変圧器なしのステーションにおいては、二次電圧が存在しない
【0047】
図80に示す例では、本システムを備えるRMUの単線図が示されている。この場合には、MV線の遮断器が、MVヒューズ保護変圧器ベイに通常使用される形式に類似のばねで付勢されたトリップ機構を有している。これは、バックアップの電池についての要求を最小限にしている。これは、例えばABB SafeRingおよびABB SafePlus 10kVならびに多くの現代のMV開閉装置において随意である。ばね機構のトリップは、トリップ・コイルによって動作する。
【0048】
図は、設置の図面ではない。簡単にするため、すべての接続が示されているわけではない。具体的な接続図などについては、関連のカタログ紙面を参照されたい。
【0049】
消弧リアクトル/リアクタンス接地のネットワークにおける地絡検出は、通常は、電力計の測定原理を使用して行われる。この理由は、消弧リアクトル接地のネットワークにおける残留の故障電流が、ネットワークにおける容量性の全地絡電流と比べてきわめて小さく、上述の電流に対して直角であるためである。
【0050】
しかしながら、電力計の測定の仕組みは、変圧器および変流器の両方を必要とする。したがって、電力計による地絡の通知の使用は、通常は、コストの理由のMVネットワークの送り込み点に制限されている。
【0051】
本発明は、高くつくMVの電圧測定用変圧器(それ自身、ネットワークの故障を引き起こす恐れを固有に有する構成部品である)の使用を必要としない。代わりに、本発明は、以下の3つの事実を組み合わせている。
1.消弧リアクトル接地のネットワークにおいて地絡事故が生じたとき、MVの電圧およびMVの電流の両者において、高調波の過渡の中身が生じる。この過渡は、きわめて短い時間(1〜2電力システム周期)だけ継続し、ネットワークの特性に応じて数百〜数千Hzの範囲の周波数を有する。
2.消弧リアクトル接地のネットワークにおける地絡事故の際に、MVの電圧およびMVの電流における高調波のレベルは、非対称の地絡状態へのネットワークの応答ゆえ、事故がない運転中に比べて有意に高くなる。
3.高調波のレベルの変化は、MV供給部の「上流」においてのみ生じ、すなわち供給部の送り込み点と事故位置との間においてのみ生じる。高調波のレベルの変化は、MV供給部の「下流」においては有意ではない。
【0052】
本システムは、光ファイバ電流センサを使用し、高調波電流の絶対的な中身および相対的な増加を検出することを想定している。検出は、2つの周波数範囲において行われる。1つは、主として地中ケーブルを備えるMVネットワークのためのものであり、1つは、主として架空線を備えるMVネットワークのためのものである。
【0053】
これらの値をユーザによって設定することができる警報限界と比較することによって、本システムは、システム測定点から供給部の「下流」の地絡状態を検出することができる。さらに本システムは、故障した相を特定することが可能である。
【0054】
故障していない供給部の電流の高調波成分は、負荷の大きさおよび種類の変化ゆえ、時間とともにゆっくりと変化する。レベル上昇時の偽の警報を回避するため、高調波の基準レベルを、実際の負荷状態に合わせて自動的に調節することが可能である。
【0055】
本発明は、電力供給網における地絡事故を検出するための監視システムであって、いくつかの監視位置に取り付けられた複数の監視装置を有しており、監視装置のそれぞれが、電力の高調波のレベルを検出するための検出器を備えていて、高調波のレベルが、指定の周波数範囲において検出され、さらに監視装置が、高調波基準値を保存するためのメモリ装置を備えており、さらにまた監視装置が、高調波のレベルを基準レベルと比較するためのプロセッサを備えており、監視装置が、高調波のレベルが指定の時間期間にわたって基準レベルを上回る場合に警報を送信するための通信装置を備えている監視システムを提供する。
【0056】
この監視システムは、複数の監視装置を電力供給網の全体にわたるいくつかの監視位置に分布させて有している。監視装置は、電力供給網において分配される電力の高調波のレベルを検出するための検出器を含んでいる。本発明の好ましい形態においては、検出器は、本明細書の他の部分で説明されるような光検出器である。光検出器は、やはりどこかで説明されるように、ファラデー効果に依拠している。
【0057】
高調波のレベルは、特定の周波数範囲において検出され、あるいはいくつかの周波数範囲において検出される。任意の所与の時点の高調波のレベルを基準レベルまたはしきい値レベルと比較することによって、電力網において地絡事故が生じたか否かを判断できる。高調波のレベルが基準値またはしきい値を上回っている時間は、電力供給網の電力のサイクル1つ、または2つといった短さであってよい。電力供給網の周波数は、欧州においては例えば50Hzであり、米国においては60Hzであるが、他の周波数ならびに電力供給網における周波数の変化も生じてよく、それに応じて前記特定の時間期間が変化するが、これは監視装置のソフトウェアによって補償可能である。
【0058】
監視装置は、電力供給網において供給される電力の高調波の絶対的な中身を計算または測定でき、あるいはこれに代え、あるいはこれに加えて、電力供給網において供給される電力の高調波の相対的な増加を測定できる。
【0059】
好都合には、監視システムが、或るシステムをさらに備えることができ、そこでは監視装置が、電力供給網の負荷状態の変化によって引き起こされる高調波の変動に合わせて基準値を連続的または定期的に適合させるためのソフトウェアをさらに含んでいる。
【0060】
電力の高調波の変化が生じる可能性があり、したがって監視システムが、地絡によるものではない高調波の変動によって偽の警報が引き起こされることがないよう、基準値を適合させることができる。
【0061】
本発明の一形態では、本システムにおいて、複数の監視装置が、多相の電力供給システムの複数の相を監視するために、それぞれの監視位置に配置されている。
【0062】
複数の監視装置を、例えば3つの相を有する変電所の複数の相を監視するために、例えば使用することができる。
【0063】
本発明のいくつかの形態においては、複数の監視装置が、多相の電力供給システムの複数の相を監視するために、それぞれの監視位置に位置することができる。本発明の特定の形態においては、本システムが、或るシステムからなることができ、そこでは本システムが警報を受信するサーバをさらに有しており、サーバが、監視位置に関する情報を含んでおり、サーバが、警報および監視位置に関する情報に基づいて監視位置からの事故の方向を割り出す。
【0064】
サーバは、地絡事故が電力供給網へと電力を供給している供給部の下流において検出されるべき故障を生じさせるときに、警報を発している監視装置の位置に関して保存された情報を比較することによって事故の方向を割り出すことができる。
【0065】
本発明によるシステムの特定の形態においては、監視位置が変電所であってよく、変電所は、電力入力ケーブルを、電力入力ケーブルの電力を第1の電圧レベルから第1の電圧レベルよりも低い第2の電圧レベルへと変換するための変圧器へと電気的に接続して備えることができ、あるいは監視位置が、電力供給網の線が分岐する分岐点である。
【0066】
本発明によるシステムにおいては、検出器を、変圧器の一次側および/または変圧器の二次側に配置することができる。
【0067】
またさらに、本発明は、電力供給網における地絡事故を検出するための方法であって、外部のユニットとの通信のための通信ユニットを備えており、電力供給ケーブルを流れる電流の高調波レベルを検出する検出装置を用意すること、高調波レベルについての基準値を用意すること、および検出された高調波レベルを基準値に対して比較し、検出された高調波レベルが基準値よりも高い場合に、通信ユニットを介して警報信号を送信すること、を含んでいる方法を提供する。
【0068】
検出装置は、導体中の電流を測定するためにファラデー効果を使用する光学装置として本明細書の他の部分で説明されているような装置であってよい。検出装置は、電力供給ケーブルにおける高調波のレベルを計算または測定するために、光検出器によって集められた情報を使用することができる。
【0069】
基準値が、特定の時点において用意または計算され、したがって検出装置は、所与の時点または所与の時間期間における高調波レベルが基準値を上回っているか否かを判断でき、上回っている場合に、検出装置は、例えば電力供給網の電力供給を監視している中央サーバまたは監視ステーションまたはマスタ・ユニットへと、警報を送信することができる。
【0070】
検出および比較は、各周期において指定の回数だけ実行できる。
【0071】
好都合には、高調波のレベルが或る方法によって測定され、そこでは高調波が第1の時間期間および第2の時間期間にわたって測定され、第1の時間期間が第2の時間期間よりも長い。一形態においては、第1の時間期間が10〜800ミリ秒であって、第2の時間期間が1〜20分であり、第1の時間期間が50〜500ミリ秒であって、第2の時間期間が5〜15分であり、さらには第1の時間期間が100ミリ秒であって、第2の時間期間が5分であるなど、第1の時間期間が1秒よりも短く、第2の時間期間が1分よりも長い。
【0072】
さらには、第1の期間における高調波レベルと第2の期間における高調波レベルとの比が基準値を上回る場合に、警報を送信することができる。
【0073】
本発明のさらに他の態様においては、マスタ・ユニットと電力供給網を監視している複数の監視ユニットとの間の通信方法であって、前記マスタ・ユニットが、前記複数の監視ユニットとの通信のために有線または無線のネットワークへと接続された通信ユニットを有しており、前記監視ユニットのそれぞれが、前記マスタ・ユニットへのデータ・メッセージの送信および前記マスタ・ユニットからのデータ・メッセージの受信のために、前記ネットワークへの有線または無線接続を有する送信機および受信器を有するとともに、1つのメッセージを保存するためのメモリ・ユニットを有しており、当該方法が、前記マスタ・ユニットが、特定の監視ユニットまたは複数の監視ユニットあるいは前記監視ユニットのすべてへとメッセージを送信すること、ならびに前記特定の監視ユニットまたは前記複数の監視ユニットあるいは前記監視ユニットのすべてが前記メッセージを受信し、前記メモリ・ユニットが空である場合には、当該監視ユニットが前記受信したメッセージを保存し、先に受信されたメッセージが前記メモリ・ユニットに保存されている場合には、前記メモリ・ユニットが前記受信したメッセージを放棄すること、を含んでいる。メッセージがマスタ・ユニットから1つ以上の監視ユニットへと送信されるとき、1つまたは複数の監視ユニットからの返答が、メッセージの受領の確認であると考えられ、したがってこの方法は、監視ユニットとマスタ・ユニットとの間で送信されるメッセージの量を少なくしている。
【0074】
また、監視ユニットが、マスタ・ユニットへとメッセージを送信することができ、そのようなメッセージは、例えば現在の状態などに関する情報を含むことができ、あるいはとくには警報を含むことができる。或る位置でエラーまたは故障が生じた場合、1つ以上の監視ステーションが、例えば電力供給会社の監視ステーションに位置するコンピュータであるマスタ・ユニットへと警報を送信できる。
【0075】
本システムと制御センターのシステム/中央サーバとの間のペイロード通信のために、目的に合わせて設計されたプロトコルが使用される。このプロトコルは、いくつかの利点を有している。
−すべてのメッセージ種(警報、通知、測定量、コマンド、および設定)に対して、ただ1つのメッセージ・フォーマットしか必要でない。
−すべての関連情報を、1つの電信(例えば、SMSメッセージ)のみで表わすことができる。
−高レベルのセキュリティが保証される。
−プロトコルを、例えば標準的なラップトップなどに容易に実装できる。
−システムの新規な特徴によるプロトコルの変更を、多用途のフォーマットゆえに容易に実現できる。
【0076】
本発明による方法においては、監視ユニットが2つ以上のメッセージを保存することがなく、すなわち監視ユニットがメッセージの待ち行列を含まないため、マスタ・ユニットまたはメッセージを送信しているユニットは、送信したメッセージへの応答が受信されるか否かを監視する必要がある。
【0077】
監視ユニットがメッセージの受信を行い、他のいかなるメッセージもメモリ・ユニットに保存されていない場合、このメッセージがメモリ・ユニットに保存され、その後に監視ユニットは、メッセージを処理して応答を用意し、この応答が送信元のユニット(すなわち、マスタ・ユニット)へと送信される。監視ユニットが、メッセージをメモリ・ユニットに保存して有しているとき、またはそのメッセージを「処理済み」としていないときに、メッセージを受信した場合、この受信メッセージは放棄される。
【0078】
したがって、この方法は、送信したメッセージへの応答が指定の時間期間内に受信されるか否かを監視するマスタ・ユニットを含むことができる。さらに、この方法においては、上記指定の時間期間内に応答が受信されない場合に、マスタ・ユニットがメッセージを再送信する。
【0079】
さらに、マスタ・ユニットは、例えば特定のメッセージが1つ以上の監視ユニットへと送信される回数を制限するために、特定のメッセージについて送信回数を記録し、その後に例えば運転員または本システムの他の部分へと、特定の1つ以上の監視ユニットがメッセージに応答していない旨の警報を提起でき、さらにはそのような監視ユニットの通知をもたらすこともできる。
【0080】
監視ユニットによって送信される応答は、監視ステーションにおいて測定または決定された電圧レベルおよび/または相情報および/または故障状態および/または設定および/または通知を含むことができる。あるいは、メッセージが、監視ユニットによって集められた生データを含んでもよい。
【0081】
メッセージの伝送は、GSMネットワーク、3Gネットワーク、WLANネットワーク、PSTN、または他の任意の通信ネットワークであるネットワークを介して送信可能である。既存のネットワークの使用は、伝送におけるセキュリティなどの利点を含んでいる。
【0082】
メッセージの伝送には、ショート‐メッセージ‐サービス・フォーマット、または任意のテキスト・フォーマット、あるいは任意のバイナリ・フォーマットなど、公知のフォーマットが利用可能である。
【0083】
MVネットワークの電圧、有効および無効電力、短絡の方向、故障までの距離、ならびに他の電気的パラメータの測定は、3相MV電圧ならびに電流およびそれらの間の相対の位相角についての情報を必要とする。
【0084】
伝統的には、電圧の測定は、複数の電圧(または、電位)変圧器を使用して実行されている。これらの変圧器の目的は、以下のとおりである。
−潜在的に危険なMVと測定回路との分離。
−種々の一次電圧のための幅広い動作範囲の提供。
−正規化された出力(例えば、110V AC)の測定回路への提供。
【0085】
伝統的なMV電圧測定変圧器の使用は、コストの他にも、いくつかの深刻な欠点を抱えている。
−空間。多くの種類のMV開閉装置においては、電圧(および電流)を設置することができず、あるいは工場においてしか設置することができない。
−接続性。現代の気密に閉じられたMV開閉装置キュービクルにおいては、MV導体への接続が不可能であり、あるいは工場においてのみ設置可能である。
−MVネットワークへと直接またはヒューズを介して接続される電圧変圧器が、それ自身ネットワーク故障を引き起こす恐れを本質的に有する構成部品である。
【0086】
本発明によれば、変圧器の第1の側の状態を、変圧器の第2の側の電流を測定することによって監視および/または測定するためのシステムが提供される。第1の側の電圧が第2の側の電圧よりも高い。本発明によるシステムは、
光送信器および光受信器を、電界を検出するためのセンサを有している光経路によって接続して備えており、前記センサが、変圧器の第2の側のケーブルに配置されている光学ユニットと、
変圧比および/または変圧器ベクトル群および/または変圧器負荷などの変圧器関連の情報を保存するためのメモリ・ユニットと、
光送信器から光ガイドを通って光受信器で受信される光パワーの伝達に基づき、ケーブルの電流を測定するためのプロセッサ・ユニットと、
を有している。
【0087】
本発明は、高くつくMV電圧測定用変圧器の使用を必要としない。代わりに、本発明は、以下の3つの事実を組み合わせている。
1.MV/LV電力変圧器のLV側の電圧へのアクセスは、比較的容易である。接続を、適切な手段をとりつつ動作の際、すなわち通電された導体について行うことさえ可能である。これは、MVレベルにおいては実質的に不可能である。
2.MV/LV電力変圧器の公称の一次および二次電圧の間に、どちらも振幅および電気角度の変位に関して確立された関係が存在している。この関係は、変圧器のデータ・シートから分かるとおり、変圧比および変圧器ベクトル群によって定められている。
3.電力変圧器の負荷と一次および二次電圧の間の上述の関係の変位との間に、確立された関係が存在している。この関係は、変圧器の短絡および無負荷インピーダンス、ならびに電圧に対する変圧器の負荷電流および角度によって定められている。
【0088】
本発明は、ステーションの既存のMV/LV電力変圧器を、測定用の変圧器として使用する。このやり方で、伝統的なMV電圧測定変圧器のすべての欠点を、回避することが可能である。
【0089】
変圧比、変圧器ベクトル群、および変圧器負荷を考慮に入れることによって、本システムは、関連するMV電圧のほぼ正確な複製を計算することができる。
【0090】
このやり方で、MV電圧、MV有効および無効電力、MV短絡の方向、故障までのMV距離、およびMVネットワークの他の電気的パラメータを、LV電圧の測定値を使用するだけで計算することができる。MV地絡の位置特定は、電流測定原理にのみに基づき、MV電圧の測定を必要としない。
【0091】
変圧器が休止中であり、あるいは監視対象のステーションに変圧器が存在しない場合には、基準電圧が存在しない。同じ問題が、供給部がその瞬間に通電していない場合、または設置されている供給部に誤って通電された場合に生じる。この場合には、方向の決定および故障までの距離の計算は不可能である。
【0092】
これらの場合に短絡の通知を保証するために、本システムは、1つ以上のLV電圧が設定された期間よりも長く設定された限界を下回る場合に、方向なしの通知へと自動的に切り替わる。このやり方で、方向なしの短絡の通知が依然として利用可能であり、より迅速な故障位置の特定を可能にしている。
【0093】
3つの電圧すべてが、設定された時間よりも長きにわたって通常(すなわち、設定された限界を超える値)へと復帰したとき、本システムは、方向の通知へと再び切り替わる。
【0094】
好都合には、前記プロセッサが、光パワーの伝達および変圧器関連の情報に基づき、変圧器の第1の側の電圧状態をさらに計算する。さらに、本システムは、変圧器の第1の側の電流および/または電圧状態を表わしているデータを出力するための出力ユニットをさらに有している。
【0095】
以上特定した種々の態様、特徴、目的、および/または利点は、すべて組み合わせが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0096】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ更に説明する。
【0097】
図1は、ファラデー光電流センサ10の概略断面図であり、図2は、図1のファラデー光電流センサ10を拡大した概略断面図である。ファラデー光電流センサ10は、第1の端部および反対側の第2の端部(それぞれ符号14および16で指し示されている)を定める細長いハウジング12を有している。ハウジング12の第1の端部14に、第1のシーリング18が取り付けられており、第1のシーリング18は、第1の光ファイバ20を受け入れるための開口を有している。第1のファイバ固定具22が、ハウジング12内に取り付けられている。第1のファイバ固定具22は、光ファイバ20を受け入れるための開口を有している。光学レンズ24が、光ファイバ20およびファイバ固定具22を受け入れるための収容部を有している。第1の偏光フィルタ26が、光学レンズ24に光学的に連続して取り付けられている。ガラス棒28が、第1の偏光フィルタ26と光学的に連続している。ガラス棒28の他端には、第2の偏光フィルタ30が、ガラス棒28に光学的に連続して取り付けられている。第2の光学レンズ32が、第2の偏光フィルタ30に光学的に連続して取り付けられている。第2の光学レンズ32は、第2のファイバ固定具34を受け入れるための収容部を有している。第2のシーリング36が、第2の光ファイバ38を受け入れるための開口を有している。
【0098】
2つの光ファイバ20、38が、それぞれ第1および第2のシーリング18、36を通って第1および第2のファイバ固定具22、34に挿入される。光ファイバ20、38は、2つのセンサ蓋40、42によってそれぞれハウジング12に機械的に固定される。センサ蓋40、42は、ファイバ20、38を固定するとともに、ファラデー光電流センサ10を密封している。
【0099】
センサ蓋56、58を成型するために使用される材料は、好ましくは、−40〜150℃の範囲の温度に耐えることができるプラスチック材料であり、電気絶縁特性を有している。この材料は、好ましくは、400〜1000nmの範囲の光に対して非透過性である。上述の特性を備える材料は、UltemまたはPeekなどのプラスチック材料であってよい。
【0100】
さらに、ハウジング12は、ファラデー光電流センサ10をプラスチック帯または他の固定手段によって導電体へと取り付けるため、1組の羽根44を備えることができる。
【0101】
図3は、ファラデー光電流センサ10の概略の側面図であり、ガラス棒28と平行に延びるハウジング12内の溝46が示されている。溝46は、導電体へのファラデー光電流センサ10の固定を改善するため、平坦な底部壁あるいは丸められた底部壁を有することができる。溝46は、ガラス棒28を導電体に可能な限り近づけるとともに、ファラデー光電流センサ10を導電体に対して90°の角度で固定するというさらなる利点をもたらすため、ハウジングに組み込まれている。溝46の幅は任意であってよいが、好ましくは、ガラス棒28の長さと同じ長さ、またはガラス棒28の長さよりも短い長さを有していてよい。固定用の羽根44は、溝46の幾何的延長として組み込まれてもよい。
【0102】
図4は、ファラデー光電流センサ10の一端14の概略図である。この図は、ハウジング12内に取り付けられた第1の偏光フィルタ26を示している。
【0103】
図5は、図4に示したファラデー光電流センサ10の他端の概略図である。この図は、第1の偏光フィルタ26に対して45°回転させられてハウジング12内に取り付けられた第2の偏光フィルタ30をさらに説明している。これら偏光フィルタの幾何学的構成が、正方形であるとして示されているが、それに代わって、これらフィルタは、2つの偏光フィルタの偏光面がそれぞれ45°回転させられている限りにおいて、任意の幾何学的構成を有することができる。
【0104】
以下の機械的寸法を有するファラデー光電流センサ10のプロトタイプ版を製作した。ハウジング12の全長は65mmであり、直径は12.6mmである。ファイバを収容するための開口は、7.5mmである。羽根44は、端部から端部まで11.6mm×40mmの全体寸法を有している。溝は、45mmの長さを有している。ガラス棒は、35mmの長さおよび4mmの直径を有している。偏光フィルタは正方形であり、各辺は5.3mmである。
【0105】
図6は、磁気‐光トランスデューサにおけるファラデー効果を利用して導体中の電流を測定するためのシステムの概略図である。このシステムは、光源46を有している。光源は電球であってよく、あるいはLEDベースの光源であってよい。光源46から発せられた光は、光ファイバなどの第1の光伝導体48を通って案内される。光伝導体48は、2つの偏光フィルタ26、30と磁気‐光学材料とを有するファラデー光電流センサ16に接続されている。偏光フィルタ26、30は、それぞれ45°回転させられている。ファラデー光電流センサ10は、10kVなどの高電圧の電流が流れる導電体50に取り付けられている。ファラデー光電流センサ10の出力端は、光ファイバなどの第2の光伝導体18に接続されている。第2の光伝導体18は、アナログ光信号をデジタル信号に変換する検出システム54に接続されている。検出システム54からのデジタル信号は、信号処理ユニット56へと供給され、信号処理ユニット56が、当該データについていくつかの計算を実行する。較正の目的のため、測定装置58が導電体50に取り付けられている。測定装置58は、電流測定システム60へと接続され、信号処理ユニット56へと更なるデータをもたらしている。
【0106】
信号処理ユニット56は、検出システム54からのデータおよび電流測定システム60からのデータに関し、比較、保存、および計算の実行を行う。
【0107】
システムの較正は、検出システム54および電流測定システム60からのデータを信号処理ユニット56にて比較することを必要とし、次いで信号処理ユニットは、それらのデータを保存する。較正の最後において、保存されているそれぞれの装置からのデータが合計される。電流測定システム60からのデータの合計が、検出システム54からのデータの合計で除算される。この除算の結果が、較正値として使用され、この較正値が、信号処理ユニット56に保存される。電流測定システム60および測定装置58を、この構成から取り外すことができる。
【0108】
図6に示した構成は、光源46を有しており、ファラデー光電流センサ10および光検出システム54が、光源46における電気的ノイズ、検出ユニット54における光学的ノイズ、ならびに近傍のインダクタおよびシステムからの磁界の干渉の影響を受けやすい。センサ10の取り付けおよび構成、ならびに測定対象の導体の形状および直径が、システムによって実行される測定を左右する。システムは、温度変化が頻繁に生じ得る世界中のさまざまな場所で使用される。温度が、光源46および検出システム54内の検出器回路の動作に影響を及ぼす可能性がある。さらに、光源46および検出システム54、ならびにシステムの他の構成要素は、動作および製品寿命にわたって劣化する可能性もある。正確な測定は、安定した光源、および実装されたシステムについての補償係数の決定、ならびに光源の出力の変化、検出システムの長期変動、および周囲の環境の温度変化の記録に依存する。
【0109】
図7は、電流測定システムの検出システム54の概略図である。検出システムは、検出システム54が光経路18から受け取った光を変換する光感知素子64を有している。光感知素子64は、光を電気信号に変換する。この電気信号は、ACおよびDC成分からなるが、2つに分割されて2つの増幅器66、68に供給され、増幅器66からの増幅済み信号が、当該増幅済み信号からDC成分を分離するDC分離器70に供給される。増幅器68からの増幅済み信号は、当該増幅済み信号からAC成分を分離するAC分離器72に供給される。アナログ信号処理ユニット74が、DC分離済み信号およびAC分離済み信号を、アナログ信号からデジタル信号へと変換する。DC信号は、システムの較正の際に測定されて保存されたDC信号値と比較される。較正されたDC成分からの変化の割合が、AC成分へと乗算される。光学式ファラデー効果センサからの信号は、DCおよびAC成分を含んでいる。AC成分は、時間変化する磁界がファラデー光電流センサ10に加わったときに生じる。AC信号が、DC成分、検出システムの長期変動および周囲の環境の温度変化を含む場合、ファラデー光電流センサ10にDCまたは非磁界が印加されると、DC成分が発生する。
【0110】
図8は、それぞれが高電圧導体である3つの導電体76、78、80を備える構成の概略の断面図である。それぞれの導体の周囲の同心円は、それら導体から放射される電磁界を表わしており、センサ10による導体78から発せられる電磁界の測定が、他の導体76、80から放射される電磁界によって影響され得ることを示している。較正プロセスが、センサ10に影響を及ぼす近傍の導電体および周囲の他の電磁界からの干渉を除くために行われる。これら他の磁界は、当該センサが取り付けられてなる変電所内の電気設備からもたらされ、あるいは当該センサが取り付けられた導電体から放射された電磁界が変電所の内部から反射されてもたらされ、あるいは近傍の導電体から発せられた電磁界が反射されてもたらされ得る。
【0111】
図9は、ファラデー光電流センサ10を矩形の導体82に取り付けて備える構成を示している。
【0112】
図10は、円形の導体84に直接取り付けられたファラデー光電流センサ10を示している。
【0113】
図11は、円形の導体86へと取り付けられたファラデー光電流センサ10の概略の断面図であって、導体86は、導電性コア88および導電性コア88の周囲を囲んで配置された絶縁層90を有している。ファラデー光電流センサ10は、点測定センサであり、B磁場(B‐field)の形状およびインダクタとの間の距離が、考慮すべきパラメータである。センサ・システムの現場での較正は、B磁場形状のばらつきおよびインダクタからの距離、ならびに他の発生源から生じて存在する静電磁界を補償する。
【0114】
ファラデー光電流センサ10に磁界が加わっていないときのDC成分の振幅は、光源から発せられる光の強度、光学系を通じての抵抗、および検出器回路に依存する。光学式ファラデー効果電流センサにDC磁界が加わっていない場合には、信号のACおよびDC成分が、線形な相関を有する。
【0115】
図12は、図6の検出システム20および信号処理ユニット22のプロトタイプの実装の概略を示すブロック図である。モジュール100は、ファラデー光電流センサ10からの信号を図7に示した検出システム20へと入力するセンサ入力92を有する。低電圧降下線の数に対応する複数の光カプラーが、電圧降下線の電圧を測定するために使用されているが、これらの電圧はAC400ボルトの範囲にある。プロトタイプの実装において、モジュールは、さらにユーザインターフェイス入力‐出力ポート96を備えており、プロトタイプ版において入力‐出力96は、RS‐232シリアル通信ポートである。入力‐出力ポート96は、システムの設定および初期の較正において使用されるユーザインターフェイス・モジュール106に接続されている。
【0116】
検出システム20および400ACモジュール98からのデータは、信号およびデータ処理ユニット104へと送られ、信号およびデータ処理ユニット104が、電流と電圧との間の面角を割り出すための位相整合を実行する。測定システムのプロトタイプの実装においては、信号およびデータ処理ユニットが、組み込みのデュアル・プロセッサ・アプリケーションとして実装されている。システムの機能が、測定部と通信部とに分割されている。測定部が、6つの電流チャネルの走査、3つの電圧チャネルの走査、および収集したデータについての計算を取り扱っている。
【0117】
モジュールは、プロセッサ・ユニット104のデータ処理ユニットによって収集されたデータを通信するための通信モジュール106をさらに有している。システムを遠方の位置へと据え付けて、変電所の運転の自動監視に使用することができるため、システムを、配電ネットワークの安全な動作のために複数の変電所からデータを収集する中央のデータ収集サイトに接続することができる。通信モジュール106は、データ処理ユニット104からのデータをGSMおよび/またはISDNなどの通信プロトコルおよび/または他の通信または媒体、あるいはTCP/IPなどのデータ通信プロトコルへと変換するよう適合されたモジュールによって構成できる。モジュールは、通信モジュールがGSMモジュールである場合はアンテナであり、あるいは構内通信網ポートなどである送信器ユニット108をさらに備えている。モジュール100は、モジュールに電力を供給する電源110をさらに備えている。電力は、電力をシステムの動力として分配するとともに、電源故障時のモジュール100の安全な動作のためにバッテリ・モジュール114を充電する電力管理ユニット112へと供給される。
【0118】
モジュール100のプロトタイプの実装において、変電所の状態を通信するためのプロトコルを、以下でいくつかの図表で詳しく説明する。
【0119】
図13〜18は、本発明によるプロトタイプ版の概略のブロック図である。図において、すべての構成部品は名称および製品番号で記載されており、上記の説明を考慮に入れたとき自明であると考えられる。
【0120】
図13は、本発明による10kV信号強度(SS)システムのプロトタイプ版の概略のブロック図である。
【0121】
図14Aは、DC電流センサの概略のブロック図である。プロトタイプ版においては、DCセンサは6つのチャネルを有し、各チャネルに、図14Bに詳細に示されているセンサ回路からの信号が供給されている。
【0122】
図15Aは、電流センサの概略のブロック図である。プロトタイプ版においては、センサは6つのチャネルを有し、各チャネルに、図15Bに詳細に示されているセンサ回路からの信号が供給されている。
【0123】
図16は、電圧センサ回路の概略のブロック図である。
【0124】
図17Aは、電力管理回路を示した概略のブロック図である。
【0125】
図17Bは、図17Aに示した電力管理回路と協働する電力管理回路を示した概略のブロック図である。
【0126】
図18は、RS‐232通信ポートおよびこれに関連する信号についての概略のブロック図である。
【0127】
以下では、本発明の別の実施形態を説明する。図1〜18に関して説明され、この実施形態において再登場する部品には、同様の参照番号が添えられている。
【0128】
図19は、図1、2および3に類似する図示である。
【0129】
図20および21は、本発明によるセンサ10’の第2の実施形態を示している。センサ・ハウジング12’が、センサ10’における主たる要素である。ハウジング12’は、ケーブルへの取り付けおよび光学系の固定を扱う。ハウジング12’は、溶接可能に設計されている。プラスチックが、−40℃〜250℃の温度に耐え、かつ電気および熱の絶縁効果を有するように設計される。現時点での好ましい実施形態において、センサ10’は、ガラス補強なしのPEEKからできている。PEEKのグレードは、PPSと同様の化学および加水分解耐性を提供するが、より高い温度で機能できる。補強なしの圧縮成型PEEKは、高度の耐摩耗性を提供する。
【0130】
PEEKは、物理的特性が恒久的に損なわれることなく、熱湯または蒸気中で最大480°F(250℃)で連続的に使用することができる。PEEKは、V‐Oの可燃性格付けを有し、炎にさらされたときに煙および有毒ガスの放出がきわめて少ない。
【0131】
センサの羽根44’が、装置を電気ケーブルへと取り付けるために使用される。羽根44’は、装置をケーブルへと固定するために最大5mmの帯を使用することができるように形成される。帯は、好ましくは、幅広い温度範囲および厳しい環境の影響に耐えることができるよう、テフロン(登録商標)製である。センサの羽根44’は、センサ・ハウジング12’に一体化され、成型できるように設計されている。
【0132】
ケーブルに面するセンサ10’の表面において、センサ10’は、直径がセンサ10’の残りの領域に比べて小さくなっている領域46’を有している。この領域46’が、ケーブルに近接させたファラデー回転器の配置、およびケーブルに対するセンサ10’の90°配置を可能にする。
【0133】
磁界の強度が、ほぼ1をケーブルからの距離で除算した値で小さくなっていくことから、導体とセンサ10’との間隔が短いことが重要である。
【0134】
ファラデー光回転器28’が、ハウジング12’内に取り付けられる。ガラス棒28’が軽い締まり嵌めで取り付けられるよう、公差はきつめに保たれる。
【0135】
偏光フィルタ26’および30’が、ガラス棒28’と光学的に連続してハウジング12’内に取り付けられる。フィルタ26’および30’は、お互いに対して45°回転させられている。これは、最大の信号帯域幅を得るために行われている。
【0136】
フィルタ26’および30’をガラス棒28’へ接着することも可能であり、これにより、光学マトリクスを通過する光の4〜5%の増加がもたらされるはずである。ガラス、接着剤、およびフィルタにおける異なる温度勾配ゆえ、フィルタが応力検査に不合格であった。また、製造コストの点で効率的ではない。しかしながら、この実施形態を適切に機能するようにでき、かつ妥当なコストにすることができる材料を見つけることが可能であると考えられる。
【0137】
現時点での好ましい実施形態においては、ポラロイド・フィルタ26’および30’を固定するため、センサ・ハウジング12’に小さな下降部が設計されている。フィルタ26’および30’は、温度変化に従って移動可能でありながら、依然として妥当な光学的構成を有している。フィルタ26’および30’は、正方形状でレンズの中に固定される。
【0138】
ポラロイド・フィルタが、光の角度回転を眺めるために使用される。ポラロイド・フィルタはプラスチックでできていて、わずか0.2mmの厚さである。ポラロイド・フィルタは、−40℃〜80℃の温度範囲において強度を保持するような材料からなる。このフィルタは直線偏光であり、製造において打ち抜き工具によって作られる。このフィルタは、ガラス棒へと直接蒸気付けできる。
【0139】
レンズ24’および32’が、それぞれフィルタ26’および30’と光学的に連続してハウジング12’内に取り付けられる。レンズ24’および32’が、ポラロイド・フィルタ26’および30’を正方形中に保持する。レンズ24’、32’は、小さな締まり嵌めで取り付けられ、したがって光学マトリクスに固定される。
【0140】
光ファイバが、図26に示されているファイバ固定具128へと配置される。ファイバ固定具が光学レンズ・システムへとはめ込まれたとき、ファイバの端部が、焦点に位置する。ファイバ固定具は、光学レンズ内に配置されたとき、ファイバの周囲を締め付けて機械的応力を管理する。
【0141】
シリコン・シーリング18’および36’が、ハウジング12’の両端に配置される。シーリング・プラグ18’および36’は、センサ10’を密封してセンサ10’を塵埃、蒸気、水、および他の劣化要因から保護するために使用される。シーリングは、ここには示されていないが、光ファイバの締め付けとしても機能する。
【0142】
シーリングの機能は、センサ10’の光学部分を主として水および塵埃に対して保全することにある。蓋がセンサ・ハウジング12’へとプレスされたとき、シーリングが、機械的応力を取り扱うべくファイバに向かって押し付けられる。シーリングは、−40℃〜120℃の温度範囲において強度を維持するように設計されている。化学品およびオゾンに対する良好な耐性を有している。
【0143】
図19および23に、2つのセンサ蓋40’および42’が示されている。センサ蓋40’、42’は、ハウジング12’へと固定することができる。センサ蓋は、ハウジング12’へと容易にはめ込むことができる。
【0144】
それぞれのセンサ蓋は、ファイバの固定およびセンサ10’の密封のために使用される。蓋40’、42’は、プラスチック溶接が可能であるように構成および設計されている。
【0145】
蓋は、現在のところ、ガラス補強なしのPEEKでできており、好ましくはハウジング12’と同じ材料である。センサ蓋40’、42’は、センサ・ハウジングとの1回の固定を可能にする円錐を備えた設計である。
【0146】
センサ蓋は、丸められた短い底部を有しており、シーリングでセンサ・ハウジング12’に取り付けられるとき、シーリングをファイバの周囲に圧迫して、センサ10’を閉じ、塵埃または他の汚染物質から保護する。
【0147】
光ファイバが、光放射器からの光をセンサ10’へと運び、センサ10’から光検出器へと運ぶ。
【0148】
本発明の現時点の好ましい実施形態においては、光ファイバは、張力緩和のためのケブラー(Kevlar)補強を有する全二重ファイバである。光ファイバは、400〜700nmの領域の可視赤色光に合っている。1mmのコア直径、および2.2mmの全体直径を有している。動作温度範囲は、連続的には−25度から+100度までであり、短期的には最大120度である。ファイバ端の切断および研磨が、システムにとって重要である。ファイバは、9myスタンダードに従って3回の研磨ラウンドで研磨される。この研磨粒子サイズは、価格および光の減衰に関して最適である。ファイバ端のセンサ・ハウジング12’において、ファイバはシリコンで密封され、湿気がファイバに進入することがなく、ファイバ内部の沿面距離も生じ得ない。
【0149】
ガラス棒の機能は、光回転器であり、センサ10’における「モータ」である。ガラス棒は、620nmの波長で0.023min/G‐cmという低いベルデ定数を有するBK7材料で構成されている。ガラス棒は、端部において、S:Dが40:60に従って研磨され、材料は、成型後の製造において張力緩和されている。この材料は、温度に関して小さいベルデ定数の変化、信号のために小さいが充分なベルデ定数、および低いコストゆえに選択されている。
【0150】
ガラス棒の幅は、レンズとの最適さから選択されている。磁界と光ビームとの間の角度は、コサイン関数として記載できる。磁界が光を前にして90度である場合、回転作用は生じない。ガラス棒の長さは、信号出力に線形である。円形導体122におけるB磁場120が、図25に示されている。
【0151】
磁界による回転作用は、光と磁界との間の角度がより大きくなると減少する。システムにおける光の減衰も、良好な信号のために重要である。光がレンズによって曲げられるとき、それは最適な方向に対して完璧に真っ直ぐではなく、したがってガラス棒が長くなれば通過する光が少なくなる。ガラス棒の長さは、磁界の効果と光の減衰との間の最適さを見つけるための試験から、決定されている。
【0152】
図27には、ファイバ離間クリップ124が示されている。ファイバ離間クリップ124の機能は、ファイバを高電圧ケーブルから或る距離に固定することにある。クリップ124は、ファイバを圧迫して保持するように設計され、ファイバをパンドウイット・テフロン(登録商標)帯でケーブルへと固定するように設計されている。
【0153】
ファイバとケーブルとの間の距離は、熱的および電気的絶縁の理由で必要である。今日の光ファイバは、約120度のピーク温度に耐えることしかできない。電気ケーブルは、最大250度の温度にも達しうるため、熱的な絶縁距離が必須である。さらに、ファイバは、湿気の橋絡および生じうる沿面距離を避けるためにも、ケーブルから離間される。ファイバ離間クリップ124は、センサ・ハウジング12’に使用される材料と同じ材料であるPeekで成型される。
【0154】
センサ・クリップが、図28に示されている。クリップ126は、ケーブルとセンサ10’との間により大きな熱抵抗を生む。したがって、センサ10’が配線に直接取り付けられる場合、クリップ126が、センサの羽根44’へと圧入される。このクリップ126によれば、センサ10’の内部の温度が120度を超えることなく、300度のケーブル温度を可能にできる。
【0155】
図29および30は、本発明によるセンサを6つ含む試験において得られた試験結果を示している。グラフは、センサが導電体における電流の関数として直線的な特性を呈することを示している。
【0156】
図30は、6つのセンサの直線性の度合いを示している。
【0157】
図31は、センサの出力信号を、周囲の環境およびセンサの温度の関数として示したグラフである。
【0158】
本発明の理論的背景
単純な光ファイバ・ファラデー効果センサが、例えば変電所の導体または据え付けケーブルに取り付けられたとき、出力される光信号は、近傍のシステムからの磁界の干渉、導体の形状、センサの配置および導体までの距離の影響を受けやすい。さらに、出力される光信号は、システムの取り付けおよび構成の影響も受けやすい。
【0159】
本発明の目的は、近傍のインダクタからの磁界の干渉、導体の形状、測定装置からセンサまでの距離、さらには取り付けおよび設定について現場で補償を行うことによって、電流をファラデー効果によって測定するための正確な装置を実現することにある。
【0160】
この目的は、現場でのシステムの構成の際に、当該光ファイバ・システムによって測定されたデータを第三者の電流測定システムと比較することによって達成される。
【0161】
光ファイバ・システムによって測定されたB磁場を、Bmeasuredと称する。実際の電流は、方程式
【数2】

によって決定される。
【0162】
この較正方法は、近傍の導体からの線形な磁界の干渉、およびB磁場と電流との間の変換係数を解決する。この較正方法は、さらに製造公差、導体の形状、導体の直径およびバックグラウンドノイズを、すべて動作中の適用先に取り付けられたときに解決する。
【0163】
較正の後、第三者のシステムは取り去られ、光ファイバ電流測定システムが、単独の測定システムである。
【0164】
ともかくも、センサを使用することに加え、現場で較正されることが重要である。第三者の測定装置が、電流を測定するために使用される。この装置は、電流コイルまたは他の電流測定装置であってよく、較正されていて、それらについて周囲の磁界は無視でき、あるいは少なくとも測定が周囲の磁界によって影響されない。第三者の電流測定装置からの信号またはデータが、第三者の測定システムにおいて計算され、信号処理ユニットへと送られる。
【0165】
信号処理ユニットが、2つの装置からのデータを比較し、そのデータを保存する。或る期間の後、較正が停止され、各装置から保存されたデータが、合計される。第三者の電流測定システムからの合計データが、光学式センサからの合計データで除算される。この値が較正値として使用され、信号処理ユニットに保存される。第三者の測定システムおよび装置は、取り外すことができる。光学式システムが、今や自身が取り付けられている用途について正確な較正値を有している。
【0166】
3つの導体を備える構成においては、近傍の導体からの磁界が測定に影響を及ぼす可能性がある。導体に光ファイバ・ファラデー効果センサが取り付けられる。3つすべての導体からの磁界が、センサに影響を及ぼす。センサxによって測定されるB磁場は、
【数3】

である。
【0167】
較正中、
【数4】

が第三者の測定装置からのデータと比較される。この較正から、較正定数
【数5】

が割り出される。この定数は、3相すべてからの寄与を含んでおり、この定数が線形なB磁場についてのみ有効であるということを意味している。
【0168】
B磁場は、円形の導体については比較的知られているが、矩形の導体については知られていない。光ファイバ・ファラデー効果センサは、点の測定のみを生み、これは、B磁場の形状およびインダクタからの距離が重要なパラメータであることを意味する。センサの現場での較正は、さまざまなB磁場の形状およびインダクタからの距離を補償する。
【0169】
光学式ファラデー効果電流センサからの信号は、ACおよびDC成分で構成されている。AC成分は、時間変化する磁界がセンサへと加えられているときに存在する。DC成分は、DCまたは非磁界がセンサへ印加された場合に存在する。
【0170】
本発明の目的は、ACおよびDC成分を電気的に測定して光学系の経時劣化をソフトウェアで補償することにより、ファラデー効果によってACシステムにおける電流を測定するための正確な装置を実現することにある。この補償は、上述の補償に結び付けられている。
【0171】
DC成分の大きさは、センサへと磁界が印加されていないときは、光源から照射される光の出力、光学系における「光抵抗」、および検出器回路によって決まる。信号のAC成分とDC成分との間には、センサにDC磁界が印加されておらず、検出システムの長期変動が存在せず、かつ周囲の環境の温度に変化がないと仮定すれば、線形な一貫性が存在する。
【0172】
補償済みの光信号Uac_actualは、
【数6】

によって決定され、ここで、
ac_actualは、補償済みの光AC信号であり、
dc_actualは、実際に測定されたDC成分であり、
dc_calibは、システムが較正されたときに測定されたdc信号であり、
ac_measuredは、実際に測定された光AC信号である。
【0173】
上記の方程式は、光学的変化、温度、光源の性能の変化、検出器の性能の変化、および経時ゆえのセンサの光抵抗の変化に起因するDC成分の変化が、どのように補償されるのかを示している。
【0174】
以下は、本発明のプロトタイプ版についての説明である。
【0175】
本発明のプロトタイプ版においては、システムが、変電所を出入りする実際の電流および400Vの電圧を測定し、測定値をGSMモデムを介するSMSメッセージによって報告する。
【0176】
測定値は、すべてのチャネルについての実際の電流(直近の1秒について平均されている)、すべてのチャネルについてのピーク電流またはエネルギとその方向および時刻スタンプ、400Vの状態と最近のドロップアウトの時刻スタンプ、ならびにシステムの状態であってよい。
【0177】
値は、要求に応じて、さらには警報限界を超えたときに、保守技術員へと送信され、あるいはサーバへと送信される。
【0178】
多少複雑な計算も実装可能であり、またサンプリングレート、電流チャネルの数などを変えることもできる。基本的な構成ブロックは、電流の計算、ならびにDC信号による較正および補正である。
【0179】
本発明のプロトタイプ版は、組み込みのソフトウェアまたはファームウェアを有するプロセッサ・システムを備えている。システムのファームウェアの主たる仕事を、いくつかの仕事に分割することができる。すなわち、電流の測定および線形化、電流の方向および/または電力の方向の計算、DC信号による補正、およびサーバまたは保守員との通信である。
【0180】
本発明のプロトタイプ版では、6つの電流チャネルおよび3つの電圧チャネルが、光カプラーおよびADコンバータを介してファームウェアを有するプロセッサ・システム内に供給される。電流と電圧との間の位相が、電流または電力の方向を割り出すために使用される。
【0181】
システムの各電流チャネルは、主として、増幅器およびフィルタ部ならびに後続のADコンバータから構成されている。信号がADコンバータを通過したのち、ファームウェアが、信号のすべての後処理を実行する。
【0182】
各電流チャネルは、2つの信号に分割される。それらは、AC電流信号およびDC成分であり、両者ともADコンバータを通って供給される。光電流信号(UAC)が、実際の電流を計算するために使用される。光電流信号のDC成分が、劣化係数を計算するために使用される。
【0183】
DC成分と組み合わされた光学式センサからのDC信号(UDC)が、劣化係数を計算し、そこから実際の較正定数(KCalib)を計算するために使用される。
【数7】

【0184】
信号のDC成分が取り除かれ、RMS値が、数値の積分として計算される。この値が、較正定数(KCalib)によって乗算され、結果が実際のチャネルを流れている電流である。
【0185】
本明細書の例では50Hzであるが、例えば60Hzなど、他の周波数も使用可能である。
【0186】
計算は、50Hzの周期のそれぞれについて行われる。結果の後処理は、システムの通信部によって行われる。
【0187】
電流および電力の方向の検出または割り出しは、実際のチャネルについて電流と電圧との間の位相角を測定することによって行われる。
【0188】
位相角は、負荷の種類および電流または電力の方向によって決まる。実際の変電所の負荷の種類は、較正の際に選択される。インダクタ負荷において位相差が−90°と+90°との間である場合、電流または電力の方向は正である。
【0189】
電流の位相は、10kV回線上の光学式センサから把握される。電圧の位相は、10kVの電圧は監視されていないという事実ゆえ、400V回線から捉えられる。
【0190】
これに関しては、10kVが、中電圧レベルの例であり、400Vが、低電圧レベルの例である。本発明によるシステムは、中電圧および低電圧の両方を測定し、すなわち中電圧を低電圧へと変換する変圧器の両側で測定を行う。
【0191】
電圧の位相は、10kVから400Vへの変圧によって遅延する。したがって、位相は、変圧器ベクトル群の数値指数の30°倍で修正される。
【0192】
システムのファームウェアが、信号のDC成分を観察することによってシステムの劣化を補償する。これは、初期の較正定数を劣化係数で補正することによって行われる。
【0193】
本発明の現時点において好ましい実施形態においては、以下の方程式が使用される。
【数8】

【0194】
測定されたAC値のDC成分が、測定されたDC信号から減算され、インダクタ中を流れる電流のDC成分が除かれる。
【0195】
DCおよびUACの両者は、長時間(例えば、1分間)にわたってサンプリングされる。
【0196】
較正定数は、実際の電流の計算に使用されるほか、システム全体の状態の表示としても使用される。これの監視は、通信部において行われる。
【0197】
実際の電流および方向を計算した後、測定システムは、システム特有の計算を処理する。これらは、或る実装例と他の実装例とでは異なるであろう。
【0198】
モジュールAの説明
モジュールAは、図32に示されるモジュール構造を有している。
【0199】
データの収集
説明:
データの収集は、ハードウェアによってもたらされる入力をサンプリングすることによって行われる。それぞれの入力チャネルが、20msの期間の間に32回サンプリングされる。50Hzではない周波数を使用する実施形態においては、他の動作周波数期間が適用される。これは、本明細書の全体に当てはまる。データは、データのさらなる取り扱いを可能にする構造化されたやり方で保存される。図33が参照される。


【0200】
方法:
データの収集
モジュールは、サンプリングが3つの電圧および3つの電流線のそれぞれについて正確に20msの期間について32回行われるように保証する内部タイマーを有している。それぞれのサンプルが、後の使用のために保存される。これにより、同じ線についての2つのサンプルの間が625ナノ秒である192個のサンプルがもたらされる。
【0201】
それぞれのサンプル値が、所定のゼロ基準と比較され、サンプル値が基準を下回る場合、前のサンプルのサンプル番号が保存される。その線の2つの後続のサンプルが基準に対して比較され、その一方がゼロ基準以上である場合には、サンプル番号および検出がリセットされる。これは、ハードウェアの歪みによる「偽」のゼロ公差の検出を防止するために行われる。図34は、6つの線のうちの1つから収集された理論データの図式的表示である。
【0202】
完全な20msの期間が過ぎたとき、電圧(U)、電流(I)、および位相差(Θ)が、収集されたデータに基づいて計算される。式については後述する。
【0203】
計算において使用される種々の定数は、以下のセクションにおいて詳しく説明される。
【0204】
電圧の計算:
高電圧および低電圧の両者の計算は、変圧器の低電圧側について行われる測定(図35のV)に基づく。以下の式の連鎖が、変圧器の両側についての線‐中性点電圧および線間電圧の計算において行われる各段階を説明している。式における下付きxは、特定の線(A、B、またはC)を示している。
【0205】
低電圧側についての線‐中性点電圧の計算:
図36の太線が、線Aについての線‐中性点電圧を示している。
【0206】
値U calcが、サンプリングされた値の生の平均である。
【数9】

【0207】
線‐中性点電圧は、
【数10】

として計算され、
Calibrationは、較正の際にそれぞれの線について見いだされる較正係数(較正のセクションを参照)であり、
Gainは、ハードウェアの電流利得の選択によって定まる係数(利得のセクションを参照)である。
【0208】
低電圧側についての線間電圧の計算:
図37の太線が、線AおよびBの間の線間電圧を示している。
【0209】
線間電圧を計算するために、以下の式が使用される。
【数11】

【0210】
高電圧側についての線‐中性点電圧の計算:
【数12】

Transformerは、10kVから0.4kVへの変換時に使用される変圧器からの変換係数であり、
x‐0.4kVは、当該特定の線について変圧器の低電圧側を流れている電流であり、
TrafImpは、変圧器のインピーダンス(図35のZ)である。
【0211】
高電圧側についての線間電圧の計算:
高電圧側の線間電圧の計算は、低電圧側についてと同じやり方で実行される。以下の式が、線間電圧を計算するために使用される。
【数13】

【0212】
電流:
電流が、高電圧側または低電圧側のいずれかにおいて測定される。計算に使用される式は、両側について同じである。
【0213】
図38が、3つの線A、B、およびCについての電流I、I、およびIの測定を示している。
【0214】
使用される式は、
【数14】

である。
【0215】
線Aについて、以下の式が使用される。
【数15】

これが、各線について電流の計算:
【数16】

を与え、KAA、KAB、およびKACは、較正の際に計算される較正定数(較正のセクションを参照)である。
【0216】
位相差(Θ):
線がゼロ基準と交差する時間の計算は、ゼロ基準を下回っていない最後のサンプルのサンプル番号、ならびに交差の直前および直後のサンプルの値の間の線形補間にもとづく。図39が、補間を太線で示している。
【0217】
補間による線の勾配が、ゼロ交差の正確な時間を計算するために使用される。勾配は、以下のとおり計算される。
【数17】

sample x−1は、交差前のサンプルの値であり、
sample は、交差後のサンプルの値であり、
SameLineSampleは、同じ線の2つのサンプルの間の時間であり、625ナノ秒に等しい。
【0218】
基準線の上方の最後のサンプルから、補間による線が基準線を横切る時刻までの時間は、以下のとおり計算される。
【数18】

【0219】
それぞれの電圧および電流線についてゼロ基準交差の正確な時間が計算されると、電流線と電圧線との間の位相差を計算することが可能である。
【0220】
図40が、1組の電圧および電流測定結果について、位相差(Θ)を示している。
【0221】
以下の式
【数19】

が使用され、
U‐sampleは、基準線を交差する直前の電圧サンプルのサンプル番号であり、
I‐sampleは、基準線を交差する直前の電流サンプルのサンプル番号であり、
sampleは、2つのサンプル間の時間であって、20ms/192サンプルに等しい。
【0222】
補間の差が、
【数20】

として計算され、これによって低電圧の線‐中性点について測定された合計の位相差がもたらされ、
【数21】

ΘCalibrationは、モジュールによって引き起こされ、較正時に見い出される位相歪みであり、
Θ3phEffectは、2つの他の電流線によって実行される誘導による影響である。
【0223】
線‐中性点の位相差を使用し、線間の低電圧の位相差を計算することが可能である。
【数22】

ΘΔは、線の測定から位相の測定への変換によって生じる位相差である。
【0224】
位相差が、変圧器の高電圧側に関する計算に使用される場合、2つのさらなる係数を考慮に入れなければならない。
【0225】
ΘTrafoは、高電圧から低電圧への変換時に変電所によって引き起こされる位相の移動または変位である。この値は、変圧器のデータ・シートから取得できる変圧器ベクトル群の数値によって決定される。
【0226】
ΘTrafoLoadは、変圧器の内部インピーダンスおよび低電圧側の電流負荷によって引き起こされる低電圧の線‐線の測定の位相歪みである。この歪みは、低電圧側における電圧角度イメージと高電圧側における電圧角度イメージとの間の差である。モジュールは、低電圧側においてのみ電圧を測定するため、この歪みが考慮されなければならない。
【0227】
図41が、線Aの電圧歪みを示している。破線が高電圧側の電圧であり、実線が低電圧側の電圧である。
【0228】
低電圧側の線間電圧の実際の角度を使用し、これを線測定についての理論的角度から位相測定変換へと減算することによって、ΘTrafoLoadが計算される。
【数23】

【0229】
これが、高電圧の線‐中性点の電圧と電流との間の真の位相差を、
【数24】

としてもたらし、高電圧の線間の電圧と電流との間の真の位相差を、
【数25】

としてもたらす。
【0230】
較正
モジュールの設定の際に、正確な測定を保証するためにモジュールを較正しなければならない。作業者は、これをPCベースの較正プログラムを使用することによって実行する。この較正を実行するために、較正用装置を取り付けなければならない。較正の際に、PCが、モジュールおよび較正用装置によってもたらされる測定電圧、電流、および位相差を収集する。充分なデータを集めた後で、PCは、電圧および電流の測定値ならびに位相変位の定数についての較正係数を計算する。
【0231】
図42が、較正のデータを表示している。
【0232】
電圧の較正:
電圧の係数は、以下の式を使用して計算される。
【数26】

【0233】
電流の較正:
電流の較正は、3つのセンサのすべてが、後述の図43に示すようにケーブルによって生成される磁界を測定するという事実ゆえ、電圧の較正よりも複雑である。
【0234】
各ケーブルの磁界が他のケーブルの測定値に及ぼす影響を割り出すために、3つの線のすべてについて、以下の行列方程式を解かなければならない。以下の例は、線Aについての式を示している。
【数27】

【0235】
AA、KAB、およびKACを計算するために、モジュールは、異なる電流レベルにおいて3つの測定を実行しなければならない。値A、B、およびCが、センサによって行われた測定にもとづいて計算され、値I∠θ=(X,Y),I∠θ=(X,Y), およびI∠θ=(X,Y)が、較正用設備によって行われた測定に基づいて計算される。これらの値が計算されたとき、行列方程式が解かれて、定数が明らかになる。
【0236】
これらの工程が、線Bおよび線Cについても実行され、これらの線に関する定数を与える。
【0237】
位相の較正:
モジュールの位相変位定数は、
【数28】

として計算される。
【0238】
計算された係数および定数が、モジュールへと保存され、モジュールは、将来の測定のすべてにおいて、これらの係数および定数を使用して測定を調節する。
【0239】
LEDの経年劣化の補償
モジュールは、電力ケーブルの電流を測定するために、発光ダイオード(LED)を磁界によって引き起こされる光の偏向に組み合わせて使用している。経年劣化ゆえ、LEDによって発せられる光の強度が、時間がたつにつれて低下する。
【0240】
図44が、このような低下を示している。
【0241】
モジュールによって行われる測定が、強度の変化に比例して変化し、測定を無効にしてしまう。
【0242】
この影響に対抗するため、モジュールは、較正時の各LEDの光の強度を保存している。LED補償係数が
【数29】

として常に計算される。
【0243】
LEDの強度は、内部の監視にも使用される(内部監視のセクションを参照)。
【0244】
利得の調節
モジュールは、精密さを失うことなく広い範囲の電流および電圧を測定することができるよう、利得機構を使用する。この機構は、電流測定について4つの利得レベルを有し、電圧測定について2つの利得レベルを有している。モジュールは、通常の測定においては、最大の範囲の電流および電圧を測定できるよう、高利得の領域で動作している。しかしながら、考えられるエラーが検出された場合には、モジュールは、収集データのオンライン評価を実行し、それに応じて利得レベルを調節する。これにより、エラーの計算を実行するときに、考えられる最大の精密さが保証される。
【0245】
調節に使用される一般的な式は、以下のとおりである。すなわち、
(利得Xにおいて測定された値)/(利得Xの総範囲)<(所定の割合)
である場合には、利得をより低いレベルへと調節し、
(利得Xにおいて測定された値)/(利得Xの総範囲)>(所定の割合)
である場合には、利得をより高いレベルへと調節する。
【0246】
好ましくは、高低の所定の割合について2つのしきい値が定められる。
【0247】
電圧および電流の計算に使用される定数Kgainは、現在選択されている利得に依る。
【0248】
データの分析
説明:
データの分析は、収集したデータに基づく。モジュールが、収集したデータについて種々の計算を実行し、監視対象の電力ネットワークにおいてデータ・センターへと報告すべきエラー状態が生じたか否かを判断する。図45を参照されたい。
【0249】
これに関連して、エラーという用語は、エラーおよび故障の両者を包含して使用される。


【0250】
方法:
入力値が、種々の計算の実行に使用される。以下のリストは、実行される計算のそれぞれを記載する。
【0251】
有効および無効電力
モジュールは、監視対象の電力ケーブルに存在する有効および無効電力を計算することができる。有効電力(P)および無効電力(Q)の計算は、各線について同一であり、式
【数30】

を使用してリアルタイムで実行される。
【0252】
総電力の計算に使用される式は、モジュールが変電所の高電圧側または低電圧側のいずれを監視しているのかに応じて異なる。これは、モジュールが、常に変圧器の低電圧側の電圧を測定しているという事実ゆえである。
【0253】
高電圧側については、総電力を計算するために以下の式が使用される。
【数31】

【0254】
低電圧系においては、以下の式が使用される。
【数32】

【0255】
高電圧側を監視しているモジュールにおいては、計算された電力は、データ・センターがそれを特に要求した場合にのみ、データ・センターへと送られる。低電圧系においては、15分間にわたる平均による日々のピーク電力が、1日について1回保存され、8日間にわたって保管される。
【0256】
消弧リアクトル(ピターソンコイル)/共振接地のMVネットワークにおける地絡検出
モジュールは、地絡(EF)が発生したか否かを検出するために、高調波電流の量を使用する。モジュールは、EFを検出するために、運転員の定める3つの値を使用する。
【0257】
EFrefは、どの検出法を使用すべきかを決定するために使用される基準値である。
【0258】
EFfactorは、平均の高調波電流の量がEFrefを超える場合にEFを検出するために使用される係数である。
【0259】
EFconstは、平均の高調波電流の量がEFrefを下回る場合にEFを検出するために使用される定数である。
【0260】
EF検出は、高調波値の長期および短期の平均に基づく。モジュールは、10分間の平均(H10min)および100msの平均(H100ms)を常に計算している。
【0261】
EFの検出に使用される方法は、H10minおよびEFrefに依り、後述のとおりである。
【0262】
方法1(H10min>EFref
分数H100ms/H10minがEFfactorよりも大きい場合、エラーが検出され、このエラー(すなわち、地絡警報)が、データ・センターへと送信される。次いで、H10minが保存され、分数H100ms/H10minが再びEFfactorよりも小さくなるまで更新されない。分数H100ms/H10minが再びEFfactorよりも小さくなると、モジュールは、EF警報をリセットし、再びEFを検出できるようになる。
【0263】
図46が、方法1を使用したエラー検出を示している。
【0264】
方法2(H10min≦EFref
100msthe fractionがEFconstよりも大きくなる場合に、エラーが検出され、このエラーが、データ・センターへと送信される。
【0265】
100msが当該EFconstよりも小さくなるとき、またはH10minがEFrefよりも大きくなるときに、EFがリセットされる。
【0266】
図47が、方法2を使用したエラー検出を示している。
【0267】
地絡検出‐非接地または抵抗接地のMVネットワーク
センサおよびモジュールは、中性点が非接地または抵抗接地であるMVネットワークの地絡検出にも適している。
【0268】
これらのネットワークにおける地絡の検出は、線または変圧器ベイを流れるゼロ・シーケンス電流の存在および大きさに基づく。ゼロ・シーケンス電流は、3相の電流ベクトルからスカラー和によって導出される。
【数33】

【0269】
地絡事故のないネットワークにおいては、ゼロ・シーケンス電流は、ほぼゼロであり、ネットワークの自然の非対称のみがゼロ・シーケンス電流の原因である。地絡の場合には、ゼロ・シーケンス電流の大きさが、数レベル上昇する。
【0270】
中性点非接地のネットワークにおいては、ゼロ・シーケンス電流が、容量性の地絡電流の合計に等しくなる。中性点抵抗接地のネットワークにおいては、ゼロ・シーケンス電流が、接地抵抗の選択に応じて同じ大きさ、またはさらに大きくなる。
【0271】
電力系統の保護の実務に応じて、これらの種類のネットワークにおける地絡は、手作業による位置特定の後に解消されないままに残され、あるいは約100ms以上の後に自動的にトリップされる。これは、完全に本システムの能力の範囲内である。
【0272】
ゼロ・シーケンス電流の大きさおよび継続時間をユーザによって設定できる限界と比較することによって、本システムは、地絡に対して地絡警報を発することによって応答することができる。
【0273】
短絡の検出
モジュールは、短絡エラー(SCE)について電力ネットワークを常に監視する。モジュールは、運転員の定める3つの電流レベル(ISC‐X)であって、各線においてSCEが生じたときに存在する最小の電流レベルを示している3つの電流レベル(ISC‐X)を有している。
【0274】
SCEが生じたとき、モジュールは、エラーを検出し、エラーの方向および距離を計算するために必要なデータを測定するために、約100msすなわち5つの電力系統周期を有する。図48は、SCEの際の電流および電圧の挙動を示している。SCEの際に電圧が低下し、電圧が低下しすぎるとモジュールが電圧がゼロ基準を交差する時間を検出できなくなる点に、注意することが重要である。この場合には、最後に検出されたゼロ交差時間が、理想的な20msの期間を使用して外挿される。
【0275】
モジュールは、SCE時の5周期の間に以下の行為を実行する。
【0276】
SCEの継続時間の最初の完全な1周期が、モジュールによってエラーを検出するために使用される。エラーは、I>ISC‐Xとして定められる。
【0277】
SCEの継続時間の第2の完全な1周期が、短絡エラーにおいて存在するおおよその電流を測定するために使用される。この近似値が、エラーの測定のためにモジュールが使用する利得レベルの決定に使用される。
【0278】
SCEの第3の完全な1周期は、モジュールがこの周期をすべての電流線について正しい利得レベルを設定するために使用するので、使用されない。
【0279】
SCEの第4および第5の周期が、先の周期においてなされた利得の変更ゆえに、可能な最高の分解能で測定される。測定されたデータは、エラーの方向および距離に関するさらなる計算のために保存される。
【0280】
SCEの第5の周期の後、モジュールは、測定されたデータを評価する。第4および第5の周期からの測定値が、精度向上のために平均される。各線について平均された電流が、ISC‐X値と比較され、平均電流がこの値を上回っている場合、その線においてエラーが生じている。
【0281】
エラーの方向および距離が計算されたとき、それぞれの線についてのピーク電流、エラー方向、およびエラー距離が、データ・センターへと送信される。
【0282】
短絡エラーの方向
各線の短絡エラーの方向は、エラーの際の電流と電圧との間の平均の位相差(Θavg)に基づいて計算される。運転員が、どちらの位相差が前方方向を表わす信号を与え、どちらの位相差が後方方向を表わす信号を与えるのかを定める定数(KMTA)を決定する。
【0283】
使用される位相差は、エラーが2相であるか、あるいは3相であるかに依る。
【0284】
図49が、MTAに依存する前方および後方の通知を説明している。前方通知の領域は、MTAベクトルを中心とする半円の領域である。後方または反対方向の通知の領域は、MTAベクトルの反対側の半円領域である。
【0285】
前方方向は、Θavg≦MTA+/−90°として定義され、後方方向は、−Θavg=MTA+/−90°として定義される。
【0286】
短絡エラーまでの距離
短絡エラーまたは故障位置までの距離は、エラーの際に集められた平均の電圧、電流、および位相差を使用して計算される。計算は、エラーの種類に依存する。距離は、リアクタンスまたはインダクタンスとして定義される故障までの電気的な距離として決定される。
【0287】
エラーが2相のエラーである場合、以下の式が使用される。
【0288】
エラーが、相1と相2との間である場合
【数34】

【0289】
エラーが、相2と相3との間である場合
【数35】

【0290】
エラーが、相3と相1との間である場合
【数36】

【0291】
考えられるアーク抵抗およびインダクタ抵抗の温度依存性の影響は、故障までの抵抗ではなくて、故障までのリアクタンスまたはインダクタンスを使用することによって除かれる。
【0292】
図50が、相Aと相Bとの間のエラーを示している。
【0293】
エラーが3相のエラーである場合、以下の式が使用される。
【数37】

【0294】
図51が、全3相の間のエラーを示している。
【0295】
故障方向の検出の現時点における好ましい実施形態を、以下に説明する。
【0296】
故障の方向の割り出し
故障の方向(すなわち、電力の流れの方向)は、基準電圧とベイを通過して流れるMV故障電流との間の角度に注目することによって割り出される。短絡の際、電圧および電流の位相ベクトルの間の角度は、主としてDISCOSステーションと故障位置との間の線のリアクタンス(Xline)および線の抵抗(Rline)によって決定される。単線図においてMV短絡の際のMVの電圧および電流の位相ベクトルを示している図131を参照されたい。
【0297】
最大トルク角(MTA)が、方向の通知が最大の感度を有する相対角度を決定し、
MTA=Arctan(Xline/Rline
として計算することが可能である。相対角度が、MTA±90°である場合、「F」(前方)であるとの通知が、故障した相について発せられる。相対角度が、÷MTA±90°である場合、「B」(反対/後方)であるとの通知が、故障した相について発せられる。MTAの正確な計算は必要とされず、切り替わりの角度がMTA±90°である。MVのケーブルおよび架空線のネットワークについては、MTAの典型的な値は、それぞれ25°〜45°および35°〜55°である。「幅広い」方向性の特徴が、方向の決定を劣らせることなく最大±90°までの位相の偏移を可能にする。したがって、近くの故障に電圧メモリを使用して導入される誤差は重大でない。
【0298】
MV電圧の代替としてのLV電圧の使用
理論的には、MV電圧を基準電圧として使用すべきである。これは、変圧器を通常は送り込みのステーションにおいてのみ見つけることができる配電ネットワークにおいては、好都合でない。MV/LV変圧器を備えるステーションにおいて、代わりに、本システムは、変圧器の二次電圧を基準電圧として使用する。電圧ベクトルが変圧器ベクトル群および変圧比について補正される。基準電圧およびベクトル群の補正の選択は、後述のように故障の種類に依る。
【0299】
3相短絡
線ベイの3相のすべての電流が、短絡ピックアップ値を超えた場合、3相短絡状態が検出される。故障が対称的であるため、電圧および電流システムも、対称であると見なすことができる。したがって、UL1,0.4kVを、UL1,10kVなどの代わりに基準電圧として使用することができる。MV電圧の位相角Arg(UL1,10kV)が、LV電圧の位相角Arg(UL1,0.4kV)から計算され、v×30°を通って転向され、ここで「v」は変圧器のベクトル群であり、すなわちDyn5の変圧器について「5」である。
【0300】
例:
− Dyn 5の変圧器においては、LV電圧の位相角は+150°(正のシーケンス、反時計方向)にわたって転向される。
− Dyn 11の変圧器においては、LV電圧の位相角は+330°(正のシーケンス、反時計方向)にわたって転向される。
【0301】
方向の決定は、以下の電圧および電流の位相ベクトルの相に関する比較によって実行される。

【表2】

【表3】

【0302】
次いで、基準電圧と電流との間の相対角度Arg(Z)が、相に関して計算される。
【0303】
例:
− Dyn 5の変圧器;相L1:
【数38】

− Dyn 11の変圧器;相L1:
【数39】

【0304】
次いで、相対角度がMTAに対して比較される。
− Arg(ZLx)が、MTA±90°の範囲にある場合、「F」(前方)であるとの通知が、相xについて発せられる。
− Arg(ZLx)が、÷MTA±90°の範囲にある場合、「B」(反対/後方)であるとの通知が、相xについて発せられる。
【0305】
3相の短絡については、故障位置は通常は3相すべてについて同じである、したがって、通知は、通常は「FFF」または「BBB」である。
【0306】
故障の際の変圧器負荷ゆえの電圧低下は、無視される。
【0307】
2相短絡および2重地絡(「クロス‐カントリー」故障)
線ベイの2相の電流が、短絡ピックアップ値を超えた場合、2相短絡状態が検出される。1相の電流のみがピックアップ値を超えた場合、「クロス‐カントリー」故障状態が想定される。遠方の故障について、MVの電圧および電流の位相ベクトル(太い矢印および開いた矢印)の間の相対角度が、図131に示されている。
【0308】
近い故障、すなわちDISCOSステーションの付近の故障においては、故障した相の間の残りのMV線電圧は、例えばL1‐L2故障の際のUL12,10kVであるが、ゼロまたはゼロの付近になりうる。MVの電圧および電流の位相ベクトルの間の相対角度が、図133に示されている。
【0309】
故障の位置にかかわらず正しい方向の決定を保証するために、例えばL1‐L2故障の際のUL23,10kVであるが、「健全」なMV線電圧のうちの1つが分極のために使用されなければならない。この方法は、「交差分極」としても知られている。
【0310】
基準電圧は、故障電圧に対して直角である。これが、次のとおり補正される。
− UL23 10kVは、90°だけUL12 10kVに遅れている。したがって、UL23 10kVが、+90°にわたって転向される。
− UL31 10kVは、90°だけUL23 10kVに遅れている。したがって、UL23 10kVが、+90°にわたって転向される。
− UL12 10kVは、90°だけUL31 10kVに遅れている。したがって、UL23 10kVが、+90°にわたって転向される。
【0311】
MV線電圧に代え、同様のLV位相電圧が使用される。例えば、
− Dyn 5の変圧器において、UL1 0.4kVがUL12,10kVと同様である。したがって、LV電圧の位相角度が、MV電圧の角度を直接置き換える。
− Dyn 11の変圧器において、÷UL1 0.4kVがUL12,10kVと同様である。したがって、LV電圧の位相角度が+180°にわたって転向され、MV電圧の角度を置き換える。
【0312】
方向の決定は、以下の電圧および電流の位相ベクトルを相に関して比較することによって実行される。
【0313】
故障ループおよび基準電圧の選択;2相短絡、Dyn5の変圧器:
【表4】

【0314】
故障ループおよび基準電圧の選択;2相短絡、Dyn11の変圧器:
【表5】

【0315】
次いで、基準電圧と電流との間の相対角度Arg(ZLX)が、相に関して計算される。
【0316】
Dyn5の変圧器;相L1、L2、およびL3:
【数40】

【0317】
Dyn11の変圧器;相L1、L2、およびL3:
【数41】

【0318】
次いで、相対角度がMTAに対して比較される。
− Arg(ZLx)が、MTA±90°の範囲にある場合、「F」(前方)であるとの通知が、相xについて発せられる。
− Arg(ZLx)が、÷MTA±90°の範囲にある場合、「B」(反対/後方)であるとの通知が、相xについて発せられる。
【0319】
故障までの距離が、電圧低下の程度を決定する。電圧降下が完全でない場合、交差分極がArg(ZLx)を最大±30°にわたって転向させうる。しかしながら、「幅広い」方向性の特徴ゆえ、方向の決定が損なわれることはない。
【0320】
「真」の2相短絡(同じ故障位置)においては、通知が、故障した相について同じ方向を示し、すなわち「FF‐」、「F‐F」、「‐FF」、「BB‐」、「B‐B」、または「‐BB」である。「クロス‐カントリー故障」(異なる故障位置)においては、通知が、故障した相について同じまたは反対の方向を示す(各相の電力の流れの方向に従って)。
【0321】
故障までの電気的距離
測定された電圧および電流に基づき、モジュールAは、故障までの電気的な距離を定めることができる。故障までの距離の計算は、2相および3相の故障の際にのみトリガされる。地絡および「クロス‐カントリー」故障については、測定が地絡電流の戻り経路によって左右されてしまうため、故障までの距離は計算されない。
【0322】
3相短絡
3相短絡については、以下の故障ループが考慮される。図134を参照されたい。
【0323】
図134に示されているとおり、システム測定点から故障位置までの見掛けのインピーダンスZLXを、それぞれのMV電圧ULXおよび電流ILXから計算することができる。
【0324】
故障が対称的であるため、電圧および電流システムも、対称であると見なすことができる。したがって、UL1,0.4kVを、UL1,10kVなどの代わりに電圧として使用することができる。
【0325】
MV電圧UL1,10kVが、n倍されたLV電圧UL1,0.4kVで代用される。「n」は、一次の相電圧と二次の相電圧との間の変圧比である。
【0326】
次いで、見掛けのインピーダンスが、以下の電圧および電流の位相ベクトルから計算される。
【0327】
故障ループならびに電圧および電流の位相ベクトルの選択;3相短絡:
【表6】

【0328】
故障位置までのインピーダンスが、平均値として計算される。
【数42】

【0329】
インピーダンスZ(および、抵抗R)は、どちらの量も接地システムならびに地絡戻り経路の抵抗、導体の抵抗(温度に依存する)、および故障位置のアーク抵抗によって異なってくるため、電気的距離の測定には適していない。他方で、リアクタンスXは、故障ループの導体の幾何にのみ依存する。これは一定であるため、見掛けのリアクタンスが、故障までの電気的距離の指標として理想的である(単位はオーム)。
【数43】

【0330】
2相短絡
2相短絡については、以下の故障ループが考慮される。(例は、L1‐L2の故障を示している)。MV2相短絡の際のMV電圧および電流の位相ベクトルについては、図135を参照されたい。
【0331】
すでに示したように、システム測定点から故障位置までの見掛けのインピーダンスZLXを、それぞれのMV電圧ULXyおよび電流ILXから計算することができる。MV線電圧の代わりに、同様のLV相電圧が使用される。例えば、
− Dyn 5の変圧器において、UL1 0.4kVがUL12,10kVと同様である。したがって、変圧比「n」および√3で乗算したLV相電圧が、MV線電圧を置き換える。
− Dyn 11の変圧器において、÷UL1 0.4kVがUL12,10kVと同様である。したがって、変圧比「n」および√3で乗算し、+180°にわたって転向させたLV相電圧が、MV線電圧を置き換える。
【0332】
次いで、見掛けのインピーダンスが、以下の電圧および電流の位相ベクトルから相に関して計算される。
【0333】
故障ループならびに電圧および電流の位相ベクトルの選択;2相短絡、Dyn5の変圧器:
【表7】

【0334】
故障ループならびに電圧および電流の位相ベクトルの選択;2相短絡、Dyn11の変圧器:

【表8】

【0335】
故障位置までのインピーダンスが、下記のとおり計算される(例は、L1‐L2の故障、Dyn5の変圧器を示している)。
【数44】

係数0.5は、故障位置までのインピーダンスの2倍であるループのインピーダンスを補正している。既に述べた理由のため、見掛けのリアクタンスが、故障までの電気的距離の指標として使用される(単位はオーム)。
【数45】

【0336】
電気的距離の物理的距離への変換
モジュールAによって計算された故障までの距離は、オームを単位とする電気的な距離である。電気的距離を物理的な距離に変換するためには、比リアクタンス(Ω/km)およびシステム測定点と故障位置との間のすべてのMV線の実際の長さ(km)についての情報が必要である。
【0337】
線データは、通常は、例えば企業のERPシステムにおいてサーバ・レベルで入手可能である。
【0338】
外部とのやりとり
説明:
モジュールは、周囲の環境の制御に使用することができる複数の外部の入力および出力(I/O)を有している。これらのI/Oは、あらかじめ定められた機能は有しておらず、任意の汎用目的に使用することが可能である。


【0339】
方法:
入力の監視
モジュールは、2つのバイナリ入力を常に監視する。入力のいずれかに変化が検出されたとき、モジュールはデータ・センターへとメッセージを送信する。また、両方の入力の状態が、モジュールのマン‐マシン‐インターフェイスに表示される(通信のセクションを参照)。
【0340】
出力の制御
モジュールは、出力状態を変化させるための選択肢をデータ・センターに提供する。これは、モジュールへとメッセージを送信することによって行われる。モジュールは、データ・センターからのメッセージを受け取ると、それに従って出力を変化させる。
【0341】
さらに、両方の出力の状態が、モジュールのマン‐マシン‐インターフェイスに表示される(通信のセクションを参照)。
【0342】
アナログ入力
モジュールは、4〜20mAの入力および0〜5Vの入力という2つのアナログ入力を常時監視している。警報のためのレベルを設定することができ、実際の値を要求に応じて与えることができる。
【0343】
開放相の検出
モジュールは、監視対象の電力ネットワークの開放相の故障を検出することができる。開放相の故障は、以下の計算を使用して検出する。
【数46】

【0344】
割合Imin/Imaxが、運転員の定める値よりも小さく、かつIavrgが、運転員の指定する値よりも大きく、測定された電圧のいずれもが、先に定められた「電圧なし」しきい値を下回らない場合、モジュールは、開放相のエラーが生じたものと想定する。これにより、モジュールがデータ・センターへと警報メッセージを送信する。図52が、線Aについての開放相のエラーを示している。
【0345】
外部とのやりとり
説明:
モジュールは、周囲の環境の制御に使用することができる複数の外部の入力および出力(I/O)を有している。これらのI/Oは、現在のところ変電所の遮断器回路へとマップされているが、多数の他の目的に使用することが可能である。図53が参照される。


【0346】
方法:
遮断器の監視
モジュールは、遮断器回路を常に監視している。現在の構成は、遮断器が閉じている場合に第1の入力を高(ハイ)にし、遮断器が開いている場合に第2の出力を(高)ハイにする。遮断器の状態に変化が検出された場合には、モジュールは、データ・センターへとメッセージを送信する。また、現在の遮断器の状態が、モジュールのマン‐マシン‐インターフェイスに表示される(通信のセクションを参照)。
【0347】
遮断器の制御
モジュールは、遮断器を開放する選択肢をデータ・センターへと提供する。これは、モジュールへとメッセージを送信することによって行われる。モジュールは、遮断信号を受け取ると、バイナリ出力を高(ハイ)に設定する。バイナリ出力は、モジュールが遮断器の開放を検出するまで高(ハイ)に保たれ、あるいはモジュールが、20秒間または他のユーザ定義の時間期間にわたって、遮断器を開こうと試みる。この2つの出来事のどちらかが生じると、モジュールは、現在の遮断器の状態についてのメッセージをデータ・センターへと送り返す。モジュールが、遮断器の状態を変化させようと試みているとき、それがマン‐マシン‐インターフェイスに表示される(通信のセクションを参照)。
【0348】
内部の監視
説明:
モジュールは、継続的に正しい挙動を保証するとともに、欠陥の場合にそれらを検出して欠陥の深刻さに応じてインテリジェントに動作する自己サービスの特徴を有している。モジュールの状態が、マン‐マシン‐インターフェイスに表示され、同時にデータ・センターへと通信される(通信のセクションを参照)。図52が参照される。


【0349】
方法:
内部の電圧
サンプルされた内部電圧が、運転員が定める一組の値に対して照合される。電圧が値を下回っている場合、警報イベントがトリガされる。警報は、電圧が低電圧トリガよりも有意に高いとき、キャンセルされる。図55が、この挙動を示している。
【0350】
モジュールの温度
サンプルされた温度は、電圧とは少し異なる様相で取り扱われる。運転員が、認容される温度「帯」を定める。この帯が破られた場合に警報がトリガされ、温度が再び有意に帯の内側にある場合に、警報がリセットされる。図56が、この挙動を示している。
【0351】
発光ダイオードの監視
LEDの光の強度が監視され、運転員によって定められる2つの値LEDServiceおよびLEDDefectと比較される。LED強度のうちの1つが、LEDServiceを下回って低下する場合、システムは「保守(点検)」状態に入り、データ・センターへの通知が行われる。LED強度のうちの1つが、LEDDefectを下回って低下する場合、システムは「不良」状態に入り、データ・センターへの通知が行われる。
【0352】
ソフトウェアの監視
モジュールのソフトウェアにおける種々の動作が、エラー事象を引き起こしうる。これらのエラーのうちのいくつかは重要ではなく、時々生じうる。これらのエラーについての統計が集められ、頻繁に生じている場合、または重要なエラーが生じている場合に、メッセージがデータ・センターへと送信され、モジュールの状態が更新される。
【0353】
モジュールの状態
モジュールの状態は、エラーおよび通常の製品の動作によって変化する。モジュールの状態は、モジュールがどのように機能するかを決定する。4つの状態が存在する。
・受動
・保守
・能動
・不良
【0354】
図57が、各状態および考えられる各状態の間の移行を示している。
【0355】
不良状態へは、エラーが通常の動作を妨げている場合に移行する。保守技術者のみが、不良状態から能動状態への変更を行うことができる。
【0356】
保守状態へは、重要でないエラーのしきい値に達したときに移行する。保守状態にあるとき、すべての測定は通常どおり行われるが、この状態は、問題が重大になる前に補修のために手作業による保守が必要である旨を示している。保守技術者が、モジュールを保守状態から能動状態へと変化させる。
【0357】
能動状態は、モジュールが設置、較正、および通常どおりに動作するときの標準的な状態である。能動状態からの変化は、エラーまたは技術者によって引き起こされる。
【0358】
受動状態は、未較正のモジュールが出発する状態である。モジュールが較正を必要としていることを示している。モジュールのこの状態は、較正されたときに能動状態へと変化する。
【0359】
システムの状態および警報は、マン‐マシン‐インターフェイスと密に協働する(通信のセクションを参照)。
【0360】
通信
説明:
モジュールの通信は、2つの機能を含んでいる。
1)10個のLEDで構成されるマン‐マシン‐インターフェイス。これらのLEDが、モジュールの現在の状態を現場の運転員にとって視認可能にするために使用される。
2)モジュールは、CANバスに接続されている。これにより、モジュールは、CANバス上の他のモジュールと通信でき、モジュールが較正されるときにPCと通信することができる。図58が参照される。


【0361】
方法:
マン‐マシン‐インターフェイス
モジュールのマン‐マシン‐インターフェイス(MMI)が、ユニットの現在の状態を表示する。MMIは、図59のようである。
【0362】
MMIは、以下の機能を有する10個のLEDを有している。
1〜3) これらのLEDは、緑色、黄色、および赤色であり、ユニットの状態を表わしている。それらは、「ユニットOK」、「保守が必要」、および「ユニット不良」をそれぞれ表わしている。
4) 4番目のLEDは、前方方向のエラー、すなわち短絡が生じたことを示している。
5)
5番目のLEDは、後方方向のエラー、すなわち短絡が生じたことを示している。
6)
6番目のLEDは、地絡エラーが生じたことを示している。
7〜9)
これら3つのLEDは、それぞれ「遮断器開放」、「遮断器閉鎖」、および「遮断器開放中」または「遮断器がモジュールによってトリップされた」をそれぞれ表わしている。
10)
10番目のLEDは他のLEDよりも大きく、システムがPCの較正ソフトウェアによって較正されているときに点滅する。また、ユニットが外部のGSM通信を送信または受信しているときにも点滅する。さらに、このLEDはボタンとしても機能し、5秒間にわたって押し下げられた場合にシステムをリセットする。
【0363】
CAN通信
システムのすべてのモジュールは、産業用の形式のCANバスによって互いに接続されている。このバスは、運転員がユニットの較正を望むときに使用される。モジュールの較正に先立ち、較正用ソフトウェアを有するPCが、CANバスへと接続される。
【0364】
ソフトウェアは、開始されると、CANバス上のすべてのモジュールと通信し、各モジュールに固有のID番号を提供する。このID番号が、当該特定のモジュールへの将来のすべてのメッセージ、および当該特定のモジュールからの将来のすべてのメッセージにおいて使用される。
【0365】
さらに、CANバスは、モジュールAが電力ネットワークの遮断器またはトリップを動作させたい場合にも使用される。動作は、システム・バスを介して供給される電力を必要とし、遮断またはトリップの際の電力の使用を最小限にするため、任意の所与の時点においては、ただ1つのモジュールAのみが遮断器を動作させることを許される。これは、「遮断器トークン」によって保証される。トークンは、通常の動作の際にはモジュールBによって保持されており、モジュールAは、遮断器を動作させたいと望む場合にトークンを要求する。モジュールBがトークンを有している場合、そのトークンを要求元のモジュールAへと与える。モジュールAは、遮断が実行されると、トークンをモジュールBへと戻す。
【0366】
最後に、CANバスは、モジュールCとの通信のためにモジュールによって使用される。データ・センターへと送信されるべきすべての情報が、CANバス上のメッセージとしてモジュールCへと送信される。データ・センターから送信されるすべてのメッセージは、モジュールCによって受信され、CANバスを使用することによって正しいモジュールへと転送される。これらのCANメッセージがデコードされ、モジュールが、データ・センターによって要求された動作を実行する。データ・センターは、現在のモジュール測定値を要求でき、遮断器の状態を要求でき、さらには遮断器の状態の変化を要求できる。
【0367】
モジュールBの説明
モジュールBは、図60に示すようなモジュール構造を有している。
【0368】
データの収集
説明:
データの収集は、ハードウェアによってもたらされる入力をサンプリングすることによって行われる。それぞれの入力チャネルが、20msの期間の間に32回サンプリングされる。データは、データのさらなる取り扱いを可能にする構造化されたやり方で保存される。図61が参照される。


【0369】
方法:
データの収集
モジュールは、サンプリングが3つの電圧線のそれぞれにおいて正確に20msの期間について32回行われるように保証する内部タイマーを有している。それぞれのサンプルが、後の使用のために保存される。これにより、同じ線についての2つのサンプルの間が625ナノ秒である96個のサンプルがもたらされる。
【0370】
それぞれのサンプル値が、所定のゼロ基準と比較され、サンプル値が基準を下回る場合、前のサンプルのサンプル番号が保存される。その線の2つの後続のサンプルが基準に対して比較され、その一方がゼロ基準以上である場合には、サンプル番号および検出がリセットされる。これは、ハードウェアの歪みによる「偽」のゼロ公差の検出を防止するために行われる。図62は、3つの線のうちの1つから収集された理論データの図式的表示である。
【0371】
完全な20msの期間が過ぎたとき、真の電圧(U)が、収集されたデータに基づいて計算される。式については後述する。
【0372】
計算において使用される種々の定数は、以下のセクションにおいて詳しく説明される。図63が参照される。
【0373】
モジュールBは、変圧器の低電圧側の電圧(図63のV)のみを興味の対象としており、以下の式の連鎖が、線‐中性点電圧および線間電圧の計算において行われる各段階を説明している。式における下付きxは、特定の線(A、B、またはC)を示している。
【0374】
線‐中性点電圧の計算:
図64の太線が、線Aについての線‐中性点電圧を示している。
【0375】
値U calcが、サンプリングされた値の生の平均である。
【数47】

【0376】
線‐中性点電圧は、
【数48】

として計算され、
Calibrationは、較正の際にそれぞれの線について見い出される較正係数(較正のセクションを参照)であり、
Gainは、ハードウェアの電流利得の選択によって定まる係数(利得のセクションを参照)である。
【0377】
線間電圧の計算:
図65の太線が、線AおよびBの間の線間電圧を示している。
【0378】
線間電圧を計算するために、以下の式が使用される。
【数49】

【0379】
較正
モジュールの設定の際に、正確な測定を保証するためにモジュールを較正しなければならない。作業者は、これをPCベースの較正プログラムを使用することによって実行する。この較正を実行するために、較正用装置を取り付けなければならない。較正の際に、PCが、モジュールおよび較正用装置によってもたらされる測定電圧、電流、および位相差を収集する。充分なデータを集めた後で、PCは、電圧についての較正係数を計算する。
【0380】
図66が、較正のデータを表示している。
【0381】
電圧の較正:
電圧の係数は、以下の式を使用して計算される。
【数50】

【0382】
利得の調節
モジュールは、精密さを失うことなく広い範囲の電圧を測定することができるよう、利得機構を使用する。この機構は、電圧測定について2つの利得レベルを有している。モジュールは、収集データのオンライン評価を実行し、それに応じて利得レベルを調節する。これにより、考えられる最高の精密さが常に保証される。
【0383】
調節に使用される一般的な式は、以下のとおりである。すなわち、
(利得Xにおいて測定された値)/(利得Xの総範囲)<(所定の割合)
である場合には、利得をより低いレベルへと調節し、
(利得Xにおいて測定された値)/(利得Xの総範囲)>(所定の割合)
である場合には、利得をより高いレベルへと調節する。
【0384】
電圧の計算に使用される定数Kgainは、現在選択されている利得に応じて決まる。
【0385】
好ましくは、高低の所定の割合という2つのしきい値が定められる。
【0386】
データの分析
説明:
データの分析は、収集したデータに基づく。モジュールが、収集したデータについて電圧の監視を実行し、監視対象の電力ネットワークにおいてデータ・センターへと報告すべきエラー状態が生じたか否かを判断する。図67を参照されたい。


【0387】
方法:
電圧が、電圧故障が生じたか否かを判断するために使用される。
【0388】
電圧の監視
モジュールは、変圧器の低電圧側を監視している場合、電圧レベルを常に監視している。電圧レベルが、運転員の指定する測定の限界を超えると、モジュールは、データ・センターへと警報メッセージを送信する。以下の3つの限界が、現在のところ実装されている。
【0389】
高電圧:
測定された電圧のレベルが、所与の時間期間にわたってこの値を超える場合、モジュールは、「高電圧」警報をデータ・センターへと送信する。
【0390】
低電圧:
測定された電圧のレベルが、所与の時間期間にわたってこの値を下回る場合、モジュールは、「低電圧」警報をデータ・センターへと送信する。
【0391】
電圧なし:
測定された電圧のレベルが、所与の時間期間にわたってこの値を下回る場合、モジュールは、「電圧なし」警報をデータ・センターへと送信する。
【0392】
電圧なしの警報は、ユーザ設定可能な最少電流が発電所のMV???1の1つ以上の相を流れている場合には、妨げられてもよい。その目的は、例えばトリップしたMV変圧器の保護に起因する供給の局所的喪失のみに対する警報を制限することである。
【0393】
図68が、警報のレベルを示している。
【0394】
外部とのやりとり
説明:
モジュールは、周囲の環境の制御に使用することができる複数の外部の入力および出力(I/O)を有している。これらのI/Oは、あらかじめ定められた機能は有しておらず、したがって任意の汎用目的に使用することが可能である。


【0395】
方法:
入力の監視
モジュールは、2つのバイナリ入力を常に監視している。入力のいずれかに変化が検出されたとき、モジュールはデータ・センターへとメッセージを送信する。また、両方の入力の状態が、モジュールのマン‐マシン‐インターフェイスに表示される(通信のセクションを参照)。
【0396】
出力の制御
モジュールは、出力状態を変化させるための選択肢をデータ・センターに提供する。これは、モジュールへとメッセージを送信することによって行われる。モジュールは、データ・センターからのメッセージを受け取ると、それに従って出力を変化させる。さらに、両方の出力の状態が、モジュールのマン‐マシン‐インターフェイスに表示される(通信のセクションを参照)。
【0397】
アナログ入力
モジュールは、4〜20mAの入力および0〜5Vの入力という2つのアナログ入力を常時監視している。警報のためのレベルを設定することができ、実際の値を要求に応じて与えることができる。
【0398】
内部の監視
説明:
モジュールは、継続的な正しい挙動を保証するとともに、欠陥の場合にそれらを検出して欠陥の深刻さに応じてインテリジェントに動作する自己サービスの特徴を有している。モジュールの状態が、マン‐マシン‐インターフェイスに表示され、同時にデータ・センターへと通信される(通信のセクションを参照)。図70が参照される。


【0399】
方法:
内部の電圧
サンプルされた内部電圧が、運転員が定める一組の値に対して照合される。電圧が値を下回っている場合、警報イベントがトリガされる。警報は、電圧が低電圧トリガよりも有意に高いとき、キャンセルされる。図71が、この挙動を示している。
【0400】
モジュール温度
サンプルされた温度は、電圧とは少し異なる様相で取り扱われる。運転員が、認容される温度「帯」を定める。この帯が破られた場合に警報がトリガされ、温度が再び有意に帯の内側にある場合に、警報がリセットされる。図72が、この挙動を示している。
【0401】
電池電圧
モジュールは、常に電池によってバックアップされており、供給幹線からのこの電池の充電をリレーによって制御している。この電池について、所定の周期(毎週1回)でチェックが行われる。チェックは、充電器および供給幹線を短時間の間無効にし、電池の放電を監視する。電池の放電が速すぎる場合、その電池は不良であると考えられる。これにより、モジュールの状態が保守へと変化し、モジュールは、データ・センターへと知らせるメッセージを送信する。
【0402】
ソフトウェアの監視
モジュールのソフトウェアにおける種々の動作が、エラー事象を引き起こしうる。これらのエラーのうちのいくつかは重要ではなく、時々生じ得る。これらのエラーについての統計が集められ、頻繁に生じている場合、または重要なエラーが生じている場合に、メッセージがデータ・センターへと送信され、モジュールの状態が更新される。
【0403】
モジュールの状態
モジュールの状態は、エラーおよび通常の製品の動作によって変化する。モジュールの状態は、モジュールがどのように機能するかを決定する。4つの状態が存在する。
・受動
・保守
・能動
・不良
【0404】
図73が、各状態および考えられる各状態の間の移行を示している。
【0405】
不良状態へは、エラーが通常の動作を妨げている場合に移行する。保守技術者のみが、不良状態から能動状態への変更を行うことができる。
【0406】
保守状態へは、重要でないエラーのしきい値に達した場合に移行する。保守状態にあるとき、すべての測定は通常どおり行われるが、この状態は、問題が重大になる前に補修のために手作業による保守が必要である旨を示している。保守技術者が、モジュールを保守状態から能動状態へと変化させる。
【0407】
能動状態は、モジュールが設置、較正、および通常どおりに動作するときの標準的な状態である。能動状態からの変化は、エラーまたは技術者によって引き起こされる。
【0408】
受動状態は、未較正のモジュールが開始する状態であり、モジュールが較正を必要としていることを示している。モジュールのこの状態は、較正されたときに能動状態へと変化する。
【0409】
システムの状態は、マン‐マシン‐インターフェイスと密に協働する(通信のセクションを参照)。
【0410】
通信
説明:
モジュールの通信は、2つの機能を含んでいる。
1)10個のLEDで構成されるマン‐マシン‐インターフェイス。これらのLEDが、モジュールの現在の状態を現場の運転員にとって視認可能にするために使用される。
2)モジュールは、CANバスに接続されている。これにより、モジュールは、CANバス上の他のモジュールと通信でき、モジュールが較正されるときにPCと通信することができる。図74が参照される。


【0411】
方法:
マン‐マシン‐インターフェイス
モジュールのマン‐マシン‐インターフェイス(MMI)が、ユニットの現在の状態を表示する。MMIは、図75のようである。
【0412】
MMIは、以下の機能を有する10個のLEDを有している。
1〜3) これらのLEDは、緑色、黄色、および赤色であり、ユニットの状態を表わしている。それらは、「ユニットOK」、「保守が必要」、および「ユニット不良」をそれぞれ表わしている。
4) 4番目のLEDは、バイナリ出力1の状態を示している。出力が高(ハイ)である場合に、LEDがオンである。
5) 5番目のLEDは、現在のところ使用されていない。
6) 6番目のLEDは、バイナリ入力1の状態を示している。入力が高(ハイ)である場合に、LEDがオンである。
7) 7番目のLEDは、バイナリ出力2の状態を示している。出力が高(ハイ)である場合に、LEDがオンである。
8) 8番目のLEDは、現在のところ使用されていない。
9) 9番目のLEDは、バイナリ入力2の状態を示している。入力が高(ハイ)である場合に、LEDがオンである。
10) 10番目のLEDは他のLEDよりも大きく、システムがPCの較正ソフトウェアによって較正されているときに点滅する。また、ユニットが外部のGSM通信を送信または受信しているときにも点滅する。さらに、このLEDはボタンとしても機能し、5秒間にわたって押し下げられた場合にシステムをリセットする。
【0413】
CAN通信
システムのすべてのモジュールは、産業用の形式のCANバスによって互いに接続されている。このバスは、運転員がユニットの較正を望むときに使用される。モジュールの較正に先立ち、較正用ソフトウェアを有するPCが、CANバスへと接続される。
【0414】
ソフトウェアは、開始されると、CANバス上のすべてのモジュールと通信し、各モジュールに固有のID番号を提供する。このID番号が、当該特定のモジュールへの将来のすべてのメッセージ、および当該特定のモジュールからの将来のすべてのメッセージにおいて使用される。
【0415】
さらに、CANバスは、モジュールAが電力ネットワークの遮断器を動作させたい場合にも使用される。動作は電力を必要とし、遮断の際の電力の使用を最小限にするため、任意の所与の時点においては、ただ1つのモジュールAのみが遮断器を動作させることを許される。これは、「遮断器トークン」によって保証される。トークンは、通常の動作の際はモジュールBによって保持されており、モジュールAは、遮断器を動作させたいと望む場合にトークンを要求する。モジュールBは、トークンを有している場合、そのトークンを要求元のモジュールAへと与える。モジュールAは、遮断が実行されると、トークンをモジュールBへと戻す。
【0416】
最後に、CANバスは、モジュールCとの通信のためにモジュールによって使用される。データ・センターへと送信されるべきすべての情報が、CANバス上のメッセージとしてモジュールCへと送信される。データ・センターから送信されるすべてのメッセージは、モジュールCによって受信され、CANバスを使用することによって正しいモジュールへと転送される。これらのCANメッセージがデコードされ、モジュールが、データ・センターによって要求された動作を実行する。データ・センターは、現在のモジュール測定値を要求でき、遮断器の状態を要求でき、さらには遮断器の状態の変化を要求できる。
【0417】
モジュールCの説明
モジュールCは、データ・センターとシステムの他のモジュールとの間のブリッジとして機能する。これが、図76に示されている。
【0418】
通信
説明:
このモジュールは、他のモジュールとデータ・センターとの間のブリッジとして機能する。このブリッジは、2つの機能で構成されている。
1)CANバス上において他のモジュールから受け取られるメッセージの受信およびエンコード、ならびにそれらのデータ・センターへの送信。
2)データ・センターからのメッセージの受信およびデコード、ならびにそれらメッセージのCANバスを介しての他のモジュールへの転送。図77が参照される。


【0419】
方法:
外部へのメッセージの送信
このモジュールは、A型およびB型である他のモジュールへとCANバスを介して接続されている。これら他のモジュールは、データ・センターとの通信を望むときに、モジュールCへとCANメッセージを送信する。データ・センターへのデータは、1つのCANメッセージに含ませることができるよりも多くの情報で構成されていることが多いため、モジュールCは、CANメッセージの収集を取り扱って、すべてのデータが受信されたときに情報を送信する。メッセージは、SMSおよびGPRSなど、いくつかある通信規格のいずれかを使用してデータ・センターへと送信可能である。
【0420】
外部からのメッセージの受信
データ・センターは、SMSおよびGPRSなど、いくつかある通信規格のいずれかを使用してモジュールCへとメッセージを送信する。モジュールは、メッセージを受信すると、それをデコードして、複数のCANメッセージへと分割する。これらのCANメッセージが、CANバス上の適切なA型またはB型のモジュールへと送信される。メッセージは、SMS、GPRSなど、いくつかある通信規格のいずれかを使用してデータ・センターへと送信可能である。
【0421】
マン‐マシン‐インターフェイス
モジュールのマン‐マシン‐インターフェイス(MMI)が、ユニットの現在の状態を表示する。MMIは、図78のようである。
【0422】
MMIは、以下の機能を有する10個のLEDを含んでいる。
1〜3) これらのLEDは、緑色、黄色、および赤色であり、ユニットの状態を表わしている。それらは、「ユニットOK」、「保守が必要」、および「ユニット不良」をそれぞれ表わしている。
4〜6) これら3つのLEDは、現在のところ使用されていない。
7) 7番目のLEDは、外部へのメッセージの送信、または外部からのメッセージの受信が行われているときに点滅する。
8、9) これら2つのLEDは、現在のところ使用されていない。
10) 10番目のLEDはボタンとして機能し、5秒間にわたって押し下げられた場合にシステムをリセットする。
【0423】
以下に、以下モジュールAと称される本発明による装置のハードウェアの実装を説明する。この文書は、装置へと接続される信号についての種々の要求を説明する。
【0424】
この文書は、以下のセクションに分割されている。
− モジュールについての全体的要求
− それぞれの入力/出力に関する特定の要求
【0425】
図82に示されているモジュールAは、同時に3つのMV相について電流を測定するために使用される。それぞれの測定は、光ファイバ・ファラデー効果センサ(Fiberoptic Faraday Effect Sensor)を使用することによって行うことができる。この文書においては、このセンサをFFESと称する。
【0426】
モジュールは、以下の入力および出力を有している。
・3つの光出力、波長は620nm
・3つの光入力、波長は620nm
・外部のリレーを取り扱う24V DC出力
・2つの24V DC入力、外部のリレーの状態用
・ユニット間のデータの送信および受信に使用されるCANバス
・3つの12V AC入力(R、S、T)
・1つのアナログ電力(24V DC)
【0427】
モジュールは、アナログ電力から供給を受けている。この電力線は、システムへと接続されたすべてのユニットへとつながる24V DC電力である。
【0428】
種々のモジュール間の通信のため、CANバスが使用されている。相電圧A、B、およびCの複製が、3つの12V AC系統を介してシステムへと接続されている。相電圧は、角度の測定およびRMSの計算のために使用される。これらの信号が、モジュールBと称されるマスタによって生成される。ケーブル故障の場合、システムは、MV遮断器を接続または切り離すことができる。これは、24VのDC出力電圧信号によって行われる。外部のリレーの現在の状態を検出するために、2つの24V DC入力が利用可能である。
【0429】
AC電力線の電流を測定するために、図83に示されているFFESが使用される。このセンサは、ケーブルを通って流れている電流の大きさを表わすために、光を使用する。このために、光出力および光入力が利用可能である。使用される光は、620nmの波長を有していなければならない。図84に示した供給ブロックが、モジュールにデジタル電力および2つの電圧基準を供給するユニットである。これらの基準は、正確であって温度の変化に大きく影響されることがないように設計されている。使用されている電圧は、2.048Vおよび4.096Vである。
【0430】
システムの内部において、モジュールは、産業用CANネットワークを介して通信する。通信速度は、125kbpsである。すべてのコマンドは、いくつかのCANパッケージとして送信されるSMSメッセージを除き、1つのCANパッケージにカプセル化される。モジュールBのuCが、通信を実行するためにCANコントローラおよびCANドライバを使用する。図85に示されているCANドライバが、SPIバスからCANバスへとデータを変換するために使用される。
【0431】
CANバスのI/Oを保護するために、その出力に保護回路が配置されている。この保護回路は、誤った配線の接続、ESD、および過電流に対してモジュールを保護する。
【0432】
レベル変換器が、論理レベルの信号をCANバス信号へと変換するために使用される。
【0433】
SPIプロトコルをCANプロトコルへと変換するために、CANコントローラが使用される。
【0434】
外部の信号への接続のために、I/Oブロックが使用される。外部のリレーを可能または不可能とするために、24VのDC出力が利用可能である。この出力は、12AのDCを届けることができる。遮断器の現在の状態を検出するために、2つの24V DC入力が利用可能である。
【0435】
出力:オンおよびオフが可能な24VのDC電力線。
入力:2つの24V DCデジタル入力。
【0436】
すべてのI/Oは、ESDおよび過電流に対して保護されている。すべての内部I/Oは、高周波を取り除くために1.オーダの低域通過フィルタを有している。24V DC出力をオンおよびオフするために、リレーが使用される。これは、24V DC出力がアナログ電力線から物理的に切り離されていることを保証するために行われる。24V DC入力は、電子機器を安全にするために電気的に分割されている。I/Oブロックは、24VのDC信号を届けるためにアナログ電力線に接続されている。
【0437】
各モジュールは、それぞれ同じ仕様を有している3つのファイバ・モジュールを有している。ファイバのI/Oは、2つの光ファイバを介してFFESへと接続されている。送信ダイオードが、一定の光出力を有している。光がFFESを通って送られるとき、その出力における大きさは、ケーブルを通って流れている電流に依存する。オフセットをゼロよりも大きくするために、一定の電流が出力ダイオードを通って送られなければならない。ケーブルの電流が変化し得るとき、FFESを通過する光が比例して変化し得る。
【0438】
ファイバ出力が、図87に示すとおりFFESを通って光を送るために使用される。光は、一定の光出力を有していなければならない。これは、光ダイオードを通過する電流が一定でなければならないことを意味する。
【0439】
図88に示したセンサから受信される光が、電流の大きさを検出するために使用される。検出器ダイオードとして機能し、光の量が多いということは、より高い前方電圧に等しい。ダイオードおよびフィルタへの供給のため、デジタル電力が利用可能である。増幅器の利得を変更するために、4つの利得制御入力が使用される。増幅器も、2.048V DCおよび4.096V DCの基準を有さなければならない。
【0440】
光ダイオード検出器によって生成された信号が、使用可能になる前にフィルタを通って送られる。
【0441】
送信ダイオードおよびセンサにおける効率を測定するため、DC電圧レベルが測定される。DC電圧レベルが、システムが較正されたときに測定された電圧レベルと比較され、製品の経年による変化を制御することが可能である。フィルタのカットオフ周波数は、0.5Hzである。
【0442】
DC成分なしで電流および位相を測定するために、10Hzの高域通過フィルタが使用される。
【0443】
信号中の高調波の量を検出するために、帯域通過フィルタを使用しなければならない。通過帯は、作動対象の異なる2つの領域を有していなければならない。第1の領域は、地中ケーブルについての200Hz〜750Hzの周波数であってよい。第2の領域は、架空線についての600Hz〜1600Hzであってよい。領域を変化させるために、2つの入力が利用可能でなければならない。
【0444】
電力ケーブル上の電流および電圧の間の位相差を計算するために、3相R、S、およびTが測定されなければならない。過電流およびESDに対する保護のため、保護回路が12V AC入力に配置される。次に、レベル変換器が存在しなければならない。レベル変換器は、12V AC信号を主CPUが測定できる電圧に変換する。主CPUが位相を測定できる前に、50Hzを超える雑音を取り除くために、フィルタが挿入されなければならない。フィルタは、500Hzに3dbのカットオフ周波数を有する3×1.次の低域通過フィルタである。
【0445】
モジュールの内部の温度を測定するために、図89に示されているNTC抵抗が存在しなければならない。これが、内部の温度が高すぎないかどうかを検出するために使用される。内部の温度が高すぎる場合、致命的なエラーが生じている可能性があり、おそらくはシステムをオフにすることができる。
【0446】
アナログおよびデジタル電圧が正しいか否かを検出するため、主CPUが、これらの信号のレベルを測定している。それらは、測定の前に、図90に示されているように或る信号レベルへと変換されなければならない。
【0447】
モジュールは、自身の現在の状態について、いくつかの通知を有していなければならない。これらの通知は、最も重要な情報のみを示す。それらの情報は、
・外部からの供給の状態
・ユニットの状態
・通信
・3つの短絡の方向
である。
【0448】
ダイオードによる通知をリセットするために、リセット・ボタンが存在しなければならない。このボタンに誤って触れることができてはならない。
【0449】
主CPUは、モジュールの「脳」である。主CPUは、すべてのデジタルおよびアナログI/Oを取り扱っており、すべての計算を行っている。マイクロチップからのマイクロ・コントローラが使用できるかが前もって決定される。PIC18装置が、高速および大きなメモリゆえに選択される。何本のピンが必要とされるかを決定するために、必要とする入力および出力の数を検討しなければならない。図91を参照されたい。
【0450】
この文書は、以下モジュールBと称されるマスタについての全体的要求を説明する。装置へと接続される信号についての種々の要求を説明する。
【0451】
この文書は、以下のセクションに分割されている。
・モジュールについての全体的要求
・それぞれの内部モジュールに関する特定の要求
【0452】
図92に示されているモジュールBは、内部モジュールおよび外部モジュールの間のリンクである。
【0453】
このモジュールが、他のユニットに正しい電力を供給している。アナログ電力は、24VのDC電圧である。この電力は、外部の電池から届けられ、他のモジュールへと届けられる。また、モジュールBは、システムの残りの部分に3つの12V AC電力線を供給している。これらは、230V AC電力線に関して測定に使用される。
【0454】
モジュールBは、いくつかのI/Oチャネルを有している。これらのチャネルは、外部への信号および外部からの信号を取り扱うために使用される。
【0455】
アナログ電力、3つの12V AC、およびCANバスが、システムに接続されたすべてのモジュールにおいて使用される。これは、いずれの端子も2回使用(例えば、1つの端子に2つの配線)されないよう、これらの出力端子が2で乗算されなければならないことを意味する。
【0456】
図93に示した電力ブロックが、電源として機能し、システムの残りの部分へと電力を届けている。電力ブロックは、常に再充電されている外部の電池へと接続されている。これは、供給を可能な限り平滑にするために行われている。
【0457】
電池電圧は、保護回路を通って送られる。この回路は、過電流に対する保護のため、ヒューズを有していなければならない。さらに、スパイクを除去する保護回路を有している。この保護回路からの出力は、マスタ内の電力を要求しているモジュールによって使用される。外部のモジュールへの供給のため、電池電圧が出力へと直接送られ、そこから外部のユニットが供給を受けることができる。
【0458】
モジュールBの低電力モジュールへの供給のため、電池電圧が、他の保護回路およびフィルタを通って送られる。これは、システムの保護およびノイズの除去のために行われる。内部のモジュールは、デジタル電力によって動作する。電力線を生成するため、電圧レベルの変換が行われなければならない。フィルタからの出力が、より低い電圧レベルへと変換される。これは、変換によって生じる熱の出力を最少にするため、DC/DCスイッチ・モード・コンバータによって行われなければならない。デジタル電圧をより平滑にするため、線形レギュレータがコンバータに追加されなければならない。
【0459】
AC信号を測定するとき、他の電圧基準が使用されなければならない。この基準は、ゼロ通過を検出するために使用される。これは、4.096V基準の半分である2.048Vへと選択される。
【0460】
システムの内部において、モジュールは産業用CANネットワークを介して通信する。通信速度は、125kbpsである。すべてのコマンドは、いくつかのCANパッケージとして送信されるSMSメッセージを除き、1つのCANパッケージにカプセル化される。モジュールBのuCが、通信を実行するためにCANコントローラおよびCANドライバを使用する。図94に示されているCANドライバが、SPIバスからCANバスへとデータを変換するために使用される。
【0461】
CANバスのI/Oを保護するために、その出力に保護回路が配置されている。この保護回路は、誤った配線の接続、ESD、および過電流に対してモジュールを保護する。
【0462】
レベル変換器が、論理レベルの信号をCANバス信号へと変換するために使用される。
【0463】
SPIプロトコルをCANプロトコルへと変換するために、CANコントローラが使用される。
【0464】
外部の信号への接続のために、図95に示したI/Oブロックが使用される。温度を異なるやり方で測定できるように保証するため、2つのアナログ入力が利用可能でなければならない。4〜20mAの入力および0〜5VのDC入力である。
【0465】
電池を停止させるため、出力が利用可能でなければならない。電池の充電器を可能にするため、出力が利用可能でなければならない。
【0466】
必要な24V DCのI/Oの使用を保証するため、オンおよびオフに切り替えることができる2つの24V DC出力を含め、他の24V DCデジタル入力が追加されなければならない。
【0467】
これは、結局のところ以下の入力および出力となる。
【0468】
出力:
・2つの24V DC電力線、2つのリレーによってオンおよびオフが可能
【0469】
入力:
・2つの24V DCデジタル入力
・4〜20mAのアナログ入力
・0〜5VのDCアナログ入力
【0470】
すべての外部I/Oは、ESDおよび過電流に対して保護されている。すべての内部デジタルおよびアナログ入力は、高周波を取り除くために1次の低域通過フィルタを有している。5つのデジタルI/Oおよび2つのアナログ入力が、使用されるマイクロ・コントローラにおいて利用可能である。24V DC出力をオンおよびオフするために、リレーが使用されなければならない。これは、24V DC出力がアナログ電力線から物理的に切り離されていることを保証するために行われる。24V DC入力は、電子機器を安全にするために電気的に分割されていなければならない。
【0471】
温度を測定するために、2つのアナログ入力が利用可能である。第1は、4〜20mAの入力である。この入力は、内部の電子機器から電気的に分離されている。また、電流‐電圧変換も必要とする。第2は、0〜5VのDC入力である。これも、内部の電子機器から電気的に分離されている。
【0472】
図96に示されているACブロックが、他のモジュールにおいて測定および計算に使用される12V AC信号を生成している。また、モジュールBが大きさの測定に利用できるAC信号も生成する。
【0473】
3つの230V AC電力線は、測定のためのみに使用され、いかなるモジュールへの供給にも使用されない。A、B、およびC線が、230V AC電力線の短絡を防止するため、すべて保護モジュールへと接続される。保護モジュールは、生じる可能性があるスパイクも除去する。
【0474】
230V AC電力線は、使用される前に12V AC線へと変換される。これは、電気的なディバイダでもある。次に、12V AC信号は、他の保護回路に通される。この回路は、いずれかの12V AC線が短絡した場合に過電流に対して保護する。次に、12V AC電力線は、500Hzに3dbのカットオフ周波数を有する1.次の低域通過フィルタに通される。このフィルタからの出力が、システムの他のモジュールによって使用される。
【0475】
主CPUが、モジュールBのすべてのデジタルおよびアナログI/Oを取り扱っている。マイクロチップからのマイクロ・コントローラが使用できるか、前もって決定される。PIC18装置が、高速および大きなメモリゆえに選択される。図97を参照されたい。
【0476】
以下の目的は、サーバ・システムとの通信を含むDISCOSプロジェクトの種々のモジュール間の通信のためのネットワーク・プロトコルを定めることにある。
【0477】
図98〜126が、本明細書の他の部分で説明されたモジュールの実装の概略のブロック図である。
【0478】
図127〜130は、以下に見い出される通信プロトコルに関して検討される対象の概略図である。
【0479】
ネットワークの概観
DISCOSシステムは、プロトコル変換器(通信ユニット)を通してサーバ・システムと通信する。サーバ・システムとDISCOSシステムとの間の通信媒体はトランスペアレントであり、新規な通信媒体を、通信ユニットに代えて容易に実装することが可能である。内部において、DISCOSシステムはCANネットワークを介して通信する。
【0480】
ネットワークは、サーバをマスタとする分散マスタ・スレーブ・ネットワークとして構築される。図127を参照されたい。
【0481】
サーバ‐DISCOSの構成
現在は、SMSメッセージングが通信媒体として選択され、したがって通信ユニットにGSMモデムが装備されている。通信ユニットは、DISCOSおよびサーバ・システムの両者についてトランスペアレントであり、したがってこの文書は、媒体および初期化としてのみこれに関係し、他の考慮については他で行われる。
【0482】
DISCOS‐CANの構成
DISCOS‐CANネットワークは、プライマリ・マスタ、0〜2つのセカンダリ・マスタ、0〜8つのOPTIユニット・プライマリ・マスタ、および通信ユニットで構成される。設置、デバッグ、およびブート・ローディングの際に、PCがDISCOSネットワークへと接続される。図128を参照されたい。
【0483】
この図は、右側において、変電所における典型的なDISCOS構成についての概要を提示している。
【0484】
ネットワーク・アドレス
ネットワークは、実際のステーションIDと実際のユニットが監視するベイとの組み合わせによってアドレス指定される。サーバは、種々のステーションの携帯電話番号ならびにステーションに設置されたすべてのユニットについてのCAN IDを追跡する。
【0485】
ステーションID、携帯電話番号、監視対象のベイのベイID、およびCAN IDが、設置の際にサーバに自動的に登録される。
【0486】
図の左側は、4つのDISCOS OptlおよびDISCOSマスタを備える変電所を示している。通信ユニットは、サーバにとってトランスペアレントであるため、図には記載していない。図129を参照されたい。
【0487】
DISCOSバス上でのブロードキャスティング
変電所全体(通信ユニット上のすべての接続されたDISCOSユニット)へのブロードキャスティングは、CAN‐idをゼロに設定して行われる。ブロードキャスト・メッセージがサーバから受信された場合、メッセージにおいてベイIDのフィールドはチェックされず、すべての接続されたユニットが、それが通常の要求であるかのように応答する。
【0488】
レイヤーの説明
DISCOSプロジェクトのためのプロトコルは、物理レイヤー、データ・リンク・レイヤー、およびアプリケーション・レイヤーを実装する。OSIモデルの他のレイヤーは、この用途においては必須であるとは考えられない。
【0489】
サーバ端における実装は、この文書には包含されず、実装は、サーバ・システムのサイズおよび種類に依る。
【0490】
サーバとの通信
物理レイヤー
サーバとDISCOSシステムとの間の通信を運ぶ物理レイヤーは、DISCOSシステムの第一世代においては、SMSメッセージングに基づいている。
【0491】
データ・リンク・レイヤー
データ・リンク・レイヤーは、サーバとDISCOSシステムとの間のすべての受領確認を担当する。
【0492】
DISCOSシステムからサーバへのすべてのパッケージは、サーバによって受領確認されなければならない。2分以内に受領確認が受信されない場合、パッケージが再送信される。これが、パッケージが消去される前に3回繰り返される。送信ユニットが、再送信および種々の受領確認の追跡に関与する。
【0493】
すべてのサーバ要求は、要求先のユニットからの応答を開始させるため、受領確認は不必要である。サーバも、応答なしの場合には、2分間隔で3回、パッケージを再送信する。
【0494】
アプリケーション・レイヤー
アプリケーション・レイヤーは、サーバ・メッセージからCANパッケージへのプロトコル変換、またはその反対のプロトコル変換を取り扱う。これは、CANパッケージがわずか8バイトのデータしか運ぶことができないという事実ゆえに行われる。
【0495】
すべてのサーバ・メッセージは、通信ユニットおよび受信ユニットにおいて再度パッケージされる。これについては、DISCOS CANプロトコルの説明においてさらに説明する。
【0496】
アプリケーション・レイヤーは、サーバ・メッセージの送信および受信時に、アドレスのチェックおよび生成を取り扱う。
【0497】
セキュリティの理由ゆえ、通信ユニットは、サーバ・システム以外の電話番号からのメッセージを消去する。同様に、DISCOSシステムからのすべてのメッセージは、特定の電話番号へと送信される。TTYインターフェイスを介し、GPRSチャネルを通じ、CANネットワークを通じていくつかのコンステレーション(立体配座)において認証済みの電話番号を変更することが可能である。
【0498】
DISCOS‐CANの通信
物理レイヤー
CAN2.0bが、物理レイヤーのための基本的なプラットフォームとして使用される。通信速度は、125kbpsに設定される。
【0499】
ネットワーク・レイヤー
CANバスのネットワーク・レイヤーは、CAN規格に従う。このレイヤーは、不完全なパッケージの場合のエラーの取り扱いを担当し、さらにバスのコンフリクトも取り扱う。メッセージ・フレームは、CAN2.0b規格によって説明される。拡張データ・フレームが使用される。
【0500】
アプリケーション・レイヤー
アプリケーション・レイヤーは、データ・パケット・レベルのすべての通信の取り扱いを実現する。これは、コマンドの取り扱いを含んでいる。アプリケーション・レイヤーは、CAN2.0b拡張フレームのIDおよびデータ部分を使用する。2.0b拡張フレームについての情報は、http://www.kvaser.com/can/protocol/canport1.htmに見い出すことができる。
【0501】
サーバの指令
サーバとDISCOSシステムとの間のすべてのメッセージは、生のバイナリ・データまたはASCIIキャラクタとして伝達される。すべての数字は、ビッグ・エンディアンで表現される時刻スタンプを除き、リトル・エンディアンで表現される。
【0502】
一般的に云うと、サーバのメッセージは、受領確認または応答が受信されるまでは、消去されてはならない。この受領確認または応答が2分以内に受信されない場合、サーバ・メッセージが再送信される。警報メッセージが、応答メッセージに対して優先性を有しており、したがって警報が生じかつ要求への応答を送信しなければならない場合、応答が削除されて、代わりに警報が送信される。メッセージの待ち行列は存在せず、先の要求メッセージが取り扱われる前に新しい要求メッセージが受信された場合、新しい要求は処理されない。
【0503】
詳細なプロトコルの説明の後に、シナリオの説明が行われる。これは、種々のコマンド/シーケンスの背後の意図を説明するために行われる。
【0504】
コマンドの表
【表9】

【表10】

【表11】

【0505】
フィールドの説明
【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【0506】
シナリオの説明
サーバからDISCOSへのシナリオ
【表21】

【表22】

【表23】

【0507】
DISCOSからサーバへのシナリオ
【表24】

【表25】

【0508】
SMS通信の際のエラーの取り扱いの例
【表26】

【表27】

【表28】

【0509】
サーバにおけるユニット状態の変更(例えば、登録)
DISCOSユニットは、4つの異なる機能レベル(能動、受動、保守、および不良)を有している。これらのレベルは、実際のユニットの状態を示し、ユニットのサーバ・システム上の登録との整列を維持している。種々のレベルは、以下のように使用される。
− 受動
DISCOSユニットは、サーバに対して登録プロセス(マッチング)が実行されない限り受動であり、あるいはサーバからのモード変更メッセージ(SERV15)が受信された場合に受動である。ユニットは、設置または設置の再構成の際にのみ受動である。DISCOSユニットが受動である間は、測定は行われない。受動のユニットは、毎週の生存メッセージ(serv4)をサーバへと送信する。すべてのDISCOSユニットは、最初は受動である。
− 能動
DISCOSユニットのマッチングが行われ、通常どおりに機能している。
− 保守
DISCOSユニットが機能しているが、保守しきい値を超えており、ユニットが保守を必要としている。保守レベルは、保守技術者によって現場でのみ変更できる。通常の動作は、依然として維持される。
− 不良
DISCOSユニットが不良である。ユニットが不良である間は、測定は行われない。不良レベルは、保守技術者によって現場でのみ変更することができる。
【0510】
レベルは、図130のグラフに示されている動作に従って変更される。
【0511】
DISCOSユニットの設置は、サーバ上でのユニットの表現が正しいことを必要とする。サーバ情報およびユニット設定が、マッチングのプロセスを通じて同期される。
【0512】
マッチング
サーバ情報およびDISCOSユニットの設定のマッチングは、以下のように行われる。
【表29】

【0513】
DISCMANは、設置および保守の際にDISCOSバスへと接続されるPCベースの設定ソフトウェア・ツールである。
【0514】
1.serv2の例
以下の例は、古い過電流警報通知を伴う供給ベイからの「ベイ状態取得」に対する応答を示している。
【0515】
以下の例のすべてのデータは、16進フォーマットで表現されている。
【数51】

【0516】
色は、フィールドの区別としてのみ使用されている。
【表30】

【表31】

【0517】
DISCOS CANプロトコルの説明
DISCOS CANは、拡張CANメッセージングに基づいている。メッセージは、29ビットのIDフィールド、8バイトのデータ・フィールド、およびフレーミングで構成されている。このコマンド構造は、IDフィールドおよびデータ・フィールドを使用している。ネットワーク・レイヤーが、すべてのフレーミングを取り扱う。
【表32】

【0518】
メッセージIDは、11ビットの部分および18ビットの部分で構成されており、これらが5つの部分へと分割される。
【表33】

【0519】
種類
メッセージの種類を定義し、優先度を設定する。数字が小さいほど、優先度は高くなる。
0001:外部警報メッセージ
0011:ユニットID設定メッセージ
0101:内部警報メッセージ
0111:ブートローディング・メッセージ
1000:通常動作メッセージ
1001:較正メッセージ
1010:データ・メッセージ
1011:デバッグ・メッセージ
【0520】
受信者
受信ユニットのID。
0:全ユニットへのブロードキャスト
1:PC
2:将来の使用のために予約
3:通信ユニット
4〜126:他のユニット
127:未設定のユニット
【0521】
コマンド
コマンドについては、後のCANコマンドのセクションで説明する。
【0522】
送信者
1:PC
2:将来の使用のために予約
3:通信ユニット
4〜126:他のユニット
【0523】
xERビット
以下のエンコーディングを有する特殊機能のビット。
【0524】
Bit x:
将来の使用のために予約
【0525】
Bit E:
テキスト終端(EXT)ビット。このパケットが、一連のうちの最後のパケットであることを知らせるために使用される。例として、サーバ・メッセージの送信が挙げられる。これは、完全なサーバ・メッセージが通信ユニットへと送信される前に複数のCANメッセージを必要とする。最後のパッケージにおいてEXTビットが設定され、通信ユニットが、サーバ・メッセージを自動的に送信する。完全なメッセージが5秒以内に受信されない場合、パケットは破損したものと判断され、消去される。その後に、サーバ・メッセージの再送信が処理される。
‐0‐:メッセージが一連のメッセージの一部であるが、最後ではない。
‐1‐:メッセージが単一のメッセージであるか、あるいは一連における最後のメッセージである。
【0526】
Bit R:
‐‐0:メッセージがリモート要求ではない。
‐‐1:メッセージがリモート要求である。受信者は、適切なデータで応答しなければならない。
【0527】
コマンドの表
コマンドの表は、DISCOS_Protocol.xlsに記載されている。
【0528】
以下に、いくつかのコマンドの意図を示すため、いくつかのシナリオを説明する。
【0529】
新規ユニットへのIDの割り当て
バスへと接続されるすべての新規ユニットは、ID 127を有している。ひとたび新規ユニットが接続されると、設定およびその後のサーバへの登録が行われなければならない。これは、設定プログラムDISCMANを使用して行われる。DISCMANが、ユニットへと新しいIDを割り当てる。このIDはバスにおいて固有でなければならない。IDの重複が発見された場合には、DISCMANから運転員へと警報が与えられる。
【0530】
IDの再割り当ては、以下の各工程をとる。
1.PCが、ID 127を有するユニットが存在するか否かを尋ねるメッセージをバス上に送信する。
2.或るユニットがID 127を有している場合、そのユニットがメッセージにて応答する。このメッセージは、18ビットのIDフィールドにユニットの固有のシリアル番号を含んでいる。さらに多くのユニットがID 127を有している場合、シリアル番号が最小であるユニットが調停を勝ち取る。
3.PCが、シリアル番号を含んでいるメッセージを受信する。次いで、PCは、新たなメッセージを送信する。このメッセージは、応答してきたユニットの固有のシリアル番号および新たなIDを、データ・フィールドに含んでいる。
4.データ・フィールドにシリアル番号を有しているユニットが、自身のIDをデータ・フィールドにおいて受信したIDに変更する。
【0531】
これら4つの工程が、工程1でのPCからのメッセージにユニットが応答する限り反復される。
【0532】
通常の使用の際には、IDの重複は、サーバ端においてのみチェックされる。これは、ユニットからのメッセージをサーバのデータベースに対して比較して行われる。
【0533】
サーバ・メッセージの送信および受信
サーバ・メッセージの送信および受信は、CANメッセージがわずか8バイトのデータしか含まず、1つのサーバ・メッセージ当たりに複数のCANパッケージを必要とする。
【0534】
すべてのサーバ・メッセージは、高い優先度を有しており、それらのメッセージ種類は、外部警報である。
【0535】
通信ユニットは、CANネットワークからサーバへと、あるいはその反対にパッケージをリロードする。通信ユニットは、フォーマットまたはチェックサムのエラーについて受信したデータをチェックせず、これはサーバまたは実際のDISCOSユニットにおいて行われる。
【0536】
以下の例では、同じサーバ・メッセージがシステムにおいて両方向に送信される。

【表34】

【0537】
以下は、コマンドの表の、サーバのメッセージ送信に関する部分である。
【0538】
種類:0001
受信者:iiiiiii
送信者:iiiiiii
【表35】

【0539】
凡例
バイト・サイズ:
S:メッセージ
【0540】
ビット・サイズ:

【0541】
パッケージのタイミング:
サーバ・メッセージを送信するとき、全パッケージの最初のCANメッセージは、250msに送信ユニットのCAN IDを乗算した時間だけ遅延されなければならない。これは、ブロードキャストにおけるバッファ・オーバーフローおよび複数警報の状況を防止するために行われる。少なくとも30msの各CANメッセージ間の遅延も、必要とされる。
【0542】
エラーの取り扱い:
DISCOSユニットからサーバへのすべてのメッセージは、受領確認を必要とし、したがって送信ユニットは、時間切れ期間の後にメッセージを常に再送信する。3つのメッセージが10分間でETXビットなしで送信された場合、通信ユニットは、serv14のメッセージを自動的に生成する(さらなる説明については、サーバのコマンドについてのセクションを参照されたい)。サーバとDISCOSユニットとの間のメッセージは、常に応答を必要とし、したがって送信者は、時間切れ期間の後にメッセージを常に再送信する。
【0543】
イベントの優先度:
警報は、常に要求よりも優先される。要求に応答しているときに警報イベントが生じた場合、要求メッセージは、不完全に送信される。実際のDISCOSユニットが、メッセージが不完全に送信されるように強い、通信ユニットへと設定されたEXTビットを有する空のパッケージを送信する。サーバが、時間切れ時の要求の再送信を担当する。先の警報を取り扱っている際に警報が生じた場合、最後の警報が無視される。
【0544】
クロックの更新
システムのクロックは、頻繁に同期される必要がある。プライマリDISCOSマスタが、毎日1回のクロック同期の要求(NOP_SYNC_CLK)を担当する。すべてのユニットは、起動時にクロックの同期を要求する。起動時、すべてのユニットは、クロックを00.00 9/9‐99へと初期化する。すべてのユニットは、起動後15分でクロックの同期を要求しなければならない。プライマリDISCOSマスタは、10分後にクロックの同期を要求しなければならない。
【0545】
通信ユニットのクロックは、起動時に00.00 1/1‐70へと初期化される。起動後に、通信ユニットはクロックをネットワークのクロックに同期させ、クロックをDISCOSネットワークにブロードキャストする(NOP_SET_CLK)。
【0546】
以下は、コマンドの表のクロック同期に関する部分である。
【0547】
種類:1000
受信者:iiiiiii
送信者:0/iiiiiii
【表36】

【0548】
凡例
バイト・サイズ:
Y:年
M:月
D:日
H:時
m:分
【0549】
ビット・サイズ:
i:メッセージを受信または送信しているユニットのID
【0550】
すでに述べたように、光ファイバ・ファラデー効果センサは、センサを導体に配置したときに点測定のみを生成する。これは、B磁場の形状、インダクタからの距離、および近傍のインダクタからの磁界が、センサのガラス棒を通過するB場に影響を及ぼすことを意味する。現場での較正が、ただ1つのインダクタについて行われる場合、センサが後に、種々のB磁場の形状、およびインダクタからの距離、ならびに他のインダクタからの影響を、それらが半バランス(en balance)である場合に補償する。それらがアンバランスである場合には、センサによって達成される信号が、電流がインダクタにおいて安定であるという事実ゆえ、変化する可能性がある。相互のインダクタンスを補償するため、較正を、3つの相のすべてにおいて同時に実行しなければならない。すべてのファラデー効果センサおよび3つの第三者の測定システムのすべてにおいて測定された信号を比較するとき、補償定数を有する3×3の行列を決定することができる。本発明は、単純な点センサを取り付けて他のインダクタからの相互のインダクタンスからの信号を補償する可能性を提供する。これは、インダクタが較正において使用され、それらが機械的に固定されている場合にのみ有効である。
【0551】
較正システムによって測定される3つのインダクタからの電流および位相角は、以下のとおり表現できる。
【数52】

【0552】
3つのインダクタからのB磁場は、以下のとおり表現できる。
【数53】

【0553】
3つのインダクタのうちの1つにおける電流を、以下に示すように実数値および虚数値によって表現できる。
【数54】

【0554】
定数が既知である場合、特定のインダクタを流れている電流を上記の式にて計算することができる。定数は、較正の際に以下に示す3×3の行列にて決定することができる。
【数55】

【0555】
この式が、3つの未知の変数を有する3つの式として解かれる。本発明は、線のうちの1本が短絡の状況である際に、アンバランスな線において電流を測定するという利点を提供する。
【0556】
本発明を特徴付けている要点
本発明を、以下の要点によって特徴付けることができる。
【0557】
要点1.
第1の開放端および前記第1の開放端と反対側の第2の開放端を形成しているハウジングと、
開口を有し、前記ハウジングの前記第1の開放端の幾何学的全体構成に対応する幾何学的全体構成を有し、さらに第1の光ファイバを受け入れるように適合された開口を有している第1のシーリング手段と、
前記第1の光ファイバを固定するための第1の固定手段と、
前記ハウジング内に取り付けられるとともに、前記第1の光ファイバを自身に光学的に連続させて取り付けるため前記第1の固定手段を受け入れるように適合された受け入れ部を有している第1の光学レンズと、
前記第1の光学レンズに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第1の偏光フィルタと、
磁気‐光学特性を有する材料から構成され、前記第1の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に収容および包囲されるガラス棒と、
前記ガラス棒に光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第2の偏光フィルタと、
前記第2の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられるとともに、第2の固定手段を受け入れるように適合されている第2の光学レンズと、
前記第2の光学レンズに受け入れられ、第2の光ファイバを固定するための第2の固定手段と、
第2の光ファイバを受け入れるための開口を有し、前記ハウジングの前記第2の端部に取り付けられ、前記ハウジングの前記第2の端部を密封するための第2のシーリング手段と、
それぞれ前記ハウジングの前記第1および第2の端部へと固定されるように適合され、それぞれ前記第1および第2の光ファイバを受け入れるための開口を備えている第1および第2の蓋と
を有していることを特徴とする電流測定装置。
【0558】
要点2.
前記第1および前記第2の偏光フィルタが、実質的に平行な関係で取り付けられ、
前記第1の偏光フィルタおよび前記第2の偏光フィルタの偏光面が、それぞれ45°回転させられている、要点1に記載の電流測定装置。
【0559】
要点3.
前記ガラス棒がSF6からできている、要点1または2に記載の電流測定装置。
【0560】
要点4.
前記ハウジングが、少なくとも400nm〜1000nmの範囲において光学的非透過性を呈する材料からできている、要点1〜3のいずれか一つに記載の電流測定装置。
【0561】
要点5.
前記ハウジングが、UltermまたはPeekでできている、要点1〜4のいずれか一つに記載の電流測定装置。
【0562】
要点6.
前記ハウジング内に形成され且つ前記ハウジング内に取り付けられる前記ガラス棒の長さに対応する幅を有する、あるいは導電体を受け入れるように適合されている前記ハウジング内の溝をさらに有している、要点1〜5のいずれか一つに記載の電流測定装置。
【0563】
要点7.
前記ハウジングから延び、前記ハウジングを長円形の導電体に取り付けることができる少なくとも1つの羽根をさらに有している、要点1〜6のいずれか一つに記載の電流測定装置。
【0564】
要点8.
導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムであって、
LEDベースの光源または白熱光源である光源と、
第1の光ファイバであって、前記光源から放射された光を案内する第1の光経路と、
光学式電流測定装置であって、
第1の開放端および前記第1の開放端と反対側の第2の開放端を形成しているハウジングと、
開口を有し、前記ハウジングの前記第1の開放端の幾何学的全体構成に対応する幾何学的全体構成を有し、さらに前記第1の光ファイバを受け入れるように適合された開口を有している第1のシーリング手段と、
前記第1の光ファイバを固定するための第1の固定手段と、
前記ハウジング内に取り付けられるとともに、前記第1の光ファイバを自身に光学的に連続させて取り付けるため前記第1の固定手段を受け入れるように適合された受け入れ部を有している第1の光学レンズと、
前記第1の光学レンズに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第1の偏光フィルタと、
磁気‐光学特性を有する材料から構成され、前記第1の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に収容および包囲されるガラス棒と、
前記ガラス棒に光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第2の偏光フィルタと、
前記第2の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられるとともに、第2の固定手段を受け入れるように適合されている第2の光学レンズと、
前記第2の光学レンズに受け入れられ、第2の光ファイバを固定するための第2の固定手段と、
第2の光ファイバを受け入れるための開口を有し、前記ハウジングの前記第2の端部に取り付けられ、前記ハウジングの前記第2の端部を密封するための第2のシーリング手段と、
それぞれ前記ハウジングの前記第1および第2の端部に固定されるように適合され、それぞれ前記第1および第2の光ファイバを受け入れるための開口を備えている第1および第2の蓋とを有し、前記第1の光経路から前記光を受信する光学式電流測定装置と、
前記第2の光ファイバであって、前記光学式電流測定装置から発せられる前記光を受信する第2の光経路と、
前記第2の光経路から発せられる前記光を検出し、該受信した光を電気信号に変換するための検出手段と、
前記導電体内の前記高電圧電流を割り出すため、前記検出手段からの前記電気信号を処理するための処理手段と、
当該システムのために較正用の測定を実行するための電流測定システムと、
第1の通信手段と
を有していることを特徴とするシステム。
【0565】
要点9.
第2の通信手段に接続され、中央の位置に配置されているコンピュータをさらに有しており、前記コンピュータが、導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムの状態を運転員へと通信するためのインターフェイスを備えている、要点8に記載の導電体中の高電圧電流を測定するためのシステム。
【0566】
要点10.
前記第1および第2の通信手段が、インターネット、構内通信網、無線構内通信網、広域通信網、地球的通信網または公衆交換電話網などの通信ネットワークであり、あるいは前記第1および前記第2の通信手段が、固定の無線ネットワークによって構成されている、要点8に記載の導電体中の高電圧電流を測定するためのシステム。
【0567】
要点11.
導電体中の高電圧電流を測定する方法であって、
LEDベースの光源または白熱光源を設けるステップと、
第1の光ファイバであって、前記光源から放射された光を案内する第1の光経路を設けるステップと、
光学式電流測定装置を設けるステップであって、該光学式電流測定装置が、
第1の開放端および前記第1の開放端と反対側の第2の開放端を形成しているハウジングと、
開口を有し、前記ハウジングの前記第1の開放端の幾何学的全体構成に対応する幾何学的全体構成を有し、さらに前記第1の光ファイバを受け入れるように適合された開口を有している第1のシーリング手段と、
前記第1の光ファイバを固定するための第1の固定手段と、
前記ハウジング内に取り付けられるとともに、前記第1の光ファイバを自身に光学的に連続させて取り付けるため前記第1の固定手段を受け入れるように適合された受け入れ部を有している第1の光学レンズと、
前記第1の光学レンズに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第1の偏光フィルタと、
磁気‐光学特性を有する材料から構成され、前記第1の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に収容および包囲されるガラス棒と、
前記ガラス棒に光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられる第2の偏光フィルタと、
前記第2の偏光フィルタに光学的に連続させて前記ハウジング内に取り付けられるとともに、第2の固定手段を受け入れるように適合されている第2の光学レンズと、
前記第2の光学レンズに受け入れられ、第2の光ファイバを固定するための第2の固定手段と、
第2の光ファイバを受け入れるための開口を有し、前記ハウジングの前記第2の端部に取り付けられ、前記ハウジングの前記第2の端部を密封するための第2のシーリング手段と、
それぞれ前記ハウジングの前記第1および第2の端部に固定されるように適合され、それぞれ前記第1および第2の光ファイバを受け入れるための開口を備えている第1および第2の蓋とを有し、前記第1の光経路から前記光を受信する光学式電流測定装置を設けるステップと、
前記第2の光ファイバであって、前記光学式電流測定装置から発せられる前記光を受信する第2の光経路を設けるステップと、
前記第2の光経路から発せられる前記光を検出し、該受信した光を電気信号に変換するための検出手段を設けるステップと、
前記検出手段からの前記電気信号を処理するための処理手段を設けるステップと、
当該システムのために較正用の測定を実行するための電流測定システムを設けるステップと、
第1の通信手段を設けるステップと
を有していることを特徴とする方法。
【0568】
要点12.
第2の通信手段に接続され、中央の位置に配置されているコンピュータを設けるステップをさらに含んでおり、前記コンピュータが、導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムの状態を運転員へと通信するためのインターフェイスを備えている、要点11に記載の方法。
【0569】
要点13.
前記第1および第2の通信手段が、インターネット、構内通信網、無線構内通信網、広域通信網、地球的通信網または公衆交換電話網などの通信ネットワークであり、あるいは前記第1および前記第2の通信手段が、固定の無線ネットワークによって構成されている、要点11に記載の方法。
【0570】
要点14.
導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムを較正する方法であって、
高電圧電流を伝える導電体を設けるステップと、
光源を設けるステップと、
第1の端部および反対側の第2の端部を形成しており、前記光源が前記第1の端部に接続されるとともに、前記光源の放射する光が進入する第1の光経路を設けるステップと、
第1の端部および反対側の第2の端部を形成しており、該第1の端部が前記第1の光経路の前記第2の端部に接続されており、前記第1の光経路からの前記光を受信するファラデー電流測定装置を設けるステップと、
第1の端部および反対側の第2の端部を形成しており、該第1の端部が前記ファラデー電流測定装置の前記第2の端部に接続されている第2の光経路を設けるステップと、
前記第2の光経路の前記第2の端部に接続され、前記光を電気信号に変換するための光検出手段を設けるステップと、
前記導電体中の電流の測定を実行する電流測定システムを設けるステップと、
前記導電体中の前記電流の測定を実行し、前記導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムによって較正定数を計算し、前記電流測定システムを取り除くステップと
を有することを特徴とする方法。
【0571】
要点15.
前記導電体中の高電圧電流を測定するためのシステムによって、前記電気信号のACおよびDC成分を測定することによって前記較正定数を周期的または非周期的に再計算するステップをさらに含んでいる、要点14に記載の方法。
【0572】
要点16.
最初に前記光信号のDC成分を割り出し、次いで前記光信号のDC成分を周期的に割り出すステップ、および
測定したAC成分を前記最初に割り出されたDC成分と前記周期的に割り出されたDC成分との比で乗算することによって、実際のAC成分を割り出すステップをさらに含んでいる、要点14または15に記載の方法。
【0573】
要点17.
前記ファラデー電流測定装置が、要点1〜7のいずれか一つに記載の装置である、要点14または15に記載の方法。
【0574】
付録
図98A
IC1
コネクタ
コネクタ.sch
リレーInOff
リレーInOn
リレーOutput
Vin
L1相
L2相
L3相
CANH
CANL
LEDD1
LEDD2
LEDD3
LEDD4
LEDD5
LEDD6
LEDD7
LEDD8
LEDD9
LEDDBLUE
リセットBIN
Vref 2,048
電流L1
電流L2
電流L3
ダイオード電流

IC2
電源
電源.sch
Vin
Vref 2,048
Vref 4,096
リセットBTN

IC3
CANバスコントローラCAN.sch

CANL
CANH
SDO
【図面の簡単な説明】
【0575】
【図1】ファラデー光電流センサの概略断面図である。
【図2】ファラデー光電流センサの拡大された概略断面図である。
【図3】ファラデー光電流センサのハウジングの溝を示す図である。
【図4】ファラデー光電流センサの一端の概略図である。
【図5】ファラデー光電流センサの一端の概略図である。
【図6】ファラデー光電流センサを有する電流測定用システムの概略ブロック図である。
【図7】図6に示したシステムの一部である検出システムの概略図である。
【図8】3つの導体と1つのファラデー光電流センサとを備える測定用構成の概略断面図である。
【図9】矩形の導体についての測定用構成を示す図である。
【図10】円形の導体についての測定用構成を示す図である。
【図11】絶縁層を備える円形の導体についての測定用構成を示す図である。
【図12】図6に示したシステムの検出システムおよび処理ユニットについて、プロトタイプの実装の概略ブロック図である。
【図13】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図14A】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図14B】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図15A】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図15B】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図16】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図17A】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図17B】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図18】本発明のプロトタイプ版の概略図である。
【図19】センサの構成部品を概略的に示す図である。
【図20】本発明によるセンサ・ハウジングの概略図である。
【図21】本発明によるセンサ・ハウジングの概略図である。
【図22】本発明によるセンサの断面の概略図である。
【図23】2つのセンサ蓋の概略図である。
【図24】光学フィルタの概略図である。
【図25】電気ケーブルおよびそこから放射されるB磁場、ならびにガラス棒の概略図である。
【図26】ファイバ固定具の概略断面図である。
【図27】配線クリップの概略図である。
【図28】離間用部品の概略図である。
【図29】電流と光の大きさとの間の関係を示すグラフである。
【図30】6つのセンサの直線性の度合いを示すグラフである。
【図31】センサの温度と光の大きさとの間の関係を示すグラフである。
【図32】本発明による装置のモジュールAの構造を説明するブロック図である。
【図33】図32にも示されているモジュールAの機能を説明するブロック図である。
【図34】理論的なデータの収集を示すグラフである。
【図35】変圧器ならびに変圧器による電圧および電流の変換を説明する図である。
【図36】線‐中性点電圧の図である。
【図37】線間電圧の図である。
【図38】3つの導体の電流の測定を説明する概略図である。
【図39】連続的な交差の補間を説明するグラフである。
【図40】電圧および電流の図である。
【図41】線間電圧の図である。
【図42】較正データのグラフである。
【図43】3つの導体の電流の測定および関連のモジュールAの較正の概略図である。
【図44】時間の関数であり且つ電流強度に依存する光強度を説明する図である。
【図45】モジュールの分析動作を説明するブロック図である。
【図46】エラーの検出の原理を説明するグラフである。
【図47】図46のグラフと同様であり、別の検出原理を説明するグラフである。
【図48】電流および電圧の図である。
【図49】前方および後方の通知を説明する図である。
【図50】2つの相の間のエラーを説明する概略図である。
【図51】3つの相の間のエラーを説明する図である。
【図52】開放相のエラーを説明する図である。
【図53】モジュールの入力および出力を説明するブロック図である。
【図54】図53のブロック図に類似したブロック図であり、さらなる入力およびエラーの出力を示す図である。
【図55】モジュールのトリガ機能を説明する図である。
【図56】認容可能および認容不可能な変動を説明するさらなる図である。
【図57】モジュールがとり得る状態、およびそれらの状態間について考えられる移行を説明する図である。
【図58】図53および54のブロック図に類似したブロック図であり、エラー入力およびさらなる出力を示す図である。
【図59】MMIインターフェイス(マン‐マシン・インターフェイス)の図である。
【図60】本発明による装置のモジュールBの構造を説明するブロック図である。
【図61】図32にも示されているモジュールBの機能を説明するブロック図である。
【図62】理論的なデータの収集を示すグラフである。
【図63】変圧器ならびに変圧器による電圧および電流の変換を説明する図である。
【図64】線‐中性点電圧の図である。
【図65】線間電圧の図である。
【図66】電圧および電流の図である。
【図67】モジュールのデータ分析機能を説明するブロック図である。
【図68】警報レベルを説明する図である。
【図69】モジュールの入力および出力を説明するブロック図である。
【図70】図53のブロック図に類似したブロック図であり、さらなる入力およびエラーの出力を示す図である。
【図71】モジュールのトリガ機能を説明する図である。
【図72】容認可能および容認不可能な変動を説明するさらなる図である。
【図73】モジュールがとり得る状態、およびそれらの状態間について考えられる移行を説明する図である。
【図74】図53および54のブロック図に類似した、エラー入力およびさらなる出力を示すブロック図である。
【図75】MMIインターフェイス(マン‐マシン・インターフェイス)の図である。
【図76】データ・センターと本システムのモジュールとの間のブリッジの図である。
【図77】図53および54のブロック図に類似した、エラー入力およびさらなる出力を示すブロック図である。
【図78】MMIインターフェイス(マン‐マシン・インターフェイス)の図である。
【図79】制御センター、システム内モジュール、およびプロセス・インターフェイスの間のインターフェイスを説明する図である。
【図80】変電所のブロック図である。
【図81】ケーブルを流れる電流・電圧レベルを検出するセンサ、監視システムを備え、通信ユニットを介して外部と通信するシステムの概略図である。
【図82】モジュールAのブロック図である。
【図83】FFESを説明する図である。
【図84】電源のブロック図である。
【図85】CANドライバのブロック図である。
【図86】I/Oブロックのブロック図である。
【図87】ファイバ出力ドライバのブロック図である。
【図88】ファイバ入力のブロック図である。
【図89】温度センサのブロック図である。
【図90】レベル変換器のブロック図である。
【図91】主プロセッサを説明する図である。
【図92】モジュールBの概略ブロック図である。
【図93】電源のブロック図である。
【図94】CANドライバのブロック図である。
【図95】I/Oブロックのブロック図である。
【図96】AC電力測定ブロックのブロック図である。
【図97】主CPUのブロック図である。
【図98】モジュールAの全体ブロック図である。
【図99】モジュールAのダイオード部の全体ブロック図である。
【図100】モジュールAのマイクロ・コントローラ部の全体ブロック図である。
【図101】モジュールAのCAN通信部の全体ブロック図である。
【図102】モジュールAの電源部の全体ブロック図である。
【図103】モジュールAの電圧入力部の全体ブロック図である。
【図104】モジュールAの電流信号の概要の全体ブロック図である。
【図105】モジュールAの高調波フィルタ線1の全体ブロック図である。
【図106】モジュールAのフィルタ線2の全体ブロック図である。
【図107】モジュールAの高調波フィルタ線3の全体ブロック図である。
【図108】モジュールAの高調波信号整流器の全体ブロック図である。
【図109】モジュールAのdcフィルタの全体ブロック図である。
【図110】モジュールAのac‐信号利得の全体ブロック図である。
【図111】モジュールAのダイオード電流の制御の全体ブロック図である。
【図112】モジュールAのリレーI/Oの制御の全体ブロック図である。
【図113】モジュールAのコネクタの概要の全体ブロック図である。
【図114】モジュールBの全体ブロック図である。
【図115】モジュールBのマイクロ・コントローラ部の全体ブロック図である。
【図116】モジュールBのCAN通信部の全体ブロック図である。
【図117】モジュールBの電源の全体ブロック図である。
【図118】モジュールBの電圧入力の全体ブロック図である。
【図119】モジュールBのI/O部の全体ブロック図である。
【図120】モジュールBのコネクタ部の全体ブロック図である。
【図121】GSMモジュールの全体ブロック図である。
【図122】モジュールCの電源の全体ブロック図である。
【図123】モジュールCのCanモジュールの全体ブロック図である。
【図124】モジュールCのマイクロ・コントローラ・モジュールの全体ブロック図である。
【図125】モジュールCのGSMインターフェイス1の全体ブロック図である。
【図126】モジュールCのインターフェイス2の全体ブロック図である。
【図127】分散マスタ・スレーブ・ネットワークの概略図である。
【図128】CANネットワークの概略図である。
【図129】変電所の概略図である。
【図130】動作グラフの概略図である。
【図131】単線図において、MV短絡の際のMVの電圧および電流の位相ベクトルを示す図である。
【図132】遠方の2相短絡(L1‐L2)の際の電圧および電流の位相ベクトルの概略図である。
【図133】近傍の2相短絡(L1‐L2)の際の電圧および電流の位相ベクトルの概略図である。
【図134】故障ループの概略図である。
【図135】故障ループの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給網における地絡事故を検出するための監視システムであって、
いくつかの監視位置に取り付けられた複数の監視装置を有しており、
前記監視装置の各々は、前記電力の高調波のレベルを検出するための検出器を備えており、該高調波のレベルは所定の周波数範囲において検出され、
前記監視装置は、更に、高調波基準値を保持するためのメモリ装置を備え、更にまた前記監視装置は、前記高調波のレベルと前記基準レベルとを比較するためのプロセッサを備えるとともに、前記高調波のレベルが所定の時間期間にわたって前記基準レベルを上回る場合に警報を送信するための通信装置を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記指定の時間期間が1または2サイクルである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、高調波の絶対的な量および/または高調波の相対的な増加を計算する請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記電力供給網の負荷状態の変化によって引き起こされる高調波の変動に合わせて前記基準値を連続的または定期的に適合させるためのソフトウェアをさらに有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
複数の監視装置が、多相の電力供給システムの複数の相を監視するために、前記監視位置のそれぞれに配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは前記警報を受信するサーバを更に有しており、該サーバは、前記警報および該監視位置に関する情報に基づいて監視位置から事故の方向を割り出す請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記監視位置は変電所であり、該変電所は、電力入力ケーブルの電力を第1の電圧レベルから該第1の電圧レベルよりも低い第2の電圧レベルへと変換するための変圧器に電気的に接続された電力入力ケーブルを備えるか、又は、前記監視位置が、前記電力供給網の線が分岐する分岐点である請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記検出器が、前記変圧器の一次側および/または前記変圧器の二次側に配置された請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
電力供給網における地絡事故を検出するための方法であって、
電力供給ケーブルを流れる電流の高調波レベルを検出する検出装置であって、外部のユニットとの通信のための通信ユニットを備えている検出装置を設け、
前記高調波レベルの基準値を設定し、
前記検出された高調波レベルをと前記基準値とを比較し、
前記検出された高調波レベルが前記基準値よりも高い場合に、前記通信ユニットを介して警報信号を送信する工程を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記検出装置は、ファラデー効果を使用することによって前記高調波を検出するための光センサを備えている請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記検出および比較が各周期において指定の回数だけ実行される請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記高調波は第1の時間期間および第2の時間期間にわたって測定され、前記第1の時間期間が前記第2の時間期間よりも長い請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の時間期間が1秒よりも短く、10〜800ミリ秒、更には50〜500ミリ秒、更には100ミリ秒であり、前記第2の時間期間が1分よりも長く、1〜20分、更には5〜15分、更には5分である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の期間における前記高調波レベルと前記第2の期間における前記高調波レベルとの比が前記基準値を上回る場合に前記警報が送信される請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
マスタ・ユニットと電力供給網を監視している複数の監視ユニットとの間の通信方法であって、
前記マスタ・ユニットは、前記複数の監視ユニットとの通信のために有線または無線のネットワークに接続された通信ユニットを有しており、
前記監視ユニットの各々が、前記マスタ・ユニットとの間でデータ・メッセージの送信および受信のために、前記ネットワークへの有線または無線接続された送信機および受信器を有するとともに、1つのメッセージを保持するためのメモリ・ユニットを有し、
前記方法は、
前記マスタ・ユニットが、特定の監視ユニットまたは複数の監視ユニットあるいは前記監視ユニットの全てにメッセージを送信し、
前記特定の監視ユニットまたは前記複数の監視ユニットあるいは前記監視ユニットの全てが前記メッセージを受信し、前記メモリ・ユニットが空である場合には、当該監視ユニットは前記受信したメッセージを保持し、又は、先に受信されたメッセージが前記メモリ・ユニットに保持されている場合には、前記メモリ・ユニットは前記受信したメッセージを放棄することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記監視ユニットが、前記メモリ・ユニットに保持されたメッセージへの応答を送信する工程をを更に有する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マスタ・ユニットが、前記送信したメッセージへの応答が所定の時間期間内に受信されたか否かを監視する請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
応答が前記所定の時間期間内に受信されない場合には、前記マスタ・ユニットが前記メッセージを再送信する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記監視ユニットによって送信される前記応答が、電圧レベルおよび/または相情報および/または故障状態および/または設定および/または通知を含んでいる請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記ネットワークは、GSMネットワーク、3Gネットワーク、WLANネットワーク、PSTN、または他の任意の通信ネットワークである請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記メッセージが、ショート‐メッセージ‐サービス・フォーマット、または任意のテキスト・フォーマット、あるいは任意のバイナリ・フォーマットである請求項15〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
第1の側の電圧が第2の側の電圧よりも高い変圧器の前記第2の側の電流を測定することによって該変圧器の前記第1の側の状態を監視および/または判定するためのシステムであって、
光送信器および光受信器が、電界を検出するためのセンサを有している光経路によって接続され、前記センサが前記変圧器の前記第2の側のケーブルに配置された構成の光学ユニットと、
変圧比および/または変圧器ベクトル群および/または変圧器負荷を含む変圧器関連の情報を保持するためのメモリ・ユニットと、
前記光送信器から前記光経路を通って前記光受信器で受信される光パワーの伝達に基づき、前記ケーブルの電流を測定するためのプロセッサ・ユニットと、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項23】
前記プロセッサが、前記光パワーの伝達および前記変圧器関連の情報に基づき、前記変圧器の前記第1の側の電圧状態を更に計算する請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記変圧器の前記第1の側の前記電流および/または前記電圧の状態を表わしているデータを出力するための出力ユニットを更に有している請求項22または23に記載のシステム。
【請求項25】
前記システムが請求項1〜21のいずれか一項に記載の前記監視ユニットである請求項22〜24のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate

【図58】
image rotate

【図59】
image rotate

【図60】
image rotate

【図61】
image rotate

【図62】
image rotate

【図63】
image rotate

【図64】
image rotate

【図65】
image rotate

【図66】
image rotate

【図67】
image rotate

【図68】
image rotate

【図69】
image rotate

【図70】
image rotate

【図71】
image rotate

【図72】
image rotate

【図73】
image rotate

【図74】
image rotate

【図75】
image rotate

【図76】
image rotate

【図77】
image rotate

【図78】
image rotate

【図79】
image rotate

【図80】
image rotate

【図81】
image rotate

【図82】
image rotate

【図83】
image rotate

【図84】
image rotate

【図85】
image rotate

【図86】
image rotate

【図87】
image rotate

【図88】
image rotate

【図89】
image rotate

【図90】
image rotate

【図91】
image rotate

【図92】
image rotate

【図93】
image rotate

【図94】
image rotate

【図95】
image rotate

【図96】
image rotate

【図97】
image rotate

【図98】
image rotate

【図99】
image rotate

【図100】
image rotate

【図101】
image rotate

【図102】
image rotate

【図103】
image rotate

【図104】
image rotate

【図105】
image rotate

【図106】
image rotate

【図107】
image rotate

【図108】
image rotate

【図109】
image rotate

【図110】
image rotate

【図111】
image rotate

【図112】
image rotate

【図113】
image rotate

【図114】
image rotate

【図115】
image rotate

【図116】
image rotate

【図117】
image rotate

【図118】
image rotate

【図119】
image rotate

【図120】
image rotate

【図121】
image rotate

【図122】
image rotate

【図123】
image rotate

【図124】
image rotate

【図125】
image rotate

【図126】
image rotate

【図127】
image rotate

【図128】
image rotate

【図129】
image rotate

【図130】
image rotate

【図131】
image rotate

【図132】
image rotate

【図133】
image rotate

【図134】
image rotate

【図135】
image rotate


【公表番号】特表2008−521374(P2008−521374A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541689(P2007−541689)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000737
【国際公開番号】WO2006/053567
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(505422110)ドン・エナジー・セールス・アンド・ディストリビューション・アクティーゼルスカブ (2)
【氏名又は名称原語表記】DONG ENERGY SALES & DISTRIBUTION A/S
【Fターム(参考)】