説明

粉体の定量フィーダ装置

【課題】振動が加えられるために、粉体の排出量が微妙に変化するようなメカニックを用いない方法であって、最終的に供給盤の計量溝から確実に精巧に粉体を排出部分に落下させ、計量溝に粉体が残らない定量フィーダ装置を提供する。
【解決手段】粉体の収容容器6と、その下方の駆動部から収容容器内に突出させた主軸7に取り付けた攪拌手段10と、攪拌手段の下方に設けた供給手段12と、駆動部と連動する回転軸16に取り付け、周縁に粉体の計量溝を適宜ピッチで形成した供給盤15と、その外方端下に形成した排出シュート18とより構成して、排出シュート上には供給盤の計量溝の粉体を排出シュートに対して強制的に落下させる手段を備えた粉体の定量フィーダ装置において、落下させる手段は、供給盤の計量溝と排出シュートが重なる位置の上方に配し、エアノズル19で吹き出す、もしくはサクションノズルにより計量溝の下方から吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体の定量フィーダ装置に関し、特に、物性の異なる種々の粉体に対応して、1時間あたりで1ccから1000cc程度の間の微量域で精度よく定量を搬送供給するための粉体の定量フィーダ装置に関するもので、主としてその粉体の強制排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流動性が特に優れた粉体の場合を除き、粉体を微量域で精度よく定量供給していくことはその粉体の物性、例えば比重の相違、粒子、粒度の相違、水分や静電気に起因する付着性や凝集性等に影響を受けるため、非常に困難な作業となっている。
【0003】
従来、粉体の微量フィーダとして振動フィーダ、スクリューフィーダ、テーブルフィーダが知られているが、このうち、振動フィーダは流動性の良い粉体には使用が可能であるが、適用できる粉体が限られてしまい、また、人手をもって流れを制御してやることが微量域で要求され十分なコントロールができず、ムラが生じて精度が悪くなってしまう。人手に頼らなければならないという点も大きなネックとなっている。
【0004】
また、スクリューフィーダの場合は、横型でもオーガタイプのものであっても搬送する粉体の量が微量となると、螺旋状のスクリューの溝が幅、深さとも必然的に小さくなり、その溝に粉体の付着、固着を起こし易くなり、溝が埋まって棒状となってしまったり、逆に粉体の量が少ないため粒子同士の摩擦力が不足し、スリップしてしまい排出不能となってしまうケースが多くなる。
【0005】
さらに、テーブルフィーダの場合は、最も有効、効果的である事が実験により解ったが、時として供給盤の計量溝に粉体が残ったまま排出しない事態や、再びそのまま容器内に戻ってきてしまうという事態が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2008−26044号出願書類
【特許文献2】特願2009−32273号出願書類
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、粉体の定量フィーダにあって、最も有効なテーブルフィーダで、最終的に供給盤の計量溝から確実に精巧に粉体を排出部分に落下させ、計量溝に粉体が残ってしまうという事態を解決する技術がメカニックを用いた場合、振動が加えられることがあり、粉体の排出量が微妙に変化してしまうという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題点を解決するために、本発明に係る粉体の定量フィーダ装置は、粉体の収容容器を有し、その収容容器の下方に設置された駆動部と、その駆動部から前記収容容器内に突出された主軸と、その主軸に取り付けられた攪拌手段と、その攪拌手段の下方で主軸に取り付けられた供給手段と、前記駆動部と連動される回転軸に取り付けられ、周縁に粉体の計量溝を適宜ピッチで形成した供給盤と、その供給盤の外方端下に形成された排出シュートとより構成され、前記排出シュート上には供給盤の計量溝の粉体を排出シュートに対して強制的に落下させる手段を備えていることを特徴とする粉体の定量フィーダ装置において、前記した強制的に落下させる手段は、前記した供給盤の計量溝と前記排出シュートが重なる位置の上方に配され、その排出シュートに先端を向けたエアノズルもしくは計量溝の下方から負圧をかけて吸引するサクションノズルとしたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る粉体の定量フィーダ装置は、前記したエアノズルもしくはサクションノズルはエアポンプもしくは真空ポンプから複数のホース(チューブ)が連結されていることを特徴とし、前記した排出シュートの上部開口の上方で供給盤の上面側もしくは下面側には前記したエアノズルもしくはサクションノズルが気密に嵌着された密閉栓が設けられていることを特徴とし、前記した攪拌手段は主軸に下端を止着されたL字状の丸棒であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る粉体の定量フィーダ装置は上記のように構成されている。そのために、供給盤の計量溝に入って搬送されてくる粉体を確実にエアノズルから噴射される、あるいは吸引されるエアで吹き落とす、あるいは吸い落とすことができ、しかも周囲に粉体を飛散させて雰囲気を悪化させたり、機械構成部にその粉体が混入し、故障を生じてしまうこともなくなり、粉体の収容容器内で粉体がブリッジとなってしまうことを攪拌手段で掻き混ぜることで防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る粉体の定量フィーダ装置を示す正面図である。
【図2】平面図である。
【図3】エア吹込み口部分を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0013】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。これらの図にあって1は架台を示しており、この架台1は前後が開放されたボックス状のものとなっている。この架台1上にはディスクフレーム2が設けられ、このディスクフレーム2にはギアボックスが形成されている。
【0014】
前記したディスクフレーム2の一方側の上面には減速機4を連接した駆動用のモータ3が搭載されている。前記した減速機4から下方に突出された軸4aには回転力伝達用のギア5が取り付けられている。
【0015】
一方、図中6は前記したディスクフレーム2に取り付けられ、上方に材料である粉体の投入口が開口され、その開口縁に投入管が連結されるフランジを設けた粉体の収容容器(ホッパー)であり、この収容容器6は粉体のブリッジ防止を目的としてストレートな円筒形としているが、これはコーン状に形成することも可能である。
【0016】
この収容容器6の下方には駆動部が設けられ、この駆動部には、円錐状とした上端を収容容器2の中央部分内に突出させた攪拌軸(主軸)7を有している。この攪拌軸7の下端には前記したギア5からの回転力を伝達して、攪拌軸7を回転させるギア8が備えられており、このギア8と前記したギア5の間には伝達ギア9が介在されている。
【0017】
また、この攪拌軸7の上方で、収容容器6内には略L字状に形成した丸棒製の攪拌棒10が取り付けられている。この攪拌棒10が攪拌軸7と同期回転することで、収容容器6内にあって、粉体がブリッジや付着の現象が生じることがないよう、常時粉体を攪拌するようになっている。さらに、この攪拌棒10の下方には、収容容器6の内壁面とやや隙間を設けて仕切板11が設けられ、この仕切板11の存在によって、一層ブリッジや付着を防止できるようになっている。
【0018】
この攪拌軸7の下端側には、後述する供給盤15の計量溝15a、15a‥内に定量の粉体を送り、供給するための供給手段12が攪拌軸7と同期回転するものとして取り付けられている。この供給手段12は具体的に攪拌軸7の接線方向に沿って複数設けられた羽根体12a、12a‥とされ、その羽根体12aの接線側の縁で粉体を回転により押し送りする。なお、この供給手段12には羽根体12a、12a‥の先端側に、粉体が零れてしまうことを防止するリング状のガイド12bが設けられている。
【0019】
さらに、攪拌軸7の前記した回転力を受けるギア8の下方にはモータ3からの回転力を伝動するギア13が取り付けられ、このギア13は伝達ギア9と同軸のギア14と噛合されている。そして、ギア13は上端に供給盤15を設けた回転軸16に取り付けられたギア17と噛合して、この回転軸16を回転させ、強いては供給盤15を回転させるものとしている。
【0020】
前記した供給盤15は円板によって形成されており、その周縁には等ピッチで計量溝15a、15a‥が連続形成された略平歯車状の形態をしている。前記した羽根体12a、12a‥は一部がこの供給盤15の上面と摺接する構成となっており、この羽根体12a、12a‥で送られた粉体が逐次供給盤15の計量溝15a、15a‥内に送られ、この計量溝15a、15a‥を粉体で埋めていくこととなる。
【0021】
一方、図中18は排出シュートを示しており、供給盤15の計量溝15a、15a‥に入れられた粉体は順次、この排出シュート18の上方から落下させられ排出される。即ち、供給盤15の粉体が入れられた計量溝15a、15a‥のうち一つが排出シュート18の上面開口に摺接していくこととなり、粉体は自重によって自然落下する。
【0022】
この排出シュート18の摺接する供給盤15の上方には、計量溝15a、15a‥内に残余する粉体を強制的に排出シュート18内に送り込むためのエアノズル19が設けられている。このエアノズル19はその先端を排出シュート18の上面開口に向け、計量溝15aの上側と対向する。
【0023】
前記したエアノズル19は架台1内に載置されたエアポンプ20と二本のホース(チューブ)21、21と連接されており、エアポンプ20から送られたエアを排出シュート18、強いては計量溝15a、15a‥に対して吹き付け、計量溝15a、15a‥内に残った粉体を排出シュート18内へ吹き落とす。
【0024】
また、前記したエアノズル19は、噴射するエアが周囲に漏れ、粉体を雰囲気中に飛散させて環境を悪化したり、機械構成部へ混入して故障を生じたりすることがないよう気密な密閉栓22内に嵌入された構成となっている。
【0025】
この作用によって、計量溝15a、15a‥内には粉体が残ってしまうことがなくなり、精巧に定量を排出することが持続して行なわれる。この作用は粉体の物性にかかわりなく行なわれるが、本発明に関しては特に、粉体の粒度が比較的大きく、湿気のないサラサラした状態のものが適合する。そして、エアの噴射による強制排除のため、振動が加えられることはなく、定量を常に確保し、バラ付きが生じてしまうこともない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る粉体の定量フィーダ装置は上記のように構成されている。そのため、対象は粉体となるが、燃焼の危険性を伴なう場合等は強制排出手段としてエアに代え、窒素ガス等の不活性ガスを使用することも勿論可能である。また、本実施例では、計量溝15a、15a‥内に残余する粉体を強制的に排出シュート18内に送り込む手段としてエアノズル19を用いているが、これは、サクションノズルに代え、計量溝15a、15a‥の下方側から吸引することによっても可能である。この場合、サクションノズルへの粉体の侵入はフィルター等、種々の手段によって回避することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 架台
2 ディスクフレーム
3 モータ
4 減速機
4a 軸
5 ギア
6 収容容器(ホッパー)
7 攪拌軸
8 ギア
9 伝動ギア
10 攪拌棒
11 仕切板
12 供給手段
12a 羽根体
12b リング状のガイド
13 ギア
14 ギア
15 供給盤
15a 計量溝
16 回転軸
17 ギア
18 排出シュート
19 エアノズル
20 エアポンプ
21 ホース(チューブ)
22 密閉栓




【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の収容容器を有し、その収容容器の下方に設置された駆動部と、その駆動部から前記収容容器内に突出された主軸と、その主軸に取り付けられた攪拌手段と、その攪拌手段の下方で主軸に取り付けられた供給手段と、前記駆動部と連動される回転軸に取り付けられ、周縁に粉体の計量溝を適宜ピッチで形成した供給盤と、その供給盤の外方端下に形成された排出シュートとより構成され、前記排出シュート上には供給盤の計量溝の粉体を排出シュートに対して強制的に落下させる手段を備えていることを特徴とする粉体の定量フィーダ装置において、前記した強制的に落下させる手段は、前記した供給盤の計量溝と前記排出シュートが重なる位置の上方に配され、その排出シュートに先端を向けたエアノズルもしくは計量溝の下方から負圧をかけて吸引するサクションノズルとしたことを特徴とする粉体の定量フィーダ装置。
【請求項2】
前記したエアノズルもしくはサクションノズルはエアポンプもしくは真空ポンプから複数のホース(チューブ)が連結されていることを特徴とする請求項1に記載の粉体の定量フィーダ装置。
【請求項3】
前記した排出シュートの上部開口の上方で供給盤の上面側もしくは下面側には前記したエアノズルもしくはサクションノズルが気密に嵌着された密閉栓が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粉体の定量フィーダ装置。
【請求項4】
前記した攪拌手段は主軸に下端を止着されたL字状の丸棒であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の粉体の定量フィーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−202302(P2010−202302A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47558(P2009−47558)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(508038806)株式会社アイシンナノテクノロジーズ (11)
【Fターム(参考)】