説明

粉体供給装置

【課題】難供給性または難排出性の粉体の供給を行うことができる粉体供給装置を提供する。
【解決手段】粉体を貯留する粉体貯留部4と、前記粉体貯留部を前記粉体貯留部の略中央部を通る軸回りに回転駆動する回転駆動部6と、前記粉体貯留部の底面の前記軸から偏心した位置に接触し前記粉体貯留部の回転に従って回転する回転体10と、前記回転体の側面に付着した粉体を送出する送出部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体の供給を行う粉体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体散布機等に粉体の供給を行う場合には、筒状通路内に配置されるスクリューを回転させることにより、粉体の供給元から粉体の供給先である粉体散布機等に粉体の供給を行う粉体供給機が存在する(例えば、特許文献1参照)。この粉体供給機によれば、粉体散布機等に定量的に粉体の供給を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−100529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の粉体供給機を用いて離型剤として用いられるタルク等の難供給性または難排出性の粉体を粉体散布機等に供給しようとした場合には、粉体が高付着性であることから筒状通路内及び筒状通路内のスクリューに付着し粉体の供給を行うことができなかった。
【0005】
本発明の目的は、難供給性または難排出性の粉体の供給を行うことができる粉体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粉体供給装置は、粉体を貯留する粉体貯留部と、前記粉体貯留部を前記粉体貯留部の略中央部を通る軸回りに回転駆動する回転駆動部と、前記粉体貯留部の底面の前記軸から偏心した位置に接触し前記粉体貯留部の回転に従って回転する回転体と、前記回転体の側面に付着した粉体を送出する送出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の粉体供給装置は、前記回転体が円板形状であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の粉体供給装置は、前記回転体の前記側面に粉体充填用の周溝を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の粉体供給装置は、前記送出部の近傍に配置され、前記周溝に充填された粉体を掻き出す第1スクレーパーを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の粉体供給装置は、前記回転体の側面に付着した粉体を掻き落とす第2スクレーパーを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の粉体供給装置は、前記送出部が前記回転体の側面に付着しまたは前記周溝に充填された粉体を吸引する吸引機構を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の粉体供給装置は、前記粉体貯留部内に前記回転体の下部に前記粉体を寄せ集める機構を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の粉体供給装置は、前記粉体貯留部内に前記粉体をほぐす機構を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の粉体供給装置は、前記回転体を回転させる回転機構を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の粉体供給装置は、前記回転体を上方向に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、難供給性または難排出性の粉体の供給を行うことができる粉体供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る粉体供給装置を側面側から視た部分断面図である。
【図2】実施の形態に係る粉体供給装置を回転体の正面側から視た部分断面図である。
【図3】実施の形態に係る第1及び第2スクレーパーの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る粉体供給装置について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る粉体供給装置を側面側から視た部分断面図、図2は粉体供給装置を回転体の正面側から視た部分断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、粉体供給装置2は円形の平面底部を有する円筒状の粉体貯留部4を備えている。粉体貯留部4には、例えばタルク等の難供給性または難排出性の粉体5が貯留される。粉体貯留部4の下部には、粉体貯留部4の略中央部を通る垂直軸回りに粉体貯留部4を回転駆動する回転駆動部6が設けられている。粉体貯留部4内には水平回転軸支持部8に支持されている水平回転軸8aに回転可能に取付けられている円板形状の回転体10が配置されており、回転体10の側面は粉体貯留部4の底面の中央部から偏心した位置に接触している。ここで回転体10の側面の中央部には、1本の断面矩形状を有する粉体充填用の周溝10aが形成されている。
【0020】
水平回転軸支持部8は、垂直方向に延びるスライドベース12に対してスライド可能に支持され、スライドベース12に固定されている巻きバネ14により上方向(図1における矢印方向)に付勢されている。これにより回転体10の側面が粉体貯留部4の底面に対して接触する荷重が調整されている。従って、回転体10は粉体貯留部4の回転に従動して回転し、回転に伴い周溝10aに粉体が充填される。
【0021】
粉体供給装置2の上部には、回転体10の側面の周溝10aに充填された粉体を送出するエジェクター装置16が配置されている。エジェクター装置16は、一方の端部が回転体10の周溝10aに対して微小な間隙を保って対向配置された中空管16aと、中空管16aの他方の端部が接続された粉体送出管16bを備えており、粉体送出管16bに高圧空気を流通させることにより中空管16a内を減圧し、周溝10aに充填された粉体を中空管16a内に吸引し粉体送出管16bにより送出する。なお、中空管16aは、回転体10の周溝10aに対して微小な間隙を保って対向配置されているが、粉体の送出量や送出速度に応じてその間隔を変更できるように構成することが好ましい。
【0022】
また、粉体供給装置2の水平回転軸支持部8には、回転体の側面に付着した粉体を掻取るプレート状の第1スクレーパー18、周溝10aに充填された粉体を掻き出す板状の第2スクレーパー20が取付けられている。図3に示すように、第1スクレーパー18は、その一方の側面が所定の角度で、中空管16aの手前において回転体10の側面に当接され、周溝10aに充填された粉体表面を平滑化し、また回転体10の側面に付着した余分な粉体を取り除く。また、第2スクレーパー20は、その先端部が中空管16aの近傍において周溝10aの内面に当接され、周溝10aに充填された粉体を掻き出す。従って、粉体の送出が容易になると共に中空管内へ送出される粉体量が平均化され定量的な送出が実現される。
【0023】
次に、粉体供給装置2による粉体の送出について説明する。回転体10を粉体貯溜部4内に降下させ回転体10の側面を粉体貯溜部4の底部に接触させた状態で、粉体貯溜部4にタルク等の粉体5を投入する。回転駆動部6により粉体貯溜部4を回転させると、回転体10は粉体貯溜部4の回転に従動して回転する。この際に周溝10a内に粉体5が圧入・充填される。なお、巻きバネ14により回転体10を上方向に引き上げる力は、回転体10が粉体貯溜部4の回転に従動して回転し、周溝10a内に粉体5が的確に圧入・充填されるように調整されている。
【0024】
回転体10の回転に伴い粉体5が充填された周溝10aが中空管16aの一方の端部が対向している位置に至ると、上述のように中空管16a内が減圧されているため、中空管16a内に吸引される気体と共に周溝10a内の粉体5が中空管16a内に吸引される。このようにして中空管16aに流入した粉体5は、粉体送出管16bを介して粉体散布装置等に定量的に供給される。
【0025】
本発明の実施の形態に係る粉体供給装置によれば、回転体の周溝に均一に粉体が充填され、エジェクター装置により周溝に充填された粉体が送出されるため、定量的に粉体の送出を行うことができる。
【0026】
なお、上述の実施の形態においては、円板状の回転体10を用いているが、円柱形状、球形状、ドラム状、ロール状、円錐形状等の回転体を用いてもよい。
【0027】
また、上述の実施の形態においては、難供給性または難排出性の粉体であるタルクの送出を行っているが、タルクに限らず他の難供給性または難排出性の粉体の送出も可能である。また、難供給性または難排出性の粉体でなくとも回転体10に付着し、または回転体10の周溝10aに充填可能な粉体であれば粉体散布装置等に定量的に供給することができる。
【0028】
また、上述の実施の形態においては、回転体10の側面に周溝10aが形成されているが、回転体の側面に周溝を設けず回転体の側面に付着した粉体をエジェクター装置等により吸引し送出するようにしてもよい。
【0029】
また、上述の実施の形態においては、粉体充填用の周溝10aの断面形状は矩形形状であるが、径外方に向かって幅寸法が広がる逆台形形状や半円形形状であってもよい。
【0030】
また、上述の実施の形態において、粉体貯留部4内の回転体の近傍に回転体10の下部に粉体を寄せ集める機構、例えば水平回転軸支持部8等に取付けられたプレート状の部材により構成され回転体10の下部に粉体を寄せ集める機構を備えてもよい。このような機構を備えることにより、回転体10の回転により、粉体が粉体貯留部4の壁面あるいは中心に寄ってしまうのを防止することができ、回転体10の周溝10aへの粉体の充填をスムーズに行うことができる。
【0031】
また、上述の実施の形態において、粉体貯留部4内に粉体をほぐす機構、例えば粉体の攪拌を行う攪拌羽根を備えてもよい。このような機構を備えることにより回転体10により押し固められた粉体をほぐすことができ、周溝10aへの粉体の充填を容易に行うことができる。
【0032】
また、上述の実施の形態において、回転体10を回転させる回転機構を備えるようにしてもよい。回転機構を備えることにより、回転体10が粉体等で滑るなどして、粉体貯留部4に従動して回転できない場合においても、回転体10を回転させ周溝10aに粉体を充填することができる。
【0033】
また、上述の実施の形態においては、回転体10の側面に1本の粉体充填用の周溝10aを設けているが、複数本の周溝を設けてもよい。また、周溝の幅及び深さを変更可能に構成してもよい。さらに、回転体10の回転速度を変更可能に構成してもよい。このように構成することで粉体の送出量を変更することができる。
【0034】
また、上述の実施の形態においては、巻きバネ14の力により回転体10に対して上方向の付勢力を作用させて回転体10が粉体貯留部4の底部に接触する力を調整しているが、回転体10に対して上方向の付勢力を作用させることができればバネの種類は適宜選択可能である。また、バネに限らずゴム等の弾性部材を用いてもよい。
【0035】
また、上述の実施の形態においては、巻きバネ14の力により回転体10に対して上方向の付勢力を作用させて回転体10が粉体貯留部4の底部に接触する力を調整しているが、回転体10が回転可能に取付けられている水平回転軸8aを支持する水平回転軸支持部8をスライドベース12に対してスライド可能に支持しておき、回転体10の重さを変更することにより回転体10が粉体貯留部4の底部に接触する力を調整するようにしてもよい。また、回転体10の位置を固定しておき、粉体貯留部4を上下方向に移動させることにより回転体10が粉体貯留部4の底部に接触する力を調整するようにしてもよい。
【0036】
また、上述の実施の形態においては、エジェクター装置16により回転体10の周溝10aに充填された粉体の送出を行っているが、回転体10及び粉体貯留部4を密閉容器内に配置し密閉容器内の圧力を高くすることにより、密閉容器内から回転体の周溝に対向した中空管内に向かって気体を流通させ、この気体に周溝内に充填された粉体を巻き込ませて送出すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
2…粉体供給装置、4…粉体貯留部、5…粉体、6…回転駆動部、10…回転体、10a…周溝、14…巻きバネ、16…エジェクター装置、18…第1スクレーパー、20…第2スクレーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留する粉体貯留部と、
前記粉体貯留部を前記粉体貯留部の略中央部を通る軸回りに回転駆動する回転駆動部と、
前記粉体貯留部の底面の前記軸から偏心した位置に接触し前記粉体貯留部の回転に従って回転する回転体と、
前記回転体の側面に付着した粉体を送出する送出部と
を備えることを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記回転体は、円板形状であることを特徴とする請求項1記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記回転体の前記側面に粉体充填用の周溝を備えることを特徴とする請求項1または2記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記送出部の近傍に配置され、前記周溝に充填された粉体を掻き出す第1スクレーパーを備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記回転体の側面に付着した粉体を掻き落とす第2スクレーパーを備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の粉体供給装置。
【請求項6】
前記送出部は、前記回転体の側面に付着しまたは前記周溝に充填された粉体を吸引する吸引機構を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の粉体供給装置。
【請求項7】
前記粉体貯留部内に前記回転体の下部に前記粉体を寄せ集める機構を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の粉体供給装置。
【請求項8】
前記粉体貯留部内に前記粉体をほぐす機構を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の粉体供給装置。
【請求項9】
前記回転体を回転させる回転機構を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の粉体供給装置。
【請求項10】
前記回転体を上方向に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の粉体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−230902(P2011−230902A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103585(P2010−103585)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】