説明

粉体化粧料

【課題】
化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりに優れ、肌への付着力や保湿感、皮膚の凹凸を目立たなくする効果に優れ、固形状の場合には、さらに充填成形性に優れる粉体化粧料の提供。
【解決手段】
次の成分(a)及び(b);(a)複数の略球状粒子が凝集合一し、表面に複数の凹凸を有する形状の異形複合粉体、(b)アミノ酸、ポリアミノ酸、これらの誘導体又は塩から選ばれる一種又は二種以上の水溶性成分、を配合することを特徴とする粉体化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の略球状粒子が凝集合一し、表面に複数の凹凸を有する形状の異形複合粉体、及びアミノ酸、ポリアミノ酸、これらの誘導体又は塩から選ばれる一種又は二種以上の水溶性成分を配合する粉体化粧料に関するものであり、更に詳しくは、化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりに優れ、肌への付着力や保湿感に優れ、皮膚の凸凹が目立たず、特に固形状である場合は、充填成形性にも優れる粉体化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体化粧料は、粉体が主骨格となるので、他の化粧品剤型に比べて、粉っぽい仕上がりになりやすく、肌への付着力や保湿感に劣る場合が多かった。そのため、粉体化粧料の粉っぽさを低減する目的で、油剤が添加されているが、油剤は粉体表面に均一に分散しないため、良好な付着性が得られないばかりか、油剤を核とした造粒物を形成し、固形状の場合には充填成形性にも問題を生じる場合があった。
そこで、これらの問題点を解決するために、様々な検討がなされており、具体的には、板状粉体の表面にポリグルタミン酸と水素添加レシチンとを吸着処理し、更に金属塩溶液にて処理することで、付着力の高い保湿性処理粉体を得る技術(例えば、特許文献1参照)等が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平01−224309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、板状粉体の表面に特定の処理をして保湿性処理粉体を得る方法では、化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりや肌への付着力や保湿感の点では優れているが、肌への密着力が高すぎて粉が皮膚の凹凸に沿って付着するため、しわや毛穴等の好ましくない凹凸を強調する結果となっていた。
このため、肌への付着力や保湿感に優れ、且つ、皮膚の凹凸を目立たせない効果を兼ね備えた粉体化粧料、すなわち、化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりに優れ、肌への付着力や保湿感が良好で、皮膚の凹凸を目立たせない効果に優れ、固形状の場合は充填成形性にも優れる粉体化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、粉体化粧料において、複数の略球状粒子が凝集合一し、表面に複数の凹凸を有する形状の異形複合粉体と、アミノ酸、ポリアミノ酸、これらの誘導体又は塩から選ばれる一種又は二種以上の水溶性成分とを配合することにより、滑らかな伸び広がりに優れ、肌への付着力や保湿感が良好で、皮膚の凹凸を目立たせない効果をもたらすことを見出し、本発明を完成した。また、化粧料が固形状である場合には、充填成形性も向上することを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(a)及び(b);
(a)複数の略球状粒子が凝集合一し、表面に複数の凹凸を有する形状の異形複合粉体
(b)アミノ酸、ポリアミノ酸、これらの誘導体又は塩から選ばれる一種又は二種以上の水溶性成分、を配合することを特徴とする粉体化粧料を提供するものである。
また、成分(b)を水に溶解し、成分(a)を含む粉体基材と混合し、乾燥することにより得られることを特徴とする粉体化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉体化粧料は、化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりに優れ、肌への付着力や保湿感、皮膚の凹凸を目立たせない効果に優れ、特に固形状の場合には充填成形性にも優れた粉体化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の粉体化粧料に用いられる成分(a)の異形複合粉体は、複数の略球状粒子が凝集合一し、表面に複数の凹凸を有する形状の異形複合粉体(以下、「異形複合粉体」という)であり、特開2004−285014号公報等に記載されている粉体である。異形複合粉体は、表面の複数の凹凸が照射された光を多方向に散乱させる特性に優れるため、肌上での好ましくない光沢(テカリ)を低減させることができ、肌の凹凸を目立たなくすることができる。さらに、複数の略球状粒子が凝集していることにより、弾力性に優れ、粉っぽさのない滑らかな伸び広がりを付与することができる。
【0009】
成分(a)の異形複合粉体における、略球状粒子とは、球状、楕円状等の概ね球に近い形状の粒子であり、その平均粒径は0.1〜10μmが好ましい。また、成分(a)の異形複合粉体は、一粒子中に前記略球状粒子が5〜30個凝集合一しているような形状が好ましい。その平均粒径は、特に限定されないが、1〜35μmが好ましく、更に5〜10μmが好ましい。
【0010】
成分(a)の異形複合粉体は、組成は特に限定されないが、ポリアクリル酸アルキル及び/又はポリメタクリル酸アルキルとポリイソプレンを主成分とするものが好ましい。これらの組成である場合、ナイロンやウレタン様の滑らかな使用感を持ちながら、防腐性が高いという利点を有する。アクリル酸アルキルとしては、特に限定されないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられ、メタクリル酸アルキルとしては、特に限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。また、ポリアクリル酸アルキル及び/又はポリメタクリル酸アルキルとポリイソプレンの組成比は、特に限定されないが、質量比で90〜98:2〜10が好ましい。
【0011】
成分(a)の異形複合粉体は、特開平11−140139号公報等に記載されている方法等により調製することができる。具体的には、ポリアクリル酸アルキル及び/又はポリメタクリル酸アルキルのモノマー、ポリイソプレンのモノマー及び架橋モノマーを水中で、分散剤、安定化剤及び触媒の存在下、重合開始剤を添加して、重合、脱水、乾燥、脱モノマー後、粉砕する方法等が挙げられる。ここで用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
【0012】
このような成分(a)の異形複合粉体の市販品としては、ポリアクリル酸アルキルとポリイソプレンの混合比(質量比)が95/5で、平均粒径8μmのガンツパ−ルGMI−0804(ガンツ化成社製)を用いることができる。
【0013】
本発明の粉体化粧料に用いられる成分(a)の配合量は、特に限定されないが、1〜40質量%(以下、単位に「%」と略す)が好ましく、2〜20%がより好ましい。成分(a)の配合量がこの範囲であると、化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりや皮膚の凹凸を目立たなくする効果に特に優れる粉体化粧料を得ることができる。
【0014】
本発明の粉体化粧料に用いられる成分(b)の水溶性成分は、通常、化粧料において用いられる酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、あるいはそれらの重合体であるポリアミノ酸、及びそれらの誘導体又は塩から選ばれる、一種又は二種以上の組み合わせである。
アミノ酸及びその誘導体としては、具体的に例示すると、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、システィン、システィン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン等のアミノ酸、及びN−アセチル−グルタミン酸等の誘導体類が挙げられる。また、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
ポリアミノ酸としては、重合度等は特に限定されないが、化粧料塗布時の適度な付着力を付与するためには、平均重合度5000〜300万のポリアミノ酸であることが好ましい。また特にポリアミノ酸の中でも、酸性アミノ酸である、ポリアスパラギン酸やポリグルタミン酸、又はそれらの塩が適度な付着力と保湿感を与えるので好ましい。
さらに、成分(b)の水溶液として、ポリアミノ酸等を主成分とする、米ぬか発酵エキス等の植物エキスを用いることもできる。
【0015】
本発明の粉体化粧料に用いられる成分(b)の配合量は、特に限定はされないが0.0001〜3%が好ましく、0.0002〜1%がより好ましい。成分(b)の配合量がこの範囲であると、粉の適度な密着力が付与でき、密着しすぎて伸びの重さを感じることがなく、保湿感に優れ、皮膚の凹凸を目立たせない効果に優れる粉体化粧料を得ることができる。また、化粧料が固形状の場合には、充填成形性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の粉体化粧料への成分(b)の添加方法は、特に限定はされないが、具体的には、成分(b)を揮発性の溶媒に分散して、粉体基材に噴霧又は混合し乾燥する方法、あるいは、油剤中に分散し、粉体基材と油剤分散物を混合分散する方法などが挙げられる。好ましくは、成分(b)を水に溶解し、成分(a)を含む粉体基材と混合し、乾燥して前記水を除去することにより、より均質で使用感に優れる粉体化粧料を製造することができる。
【0017】
本発明の粉体化粧料における粉体基材とは、成分(a)を含む、通常の化粧料に用いられる粉体及びその処理物であり、成分(a)以外の粉体では、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等を用いることができる。具体的には、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成雲母、合成雲母鉄、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、酸化鉄・酸化チタン焼結体、有機顔料被覆マイカチタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン内包シリカ、酸化亜鉛内包シリカ等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
また、これらの処理物としては、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。
【0018】
本発明の粉体化粧料には、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、例えば、油剤、界面活性剤、油ゲル化剤、多価アルコール類や保湿剤などの水溶性成分、紫外線吸収剤、防腐剤、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0019】
本発明に用いられる油剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、モクロウ等の油脂類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。本発明の粉体化粧料に、これらの油剤を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、0.5〜45%が好ましい。
【0020】
本発明に用いられる界面活性剤は、湿潤剤、感触調整剤等の目的で用いられるものであり、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0021】
本発明に用いられる油ゲル化剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、疎水性煙霧状シリカ、有機変性ベントナイト等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0022】
本発明に用いられる水性成分は、水に可溶な成分であり、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液を挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
【0023】
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン等のベンゾフェノン系、サリチル酸−2−エチルヘキシル等のサリチル酸系、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル等の桂皮酸系、4−tert−4'−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0024】
本発明の粉体化粧料の製造方法については、特に限定はないが、例えば成分(a)を含む粉体基材と成分(b)を混合して、これに油剤処理をする方法等により製造される。また、好ましくは、成分(b)を水に溶解し、成分(a)を含む粉体基材と混合し、乾燥することにより、より均質で使用感に優れる粉体化粧料を得ることができる。また、乾燥方法については、保存安定性の観点から、室温乾燥することが好ましい。
【0025】
本発明の粉体化粧料は、ファンデーション、白粉、頬紅、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシーラー等のメーキャップ化粧料、日焼け止め化粧料等に適用できる。
また、本発明の粉体化粧料の形態は、粉末状、ケーキ状、スティック状、球状等が挙げられるが、本発明の効果が顕著に発揮されるのは、ケーキ状、スティック状、球状等の固形状の粉体化粧料である。
【0026】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0027】
本発明品1〜6及び比較品1〜5:ケーキ状ファンデーション
表1に示す組成のファンデーションを下記方法により調製し、「滑らかな伸び広がり」、「肌への付着力や保湿感」、「皮膚の凹凸の目立ちにくさ」、「充填成形性」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0028】
【表1】

【0029】
(製造方法)
A:成分12〜15を加熱し、混合する。
B:成分1〜11をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cを粉砕し、さらに成分16〜19を混合する。
E:D100部に対して、精製水10部を添加し混合後、金皿に充填する。
F:Eを圧縮成型後、室温で16時間乾燥して、ケーキ状ファンデーションを得た。
【0030】
(評価方法1)官能評価
化粧品評価専門パネル20名に、前記のケーキ状ファンデーションを使用してもらい、「滑らかな伸び広がり」、「肌への付着力や保湿感」、「皮膚の凹凸の目立ちにくさ」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、ファンデーション毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。
[評価基準]
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[判定基準]
(評点の平均点) :(判定)
5.0以上 : ◎
3.5以上〜5.0未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0031】
(評価方法2)充填成形性
前記のケーキ状ファンデーションをコンパクト容器にセットし、ふたを閉めたものを床から70cmの高さから落下させ、中のファンデーションの破損がないものを「充填成形性」が良いものとし、ファンデーション毎に以下の判定基準に従って判定した。
[判定基準]
(評価結果) :(判定)
変化無し : ◎
部分的に0.5mm未満の隙間あり : ○
部分的に0.5〜1.0mmの隙間あり : △
部分的に破損あり : ×
【0032】
表1の結果から明らかなように、本発明品1〜6のケーキ状ファンデーションは、「滑らかな伸び広がり」、「肌への付着力や保湿感」、「皮膚の凹凸の目立ちにくさ」、「充填成形性」の全ての項目に優れた粉体化粧料であった。これに対して、成分(a)を配合しない比較品1では、塗布時の滑らかな伸び広がりに劣り、肌の凹凸を目立たせない効果も良好ではなかった。また、成分(b)を配合しない比較品2では、肌への付着力や保湿感と充填成形性に劣っていた。そして、成分(a)に代えて球状シリコーン粉末や球状シリカを配合する比較品3、4は、充填成形性や化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりに劣っていた。更に、成分(a)に代えてナイロン粉末を配合する比較品5は、毛穴の目立ちにくさに劣っていた。
【実施例2】
【0033】
ケーキ状頬紅
(成分) (%)
1.セリサイト 20
2.成分(a)の異形複合粉体(注1) 5
3.合成金雲母(平均粒径30μm) 30
4.ステアリン酸マグネシウム 3
5.ナイロンパウダー 3
6.タルク 残量
7.ベンガラ 2
8.黄色酸化鉄 2
9.黒色酸化鉄 1
10.パラオキシ安息香酸メチル 適量
11.ワセリン 1
12.パーフルオロポリエーテル(注7) 1
13.ジメチルポリシロキサン(注8) 3
14.流動パラフィン 6
15.成分(b)のアミノ酸約0.3%含有米ぬか発酵液(注9) 7
注7:フォンブリンHC/04(アウジモント社製)
注8:KF96(10cs)(信越化学工業社製)
注9:米発酵エキスS(一丸ファルコス社製)
【0034】
(製造方法)
A:成分11〜14を加熱し、混合する。
B:成分1〜10をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cを粉砕する。
E:Dに成分15を添加し金皿に充填し、圧縮成型後、室温で10時間乾燥して、ケーキ状頬紅を得た。
実施例2のケーキ状頬紅は、「滑らかな伸び広がり」、「肌への付着力や保湿感」、「皮膚の凹凸の目立ちにくさ」、「充填成形性」の全ての項目に優れた粉体化粧料であった。
【実施例3】
【0035】
粉末状アイシャドウ
(成分) (%)
1.タルク 20
2.成分(a)の異形複合粉体(注1) 20
3.酸化チタン被覆合成金雲母(平均粒径20μm) 10
4.酸化チタン被覆合成雲母(平均粒径40μm) 10
5.窒化硼素(平均粒径6μm) 10
6.薄片状無水ケイ酸(平均粒径10μm) 5
7.セリサイト 残量
8.黄色酸化鉄 3
9.ベンガラ 4
10.黒色酸化鉄 0.5
11.成分(b)のポリグルタミン酸液(注5) 10
12.パラオキシ安息香酸メチル 適量
13.ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1
14.スクワラン 3
【0036】
(製造方法)
A:成分12〜14を混合する。
B:成分1〜10をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する。
C:BにAを添加し、さらに成分11を混合して、静置後、室温で24時間乾燥する。
D:Cを粉砕し、粉末状アイシャドウを得た。
実施例3の粉末状アイシャドウは、「滑らかな伸び広がり」、「肌への付着力や保湿感」、「皮膚の凹凸の目立ちにくさ」の項目に優れた粉体化粧料であった。
【実施例4】
【0037】
ケーキ状ファンデーション
(成分) (%)
1.酸化チタン 7
2.成分(a)の異形複合粉体(注1) 10
3.合成金雲母 30
4.合成金雲母鉄 20
5.窒化硼素(平均粒径6μm) 5
6.黄色酸化鉄 1.5
9.ベンガラ 0.5
10.黒色酸化鉄 0.1
11.球状シリコーン粉末(注4) 5
12.パラオキシ安息香酸メチル 適量
13.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1
14.オクチルメトキシシンナメート 3
15.スクワラン 5
16.ワセリン 1
17.ジメチルポリシロキサン(注8) 5
18.成分(b)のセリン 0.02
19.ジプロピレングリコール 0.5
【0038】
(製造方法)
A:成分13〜19を加熱し、混合する。
B:成分1〜12をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cを粉砕する。
E:D100部に対し、軽質流動イソパラフィン37部、エタノール1部をそれぞれ処方外成分として添加し、混合する。
F:Eを金皿に充填し、70℃で24時間乾燥して処方外成分を除去し、ケーキ状ファンデーションを得た。
実施例4のケーキ状ファンデーションは、「滑らかな伸び広がり」、「肌への付着力や保湿感」、「皮膚の凹凸の目立ちにくさ」、「充填成形性」の全ての項目に優れた粉体化粧料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)及び(b);
(a)複数の略球状粒子が凝集合一し、表面に複数の凹凸を有する形状の異形複合粉体
(b)アミノ酸、ポリアミノ酸、これらの誘導体又は塩から選ばれる一種又は二種以上の水溶性成分
を配合することを特徴とする粉体化粧料。
【請求項2】
成分(a)の異形複合粉体が、ポリアクリル酸アルキル及び/又はポリメタクリル酸アルキルとポリイソプレンを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の粉体化粧料。
【請求項3】
成分(b)がポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、又はそれらの塩であることを特徴とする請求項1記載の粉体化粧料。
【請求項4】
成分(a)の配合量が1〜40質量%、成分(b)の配合量が0.0001〜5質量%であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかの項記載の粉体化粧料。
【請求項5】
前記粉体化粧料が固形状であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかの項記載の粉体化粧料。
【請求項6】
成分(b)を水に溶解し、成分(a)を含む粉体基材と混合し、乾燥することにより得られることを特徴とする請求項1乃至5の何れかの項記載の粉体化粧料。

【公開番号】特開2006−265214(P2006−265214A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89899(P2005−89899)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】