説明

粉体混合処理手段を有する集塵機及び粉体混合処理方法

【課題】低コストで有効利用可能な煤塵と添加剤とを混合し、より利用し易い状態に高め得る粉体混合処理手段を有する集塵機及びそれを用いた粉体混合処理方法を提供する。
【解決手段】集塵機100において、排ガスの通過する室内に設けられる集塵機構101には、電気集塵装置やフィルタ(バグフィルタ)装置などが適用される。添加剤供給機構103は、集塵ホッパ102の沈降領域より上方に添加剤の供給口103aが設けられ、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵と混合するための添加剤ADを供給する。添加剤供給機構103は、ブロースルー型ロータリーバルブ103bを配備し供給口103aに移動してきた添加剤ADを噴射または散布するように吹き散らし、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵と混合させる。また、搬出制御機構104は、ロータリーバルブ等を用い、集塵ホッパ102に集積された煤塵と添加剤ADとの混合物を外部へ抜き出す制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を後に生じる灰の粒子を扱う粉体混合処理手段を有する集塵機及び粉体混合処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油代替エネルギー資源として石炭が見直されている。石炭は、石油に比較して全世界に豊富な埋蔵量を有し、安定した供給が見込めるからである。このような理由の影響もあって、各種石炭燃焼設備は増加傾向にある。もちろん、石炭火力発電所も増加しており、副産物としての石炭燃焼灰(以下、石炭灰)も急増している。石炭灰は粉体であり、特にフライアッシュと呼ばれる石炭灰は、捕集されたときにすでに10〜30μm程度の粒径を有する一様な球状になっている。一般に、石炭灰の一部は、コンクリートや土壌改良材等、土木建築材料として有効利用され、その他の余剰した石炭灰は、埋め立てに利用される。
【0003】
上記のような石炭灰は、微量ではあるが有害な重金属(有害微量元素)を含有している。そこで、石炭灰を上記用途に用いるにあたり、環境への配慮から、有害微量元素の溶出濃度を規定値以下に低減する対策がとられている。石炭灰の有害微量元素の溶出を抑制する対策として、重金属を不溶化する方法がある。重金属を不溶化する方法は、大量の石炭灰を処理するのに適している。具体的には、セメント固化法や薬剤処理法などが知られている。セメント固化法は、石炭灰にセメント等を添加して固化し、重金属を不溶化する。薬剤処理法は、石炭灰にキレート化合物等の溶出防止剤を添加し、重金属を不溶化する。
【0004】
上記のように、石炭灰のような粉体と、セメントや溶出防止剤等の添加剤とを接触、反応させる技術においては、一般に、反応タンク内に石炭灰、添加剤及び水分を投入し、これらを混練するために攪拌機を稼働させる。攪拌機は、粉体と添加剤とを均一に接触させ、反応を促進するための十分な攪拌時間が必要であり、大きな動力を要する。また、相応の反応タンク容量が必要であり、バッチ反応処理となる。
【0005】
一方、別の従来技術として、重金属の固定化材を排ガス中に噴霧し、飛灰と接触させてそれに含まれる重金属を固定化する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−108647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、石炭灰のような粉体と、セメントや溶出防止剤等の添加剤とを接触、反応させる技術は、粉体と添加剤との均一な混合が不可欠である。添加剤の量が粉体の量に対して少量になるほど、粉体と添加剤との均一混合は難しくなる。よって、この技術は十分な攪拌の動力及び時間のとれる専用の設備や貯蔵設備が必要となり、経済的負担は大きい。
【0007】
一方、特許文献1における、重金属の固定化材を排ガス中に噴霧し、飛灰と接触させてそれに含まれる重金属を固定化する方法は、上記のような粉体と添加剤とを攪拌する設備等は必要ないと考えられる。しかし、どのような形態で排ガス中に噴霧するのか何ら記載されていない。また、特許文献1によれば、排ガス中に噴霧し、飛灰と接触させ、しかも集塵可能なようにするための効果的な固定化材が専用に必要になる。このような固定化材は、専用の設備を必要とするか、相当のコストをかけて入手することになり、経済的に好ましくない。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、コストを抑えつつ、有効利用可能な石炭灰などに代表される煤塵に添加剤を混合することによって、より利用し易い状態に高めることが可能な粉体混合処理手段を有する集塵機及びそれを用いた粉体混合処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため、特に石炭灰の集塵機に着目し、集塵機で捕集された粒子状の石炭灰(フライアッシュ)を捕集後、より早い段階で添加剤と混合し得る混合処理技術を見出し、以下のような発明を完成するに至った。
【0010】
(1) 所定の燃焼を経た排ガスが通過する室内を有し、前記排ガスに含まれた煤塵を捕集してより清浄な排ガスを移送する集塵機構と、前記集塵機構の下方に設けられ、前記集塵機構で捕集された煤塵が自重により重力方向に集積される沈降領域と、前記煤塵と混合するための添加剤を供給する添加剤供給機構と、前記煤塵及び前記添加剤の混合物を外部へ抜き出す搬出制御機構と、を備える粉体混合処理手段を有する集塵機。
【0011】
(1)に記載の発明の態様によれば、集塵機は、その内部において添加剤供給機構を設けている。これにより、集塵機で捕集された煤塵は、より早い段階で添加剤と混合することができる。集塵機から取り出されるときには、煤塵は添加剤との混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。
【0012】
(2) (1)に記載の粉体混合処理手段を有する集塵機において、前記排ガスは微粉炭の燃焼を経た排ガスであり、前記煤塵は灰の球形微粒子であり、前記添加剤は前記煤塵に含まれる1つ以上の重金属と反応したときに前記重金属を不溶化する能力を有する物質を含んでいる粉体混合処理手段を有する集塵機。
【0013】
(2)に記載の発明の態様によれば、(1)の態様に関し、石炭灰の球形微粒子と、石炭灰中の有害微量元素の溶出を抑制する添加剤とを集塵機内で接触させる構成とし、大量の石炭灰に対し、経済的な設備で環境に配慮した処理の推進に寄与する。
【0014】
(3) (1)または(2)に記載の粉体混合処理手段を有する集塵機において、前記添加剤供給機構は、前記添加剤を噴射する機構である粉体混合処理手段を有する集塵機。
【0015】
(3)に記載の発明の態様によれば、(1)または(2)の態様に関し、添加剤は、噴射する機構を利用することにより集塵機内に吹き散らされるように供給され、集塵された煤塵と接触、混合され、その後の反応の促進に寄与する。
【0016】
(4) (1)または(2)に記載の粉体混合処理手段を有する集塵機において、前記添加剤供給機構は、前記添加剤を散布する機構である粉体混合処理手段を有する集塵機。
【0017】
(4)に記載の発明の態様によれば、(1)または(2)の態様に関し、添加剤は、散布する機構を利用することにより集塵機内に一様に供給され、集塵された煤塵と接触、混合され、その後の反応の促進に寄与する。
【0018】
(5) (1)から(4)いずれかに記載の粉体混合処理手段を有する集塵機において、前記添加剤を前記集塵機構に捕集させるための機構を有する粉体混合処理手段を有する集塵機。
【0019】
(5)に記載の発明の態様によれば、(1)から(4)いずれかの態様に関し、添加剤を集塵機構に捕集させるための機構を有することにより、煤塵は捕集された時点で添加剤と混合され沈降領域に到達する。これにより、煤塵は添加剤との混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。
【0020】
(6) (1)から(5)いずれかに記載の粉体混合処理手段を有する集塵機において、前記添加剤供給機構は、エアーを導入する機構を備えた粉体混合処理手段を有する集塵機。
【0021】
(6)に記載の発明の態様によれば、(1)から(5)いずれかの態様に関し、添加剤供給機構として、エアーを導入し、添加剤の搬送媒体とする。添加剤は粉体が好ましく、エアーはドライエアーが好ましい。これにより、集塵機内の環境の変化を最小限にしつつ添加剤を効率的に集塵機内に供給する。
【0022】
(7) (1)から(6)いずれかに記載の粉体混合処理手段を有する集塵機において、前記沈降領域底部において混合機構をさらに備える粉体混合処理手段を有する集塵機。
【0023】
(7)に記載の発明の態様によれば、(1)から(6)いずれかの態様に加えて、沈降領域底部に混合機構をさらに配備することにより、沈降領域に溜まった煤塵と添加剤の混合物は、さらに均一に混合され得る。
【0024】
(8) 所定の燃焼を経た排ガスが集塵機を通過することにより、清浄な排ガスとなって移送される過程において、前記集塵機により前記排ガスに含まれた煤塵が捕集される第1集塵工程と、前記集塵機によって捕集された煤塵が前記集塵機の下方で重力方向に集積される第2集塵工程と、を含み、前記集塵機内に添加剤を供給し、前記第2集塵工程において前記煤塵と前記添加剤とを混合状態とする混合工程と、前記煤塵と前記添加剤との混合物を外部に搬出するための搬出工程と、を備える粉体混合処理方法。
【0025】
(8)に記載の発明の態様によれば、集塵機には、その内部において添加剤が供給され、捕集された直後の煤塵と、添加剤とがより早い段階で混合され得る。集塵機から取り出されるときには、煤塵は添加剤との混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。
【0026】
(9) (8)に記載の粉体混合処理方法において、前記混合工程は、エアーを利用する粉体混合処理方法。
【0027】
(9)に記載の発明の態様によれば、(8)に記載の態様に関し、混合工程は、添加剤の搬送媒体として、エアーを導入する。添加剤は粉体が好ましく、エアーもドライエアーが好ましい。これにより、集塵機内の環境の変化を最小限にしつつ添加剤を効率的に集塵機内に供給する。また、エアーを第2集塵工程時において混合に直接作用するように利用してもよい。
【0028】
(10) (8)または(9)に記載の粉体混合処理方法において、前記混合工程は、前記第1集塵工程に伴い前記添加剤を所定量だけ前記集塵機により捕集させる工程を含む粉体混合処理方法。
【0029】
(10)に記載の発明の態様によれば、(8)または(9)に記載の態様に関し、混合工程においては、所定量分の添加剤を集塵機により捕集させて、煤塵が集塵機に捕集される際に添加剤と混合、捕集される。これにより、煤塵と添加剤とのより均一な混合、その後の反応の促進に寄与する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、大規模な設備の追加をなるべく無くしてコストを抑えつつ、有効利用可能な煤塵を、早い段階で添加剤と混合し、より利用しやすい状態にして搬出することが可能な粉体混合処理手段を有する集塵機及びそれを用いた粉体混合処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明は以下の実施形態により発明が限定されるものではない。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。集塵機100は、例えば石炭焚きボイラ等、微粉炭の燃焼を経た排ガスが通過する室内に、集塵機構101が設けられている。集塵機構101は、排ガス中の塵媒(石炭灰)を、電極で捕集する電気集塵装置や、ろ布(濾布)により捕集するフィルタ(バグフィルタ)装置などが適用される。集塵機構101の下方には、集塵ホッパ102が設けられている。集塵ホッパ102は、集塵機構101で捕集された煤塵が集塵機構101における所定の衝撃やブラシ等で払い落とされ自重により重力方向に集積される沈降領域である。このような集塵機構101、それに対応する集塵ホッパ102は、複数段構成されており、以下の構成は各段の一つ(集塵機構101に対応する所定の集塵ホッパ102)に設けられる構成について説明するものである。
【0033】
添加剤供給機構103は、例えば、集塵ホッパ102の沈降領域より上方に添加剤の供給口103aが設けられ、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵と混合するための添加剤ADを供給する。添加剤ADの成分は特に限定されないが、粉体(微粉体)であることが望ましい。添加剤ADは、煤塵、例えば石炭灰に対して、石炭灰に含まれるホウ素、フッ素、セレン、ヒ素、六価クロムなどの有害微量元素の溶出を抑制する物質が選択されてもよい。このときの添加剤ADは、例えば、石灰石、消灰石、生石灰等カルシウム化合物からなる群より選択される1種以上を主成分として含む溶出防止剤である。このような石灰石、消灰石、生石灰等カルシウム化合物からなる群より選択される溶出防止剤は比較的低コストで容易に入手可能であり、有害微量元素、なかでもホウ素、フッ素、セレン、ヒ素の溶出を効果的に抑制可能である。
【0034】
添加剤供給機構103は、上記のような添加剤ADを例えば、集塵ホッパ102の上方に供給すべく、ブロースルー型ロータリーバルブ103bを配備している。ブロースルー型ロータリーバルブ103bは、供給口103aに移動してきた添加剤ADを噴射または散布するように吹き散らし、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵と混合させる。従って、例えばブロースルー型ロータリーバルブ103bの稼動のタイミングは、集塵機構101から捕集された煤塵が払い落とされてくるタイミングに合わせることが好ましい。また、搬出制御機構104は、ロータリーバルブ等を用い、集塵ホッパ102に集積された煤塵と添加剤ADとの混合物を外部へ抜き出す制御を行う。
【0035】
上記構成によれば、集塵機100は、その内部において添加剤供給機構103を設けている。これにより、集塵機100で捕集された煤塵は、より早い段階で添加剤ADと混合され得る。集塵機100から取り出されるときには、煤塵は添加剤ADとの混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。
【0036】
図2は、上記第1実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機100を配備した石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設を示すブロック図である。微粉炭燃焼施設1は、石炭を供給する石炭供給部12と、供給された石炭を微粉炭にする微粉炭生成部14と、微粉炭を燃焼する微粉炭燃焼部16と、微粉炭の燃焼により生成された石炭灰を処理する石炭灰処理部17と、を備える。粉体混合処理手段を有する集塵機100は、石炭灰処理部17において配備され、集塵機100内に添加剤ADが供給されるので、煤塵と添加剤ADとの混合物を取り出すことができる。
【0037】
石炭供給部12は、石炭を貯蔵する石炭バンカ121と、この石炭バンカ121に貯蔵された石炭を供給する給炭機122とを備える。石炭バンカ121は、給炭機122へ供給する石炭を貯蔵する。給炭機122は、石炭バンカ121から供給された石炭を連続して石炭微粉炭機141へ供給するものである。また、この給炭機122は、石炭の供給量を調整する装置を備えており、これにより、石炭微粉炭機141に供給される石炭量が調整される。
【0038】
微粉炭生成部14は、石炭を微粉炭燃焼が可能な微粉炭にする石炭微粉炭機(ミル)141と、この石炭微粉炭機141に空気を供給する空気供給機142とを備える。石炭微粉炭機141は、給炭機122から給炭管を介して供給された石炭を、微細な粒度に粉砕して微粉炭を形成すると共に、この微粉炭と、空気供給機142から供給された空気とを混合する。このように、微粉炭と空気とを混合することにより、微粉炭を予熱及び乾燥させ、燃焼を容易にする。形成された微粉炭には、エアーが吹きつけられることにより、微粉炭燃焼部16に微粉炭を供給する。
【0039】
微粉炭燃焼部16は、微粉炭生成部14で生成された微粉炭を燃焼する火炉161と、この火炉161を加熱する加熱機162(熱交換ユニット)と、火炉161に空気を供給する空気供給機163とを備える。火炉161は、加熱機162(熱交換ユニット)により加熱されて、石炭微粉炭機141から微粉炭管を介して供給された微粉炭を、空気供給機163から供給された空気と共に燃焼させる。微粉炭の燃焼により石炭灰が生成され、排ガスとともに石炭灰処理部17に排出される。
【0040】
石炭灰処理部17は、脱硝装置171と、上述の集塵機100と、灰サイロ172とを備える。脱硝装置171は、排ガス中の窒素酸化物を除去するいわゆる乾式アンモニア接触還元法がよく用いられる。すなわち、比較的高温(300〜400℃)の排ガス中に還元剤としてアンモニアガスを注入し、脱硝触媒との作用により排ガス中の窒素酸化物を無害な窒素と水蒸気に分解する。集塵機100には、上述のように排ガス中の煤塵(石炭灰)を捕集すると共に添加剤供給機構103によって添加剤ADが供給され、より均一に混合された煤塵(石炭灰)及び添加剤ADの混合物が取り出し可能となる。灰サイロ172は、この集塵機100から搬出された煤塵(石炭灰)と添加剤ADの混合物を貯蔵する。また、煤塵(石炭灰)が除去された排ガスは、脱硫装置18を介した後に煙突等の排出部19を介して外気に排出される。
【0041】
添加剤供給機構103においては、集塵機内部に添加剤ADを噴射または散布するためのブロースルー型のロータリーバルブ103bのエアーとして、ドライエアーを用いる。しかし、ドライエアーの他、集塵機100を介したより清浄な排ガスの一部を、フィルタ等を介するなどして導入してもよい。より清浄な排ガスの一部としては、脱硫装置18の前段または後段の排ガスが考えられる。搬出制御機構104は、ロータリーバルブ等を用い、集塵ホッパ102に集積された煤塵と添加剤ADとの混合物を外部へ抜き出す制御を行う。
【0042】
上記構成によれば、排ガスは微粉炭の燃焼を経た排ガスであり、煤塵は石炭灰の球形微粒子(フライアッシュ)であり、添加剤ADは煤塵(石炭灰)に含まれる1つ以上の重金属と反応したとき重金属を不溶化する能力を有する物質を含んでいる。これにより、フライアッシュと、フライアッシュ中の有害微量元素の溶出を抑制する添加剤ADとを集塵機100内で接触させる構成としている。これにより、大量の石炭灰(フライアッシュ)に対し、経済的な設備で環境に配慮した処理の推進に寄与する。
【0043】
また、添加剤供給機構103は、添加剤ADを集塵機100内へ噴射または散布するブロースルー型ロータリーバルブ103bを採用し、添加剤ADの搬送媒体としてドライエアー、あるいは、必要であれば集塵機100を介したより清浄な排ガスの一部を、フィルタなどを介して導入する。これにより、集塵機100内の環境の変化を最小限にしつつ添加剤ADを効率的に集塵機100内に供給する。添加剤ADは、微粉体で集塵機100内に吹き散らされるように供給され、集塵された煤塵と接触、混合し、その後の反応の促進に寄与する。
【0044】
添加剤供給機構103が、添加剤ADを集塵機100内へ噴射または散布するために採用する手段としては、ブロースルー型ロータリーバルブに限らず、ロータリーバルブや、ロータリーバルブと噴射ノズルを組み合わせた機構や、ロータリーバルブとファン等の送風機構を組み合わせた機構等が考えられる(図示せず)。また、添加剤ADを噴霧状態にして供給することも考えられるが、集塵機100内の環境をなるべく変えないようにすることが望ましく、添加剤ADは乾燥した粉体の方が好ましい。
【0045】
図3は、本発明の第2実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。この実施形態は、第1実施形態の図1に比べて、添加剤供給機構203が異なっている。その他の構成は同様であるので図1と同様の符号を付して説明は省略する。
【0046】
添加剤供給機構203は、集塵ホッパ102より上方、例えば集塵機100における集塵機構101の室内に添加剤ADが入るように添加剤ADの供給口203aが設けられている。これにより、集塵機構101における煤塵の捕集に伴い、添加剤ADも所定量だけ集塵機構101により捕集させる。従って、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵と添加剤ADとが混合された状態になる。添加剤ADの成分は特に限定されないが、第1実施形態と同様に、粉体(微粉体)であることが望ましい。添加剤ADは、煤塵、例えば石炭灰に対して、石炭灰に含まれるホウ素、フッ素、セレン、ヒ素、六価クロムなどの有害微量元素の溶出を抑制する物質が選択されてもよい。このときの添加剤ADは、例えば、石灰石、消灰石、生石灰等カルシウム化合物からなる群より選択される1種以上を主成分として含む溶出防止剤である。このような石灰石、消灰石、生石灰等カルシウム化合物からなる群より選択される溶出防止剤は比較的低コストで容易に入手可能であり、有害微量元素、なかでもホウ素、フッ素、セレン、ヒ素の溶出を効果的に抑制可能である。
【0047】
添加剤供給機構203においても、上記のような添加剤ADを、例えば、集塵機構101の室内に向けて供給すべく、ブロースルー型ロータリーバルブ203bを配備している。ブロースルー型ロータリーバルブ203bは、供給口203aに移動してきた添加剤ADを噴射または散布するように吹き散らす。排ガスと共に集塵機構101に到達した添加剤ADは、集塵機構101において煤塵と共に捕集される。そして、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵と添加剤ADは混合された状態になっている。
【0048】
上記構成によれば、集塵機100は、その内部において添加剤供給機構203を設けている。これにより、集塵機100における煤塵は捕集直後に添加剤ADと混合し得る。集塵機100から取り出されるときには、煤塵は添加剤ADとの混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。
【0049】
また、上記第2実施形態においても、図2に示したブロック図において、添加剤供給機構103を203に置き換えることにより、ブロースルー型ロータリーバルブ103bを203bに置き換えることにより、同様に説明ができ、同様の作用、効果が得られる。
【0050】
添加剤供給機構203においても、添加剤ADを集塵機100内へ噴射または散布するために、ブロースルー型ロータリーバルブに限らず、ロータリーバルブや、ロータリーバルブと噴射ノズルを組み合わせた機構や、ロータリーバルブとファン等の送風機構を組み合わせた機構等が考えられる(図示せず)。また、添加剤ADを噴霧状態にして供給することも考えられるが、集塵機100内の環境をなるべく変えないようにすることが望ましく、添加剤ADは乾燥した粉体の方が好ましい。
【0051】
図4は、本発明の第3実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。この実施形態は、第1実施形態の図1に比べて、集塵ホッパ102底部に混合機構301をさらに付加した部分が異なっている。その他の構成は同様であるので図1と同様の符号を付して説明は省略する。
【0052】
混合機構301としては、回転羽を伴うミキサー302が考えられる。回転羽の形状は限定されない。これにより、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵と添加剤ADの混合物は、より均一な混合状態になり得る。なお、図示しないが、第2実施形態の図3の構成において、上記のような混合機構301を付加しても、同様の効果が得られる。
【0053】
図5は、本発明の第4実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。この実施形態は、第1実施形態の図1に比べて、集塵ホッパ102底部に混合機構401をさらに付加した部分が異なっている。その他の構成は同様であるので図1と同様の符号を付して説明は省略する。
【0054】
混合機構401は、集塵ホッパ102底部にエアブロー出力部402が配備されている。エアブロー出力部402はコンプレッサ403、エアレシーバ404、各種の制御バルブ機構405を介して集塵ホッパ102底部から瞬発的にエアブローを現出する。これにより、集塵ホッパ102に溜まっている煤塵と添加剤ADの混合物は、より均一な混合状態になり得る。なお、コンプレッサ403は各エアブロー出力部402に対して共通に用いるようにしてもよい。また、図示しないが、第2実施形態の図3の構成において、上記のような混合機構401を付加しても、同様の効果が得られる。
【0055】
図6は、本発明の第5実施形態に係る粉体混合処理方法を示す流れ図である。所定の燃焼を経た排ガスが集塵機を介してより清浄な排ガスを移送する過程において、第1集塵工程S501では、集塵機により排ガスに含まれた煤塵が捕集される。集塵機は、例えば、図1の集塵機100であり、第1集塵工程S501として、集塵機構101で排ガス中の塵媒(例えば石炭灰)が捕集される一例がある。第1集塵工程S501の処理終了後、第2集塵工程S502に移行する。
【0056】
第2集塵工程S502においては、その前段に混合工程S5021を伴う。第2集塵工程S502では、例えば、図1の集塵機構101で捕集された煤塵が集塵ホッパ102の沈降領域に重力方向に集積される。その際、集塵ホッパ102の沈降領域より上方に添加剤の供給口103aが設けられ、集塵ホッパ102に落下してくる煤塵に対し、添加剤ADが接触するように供給される。このような一例をもって、集塵機で捕集された煤塵は、より早い段階で添加剤と混合し得る。第2集塵工程S502の処理終了後、搬出工程S503に移行する。搬出工程S503において、例えば、図1の集塵ホッパ102から取り出されるときには、煤塵は添加剤ADとの混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。
【0057】
図7は、本発明の第6実施形態に係る粉体混合処理方法を示す流れ図である。所定の燃焼を経た排ガスが集塵機を介してより清浄な排ガスを移送する過程において、第1集塵工程S601においては、混合工程S6011を伴う。第1集塵工程S601では、集塵機における集塵機構による煤塵の捕集に伴い、混合を目的とした所定量の添加剤も捕集する。例えば、図3において、排ガスの入り口ダクト付近に配した供給口203aから添加剤ADが供給され、集塵機構101における煤塵の捕集に伴い、添加剤ADも所定量だけ集塵機構101により捕集させる一例がある。第1集塵工程S601の処理終了後、第2集塵工程S602に移行する。
【0058】
第2集塵工程S602においては、集塵機によって添加剤を含んで捕集された煤塵は、煤塵と添加剤との混合物として、集塵機下方に自重により重力方向に集積される。第2集塵工程S602は、例えば、図3において、集塵ホッパ102に落下してきたときには煤塵と添加剤ADとがより均一に混合された状態になっている。このような一例をもって、集塵機における煤塵は捕集直後に添加剤と混合し得る。第2集塵工程S602の処理終了後、搬出工程S603に移行する。搬出工程S603において、例えば、図3の集塵ホッパ102から取り出されるときには、煤塵は添加剤ADとの混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。
【0059】
以上各実施形態において説明したように、本発明によれば、集塵機における煤塵(石炭灰)は、集塵機内に添加剤(例えば、石灰質原料)が供給されることにより、捕集されてからより早い段階で添加剤と混合され得る。従って、煤塵と添加剤との関係に余計な物質が介在しにくくなり、集塵ホッパから取り出されるときには、煤塵は添加剤との混合がより均一になされることによって利用しやすい状態に高められる。これにより、大規模な設備投資をなるべく無くしてコストを抑えつつ、有効利用可能な煤塵を、早い段階で添加剤と混合し、より利用しやすい状態にして搬出することが可能な粉体混合処理手段を有する集塵機及びそれを用いた粉体混合処理方法を提供することができる。
【0060】
なお、粉体混合処理手段を有する集塵機は、石炭火力発電システムへの適用に限るものではなく、他の発電システムやごみ焼却等の燃焼システムにおいても、配備されている集塵機、集塵装置に応用可能な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を配備した石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る粉体混合処理手段を有する集塵機を示す概略構成図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る粉体混合処理方法を示す流れ図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る粉体混合処理方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0062】
100 集塵機
101 集塵機構
102 集塵ホッパ
103、203 添加剤供給機構
103a、203a 添加剤の供給口
103b、203b ブロースルー型ロータリーバルブ
104 搬出制御機構
AD 添加剤
301、401 混合機構
302 ミキサー
402 エアブロー出力部
403 コンプレッサ
404 エアレシーバ
405 制御バルブ機構
1 微粉炭燃焼施設
12 石炭供給部
121 石炭バンカ
122 給炭機
14 微粉炭生成部
141 石炭微粉炭機
142 空気供給機
16 微粉炭燃焼部
161 火炉
162 加熱機
163 空気供給機
17 石炭灰処理部
171 脱硝装置
172 灰サイロ
18 脱硫装置
19 排出部
S501、S601 第1集塵工程
S502、S602 第2集塵工程
S5021、S6011 混合工程
S503、S603 搬出工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の燃焼を経た排ガスが通過する室内を有し、前記排ガスに含まれた煤塵を捕集してより清浄な排ガスを移送する集塵機構と、
前記集塵機構の下方に設けられ、前記集塵機構で捕集された煤塵が自重により重力方向に集積される沈降領域と、
前記煤塵と混合するための添加剤を供給する添加剤供給機構と、
前記煤塵及び前記添加剤の混合物を外部へ抜き出す搬出制御機構と、
を備える粉体混合処理手段を有する集塵機。
【請求項2】
前記排ガスは微粉炭の燃焼を経た排ガスであり、前記煤塵は石炭灰の球形微粒子であり、前記添加剤は前記煤塵に含まれる1つ以上の重金属と反応したときに前記重金属を不溶化する能力を有する物質を含んでいる請求項1に記載の粉体混合処理手段を有する集塵機。
【請求項3】
前記添加剤供給機構は、前記添加剤を噴射する機構である請求項1または2に記載の粉体混合処理手段を有する集塵機。
【請求項4】
前記添加剤供給機構は、前記添加剤を散布する機構である請求項1または2に記載の粉体混合処理手段を有する集塵機。
【請求項5】
前記添加剤供給機構は、前記添加剤を前記集塵機構に捕集させるための機構を有する請求項1から4のいずれか一つに記載の粉体混合処理手段を有する集塵機。
【請求項6】
前記添加剤供給機構は、エアーを導入する機構を備えた請求項1から5のいずれか一つに記載の粉体混合処理手段を有する集塵機。
【請求項7】
前記沈降領域底部において混合機構をさらに備える請求項1から6のいずれか一つに記載の粉体混合処理手段を有する集塵機。
【請求項8】
所定の燃焼を経た排ガスが集塵機を通過することにより、清浄な排ガスとなって移送される過程において、
前記集塵機により前記排ガスに含まれた煤塵が捕集される第1集塵工程と、
前記集塵機によって捕集された煤塵が前記集塵機の下方で重力方向に集積される第2集塵工程と、を含み、
前記集塵機内に添加剤を供給し、前記第2集塵工程において前記煤塵と前記添加剤とを混合状態とする混合工程と、
前記煤塵と前記添加剤との混合物を外部に搬出するための搬出工程と、
を備える粉体混合処理方法。
【請求項9】
前記混合工程は、エアーを利用する請求項8に記載の粉体混合処理方法。
【請求項10】
前記混合工程は、前記第1集塵工程に伴い前記添加剤を所定量だけ前記集塵機により捕集させる工程を含む請求項8または9に記載の粉体混合処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−72730(P2009−72730A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246058(P2007−246058)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】