説明

粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置及びこれを利用した酸性ガス除去方法

【課題】 本発明は、酸性ガス除去装置及びこれを利用した酸性ガス除去方法を提供する。
【解決手段】 下部から流入される硫黄酸化物及びホウ素酸化物のうち一つ以上の酸性ガスを含む燃焼排気ガスが通過される濾過層と、前記濾過層を支持する支持体と、圧縮空気によって粉末吸収剤を供給する供給装置とを有し、前記濾過層を通過した燃焼排気ガスの上昇力によって前記粉末吸収剤が流動化して前記燃焼排気ガスから酸性ガスを除去する円錐型流動化部と、前記円錐型流動化部の上部に配置され、水を噴射する水噴射ノズルを有し、噴射された水滴及び流動化した前記粉末吸収剤の循環によって前記燃焼排気ガスから酸性ガスを除去する流動化部と、前記流動化部の上端に連結される流入口と、前記円錐型流動化部に連結される再循環管とを有し、前記流入口を通して排出された前記粉末吸収剤を集め、前記再循環管を通して前記円錐型流動化部へ再循環させる再循環サイクロンとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、酸性ガス除去装置及びこれを利用した酸性ガス除去方法に関し、特に、粉末吸収剤を再循環させる酸性ガス除去装置及びこれを利用した酸性ガス除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、熱源として石炭又は重油等の化石燃料を使用する燃焼装置は、排気ガスから硫黄酸化物を除去するための湿式脱硫装置、窒素酸化物を除去するための脱窒装置、ほこり等の微粒子を除去するための電気集塵機又はバックフィルタ等を含む。
【0003】
図1は、石炭又は重油等を使用する従来の燃焼ボイラーにおいて、燃焼排気ガスに含まれた大気汚染物質を除去する工程図である。図示されたように、燃焼ボイラーから排出された330℃〜360℃の燃焼排気ガスは、高温脱窒装置(SCR)によって窒素酸化物が除去され、熱交換器によって170℃〜180℃に冷却された後、低温電気集塵装置へ流入される。また、燃焼排気ガスは、低温電気集塵装置によってほこり等の微粒子が除去され、湿式脱硫装置によって硫黄酸化物が除去されながら常温まで冷却される。その後、燃焼排気ガスは、熱交換器によって80℃〜90℃に昇温され、煙道を通して大気へ排出される。
【0004】
しかしながら、このような高温脱窒装置では、燃焼ボイラーから排出されたほこり等の微粒子が脱窒触媒の表面に接触するので、脱窒触媒の表面にほこり等の微粒子が固着され、触媒活性が低下する原因になる。また、排気ガスが低温電気集塵装置へ流入する前及び低温電気集塵装置から排出した後、熱交換器を通過させる必要がある。
【0005】
図2は、燃焼排気ガスに含まれた硫黄酸化物を除去する従来の湿式脱硫装置を示す構造図である。図示されたように、硫黄酸化物が含まれた燃焼排気ガス1は、湿式脱硫装置の本体22の下部へ供給され、上昇しながら、本体22の上部から下方へ水噴射ノズル25から噴射される水4と、噴射ノズル24から噴射される液状スラリー吸収剤20と反応して除去される。液状スラリー吸収剤20は、石灰石と水を混合して製造されており、貯蔵タンク21から供給され、噴射ノズル24を通して本体22へ噴射される。硫黄酸化物を吸収したスラリー状の排出物26は、本体22の下部へ排出され、廃水処理装置と石膏分離装置に供給される。
【0006】
しかしながら、このような従来の湿式脱硫装置は、スラリー状の排出物を処理するために廃水処理装置と石膏分離装置が必要になる。また、燃焼排気ガスが常温以下で排出されるので、大気へ排出時白煙の発生を防止するために、熱交換器によって昇温させる必要がある。更に、従来の湿式脱硫装置は、構造が複雑であり、サイズが大きく、設置費が高い。また、湿式であるため、腐食がひどく、乾式脱硫装置に比べ補修及び部品交換の周期が短い。図2において符号23は、デミスターである。
【0007】
図3は、従来のガラス溶解炉から排出された排気ガスを処理する工程図である。ガラス溶解炉から1、100℃〜1、200℃で排出される排気ガスは、排気ガス冷却装置又は廃熱ボイラーを通過しながら250℃〜300℃に冷却され、半乾式脱硫装置(SDR又はStabilizer)へ流入される。その後、排気ガスは、半乾式脱硫装置によって硫黄酸化物とフッ化水素HF、塩酸ガスHClが除去され、低温電気集塵装置によってほこり等の微粒子が除去され、脱窒装置(SCR)によって窒素酸化物が除去された後、煙道を通して大気へ排出される。
【0008】
図4は、ガラス溶解炉から排出された排気ガスに含まれた硫黄酸化物等の酸性ガスを除去する従来の半乾式脱硫装置を示す構造図である。図示されたように、排気ガス1は、半乾式脱硫装置の本体30の上部から下方へ流入される。スラリー状吸収剤27は、圧縮空気5によって噴射ノズル28から下方へ噴射され、下降しながら排気ガスに含まれた硫黄酸化物等と接触して除去する。スラリー状吸収剤27と硫黄酸化物等が反応して生成した硫酸カルシウム等の半乾燥状態の反応物のうち、一部29は、半乾式脱硫装置の内壁30に固着され、残部31は、半乾式脱硫装置の下部へ排出される。
【0009】
しかしながら、このような従来の半乾式脱硫装置は、排気ガス1がスラリー状吸収剤27と共に半乾式脱硫装置の下方へ下降するので、排気ガス1とスラリー状吸収剤27との接触率が低く、脱硫效率が60%〜70%に過ぎない。よって、反応時間を10秒以上長くし、脱硫效率を向上させるためには、脱硫装置の高さを延長しなければならない。
【0010】
また、半乾式脱硫装置へ流入される排気ガス1の温図が160℃以上になると、スラリー状吸収剤27に含有された水分が迅速に乾燥するので、気−液反応時間が短縮され、脱硫效率が低下してしまう。一方、排気ガス1の温図を低く維持すると、排気ガスに含まれた水蒸気が半乾式脱硫装置の内壁30に凝縮され、半乾式脱硫装置の内壁30に固着する反応物29の量が増加し、これによって脱硫装置の腐食をもたらす。
【0011】
更に、半乾式脱硫装置の内壁30に固着する反応物29の量が増加すると、半乾式脱硫装置の内径が減少し、脱硫效率が一層低下する。よって、半乾式脱硫装置の運転を中止し、内壁30に固着した反応物29を除去する作業を周期的に行わなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するために工夫したものであり、石炭又は重油等の燃焼排気ガスに含まれた硫黄酸化物等の酸性ガスやガラス溶解炉から排出された排気ガスに含まれたホウ素化合物及び硫黄酸化物等の酸性ガスを98%以上除去し、粉末吸収剤と酸性ガスとの反応率を向上させ、装置の内壁に反応物が固着しない粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明は、粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用して排気ガスを繰返し除去する酸性ガス除去方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明の一つの特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、下部から流入される硫黄酸化物及びホウ素酸化物のうち一つ以上の酸性ガスを含む燃焼排気ガスが通過される濾過層と、前記濾過層を支持する支持体と、圧縮空気によって粉末吸収剤を供給する供給装置とを有し、前記濾過層を通過した燃焼排気ガスの上昇力によって前記粉末吸収剤が流動化して前記燃焼排気ガスから酸性ガスを除去する円錐型流動化部と、前記円錐型流動化部の上部に配置され、水を噴射する水噴射ノズルを有し、噴射された水滴及び流動化した前記粉末吸収剤の循環によって前記燃焼排気ガスから酸性ガスを除去する流動化部と、前記流動化部の上端に連結される流入口と、前記円錐型流動化部に連結される再循環管とを有し、前記流入口を通して排出された前記粉末吸収剤を集め、前記再循環管を通して前記円錐型流動化部へ再循環させる再循環サイクロンとを含む。
【0015】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記円錐型流動化部の下部流入口の直径は、前記流動化部の直径の1/2.5〜1/3.5であり、前記円錐型流動化部の前記下部流入口から上部に配置された前記流動化部と接する部分までの円錐角は60°である。
【0016】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記支持体は、横直径及び縦直径が各々0.8mm〜1.0mmの単位格子で形成される。
【0017】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記濾過層は、2.0mm〜2.5mmのセラミックスボール又はアルミナボールを充填することにより形成され、前記排気ガスの量の0.013〜0.015の量で充填する。
【0018】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記供給装置は、前記円錐型流動化部の高さの60%〜70%の位置で粉末吸収剤及び圧縮空気を供給する。
【0019】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記円錐型流動化部の高さと前記流動化部の高さとを合わせた高さは、前記流動化部の直径の5.4〜8.8である。
【0020】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記水噴射ノズルは、前記円錐型流動化部の上端から前記流動化部の直径の2.0の位置に設置される。
【0021】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記水噴射ノズルから供給される水噴射量は、前記粉末吸収剤の供給量の0.007〜0.06の量である。
【0022】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記流入口は、横縦比が1:2の長方形であり、前期反応吸収剤が含有された排出ガスは、前記流入口を通して19.0m/sec〜21.0m/secで前記再循環サイクロンへ排出される。
【0023】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記再循環サイクロンは、エアロックロータリー弁と、排出ロータリー弁とを更に有し、前記エアロックロータリー弁は、集められた粉末吸収剤を排出し、排出された粉末吸収剤は、円錐型流動化部の上端に対し60°で形成された前記再循環管を通して圧縮空気と共に前記円錐型流動化部へ再循環され、再循環される粉末吸収剤の量は、前記排出ロータリー弁によって調節される。
【0024】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記再循環サイクロンは、エアロックロータリー弁と、排出ロータリー弁とを更に有し、前記エアロックロータリー弁は、集められた粉末吸収剤を排出し、排出された粉末吸収剤は、円錐型流動化部の上端に対し60°で形成された前記再循環管を通して圧縮空気と共に前記円錐型流動化部へ再循環され、再循環される粉末吸収剤の量は、前記排出ロータリー弁によって調節される。
【0025】
本発明の更に他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置は、前記粉末吸収剤は、アルカリ性粉末吸収剤であり、Ca(OH)、NaOH、KOH及びNaCOのうち選択された一つ以上である。
【0026】
上記課題を解決するための本発明の一つの特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法は、上記本発明の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法であって、前記円錐型流動化部での前記粉末吸収剤の流動化によって、前記粉末吸収剤と前記酸性ガスとの接触反応率を増加させ、酸性ガスを一次除去する段階、上昇する排気ガスに水を噴射し、水滴によって上昇する排気ガスから酸性ガスを二次除去する段階、排気ガスの温図を調節し、流動化して上昇する排気ガスと粉末吸収剤とが前記流動化部内で循環して酸性ガスを三次除去する段階、前記流動化部から排出される粉末吸収剤を集め、前記円錐型流動化部へ再循環させ、酸性ガスを四次除去する段階を有する。
【0027】
本発明の他の特徴に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法は、前記三次除去する段階は、排気ガスの温度を300℃〜400℃で調節する。
【発明の効果】
【0028】
本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置及びこれを利用した方法によると、次のような効果が得られる。
【0029】
1)従来の湿式脱硫装置に比べ、液状スラリー製造装置、石膏状スラリー分離装置、廃水処理装置及び白煙排出防止用熱交換器等が不必要である。
【0030】
2)脱硫效率が低く、装置の内壁に固着した反応物を周期的に除去する必要がある従来の半乾式脱硫装置の問題点が解決できる。
【0031】
3)粉末吸収剤の流動化による循環及び再循環により粉末吸収剤の反応率が向上し、脱硫效率が98%以上になる。
【0032】
4)ガラス溶解炉からの排気ガスに含まれたホウ素化合物ガスを効果的に除去し、粒子状のホウ素化合物に転換させ、粉末吸収剤サイクロン集塵装置により容易に除去することができる。
【0033】
5)繰返し除去により、酸性ガスをほぼ100%除去することができる。
【0034】
6)粉末吸収剤の流動化によって、装置の内壁へ粉末吸収剤の反応物が固着することが防止できる。
【0035】
7)装置へ流入された排気ガスの温図を300℃〜400℃に維持することにより、水蒸気の凝縮による装置の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、石炭又は重油等を使用する従来の燃焼ボイラーにおいて、燃焼排気ガスに含まれた大気汚染物質を除去する工程図である。
【図2】図2は、燃焼排気ガスに含まれた硫黄酸化物を除去する従来の湿式脱硫装置を示す構造図である。
【図3】図3は、従来のガラス溶解炉から排出された排気ガスを処理する工程図である。
【図4】図4は、ガラス溶解炉から排出された排気ガスに含まれた硫黄酸化物等の酸性ガスを除去する従来の半乾式脱硫装置を示す構造図である。
【図5】図5は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を示す構造図である。
【図6】図6は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の下部に設置される円錐型流動化部を示す構造図である。
【図7】図7は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の上部に設置される排気ガス排出部を示す構造図である。
【図8】図8は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の再循環サイクロン部を示す構造図である。
【図9】図9は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置において、Ca/Sモル比の変化に伴うSO除去效率の変化を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置において、水噴射量の変化に伴うSO除去效率の変化を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置において、濾過材の充填量の変化に伴うSO除去效率の変化を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の流入口及び排出口におけるホウ素化合物の濃度を示すグラフである。
【図13】図13は、従来の石炭又は重油燃焼ボイラーから排出された排気ガスを本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用して処理する工程図である。
【図14】図14は、従来のガラス溶解炉から排出された排気ガスを本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用して処理する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知機能又は公知構成に関する具体的な説明が本発明の要旨の理解の妨げになると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0038】
図5は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を示す構造図であり、図6は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の下部に設置される円錐型流動化部を示す構造図であり、図7は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の上部に設置される排気ガス排出部を示す構造図であり、図8は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の再循環サイクロン部を示す構造図である。
【0039】
図示されたように、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の本体9は、上部に設置される流動化部91と、下部に設置される円錐型流動化部92とを含む。硫黄酸化物、ホウ素酸化物等を含む燃焼排気ガス1は、粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の下部へ流入され、濾過層の支持体10と濾過層6を通過し、円錐型流動化部92へ流入される。粉末吸収剤3は、貯蔵タンク12から供給装置13によって円錐型流動化部92へ供給される。その後、粉末吸収剤3は、圧縮空気5によって激しく流動化され、本体9の上方へ上昇する。流動化部91に設置された水噴射ノズル14から水4が噴射され、上昇した粉末吸収剤3は、燃焼排気ガス1から酸性ガス、ホウ素化合物を除去する反応を促進させると共に、ガス状のホウ素化合物を安定した粒子状へ置換させる。粉末吸収剤3は、流動化部91の上端に設置された流入口18を通して再循環サイクロン11に供給され、再循環サイクロン11によって集められた粉末吸収剤8は、円錐型流動化部92へ再循環される。
【0040】
円錐型流動化部92の下部流入口の直径DIは、流動化部91の直径DTの1/2.5〜1/3.5である。また、円錐型流動化部92の流入口から流動化部91と接する部分までの円錐角θは60°である。このような直径と傾斜角の場合、燃焼排気ガス及と粉末吸収剤の流動化効果が最も良い。
【0041】
円錐型流動化部92の下部に設置された濾過層支持体10は、横直径及び縦直径が各々0.8mm〜1.0mmの単位格子で形成される。このような直径を有する単位格子の場合、濾過材の落下がなく、燃焼排気ガスの流れも良い。また、濾過層支持体10は、ステンレス鋼で形成することが望ましい。
【0042】
濾過層6は、濾過層支持体10の上部に設置され、直径が2.0mm〜2.5mmのセラミックボール又はアルミナボールを充填することにより形成される。このような材質及び直径の場合、粉末吸収剤の流動化効果が最も良い。
【0043】
濾過層6は、処理排気ガス流量(acm/hr)の0.013〜0.015の比の量(kg)で形成される。このような比のとき、排気ガスの処理效率が最も良い。
【0044】
円錐型流動化部92への粉末吸収剤3及び圧縮空気5の供給は、円錐型流動化部92の高さHの60%〜70%の高さで行う。このような高さで粉末吸収剤3及び圧縮空気5を供給する場合、流動化効果が最も良い。
【0045】
粉末吸収剤3を本体9の内部で充分に循環させるために、円錐型流動化部92の高さと流動化部91の高さとを合わせた本体9の高さHは、流動化部91の直径Dの5.4〜8.8倍で構成される。このような高さのとき、循環效率が最も良い。
【0046】
また、円錐型流動化部92の上端から水噴射ノズル14までの高さHは、流動化部91の直径DTの2.0倍である。このような高さで水を噴射する場合、流動化して上昇した粉末吸収剤3の酸性ガス除去を促進させ、ガス状のホウ素化合物を安定した粒子状のホウ素化合物へ置換し、除去効果が最も良い。
【0047】
水噴射量(l/min)は、粉末吸収剤3の供給量(g/min)の0.007〜0.06の比である。このような比の場合、流動化して上昇した粉末吸収剤3の酸性ガス除去反応が促進され、ガス状のホウ素化合物を安定した粒子状のホウ素化合物へ置換する反応率が最も良い。
【0048】
再循環サイクロン11によって再循環される粉末吸収剤8は、円錐型流動化部92の上端へ供給される。
【0049】
本体9の上部へ上昇する反応後の粉末吸収剤7を含有した排出ガス19は、本体9の上端に設置された長方形の流入口18を通して19.0m/sec〜21.0m/secの流速で再循環サイクロン11へ排出される。長方形の流入口18の横縦比は、1:2が望ましい。
【0050】
図8に示されたように、本体9の上部から排出された粉末吸収剤を含有した排気ガス19は、再循環サイクロン11の内部へ接線方向に流入され、再循環サイクロン11の下方へ回転しながら下降する。粉末吸収剤は、再循環サイクロン11と接触され集められる。
【0051】
集められた粉末吸収剤8は、エアロックロータリー弁15を通して排出される。排出された粉末吸収剤8は、下降し、円錐型流動化部92の上端に対して60°で形成された再循環管81を通して円錐型流動化部92へ再循環される。再循環管81は、60°で形成される場合、円滑に再循環できる。集められた粉末吸収剤8を円滑に再循環させるために、圧縮空気5を再循環管8へ供給する。再循環される粉末吸収剤8の量は、排出ロータリー弁16の俳出量によって調節される。この場合、再循環されない粉末吸収剤は、再循環サイクロン11の下部へ排出吸収剤17として排出される。
【0052】
酸性ガスが除去された燃焼排気ガス2は、再循環サイクロン11の上端に設置された排出口を通して大気へ排出される。
【0053】
本発明において使用される粉末吸収剤は、アルカリ性粉末吸収剤、例えば、Ca(OH)、NaOH、KOH、NaCOがある。酸性ガスの除去效率及び費用を考慮すると、Ca(OH)とKOH又はNaOHとの混合粉末吸収剤やNaCOとKOH又はNaOHと混合粉末吸収剤が望ましい。
【0054】
例えば、粉末吸収剤としてCa(OH)を使用した場合、次の式のように、酸性ガスであるHCl、SO、HFは、Ca(OH)と反応し、CaSO、CaCl、CaF等のカルシウム塩を生成し、除去される。
【0055】
Ca(OH)+SO→CaSO+H
Ca(OH)+SO→CaSO+H
Ca(OH)+2HCl→CaCl+2H
Ca(OH)+2HF→CaF+2H
一方、ガラス溶解炉から排出されるホウ素化合物(B)を除去するために、粉末吸収剤としてNaOHを利用した場合、次の式のように、ホウ素化合物は、NaOHと噴射された水と反応し、温図に安定した微粒状物質であるNaBOを生成し、除去される。
【0056】
+3HO⇔B(OH)-+H
HBO+2HO⇔B(OH)-+H
BO+HO⇔B(OH)-+H+
Na+OH-+HBO⇔Na+B(OH)-
NaB(OH)⇒NaBO+2H
以下、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法について説明する。
【0057】
本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法は、充填された濾過層に粉末吸収剤を供給し、流入された排気ガスの上昇力によって排気ガスと粉末吸収剤とを相互混合させながら流動化し、粉末吸収剤と排気ガスに含まれた硫黄酸化物又はホウ素化合物等の酸性ガスとの接触反応率を増加させ酸性ガスを一次除去する段階、上昇する排気ガスに水を噴射し、水滴によって上昇する排気ガスから硫黄酸化物又はホウ素化合物等の酸性ガスを二次除去する段階、排気ガスの温図を調節し、流動化して上昇する排気ガスと粉末吸収剤が流動化部の内部で循環して硫黄酸化物又はホウ素化合物等の酸性ガスを三次除去する段階、粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の上部から排出される排気ガスと粉末吸収剤を吸収剤再循環サイクロンによって集め、円錐型流動化部へ再循環させ、硫黄酸化物又はホウ素化合物を含む酸性ガスを四次除去する段階を含む。
【0058】
三次除去段階では、排気ガスの温図を300℃〜400℃に調節する。このような温図範囲の場合、ガス状のホウ素化合物から粒子状のホウ素化合物への置換率が最も良い。
【0059】
図9は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置において、Ca/Sモル比の変化に伴うSO除去效率の変化を示すグラフである。図9に示されたように、
Ca/Sモル比が1.3以上の場合、SO除去效率は98%以上を維持する。
【0060】
図10は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置において、水噴射量の変化に伴うSO除去效率の変化を示すグラフである。図10に示されたように、
水噴射量が0.3(l/min)以上の場合、SO除去效率は98%以上を維持する。
【0061】
図11は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置において、濾過材の充填量の変化に伴うSO除去效率の変化を示すグラフである。図11に示されたように、濾過材の充填量が10kg以上の場合、SO除去效率は98%以上を維持する。
【0062】
図12は、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の流入口及び排出口におけるホウ素化合物の濃度を示すグラフである。図12に示されたように、ホウ素化合物の濃度は、流入口において500ppm、排出口において9ppmであり、ホウ素化合物の除去效率は98%以上を維持する。
【0063】
図13は、従来の石炭又は重油燃焼ボイラーから排出された排気ガスを本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用して処理する工程図である。本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用して処理すると、図1に示された熱交換器や湿式脱硫装置(WET−FGD)が不必要になる。
【0064】
更に、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の次に高温触媒濾過装置又は従来の電気集塵装置を改造した触媒濾過装置を設置することにより、図1に示された従来の高温脱窒装置(SCR)や低温電気集装置が不必要になる。
【0065】
図14は、従来のガラス溶解炉から排出された排気ガスを本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用して処理する工程図である。本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用して処理すると、図3に示された従来の排気ガス冷却装置や半乾式脱硫装置(SDR)が不必要になる。
【0066】
更に、本発明に従った粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置の次に高温触媒濾過装置又は従来の電気集塵装置を改造した触媒濾過装置を設置することにより、図3に示された従来の電気集塵装置や脱窒装置(SCR)が不必要になる。
【0067】
以上、本発明に従った望ましい実施形態について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されず、本発明の技術分野に属する通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲及び要旨を外れずに種々の変形及び変更が可能であることは自明である。
【符号の説明】
【0068】
1 燃焼排気ガス
2 酸性ガスが除去された燃焼排気ガス
3 粉末吸収剤
4 噴射用水
5 圧縮空気
6 濾過層
7 循環粉末吸収剤
8 再循環粉末吸収剤
9 本体
10 濾過層支持体
11 再循環サイクロン
12 貯蔵タンク
13 供給装置
14 水噴射ノズル
15 エアロックロータリー弁
16 排出ロータリー弁
17 排出粉末吸収剤
18 流入口
19 反応後の粉末吸収剤を含有した排出ガス
81 再循環管
91 流動化部
92 円錐型流動化部
流動化部の直径
円錐型流動化部の流入口の直径
円錐型流動化部の高さ
粉末吸収剤循環装置の本体の総高さ
円錐型流動化部の上端から水噴射ノズルまでの高さ
θ 円錐型流動化部の円錐角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部から流入される硫黄酸化物及びホウ素酸化物のうち一つ以上の酸性ガスを含む燃焼排気ガスが通過される濾過層と、前記濾過層を支持する支持体と、圧縮空気によって粉末吸収剤を供給する供給装置とを有し、前記濾過層を通過した燃焼排気ガスの上昇力によって前記粉末吸収剤が流動化して前記燃焼排気ガスから酸性ガスを除去する円錐型流動化部と、
前記円錐型流動化部の上部に配置され、水を噴射する水噴射ノズルを有し、噴射された水滴及び流動化した前記粉末吸収剤の循環によって前記燃焼排気ガスから酸性ガスを除去する流動化部と、
前記流動化部の上端に連結される流入口と、前記円錐型流動化部に連結される再循環管とを有し、前記流入口を通して排出された前記粉末吸収剤を集め、前記再循環管を通して前記円錐型流動化部へ再循環させる再循環サイクロンと、
を含むことを特徴とする粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項2】
前記円錐型流動化部の下部流入口の直径は、前記流動化部の直径の1/2.5〜1/3.5であり、
前記円錐型流動化部の前記下部流入口から上部に配置された前記流動化部と接する部分までの円錐角は、60°である
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項3】
前記支持体は、横直径及び縦直径が各々0.8mm〜1.0mmの単位格子で形成される
ことを特徴とする請求項1に粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項4】
前記濾過層は、2.0mm〜2.5mmのセラミックスボール又はアルミナボールを充填することにより形成され、前記排気ガスの量の0.013〜0.015の量で充填する
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項5】
前記供給装置は、前記円錐型流動化部の高さの60%〜70%の位置で粉末吸収剤及び圧縮空気を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項6】
前記円錐型流動化部の高さと前記流動化部の高さとを合わせた高さは、前記流動化部の直径の5.4〜8.8である
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項7】
前記水噴射ノズルは、前記円錐型流動化部の上端から前記流動化部の直径の2.0の位置に設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項8】
前記水噴射ノズルから供給される水噴射量は、前記粉末吸収剤の供給量の0.007〜0.06の量である
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項9】
前記流入口は、横縦比が1:2の長方形であり、
前期反応吸収剤が含有された排出ガスは、前記流入口を通して19.0m/sec〜21.0m/secで前記再循環サイクロンへ排出される
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項10】
前記再循環サイクロンは、エアロックロータリー弁と、排出ロータリー弁とを更に有し、
前記エアロックロータリー弁は、集められた粉末吸収剤を排出し、排出された粉末吸収剤は、円錐型流動化部の上端に対し60°で形成された前記再循環管を通して圧縮空気と共に前記円錐型流動化部へ再循環され、
再循環される粉末吸収剤の量は、前記排出ロータリー弁によって調節される
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項11】
前記粉末吸収剤は、アルカリ性粉末吸収剤であり、Ca(OH)、NaOH、KOH及びNaCOのうち選択された一つ以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置。
【請求項12】
前記請求項1乃至11に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法であって、
前記円錐型流動化部での前記粉末吸収剤の流動化によって、前記粉末吸収剤と前記酸性ガスとの接触反応率を増加させ、酸性ガスを一次除去する段階、
上昇する排気ガスに水を噴射し、水滴によって上昇する排気ガスから酸性ガスを二次除去する段階、
排気ガスの温図を調節し、流動化して上昇する排気ガスと粉末吸収剤とが前記流動化部内で循環して酸性ガスを三次除去する段階、
前記流動化部から排出される粉末吸収剤を集め、前記円錐型流動化部へ再循環させ、酸性ガスを四次除去する段階、
を有することを特徴とする粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法。
【請求項13】
前記三次除去する段階は、排気ガスの温度を300℃〜400℃で調節する
ことを特徴とする請求項12に記載の粉末吸収剤再循環型酸性ガス除去装置を利用した酸性ガス除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−76070(P2012−76070A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262617(P2010−262617)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(595065552)コリア インスティチュート オブ エナジー リサーチ (11)
【Fターム(参考)】