説明

粉粒体供給装置

【課題】粉粒体を安定して効率よく供給することができる粉粒体供給装置を提供する。
【解決手段】粉砕したバイオマス1から生成ガス2を得るガス化炉50内に当該バイオマス1を供給する粉粒体供給装置100であって、水蒸気を主成分とする搬送ガス2によりバイオマス1をガス化炉50内に気流搬送するインジェクションフィーダ130を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物を粉砕した粉粒体からガスを生成させる炉内に当該粉粒体を供給する粉粒体供給装置に関し、特に、バイオマスとガス化剤と反応させて生成ガスを得るガス化炉に当該バイオマスを供給する場合に適用すると有効なものである。
【0002】
【従来の技術】
環境保全等の観点から、化石燃料使用による二酸化炭素排出の抑制が検討されている。特に、草木等のバイオマスを原料に用いてメタノール等のような液体燃料を製造するようにすれば、当該液体燃料の使用によって生成する二酸化炭素を消費して成長する植物から当該液体燃料を製造することができるので、循環型のエネルギサイクルを確立することができると共に、廃棄物の発生量を著しく減少させることができる。
【0003】
このようなバイオマスを原料に用いてメタノール等のような液体燃料を製造するには、図7R>7に示すように、乾燥して粉砕されたバイオマス1をホッパ10内に貯蔵し、当該ホッパ10の下部に設けられたスクリュフィーダ20で当該ホッパ10内のバイオマス1を定量ずつ送出し、連絡管41によりロータリバルブ43を介してガス化炉50内に供給すると共に、水蒸気および酸素(または空気)を含有するガス化剤3をガス化炉50内に送給して、バイオマス1を部分燃焼または水蒸気ガス化させることにより生成ガス(主に一酸化炭素と水素ガスとの混合ガス)4を生じさせ、この生成ガス4を冷却塔で冷却した後、メタノール等の液体燃料の合成塔に送給して当該ガス4中の一酸化炭素と水素ガスとを反応させてメタノール等の液体燃料を生成させている。なお、前記ガス化剤3の連絡管41内への逆流を防ぐため、窒素ガス等のシールガス2をシールガス供給装置44から連絡管41内へ送給している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、ガス化炉50内にバイオマス1を供給する際には、連絡管41内へのガス化剤3の逆流を防止するために連絡管41内へシールガス2を送給しているものの、ガス化炉50内に流入するシールガス2の流入量が多くなってしまうと、バイオマス1のガス化効率が低下してしまうおそれがあった。
【0005】
このような問題は、バイオマス1を上記ガス化炉50内に供給する場合に限らず、石炭や廃プラスチックス等のような有機物を粉砕した粉粒体からガスを生成させる炉内に当該粉粒体を供給するような場合であれば、上述した場合と同様にして起こり得ることであった。
【0006】
このようなことから、本発明は、粉粒体を安定して効率よく供給することができる粉粒体供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明による粉粒体供給装置は、有機物を粉砕した粉粒体からガスを生成させる炉内に当該粉粒体を供給する粉粒体供給装置であって、水蒸気、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスのうちの少なくとも一つを主成分とする搬送ガスにより前記粉粒体を前記炉内に気流搬送するインジェクションフィーダを備えていることを特徴とする。
【0008】
第二番目の発明による粉粒体供給装置は、第一番目の発明において、前記インジェクションフィーダの、前記搬送ガスの受入方向と送出方向とが直線上に並ぶと共に、当該搬送ガスの受入方向と前記粉粒体の受入方向とのなす角度が15〜75°であることを特徴とする。
【0009】
第三番目の発明による粉粒体供給装置は、第一番目または第二番目の発明において、前記粉粒体がバイオマスであり、前記炉が、水蒸気および酸素を含むガス化剤を供給されて、当該ガス化剤と前記バイオマスとを反応させて当該バイオマスから生成ガスを得るガス化炉であることを特徴とする。
【0010】
第四番目の発明による粉粒体供給装置は、第三番目の発明において、前記搬送ガスが、前記ガス化剤、前記生成ガスをメタノール等の液体燃料製造の原料に使用した際のオフガス、機器から排出される燃焼ガスのうちのいずれかであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による粉粒体供給装置を、バイオマスのガス化炉にバイオマスを供給する際に適用した場合の実施の形態を図1〜5を用いて以下に説明する。図1は、粉粒体供給装置の概略構成図、図2は、図1のII−II線断面矢線視図、図3は、図2の III−III 線断面矢線視図、図4は、図1の切り出しスクリュフィーダの抽出拡大図、図5は、図1R>1のインジェクションフィーダの抽出拡大図である。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
図1に示すように、有機物を乾燥粉砕した粉粒体であるバイオマス1を貯蔵するホッパ110の底面を有する円筒状の外筒111の内部には、当該外筒111よりも小径をなす円筒状をなす内筒112が当該外筒111と同軸をなして配設されており、当該内筒112は、その下端部と外筒111の底面との間に所定の間隔の隙間を有するように当該外筒111と固定連結している。
【0013】
図1〜3に示すように、前記内筒112の下端側の外周面には、円筒状をなす調整筒113が当該内筒112の軸方向に沿って移動できるように嵌合しており、当該調整筒113を昇降移動させることにより、外筒111と内筒112との間と内筒112の内部との間の隙間の大きさを調整することができるようになっている。この調整筒113の下端部側には、切欠部113aが周方向に沿って所定の間隔で複数形成されている。
【0014】
図1〜3に示すように、前記外筒111の底面上には、鎌状に湾曲した形状をなす複数のレーキ114(本実施の形態では2つ)が配設されており、当該レーキ114は、その基端が外筒111の中心の回転軸115に支持される一方、その先端が外筒111の内周面近傍にまで位置すると共に、回転方向先端側ほど厚さが薄くなるように形成されている。外筒111の底面の当該外筒111と内筒112との間には、当該外筒111の内部と外部との間を連通する開口部111aが形成されている。なお、図1中、116は駆動モータである。
【0015】
図1,4に示すように、前記ホッパ110の外筒111の前記開口部111aには、切り出しスクリュフィーダ(定量フィーダ)120のケーシング121の基端側上部の受入口が接続している。ケーシング121内には、駆動軸122が回転可能に設けられている。駆動軸122には、スクリュ123が取り付けられており、当該スクリュ123は、基端側のピッチ間隔、より具体的には、前記ホッパ110の外筒111の前記開口部111aの下方部分のピッチ間隔が、先端側よりも基端側ほど小さくなるように設定されている。なお、図1中、124は駆動モータである。
【0016】
図1に示すように、前記切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の先端側下部の送出口には、フレキシブルパイプ142を途中に有する連絡管141の一端(上端)側が連結している。
【0017】
図1,5に示すように、前記連絡管141の他端(下端)側には、インジェクションフィーダ(搬送フィーダ)130の円錐筒状をなすシュート131の受入口(大径側)が接続している。シュート131の送出口(小径側)には、エジェクタ本体132の一方の受入口が接続している。エジェクタ本体132の他方の受入口には、水蒸気を主成分とする搬送ガス2を供給する供給ノズル133が接続している。エジェクタ本体132の送出口には、円錐筒状をなすレジューサ134の受入口(大径側)が接続している。レジューサ134の送出口(小径側)には、供給管135の基端側が接続している。供給管135の先端側は、ガス化炉50の内部の下方寄りに連結している。
【0018】
図5に示すように、前記インジェクションフィーダ130のエジェクタ本体132は、前記供給ノズル133の軸心と前記レジューサ134の軸心とが同軸上に位置するように前記他方の受入口及び前記送出口が形成されると共に、上記供給ノズル133の軸心と上記レジューサ134の軸心とを結ぶ線と前記シュート131の軸心の延長線とで形成される当該シュート131と当該供給ノズル133との間の角度θが15〜75°(好ましくは30〜60°)となるように前記一方の受入口が形成されている。すなわち、インジェクションフィーダ130は、前記搬送ガス2の受入方向と送出方向とが直線上に並ぶと共に、当該搬送ガス2の受入方向とバイオマス1の受入方向とのなす角度が15〜75°(好ましくは30〜60°)となっているのである。
【0019】
図1に示すように、前記ホッパ110の内筒112に取り付けられた支持部材146は、重量変化計測手段であるロードセル145を介して架台149に支持されている。また、前記切り出しスクリュフィーダ120は、変動吸収手段であるフレキシブルジョイント148を途中に設けた支持部材147を介して上記架台149に固定支持されている。上記フレキシブルジョイント148と前記フレキシブルパイプ142とは、そのばね定数が同一となっている。
【0020】
図1に示すように、ガス化炉50の下部には、当該ガス化炉50の内部に水蒸気および酸素(または空気)を含むガス化剤3を供給する供給管51が連結されている。ガス化炉50の上部には、前記バイオマス1と上記ガス化剤3とを反応させて当該バイオマス1から得られた生成ガス4を当該ガス化炉50から送出する送出管52が連結されている。
【0021】
このようにして構成された粉粒体供給装置100の作用を次に説明する。
【0022】
ホッパ110の調整筒113を昇降させて外筒111と内筒112との間と内筒112の内部との間の隙間の大きさを調整すると共に、乾燥粉砕されたバイオマス1をホッパ110の内筒112内に投入すると、バイオマス1は、内筒112の上記隙間から水平方向に沿って外筒111と内筒112との間の空間に一旦流出した後に、前記開口部111aから送出して切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の受入口内に流入する。
【0023】
ここで、切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の受入口上に堆積するバイオマス1は、その高さ量が小さく、自重による圧縮を抑制された状態で当該切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121内に供給されるようになる。
【0024】
続いて、切り出しスクリュフィーダ120の駆動モータ124を作動して駆動軸122を介してスクリュ123を回転させると、切り出しスクリュ120は、ケーシング121内に流入したバイオマス1を前記送出口から送出させるように搬送する。これと同時に、ホッパ110の駆動モータ116を作動して回転軸115を介してレーキ114を回転させると、当該レーキ114が内筒112の内部に貯蔵された底面側のバイオマス1を攪拌しながら外筒111と内筒112との間に水平方向に沿って移送する。
【0025】
このとき、レーキ114の回転に伴って、内筒112の内部から外筒111と内筒112との間に移送されるバイオマス1の量は、前記開口部111aから送出される量、すなわち、切り出しスクリュフィーダ120で送出される量より多くなるが、外筒111と内筒112との間のバイオマス1の堆積高さが常に略一定となるため、バイオマス1が外筒111と内筒112との間に充満して圧密状態や閉塞状態となるようなことはない。
【0026】
なぜなら、レーキ114の形状は、内筒112のバイオマス1の径方向外側への押し出し力が、外筒111と内筒112との間にバイオマス1を安息角(すべり角)以上に堆積させる力よりも小さくなる鎌状をなしているからである。
【0027】
このため、外筒111と内筒112との間に堆積するバイオマス1の上面部分と前記開口部111aを介して切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の受入口との間のバイオマス1の高さを常に略一定とすることができ、当該間のバイオマス1の自重による圧縮密度を常に一定にすることができる。
【0028】
また、切り出しスクリュフィーダ120の前記スクリュ123は、基端側のピッチ間隔が前述したように先端側よりも基端側ほど小さくなるように設定されていることから、切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の受入口上に堆積するバイオマス1は、上記スクリュ123により、まんべんなく切り出され、圧縮されることなく搬送される。
【0029】
このため、切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の受入口部分にバイオマス1が片寄って堆積してしまうこと(ブリッジング)を防止できると共に、バイオマス1の圧縮密度変化を防止することができるので、バイオマス1をさらに確実に定量的に搬送することができる。
【0030】
このようにして切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の送出口から圧縮されることなく送出されたバイオマス1は、連絡管141、フレキシブルパイプ142を介してインジェクションフィーダ130のシュート131へ定量ずつ供給される。
【0031】
これと同時に、インジェクションフィーダ130の供給ノズル133からエジェクタ本体132内に前記搬送ガス2が供給されることにより、上記シュート131へ供給された前記バイオマス1は、エジェクタ本体132内へ吸い込まれて、当該搬送ガス2中にムラなく分散されながらレージュサ134から噴出され、供給管135内を気流搬送されることによりガス化炉50の内部に定量で供給され、供給管51から供給された前記ガス化剤3と反応し、生成ガス4となって送出管52から送出される。
【0032】
ここで、インジェクションフィーダ130は、ガス化剤3の成分である水蒸気を主成分とする搬送ガス2により、切り出しスクリュフィーダ120からのバイオマス1を吸い込んで当該搬送ガス2中にムラなく分散させながらガス化炉50の内部に気流搬送するので、バイオマス1をガス化炉50の内部に均一に分散させて供給することができると共に、不活性ガス等のような反応効率の低下を生じさせるガスを使用しなくても、切り出しスクリュフィーダ120側へのガス化剤3の逆流を防ぐことができるので、反応効率を向上させることができる。
【0033】
また、インジェクションフィーダ130の、前記搬送ガス2の受入方向と送出方向とが直線上に並ぶと共に、当該搬送ガス2の受入方向とバイオマス1の受入方向とのなす角度が15〜75°(好ましくは30〜60°)となっているので、バイオマス1のように流動性の低い粉粒体であっても、インジェクションフィーダ130のシュート131内にバイオマス1を詰まらせることなく確実に送給することができる。
【0034】
このようにしてホッパ110内のバイオマス1をガス化炉50内に定量ずつ供給して、ホッパ110内のバイオマス1の量が順次減少し、ホッパ110の重量が軽くなると、前記ロードセル145が前記支持部材146を介してホッパ110の重量変化を検出するので、ホッパ110内のバイオマス1の残存量を検知して、時間当たりの重量減量、すなわち、供給量を演算して正確に求めることができ、必要に応じて、ホッパ110の内筒112内にバイオマス1を補給して運転を引き続いて行うようにしたり、前記駆動モータ116,124等の作動を停止して運転を停止したりすることができる。
【0035】
ここで、ホッパ110が、前記フレキシブルパイプ142により、基礎(地面)に対して自在に支持されている(縁切りされている)と共に、前記フレキシブルジョイント148により、前記インジェクションフィーダ130側の圧力による上下方向の変動を吸収(相殺)されるようになっているので、ロードセル145は、ホッパ110の重量変化を正確に検出することができ、時間当たりの重量減量、すなわち、供給量を演算して正確に求めることができる。
【0036】
よって、本実施の形態の粉粒体供給装置100においては、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
(1)ホッパ110の内筒112内に貯蔵されたバイオマス1を外筒111と内筒112との間に水平方向に沿って移送して前記開口部111aから送出することにより切り出しスクリュフィーダ120に送給するようにしたので、切り出しスクリュフィーダ120の受入口上のバイオマス1の堆積高さを小さくすることができ、当該バイオマス1の自重による圧縮を抑制した状態で切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121内に供給することができる。
【0038】
(2)内筒112の内部から外筒111と内筒112との間に移送されるバイオマス1の量が、前記開口部111aから送出される量、すなわち、切り出しスクリュフィーダ120で送出される量より多くなるが、外筒111と内筒112との間のバイオマス1の堆積高さが常に略一定となるため、バイオマス1が外筒111と内筒112との間に充満して圧密状態や閉塞状態となるようなことはないので、当該間のバイオマス1の圧縮密度を常に一定にすることができる。
【0039】
(3)外筒111と内筒112との間と内筒112の内部との間の隙間の大きさを調整筒113で調整することができるので、バイオマス1の粉砕サイズや品種(例えば草か木材か)等の各種物性に応じて、外筒111と内筒112との間のバイオマス1の堆積量を適切に調整することができる。
【0040】
(4)調整筒113の下端部側に切欠部113aを設けたので、外筒111と内筒112との間のバイオマス1の堆積量を適切に維持しながらも、内筒112の内側と外側との間でのバイオマス1の移動の容易化を図ることができる。
【0041】
(5)切り出しスクリュフィーダ120のスクリュ123の基端側のピッチ間隔が、先端側よりも基端側ほど小さくなるように設定されているので、当該スクリュ123による搬送方向において、切り出しスクリュフィーダ120のケーシング121の受入口上のバイオマス1をまんべんなく切り出して、圧縮することなく送出することができる。そのため、バイオマス1が切り出しスクリュフィーダ120の受入口部分で片寄って堆積してしまうことを防止することができ、当該部分でのバイオマス1のブリッジングを防止することができると共に、バイオマス1の圧縮密度変化を防止することができるので、バイオマス1をさらに確実に定量的に搬送することができる。
【0042】
(6)インジェクションフィーダ130により、切り出しスクリュフィーダ120からのバイオマス1を搬送ガス2で吸い込んで当該搬送ガス2中にムラなく分散させながらガス化炉50の内部に気流搬送するので、バイオマス1をガス化炉50の内部に均一に分散させて供給することができると共に、不活性ガス等のような反応効率の低下を生じさせるガスを使用しなくても、切り出しスクリュフィーダ120側へのガス化剤3の逆流を防ぐことができるので、反応効率を向上させることができる。さらに、切り出しスクリュフィーダ120側へのガス化剤3の逆流を防ぐことができることから、従来使用していたロータリバルブを省くことができると共に、ホッパ110側を大気開放系とすることができるので、装置構造の簡略化を図ることができると共に、ホッパ110内へのバイオマス1の補充の容易化を図ることができる。
【0043】
(7)インジェクションフィーダ130の、前記搬送ガス2の受入方向と送出方向とが直線上に並ぶと共に、当該搬送ガス2の受入方向とバイオマス1の受入方向とのなす角度が15〜75°(好ましくは30〜60°)となっているので、バイオマス1のように流動性の低い粉粒体であっても、インジェクションフィーダ130のシュート131内にバイオマス1を詰まらせることなく確実に送給することができる。
【0044】
(8)ホッパ110が、フレキシブルパイプ142により、基礎(地面)に対して自在に支持されている(縁切りされている)と共に、フレキシブルジョイント148により、上下方向の変動を吸収(相殺)されるようになっているので、ホッパ110の重量変化をロードセル145で正確に検出することができ、時間当たりの重量減量、すなわち、供給量を演算して正確に求めることができる。
【0045】
したがって、本実施の形態の粉粒体供給装置100によれば、バイオマス1を安定して効率よく供給することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、図4に示したように、基端側のピッチ間隔が先端側よりも基端側ほど小さくなるように設定されたスクリュ123を有する切り出しスクリュフィーダ120を適用したが、これに代えて、例えば、図6に示すように、基端側の羽根高さが先端側よりも基端側ほど小さくなるように設定されたスクリュ223を有する切り出しスクリュフィーダ220を適用しても、上述した切り出しスクリュフィーダ120の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、内筒112の内部に貯蔵されたバイオマス1を外筒111と内筒112との間に水平方向に沿って移送して、当該間に形成した開口部111aからバイオマス1を送出するようにしたが、これとは逆に、外筒と内筒との間にバイオマス1を貯蔵して、当該間のバイオマス1を内筒の内部に水平方向に沿って移送して、外筒の底面の内筒内部側に形成した開口部からバイオマス1を送出するようにすることも可能である。
【0048】
また、本実施の形態では、ホッパ110の調整筒113の下端部側に切欠部113aを周方向に沿って所定の間隔で複数設けたが、当該切欠部113aを省略することも可能である。
【0049】
また、本実施の形態では、ばね定数が同一のフレキシブルジョイント148とフレキシブルパイプ142とを用いるようにしたが、例えば、上記フレキシブルジョイント148に代えて、上記フレキシブルパイプ142を備えた前記連絡管141を適用することにより、そのばね定数を同一とすることも可能である。
【0050】
また、搬送ガス2としては、本実施の形態のような水蒸気を主成分とするもの以外に、水蒸気、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスのようなバイオマス1のガス化反応時に生成するガス成分のうちの少なくとも一つを主成分とするガスであればよく、例えば、前記ガス化剤3(水蒸気と酸素(または空気)との混合ガス)や、前記ガス化炉50での生成ガス4を使用してメタノール等のような液体燃料を製造した際に生じるオフガス(COやH2 やCH4 等の混合ガス)や、ガスタービン等の各種の機器から排出される燃焼ガス(CO2 や水蒸気等の混合ガス)等を挙げることができる。ここで、上記オフガスや燃焼ガスを使用すれば、当該ガス中の各種成分を有効利用することができると共に、当該ガスの熱エネルギも有効利用することができ、さらに低コスト化を図ることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、バイオマス1のガス化炉50にバイオマス1を供給する際に適用した場合について説明したが、これに限らず、粉砕した石炭や廃プラスチックスをガス化炉や燃焼炉等に供給する場合等のように有機物を粉砕した粉粒体からガスを生成させる炉内に当該粉粒体を供給する場合であれば、本実施の形態の場合と同様に利用して、本実施の形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【0052】
【発明の効果】
第一番目の発明による粉粒体供給装置は、有機物を粉砕した粉粒体からガスを生成させる炉内に当該粉粒体を供給する粉粒体供給装置であって、水蒸気、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスのうちの少なくとも一つを主成分とする搬送ガスにより前記粉粒体を前記炉内に気流搬送するインジェクションフィーダを備えているので、炉内に粉粒体を安定して効率よく供給することができる。
【0053】
第二番目の発明による粉粒体供給装置は、第一番目の発明において、前記インジェクションフィーダの、前記搬送ガスの受入方向と送出方向とが直線上に並ぶと共に、当該搬送ガスの受入方向と前記粉粒体の受入方向とのなす角度が15〜75°であるので、粉粒体をインジェクションフィーダに詰まらせることなく炉内に確実に供給することができる。
【0054】
第三番目の発明による粉粒体供給装置は、第一番目または第二番目の発明において、前記粉粒体がバイオマスであり、前記炉が、水蒸気および酸素を含むガス化剤を供給されて、当該ガス化剤と前記バイオマスとを反応させて当該バイオマスから生成ガスを得るガス化炉であるので、上述した効果を最も効率よく発現することができる。
【0055】
第四番目の発明による粉粒体供給装置は、第三番目の発明において、前記搬送ガスが、前記ガス化剤、前記生成ガスをメタノール等の液体燃料製造の原料に使用した際のオフガス、機器から排出される燃焼ガスのうちのいずれかであるので、上記ガス中の成分を有効に利用することができると共に、当該ガス中の熱エネルギを有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による粉粒体供給装置を、バイオマスのガス化炉にバイオマスを供給する際に適用した場合の実施の形態の概略構成図である。
【図2】図1のII−II線断面矢線視図である。
【図3】図2の III−III 線断面矢線視図である。
【図4】図1の切り出しスクリュフィーダの抽出拡大図である。
【図5】図1のインジェクションフィーダの抽出拡大図である。
【図6】本発明による粉粒体供給装置の他の実施の形態の切り出しスクリュフィーダの概略構成図である。
【図7】バイオマスのガス化炉にバイオマスを供給する従来の粉粒体供給装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1 バイオマス
2 搬送ガス
3 ガス化剤
4 生成ガス
50  ガス化炉
51  供給管
52  送出管
100 粉粒体供給装置
110 ホッパ
111 外筒
111a 開口部
112 内筒
113 調整筒
113a 切欠部
114 レーキ
115 回転軸
116 駆動モータ
120,220 切り出しスクリュフィーダ
121 ケーシング
122 駆動軸
123,223 スクリュ
124 駆動モータ
130 インジェクションフィーダ
131 シュート
132 エジェクタ本体
133 供給ノズル
134 レジューサ
135 供給管
141 連絡管
142 フレキシブルパイプ
145 ロードセル
146,147 支持部材
148 フレキシブルジョイント
149 架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を粉砕した粉粒体からガスを生成させる炉内に当該粉粒体を供給する粉粒体供給装置であって、
水蒸気、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガスのうちの少なくとも一つを主成分とする搬送ガスにより前記粉粒体を前記炉内に気流搬送するインジェクションフィーダを備えている
ことを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記インジェクションフィーダの、前記搬送ガスの受入方向と送出方向とが直線上に並ぶと共に、当該搬送ガスの受入方向と前記粉粒体の受入方向とのなす角度が15〜75°である
ことを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記粉粒体がバイオマスであり、
前記炉が、水蒸気および酸素を含むガス化剤を供給されて、当該ガス化剤と前記バイオマスとを反応させて当該バイオマスから生成ガスを得るガス化炉である
ことを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記搬送ガスが、前記ガス化剤、前記生成ガスをメタノール等の液体燃料製造の原料に使用した際のオフガス、機器から排出される燃焼ガスのうちのいずれかである
ことを特徴とする粉粒体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2004−91570(P2004−91570A)
【公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−252690(P2002−252690)
【出願日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】