説明

粒子状材料

本発明は、活性剤の担体としての粒子状高分子の使用であり、該高分子材料が不飽和ヘテロ環状モノマーと、スクアリン酸、クロコン酸またはこれら誘導体との共重合により製造される高分子であることを特徴とする使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状高分子およびそれから製造される粒子状ガラス、容器あるいは封入体としてのそれらの利用、容器および封入体組成物、ならびにこれらの組成物を含む材料に関し、特に、不飽和ヘテロ環状モノマーと、4または5員環ジシドロキシルのジまたはトリ−オキソモノマーすなわちスクアリン酸またはクロコン酸または活性化されたこれら誘導体と、の組み合わせを使用して調製したベーシック・高分子(the baisic polymer)を含む材料に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野において、望ましい特性を有する化学物質、たとえば着色剤、診断用薬、触媒、増殖培地(growth media)などに対して、粒子状基材材料は、容器、あるいは封入するためのものとして用いられる。
【0003】
一般的に、そのような粒子状基材材料としては、多孔性の硬い中空の有機(例えば、高分子の)粒子および無機(例えば、ケイ質の)粒子が挙げられる。
これら粒子状基材材料の場合において、粒子サイズ、粒子サイズ分布、多孔率、充填(担持)特性、放出特性、溶媒浸透性などに関して、要求特性を達成することは複雑あるいは費用がかかることが多い。このことは、特に、中空粒子状材料にあてはまる。したがって、基材として望ましい特性を有する新しい材料は、引き続き必要とされている。
【0004】
不飽和ヘテロ環モノマーとスクアリン酸またはクロコン酸との共重合により製造される高分子類については、そのオプトエレクトロニクス特性について研究が進められてきている。たとえば、Ajayaghosh(Chem.Soc.Rev.32:181−191)の文献があり、その内容は参照により本願に組み込まれる。しかし、この高分子は、基材材料として有用であるとはいままで示唆すらされておらず、実際、この高分子は溶液重合において不溶性材料を形成するため「取り扱いにくい性質」(Ajayaghoshの文献(上記)186頁、左欄参照。)を有していることに鑑み、実用化できないと放棄されほとんど顧みられなかった。
【0005】
しかし、われわれは、このような取り扱いにくい材料でも、粒子状基材として特に好適に使用できる特性、特に、関心ある化合物を吸着する能力、無機ガラス層でコーティングされる能力、加熱しても収縮が制御されている能力、高分子核を熱で変性して浸透性の中空ガラス球を製造する能力を有していることを見出した。
【0006】
したがって、第一の態様として、本発明は、活性剤の担体として、粒子状高分子材料使用において、該高分子材料が、不飽和ヘテロ環モノマーとスクアリン酸、クロコン酸またはその誘導体との共重合により製造される高分子であることを特徴とする使用を提供する。
【0007】
さらなる態様として、本発明は、活性剤の担体として、中空粒子状ガラスの使用において、該中空粒子状ガラスが、不飽和ヘテロ環モノマーとスクアリン酸、クロコン酸またはその誘導体との共重合により製造されるガラス被覆高分子の熱分解により製造されることを特徴とする使用を提供する。
【0008】
本発明に用いられる粒子状高分子材料は、好ましくは、成長した高分子が不溶性となる、すなわち不溶性高分子粒子が重合混合物の中で形成されるような溶剤中で、モノマーの溶液重合により製造される。用いられる溶剤は、あらゆる適切な有機溶媒であるが、好ましくは、アルコール、たとえばブタン−1オール、ヘキサンブタン−1オール、デカン−1オール、テトラデカノール、ヘキサデカノールなどのC1−14アルカノール、好ましくは、C2−8アルカノール、より好ましくはブタン−1オールである。
【0009】
ヘテロ環モノマーは、ヘテロ単環(好ましくはピロール環)、または縮合環、単結合、非縮合環、もしくは環構造を含んでいてもよい鎖を介して結合した2以上のヘテロ多環から構成されている。重合反応に使用するヘテロ環は、好ましくは、窒素原子を含む5員環で、その5員環の窒素原子に隣接する1つの位置(または、ひとつのヘテロ環が重合反応で活性な場合、窒素に隣接する両方の位置)が非置換であるか、あるいは、その位置がメチレン基により置換されている。実施可能な構造の種類の例がAjayaghoshの文献(上記)に示される。特に好ましくは、ヘテロ環群には2,5−非置換ピロールまたは5,5−非置換2,2‘ビスピロールがある。これら化合物では、1、3または4位は必要に応じて置換されていてもよく、たとえば必要に応じて置換されていてもよいアルキル基、アラルキル基またはアリール基により置換される。
【0010】
これら基における、必要に応じて行われる典型的な置換は、水酸基、チオール基、アミノ基、オキソ基、オキサ基、カルボキシル基、およびこれらを置換したもの(たとえば、アルコキシ、アルキルアミノ、カルボキシアルキルなどの、アルキル、アリールまたはアルカリル置換したもの)による。2,2−ビスピロールの場合には、ピロール基の連結は、たとえば、単結合、鎖(たとえば、メチレン、ポメチレン鎖、または9−エチルカルビルのような置換鎖)、飽和または不飽和環(たとえば、フラン、チオフェン、ベンゼン、ビスフェニル、ピリジン、アントラセンまたはスチルベニルなどの環)、環が割り込んだ鎖(たとえば、ビニル−フェニル−ビニル)により行われる。望ましくは、高分子生成物の骨格においてニ重結合が交互となるように、すなわち高分子に沿って非局在化した電子系が形成されているように、モノマーは選択される。
【0011】
したがって、特に好ましい態様において、高分子は次の構造を有する;
【0012】
【化1】

【0013】
ここで、それぞれのRは、同一または異なっていてもよく、水素または任意に置換されたアルキルであり;Xは単結合または橋架け基であり;yはゼロまたは正の整数(たとえば、1、2、3または4)およびzは正の整数であり、その値は高分子の分子量を決めるものである。
【0014】
すでに分かるように、y>1の場合、つまりヘテロ環モノマーは、それ自体が予備調製された高分子、あるいはオリゴマーでもよい。
ヘテロ環モノマーにおいて、環の窒素は、好ましくは、非置換、またはアルキル、特にメチル置換である。
【0015】
用いられるモノマーにおいては、アルキルまたはアルケン部分は、特に制限はないが、好ましくは6つまでの炭素原子が含まれており;環としては、好ましくは、0、1または2のヘテロ原子特にO、NまたはS原子を含む5、6または7員環であり、;縮合環系と
しては、好ましくは2または3環を含んでいる。
【0016】
このようにして形成される高分子ビーズは、通常、単分散であり、0.1から5μm(少なくとも体積で90%の大きさでそれ以上ではないものとして規定される最大直径として定義されるもの、これは、コールター粒子径測定装置(Colter Particle size measureing apparatous)を用いて求められる)の粒子サイズを有する。粒子サイズは、熱分解が始まる温度以下、たとえば400−500℃、特に430から450℃で加熱することにより、実質的に均一に減少する。
【0017】
「活性剤」(またはその前駆体)は、例えば水性溶媒または有機溶媒中で、溶液から粒子に吸収できる。この点で用いられる活性剤または前駆体は、最終生成物で必要とされる特性を示すことができれば、どのような有機化合物、無機化合物、または化合物の混合物であってもよい。したがって、たとえば、それは、有機もしくは無機色素または色素前駆体(ここでは、蛍光性材料、リン光性材料だけでなく可視光吸収体を含む語である)、有機、無機もしくは有機金属触媒、または触媒前駆体、生物由来物質(たとえば、バクテリアまたはウィルス)、放射化学物質、診断用薬(たとえば、常磁性体または超常磁性体材料、X線非透過性材料、フッ化炭素など)、結合剤(たとえば、抗体または抗体断片)、などである。必要に応じて、粒子は、単一の「活性な」化合物ではなく、化合物の混合物(すなわち少なくとも2種の化合物)を担持するために用いてよい。このようにするためには、粒子に吸収される化合物の溶液に連続的、あるいは同時に浸漬すればよい。必要に応じて、活性剤は望ましい反応のための試薬であってもよく、異なる粒子の一群には異なる試薬が充填されておりそれらが混合されると試薬が放出されると反応が起きる様にされてもよい。一方、高分子基材が熱分解される場合には、一般的には、粒子に充填される材料は、金属または擬似金属(pseudo−metal)(たとえば、無機化合物)であるか、あるいは、ガラス被覆高分子粒子の熱分解の後の物質が充填される。
【0018】
本発明の特に好ましい態様においては、被覆されていない高分子粒子は、溶解形態の金属化合物、たとえば溶解性酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩などと、あるいは有機金属化合物、たとえばアルカリ金属、金属アルコキシドと混合される。このようにして、実際にあらゆる元素が粒子に充填することができる。
【0019】
ガラス被覆粒子または中空ガラス粒子を製造したい場合には、高分子粒子を、セラミック前駆体、たとえば金属または擬似金属(pseudo−metal)アルコキシドなど、とともに接触させてもよい。そのように処理した高分子粒子を加熱することで、アルコキシドの分解によって、ガラス(すなわちセラミック)の外郭を生成できる。高分子が熱分解する温度まで加熱することで、(必要であれば)すでに充填された活性剤を含む中空ガラス粒子を生成できる。通常は、このような熱分解は、600℃以上、例えば650−700℃の温度で行う。この状況において、「ガラス」は石英ガラスである必要はなく、その他の金属または擬似金属(pseudo−metal)のセラミックであればよく、例えば、ジルコニア、チタニア、ハフニアなどでもよい。例えばジルコニアなどは触媒として機能するので、ガラス外郭自体が「活性剤」でありえるか、もしくは、ガラス外殻が「活性剤」を含みえる。驚くべきことに、既知の中空シリカ・マイクロスフェアの外郭とは異なり、このガラス外郭は、驚くほど、しかも有効に浸透性がある。このため、粒子に充填された活性剤または前駆体によりガラスが形成できるようになり、また、活性剤が外郭の外へ浸出したり、液体(たとえば、水)が侵入できる。したがって、このようなガラス被覆粒子は、活性剤のための容器としての用途、たとえば生体内または生体外への遅延放出に特に適している。したがって、このように充填された中空ガラス外郭として特に好ましい用途は、被覆または表面材料中の発光塗料材料の遅延放出である。
【0020】
したがって、さらなる態様として、本発明は、活性剤を含む基材粒子からなる粒子状組
成物であり、該基材粒子が、ヘテロ環モノマーとスクアリン酸、クロコン酸またはこれら誘導体との共重合により製造される高分子の粒子であり、必要に応じてガラス形成コーティングで被覆されている、もしくは、不飽和ヘテロ環モノマーとスクアリン酸、クロコン酸またはこれら誘導体との共重合により製造され、ガラス形成コーティングにより被覆され熱分解された高分子の粒子であり、その組成物は必要に応じてキャリアを含み、マトリックス形成材料をさらに含んでいる組成物を提供する。
【0021】
このような組成物のキャリアは、通常、液体、たとえば水または有機溶剤である。
このような組成物におけるマトリックス形成物質は、通常、ペンキ、ニス、ラッカー、セメントまたはコンクリート基材、すなわち粒子が埋め込まれた固体またはフィルムをつくるために硬化する材料である。
【0022】
さらなる態様として、本発明は、吸収剤、触媒、染料、遅延型放出物質(delayed release agent)、造影剤、クロマトグラフ媒体または化学反応のための試薬として、粒子組成物の用途を提供する。
【0023】
必要とされる場合には、ガラス外郭ではなく金属または擬似金属(pseudo−metal)の外郭をつくるために、ガラス形成の試薬は、還元性媒質(たとえば、水素雰囲気)において加熱してもよい。得られた粒子およびその用途は本発明の一部をなす。
【0024】
高分子が金属化合物で浸透された場合には、熱分解してその金属の化合物の中空粒子が生成する。得られる粒子およびその用途は本発明の一部をなす。これらには、以下に示すとおり、そのまま使用される、あるいは他の活性剤を充填された中空の、チタニア、シリカ、または酸化鉄の、外郭が含まれる。
【0025】
以下、本発明を実施例を参照してより具体的に説明するが、これら実施例には限定されない。
[実施例1]
ポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)の調製
ポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)は、アルキルアルコール(あるいはアルキル
アルコールを含む混合溶媒)中で、等モル量のピロール誘導体とスクアリン酸とを還流することにより調製される。1-メチルピロールの使用に基づく典型的な調製手順を以下に
示す。
【0026】
等モル量の1-メチルピロールとスクアリン酸とを、16時間、ブタン-1-オール中で
還流した。冷却して粗製物をろ過し、乾燥した。ソックスレー中で、16時間、酢酸エチルを用いて生成物を繰り返し洗浄し、溶解性の低分子量物質を除去した。
【0027】
使用したピロール誘導体は、ピロール、1-メチル-ピロール、2,6-ビス(1-メチルピロール-2-イル)-ピリジン、α,β-ビス(1-メチルピロール-2-イル)アントラセン、2,2’-ビス(1-メチルピロール)、ならびに1-アセトキシエチル-ピロールであった。図1に、ポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【0028】
[実施例2]
ポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)による金属イオンの吸収
溶解した元素の塩を含む酸性水溶液中に浸漬することにより、ポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)に、元素イオンを吸収できる。表1に、ポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)により吸収される金属イオンを記載する。表1には、元素の塩とその塩を溶解するのに用いる酸が含まれている。
【0029】
1gのポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を30cm3の、1gの溶解し
た元素の化合物を含有する、濃酸、もしくは酸水溶液、または元素化合物の混合物に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、ポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出した。
【0030】
【表1−1】

【0031】
【表1−2】

【0032】
【表1−3】

【0033】
また、溶解した元素の水酸化物を含む塩基性水溶液中に浸漬することにより、ポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)に元素イオンを吸収できる。
無機塩基を溶解して、様々な濃度(0-2M)の塩基性となるように作製した30cm3の水溶液に、1gのポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)を添加した。その混合物を
5分間攪拌した後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、ポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出した。
【0034】
[実施例3]
無機材料の調製におけるポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)の使用
1gのポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を、30cm3の、1gの溶
解した元素化合物を含む濃酸もしくは酸性水溶液、または元素化合物の混合物に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、ポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出した。元素を含有するポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を室温から660℃までオーブン中で加熱することにより、無機材料を製造した。
【0035】
図2は、この手法により調製した酸化鉄(Fe2O3)の走査型電子顕微鏡
写真である。
[実施例4]
中空シリカ外殻の製造用鋳型材料としてのポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)の使

1gのポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を、9:1のテトラエトキシシラン:エタノールを含有する30cm3の溶液に添加した。その混合物を5分間攪拌して
、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、シリカで被覆されたポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出し、60℃のオーブン中で乾燥した。1gのシリカで被覆されたポリ(1-メチルピ
ロール-2-イル-スクアライン)を30cm3の濃酸に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。シリカで被覆されたポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り除いた。シリカで被覆されたポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を室温から660℃までオーブン中で加熱することにより、中空シリカ外殻を製造した。
【0036】
図3に、中空シリカ外殻の走査型電子顕微鏡写真を示し、図4に、同じ外殻の透過型電
子顕微鏡写真を示す。
[実施例5]
中空チタニア外殻の製造用鋳型材料としてのポリ(ピロール-2-イル-スクアライン)の
使用
1gのポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を、30cm3のチタンテトラ
エトキシト゛に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、チタニアで被覆されたポリ(1-メチルピ
ロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出し、60℃のオーブン中
で乾燥した。1gのチタニアで被覆されたポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を30cm3の濃酸溶液に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超
音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。チタニアで被覆されたポリ(1-メチ
ルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出した。チタニアで被
覆されたポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を室温から660℃までオーブン中で加熱することにより中空チタニア外殻を製造した。
【0037】
図5に、中空チタニア外殻の走査型電子顕微鏡写真を示す。
[実施例6]
有機化合物および/または生物学的種などの分子の貯蔵コンテナ(Storage container)
としての中空外殻の使用
溶解量の有機化合物を含む有機溶媒の溶液中に中空外殻を浸漬した。充填された外殻を、ろ過により混合物から取り出し、少量の純粋な有機溶媒で洗浄した。
【0038】
図6は、上述した方法により、様々な色の有機染料で中空外殻を満たした結果を示したものである。この場合に使用した有機溶媒はクロロホルムであった。
ジクロフェナクナトリウム塩を、メタノール、ジクロロメタン/メタノール溶媒およびクロロホルム/メタノール溶媒の混合物を用いることで外殻中に包含させた。
【0039】
[実施例7]
水溶性化合物の貯蔵コンテナとしての中空外殻の使用
溶解した水溶性化合物を含む飽和水溶液中に、中空外殻を浸漬した。充填された外殻を、ろ過により混合物から取り出し、少量の水で洗浄する前に、その混合物を60℃に加熱し、室温に冷却することを4回行った。
【0040】
この手順を、トリス(エチル-1,2-ジアミン)コバルト(III)トリクロライドを外殻に充填するために使用した。
[実施例8]
無機性化合物含有シリカ外殻の製造
1gのポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を、9:1のテトラエトキシシラン:エタノールを含有する30cm3の溶液に添加した。その混合物を5分間攪拌して
、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、シリカで被覆されたポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出し、60℃のオーブン中で乾燥した。1gのシリカで被覆されたポリ(1-メチルピ
ロール-2-イル-スクアライン)を、30cm3の、1gの溶解した元素化合物を含む、濃酸もしくは酸性水溶液、または元素化合物の混合物に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、シリカで被覆され、かつ元素を含むポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出した。シリカで被覆され、かつ元素を含むポリ(1-メチルピロー
ル-2-イル-スクアライン)を室温から660℃までオーブン中で加熱することにより、
元素無機性化合物を含む中空シリカ外殻を製造した。
【0041】
[実施例9]
無機性化合物含有チタニアシェルの製造
1gのポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を、30cm3のチタンテトラ
エトキシト゛に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、チタニアで被覆されたポリ(1-メチルピ
ロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出し、60℃のオーブン中
で乾燥した。1gのチタニアで被覆されたポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を、30cm3の、1gの溶解した元素化合物を含む、濃酸もしくは酸性水溶液、また
は元素化合物の混合物に添加した。その混合物を5分間攪拌して、その後、3秒間超音波振動を与え、続いて25分間さらに攪拌した。その後、チタニアで被覆され、かつ元素を含むポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)をろ過により混合物から取り出した。チタニアで被覆され、かつ元素を含むポリ(1-メチルピロール-2-イル-スクアライン)を室温から660℃までオーブン中で加熱することにより、元素無機性化合物を含む中空チタニア外殻を製造した。
【0042】
表1は、表1に記載した最初の元素化合物および酸を使用した後に、上述の手順から得られた元素無機性化合物を記載している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状高分子材料が、不飽和ヘテロ環状モノマーと、スクアリン酸、クロコン酸またはこれら誘導体との共重合により製造される高分子であることを特徴とする、粒子状高分子材料の活性剤担体としての使用。
【請求項2】
上記共重合が、上記高分子が成長すると不溶性となる溶媒中で行われていることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
上記へテロ環状モノマーとして2,5-非置換型ピロールまたは5,5’-非置換型-2,2’-ビ
スピロールを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
上記高分子が、下記構造を有すること特徴とする前記請求項いずれか1項に記載の使用:
【化1】

ここで、Rは、同一でも異なっていてもよい、水素または置換されていてもよいアルキルであり、Xは単結合または橋架け基であり、yは0または正の整数であり、zは正の整数であり高分子の分子量を特定するものである。
【請求項5】
上記粒子状高分子に、不溶形態の金属化合物または有機金属化合物が充填されていることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法により製造される高分子にガラスを被覆し、その高分子を熱分解して製造される中空粒子状ガラスであることを特徴とする、中空粒子状ガラスの活性剤担体としての使用。
【請求項7】
活性剤を含有する基材粒子を含む粒子組成物であり、
その基材粒子が、必要に応じてガラス形成剤で被覆されていてもよい前記請求項のいずれか1項に記載の方法により製造される高分子粒子、または前記請求項のいずれか1項に記載の方法により製造され、ガラス形成剤で被覆され、さらに熱分解された高分子粒子であり、
必要に応じてキャリアー、さらに必要に応じてマトリックス形成材を含む粒子組成物。
【請求項8】
上記キャリアーが、水または有機溶媒であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
上記マトリックス形成材が、塗料、ニス、ラッカー、セメント、またはコンクリート基材であることを特徴とする、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
吸収剤、触媒、染料、放出遅延剤、造影剤、クロマトグラフ媒体、あるいは化学反応用試薬としての、請求項7〜9のいずれか1項に記載の微粒子組成の使用。

【公表番号】特表2007−536425(P2007−536425A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512318(P2007−512318)
【出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001710
【国際公開番号】WO2005/105885
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506371154)コヴェントリー ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】