説明

粒状物の充填材が充填された折り畳み自在の縫合体

【課題】 自由にその全体形状を変更することができる折り畳み自在の縫合体を提供する。
【解決手段】 布地を縫合せずに開口状態とした少なくとも1つの開口辺11と布地を縫合して閉鎖状態とした少なくとも1つの縫合辺12とを備えた袋体10に対して、袋体10の縫合辺12から開口辺12に向けて布地を縫合して多数本の仕切部20を設ける。隣接し合う仕切部20の間に、開口辺11側から粒状の充填材40を充填する。充填材40を充填した後、隣接し合う仕切部20の開口辺11を縫合してゆき、多数個の小筒体30を形成する。小筒体30の間の仕切部20の所定幅が可動域となり、仕切部20において小筒体30間の折り曲げが自在である縫合体100となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物の充填材が充填された折り畳み自在の縫合体に関する。当該折り畳み自在の縫合体は、敷物として枕製品や、布団製品、クッション製品の分野に用いることにできる。また、ペットボトルやガラスボトルの飲料容器体を被覆して保温・保護する飲料容器被覆製品の分野に用いることができる。また、避難者の身体に装着する防災製品に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、一般に、粒状物を充填した縫合製品を使い勝手良いものに仕上げることは難しい。枕のような寸胴の塊であれば蕎麦ガラのような粒状物が充填して仕上げても内部の粒状物が大きく移動して縫合体の形が変形してしまうことはなく、特に使い勝手が悪いという問題が生じることはない。
【0003】
しかし、布団のような略平面状の縫合体で面積が大きいものであれば、内部に粒状物を充填したものは、少し持ち上げたりすると内部で粒状物の充填材が大きく移動してしまい、粒状物の充填材を縫合製品全体に均一に分散していき渡らせることは難しい。
【0004】
その一方、粒状物の充填材の中には人体の肌には有用なものが多く、枕や布団などでも利用しようとするものはある。例えば、充填される素材として蕎麦ガラや木炭を砕いて砕片状や粒状にした炭片などが注目されている。炭の主な特徴は、吸湿性や臭気等の吸着性が高いことと、遠赤外線やマイナスイオン等を発生して保温効果や殺菌効果を有することであり、寝具等の充填素材として注目されている。
【0005】
たとえば、特開2002−034752号公報には、同公報の図5に示されている掛布団は、布団生地面を縦横に縫い合わせ、内部に空間が形成された袋部を複数設け、この袋部の開放側から上記生成された粒状炭を一定の厚みになるように充填した後、前記開放側を縫い合わせて密封したものが開示されている。このように、特開2002−034752号公報は、各袋部に充填する粒状炭の量が均一になることを目的としている。
【0006】
このように、掛布団等において、効能のある充填素材を布団全体に均一に行き渡らせるため布団内部を多数の小空間に分けて炭などの充填物を充填したり、布団内部に多数の小袋を埋め込んだりするという工夫が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−034752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術は、粒状の充填物を如何に縫合製品全体に均一に分散していき渡らせるかということを課題として開発されたものである。特に、布団など面積の広いものであれば、この粒状物の充填材の均一化の問題が顕在化するため、以下に粒状物の充填材の移動を抑えるかという点に力点が置かれている。
そこで、縫合製品全体に粒状物の充填材を均一化するため、粒状物の充填材は略平面状の小空間に充填されたり、平面状の小袋に充填されたりし、布団などの縫合製品全体にできるだけ均一に分散するように取り付けるものであった。
【0009】
上記特開2002−034752号公報の技術は、主に掛け布団や敷き布団などに適用されるものであり、利用者が当該掛け布団や敷き布団を使用しても内部の粒状物の充填材がせいぜい当該小空間や小袋内で動く程度に抑え、縫合製品全体へ均一に分散することを目的としている。
【0010】
しかし、上記特開2002−034752号公報の技術では、それら縫合製品における粒状物の充填材を均一に分散する状態を保つため、動かしたり折り畳んだり丸めたりすることについて弱点があった。つまり、上記特開2002−034752号公報の技術では、掛け布団や敷き布団などの使用目的に沿った使用に適しているものの動かしたり折り畳んだり丸めたりして、自由にその全体形状を変更することは難しいものであった。
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決することを目的とし、粒状物の充填材を内部に充填した縫合体であって、動かしたり折り畳んだり丸めたりして、自由にその全体形状を変更することができる折り畳み自在の縫合体を提供することを目的とする。また、当該折り畳み自在の縫合体を効率的に製造する製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み自在の縫合体は、
内部に粒状物の充填材が充填された縫合体であって、
対向する布地を縫合せずに開口状態とした少なくとも1つの開口辺と、前記対向する布地を縫合して閉鎖状態とした少なくとも1つの縫合辺とを備えた袋体と、
前記袋体の前記縫合辺から前記開口辺に向けて前記対向する布地を縫合して閉鎖状態とした多数本の仕切部と、
隣接し合う前記仕切部の間に、前記開口辺側における開口から充填せしめた粒状の充填材と、
前記充填材が充填された隣接し合う前記仕切部の前記開口辺側において前記対向する布地を縫合して形成した小筒体を備え、
前記小筒体を多数個連続させた形状とし、前記仕切部において前記小筒体間の折り曲げを自在とした、折り畳み自在の縫合体である。
【0013】
なお、前記小筒体が略円筒形となるまで前記充填材を充填し、当該略円筒形の小筒体が多数個連続した形状としたものであることが好ましい。
【0014】
また、全体構造の一例として、前記袋体が長方形で、前記開口辺が前記長方形の長辺の一つであり、他の3辺が縫合辺であり、すべての前記仕切部が略平行に設けられたものとすることが好ましい。
つまり、小筒体を並べて長方形の縫合体としたものである。小筒体間の可動域が確保でき、両者間の折り曲げの自由度が大きいものであれば、つづら折りに折り畳んだり、端の小筒体を中心にして全体を丸めたりなど自在に折り畳んで形状を可変とする縫合体とすることができる。
【0015】
また、上記構成において、前記仕切部が所定幅を持ち、前記仕切部を折り曲げ自在の可動域とし、前記小筒体間の折り曲げ自由度を大きく確保せしめたものとすることが好ましい。
つまり、小筒体の中に粒状物の充填材を十分に充填すると略円筒形の小筒体となるまで膨らむが、小筒体同士の間をつなぐ仕切部が一本の縫合線のように極めて狭い線状のものであれば小筒体同士が接触し合って両者の可動域が確保できず、うまく折り曲げたりすることができない。しかし、仕切部が所定幅を持つ帯状の可動域を確保し、当該帯状の可動域において折り曲げを自在とすれば、小筒体の間の折り曲げ自由度が大きくなるという効果を得ることができる。
【0016】
また、他の全体構造の一例として、多数個ある前記小筒体のうち少なくとも1つの前記小筒体の大きさを他の前記小筒体に比べて大きいものとすることもできる。つまり、多数ある小筒体をすべて同じ径としても良く、幾つかの小筒体の径を大きくしても良い。例えば、端の小筒体の径を大きいものとすれば、当該部分を枕とし、他の部分を敷き布団として使用するなど、多様な使用に供することも可能となる。
【0017】
なお、本発明の折り畳み自在の縫合体の構造を強化する工夫を施すことが好ましい。例えば、対向する布地の周辺部分を縫合する際に、前記対向する布地の間に別体の補強用布片を挟み込んで縫合すれば構造強度が向上する。
【0018】
なお、本発明の折り畳み自在の縫合体の充填材として、蕎麦ガラ、発泡素材の粒状体、炭由来素材など、多様なものを採用することができる。
本発明の折り畳み自在の縫合体を用いた適用製品としては、枕製品、布団製品、クッション製品、敷物製品など多様なものがある。
【0019】
また、本発明の折り畳み自在の縫合体を被覆体や包装体として使用することも可能である。例えば、ペットボトルやグラスボトルなど飲料包装容器の高さとその径を周回する程度の長さとし、当該飲料包装容器の周囲に巻きつけるように使用すれば、保温や冷温用の飲料容器被覆製品として使用することができる。
【0020】
また、本発明の折り畳み自在の縫合体を防災用の被覆体として使用することも可能である。例えば、人間の頭や肩や背中などを覆う程度の大きさとし、避難者の身体に装着するように使用すれば、防災時に避難者を障害物の落下などから保護する防災製品とすることができる。
【0021】
次に、本発明の折り畳み自在の縫合体を製造する方法は、
対向する布地を縫合せずに開口状態とした少なくとも1つの開口辺と、前記対向する布地を縫合して閉鎖状態とした少なくとも1つの縫合辺とを備えた袋体を縫製する袋体製造手順と、
前記袋体の前記縫合辺から前記開口辺に向けて前記対向する布地を縫合して閉鎖状態として多数本の仕切部を製作する仕切部製造手順と、
隣接し合う前記仕切部の間に、前記開口辺側における開口から粒状の充填材を充填する充填材充填手順と、
前記充填材が充填された隣接し合う前記仕切部の前記開口辺側において前記対向する布地を縫合し、前記充填材が充填された小筒体を形成する小筒体製造手順により、
前記小筒体を多数個連続させた形状とし、前記仕切部において前記小筒体間の折り曲げを自在とした、折り畳み自在の縫合体を製造する方法である。
【0022】
なお、前記仕切部が所定幅を持たせて形成することにより、前記仕切部の一辺と他辺のそれぞれにおいて折り曲げを自在とし、前記小筒体間の折り曲げ自由度を大きく確保せしめたものとすることが好ましい。
上記折り畳み自在の縫合体を製造する方法によれば、複数の小筒体を備え、小筒体間の自由度を大きく保った折り畳み自在の縫合体を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例により具体的に説明する。なお、本発明の技術的思想の範囲はこれらの実施例の具体的な形状や数値に限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1にかかる折り畳み自在の縫合体100の基本構成を模式的に示した図である。図1(a)は平面図、図1(b)は側面図、図1(c)は正面図、図1(d)は折り畳み自在の縫合体100の内部が分かりやすいように断面図となっている。
【0025】
本発明の折り畳み自在の縫合体100は、図1に示すように、袋体10、仕切部20、小筒体30、小筒体30内部に充填された粒状物の充填材40を備えた構造となっている。
この構成例では、全体が長方形で、すべての仕切部20が略平行に設けられ、すべての小筒体30が略平行に設けられたものとなっている。
【0026】
袋体10は、対向する上下2枚の布地11および12を重ね、必要部分を縫合して袋状にしたものである。布地を縫合せずに開口状態とした少なくとも1つの開口辺14と、布地を縫合して閉鎖状態とした少なくとも1つの縫合辺15より袋状のものとなっている。この例では、開口辺14が一つで他の縫合辺15を3つとした袋体10となっている。
なお、袋体10の構造を強化する工夫を施すことが好ましい。例えば、図2(b)に示すように、対向する上下の布地11および12を縫合して縫合辺15とする際に対向する布地11および12の間に別体の補強用布片13を挟み込んで縫合すれば構造強度が向上する。図2(a)に示すように補強用布片13を挟み込んで縫合することにより縫合箇所が厚手の構造となり縫合箇所が破れるおそれが少なくなる。補強用布片13としてはたとえばパイピングテープなどがある。
【0027】
仕切部20は、袋体10の縫合辺15から開口辺14に向けて上下の布地11および12を縫合して閉鎖状態としたもので、袋体10に多数本の仕切部20が設けられている。
図3(a)に示すように、袋体10の縫合辺15から開口辺14に向けて上下の布地11および12を縫合して多数本の仕切部20を製作する。この例では、23本の仕切部20が設けられた例となっている。
【0028】
また、小筒体30は、仕切部20のうち隣接し合う仕切部20の間に形成された小筒体であり、この中に充填材40を充填し、開口辺11側において上下の布地11および12を縫合してその開口を塞いで形成した小筒体である。十分に充填材40を充填すれば、小筒体30は略円筒形の筒体となる。
図3(b)に示すように、小さな袋状となっている小筒体の中に充填材40を充填して製作する。充填材40の充填後、図3(c)に示すように開口辺14を縫合して縫合辺15として開口を閉鎖する。この構成例では24個の小筒体30が各々仕切部20を介して連続して連なった構造となっている。
【0029】
次に、充填材40は、隣接し合う仕切部20の間に充填する粒状物の充填材であって開口辺11側における開口から充填せしめる。
たとえば、蕎麦ガラ、発泡素材の粒状体、炭由来素材など多様なものを採用することができる。この構成例では蕎麦ガラを用いた例とする。
【0030】
このように、折り畳み自在の縫合体100は、小筒体30を多数個連続させたものとして形成され、仕切部20において小筒体30の間の折り曲げが自在なものとなっている。
【0031】
図4は、小筒体30の間を折り曲げ、全体形状を変化させた様子を示す図である。図4(a)は全体を2つ折りに畳んだ様子を模式的に示した図、図4(b)は全体を3つ折りに畳んでつづら折りに畳んだ様子を模式的に示した図である。
図5は、小筒体30の間を曲げてゆき、全体を渦巻き状に折り曲げた様子を模式的に示した図である。
このように、本発明の折り畳み自在の縫合体100は、隣接し合う小筒体30同士を可動域となる仕切部20において折り曲げて行くことにより全体形状として多様な折り曲げ方、折り畳み方により自在な形状とすることができる。
【0032】
次に、小筒体30の間の可動域を大きく確保する工夫について述べる。
仕切部20は、上下2枚の布地が所定幅で縫い合わされたものとなっているので基本的にフレキシブルに曲がりやすく、小筒体30の間に所定幅の可動域が確保でき、折り曲げを自在となっているが、仕切部20を太くして所定幅を持つものとすることで小筒体30の可動域が大きくなる。所定幅を持つ仕切部20とするためには、例えば、所定幅を離して布地に二本の縫合線を設けることで形成することができる。
【0033】
仕切部20を所定幅とする効果について図を参照しつつ説明する。
図6は、仕切部20を所定幅とする効果を示す図である。
後述するように、小筒体の中に粒状物の充填材を十分に充填すると円筒型の小筒体となるまで膨らむが、図6(b)に示すように、小筒体同士の間をつなぐ仕切部が一本の縫合線のように極めて狭い線状のものであれば小筒体同士がすぐに接触し合って両者の可動域が制限されてしまう。
【0034】
しかし、図6(a)に示すように、仕切部が所定幅を持ち可動域を大きく確保し、当該帯状の可動域の幅を大きく確保することにより折り曲げを自在とすれば、小筒体の間の折り曲げ自由度が大きくなる。明らかに図6(a)の方が図6(b)よりも小筒体の間の折り曲げが容易であることが分かる。
【0035】
次に、本発明の折り畳み自在の縫合体100の製作工程を示しておく。
図7は、本発明の折り畳み自在の縫合体100の製作工程を示す工程のフローチャートである。
【0036】
まず、袋体製造手順を行う(図7ステップS1)。
長方形の2枚の布地を重ね、開口辺11のみを縫合せずに開口状態のままとし、他の3辺を縫合して縫合辺12とし、袋体10を縫製する。
【0037】
次に、仕切部製造手順を行う(図7ステップS2)。
袋体10の縫合辺12から開口辺11に向けて布地を縫合して多数本の仕切部20を製作する。ここで、仕切部20を所定幅を持つように縫合する。
【0038】
次に、充填材充填手順を行う(図7ステップS3)。
隣接し合う仕切部20の間に、開口辺11側における開口から粒状の充填材40を充填する。
【0039】
次に、小筒体製造手順を行う(図7ステップS4)。
充填材40が充填された状態の仕切部20の開口辺11側を縫合し、小筒体30を形成する。
最後に、仕上げ手順を行う(図7ステップS5)。
【0040】
これらの手順により、小筒体30を多数個連続させた形状で、仕切部20において小筒体30間の折り曲げを自在とした、折り畳み自在の縫合体が製造できる。
本発明の折り畳み自在の縫合体100は、多様な製品に応用することができる。
たとえば、枕製品、布団製品、クッション製品などがある。
なお、本発明の折り畳み自在の縫合体100は汚れたり臭いがついたりした場合に洗濯することも可能である。例えば、水、ぬるま湯、お湯(80度程度など)に浸して手押しで手洗いすれば、汚れや臭いなどを落とすことができる。なお手押し洗い時には強い洗剤などは用いない方が良い。乾燥は自然乾燥も可能であり、陰干しなども可能である。乾燥機で乾燥する場合には乾燥機用ネットなどに入れて乾燥する方が縫合部分に負担がかからないので良い。
【実施例2】
【0041】
実施例2として、本発明の折り畳み自在の縫合体100を飲料容器の保温用、冷温用の飲料容器被覆製品として適用した例を示す。
【0042】
図8は、本発明の折り畳み自在の縫合体を飲料容器被覆製品100aとして適用した例を示す図である。
図8(a)に示すように、飲料容器被覆製品100aでは、袋体10の高さを飲料包装容器の高さ程度とし、袋体10の長さを飲料包装容器の径を周回する程度の長さとしたものである。
【0043】
なお、実施例2の構成例ではファスナー50が設けられており、飲料容器被覆製品100aを飲料包装容器に巻き付けた後、面ファスナー50により飲料包装容器をしっかりと取り付けられるようになっている。なお、図8の構成例では面ファスナー50が設けられているが、紐を設けることも可能である。
【0044】
図8(b)から図8(c)に示すように、ペットボトルなどの飲料包装容器200に対して本発明の折り畳み自在の縫合体である飲料容器被覆製品100aに巻きつけて行く。
冷温に用いる場合、良く冷えた状態のペットボトルなどの飲料包装容器200に対して飲料容器被覆製品100aを巻きつければ、充填材が緩衝材となり、冷温状態が守られる。保温に用いる場合も同様である。
【0045】
本発明の折り畳み自在の縫合体は、避難者の身体に装着する防災製品としても利用可能である。袋体10の高さを人体の頭や肩や背中などがカバーできる程度とし、袋体10の長さも人体の頭や肩や背中などをカバーできる程度の長さとする。
【0046】
なお、図8の構成例では面ファスナーが設けられているが、紐を設けることも可能である。人体の頭や肩や背中などを覆った後、紐によりしっかりと取り付けられるようになっている。防災製品を避難者の身体に装着すれば、充填材が緩衝材となり、防災時に避難者を障害物の落下などから保護する防災製品とすることができる。
特に火災の場合であれば、本発明の折り畳み自在の縫合体100を事前に溜め置きしておいた水などに素早く浸して水分を含ませて身体に装着することにより、火災現場を逃げる利用者を火気や煙から守ることができる。
【0047】
以上、本発明の折り畳み自在の縫合体における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の折り畳み自在の縫合体は、例えば、人間の頭や肩や背中などを覆う程度の大きさとし、避難者の身体に装着するように使用すれば、防災時に避難者を障害物の落下などから保護する防災製品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1にかかる折り畳み自在の縫合体100の基本構成を模式的に示した図
【図2】本発明の実施例1にかかる折り畳み自在の縫合体100の袋体の縫合を模式的に示した図
【図3】本発明の実施例1にかかる折り畳み自在の縫合体100の製作工程を模式的に示した図
【図4】小筒体30の間を折り曲げ、全体をつづら折りに折り畳んだ様子を模式的に示した図
【図5】小筒体30の間を折り曲げ、全体を渦巻き状に折り曲げた様子を模式的に示した図
【図6】仕切部20を所定幅とする効果を示す図
【図7】本発明の折り畳み自在の縫合体100の製作工程を示す工程のフローチャート
【図8】本発明の折り畳み自在の縫合体を飲料容器被覆製品100aとして適用した例を示す図
【符号の説明】
【0050】
10 袋体
11 開口辺
12 縫合辺
20 仕切部
30 小筒体
40 充填材
50 面ファスナー
100,100a 折り畳み自在の縫合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に粒状物の充填材が充填された縫合体であって、
対向する布地の周辺部分において、縫合せずに開口状態とした少なくとも1つの開口辺と、前記対向する布地を縫合して閉鎖状態とした少なくとも1つの縫合辺とを備えた袋体と、
前記袋体の前記縫合辺から前記開口辺に向けて前記対向する布地を縫合して閉鎖状態とした多数本の仕切部と、
隣接し合う前記仕切部の間に、前記開口辺側における開口から充填せしめた粒状の充填材と、
前記充填材が充填された隣接し合う前記仕切部の前記開口辺側において前記対向する布地を縫合して形成した小筒体を備え、
前記小筒体を多数個連続させた形状とし、前記仕切部において前記小筒体間の折り曲げを自在とした、折り畳み自在の縫合体。
【請求項2】
前記小筒体が略円筒形となるまで前記充填材を充填し、当該略円筒形の小筒体が多数個連続した形状とした、請求項1に記載の折り畳み自在の縫合体。
【請求項3】
前記袋体が長方形で、前記開口辺が前記長方形の長辺の一つであり、他の3辺が縫合辺であり、すべての前記仕切部が略平行に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の折り畳み自在の縫合体。
【請求項4】
前記仕切部が所定幅を持ち、前記仕切部を折り曲げ自在の可動域とし、前記小筒体間の折り曲げ自由度を大きく確保せしめた請求項1に記載の折り畳み自在の縫合体。
【請求項5】
多数個ある前記小筒体のうち少なくとも1つの前記小筒体の大きさを他の前記小筒体に比べて大きいものとした請求項1から4のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体。
【請求項6】
前記対向する布地の周辺部分を縫合する際に、前記対向する布地の間に別体の補強用布片を挟み込んで縫合することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の縫合体。
【請求項7】
前記充填材が蕎麦ガラである請求項1から6のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体。
【請求項8】
前記充填材が発泡素材の粒状体である請求項1から7のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体。
【請求項9】
前記充填材が炭由来素材を含んだものである請求項1から8のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体を用いた枕製品。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体を用いた布団製品。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体を用いたクッション製品。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体の前記袋体の高さを飲料包装容器の高さ程度とし、その長さを前記飲料包装容器の径を周回する程度の長さとした飲料容器被覆製品。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか1項に記載の折り畳み自在の縫合体を用いた避難者の身体に装着する防災製品。
【請求項15】
対向する布地の周辺部分において、縫合せずに開口状態とした少なくとも1つの開口辺と、前記対向する布地を縫合して閉鎖状態とした少なくとも1つの縫合辺とを備えた袋体を縫製する袋体製造手順と、
前記袋体の前記縫合辺から前記開口辺に向けて前記対向する布地を縫合して閉鎖状態として多数本の仕切部を製作する仕切部製造手順と、
隣接し合う前記仕切部の間に、前記開口辺側における開口から粒状の充填材を充填する充填材充填手順と、
前記充填材が充填された隣接し合う前記仕切部の前記開口辺側において前記対向する布地を縫合し、前記充填材が充填された小筒体を形成する小筒体製造手順により、
前記小筒体を多数個連続させた形状とし、前記仕切部において前記小筒体間の折り曲げを自在とした、折り畳み自在の縫合体を製造する方法。
【請求項16】
前記仕切部が所定幅を持たせて形成することにより、前記仕切部の一辺と他辺のそれぞれにおいて折り曲げを自在とし、前記小筒体間の折り曲げ自由度を大きく確保せしめたものとする請求項15に記載の折り畳み自在の縫合体を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−110550(P2010−110550A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287629(P2008−287629)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(506349430)
【Fターム(参考)】