説明

粗粒径を有する結晶化マルチトール粉末、その調製方法、および特にチョコレートにおけるその使用法

本発明は、体積を基準にして200μm未満のサイズの粒子を20%未満、100μm未満のサイズの粒子を6%未満、および40μm未満のサイズの粒子を2%未満有するレーザ粒度分析によって測定される粒度分布と、10秒以下の流動値と、0.85g/mlを超える空気混和密度と、0.97g/mlを超える圧縮密度と、17%未満の圧縮率とを特徴とする、99.5重量%を超えるマルチトール含量を有する結晶化マルチトール粉末に関し、また医薬品、とりわけ食品分野における、具体的にはチョコレートまたは卓上甘味料の配合におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い結晶化マルチトール含量を有し、かつ細かい粒子を事実上まったく含まない粗粒径を有するマルチトール粉末に関する。この結晶化マルチトール粉末はまた、そのすぐれた流動性およびその密度によって特徴づけられる。
【背景技術】
【0002】
本発明の意図する「結晶化マルチトール粉末」とは、マルチトールの水溶液の標準的な結晶化生成物を意味する。
【0003】
本発明の意図する「高いマルチトール含量」とは、99.5重量%を超える、好ましくは99.7重量%を超える、より一層好ましくは99.8重量%を超えるマルチトール含量を意味する。
【0004】
一般にマルチトールと呼ばれる4−O−アルファ−D−グルコピラノシル−D−グルシトールは、マルトースの水素化によって工業規模で得られる多価アルコールである。それは、スクロースよりも化学的により安定で、より低カロリーであり、かつより低い血糖インデックスを有し、さらに有利なことに、この糖にきわめて近い感覚刺激の特性を有するので、非常に興味深い。さらにマルチトールの特質はう蝕原生でないことであり、それが産業界の多くの用途、具体的には医薬および食品業界、具体的にはチューインガム、卓上甘味料、およびチョコレートの分野での利用を可能にし、またすでに利用されてきた。
【0005】
例えばチョコレートの分野では、3種類のチョコレートの間に、すなわちブラックチョコレート、ミルクチョコレート、およびホワイトチョコレートの区別が付けられている。
【0006】
一般には、従来のブラックチョコレートは、カカオリカー(約54%の脂肪を含有する)、スクロース、およびカカオバターから得られる製品として定義することができる。しばしばレシチンなどの乳化剤もまた使用され、時にはカカオパウダー、また任意選択で香味料が使用される。
【0007】
ミルクチョコレートはさらに乳固形分を含有するものであり、ホワイトチョコレートもまたいくらかの乳固形分を含有するが、脱脂乾燥カカオパウダーを含まない。
【0008】
物質的観点からは、チョコレートは、本質的にトリグリセリドを含む凝固脂肪相中にきわめて細かい非脂肪粒子(スクロース、ラクトース、タンパク質、無機物)を分散させた、ほとんど無水のディスパージョンにたとえることができる。
【0009】
これらの命名は、ブラックチョコレートの場合には専らココアから来ているが、ミルクまたはホワイトチョコレートの場合にはまたミルクから来ている。
【0010】
チョコレートの標準的な製造方法は、下記の連続する必須のステップ
(1)混練り、
(2)微粒化、
(3)任意選択の乾式コンチング、
(4)湿式コンチング、
(5)テンパリング、
(6)成形、
(7)冷却、
(8)包装
を含む。
【0011】
混練りの目的は、糖と、カカオペーストと、任意選択でカカオバターおよび粉乳とから均質なペーストを得ることである。
【0012】
この操作はミキサー中で行われる。得られたペーストは、後続の微粒化の操作に適した或る特定の質感を有しなければならない。
【0013】
質感は、糖の粒径の選択によって、また脂肪含量によっても調整することができる。
【0014】
微粒化は、混練りのステップ後に、粒子の大きさを約25または30ミクロン未満まで下げるために、得られたペーストを複数のスチールシリンダーの間で圧延することを伴う。
【0015】
この操作は、元のペーストを、周囲の匂いをトラップすることができる細かな吸湿性粉末に変える。
【0016】
したがって、この段階ではコンチングをできるだけ速やかに行うことが望ましい。
【0017】
コンチングは、チョコレートの風味を修正し、そのレオロジー特性を改良するために不可欠である。
【0018】
この操作は、単一のステップ(湿式コンチング)で、または2ステップ(乾式、次いで湿式コンチング)で行うことができ、数時間から数日続いてもよい。
【0019】
この微粒化した粉末を、ブラックチョコレートの場合には約75〜80℃で、またホワイトまたはミルクチョコレートの場合には約65℃で加熱混合する。乾式コンチングは、高レベルの脂肪が存在しない状態でこの加熱混合を行うことを伴う。それはコンチング回数を減らすことを可能にする。
【0020】
この操作の間にチョコレートの風味が生ずる。塊の温度の上昇および通気のおかげでアルデヒドおよび短鎖脂肪酸などの望ましくない化合物が揮発により塊から逃げる一方で、他の芳香族化合物が形成される。
【0021】
さらに生成物のレオロジーが変化する、すなわち微粒化の終わりに得られる粉末はペースト状になる。(砂糖、ココア、ミルクの)不溶性粒子は摩擦および水の離脱によってばらばらになり、また丸くなって、流動閾値のより低い、より大きな流動性をペーストに与える。
【0022】
これらの特性をさらに改良するために、コンチングの終わる何時間か前に通常はレシチンをチョコレートに加える。
【0023】
これは、糖入りの粒子を被覆し、残留した微量の水を乳状にして、後続の成形のステップに不可欠なすぐれたフロー特性をチョコレートに与える。
【0024】
チョコレートは、カカオバターの安定な形態での結晶化を可能にするために練られる。
【0025】
このためには、このチョコレート風味をもつペーストを25から27℃に近い、時にはそれよりわずかに低い温度にまで上昇させてそれぞれの種類の結晶核を造り出し、次いで不安定な結晶形を融解するために、成形の間にそれよりわずかに高い温度まで上昇させる。
【0026】
成形は、チョコレートを、例えばバーまたは人形の形に形づくる操作である。チョコレートは、中まで均質でも、また中に充填してもよい。
【0027】
スクロースは、最初からチョコレート業界の基準の甘味増量剤である。その感覚的および技術的特性は、この種の菓子製品にとって特に適したものである。
【0028】
他方でその栄養特性は非難を引き起こし得る。スクロースは、実際には4kcal/gの発熱量を有し、スクロースが必須の成分であるチョコレートにかなり大きな発熱量を与える。
【0029】
糖は、その含有するグルコースが体によって急速に吸収される可能性があり、それが糖尿病患者の場合には重度の高血糖症を引き起こす恐れがあるので、これらの患者にとっては絶対に禁忌である。
【0030】
最後にスクロースは、口腔の共生菌によって発酵し、歯のう蝕の原因である腐食性の酸に変わる可能性のある基質である。
【0031】
これらの欠点を克服するために、チョコレート中のスクロースを多価アルコールで置き換える検討がなされている。
【0032】
これらの多価アルコールは、具体的にはソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどの水素化単糖類、またはマルチトール、ラクチトール、水素化イソマルツロース(グルコピラノシル−1−6ソルビトールとグルコピラノシル1−1マンニトールの等モル混合物)などの水素化二糖類であることができる。
【0033】
純粋状態ではこれらの多価アルコールは還元力がなく、また頬内細菌叢により発酵されて酸になることがない。したがって配合物のその他の成分が発酵性の糖を供給しない限りは、これらは非う蝕原生のチョコレートの製造を可能にする。ミルクチョコレートおよびホワイトチョコレートの場合、この低齲蝕原生を最高に確実にするために、ミルクをラクトースが含まれていないミルク成分によって置き換えることができる。
【0034】
多価アルコールはゆっくり代謝され、それらが消費された後に血中のグルコースレベルの突然の増加を引き起こさない。その結果、それらは糖尿病患者の食餌に推奨されることが多い。
【0035】
これに加えてそれらの発熱量は、平均で2.4kcal/g(10.0KJ/g)すなわち糖の約60%と見積もられる。
【0036】
しかしながら、甘味増量剤の発熱量に加えて、チョコレートのもう一つの必須成分を構成する脂肪がずっと大きな発熱量で存在するという単純な理由で、現在市販されている多価アルコールを含有するチョコレートの発熱量低減は、まだ依然として限定されたままである。
【0037】
これらの脂肪は、一般にはカカオおよび/またはミルクに由来する。
【0038】
それらの発熱量は、実際には9kcal/gである。さらにそれらは、基本的には飽和している。したがって、特に栄養学者はそれらを薦めず、また食餌により過剰のカロリー摂取を制限したいという消費者の現在の関心事と衝突する。
【0039】
したがって、この関心事に対処するためには、チョコレートの場合、スクロースを低カロリー代替物によって置き換えるべきであり、多価アルコールはこの点については、特に完全に適しているが、脂肪の量もまた減らすべきである。
【0040】
しかしながら、特に微粒化、コンチング、および成形の操作のための良好な条件を得るのに必要なレオロジー特性を含めた、技術上の製造要件が存在し、多価アルコールを含有するチョコレート中の脂肪含量の著しい減少とは本性的に対立する。
【0041】
本出願人の会社は、これらの問題の技術的解決策を、欧州特許出願公開第512,910号明細書において提供した。その解決策は、甘味増量剤の一部をなすように高純度結晶化マルチトールか、ラクチトールか、水素化イソマルツロースか、低カロリーサッカリドのポリマーか、またはこれらの混合物からなる群から選択される製品を使用して、32重量%未満のきわめて低い脂肪含量を有するにもかかわらず、スクロースを含有する通常のチョコレートに匹敵する技術的特性および感覚刺激の特性を有する低発熱量のチョコレートを開発することにある。
【0042】
しかしながら「高純度結晶化マルチトール」とは、欧州特許出願公開第512,910号明細書中では、
− 少なくとも92%、好ましくは少なくとも95%、さらに一層好ましくは少なくとも97%の乾燥/乾燥重量として表されるマルチトール含量を有する結晶化マルチトール、
− 本出願人の会社が所有者である欧州特許出願公開第189,704号明細書中に記載の製造方法(水中で冷却により結晶化させるその手順は、前記特許出願公開の実施例中に記載されている)により得られるものなど
を意味した。
【0043】
本出願人の会社によって得られたこの「高純度結晶化マルチトール」は通常、180〜230μmの算術平均径に対して、体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
であることを特徴とする粒度分布を有する(これら測定値は、以下で説明するようなレーザ粒度分析によって求められる)。
【0044】
この製品はまた、ブランド名MALTISORB(登録商標)P200として本出願人の会社によって市場で販売されている。
【0045】
この「高純度結晶化マルチトール」は、例外なくチョコレート用、特に低カロリーのチョコレートの製造用に適しているが、本出願人の会社は、200μm未満、より具体的には100μm未満、さらに一層具体的には40μm未満の寸法の結晶化マルチトールの細粒の存在が、きわめて低い脂肪含量を有するチョコレートの製造条件、具体的には微粒化のステップを通過する前の混合のステップの間の製造条件に不利になるように見える場合があることを発見した。
【0046】
卓上甘味料の分野において本出願人の会社はまた、欧州特許出願公開第1,245,582号明細書中で、特に多価アルコールを含有することができる粉末形態で繊維に富んだ卓上甘味料を提供した。
【0047】
一般に卓上甘味料とは、従来の糖(スクロース)に取って代わる粉末形態の組成物を意味し、スクロースと同じ程度(約4kcal/g)か、あるいはそれ以下の発熱量に対して、同等またはそれ以上の甘味の強さを有するものである。
【0048】
一般に卓上甘味料の甘味はより強いので、食品または飲料を甘くするために必要な量がスクロースで必要とされる量よりも少なく、さらに同じ甘味の強さに対する発熱量が低減する。
【0049】
甘味の強さは、例えば、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸塩、ステビオシド、スクラロース、ネオテーム、またはアリテームなどの化学合成によって調製される強力甘味剤によって与えられる。
【0050】
これらの卓上甘味料はまた、例えばソルビトール、キシリトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、およびイソマルトなどの多価アルコールを単独で、または混合して、あるいはまた、デキストリン、マルトデキストリン、ポリデキストロース、またはフラクトオリゴ糖型の多糖またはオリゴ糖から通常は選択される増量剤を、甘味剤と共に含有する。
【0051】
卓上甘味料は、高カロリー摂取なしに甘味を与えるために、特に粉末形態で、食品および外食産業において積極的に使用される。
【0052】
したがって、このような卓上甘味料は、痩身剤またはその他の発熱量を制御した薬品を意図した、いわゆるダイエット食または「軽」食に広く採用されている。
【0053】
自身の欧州特許出願公開第1,245,582号明細書において、本出願人の会社は、15〜35%の1〜6個のグルコシド結合と、20%未満の還元糖含有率と、5未満の多分子性指数(polymolecularity index)と、高くとも4500g/molに等しい数平均分子量Mnとを有する分岐マルトデキストリンを3から99重量%、好ましくは10から95重量%含むこと、および酸性条件下で安定であることを特徴とする、繊維に富んだ卓上甘味料を提案している。
【0054】
「分岐マルトデキストリン」とは、これもまた本出願人の会社が所有者である欧州特許出願公開第1,006,128号明細書中に記載されているマルトデキストリンを意味する。
【0055】
これらの分岐マルトデキストリンは、消化しにくい性質のもの、すなわち小腸中での吸収を妨げることによって発熱量を減らすものである。したがってそれらは消化しにくい繊維の源を構成する。
【0056】
自身の欧州特許出願公開第1,245,582号明細書において、本出願人の会社は、通常使用されるフラクトオリゴ糖またはポリデキストロースではクレームを請求できなかったが、消化しにくい繊維の供給物を構成すると同時に、それらのう蝕原生を低減させるように上述の分岐マルトデキストリンを取り込むことによって、繊維に富んだ卓上甘味料中の増量剤の部分的または全体的な置き換えを可能にするので有利であることを発見した。
【0057】
したがって、例えば分岐マルトデキストリンを含むカロリー価の高い甘味組成物中のマルトデキストリンの全部または一部を代えることによって、その最初の発熱量が50%まで軽減され、満足な感覚刺激特性を有する組成物を得ることができる。
【0058】
欧州特許出願公開第1,006,128号明細書中に記載されているすべての組成物が、本発明による卓上甘味料の調製に適している。
【0059】
本出願人の会社により提案されたこれらの繊維に富んだ卓上甘味料は、この分岐マルトデキストリンおよび上述の強力甘味料のほかに、さらに多価アルコールを含有する。
【0060】
これらの多価アルコールは、有利にはスクロース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、ラクチトール、およびエリスリトールの単独または組合せからなる群から選択される。
【0061】
有利な別形によれば、本発明による上述の繊維に富んだ卓上甘味料は、スクロース、フラクトース、デキストストロース、マルトース、脱水グルコースシロップ、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、トレイトール、およびイジトールの単独または組合せからなる群から選択される糖または多価アルコールによって100重量%まで構成される上述の分岐マルトデキストリンを3から50重量%含む。
【0062】
マルチトールの特定の例において、本出願人の会社はまた、200μm未満、より具体的には100μm未満、さらに一層具体的には40μm未満の径の結晶化マルチトールの細粒の存在が、上述の卓上甘味料の製造条件に不利になるように見える場合があることを発見した。
【0063】
粒度分布値(granulometry)の細かい粒子を多く含む場合、分岐マルトデキストリンの濃度が高いほど、結晶化マルチトール粉末は塊状になりにくいことも、また注目される。
さらに本出願人の会社はまた、卓上甘味料としてこれを使用する場合、マルチトール粉末の流動性および密度が重要なパラメーターであることを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】欧州特許出願公開第512,910号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第189,704号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1,245,582号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1,006,128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0065】
上記のすべては、一方で、より具体的にはチョコレート(特に低脂肪含有のチョコレート)の分野に指定される、細粒を事実上まったく含まない高い粒度分布値を有し、また他方で、より具体的には卓上甘味料分野に指定される、良好な流動性および高密度を有する結晶化マルチトール粉末を提供するという未充足のニーズが依然として残っていることを示している。
【課題を解決するための手段】
【0066】
この主題に関する徹底的な研究の後に、既知のマルチトール粉末について報告された欠点を有しない結晶化マルチトール粉末の調製に成功したことは、本出願人の会社の功績である。
【0067】
したがって本発明は、まず第一に、
− 体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子を20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、さらに一層好ましくは5%未満と、
− 100μm未満のサイズの粒子を6%未満と、
− 40μm未満のサイズの粒子を2%未満
を有する、レーザ粒度分析によって測定される粒度分布、
− 10秒以下、好ましくは5秒以下の流動値、および
− 0.85g/mlを超える、好ましくは0.88〜1.00g/mlの空気混和密度と、0.97g/mlを超える、好ましくは0.98〜1.05g/mlの圧縮密度と、17%未満、好ましくは10%未満、さらに一層好ましくは5%未満の圧縮率
を特徴とする99.5重量%を超える、好ましくは99.7重量%以上の、より好ましくは99.8重量%を超えるマルチトール含量を有する結晶化マルチトール粉末に関する。
【0068】
この粒度分布の値は、その粉末分散モジュールを備えたBECKMAN−COULTER LS 230 LASER式回折粒度計(乾式法)で、技術解説書および製造業者の手引書に従って測定される。
【0069】
ホッパーの下でのスクリュー回転数および分散シュートの振動強度の操作条件は、その光学濃度が4%〜12%であり、理想的には8%であるように決められる。
【0070】
このLS 230 LASER式回折粒度計の測定範囲は、0.04μmから2,000μmである。これらの結果は、体積%の単位で計算され、μmの単位で表される。
【0071】
粒度分布曲線はまた、体積平均径(算術平均)D4,3の値を求めることを可能にする。
【0072】
本発明の結晶化マルチトール粉末は、小粒子の低い割合により主に特徴づけられる。
【0073】
より具体的には100μm未満のサイズの粒子のきわめて低い割合が、本発明による結晶化マルチトール粉末にすぐれたフロー特性を与える。
【0074】
本発明による結晶化マルチトール粉末はまた、
− その流動性、
− その密度(空気混和および圧縮)およびその圧縮率
により特徴づけられる。
【0075】
フロー値は、欧州薬局方が推奨する測定方法(EP 5.0 第1巻、01/2005:20916、第2.9.16節、および第2−9−16−2図による装備一式)に従って求めた。正確には、粉末100gを流出口が閉鎖された規格漏斗に注ぐ。この流出口を開くと、クロノメーターが始動し、次いで生成物のフローの終了時(空の漏斗)に停止する。フローの測定値は秒の単位で与えられる。
【0076】
本発明による結晶化マルチトール粉末の空気混和および圧縮密度と、圧縮率の値とは、会社HOSOKAWAによって市販されているPTE式POWDER TESTER装置を用いて、その製造業者の手引書に従って求めた。
【0077】
この装置は、具体的には空気混和かさ密度および圧縮かさ密度を測定することによって、標準化された再現性のある条件下での粉末の流動性の測定と、次いで以下の式を用いた、それらのデータからの圧縮率の値の計算とを可能にする。
【数1】

【0078】
したがって本発明による結晶化マルチトール粉末は、まずその圧縮密度およびその空気混和密度によって特徴づけられ、その測定は前述のようにPTE式POWDER TESTER装置により、上述のPOWDER TESTERの操作手引書中で推奨されている方法(圧縮密度の測定については180回の振動に初期設定)に従って行われる。
【0079】
これらの条件下で本発明による結晶化マルチトール粉末は、0.85g/mlを超える、好ましくは0.88〜1.00g/mlの空気混和密度と、0.97g/mlを超える、好ましくは0.98〜1.05g/mlの圧縮密度とを有する。
【0080】
圧縮率の値はまた、本発明による結晶化マルチトール粉末の特定の特性を特徴づけるためのきわめて重要な要素である。
【0081】
HOSOKAWAのPTE装置の操作手引書によれば圧縮率の値が約20%である場合、その粉末は自由に流動せず、ホッパー内でアーチを形成する傾向がある。40〜50%の特定の圧縮率の値の場合、いったん材料がホッパーに供給されると、そこからその材料を放出することが実質上不可能になる。
【0082】
本発明による結晶化マルチトール粉末は、17%未満、好ましくは10%未満、さらに一層好ましくは5%未満の圧縮率の値を有し、これは以下で例証するように、より高い比率の細粒を含む他の結晶化マルチトール粉末とは違って、まったく驚くべきフローに対応する。
【0083】
これらの密度、流動性、および平均径のパラメーターは、本発明による結晶化マルチトール粉末を、それが振り向けられる用途に特に適したものにする。
【0084】
本発明による結晶化マルチトール粉末の第一の系統は、200〜350μmの算術平均径D4,3に対して、体積を基準にして、200μm未満のサイズの粒子を20%未満、好ましくは15%未満含む粒度分布を有する。
【0085】
本発明による結晶化マルチトール粉末の第二の系統は、450〜600μmの算術平均径D4,3に対して、体積を基準にして、200μm未満のサイズの粒子を10%未満、好ましくは5%未満含む粒度分布を有する。
【0086】
本発明による結晶化マルチトール粉末は、それらのサイズおよび重量によりマルチトール結晶を分離する技術、とりわけ、最大マルチトール結晶分の抽出を可能にする方法を用いて得ることができる。
【0087】
この結果を得るために本出願人の会社は、固定式分離機、より普通には当業者によりジグザグセパレータと呼ばれる分離機の使用を推奨する(米国特許第1,861,248号明細書の教示参照)。
【0088】
ジグザグセパレータにおける分離は、空気式比重分離である。これは、分離ゾーンにおいて固体粒子が重力と空気流の流体抵抗とに曝されるために、落下の間の挙動に応じて固体粒子が分離される分離法である。この分離は、実際には分離ゾーン中での同一でない粒子の軌道の差に基づく。
【0089】
本発明による方法では、同じ空気をすべての段階に対して使用し、軽い粒子を上昇流中で、また粗粒を空気の下降流中で分離し、その両方を繰り返すことが可能な、数段階を有するジグザグセパレータが選択される。
【0090】
分離機は、ジグザグのチャンネルを作り出すように固定角を付けた複数の区画を組み立てることによって構築される。チャンネルは長方形断面を有する。したがってその特定の幾何形状および空気流の方向が、空気の上昇流に流されていく軽い粒子の流れと、各区画の壁の最低部に沿って下降する重い粒子の流れとの2つの異なる粒子流を生じさせる。
【0091】
したがって各段階においてこれら2つの流れの粒子は、新たな分離にかけられる。この後、粒子は元の粒子の流れの中でそれらの運動を続けるか、または反対方向の流れに送り込まれる。
【0092】
分離機の性能は、一方では各段階における粒子の挙動によって、また他方では段階間の相互作用によって決まる。
【0093】
本発明による方法では、その使用されるジグザグセパレータにより、結晶化マルチトール粉末を2つの画分(細かいおよび粗い)に分離することが可能になる。
【0094】
これを行うには、空気の上昇噴流(一次空気)をジグザグセパレータに回し、そのスピードによりカットオフ径の特徴づけが可能になる。
【0095】
カットオフ径よりも大きな径を有する粒子は、その流れにもかかわらず落下し、一方、その他の粒子は上昇する空気に流されていく。
【0096】
したがって本発明による結晶化マルチトール粉末の調製方法は、例えば
a)120度の傾斜をもつ数段階からなるチャンネルを有するジグザグセパレータに、算術平均径が180〜230μmであり、体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末を供給するステップと、
b)体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、さらに一層好ましくは5%未満、
− 100μm未満のサイズの粒子6%未満、
− 40μm未満のサイズの粒子2%未満
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末分を回収するように一次空気の流量を制御するステップと
を含むことができる。
【0097】
本発明による方法の第一の好ましい実施形態によれば本発明による結晶化マルチトール粉末の調製方法は、次に
a)120度の傾斜をもち、2〜3cmの幅、4〜5cmの長さ、および4cmの厚さを有する7段階からなるチャンネルを有するジグザグセパレータに、算術平均径が180〜230μmであり、体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末を、400〜600g/分の流量で供給するステップと、
b)一次空気の流量を2〜5m/時の値に固定するステップと、
c)200〜350μmの算術平均径に対して、体積を基準にして200μm未満のサイズの粒子が20%未満、好ましくは15%未満の粒度分布を有する粉末分を回収するステップと
を含む。
【0098】
本発明による方法の第二の好ましい実施形態によれば、本発明による結晶化マルチトール粉末の調製方法は、次に
a)120度の傾斜をもち、2〜3cmの幅、4〜5cmの長さ、および4cmの厚さを有する7段階からなるチャンネルを有するジグザグセパレータに、算術平均径が180〜230μmであり、体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末を、450〜550g/分の流量で供給するステップと、
b)一次空気の流量を40〜50m/時の値に固定するステップと、
c)算術平均径が450〜600μmであり、体積を基準にして200μm未満のサイズの粒子が10%未満、好ましくは5%未満の粒度分布を有する粉末分を回収するステップと
を含む。
【0099】
本発明による結晶化マルチトール粉末は、有利には食品産業、例えばチョコレートおよび卓上甘味料の分野で使用することができる。
【0100】
下記に例示するように、チョコレートの分野では本発明による結晶化マルチトール粉末中に細粒がほぼ存在しない場合、混合の後に得られる塊のより良好な流動性と、微粒化のステップへのより良好な移行とが、こうして製造されるチョコレートの最終レオロジーに影響を与えることなく可能になる。
【0101】
しかしながら任意の他の目的、例えば
− ベーキング(ドーナツなどのねり菓子のトッピングに関して、また流動性に関しては、より具体的には様々なベーカリー/ケーキショップの用途での計量分配および混合システムにおいて、工業ベーカリー(計量分配の容易さ)において、または工業規模でのねり菓子製造において、また粒径に関しては、氷砂糖(例えば、高脂肪増量剤中の)の代用品として)、
− 糖菓製品(砂糖漬け果物、ガム、ゼリー状製品、ボンボン)のキャンデー掛け、
− チューインガム(チューインガムの中心への粗いカリカリした結晶の挿入)、
− フォンダン、
− 医薬品サシェ、
− インスタント調理品、
− 香味料用キャリア、
− 強力甘味料用キャリア、
− シリアルおよび朝食用シリアル(砂糖をからめた)、および
− 砂糖の付加されないソース中
の分野でのその使用を妨げるものは何もない。
【0102】
より具体的には、450〜600μmの平均径のマルチトール粒子を有する本発明によるマルチトール粉末は、ドライベーキング混合物を必要とする用途用に、アイスクリームの調製用に、粉末飲料用に、ねり菓子のトッピング用に、また糖菓製品用に選択することができるはずである。
【0103】
それはまた、有利には口腔内でカリカリした質感を与えるために使用することができる。
【0104】
本発明は、以下の実施例の助けにより、さらによく理解されるはずである。これらの実施例は、制限的なものではなく、単に本発明による結晶化マルチトール粉末の幾つかの実施形態および幾つかの有利な特性を列挙するに過ぎない。
【実施例】
【0105】
実施例1
MALTISORB(登録商標)P200を、120度の傾斜をもち、各段階において幅2cm、長さ4cm、および厚さ4cmを有する7段階を備えたHOSOKAWA MULTIPLEX ZIGZAG CLASSIFIER 1−40分離機の供給ホッパーに導入する。
【0106】
それぞれ
− 200〜350μmの平均径のマルチトール粒子(生成物「A」)、
− 450〜600μmの平均径のマルチトール粒子(生成物「B」)
を有する2種類の限定された結晶化マルチトール粉末を得るために2回の分離操作を行う。
【0107】
このために、とりわけ一次空気の流量を適合させる。
【0108】
上昇空気のスピードが、最初の混合物のカットオフ径を事実上定める。
【0109】
したがって同じ結晶化マルチトール粉末(この場合ここではMALTISORB(登録商標)P200)から出発する場合、
− 3.4m/時程度の値を有する一次空気流量の使用は、「限定された」結晶化マルチトール粉末(100μm未満のサイズの粒子を6%程度、および40μm未満のサイズの粒子を2%程度有する)を得ることを可能にし、また
− 45m/時(すなわち13倍の高流量)程度の値を有する一次空気流量の使用は、100μmおよび40μmの細粒の比率をさらに下げる(それぞれ2.1%および0.7%まで)ことを可能にするが、とりわけ200μm未満のサイズの粒子の比率を際立った程度まで下げる(19.6%から5.4%へ)ことを可能にする。
【0110】
操作条件を以下の表1に提示する。
【0111】
【表1】

【0112】
これら流量、空気混和密度および圧縮密度、ならびに圧縮率の測定は、前述の方法を用いて行った。
【0113】
生成物「A」は、5秒のフロー値を有し、またさらに
− 0.885g/mlの空気混和密度、
− 1.025g/mlの圧縮密度、および
− 13.655%の圧縮率
を有する。
【0114】
生成物「B」は、7秒のフロー値を有し、またさらに
− 0.96g/mlの空気混和密度、
− 0.98g/mlの圧縮密度、および
− 2.04%の圧縮率
を有する。
【0115】
実施例2
チョコレート中のマルチトールの粒度分布は、本発明による2種類の結晶化マルチトール粉末(実施例1の生成物「A」および生成物「B」)を用いて製造されたチョコレートを、一方ではスクロース(TEREOSから入手したざらめ糖n1−600)を用いて調製したものと比較することによって、またもう一方では180〜230μmの算術平均径D4,3を有し、かつ体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、および
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
の粒度分布を有するこの用途に対して推奨されている従来技術の結晶化マルチトール粉末、例えば本出願人の会社によって市販されているMALTISORB(登録商標)P 200を用いて調製されたものと比較することによって、測定される。
【0116】
チョコレートの製造のために使用された配合表を以下の表2に提示する。
【0117】
【表2】

【0118】
この組成はすべての試験について同一であり、甘味料のみが異なる。
【0119】
混合は、遊星形ミキサー中またはドウミキサー中で、また微粒化は、三シリンダグラインダー上で行う。
【0120】
ロール間の圧力は、
− 一回目の通過:20〜30バール、
− 二回目の通過:35〜45バール、
− 三回目の通過:55〜60バール
である。
【0121】
混合/微粒化のステップにおける組成を以下の表3に示す。
【0122】
【表3】

【0123】
コンチングは、60℃において14時間行う。
【0124】
コンチング段階における組成を以下の表4に示す。
【0125】
【表4】

【0126】
結晶化マルチトール粉末およびざらめ糖600は、チョコレートに使用する前にレーザ粒度分析によって特徴を調べた。粒径測定は、BECKMANN COULTER LS 230レーザ粒度計を用いて行った。
【0127】
【表5】

【0128】
これらの結果は、MALTISORB(登録商標)P 200と本発明によるマルチトール粉末の間の非常に異なる粒度分布をはっきり示している。本発明によるマルチトール粉末、特に生成物「B」の粒度分布は、MALTISORB(登録商標)P 200よりもスクロースの粒度分布に近い。
【0129】
粒度分布の測定はまた、MALTISORB(登録商標)P 200、本発明による結晶化マルチトール粉末、およびスクロースの間の違いが、微粒化およびコンチングの後に存続するかどうかを判定するためにチョコレート(完成品)についても行った。
【0130】
チョコレート中のマルチトール粉末のサイズは、当業者に知られている任意の方法によっても求められ、例えば、それは粉々にしたチョコレートをプロパノール2中に分散させること、次いでLS 230型BECKMAN COULTERレーザ回折粒度計中で、その流体の性質をプロパノール2のものであると選定すること、および製造業者の手引書に従って適合光学モデルを使用することによって判定することができる。
【0131】
以下の表6に、得られた結果を要約する。
【0132】
【表6】

【0133】
チョコレートにおける本発明による結晶化マルチトール粉末の使用は、コンチングの後、MALTISORB(登録商標)P 200およびスクロースで得られるものにかなり近い粒度分布を与える。
【0134】
この結果は、本発明による結晶化マルチトール粉末の微粒化が、MALTISORB(登録商標)P 200およびスクロースの微粒化と同じほどに効果的であることを示している。
【0135】
混合の後、微粒化の前の、試験されるそれぞれの結晶化マルチトール粉末の粒度分布に応じたチョコレート塊のレオロジー的挙動を次に検討することにする。
【0136】
チョコレート塊は工程のこのステップでは流れない(ペーストが粘稠すぎる)ので、測定はペネトロメトリーによって行った。
【0137】
本発明による2種類の結晶化マルチトール粉末で製造したチョコレート塊のINSTRONの圧入力を、対照としてMALTISORB(登録商標)P 200およびスクロースで製造したチョコレートと共に測定する。
【0138】
測定は、直径10mmの球形穿孔機を用いて、100Nセルを有する4502型INSTRON硬度計で行う。動程は20mmに設定され、また移動速度は10mm/分である。
【0139】
チョコレート塊を温度50℃に保管し、測定はこの温度で行った。
【0140】
力は10mmの圧入において測定した。
【0141】
以下の表7はその得られた結果を示し、それらは本発明による結晶化マルチトール粉末から調製したチョコレート塊が、MALTISORB(登録商標)P 200から調製したものよりもずっと小さな圧入抵抗を有することを示しており、これはミキサーから微粒化区画へのより良好なフローを示す。
【0142】
【表7】

【0143】
本発明による結晶化マルチトール粉末から調製したチョコレート塊は、実際により動きやすく、こうして調製されるチョコレート塊の粘度に及ぼす細粒の不在の影響をはっきり裏付ける。本発明の結晶化マルチトールから製造されるチョコレートの圧入力は、スクロースで製造したチョコレートのものにより近くなる。
【0144】
要するにこれらの結果は、混合後のチョコレートのレオロジーは、その結晶化マルチトール粉末の粒度分布に影響されることを示している。
【0145】
したがって本発明によるこれらのものは、MALTISORB(登録商標)P 200に基づくペーストよりも軟らかく、スクロースに基づくペーストに近いものを得ることを可能にする。
【0146】
したがってこれらのペーストは、ミキサーから引き出してその工程のもっと後の段階(微粒化、コンチング)にそれらを移動させることがより容易であるはずである。
【0147】
この結果はまた、コンチング時に、より多量の遊離脂肪を加えることで流し込みのステップでより大きな流動性が得られるように、混合の間には、より少量の脂肪を使用する可能性(それは、MALTISORB(登録商標)P 200から調製される製品と同じ質感を可能にする)を示している。
【0148】
この技術的利点は、チョコレートの製造工程の間での各成分のより良い使い方を可能にする。
【0149】
本発明による結晶化マルチトール粉末は、得られる最終の質感を変更させることなく、チョコレートの製造工程の最初の各ステップを容易にする。
【0150】
したがって表8は、チョコレート上で最終的に測定されるレオロジー特性(コンチング後)を示す。
【0151】
【表8】

【0152】
どの甘味剤が使用されようと、ここで観察された違いは顕著ではなく、製造されたチョコレートの品質が保たれることを実証している。
【0153】
実施例3
卓上甘味料を製造するために、実施例1の結晶化マルチトール粉末(生成物「B」)960gを、Aeromatic−Fielder AG STREA−1型実験用流動空気床造粒乾燥機の槽中に導入する。
【0154】
ここで対照として使用されるMALTISORB(登録商標)P 200に関して同じプロセスを続ける。
【0155】
100gの水を用いて40gのNUTRIOSE(登録商標)FB06および2.2gのスクラロースの溶液を調製する。
【0156】
MALTISORB(登録商標)P 200の流動化空気と同様に生成物「B」の流動化空気を60℃に加熱する。
【0157】
調製された溶液を、槽の上部に位置決めされたノズルを用いて300ml/時の流量で噴霧する。
【0158】
噴霧に続いて60℃で30分間乾燥する。
【0159】
得られた結果を以下の表9に示す。
【0160】
【表9】

【0161】
これら調製物の密度の値は、MALTISORB(登録商標)P 200(空気混和密度に関して約0.60g/ml)と比較して、本発明による結晶化マルチトール粉末の場合は高いまま存続する(>0.75g/ml)ので有利なことが分かる。
【0162】
圧縮率の違いもまた観測され、本発明による結晶化マルチトール粉末に基づく調製物の場合にはそれほど堅く固まらず、それはこの調製物をずっと流動的にし、かつ扱いやすくする。
【0163】
製造作業に関しては、その混合物がMALTISORB(登録商標)P 200の場合よりも均質であるので、NUTRIOSE(登録商標)FB06を用いた本発明による結晶化マルチトール粉末の造粒の工程の間に、流動空気床造粒機中で流動化が促進されることが分かる。
【0164】
さらに、フィルターおよび設備の壁にくっつく細粒が原因の材料の損失がより少ないので、明らかによりすぐれた生産性が観測される。
【0165】
最後に、MALTISORB(登録商標)P 200から製造された卓上甘味料の外観は顆粒のものに近く、一方、本発明によるマルチトール粉末から調製された卓上甘味料の外観はむしろ単結晶のもの(大きなスクロースの結晶に全体として似た外観)である。
【0166】
したがって本発明によるマルチトール粉末から調製された卓上甘味料の視覚的感覚は明らかによりすぐれており、それは消費者による強力甘味料の感覚、すなわちエンドユーザーに強力甘味料を使用していることを忘れさせる感覚という主要目的の一つを得ることを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
99.5重量%を超える、好ましくは99.7重量%以上の、より好ましくは99.8重量%を超えるマルチトール含量を有する結晶化マルチトール粉末であって、
− 体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子を20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、さらに一層好ましくは5%未満と、
− 100μm未満のサイズの粒子を6%未満と、
− 40μm未満のサイズの粒子を2%未満と
を有する、レーザ粒度分析によって測定される粒度分布、
− 10秒以下、好ましくは5秒以下の流動値、および
− 0.85g/mlを超える、好ましくは0.88〜1.00g/mlの空気混和密度と、0.97g/mlを超える、好ましくは0.98〜1.05g/mlの圧縮密度と、17%未満、好ましくは10%未満、さらに一層好ましくは5%未満の圧縮率
を特徴とする、結晶化マルチトール粉末。
【請求項2】
200〜350μmの算術平均径D4,3に対して、体積を基準にして、200μm未満のサイズの粒子を20%未満、好ましくは15%未満含む粒度分布を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶化マルチトール粉末。
【請求項3】
450〜600μmの算術平均径D4,3に対して、体積を基準にして、200μm未満のサイズの粒子を10%未満、好ましくは5%未満含む粒度分布を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶化マルチトール粉末。
【請求項4】
a)120度の傾斜をもつ数段階からなるチャンネルを有するジグザグセパレータに、180〜230μmの算術平均径に対して、体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末を供給するステップと、
b)体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、さらに一層好ましくは5%未満、
− 100μm未満のサイズの粒子が6%未満、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%未満
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末画分を回収するように一次空気の流量を制御するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
a)120度の傾斜をもち、2〜3cmの幅、4〜5cmの長さ、および4cmの厚さを有する7段階からなるチャンネルを有するジグザグセパレータに、180〜230μmの算術平均径に対して、体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末を、400〜600g/分の流量で供給するステップと、
b)前記一次空気の流量を2〜5m/時の値に固定するステップと、
c)200〜350μmの算術平均径に対して、体積を基準にして200μm未満のサイズの粒子が20%未満、好ましくは15%未満の粒度分布を有する前記粉末の前記画分を回収するステップと
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
a)120度の傾斜をもち、2〜3cmの幅、4〜5cmの長さ、および4cmの厚さを有する7段階からなるチャンネルを有するジグザグセパレータに、180〜230μmの算術平均径に対して、体積を基準にして
− 200μm未満のサイズの粒子が20%超、
− 100μm未満のサイズの粒子が7%超、
− 40μm未満のサイズの粒子が2%超
の粒度分布を有する結晶化マルチトール粉末を、450〜550g/分の流量で供給するステップと、
b)前記一次空気の流量を40〜50m/時の値に固定するステップと、
c)450〜600μmの算術平均径に対して、体積を基準にして200μm未満のサイズの粒子が10%未満、好ましくは5%未満の粒度分布を有する前記粉末の前記画分を回収するステップと
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項による前記マルチトール粉末、または請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法により得られる前記マルチトール粉末の医薬および食品分野における使用。
【請求項8】
チョコレート、卓上甘味料の配合における、ベーキング、糖菓製品(砂糖漬け果物、ガム、ゼリー状製品、ボンボン)のキャンデー掛け、チューインガム、フォンダン、医薬品サシェ、インスタント調理品、香味料用キャリア、強力甘味料用キャリア、シリアルおよび朝食用シリアルの分野における、ならびに砂糖の付加されないソースにおける、請求項7に記載の使用。

【公表番号】特表2011−514889(P2011−514889A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547231(P2010−547231)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050276
【国際公開番号】WO2009/112740
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(592097428)ロケット・フルーレ (58)
【Fターム(参考)】