説明

粗面化装置および粗面化方法

【課題】秒単位で起こる粉粒体の供給量の斑を防止し、非常に高い精度で粉粒体供給量を制御できる粗面化装置および粗面化方法を提供すること。
【解決手段】本発明の粗面化装置は、粗面化に使用する粉粒体を所定量づつ供給する粉粒体定量供給装置が、粉粒体を収容する貯留タンク2と、一端側で貯留タンクから粉粒体を受け容れ、受け容れた粉粒体を、内部に配置されたスクリューコンベア8によって他端に設けられた供給口20に向けて搬送する搬送手段4と、搬送手段の他端側であって供給口よりも上流側に形成された空間部からなる充填室18と、充填室と供給口との間に設けられ、粉粒体が通過する開口を形成する規制板16と、を備え、規制板による開口の開口率(S2/S1)が0.01%〜9.5%である(ここで、S1は充填室の搬送方向に直交する方向の断面積から軸の断面積を差し引いた面積、S2は規制板による開口部の面積である。)ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、粗面化装置および粗面化方法に関し、詳細には、エッジライト方式面光源で使用される導光体等の粗面化に適した粗面化装置および該装置を使用した導光体等の粗面化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、装置のコンパクト化を図ることができるなどの理由から、板状の導光体の一端面に光源からの光を入射させて導光体内を伝搬させ、表面から出射させる所謂エッジライト方式の面光源が、近年、多用されてきている。
【0003】
近年、ノートパソコンでは、マルチメディア視聴の機会が増加し、このような用途では、液晶表示装置に対する高解像度化、低消費電力化が求められている。さらに、ノートパソコンでは、携帯性を考慮し、軽量化、薄型化、低消費電力化の需要が高まっている。
この結果、ノートパソコンに使用される液晶表示装置用の面光源に対して輝度性能の向上、薄型化、低消費電力化が求められている。
【0004】
一方、このような液晶表示装置に用いられる面光源用の導光体は、製造時に導光体の表面または裏面をブラスト装置(粗面化装置)で粗面化し、輝度の調整(均一化)を図っている。
【0005】
このような用途で使用される粗面化装置(ブラスト装置)は、スクリューコンベアを利用した粉粒体定量供給装置で粉粒体を搬送する構成を備えている。
しかしながら、粉粒体は、粉粒体間に存在する気体の量によって、嵩密度が変動するため、スクリューコンベアを利用した粉粒体定量供給装置では、所定時間あたりの供給量を一定に保つことが難しかった。
【0006】
また、スクリューコンベアを利用した粉粒体定量供給装置では、スクリューピッチによる送り斑が発生し、粉粒体を斑無く送り出すことが難しかった。
この結果、スクリューコンベアを利用した粉粒体定量供給装置を用いた粗面化装置では、均一且つ高精度な粗面を形成することが困難となっていた。
【0007】
このため、ブラスト装置内に設けられたスクリューコンベアを利用した粉粒体定量供給装置の下流側に、10%〜70%の開口率を有する規制板を設けることで、スクリューコンベアが搬送した粉粒体を一旦、充填室に滞留させ、その後、被加工物側に粉粒体を供給する構成とし、毎分あたりの粉粒体の供給精度を向上させ、精密な粗面化加工を可能とする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−176701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したように、液晶表示装置用の面光源に輝度性能の向上、薄型化、低消費電力化が求められているため、このような面光源に使用される導光体の表面の粗面化にも、より高い精度が求められている。
【0010】
この結果、導光体の表面を粗面化する粗面化装置に対して粉粒体の供給精度の向上が要求され、スクリューコンベアを利用した粉粒体定量供給装置における粉粒体の供給精度も、他の用途における分単位の供給量管理から、秒単位の供給量管理とし、精度を向上させることが望まれている。
即ち、一般的な粗面化では、ブラスト装置内での秒単位の粉粒体の供給量の斑が問題を引き起こすことは希であるが、導光体等の光学製品の粗面化では、一般的な用途では問題とならないような微少な粉粒体の供給斑が、最終製品上で視認される瑕疵となることがあるため、光学製品の粗面化では粉粒体の供給精度の更なる向上が望まれている。
【0011】
また、高精度な粗面化が要求される他の用途においても、ブラスト装置の粉粒体定量供給装置において粉粒体を高い精度で供給することができる構成が求められている。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、秒単位で起こる粉粒体の供給量の斑を防止し、非常に高い精度で粉粒体供給量を制御できる粗面化装置および粗面化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、
粗面化装置であって、
粗面化に使用する粉粒体を所定量づつ供給する粉粒体定量供給装置を備え、
該粉粒体定量供給装置が、
前記粉粒体を収容する貯留タンクと、
一端側で前記貯留タンクから粉粒体を受け容れ、前記受け容れた粉粒体を、内部に配置されたスクリューコンベアによって他端に設けられた供給口に向けて搬送する搬送手段と、
該搬送手段の他端側であって前記供給口よりも上流側に形成された空間部からなる充填室と、
該充填室と前記供給口との間に設けられた規制板であって、前記粉粒体が通過する開口を形成する規制板と、を備え、
前記規制板による開口の開口率(S2/S1)が0.01%〜9.5%である、
(ここで、S1は充填室の搬送方向に直交する方向の断面積から軸の断面積を差し引いた面積、S2は規制板による開口部の面積をS2である。)、
ことを特徴とする粗面化装置が提供される。
【0014】
このような構成によれば、秒単位で起こる粉粒体の供給量の斑を防止し、非常に高い精度で粉粒体供給量が制御されるため、均一度が高い粗面化が可能となる。
【0015】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記開口の幅が、前記粉粒体の最大径の2〜10倍である。
【0016】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記充填室の搬送方向に直交する方向の断面が、略円形の断面形状を有し、
前記規制板が、略円形の板形状を有し、前記充填室の前記断面形状に対し同心状に配置されている。
【0017】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記規制板が、前記搬送手段の一端側に向かって先細りする截頭円錐形状を有している。
【0018】
本発明の他の態様によれば、
粗面化に使用する粉粒体を所定量づつ供給する粉粒体定量供給装置を使用した粗面化方法であって、
該粉粒体定量供給装置であって、前記粉粒体を収容する貯留タンクと、一端側で前記貯留タンクから粉粒体を受け容れ、前記受け容れた粉粒体を、内部に配置されたスクリューコンベアによって他端に設けられた供給口に向けて搬送する搬送手段と、該搬送手段の他端側であって前記供給口よりも上流側に形成された空間部からなる充填室と、該充填室と前記供給口との間に設けられた規制板であって、前記粉粒体が通過する開口を形成する規制板と、を備え、前記規制板による開口の開口率(S2/S1)が0.01%〜8%である粉粒体定量供給装置から供給された粉粒体で粗面化するステップを備えている、
(ここで、S1は充填室の搬送方向に直交する方向の断面積から軸の断面積を差し引いた面積、S2は規制板による開口部の面積である。)
ことを特徴とする粗面化方法が提供される。
【0019】
このような粗面化方法によって加工された面光源用導光体等のワークは、例えば、携帯用ノートパソコン等のモニターや液晶テレビやビデオ一体型液晶テレビ等の表示部として使用される液晶表示装置のバックライトに、或いは、携帯電話機などの携帯型電子機器のディスプレイパネルや各種機器のインジケータとして使用される比較的小型の液晶表示装置のバックライトに、或いは、駅や公共施設などにおける案内表示板や看板として使用される液晶表示装置のバックライトに、或いは、高速道路や一般道路における交通標識等の標示装置として使用される液晶表示装置のバックライトに、好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、秒単位で起こる粉粒体の供給量の斑を防止し、非常に高い精度で粉粒体供給量を制御できる粗面化装置および粗面化方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好ましい実施形態の粗面化装置に組み込まれる粉粒体定量供給装置1の概略的な構成を示す一部分を破断した模式的な図面である。
【図2】ケーシングの他端側部分を模式的に示す一部分を破断した拡大図である。
【図3】規制板の正面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態の粗面化装置の概略的な構成を示す模式的な図面である。
【図5】本発明の好ましい実施形態の粗面化装置に組み込まれる粉粒体定量供給装置な構成を示す図2と同様の模式的な図面である。
【図6】10g/minにおける1秒あたりの供給量の変動図である。
【図7】実施例のブラスト加工を説明する図面である。
【図8】実施例1でSUS板に施したブラスト加工品を示す図面である。
【図9】実施例1でSUS板に施したブラスト加工品を示す図面である。
【図10】比較例1でSUS板に施したブラスト加工品を示す図面である。
【図11】比較例1でSUS板に施したブラスト加工品を示す図面である。
【図12】比較例2でSUS板に施したブラスト加工品を示す図面である。
【図13】比較例2でSUS板に施したブラスト加工品を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の粗面化装置について説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態の粗面化装置に組み込まれる粉粒体定量供給装置1の概略的な構成を示す模式的な図面である。
【0023】
粉粒体定量供給装置1は、貯留タンク2に貯蔵された粉粒体を、下流側に設けられた粗面化装置に、粉粒体を所定量ずつ供給する装置であり、当該粗面化装置は、液晶表示装置等の面光源に組み込まれる導光板等の表面を粗面化する装置である。
【0024】
図1に示されているように、粉粒体定量供給装置1は、粉粒体を貯蔵するホッパー状の貯留タンク2と、粉粒体の搬送経路を規定し搬送手段を構成する中空円筒状のケーシング4を備えている。貯留タンク2の下端に設けられた開口(図示せず)が、ケーシング4の一端側に設けられた取入口6に接続され、貯留タンク2内の粉粒体が、ケーシング4の内部空間の一端側に順次、供給されるように構成されている。
【0025】
ケーシング4内にはスクリューコンベア8が配置されている。スクリューコンベア8は、図1に模式的に示すように、ケーシング4の内部空間を長手方向に延びるように配置されている。
【0026】
スクリューコンベア8は、公知のスクリューコンベアと同一の構成を有し、ケーシング4の一端側外方部分に配置されたモータ10によって回転駆動される。詳細には、スクリューコンベア8はモータ10の出力軸14の周囲に取付けられ、出力軸14はケーシング4の他端側まで延び他端側で軸受け12によって支持されている。スクリューコンベア8は、貯留タンク2からケーシング4の内部空間の一端側に供給された粉粒体を、モータ10の回転速度に応じて、貯留タンク2からケーシング4の内部空間の他端側に順次、搬送するように構成されている。
【0027】
本記実施形態では粉粒体として、平均粒子径が80μm、最大粒径105μm、かさ密度が1.42g/cm3のガラスビーズ研削材が使用されるが、アルミナ系、セラミック系、樹脂系の研磨材等も使用可能である。
【0028】
図2は、このケーシング4の他端側部分を模式的に示す拡大図である。図2等に示されているように、ケーシング4の内部空間の搬送方向に直交する方向の断面(横断面)は略円形の断面形状を有しており、円形断面の開放した先端部分は、規制板16によって部分的に閉鎖されている。スクリューコンベア8の他端(先端)は、規制板16より貯留タンク2側の位置で終端し、その結果、スクリューコンベア8の他端(先端)と規制板16との間に、スクリューコンベア8のスクリュー部分が配置されていない空間である充填室18が形成されている。
さらに、図1および図2に示されているように、規制板16で部分的に閉鎖されているケーシング4の先端部分には、下方に向かって開口した供給口20に接続されている。
【0029】
規制板16は、図3に示されているように、ドーナツ形状を有する板部材であり、その外径は、ケーシング4の内部空間の円形断面の開放した先端部分の内径より小さく設定されている。また、ドーナツ形状の規制板16は、中央開口16aにモータ10の出力軸14が挿通されることにより、出力軸14の回転に伴って回転するとともに、ケーシング4の内部空間の円形断面の開放した先端部分を部分的に閉鎖するように構成されている。
【0030】
したがって、モータ10の出力軸14に取付けられた規制板16と、ケーシング4の内周面との間には、図3に斜線で示すように、ケーシング4の横断面と同心状の環状の開口部22が形成されることになる。開口部22の径方向長さ、すなわち規制板16の外周縁とケーシング4の内周面とのクリアランスは、周方向に一定である。
この結果、スクリューコンベア8によって搬送されてきた粉粒体は、充填室18内で一時的に滞留して所定密度に達し、その後、粉粒体は開口部22を通じて供給口20側に排出される。
【0031】
本実施形態では、モータ10の出力軸14に直交する方向における充填室18の断面積から出力軸14の断面積を差し引いた面積(S1)に対する開口部22の面積(=充填室18の断面積−規制板16の面積)の比率S2/S1を開口率とする。
【0032】
本実施形態においては、上記開口率の範囲は0.01ないし9.5%である。開口率が9.5%以下の場合に、粉粒体の供給精度が良好となり、特に秒単位といった極めて短い時間での供給精度が良好となる傾向にある。また、開口率が0.01%以上の場合に、粉粒体の目詰まりを起こさない傾向にある。開口率の上限値は、9%以下が好ましく、8.5%以下がより好ましい。また、開口率の下限値は、0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
【0033】
また、規制板16の外周縁とケーシング4の内周面とのクリアランス即ち「開口の幅」は、供給される粉粒体の最大粒径(給粉体の最大径)の2倍から10倍に設定するのが好ましく、3倍から7倍に設定するのがより好ましい。
【0034】
具体的には、クリアランスが最大粒径の15倍になるとスクリューコンベアによる供給量の斑が顕著に現れ、1秒間あたりの供給量変動が大きくなる傾向にある。クリアランスが最大粒径の10倍以下になると供給量の斑が減少する。
【0035】
また、クリアランスが、粉粒体の最大粒径より10倍以上になると微少供給の時に規制板下部より大部分の粉粒体は落下し、規制板上部の隙間からの吐出が見られない現象があり供給精度の悪化を招く傾向にある。
また、粉粒体の最大径の2倍未満のクリアランスにすると目詰まりが起こりやすくなりスクリューモータに負担が掛かる場合がある。
【0036】
次に、粉粒体定量供給装置1が組み込まれる本実施形態の粗面化装置30の構成を説明する。図4は、粗面化装置30の構成を模式的に示す図面である。
粗面化装置30は、ブラストノズルに供給される圧縮気体の負圧力により噴射材(粉粒体)を吸引して、その圧縮気体と混合された粉粒体でブラストする吸引式ブラスト加工装置であり、図4に示されているように、粉粒体定量供給装置1から供給された粉粒体がブラストノズル32に送られ、ブラストノズル32に供給される圧縮エアーによって導光板等のワークに吹き付けられるように構成されている。
【0037】
本実施形態の粗面化装置では、粉粒体定量供給装置1の充填室18にスクリューコンベア8により搬送されてきた粉粒体が送り込まれる。上述したように、充填室18の前方側、すなわちケーシング4の開放端は、規制板16によって、部分的に閉鎖されているので、スクリューコンベア8で搬送されてきた粉粒体は、充填室18内に滞留した後、規制板16の外方に位置する環状の開口部22から供給口20に送られることになる。この充填室18における滞留の際、粉粒体は充填室18内で圧縮されて脱気され、かさ密度が所定値まで強制的に高められる。
【0038】
したがって、貯留タンク2内の粉粒体間における気体の混入によるかさ密度の変動、およびスクリューコンベア8のスクリューピッチによる送りムラ等に影響されることなく、粉粒体が高い供給精度で一定量ずつ供給口20に送られ、粗面化加工に使用されるため、面光源装置用導光体等に斑のない粗面化加工を施すことができる。
【0039】
本発明の上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
上記実施形態で使用される規制板16は、円板状の形状を有し、ケーシング4の開口端を部分的に閉鎖するものであったが、図5で示すように、貯留タンク1方向に向かって先細りした形状の截頭円錐形状を有し充填室内に配置された規制板(規制部材)40であってもよい。また、截頭円錐に代え角錐型、円錐型等の他の形状でもよい。
【実施例】
【0040】
次に、実施例に沿って本発明をさらに説明する。
表1に、用いた規制板の直径と開口率S2/S1の関係を示す。
【表1】

【0041】
[参考例]
搬送手段として、ケーシング径が30mmφであるスクリューコンベア8(モータの出力軸径8mmφ)を用い、1分間ごとの粉粒体の供給量を測定した。
使用した粉粒体は、GB#220:ガラスビーズ(ポッターズバロティーニ社製、平均粒子径80μm、最大粒径105μm、真密度2.52g/cm3、かさ密度1.42g/cm3)である。
尚、粉粒体の供給量は、貯留タンクの取入口、及び規制板の下流側の供給口20が大気圧の状態で行い、供給口20で株式会社エー・アンド・デイ製のウエイング・インジケータ(AD−4401)、ロードセル(LC4101−G600:最小重量単位 0.02g)を用い測定した。
表1に示す規制板直径の異なる規制板を用いて開口率を変化させ、それぞれの開口率における1分間ごとの粉粒体の供給量を測定した。その結果を表2(粉粒体の供給量が10g/minの場合)及び表3(粉粒体の供給量が20g/minの場合)に示す。
なお、供給精度は以下の式により求めたものである。
供給精度(%)=(3σ/μ)×100%
ここで、μは供給量の平均値であり、σは標準偏差である。
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
表4は、表2及び表3の結果を開口率と供給精度との観点からまとめたものである。表4からわかるように、1分間あたりの供給精度を比較した場合、開口率が8.4%、15%、22%で供給精度はほぼ同じであり、差が認められなかった。
【表4】

【0045】
次に、同様の方法で1秒間ごとの粉粒体の供給量をそれぞれ測定し、供給精度を求めた。その結果を表5及に示す。なお、図6には、粉粒体の供給量が10g/minの場合の粉粒体の供給量を示した。
表5からわかるように、1秒間あたりの供給精度の場合には、開口率が8.4%の場合に、開口率が15%や22%に比べて、供給精度が格段に良好となることがわかった。
【0046】
【表5】

【0047】
[実施例1]
図4に示すように、搬送手段として、ケーシング径が30mmφであるスクリューコンベア8(モータの出力軸径8mmφ)及び直径が28.8mmφである規制板を用い、ブラスト装置としては、新東工業社製 吸引式ブラスト加工装置マイクロブラスター(型式:MB1−ML−087)を用いて、SUS板の粗面化加工を行った。
粗面化加工は、図7に示すように、ワークであるSUS基板上にエアー吹き付け圧力0.4MPa、ノズル移動速度20m/min、ブラストノズル32を5mmピッチで規則的に移動させて平面加工を行なった。
使用した粉粒体は、GB#220:ガラスビーズ(ポッターズバロティーニ社製、平均粒子径80μm、最大粒径105μm、真密度2.52g/cm3、かさ密度1.42g/cm3)である。なお、粉粒体の供給量は10g/min、20g/minで行った。
【0048】
粗面化加工したSUS板の表面粗さを、HI−LAND社製 RISA−COLOR/ONEで測定した。結果を図8(粉粒体の供給量:10g/min)及び図9(粉粒体の供給量:20g/min)に示す。なお、図中において、SUS板の一点鎖線部分の表面粗さを上方の方眼部分に示してある。
【0049】
[比較例1]
規制板として、直径が27.8mmφの規制板を用いること以外は、実施例1と同様の方法で、SUS板の粗面化加工を行った。結果を図10(粉粒体の供給量:10g/min)及び図11(粉粒体の供給量:20g/min)に示す。
【0050】
[比較例2]
規制板として、直径が26.7mmφの規制板を用いること以外は、実施例1と同様の方法で、SUS板の粗面化加工を行った。結果を図12(粉粒体の供給量:10g/min)及び図13(粉粒体の供給量:20g/min)に示す。
【0051】
図8、図10及び図12並びに図9、図11及び図13からわかるように、開口率が8.4%の規制板を用いた場合には、開口率が15%や22%の規制板に比べて、粗面化加工後のSUS板の表面粗さの程度、すなわち粗面化加工の均一度が高い。この傾向は、特に、10g/minの供給量の場合に顕著であり、少ない粉体供給量においても、精度の高い粗面化加工が得られている。
【0052】
以上、本実施例に示すように、規制板の開口率を0.01〜9.5%に設定することで開口率10%以上では成し遂げなかった供給精度の向上が見られ、その噴射材の供給精度に起因して起こるブラスト加工ムラの品位向上が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1:粉粒体定量供給装置
2:貯留タンク
4:ケーシング
8:スクリューコンベア
10:モータ
16:規制板
18:充填室
20:供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗面化装置であって、
粗面化に使用する粉粒体を所定量づつ供給する粉粒体定量供給装置を備え、
該粉粒体定量供給装置が、
前記粉粒体を収容する貯留タンクと、
一端側で前記貯留タンクから粉粒体を受け容れ、前記受け容れた粉粒体を、内部に配置されたスクリューコンベアによって他端に設けられた供給口に向けて搬送する搬送手段と、
該搬送手段の他端側であって前記供給口よりも上流側に形成された空間部からなる充填室と、
該充填室と前記供給口との間に設けられ、前記粉粒体が通過する開口を形成する規制板と、を備え、
前記規制板による開口の開口率(S2/S1)が0.01%〜9.5%である、
(ここで、S1は充填室の搬送方向に直交する方向の断面積から軸の断面積を差し引いた面積、S2は規制板による開口部の面積である。)、
ことを特徴とする粗面化装置。
【請求項2】
前記開口の幅が、前記粉粒体の最大径の2〜10倍である、
請求項1に記載の粗面化装置。
【請求項3】
前記充填室の搬送方向に直交する方向の断面が、略円形の断面形状を有し、
前記規制板が、略円形の板形状を有し、前記充填室の前記断面形状に対し同心状に配置されている、
請求項1または2に記載の粗面化装置。
【請求項4】
前記規制板が、前記搬送手段の一端側に向かって先細りする截頭円錐形状を有している、
請求項1または2に記載の粗面化装置。
【請求項5】
粗面化に使用する粉粒体を所定量づつ供給する粉粒体定量供給装置を使用した粗面化方法であって、
該粉粒体定量供給装置であって、前記粉粒体を収容する貯留タンクと、一端側で前記貯留タンクから粉粒体を受け容れ、前記受け容れた粉粒体を、内部に配置されたスクリューコンベアによって他端に設けられた供給口に向けて搬送する搬送手段と、該搬送手段の他端側であって前記供給口よりも上流側に形成された空間部からなる充填室と、該充填室と前記供給口との間に設けられた規制板であって、前記粉粒体が通過する開口を形成する規制板と、を備え、前記規制板による開口率(S2/S1)が0.01%〜8%である粉粒体定量供給装置から供給された粉粒体で粗面化するステップを備えている、
(ここで、S1は充填室の搬送方向に直交する方向の断面積から軸の断面積を差し引いた面積、S2は規制板による開口部の面積である。)、
ことを特徴とする粗面化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−56710(P2012−56710A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201608(P2010−201608)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】