説明

粘弾性フォーカシングに基づく光学的撮像

粒子を調査するために配置された装置であって、少なくとも1つのマイクロチャネルを有するカートリッジと、マイクロチャネル内を流れる粘弾性流体であって、粒子の懸濁液を含み、それにより、流体の流れに平行に少なくとも1次元アレイでの粒子の整列をもたらす、粘弾性流体と、マイクロチャネル内の粒子の画像を生成する光学式拡大手段とを備える装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフルイディクスデバイスに関し、特に、本発明は、マイクロフルイディクスデバイス内で整列した粒子の画像を拡大する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフルイディクス技術は、通常、1ミリメートル未満の少なくとも1次元を有する1つまたは複数のチャネルを有するデバイス、および、通常ナノリットルまたはピコリットル程度の微小量の流体を使用することによって特定される。
【0003】
マイクロフルイディクスは、化学的反応および生物学的反応またはインクジェットノズル作製などの種々の分野で使用される。
【0004】
マイクロフルイディクス技術は、複雑な化学的管理および解析システム全体が、マイクロフルイディクチップ内に作られ、たとえば電子回路および光学検出システムとインタフェースしうる、ラブオンチップ(lab-on-a-chip)などの小型で費用効果的で効率的なシステムを開発することを可能にする。
【0005】
微視的物体を視覚化するためにマイクロフルイディクスを適用することは、たとえば、Yang他に付与された米国出願第2005/0271548号または第2007/207061号に開示され、血球計数器は、たとえば、Lievan他に付与された米国特許第6,097,485号またはLarsenに付与された米国特許第6,959,618号に記載された。Hou−Pu他に付与された米国特許第7,312,085号は、細胞および/またはビーズなどの粒子のマイクロフルイディク操作および/または検出のための装置、方法、およびキットを開示する。
【0006】
マイクロチャネル内に粒子の懸濁液を注入することが、マイクロチャネル内部のフォーカス領域における粒子の濃度を高める(「粘弾性フォーカシング(viscoelastic
focusing)」)ように、粘弾性特性を有する流体を使用する装置および方法は、A.M.Leshansky,A.Bransky、N.Korin、およびU.Dinnar著「Tunabble Nonlinear Viscoelastic「Focusing」」Microfluidic Device,Phys.Rev.Lett.98,234501(2007)およびPCT出願WO2008/149365(この共同発明者(Bransky)は本発明の発明者である)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一部の実施形態のある態様は、粒子が流体の流れに平行に少なくとも1次元で整列するようにマイクロチャネル内に流れる粘弾性流体内に懸濁された粒子の光学的撮像のための方法および装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一部の実施形態では、1つまたは複数のマイクロチャネルが、プラスチックまたはガラス板などのほぼ平面の基材上に形成される。マイクロチャネル内を流れる粘弾性流体内に懸濁された粒子は、マイクロチャネル内で1次元または2次元アレイで整列する。アレイにフォーカシングされた光学対物レンズは、任意選択で適した照明下で、粒子の拡大画像を提供する。画像は、画像取得装置によって取込まれ、その後、手動でかつ/またはコンピュータ化されたプログラムによって解析されてもよい。
【0009】
本発明の一部の実施形態では、マイクロチャネルおよび任意選択で他の構造(以降で「カートリッジ(cartridge)」)を有する基材は、指定された結果を提供する、粒子画像を取得し解析する装置(以降で「リーダ(reader)」)内に取外し可能に設置される。好ましくは、リーダは、任意選択で可搬型デバイスとしてコンパクトに構築される。
【0010】
本発明の一部の実施形態では、カートリッジは、懸濁粒子の整列した流れを生成するために、必要とされる構造および/または機構および/または材料を備える。任意選択でまたは別法として、構造および/または機構および/または材料の一部は、リーダ内にまたは補助アクセサリによって設けられる。
【0011】
好ましくは、カートリッジは使い捨てであり、好ましくは、安価な材料から、かつ/または、連続大量生産プロセスなどの費用効果的プロセスによって経済的に生産される。
【0012】
粘弾性フォーカシング、すなわち、マイクロチャネル内での粘弾性流における秩序のあるアレイでの粒子の整列は、光学的にフォーカシングされた先鋭な画像を得るときに重要な要素であることが強調されるべきである。さらに、粒子の構造および剛性(あるいは屈曲性または柔軟性)ならびに粘弾性流体流内のせん断流の作用に応じて、粒子は、変形し、ある有利な配向で整列する可能性がある。たとえば、通常両凹形状を有する赤血球は、流れ方向に細長くなり、かつ、平坦面を上下にした状態で整列し、種々の配向を有する細胞(その部分はフォーカス外になる)ではなく、一貫性のある細胞形状の先鋭なフォーカシング画像を取込むことを可能にする。粘弾性流およびフォーカシングは、外部場(たとえば、電場または磁場)を用いることなく、単に圧力勾配下で本質的に得られ、粘弾性フォーカシングに関して使用される装置および方法を簡略化しうることもまた留意されるべきである。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲において、以下の用語およびその派生物は、それぞれの非制限的な特徴を意味する。
マイクロチャネル−少なくとも約100μmかまたはそれより大きい長さおよび長さに垂直な丸いまたは長方形断面(その少なくとも1つの寸法は約100μmかまたはそれより小さい)を有する溝またはチューブなどのチャネル。
浅いマイクロチャネル−下にある表面に対して、垂直寸法(「高さ(height)」)より著しく大きい、たとえば5倍以上大きい水平断面寸法(「幅(width)」)を有するマイクロチャネル。
粒子−微視的粒子。通常、約25μmかまたはそれより小さいミーン(mean)最大寸法あるいは約15μmかまたはそれより小さい平均径を有する粒子。粒子は、微粒子、ミクロビーズ、鉱物(たとえば、粘土)、花粉、ミセル、小胞、小器官、または細胞(多細胞生物または細菌などの単一細胞のいずれかの)ならびに生細胞を含む有機起源か、無機起源か、またはその組合せであってよい。
懸濁(粒子)−乳濁液(たとえば、親水性流体内の脂肪性粒子)を排除しない、懸濁液内などで流体を通して分散した粒子。
微細構造−ミリメートル以下、通常100μm以下の領域の少なくとも1つの寸法を有する構造(たとえば、マイクロチャネルまたはその入り口および出口、以下を参照)。
基材−その内部にかつ/またはその上に所定の構造を形成するのに適した、プラスチックまたはガラス板などのほぼ平面の材料。
カートリッジ−1つまたは複数のマイクロチャネルおよびオプションの他の微細構造を用いて形成され、任意選択で、さらなる1つまたは複数の要素および/または機構を備える基材。
対物レンズ−たとえば、手動観察および/または電子取得のために適合するかまたは設計された、1つまたは複数のレンズおよび/またはミラーおよび/またはプリズムを備える光学拡大装置またはシステム。
(波長の)帯域幅−光スペクトル曲線の最大高さの半分の幅。
単色(光)−100nmまたは50nm未満などの狭い帯域幅によって特徴付けられる、1つの色だけを有するか、または、有するように見える。
コンパクトな装置−おそらくは価格および/または性能を犠牲にして、サイズおよび/または重量を低減するために密接してまたは密にパッキングされたコンポーネントを備える装置。
ほぼ平面の−湾曲またはデントまたはハンプなどのそれからの逸脱を排除しない、ほとんど平面の表面を有する。一般に、ほぼ円柱状などの他の特徴に適用されてもよい。
半(semi-)−部分的にまたは不完全にまたは制限することはしないが、エンティティの25%と75%との間の領域内などの、エンティティのある程度まで。
半透明−半透明および/または拡散性(透過光または反射光を散乱させる)。
生物学的(化合物、材料)−生物学的ソースから導出されるか、生物学的プロセスにおいて活性であるかまたは生物学的プロセスに関与するか、あるいは、特徴付けられると生物学的化合物と同様の構造を有する化合物または材料。
固体(光源)−フィラメントまたはガス放電の補助なしで光を発し、通常、前記2つの方式より小さい(電気デバイスではなく)電子デバイス。たとえば、LED、OLED、PLED、あるいは、エレクトロルミネセンスか、(白熱をもたらす温度未満の温度まで、熱の印加によって刺激される)熱ルミネセンスか、または化学ルミネセンスに基づく他のデバイス。
【0014】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、 粒子を調査するために配置された装置が提供され、装置は、
(a)少なくとも1つのマイクロチャネルを有するカートリッジと、
(b)マイクロチャネル内を流れる粘弾性流体であって、粒子の懸濁液を含み、それにより、流体の流れに平行に少なくとも1次元アレイでの粒子の整列をもたらす、粘弾性流体と、
(c)マイクロチャネル内の粒子の画像を生成する光学式拡大対物レンズとを備える。
【0015】
一部の実施形態では、装置は、カートリッジを着脱自在に把持するように構成されたホルダをさらに備える。
【0016】
一部の実施形態では、カートリッジは使い捨てである。
【0017】
一部の実施形態では、カートリッジは日常的に交換可能である。
【0018】
一部の実施形態では、カートリッジは、マイクロチャネル内での粘弾性流体の流れを容易にする少なくとも1つの微細構造をさらに備える。
【0019】
一部の実施形態では、マイクロチャネル内での粘弾性流体の流れは、少なくとも部分的に圧力勾配によって駆動される。
【0020】
一部の実施形態では、マイクロチャネル内での粘弾性流体の流れは、外的に加えられる、電気的力か、磁気的力か、遠心力か、または重力のどれか1つに無関係である。
【0021】
一部の実施形態では、少なくとも1次元アレイは、2次元のほぼ平面のアレイである。
【0022】
一部の実施形態では、粒子は、マイクロチャネル内にアレイで一時停止される(halt)。
【0023】
一部の実施形態では、装置は、マイクロチャネル内に粒子を照明する少なくとも1つの光源をさらに備える。
【0024】
一部の実施形態では、光は単色である。
【0025】
一部の実施形態では、カートリッジからの光源距離は、少なくとも、光学的に、機械的に、または、その組合せとして最少にされる。
【0026】
一部の実施形態では、少なくとも1つの光源は、少なくとも、カートリッジに接続されるかまたはカートリッジ内に構成される。
【0027】
一部の実施形態では、光源は、固体光源を備える。
【0028】
一部の実施形態では、対物レンズは、色収差補正または被写界深度の少なくとも一方を犠牲にして、複雑さ、コスト、サイズ、またはその組合せの少なくとも1つを低減するように構築される。
【0029】
一部の実施形態では、対物レンズは、マイクロチャネル内の粒子アレイに固定的にフォーカシングされる。
【0030】
一部の実施形態では、対物レンズは、少なくとも1つのプラスチック光学要素を備える。
【0031】
一部の実施形態では、粘弾性流体は、溶剤およびマイクロチャネルに流れる流体内の懸濁粒子を整列させるのに十分な粘度および弾性を提供する成分を含む。
【0032】
一部の実施形態では、成分は、約50kDaと1000kDaとの間の分子重量を有するポリマーを含む。
【0033】
一部の実施形態では、粘弾性流体は、懸濁粒子を分散させるための少なくとも1つの成分を含む。
【0034】
一部の実施形態では、粘弾性流体は生体適合性がある。
【0035】
一部の実施形態では、粒子は、生物学的サンプルから取得される。
【0036】
一部の実施形態では、生物学的サンプルは、血液、血漿、リンパ液、尿、脳脊髄液(CSF)、または骨髄(bone marrow)の少なくとも1つを含む。
【0037】
一部の実施形態では、粒子は細胞を含む。
【0038】
一部の実施形態では、細胞は血液細胞を含む。
【0039】
一部の実施形態では、細胞は細菌を含む。
【0040】
一部の実施形態では、細胞は生細胞を含む。
【0041】
一部の実施形態では、粒子は、粒子上に存在する他の化合物または高分子に反応するかまたは結合する化合物または高分子を含む。
【0042】
一部の実施形態では、結合した化合物は生物学的化合物を含む。
【0043】
一部の実施形態では、結合した化合物は、たんぱく質またはDNAまたはRNAの少なくとも1つを含む。
【0044】
一部の実施形態では、結合した化合物は、抗原または抗体の少なくとも一方を含む。
【0045】
一部の実施形態では、粒子上に存在する他の化合物は、生物学的化合物または高分子を含む。
【0046】
一部の実施形態では、粒子は磁気成分を含む。
【0047】
一部の実施形態では、磁気成分は磁気コアを含む。
【0048】
一部の実施形態では、粒子は強磁性成分を含む。
【0049】
一部の実施形態では、装置は、対物レンズによって生成される画像を電子的に取込む装置をさらに備える。
【0050】
一部の実施形態では、装置は、取込まれた画像内の粒子を解析し、定性的または定量的結果の少なくとも一方を提供するために構成されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサをさらに備える。
【0051】
一部の実施形態では、結果は、粒子の形状、粒子のタイプ、生理学的状態の指示、または病理学的状態の指示の少なくとも1つを含む。
【0052】
一部の実施形態では、結果は、粒子計数、粒子濃度、粒子サイズ、粒子サイズ分布、粒子形状、またはその派生物の少なくとも1つを含む。
【0053】
一部の実施形態では、結果は、細胞タイプの確定を含む。細胞タイプについてのさらなる実施形態では、結果は、細胞計数、細胞濃度、細胞サイズ、細胞サイズ分布、細胞形状、細胞形態、またはその派生物の少なくとも1つを含む。
【0054】
一部の実施形態では、結果は、日常的な臨床試験結果のうちの少なくとも1つを含む。
【0055】
一部の実施形態では、結果は、日常的な臨床血液試験結果のうちの少なくとも1つを含む。
【0056】
一部の実施形態では、結果は、生物学的または臨床的意義の少なくとも一方の値または指示の少なくとも一方を含む。
【0057】
一部の実施形態では、結果は、髄膜炎の値または指示の少なくとも一方を含む。
【0058】
一部の実施形態では、結果は、白血病の値または指示の少なくとも一方を含む。
【0059】
一部の実施形態では、結果は、細菌感染の値または指示の少なくとも一方を含む。
【0060】
一部の実施形態では、結果は、胎児の肺の成熟度の値または指示の少なくとも一方を含む。
【0061】
一部の実施形態では、結果を提供することは、機械可読媒体上に結果を格納すること、結果を表示すること、または結果を印刷することの少なくとも1つを含む。
【0062】
一部の実施形態では、装置は、ディスプレイスクリーンをさらに備える。
【0063】
一部の実施形態では、装置は、プリンタをさらに備える。
【0064】
一部の実施形態では、粒子を調査するキットが提供され、キットは、少なくとも1つのマイクロチャネルであって、マイクロチャネル内に流れる粘弾性流体内に懸濁された粒子を、流れに平行に少なくとも1次元アレイで整列させるのに適した、少なくとも1つのマイクロチャネルを持つように形成された少なくとも1つのカートリッジを備える。
【0065】
一部の実施形態では、カートリッジは、マイクロチャネル内で粘弾性流体を流すことを容易にする微細構造をさらに備える。
【0066】
一部の実施形態では、カートリッジは、粘弾性流体または粘弾性流体の成分の少なくとも一方を含む。
【0067】
一部の実施形態では、キットは、粘弾性流体または粘弾性流体の成分の少なくとも一方を含む。
【0068】
一部の実施形態では、粒子の拡大画像を観測すること、または、粒子を解析することの少なくとも一方のための装置を備える。
【0069】
一部の実施形態では、カートリッジは、顕微鏡スライドと互換性がある(compatible)。
【0070】
一部の実施形態では、キットは、オペレーションガイドを備える。
【0071】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、粒子を解析する方法が提供され、方法は、
(a)少なくとも1つのマイクロチャネルを持つように形成された基材を設けること、
(b)マイクロチャネル内で粒子の懸濁液を流し、それにより、流れに平行に少なくとも1次元アレイで粒子を整列させるのに適した粘弾性流体を提供すること、
(c)解析のために粒子を提供すること、
(d)粘弾性流体内で粒子を懸濁させること、
(e)懸濁粒子を有する粘弾性流体をマイクロチャネル内に流すことであって、それにより、粒子が流体の流れに平行に少なくとも1次元アレイで整列する、流すこと、および、
(f)アレイの粒子にフォーカシングされた光学装置によって、マイクロチャネル内の粒子の画像を生成することを含む。
【0072】
本発明の一部の実施形態では、方法は、画像を解析することをさらに含む。
【0073】
本発明の一部の実施形態では、解析することは、
(a)光学装置によって生成される画像を取込むこと、および、
(b)取込まれた画像内の粒子を解析するように構成されたプログラムを、コンピューティングデバイスによって実行することを含む。
【0074】
一部の実施形態では、解析することは、解析の定性的または定量的結果の少なくとも一方を提供することをさらに含む。
【0075】
一部の実施形態では、結果を提供することは、機械可読媒体上に結果を格納すること、結果を表示すること、または結果を印刷することの少なくとも1つを含む。
【0076】
一部の実施形態では、粒子は細胞を含む。
【0077】
一部の実施形態では、粒子は生細胞を含む。
【0078】
一部の実施形態では、粒子は血液細胞を含む。
【0079】
一部の実施形態では、粒子は、他の化合物に反応するかまたは付着する化合物を含む。
【0080】
一部の実施形態では、マイクロチャネル内に粘弾性流体を流すことは、圧力勾配を加えることを含む。
【0081】
一部の実施形態では、粘弾性流体を流すことは、外的に加えられる、電気的力か、磁気的力か、遠心力か、または重力のどれか1つに無関係である。
【0082】
一部の実施形態では、少なくとも1次元アレイは、2次元のほぼ平面のアレイである。
【0083】
一部の実施形態では、粘弾性流体を提供することは、溶剤およびマイクロチャネル内で粒子を整列させるのに十分な粘度および弾性を流体に提供する成分に溶解させることを含む。
【0084】
図面において、2つ以上の図面に現れる、同一のまたは全く同じまたは等価のまたは同様の構造、要素、部分は、一般に、特定の対象物を参照するために、同じ数字で、任意選択で、さらなる1つまたは複数の文字でラベル付けされる。全く同じまたは等価のまたは同様の部分は、繰返して、ラベル付けされない可能性がある、かつ/または、述べられない可能性がある。図に示すコンポーネントおよび特徴部の寸法は、提示の便宜または明確さのために選択され、必ずしも一定比例尺に従って示されていない、すなわち、真の斜視図ではない。便宜または明確さのために、一部の要素および構造は、示されない、単に部分的に示される、かつ/または、異なる斜視図で示される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1A】本発明の例示的な実施形態による、基材上に形成されたカバーされたマイクロチャネルを有するカートリッジの略部分斜視図である。
【図1B】本発明の例示的な実施形態による、マイクロチャネルおよび他の微細構造を持つように形成された基材を有するカートリッジの略平面図である。
【図1C】本発明の例示的な実施形態による、懸濁粒子がマイクロチャネル内を流れている状態のマイクロチャネルの断面の略斜視図である。
【図2A】本発明の例示的な実施形態による、リーダおよびリーダのコンポーネントを概略的に示す図である。
【図2B】本発明の例示的な実施形態による、コンパクトなリーダおよびコンパクトなリーダのコンポーネントを概略的に示す図である。
【図3A】本発明の例示的な実施形態による、マイクロチャネルを有し、マイクロチャネルに対向してLEDを備えるカートリッジを概略的に示す図である。
【図3B】本発明の例示的な実施形態による、マイクロチャネルを有し、カートリッジの側面に配設されたLEDを備えるカートリッジを概略的に示す図である。
【図3C】本発明の例示的な実施形態による、マイクロチャネルを有し、マイクロチャネルの両側でカートリッジのカバー上にLEDを備えるカートリッジを概略的に示す図である。
【図4A】本発明の例示的な実施形態による、複数のカートリッジを備えるキットを概略的に示す図である。
【図4B】本発明の例示的な実施形態による、複数のカートリッジおよび1つまたは複数のシリンジ内に1つまたは複数の流体を備えるキットを概略的に示す図である。
【図4C】本発明の例示的な実施形態による、複数のカートリッジおよび1つまたは複数の容器内に1つまたは複数の流体成分を備えるキットを概略的に示す図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態による、粘弾性流体内で整列した粒子の拡大画像を観測するときのアクションを概説する略フローチャートである。
【図6】本発明の例示的な実施形態による、粘弾性流体内で整列した粒子の拡大画像を取込み解析するアクションの略フローチャートである。
【図7】本発明の例示的な実施形態による、実験Iの場合と同様の、マイクロチャネル内の粘弾性流体の流れ内で整列した血球の(前処理後の)画像を示す図である。
【図8】本発明の例示的な実施形態による、実験IIの場合と同様の、マイクロチャネル内の粘弾性流体の流れ内で整列した血球の(前処理後の)画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下の説明は、本発明の実施形態の1つまたは複数の非制限的な実施例に関する、本発明は、述べる実施形態または図面によって制限されず、種々の方法または構成または変形で実施されてもよい。本明細書で使用される用語は、別途指定されない限り、制限的であるとして理解されるべきでない。
【0087】
本明細書で使用される非制限的な節の見出しは、便宜のためだけに意図され、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきでない。
【0088】
一般的な用語
制限なしで、本明細書および特許請求の範囲において、別途指定されに限り、用語「プロセッサ(processor)」または「コンピュータ(computer)」あるいはその派生物は、提供されるかまたは組み込まれるプログラムを実行することが可能である、かつ/または、データ記憶装置および/または入力および出力ポートなどの他の装置を制御する、かつ/または、それにアクセスすることが可能である装置を指す。
【0089】
制限なしで、本明細書および特許請求の範囲において、別途指定されに限り、用語「ソフトウェア(software)」、「プログラム(program)」、「プロシージャ(procedure)」、あるいは「ソフトウェアモジュール(software module)」(「モジュール(module)」)または「ソフトウェアコード(software code)」は、交換可能に使用され、任意選択でメモリ、入力/出力インタフェース、またはオペレーティングシステムなどの他のハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントを含む、プロセッサなどの装置によってアクセス可能でかつ実行可能な1つまたは複数の命令または指令を指してもよい。
【0090】
本明細書および特許請求の範囲において、別途指定されに限り、用語「好ましい(preferred)」、「好ましくは(preferably)」、「典型的な(typical)」、または「典型的には(typically)」ならびにそれらの語形変化および共役は、本発明または本発明の実施形態の範囲を制限しない。
【0091】
本明細書および特許請求の範囲において、別途指定されに限り、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有している(having)」ならびにそれらの語形変化および共役は、「含むが、それに限定されない(including but not limited to)」を指す。
【0092】
ある範囲の値が引用されるとき、それは、便宜または簡潔さのために過ぎず、全ての考えられるサブ範囲ならびにその範囲内の個々の数値を含む。任意の数値は、別途指定されに限り、実施形態または方法を使用可能にする実用的に近い値も含み、整数値(integral
value)は、分数値を排除しない。
【0093】
概要
典型的な実施形態では、粘弾性流体は、懸濁液を形成する粒子と混合され、カートリッジ内に形成されたマイクロチャネル内を流れ、マイクロチャネル内で、粒子は、ほぼ円柱または平面アレイで流体流内に整列する。カートリッジは、マイクロチャネルが、任意選択で照明され、粒子アレイにフォーカシングされたレンズが粒子画像を拡大するリーダ内に設置される。拡大画像は、カメラによって取得され、カメラは、ある指定された結果を提供するために画像を処理し解析するコンピュータに画像を転送する。
【0094】
上記の簡潔な説明は、制限なして、以下の本発明の一部の実施形態の変形のより詳述する説明および議論に対する枠組みおよび/または参考を提供することを意図される。
【0095】
粘弾性流体
本発明の一部の実施形態では、粘弾性流体は、水などの媒体(たとえば、溶剤)およびマイクロチャネル内で粒子を整列させるのに十分に高い粘度(たとえば、>5cP)および弾性を提供するさらなる成分または物質、たとえば、溶液の弾性を高めるポリアクリルアミド(PAA)を含む。
【0096】
一部の実施形態では、媒体は、上述したポリアクリルアミド(PAA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリスクロール、ポリグルコース(デキストラン)、メチルセルロース、またはキサンタンガムなどの溶解高分子重量(molecular weight)(MV)(たとえば、50〜1000kDa)ポリマーを含む。生体適合性物質を使用することは、抗体をコーティングされるかまたはそれとリンクした(link)生細胞またはビーズなどの生物学的エンティティまたは分子を粒子が含むとき、有利である。
【0097】
一部の場合では、高分子重量ポリマーは、生細胞などの粒子の凝集を引起し(たとえば、図8を参照)、(赤血球の膜の運動など、以下を参照)粒子の挙動に有害な影響を及ぼす可能性がある。有害な影響を緩和するか、低減するか、またはなくすために、(a)尿および/またはレシチンおよび/またはアスピリン(アセチルサリチル酸)を添加すること、(b)広いMW分布を有するポリマーを使用すること、または(c)ポロキサマ(ポリマー界面活性剤)を使用することのうちの1つまたは複数などの、対抗策が使用されてもよい。
【0098】
さらに、高分子重量ポリマーに球状化剤を添加することは、赤血球などの細胞に、通常の両凹円板形状、口状赤血球、棘状赤血球ではなく球形状、または他の形状を取得させる。球状化は、いくつかの点で有利である。第1に、粘弾性フォーカシングのために使用される高分子重量ポリマーによって引起される細胞の凝集を著しく低減させること。第2に、球形状が、粘弾性力によってより効率的にフォーカシングされる。そして第3に、球形状細胞を有することが、(他の形状に比較して)よりよい光学フォーカシングを可能にし、(平坦化されたまたは細長くされた円板などの他の形状と比較して)細胞の径または容積などの、より好都合なおよび/またはより信頼性のある幾何形状派生物を容易にする。いくつかの球状化剤、たとえば、アルキル硫酸のアルカリ金属塩(たとえば、硫酸ドデシルナトリウム)、双性イオン界面活性剤(たとえば、3−(ドデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホン酸(DAPS)またはN30テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホン酸(TDAPS))、または非イオン性界面活性剤(たとえば、オクチルフェノールエトキシレート)が、散乱からの細胞配向雑音を低減するために血球計数器で使用される。
【0099】
一部の場合では、高MVポリマーは、デキストラン>50kDa、PVP>50kDa、メチルセルロース、アルギン酸塩、フィコールまたはPAAを含み、一部の場合では、低MVポリマーは、デキストラン<40kDa、PEG<40kDa、またはPAAを含む。
【0100】
カートリッジ
本発明の典型的な実施形態では、カートリッジは、基材上に1つまたは複数のマイクロチャネルを形成すること、任意選択で、マイクロチャネルに/から流体が入る/出る(exit)構造(それぞれ、入口および出口)、圧力勾配機構、材料混合チャンバ、または圧力弁などのさらなる構造または機構(以降で総称して「微細構造(microstructures)」と呼ぶ)を形成することによって作製される。任意選択で、基材は、リーダまたは別の装置内にカートリッジを保持する、かつ/または、設置する構造および/または機構を持つように形成される。
【0101】
以下の説明では、マイクロチャネルまたは別の微細構造に対する参照は、制限なしで、複数のこうした構造を意味する。
【0102】
典型的な実施形態では、基材は、センチメートルのオーダーの長さおよび幅ならびにミリメートルのオーダーの厚さを有する透明材料のほぼ平面のピースであり、一部の場合では、顕微鏡スライドまたはスライドカバーに似ている。基材は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PDMA(ポリジメチルシロキサン)などの材料、あるいは、生体適合性微細構造を含む微細構造がそこに作製されうる他のポリマー材料またはシリコンまたはガラスで作られる。一部の場合では、作製は、射出成型、ソフトリソグラフィ、レーザアブレーション、X線フォトリソグラフィ、ファイバ引抜き、またはホットエンボスなどの、いくつかの高スループット方法の1つまたは複数を使用することを含む。
【0103】
一部の場合では、マイクロチャネルおよび/または他の微細構造および/またはカートリッジ(またはその一部)は、高温および高圧で接合することによって、または、適した接着剤を使用することによってなどで、材料層をキャップ被覆されてもよい。任意選択で、カートリッジは、保護(たとえば、傷つきにくい)層をコーティングされ、任意選択で、保護ケースおよび/または操作ケース(たとえば、リーダ内に設置するための穴または溝)内に設置される。典型的には、カバーおよび/またはコーティングは、少なくともマイクロチャネルおよびマイクロチャネル内の内容物を観察するために使用される光帯域幅について透明である。
【0104】
一部の実施形態では、微細構造は、S.Franssilaによる「Introduction to Microfabrication」John Willey and Sons,2004 ISBN 0470851058、9780470851050に、あるいは、「Printing meets lithography」The Industrial Physicist,8(4)2002またはA.Bransky等著,Biosens.BioElectron.22,165(2006)およびA.Bransky等著,Microvasc.Res.73,7(2007)などの他の出版物など、当技術分野で知られている以下の方法によって作製される。他の参考文献は、たとえば、R.M.McCormik,R.J.Nelson,M.G.Alonso−Amigo,D.J.Benvegnu、およびH.H.Hooper著,Anal.Chem.,1997,69,2626、D.Qin,Y.Xia、およびG.M.Whitesides著,Adv.Master.,1996,8,917、F.Dang,S.Tabata,M.Kurokawa,A.A.Ewis,L.Zhang,Y.Yamaoka,S.Shinohara,Y.Sinohara,M.Ishikawa,およびY.Bata著,Anal.Chem.,2005,77,2140、Z.Meng,S.Qi,S.A.Soper、およびP.A.Limbach著,Anal.Chem.,2001,73,1286、Z.Chen,Y.Gao,J.Lin,R.Su,およびY.Xie著,J.Chromatogr.,A,2004,1038,239、L.Martynova,L.E.Locascio,M.Gaitan,G.W.Kramer,R.G.Christensen、およびW.A.MacCrehan著,Anal.Chem.69(1997),p.4783、または、Samuel K.Sia,George M.Whitesides著「Microfluideic devices fabricated in poly(dimethylsiloxane) for biological studies」Electrophoresis 2003,24,3563−3576を含む。
0014
【0105】
本発明の一部の好ましい実施形態では、カートリッジは、使い捨てであり、それは、連続エンボス(印刷に似ている)などの大量生産プロセスにおける適切な価格の材料を使用することによって少なくとも部分的に許容される。任意選択でまたは別法として、カートリッジは、補充可能であり、任意選択で、そのための構造または機構、たとえば、マイクロチャネルを清浄する機構または流体を補充する構造を備える。
【0106】
図1Aは、カートリッジ100の部分斜視図を概略的に示し、カバー付きマイクロチャネル102がベース表面156および上部(top)表面154を有する基材104上に形成されている。マイクロチャネル102は、それぞれの2重矢印で示すように、長さ112、水平寸法114(幅)、および垂直寸法116(高さ)を有し、基材上部表面154とのインタフェース表面を有するカバー106によってキャップ被覆される。マイクロチャネル102はさらに、水平寸法114が垂直寸法116より著しく長いため、浅いマイクロチャネルを示す。本発明の一部の実施形態では、水平寸法114は100マイクロメートルのオーダーであり、垂直寸法116は10マイクロメートルのオーダーである。
【0107】
図1Bは、一部の実施形態による、ベース表面156および側部表面152を有するカートリッジ100の平面図を概略的に示し、基材104は、マイクロチャネル102、ならびに、流体入口122、サンプル入口124、混合チャンバ126、および出口チャンバ128を備える他の微細構造を持つように形成されている。
0015
【0108】
一部の実施形態では、粘弾性流体は、入口122に注がれるかまたは注入される、あるいは、流体は、カートリッジ100の作製中に入口122内に閉囲され、入口122から接続された混合チャンバ126内に流れる。任意選択で、カートリッジ100は、たとえば最終的な粘弾性流体の有利な特性が、経時的に劣化するか、そうでなければ改質するときに、後続の混合のために粘弾性流体の分離した成分を提供することを可能にする複数の入口122を備える。
【0109】
一部の実施形態では、サンプル入口124は、粒子の懸濁液または乳濁液を含む流体サンプルを引き込む毛細管を備え、毛細管から、サンプルが、接続された混合チャンバ126内に流れる。任意選択でまたは別法として、サンプル流体は、サンプル入口124に注入されるかまたはその他の方法で注がれる。
【0110】
混合チャンバ126に入る流体は、チャンバ内で混合され、マイクロチャネル102の入口端120内に流れる。任意選択で、カートリッジ100は、一部の成分の予備混合および別の1つまたは複数の成分とのその後の混合、たとえば、粘弾性流体とある添加剤(たとえば、分散剤または染料)との予備混合、そしてその後の、その混合物とサンプルとの混合を可能にするためなどで、互いにそして最終的にマイクロチャネル102にリンクした複数の混合チャンバ126を備える。
【0111】
一部の実施形態では、出口チャンバ108は、マイクロチャネル102内を流れた流体を収集する(排出する)ためにマイクロチャネル102の出口端130に接続される。
【0112】
本発明の一部の実施形態では、流体および流体内の懸濁粒子は、電気的力、磁気的力、または重力(たとえば、遠心力または場)などのさらなる力または場がない状態で、付着によって、かつ/または、圧力勾配によって、マイクロチャネル102の方に引っ張られその中を流れる。
【0113】
1つの例示的な変形では、圧力勾配は、カートリッジの外部の周囲圧力に比べてまたは流体入口圧力に対して低い圧力(以降で「負圧(vacuum)」)を有する出口チャンバ128によって提供される。任意選択で、出口チャンバ128は、減圧チャンバであるまたは減圧チャンバを備える。任意選択でまたは別法として、出口チャンバ128は、弾性小型ポンプなどの減圧カプセルまたはポンプを備えるまたはそれに接続される。一部の実施形態では、負圧は、一時的なバリアまたは弁によってマイクロチャネル102から分離される、その結果、圧力勾配を提供するために、指をその上に押し付けることなどで、バリアを破壊するかまたは弁を開放させることによって、出口チャンバ128とマイクロチャネル102との間に接続が生成される。
【0114】
別の例示的な変形では、圧力勾配は、マイクロチャネル102および/または出口チャンバ128内の圧力より高い圧力(以降で「高圧(high pressure)」)を有する粘弾性流体(またはその成分)を入口122内に注ぐことによって提供される。任意選択で、高圧は、流体を入口122に注ぐシリンジによって提供される。任意選択でまたは別法として、カートリッジ100は、指を押し付けることまたは他の方法によって開放する弁などによって入口122に接続される、高圧を有するチャンバを備える。任意選択でまたは別法として、カートリッジ100は、入口122に接続された屈曲性のあるチャンバを備えるため、屈曲性チャンバを押し付けることによって、圧力が入口122に加えられる。
【0115】
マイクロチャネル102内に粘弾性流体を流す圧力勾配を設けるために、他の変形および組合せが使用されてもよいことが当業者によって理解されるべきである。
【0116】
本発明の一部の実施形態では、マイクロチャネル102内の流体フローレートは、ほぼ0.1cm/秒と1cm/秒との間のオーダーであるが、流体組成および特性、粒子のタイプおよび粒子の濃度、装置要件(たとえば、カメラ取込み速度)またはオペレーション要件(たとえば、測定速度)などの条件に応じて他の速度に設定されてもよい、または、変わってもよい。
【0117】
カートリッジ100は、マイクロチャネルを有するカートリッジの非制限的な実施例として提示され論じられた。本発明の一部の実施形態では、マイクロチャネルに付加される微細構造および/または機構は、変わってもよい。たとえば、一部の実施形態では、カートリッジ100は、別個の流体入口およびサンプル入口ではなく、むしろ、任意選択で流体とサンプルが混合される、または、流体とサンプルの混合物が注がれるかまたは注入される1つの入口を有する。または任意選択で、カートリッジ100は、混合チャンバを持たない。または任意選択で、カートリッジ100は、出口チャンバを備えず、流体は、穴などを介して排出する。
【0118】
粒子およびフォーカシング
粒子の懸濁液または乳濁液を有する粘弾性流体がマイクロチャネル102内に流れると、粒子は、流体の流れに平行に1次元または2次元アレイで整列する(「粘弾性フォーカス(viscoelastic
focus)」)。
【0119】
浅いマイクロチャネルの場合、粒子は、2次元のシートに似たアレイで整列する。ほぼ正方形または円形断面を有するなどで、同一のまたは同様の水平および垂直寸法114および116をそれぞれ有するマイクロチャネルの場合、粒子は、ほぼ円柱アレイで整列する。
【0120】
粘弾性流内などの、せん断流内の柔軟な粒子は、せん断に応答して変形し、特定の配向に整列する。粒子の特定の非制限的な実施例としての赤血球(RBC)は、せん断応力および周囲粘度に応じて細長くなり、粘弾性フォーカスにおいて特有の配向に整列し、一方、たとえば、Avishay Bransky等著「An automated cell analysis sensing system based on a microfabricated rheoscope for the study of red blood cells physiology」Biosensors and Bioelectronics 22,165−169(2006)およびその中の参考文献、あるいは、Pozrikidis C.著「Finite deformation of liquid capsules enclosed by elastic membranes in simple shear flow」J.Fluid Mech.297,123−152(1995)、Pozrikidis C.著「Modeling and simulation of capsules and biological cells」(2003)、またはPozrikidis C.著「Numerical Simulation of the Flow−Induced Deformation of Red Blood Cells」Ann.Biomed.Eng.,31,1194−1205(2003)に記載されるように、内部の周りに回転する外部膜の独特の動的挙動を示す。
【0121】
一部の場合または実施形態では、流体流によって誘発された変形は、粒子形状が解析されるとき、特に定量的結果が導出されるときに(以下を参照)考慮されなければならない。
【0122】
図1Cは、本発明の例示的な実施形態による、高さ116より著しく大きい幅114を有し(浅いマイクロチャネル)、懸濁粒子140(例としてRBC)がほぼ平面のアレイで整列するのに十分な長さ112を有するマイクロチャネル102の断面の斜視図を概略的に示す。
【0123】
粘弾性流体(図示せず)内に懸濁されたRBC粒子は、マイクロチャネル102の入口端120に入り、下流に矢印144によって示す方向に流れる。粒子140は、マイクロチャネルに入るとき、依然として無秩序であるが、粒子140は、下流に流れるにつれて、ブラケット146で示すマイクロチャネルの領域のあたりで見られるように、2次元アレイに整列する傾向がある。粒子140は、ブラケット148で示すマイクロチャネルの領域に入り、下流に流れるにつれて、楕円形状を形成し、水平平面142で示すシートに似たアレイで一貫性のある配向に整列する。
【0124】
本発明の一部の実施形態では、粒子140は、他の細胞を構成するまたは備える。一部の実施形態では、粒子140は、任意選択で、表面または粒子の内部に付着するかまたはそこに構成される抗原または抗体などのリガンドまたは他の化合物を有する、任意選択で、抗体または抗原などのさらなる化合物に結合する、有機および/または無機の微粒子またはミクロビーズを構成するまたは備える。一部の他の実施形態では、粒子140は、任意選択で他の化合物がそこに付着する、鉱物、たとえば、粘土粒子などの他のエンティティを構成するまたは備える。一部の実施形態では、粒子140は、ミセルまたは小胞などの流体または半流体粒子を構成するまたは備える。
【0125】
マイクロチャネル内を流れる流体内で粒子がアレイで整列すると、流れは、圧力勾配を低減するかまたはなくすことなどによって、一時停止されるかまたは停止される可能性があり、粒子は、粘弾性流体の浮力および重力作用を受けてアレイ状態で留まる(「フリーズする(frozen)」)ことになることが留意されるべきである。粘弾性流体は粘着性があるため、多くの場合、粒子が最終的にマイクロチャネル底部に沈んでも、以下に述べるように、沈み込みは、アレイ状態での画像の観察および解析を可能にするのに十分にゆっくりである。任意選択で、粒子は、粘弾性流体の粘度を増大させることなどの方法によって、たとえば、冷却すること(たとえば、ペルチエ効果)によって、または、適した化学作用物質の拡散によって静止した流体状態で所定場所に固定される(または、事実上固定される)。任意選択でまたは別法として、粒子は、電気双極子を有するか、または、誘発された双極子を獲得することが可能である場合、適した電場を印加することによって固定されうる。
【0126】
本発明の一部の実施形態では、粒子は、生物学的ソースから、通常、生物学的流体、たとえば、血液、血漿、リンパ液、尿、脳脊髄液(CSF)、または骨髄から取得される。
【0127】
本発明の一部の場合または実施形態では、粒子は、無機および/または有機化合物で作られたまたはそれを含むミクロビーズ(たとえば、微粒子)を含む。任意選択で、ミクロビーズは、有機反応性または生物学的反応性化合物、すなわち、他の化合物(たとえば、受容器)に反応するまたはそれに付着する化合物、たとえば、薬物、抗体、抗原、酵素、細胞または細胞の一部(たとえば、小器官)、ホルモン、あるいは、有機または生物学的エンティティに反応するまたはそれに付着する任意の化合物を含むか、それに付着するか、またはそれでコーティングされる。本発明の一部の場合または実施形態では、粒子は、任意選択で血球を含む、細胞または細胞の一部を含む。
【0128】
本発明の一部の場合または実施形態では、粒子は、粘土または他の鉱物などの他の化合物または物理的構造、あるいは、ミセル、小胞、または流体媒体内で異質の形態を有する任意の構造を含む。
【0129】
粘弾性フォーカシングは、一般にまた以下に述べるように、蛍光標識細胞ソーティング(Fluorescence Activated cell Sorting、分取)(FACS(登録商標))などのソータのために粒子のフォーカシングされたストリームを提供するのに適する。ミクロビーズなどの粒子は、たんぱく質か、DNAか、RNAか、あるいは、抗原、抗体、または他の化合物などの他の生物学的化合物からなる、それにリンクする、またはそれでコーティングされる。粒子は、たとえば、磁気コアなどの磁気成分を有すること、磁化されうる強磁性成分を有すること、または、電気的に帯電され、必要とされる期間の間、電荷を保持しうる成分を有することによって、電気的にまたは磁気的に帯電されてもよい。ビーズは、ほぼ円柱アレイなどのアレイでフォーカシングされ、特定の蛍光(たとえば、色)などによって選び出された後、粒子は、印加される磁場または電場に応じてソーティングされる(多重化される)。ビーズまたは他の粒子はまた、粒子が、1つまたは複数の目標化合物とリンクする(または、それを開裂させる)酵素でコーティングされるかまたはそれに結合するときのような、ELISA(酵素結合免疫測定(Enzyme-Linked-immunosorbent-Assay))で使用されてもよい。
【0130】
光学的観察
粒子140は、一貫性のある形状および配向で平面142の周りに整列するため、粒子140は全て(または、少なくともその大部分)が、光学的にフォーカシングされ、拡大光学システム(対物レンズ)によって観察されうる。粒子140の垂直な(すなわち、図1Cの寸法116に平行な)分散は、事実上無視できるため、被写界深度要件が緩和される、または、さらになしで済まされるので、対物レンズは、設計のトレードオフによって簡略化されうる。
【0131】
一部の実施形態では、粒子140は、対物レンズを横切る方向から、すなわち、マクロチャネルを通して照明される(下部照明)。任意選択でまたは別法として、粒子は、マイクロチャネルの上で照明される(上部照明)。
【0132】
本発明の一部の場合または実施形態では、粒子は、明瞭に目に見え、下にある媒体(たとえば、流体、基材)に対して識別可能である。他の一部の場合または実施形態では、粒子は、識別可能でなく、偏光または暗視野などの当技術分野の他の方法などによって強調される。
【0133】
一部の実施形態では、一部の着色技法が、粒子140を強調するかつ/または識別するために使用される。たとえば、白血球懸濁液が使用されるとき、白血球は、染色され(stain)、異なる色を取得することによって区別されてもよい。非生存白血球の懸濁液が適切である場合、当技術分野で一般的であるような染料、たとえば、ライト(Wright)(CA番号68988−92−1)またはギムザ(Giesma)(CAS番号67−56−1)が使用されてもよい。任意選択でまたは別法として、生存白血球の懸濁液が必要とされる場合、アストラゾンオレンジ(astrazon orange)G(CAS番号3056−93−7)か、ニュートラルレッド(Neutral red)(CAS番号553−24−2)か、またはグリーフスワルダーズブルー(Griefswalders blue)などの染料(水に溶解可能であり、洗浄を必要としない)が使用されてもよい(たとえば、米国特許458122および4400370を参照)。
【0134】
一部の実施形態では、光は、赤外線領域および/または可視領域および/または紫外線領域内の特定の範囲(色)であり、任意選択で、色の組合せを含む。一部の実施形態では、光は、単色であり、たとえば、100nmまたは50nmより小さいような、各領域に対して狭い帯域幅を有する。単色光を使用することは、色収差補正要件が緩和される、または、さらになしで済まされるため、設計のトレードオフによって対物レンズをさらに簡略化することを可能にする。
【0135】
可視光を使用して、粒子140は、任意選択で、対物レンズと接眼レンズなどによって手動で、あるいは、対物レンズにリンクし、画像をディスプレイ上に再生するかつ/またはプリントアウトするデジタルスチルまたはビデオカメラなどのカメラを用いて観察されてもよい。しかし、IRまたはUV放射を使用するとき、UVまたはIR放射に応答するセンサを有するカメラなどの補助機器が必要とされる。
【0136】
図1Cの142などの2次元アレイ(シート)を参照することは、幾何形状の差を可能にしながら、1次元アレイ(円柱)にも適用可能であることが留意されるべきである。
【0137】
リーダ
マイクロチャネルにおいて1次元または2次元アレイで粘弾性的に整列した粒子を有するカートリッジ(以降で「アクティブな(active)」カートリッジ)は、図1A〜1Cに関して上述したようにマイクロチャネル102を通って流れる粒子140を有するカートリッジ100によって、以下の説明および対応する図面において、一般的にかつ制限なしで示される。
【0138】
本発明の典型的な実施形態では、カートリッジ100は、粒子形状が、対物レンズによって再生され、モニタ上で観察するため、かつ/または、画像処理装置および/または画像解析装置によって操作されるために電子的に取込まれるリーダ内に設置される。
【0139】
図2Aは、リーダ200、ならびに、照明源202、カートリッジホルダ204(「ホルダ(holder)」)、光学対物レンズ206(リーダ200内のレンチキュラー要素によって描写的に示される)、および画像取得デバイス208(「カメラ(camera)」)を備えるリーダ200のコンポーネントを概略的に示す。リーダ200はさらに、必要に応じて、電源、接続ワイヤ、および接点を装備する。
【0140】
アクティブなカートリッジ100は、ホルダ204に取外し可能に取付けられ、ホルダ204は、粒子アレイ(たとえば、図1Cのアレイ142)において対物レンズ206の定常的なフォーカシングを可能にするためにカートリッジを固定的に保持する。照明源202は、ホルダ204を通過し、カートリッジを通過し、少なくとも部分的に粒子を通過する光を提供し、対物レンズ206は、任意選択で、カメラ208内の画像センサ212(CMOSまたはCCD)上に粒子画像を投影する。カメラ208は、画像センサ212から画像を取込み、おそらく変換および/または前処理後に、視覚的観測のためにモニタ(スクリーン)214に画像を提供する。付加的にまたは別法として、カメラ208は、画像をコンピュータ216に転送し、コンピュータ216は、画像を処理し、任意選択で、画像を解析して、1つまたは複数の定性的または定量的結果を提供する。任意選択でまたは別法として、モニタ214は、任意選択で強調、背景低減、または当技術分野で知られている他の視覚効果などの処理後に、(カメラ208からではなく)コンピュータ216から画像を受信する。任意選択でまたは別法として、モニタ214は、コンピュータ216の一部を構成する。
【0141】
一部の実施形態では、結果は、モニタ214上に提示される。任意選択でまたは別法として、リーダ200は、プリンタ(図示せず)を備え、コンピュータ216は、任意選択で、結果または結果の一部のプリントアウトおよび/または粒子または粒子の一部の画像を提供する。
【0142】
一部の実施形態では、カメラ208は、粒子画像を、ビデオモードで、すなわち、粒子がマイクロチャネル内で粘弾性流体と共に移動している間の画像のシーケンスとして取込む。任意選択でまたは別法として、粒子がマイクロチャネル内で粘弾性流体と共に移動している間に、十分に高速な画像取得が使用される。一部の実施形態では、上述したように、粘弾性流体の流れが一時停止され、粒子が固定され、その結果、1つだけの(または少数の)取込みが取得される。
【0143】
照明源202は、適した色の光を提供して、良好な品質の画像、たとえば、獲得可能な、十分な、または適度の、先鋭なかつ/または明瞭なかつ/またはコントラストの付いた粒子の最良の形状を有する画像を生成する。一部の実施形態では、光は単色であり、任意選択で、色は、予め設定されたグループから、または、照明源202の能力に応じて選択される。任意選択でまたは別法として、色は、粒子の性質および/または色に応じるなどで、可変に設定される。一部の実施形態では、光は、偏光されるか、または、顕微鏡の技術分野で使用される暗視野または他の照明技法として提供される。
【0144】
一部の実施形態では、照明源202は、上からホルダ204上のカートリッジ100を照明し、対物レンズ206は、マイクロチャネル内の粒子から反射される光に応じて画像をセンサ212上に投影する。任意選択でまたは別法として、リーダ200は、2つ以上の光源202を備え、光源202は、カートリッジの下からかつ/または上から複数の色と複数の輝度で照明して、(先鋭さ、コントラストなどの点で)粒子画像の品質を上げるかまたは最大にする。任意選択で、リーダ200は、斜めにまたは(図1Bの表面152などのカートリッジ100の厚さ表面に垂直にまたは厚さ表面に鋭角に)側面からカートリッジを照明する光源202を備える。
【0145】
本発明の一部の実施形態では、光源202は、少なくとも1つの固体光源ユニットを備える。一部の実施形態では、固体光源ユニットは、LED、OLED、PLEDのうちの1つ、または、他のエレクトロルミネセンスデバイスのうちの1つを備える(以降で「LED」)。
【0146】
一部の実施形態では、ホルダ204は、ホルダ204によって保持されるアクティブなカートリッジ100内で粒子の照明を補助することなどのために作製されるかまたは形成される。たとえば、ホルダ204は、ホルダ204の領域218内などのアクティブなカートリッジ内のマイクロチャネルの下に、光拡散器か、フィルタか、偏光器か、またはコリメータ(たとえば、フレネルレンズ)のうちの1つを備える。一部の実施形態では、ホルダ204は、以下で述べまたそれぞれの図3A〜3Cで示すように、カートリッジ100が1つまたは複数のLEDを備えるのと同様な方法で、1つまたは複数のLEDを備える(その説明は、簡潔さおよび明確さのために繰返されない)。
【0147】
一部の実施形態では、カートリッジ100は、マイクロチャネル102を照明する1つまたは複数のLEDを備える。
【0148】
図3Aは、マイクロチャネル102を有し、マイクロチャネルに対向してカートリッジの下側部分にLED302を備えるカートリッジ100を概略的に示す。LED302は、電子接点304を通して駆動され、マイクロチャネル102を照明する。任意選択で、LED302は、均一なまたはほぼ均一な照明を提供するために拡散器および/または半透明カバーを備える。任意選択で、LED302は、カートリッジ100の下側表面156の周りに配設された複数のLEDを示す。
【0149】
図3Bは、マイクロチャネル102を有し、カートリッジの側面に配設されたLED302を備える(またはLED302に接続された)カートリッジを概略的に示す。基材04の上側表面(またはその一部)の周りのインタフェース層154またはカバー106(またはその一部)の下側表面は、適したコーティングまたは材料の屈折率の選択などによって反射性がある。層154に当たるLED302によって放出される光は、カートリッジ100の(または基材104の)下側表面156の方に反射する。表面156は、コーティングなどによって反射性があり、層154によって反射された光またはLED302によって直接放出された光を反射し、光を上方にマイクロチャネル102の方に誘導する。任意選択で、層156は、拡散光または散乱光を反射するように、波形を付けられるか、研磨されるか、または半透明であり、マイクロチャネル102の照明を知らせるのを補助する。任意選択で、層154はまた、拡散性があるかまたは半透明であり、層154からの反射光を散乱させ、マイクロチャネル102の照明を知らせるのをさらに補助する。
【0150】
図3Cは、マイクロチャネル102を有し、マイクロチャネルの両側でカバー106上にLED302を備える(またはLED302に接続される)カートリッジ100を概略的に示す。図3Cは、マイクロチャネル102を照明する別の変形を示す。LEDの数およびLEDの場所と方法ならびに反射表面および拡散または散乱表面の性質は、一般的な要件および/または特定の要件に適した照明を達成するために変わってもよいことが理解されるべきである。
【0151】
一部の実施形態では、LEDに加えてまたはその代替として、図3A〜3Cに関して上述した照明ならびに光の拡散および散乱は、ポイントバルブ、光ファイバガイド、または他の装置(これらは全て、制限なしで、図2Aの光源202によって一般的に示される)などの他の光源によって実施されてもよい
【0152】
本発明の一部の実施形態では、対物レンズ206が、さらなる調整なしで、整列した粒子にフォーカシングするように、カートリッジ100は、予め設定された位置にホルダ204によって保持される。任意選択でまたは別法として、対物レンズ206は、整列した粒子に自動的にフォーカシングされ、フォーカシングは、画像のコントラストまたは他の特徴を最大にすることなどによって、カメラ208および/またはコンピュータ216によって制御されるかつ/または駆動される。一部の実施形態では、オートフォーカシングは、対物レンズ216に取付けられた機構または対物レンズ216内のコンポーネントを移動させること(たとえば、対物レンズ内の光学要素間の距離を変えること)によって実施される。任意選択でまたは別法として、手動フォーカシングは、モニタ214上に表示された画像を観測することによって、または、オプションの補助接眼レンズを使用することによって実施される。一部の好ましい実施形態では、リーダ200を使用することの一部としてカートリッジが設置され解除されるときに、フォーカスは、変更されないかまたは無視してよい程度に変更され、ほんのたまに、または、オペレーションまたはサービスプロトコルに従って、フォーカシングがチェックされる、かつ/または、調整される。
【0153】
本発明の一部の実施形態では、リーダ200は、カートリッジ100の微細構造の機能の1つまたは複数を提供する。たとえば、カートリッジ100がホルダ204上に配設され嵌合されると、出口チャンバ128に接続する減圧装置によって圧力勾配を提供する。または、別の実施例として、カートリッジ100がホルダ204上に配設され嵌合されると、流体入口122に接続する粘弾性剤および/または添加剤リザーバを提供する。
【0154】
本発明の一部の好ましい実施形態では、カートリッジ100は、使い捨て品であり、リーダ200内に日常的に取外し可能に設置され、顕微鏡スライドを使用することに似ている。
【0155】
一部の実施形態では、カートリッジ100は、日常業務プロシージャとしてカートリッジ100が他の等価なまたは互換性があるカートリッジと交換されうるという意味で交換可能である。任意選択で、カートリッジ100は、その少なくとも一部がリーダ200内に設けられる、清浄すること、流体を再充填すること、または負圧を補充することなどのオペレーションを容易にする構造を有する補充可能カートリッジとして、リーダ200内に日常的に取外し可能に設置される。代替の実施形態では、カートリッジ100は、通常、リーダ200の一部として構成され、サービスプロトコルまたは不具合に応じて交換され、リーダ200は、粘弾性流体供給、圧力勾配、および清浄化などの機能を提供する。
【0156】
ホルダ204は、1つまたは複数の弾性ストリップの下で摺動させること、(用紙クリップに似ている)クリップ、(プライヤのような)把持器、スナップファスナ、穴をピンにピッタリ合わせること、またはレセプタクルに嵌合させることなどの方法または機構、あるいは、任意の適した着脱可能なファスナまたは機構によってリーダ200内でカートリッジ100を、取外し可能に保持すること、取外し可能に取付けること、または取外し可能に把持すること(総称して、「把持すること(gripping)」と呼ばれる)を容易にする。
【0157】
本発明の一部の実施形態では、カートリッジ100は、任意選択でカバー付きスライドとして、機械的にかつ/または光学的に顕微鏡スライドと互換性がある。たとえば、カートリッジ100は、光学顕微鏡に取付けられ、接眼レンズを通してまたはカメラおよび任意選択でコンピュータなどの他のデバイスによって補助されて従来のスライドが観察されるように観察されうる。
【0158】
好ましくは、一部の実施形態では、光源202は、画像を取込む期間の間だけ照明するように、カメラ208と協働する。光源202とカメラ208の協働(同期)は、カートリッジ100または粒子140の考えられる過熱および考えられる変形を回避すること、および/または、粒子の考えられる光分解を回避すること、および/または、電池式リーダ200において著しい可能性がある電力を節約することなどによって、有利である可能性がある。任意選択で、光源202は、カートリッジ100の観察を可能にするために、カメラ208が取込んでいないときに輝度を落とされる。
【0159】
やはり図2Aを参照して、本発明の一部の実施形態では、照明源202、ホルダ204、対物レンズ206、およびカメラ208は、ホルダ204に対してアクティブなカートリッジ100を把持するアクセス手段を有するケース210内にパッケージされる。任意選択で、コンピュータ216および/またはモニタ214および/またはプリンタ(図示せず)もまたケース210内にパッケージされる。任意選択でまたは別法として、コンピュータ216およびモニタ214および任意選択でプリンタ(図示せず)は、ケース210の外部で共にパッケージされる。
【0160】
コンパクトなリーダ
本発明の一部の好ましい実施形態では、リーダ200は、リーダ200のサイズを低減するために密にパッケージされたコンポーネントとして作動要素を備えるコンパクトな装置として構成される。コンパクトな構成は、おそらく一部のコストおよび/または性能と妥協しながら、デスクトップユニットとして、携帯型ユニットとして、または可搬型ユニットとして、任意選択で電池式ユニットとしてリーダ200を使用することを可能にしてもよい。
【0161】
図2Bは、本発明の例示的な実施形態による、コンパクトなリーダ220およびそのコンポーネントを概略的に示す。図2Aのリーダ200に類似して、また、リーダ200のコンポーネントに似ているかまたは等価なコンポーネントを持って、リーダ220は、制限なしで、上述したリーダ200の一部の特徴および/または能力および/または機能を保持する。明確さおよび簡潔さのために、コンパクトなリーダ220の一部の実施形態の特定の特徴だけが、一般的に以下で論じられる。
【0162】
本発明の一部の実施形態では、リーダ220は、
(a)カートリッジ挿入のための開口230を有するケース210を備え、好ましくは、ケース210は、好都合な操作およびオペレーションのために構成され設計され(以下を参照)、任意選択で、オペレーションに関連するまたは人の注意を引く着色および形状を有し、
(b)アクティブなカートリッジ100の、スナップロックおよびバウンシング解除(snap locking and bouncing release)のための機構、または、簡単でかつ快適な挿入および固定ならびにその後の簡単でかつ容易な解除のための任意の他の機構などによって、アクティブなカートリッジ100の好都合な取外し可能な把持のために構成されたカートリッジホルダ204と、
(c)好ましくは、選択されたまたは所定の色を用いて、カートリッジ100内のマイクロチャネル102を通して照明する1つまたは複数のLED302としての光源とを備え、任意選択で、ある特定のアプリケーションまたは特定のタイプに応じて、1つまたは複数のLED302は、他のまたはさらなる方向からマイクロチャネル102を照明し、一般に、制限なしで、LED302はまた、他の光源、好ましくは、小型化された光ファイバガイド(図2Aのリーダ200に関して上記光源202も参照)を表し、
(d)リーダ220のコンパクトな構成を可能にする、ミラー222によって折り曲げられた光学経路を用いて2つの部分206aと206bにおそらく分割された対物レンズ206を備え、対物部分206aおよび206bならびにミラー222は、リーダ220のコンパクトな構成のために設計されたオプションの部分および要素を表し、
(e)照明されたマイクロチャネル102およびマイクロチャネル102内の粒子の画像を取込む光センサ212を備える画像取得デバイス208を備え、好ましくは、画像取得デバイス208は、特定の要件ならびに小さなサイズおよび/または電力消費のために設計された小型カメラまたはカスタムデバイスであり、
(f)好ましくはカラーディスプレイとして、LCDスクリーンなどのケース210の外部表面上のディスプレイスクリーン214と、
(g)機器オペレーションの技術分野で知られているか、または、その他の方法で開発された、リーダ220の1つまたは複数のコンポーネントを制御するか、作動させるか、またはそれにインタフェースする任意の1つまたは複数の要素を表す、ケース210の外部表面上の、十字ボタン224およびスイッチ(長方形)/光(円)のグループ226と、
(h)リーダ220を作動させ制御することに関連する、必要なものが揃った 1つまたは複数のプログラムならびに画像処理および他のオプションのアプリケーションに関する1つまたは複数のプログラムを実行する、必要とされるメモリならびに他の周辺コンポーネントおよび機構を有する1つまたは複数のプロセッサ(「コンピュータ(computer)」)216とを備え、典型的な好ましい実施形態では、コンピュータ216は、とりわけ、画像取得デバイス208、スクリーン214、照明源302、制御要素224および226、ならびに、アクティブなカートリッジ100内の粒子をオートフォーカシングするための対物レンズ206のオプションの移動機構に相互作用し、かつ/または、それを制御し、
(i)コンピュータ216、ディスプレイ214、LED302、相互作用要素224および226などのリーダ220のコンポーネントに電力を分配する、描写的な電池228で示される電源を備え、任意選択で、電力は、適切なフォーカシングおよび/または拡大率の変更を目的として移動するために対物レンズ206および/またはミラー222にも提供される、一部の実施形態では、電源228は、主電源に接続され、任意選択でまたは別法として、電力228は、任意選択で1つまたは複数の充電式電池によって駆動される1つまたは複数の電池である(電力分配は示されない)。
【0163】
任意選択で、リーダ220はさらに、感熱紙を使用するプリンタなどの小型プリンタを備える。
【0164】
典型的で非制限的な例証として、コンピュータ216は、ボタンのグループ226からモード選択などの設定を検知する、すなわち、十字ボタン224によってモード選択などの選択が行われるメニューをディスプレイ214上に提示する。コンピュータ216は、画像取得デバイス208から画像を受信し、リーダ220の設定に応じて、画像を処理し、一方、同時にまたはその後、画像または画像の一部あるいは処理された画像の一部をスクリーン214上に表示する。リーダ220の設定に応じて、コンピュータ216は、(画像処理の一部としての)処理済み画像または元画像に1つまたは複数の特定の解析を実施し、スクリーン214上にグラフィカルにかつ/または英数字で結果を提示する。リーダ220のモードまたは設定は、スクリーン214および/またはボタンのグループ226上で示されてもよい。作動時の便宜のために、リーダ220のオプションのモードとして、カートリッジ100がホルダ204上で適切に把持されると、センサ(たとえば、電気接点あるいは光学または磁気センサ)は、マイクロチャネル102内の画像を取込み、画像処理および/または画像解析に進むようにコンピュータ216に指示する。
【0165】
一部の実施形態では、任意選択で、空間(および任意選択で少なくとも大量生産時のコスト)を低減するために、カメラ208およびコンピュータ216は、任意選択で1つまたは複数の集積回路(たとえば、画像センサ、プロセッサ、ならびにメモリおよび入力/出力ポートなどの付属デバイスを備えるCMOS)を備える単一ユニット(または複合ユニット)に結合される。
【0166】
一部の実施形態では、リーダ220は、パワーオンされるとデフォルトモードにある、たとえば、カートリッジを挿入して、リーダ220が、画像を取得し、予め設定された処理および解析を実施し、予め設定された画像およびデータをスクリーン上に表示するモードにある。
【0167】
一部の実施形態では、リーダ220は、データ記憶、検索、または統計解析などのオペレーション、あるいは必要に応じて他のオペレーションのために、他のコンピュータまたはデバイス(図示せず)にリンクする(たとえば、ソフトウェアを含む)インタフェース装置および/または機構を備える。
【0168】
リーダ220に関して述べる特徴、能力、または機能は、一部の実施形態では、制限なしでアクティブなカートリッジ100のための一般化されたリーダを示すリーダ200に適用可能であることが留意されるべきである。
【0169】
キット
本発明の一部の実施形態では、1つまたは複数のカートリッジは、キットとして提供される。一般にまた制限なしで、カートリッジは、図1A〜1Cに関して上述したカートリッジ100によって以下の説明および対応する図面において示される。
【0170】
図4Aは、複数のカートリッジ100を備えるキット400を概略的に示す。一部の実施形態では、カートリッジ100は空(流体も粒子も減圧カプセルなどの他の構成要素もない状態)である。任意選択で、カートリッジ100は、減圧カプセルまたはチャンバなどの負圧を備える、あるいは、出口チャンバ128は、(上述したように)圧力勾配を提供するために減圧される。任意選択でまたは別法として、カートリッジ100は、入口122などに粘弾性剤(または粘弾性剤の成分)を含む。
【0171】
図4Bは、任意選択でキット400と同様であるかまたは同一であり、またさらに、すぐに使える粘弾性流体またはその成分などの1つまたは複数の流体を含む複数のカートリッジ100を備えるキット430を概略的に示す。一部の実施形態では、流体は、カートリッジ100の入口122内に流体を注入するために使用されてもよいシリンジ402内に設けられる。任意選択でまたは別法として、粘弾性流体および/または必要とされる粘弾性流体を作るための成分を含む複数のシリンジが設けられる。
【0172】
図4Cは、任意選択でキット400または430と同様であるかまたは同一であり、またさらに、ボトルまたは(たとえば、歯磨きチューブのような)チューブなどの1つまたは複数の容器404内に1つまたは複数の流体を含む複数のカートリッジ100を備えるキット450を概略的に示す。1つまたは複数の流体は、すぐに使える粘弾性流体またはその成分を含む。
【0173】
一部の実施形態では、キット内の一部または全ての流体は、粉末として、または、ゲルなどの他の形態として設けられ、ゲルは、その後、粘弾性流体成分などの別の流体、あるいは、水、アルコール、または任意の溶剤などの別の溶剤に溶解され、溶剤は、任意選択で、キットの一部として、または、任意のさらなる要素として設けられる。一部の場合では、すぐに使える流体が、経時的に、かつ/または、温度などの環境条件によって分解する可能性があるため、または、種々の目的で、たとえば、ある粒子(たとえば、RBC)の凝集または凝固を防止するために化合物を添加するため、または、白血球を区別するために染色剤を添加するために、粘弾性流体の変形が調製される可能性があるときに、複数の成分がキット内で別々に設けられる。
【0174】
本発明の一部の実施形態では、キットは、図4A〜4Cに示すキット400、430、または450の任意の組合せまたは変形を含み、破線は、(単一の物品を含む)キット内の任意の数の補助物品(たとえば、カートリッジ)を表す。
【0175】
一部の実施形態では、キットは、図2Bのコンパクトなリーザ220などのリーダを備える。
【0176】
一部の実施形態では、キットは、テキストおよび/またはイラストとしてオペレーショナル指示を含み、また任意選択で、安全策を含むユーザガイドを含む。
【0177】
一部の実施形態では、キットは、ケースを備え、ケースは、好ましくは、ケースのコンポーネントについての迅速でかつ好都合なアクセスおよび操作のために構成される。
【0178】
方法
本発明の一部の実施形態による、粒子を観測する、かつ/または、解析する方法は、図5および6に関して以下で述べられる。
【0179】
図5は、本発明の一部の実施形態による、粘弾性流体内で整列した粒子の拡大画像を観測するときのアクションを概説するフローチャートを概略的に示す。
【0180】
血球またはビーズなどの微視的粒子は、マイクロチャネル内で粒子を整列させる特性を有する粘弾性流体内に懸濁される(502)。
【0181】
流体は、1次元または2次元アレイで粒子を整列させ、それにより、粒子を相応して整列させるのに適した寸法を有するマイクロチャネル内で流れる(504)。
【0182】
顕微鏡対物レンズなどのレンズは、任意選択で接眼レンズと共に、マイクロチャネル内の粒子アレイにフォーカシングされ(506)、粒子形状の拡大画像が観測される(508)。
【0183】
任意選択で、形状、濃度、密度、または任意の他の派生物などについて、粒子が解析される(510)。
【0184】
図6は、本発明の一部の実施形態による、粘弾性流体内で整列した粒子の拡大画像を取込み解析するアクションのフローチャートを概略的に示す。
【0185】
少なくとも1つのマイクロチャネル(602)と、マイクロチャネル内で少なくとも1次元アレイで粒子を整列させるように適合した粘弾性流体(604)と、観測および/または解析のための粒子(606)とを持つように形成された基材が設けられる。
【0186】
粒子は、粘弾性流体内に懸濁され(608)、懸濁液は、マイクロチャネル内に流され、それにより、粒子が、1次元または2次元アレイで整列する(610)。一部の実施形態では、流体を流すことは、好ましくは外的に加えられる、電気的力か、磁気的力か、遠心力か、または重力がない状態で、少なくとも部分的に圧力勾配を加えることによって行われる。
【0187】
アレイにフォーカシングされる拡大対物レンズのような光学装置は、マイクロチャネル内の粒子の画像を形成する(すなわち、生成する)(612)ために使用され、画像は、カメラなどの画像取得デバイスによって取込まれる(614)。
【0188】
粒子の取込まれた画像は、取込まれた画像内の粒子を解析するように構成された必要なものが揃ったプログラムを実行する(616)コンピューティングデバイスに転送され、解析の結果は、ディスプレイモニタおよび/またはプリントアウトなどによって、コンピューティングデバイスによって提供される(618)。
【0189】
プログラム機能
本発明の一部の実施形態では、図2Aまたは2Bのリーダ200または220などのリーダにそれぞれリンクされるかまたは組み込まれたコンピュータ(またはプロセッサ)などのコンピューティングデバイスは、とりわけ、以下の機能の1つまたは複数のプログラムを含む、コンピュータによって実行するための1つまたは複数のプログラムを備える。
【0190】
前処理
よりよい品質または明瞭性のための画像または画像の領域の修正。たとえば、背景雑音をフィルタリングすることか、背景を低減することか、画像または画像のコンテンツ(たとえば、粒子形状)を先鋭化することか、あるいは、色などの画像品質または明確さを強調するためのコントラスト、輝度、または他のパラメータを修正することなどの他のオペレーション。
【0191】
画像処理(解析)
画像に埋め込まれた情報を抽出すること。たとえば、セグメント化またはブロブ解析、丸いか、細長いか、分岐しているか、繊維状であるか、繊維質であるか、螺旋状であるか、またはループ状である、などの粒子の形状または形態を、少なくとも一般的にまたはおおよそ、分離しかつ/または抽出し、確定すること、あるいは、凸状性または偏心性などの特徴を確定すること。任意選択で、プログラムは、その後、上述したように、染色剤の色に応じて、粒子のタイプ、たとえば、白血球のタイプを確定する(たとえば、粒子の識別)。
【0192】
一部の実施形態では、画像の領域の形状および/または抽出された粒子形状に基づいて、プログラムは、粒子のサイズよび/または容積および/または密度および/または濃度の計算または推定を提供する。
【0193】
一部の実施形態および場合では、プログラムは、定量的結果(たとえば、粒子の濃度)を提供する。任意選択でまたは別法として、プログラムは、定性的結果(たとえば、粒子のタイプ)を提供する。任意選択で、プログラムは、定量的結果と定性的結果の両方を提供する。
【0194】
一部の実施形態では、プログラムは、1回または複数回の導出(derivation)および/または操作の抽出されたまたは確定された特徴(たとえば、粒子のサイズ)に基づく値を提供する。任意選択で、導出は、当技術分野で知られている、かつ/または、較正プロシージャから導出されたまたはその他の方法で取得されたような、実験的値または仮定された値を使用することを含む。
【0195】
任意選択で、たとえば粒子の形状、サイズ、または濃度あるいは確定された他のデータに基づいて、プログラムは、生物学的意義または臨床的意義の少なくとも一方の値、指示、または示唆、たとえば、考えられるまたはもっともらしい身体的な、生理的な、または病理学的な状態の推測または指示を提供する。
【0196】
一部の実施形態では、粒子が生物学的エンティティまたはサンプルを含むとき、プログラムは、臨床的または生物学的技術分野で一般的であるように、少なくとも一部の測定または評価を提供する。
【0197】
たとえば、一部の実施形態では、粒子は、赤血球(RBC)を含み、プログラムは、RBC計数(たとえば、CBC)、パック細胞容積(Packed Cell Volume)(PCV)、または平均赤血球容積(Mean
Corpuscular Volume)(MCV)、あるいは、赤血球分布幅(Red cell
Distribution width)(RDW)などの派生物または派生物の関連量などの結果、あるいは、平均赤血球ヘモグロビン濃度(Mean corpuscular Hemoglobin Concentration)(MCHC)などのヘモグロビン関連結果を提供する。一部の実施形態では、粒子は、白血球(white blood cell)(WBC)を含み、プログラムは、白血球百分率(differential
white blood cells counts)または血小板数(blood platelet count)(PLT)あるいは派生物またはその関連量などの結果を提供する。
【0198】
別の実施例では、一部の実施形態では、脳脊髄液(CSF)サンプルは、脳髄延の可能性を評価するために、白血球、特に、好中球または多核白血球、ならびに、感染または損傷の部位(膿細胞)に形成される感染因子、細胞片、および組織流体があるかを解析するために使用される。白血球あるいは他の細胞またはエンティティは、任意選択で、脳髄延についての妥当な評価を得るために、区別する、識別する、かつ/または定量化するために染色される。
【0199】
なお別の実施例として、リンパ液または骨髄からのリンパ球は、多数の受容体および分化抗原の存在によって識別されてもよく、あるいは、リンパ腫および/または白血病細胞が、識別され解析され、オプションの定量化が、白血病の評価を提供するために実施される。
【0200】
したがって、一部の実施形態では、他のサンプルおよび粒子が使用されてもよい。たとえば、細菌について試験された尿(細菌感染)、または、(USでは通常検出できない)マイクロメートルの範囲内のラメラ体径(lamellar body diameter)およびラメラ体計数(lamellar
body count)(LBC)を有する粒子について試験された羊水流体は、胎児の肺の成熟度を評価するためなどで提供されてもよい。
【0201】
オートフォーカス
(少なくとも対象とする特定の領域における)最大のコントラストまたは先鋭度に基づく光学レンズまたは対物レンズのオートフォーカス。対物レンズまたはそのコンポーネントあるいはサンプル(たとえば、カートリッジ)は、プログラムによって判定されるフォーカシングに応答してコンピュータによって制御される機構などによって、フォーカシングを最大にするように移動される。たとえば、プログラムは、ラプラシアンオブガウシアン(Laplacian of a Gaussian)(LoG)などの先鋭度を定量化する関数を実装し、LoG関数を最大にするようにフォーカスを変えてもよい。
【0202】
本発明の一部の実施形態では、粒子が、細胞、抗原を付着したミクロビーズなどの他の生物学的エンティティ、または、薬物などの他の化合物を含むとき、測定値は、生物学的または医療的な試験および/または解析および/または評価についての技術分野で知られているような、化学的、生物学的、医療的、または臨床的意義についての値または指示を含む。
【0203】
ディスプレイ
スクリーンまたはモニタ(たとえば、図2Aまたは2Bのスクリーン114)のピクセル設定、または、用紙上への印刷などの画像ディスプレイ。
【0204】
オペレーションおよび制御
カメラによる画像取込みを制御すること、手動制御(たとえば、ボタンまたはメニュー選択)を検知すること、またはオプションの外部コンピュータとの相互作用などの、図2Aまたは2Bのリーダ200または220などのリーダおよびそのコンポーネントのオペレーションおよび制御。
【0205】
アルゴリズム
一部の実施形態では、画像に関連する1つまたは複数のプログラムは、B.Jahne,Practical Handbook on Image Processing for Scientific Applications、CRC Press 1977か、J.C. Russ,The Image Processing Handbook,CRC Press 1955か、A.K.Jain,Fundamentals of Digital Image Processing,Prentice Hall int.1899か、または、画像処理、パターン認識、およびその応用についての多数の本、論文、および出版物などにある、当技術分野のアルゴリズムまたは方法に基づくかかたはそれを実装する。多くの場合では、任意選択でファジーロジックも含むニューラルネットワークが、細胞画像解析およびパターン認識のために使用される。たとえば、C.H.Chen,Fuzzy logic and neural network handbook,Mcgraw−Hill Computer Engineering Series,1996(ISBN:0−07−011189−8)および多くの他の関連する出版物。
【0206】
実験結果
実験I
200μmの幅(水平寸法)および20μmの高さ(垂直寸法)を有するPMMA(ポリメチルメタクリレート)でできたマイクロチャネルが、ホットエンボスによって調製された。
【0207】
0.6%w/vPAA(AP30)の粘弾性溶液が、1mlのPBS(pH7.4)および1.5mg/mlのEDTA内に溶解され、指先からの20μLの全血と迅速に混合され、血液粒子の懸濁液がもたらされた。懸濁液は、負の勾配(負圧)下でマイクロチャネル内に注入され、マイクロチャネル内を流れ、細胞は、種々の圧力勾配下でマイクロチャネルの中心に層で整列した(「フォーカシングした(focused)」)。
【0208】
図7は、上述した実験条件(実験I)下でマイクロチャネル内の粘弾性流体流内に整列した血球の取得画像を示す。
【0209】
明確にするために、画像は、レベル等化、輝度/コントラスト調整、および背景低減などのオペレーションによって前処理された。
【0210】
赤血球は、明らかにフォーカス(粘弾性的にフォーカシングされた粒子における光学的フォーカス)内にあり、一部の小さな凝集を有する。pHレベルが約7.4より高いため、いくつかの棘状赤血球が見える。
【0211】
図7のような取得画像に基づいて、細胞濃度は、公式
Con=N×D/(FOV×H)
によって得られうる。
式中、
Conは、RBCの濃度であり、
Nは、RBCの数であり、
Dは、RBCの希釈度であり、
FOVは、光学視野面積であり、
Hは、マイクロチャネルの高さである。
【0212】
個々のRBC容積は、RBCの面積を計算し、経験的係数を掛けることによって取得画像から得られ、MCVは、RBCの容積を平均することによって得られてもよい。
【0213】
実験II
上記実験Iの場合と同様のマイクロチャネルを使用して、指先からの血液が、0.8%w/vデキストラン40kDa、100ppmのPAA AP45、9.52 g/L HEPES、0.90g/Lグルコース(デキストロース)、および7.00g/L NaClの溶液内に混合され、血球の懸濁液がもたらされ、血球の懸濁液がマイクロチャネル内を流された。
【0214】
図8は、上述した実験条件(実験II)下でマイクロチャネル内の粘弾性流体流内に整列した血球の取得画像を示す。
【0215】
明確にするために、画像は、レベル等化、輝度/コントラスト調整、および背景低減などのオペレーションによって前処理された。
【0216】
血球は、明らかにフォーカス内にあるが、(たとえば、実験Iに比べて)かなりの凝集が起こり、それでも個々の細胞は、依然として区別されうる。上記40kDaではなく、500kDaデキストランを使用することが、凝集をなくした。
【0217】
実験III
1%ベーシックオレンジ(Basic
Orange)21および0.1%ニュートラルレッド(Neutral Red)染料の5μ水性溶液が、DI水内に溶解され、25μlの全血と混合された。溶液は、その後、0.6%w/vPAA(AP30)の溶液内に1:50の比で溶解され、さらに、PBS(pH7.4)および1.5mg/ml EDTA 1内に溶解され、血球の懸濁液がもたらされた。懸濁液は、実験Iについて上述した50μm幅と200μm高さのマイクロチャネル内に流された。
【0218】
血球は、マイクロチャネル内に整列し、血球は、染料によって異なって染色された(上記を参照)。上述したような、知られている画像処理技法を使用して、個々の5つのタイプの白血球、すなわち、好中球、顆粒球、好塩基球、リンパ球、および単球を計数し識別することが可能であった。
【0219】
特定の実施形態の先の説明は、本発明の一般的な性質を一層十分に明らかにするため、他の者は、現在の知識を適用することによって、過度の実験なしで、また、一般的な概念から逸脱することなく、こうした特定の実施形態を、容易に修正する、かつ/または、種々の用途に適応させることができ、したがって、こうした適応および修正は、開示される実施形態の均等物の意味および範囲内にあると理解されるべきであり、また、理解されることを意図される。本明細書で使用される句または用語が、説明のためのものであり、制限のためのものでないことが理解される。種々の開示される機能を実施する手段、材料、およびステップは、本発明から逸脱することなく、種々の代替の形態をとってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を調査(examine、検査、試験)するために配置された装置であって、
(a)少なくとも1つのマイクロチャネルを有するカートリッジと、
(b)前記マイクロチャネル内を流れる粘弾性流体であって、粒子の懸濁液を含み、それにより、前記流体の流れに平行に少なくとも1次元アレイでの前記粒子の整列をもたらす、粘弾性流体と、
(c)前記マイクロチャネル内の前記粒子の画像を生成する光学式拡大対物レンズとを備える装置。
【請求項2】
前記カートリッジを着脱自在に把持するように構成されたホルダをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カートリッジは使い捨てである請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記カートリッジは日常的に交換可能である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記カートリッジは、前記マイクロチャネル内での前記粘弾性流体の流れを容易にする少なくとも1つの微細構造をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記マイクロチャネル内での前記粘弾性流体の流れは、少なくとも部分的に圧力勾配によって駆動される請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記マイクロチャネル内での前記粘弾性流体の流れは、外的に加えられる、電気的力か、磁気的力か、遠心力か、または重力のどれか1つに無関係である請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1次元アレイは、2次元のほぼ平面のアレイである請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記粒子は、前記マイクロチャネル内にアレイで一時停止される請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記マイクロチャネル内に前記粒子を照明する少なくとも1つの光源をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記光は単色である請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記カートリッジからの前記光源距離は、少なくとも、光学的に、機械的に、または、その組合せとして最少にされる請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの光源は、少なくとも、前記カートリッジに接続されるかまたは前記カートリッジ内に構成される請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記光源は、固体光源を備える請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記対物レンズは、色収差補正または被写界深度の少なくとも一方を犠牲にして、複雑さ、コスト、サイズ、またはその組合せの少なくとも1つを低減するように構築される請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記対物レンズは、前記マイクロチャネル内の前記粒子アレイに固定的にフォーカシングされる請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記対物レンズは、少なくとも1つのプラスチック光学要素を備える請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記粘弾性流体は、溶剤および前記マイクロチャネルに流れる前記流体内の懸濁粒子を整列させるのに十分な粘度および弾性を提供する成分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記成分は、約50kDaと1000kDaとの間の分子重量を有するポリマーを含む請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記粘弾性流体は、前記懸濁粒子を分散させるための少なくとも1つの成分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記粘弾性流体は生体適合性がある請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記粒子は、生物学的サンプルから取得される請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記生物学的サンプルは、血液、血漿、リンパ液、尿、脳脊髄液(CSF)、または骨髄の少なくとも1つを含む請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記粒子は細胞を含む請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記細胞は血液細胞を含む請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記細胞は細菌を含む請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記細胞は生細胞を含む請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記粒子は、前記粒子上に存在する他の化合物または高分子に反応するかまたは結合する化合物または高分子を含む請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記結合した化合物は生物学的化合物を含む請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記結合した化合物は、たんぱく質またはDNAまたはRNAの少なくとも1つを含む請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記結合した化合物は、抗原または抗体の少なくとも一方を含む請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記粒子上に存在する前記他の化合物は、生物学的化合物または高分子を含む請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記粒子は磁気成分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記磁気成分は磁気コアを含む請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記粒子は強磁性成分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項36】
前記対物レンズによって生成される前記画像を電子的に取込む装置をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記取込まれた画像内の粒子を解析し、定性的または定量的結果の少なくとも一方を提供するために構成されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記結果は、粒子の形状、粒子のタイプ、生理学的状態の指示、または病理学的状態の指示の少なくとも1つを含む請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記結果は、粒子計数、粒子濃度、粒子サイズ、粒子サイズ分布、粒子形状、またはその派生物の少なくとも1つを含む請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記結果は、細胞タイプの確定を含み、前記細胞タイプについて、前記結果は、細胞計数、細胞濃度、細胞サイズ、細胞サイズ分布、細胞形状、細胞形態、またはその派生物の少なくとも1つを含む請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記結果は、日常的な臨床試験結果のうちの少なくとも1つを含む請求項37に記載の装置。
【請求項42】
前記結果は、日常的な臨床血液試験結果のうちの少なくとも1つを含む請求項37に記載の装置。
【請求項43】
前記結果は、生物学的または臨床的意義の少なくとも一方の値または指示の少なくとも一方を含む請求項37に記載の装置。
【請求項44】
前記結果は、髄膜炎の値または指示の少なくとも一方を含む請求項37に記載の装置。
【請求項45】
前記結果は、白血病の値または指示の少なくとも一方を含む請求項37に記載の装置。
【請求項46】
前記結果は、細菌感染の値または指示の少なくとも一方を含む請求項37に記載の装置。
【請求項47】
前記結果は、胎児の肺の成熟度の値または指示の少なくとも一方を含む請求項37に記載の装置。
【請求項48】
結果を提供することは、機械可読媒体上に前記結果を格納すること、前記結果を表示すること、または前記結果を印刷することの少なくとも1つを含む請求項37に記載の装置。
【請求項49】
ディスプレイスクリーンをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項50】
プリンタをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項51】
粒子を調査するキットであって、少なくとも1つのマイクロチャネルであって、マイクロチャネル内に流れる粘弾性流体内に懸濁された粒子を、前記流れに平行に少なくとも1次元アレイで整列させるのに適した、少なくとも1つのマイクロチャネルを持つように形成された少なくとも1つのカートリッジを備えるキット。
【請求項52】
カートリッジは、前記マイクロチャネル内で前記粘弾性流体を流すことを容易にする微細構造をさらに備える請求項51に記載のキット。
【請求項53】
前記カートリッジは、前記粘弾性流体または前記粘弾性流体の成分の少なくとも一方を含む請求項51に記載のキット。
【請求項54】
前記粘弾性流体または前記粘弾性流体の成分の少なくとも一方を含む請求項51に記載のキット。
【請求項55】
前記粒子の拡大画像を観測すること、または、前記粒子を解析することの少なくとも一方のための装置を備える請求項51に記載のキット。
【請求項56】
前記カートリッジは、顕微鏡スライドと互換性がある請求項51に記載のキット。
【請求項57】
オペレーションガイドを備える請求項51に記載のキット。
【請求項58】
粒子を解析する方法であって、
(a)少なくとも1つのマイクロチャネルを持つように形成された基材を設けること、
(b)前記マイクロチャネル内で粒子の懸濁液を流し、それにより、前記流れに平行に少なくとも1次元アレイで前記粒子を整列させるのに適した粘弾性流体を提供すること、
(c)解析のために粒子を提供すること、
(d)前記粘弾性流体内で前記粒子を懸濁させること、
(e)前記懸濁粒子を有する前記粘弾性流体を前記マイクロチャネル内に流すことであって、それにより、前記粒子が前記流体の流れに平行に少なくとも1次元アレイで整列する、流すこと、および、
(f)前記アレイの前記粒子にフォーカシングされた光学装置によって、前記マイクロチャネル内の前記粒子の画像を生成することを含む方法。
【請求項59】
前記画像を解析することをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
解析することは、
(a)前記光学装置によって生成される前記画像を取込むこと、および、
(b)前記取込まれた画像内の粒子を解析するように構成されたプログラムを、コンピューティングデバイスによって実行することを含む請求項59に記載の方法。
【請求項61】
解析することは、前記解析の定性的または定量的結果の少なくとも一方を提供することをさらに含む請求項60に記載の方法。
【請求項62】
結果を提供することは、機械可読媒体上に前記結果を格納すること、前記結果を表示すること、または前記結果を印刷することの少なくとも1つを含む請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記粒子は細胞を含む請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記粒子は生細胞を含む請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記粒子は血液細胞を含む請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記粒子は、他の化合物に反応するかまたは付着する化合物を含む請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記マイクロチャネル内に前記粘弾性流体を流すことは、圧力勾配を加えることを含む請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記粘弾性流体を流すことは、外的に加えられる、電気的力か、磁気的力か、遠心力か、または重力のどれか1つに無関係である請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1次元アレイは、2次元のほぼ平面のアレイである請求項58に記載の方法。
【請求項70】
前記粘弾性流体を提供することは、溶剤および前記マイクロチャネル内で粒子を整列させるのに十分な粘度および弾性を前記流体に提供する成分に溶解させることを含む請求項58に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−504764(P2012−504764A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529676(P2011−529676)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000945
【国際公開番号】WO2010/038230
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511080166)ピクセル メディカル テクノロジーズ リミテッド (1)
【出願人】(398058865)テクニオン リサーチ アンド デベロップメント ファウンデーション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】