説明

粘弾性生体高分子のための希釈濾過滅菌プロセス

製造されるヒアルロン酸製品は、変形性関節症の治療のための粘弾性の補充を含む、多数の外科的用途において使用されるが、従来の滅菌技術は、そのような高分子量粘弾性生体高分子の崩壊をもたらし、したがって不適当である。ヒアルロン酸などの高分子量生体高分子の濃縮滅菌溶液を得るためのプロセスが開示される。前記プロセスは、生体高分子の希釈調製物を用いる濾過滅菌、および希釈濾過滅菌生体高分子の限外濾過による所望の濃度への濃縮を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量生産に続いて、滅菌した、ヒアルロン酸などの粘弾性生体高分子を製剤化するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、大量生産に続く、粘弾性生体高分子の製剤化方法に関する。本発明が適用されてもよい生体高分子は、ホモ多糖およびヘテロ多糖、特に、グリコサミノグリカンとして知られている、ヘテロ多糖に分類されるものを含む。本発明における使用にとりわけ適切なグリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸(HA)、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、およびヘパラン硫酸である。
【0003】
HAは、N−アセチル−D−グルコサミンとのβ−(1−3)結合におけるD−グルクロン酸の、繰り返しの二糖単位から成る天然に存在する生体高分子であり、各二糖単位は、β−(1−4)結合によってその隣接単位に連結されている。ヒアルロン酸ナトリウム塩(NaHA)は、ヒトおよび脊椎動物の関節滑液、結合組織、眼の硝子体液、および健康な皮膚組織において生理的pHで見つけられ、いくつかの細菌種、特にストレプトコッカス属の細胞外分泌産物である。
【0004】
現在まで、製造したNaHA製品の主な医療用途は、白内障および眼内レンズ挿入のための眼科手術、しわを埋めるためおよび唇のサイズを増大させるための皮膚科学的用途、ならびにヒトおよび大型哺乳動物における変形性関節症の治療の粘弾性補充にある。特に膝における粘弾性の補充は、関節ネットワークの正常な流体力学的な恒常性を回復させること、ならびに応力に対する速効性の保護、潤滑、衝撃吸収、流体力学的抵抗、およびメカノケミカルバリアを提供することを目的とする。NaHAの関節内注射は、機能および可動性を改善し、痛みを減少させることが示された。
【0005】
製造したNaHAのより最近の医療用途は、医療器具の被覆剤、外科用癒着予防製品、薬剤送達媒体、骨置換材料、および創傷治癒材料を含む。
【0006】
市販されているNaHA製品は、BioLonTM、BiolonTMPrime、BioHyTM(すべてBiotechnology General(Israel)Ltd.から)、HyalartTM(Fidia)、SynviscTMHyalan G−F 20(Biomatrix)、HealonTM(Pharmacia)、BD ViscTM(Becton Dickinson)、およびOrthoviscTM(Anika Therapeutics)を含む。
【0007】
医薬品工業、化粧品工業、および食品工業における商業的適用については、粘弾性生体高分子の品質は、粘性、濃度、および分子量のパラメーターの組み合わせに依存する。たとえば、医薬品としての使用のためのHAは、十分な水分保持を確実にするために、高分子量でなければならないが、粘性は、投与および操作、たとえば注入性(syringeability)を容易にするために適度な状態でなければならない。雄鶏とさかおよびストレプトコッカス株を発酵させた培養ブロスなどの生物源において見つけられるNaHAは、非常に高分子量、つまり>3×106ダルトンであることが多い。しかしながら、その抽出、精製、および滅菌に使用される手順により、通常は、分子量が、天然化合物と比較して有意に低下した最終製品がもたらされる。
【0008】
たとえば、抽出の繰り返しに続くNaHAの凍結乾燥は、水分の昇華を誘発し、この最終結果として、高分子量分子が剪断される。低pH技術は、架橋の形成をもたらし、これらは、後のpH増加に際して破断し、NaHAの剪断の一因となる。
【0009】
乾燥熱または湿性熱、液体化学薬品、エチレンオキサイドガス、UV照射、電子ビーム照射、γ線照射、マイクロ波、および超音波を利用するものなどの滅菌技術はすべて、線状分子の破断をもたらし、したがって、分子量が、最適な製品品質にとって重要なパラメーターとなる粘弾性生体高分子製品に不適当である。
【0010】
生物源からのNaHA製造は、当業者らによく知られている。典型的な大量精製プロセス(これには多くの変法がある)は、混入物を除去するために、抽出、沈殿、吸収、遠心分離、および/または濾過ステップの繰り返しを伴う。発酵させたストレプトコッカス培養物からのNaHAの単離のための手順は、たとえば米国特許第4,780,414号および米国特許第4,784,990号(共に、BioTechnology General(Israel)Ltd.に譲渡)、米国特許第5,563,051号、米国特許第5,411,874号(Fermentech Medical)、米国特許第5,071,751号(譲受人Chisso Corp.)、ならびに米国特許第5,316,916号において開示される。
【0011】
米国特許第5,023,175号(譲受人Kabushiki)は、凍結乾燥前に最終ステップとして透析限外濾過を用いる、化粧品グレードNaHA(MW 2.1×106)の精製に関する。
【0012】
米国特許公開第2002/0120132号は、温度制御反応装置および主張されるところによると従来の方法よりも少ないエタノールを伴う、NaHA(MW>7.5×105)の精製に関する。精製されたNaHAは、真空下で乾燥させられるまたは凍結乾燥される。
【0013】
ストレプトコッカスの培養物からのNaHAの大量生産のための代替方法は、抽出/沈殿ステップを回避しており、たとえば英国特許第2,249,315号(譲受人Chisso Corp.)、国際公開第95/04132号(出願人Fidia Corp.)、および米国特許第6,489,467号(譲受人Chemedica)において開示されるような連続的な濾過技術に主に依存する。
【0014】
上記のもののどれも、NaHAなどの高度に精製され、大量生産された粘弾性生体高分子を、医薬としての使用に適した最終滅菌製品に製剤化するプロセスを開示しない。
【0015】
米国特許第4,141,973号(譲受人Biotrics)は、雄鶏とさか由来の物質の大規模精製および滅菌リン酸緩衝生理食塩水中での最終製品の溶解によって生成される滅菌HAを開示する。しかしながら、製剤は、測定可能な量のタンパク質および他の不純物を有する。
【0016】
米国特許第4,517,295号(譲受人Diagnostic Inc.)は、滅菌濾過が最終ステップであるプロセスによって調製される、ストレプトコッカス由来NaHA製品を開示する。開示される方法は、低分子量NaHA(平均MW5.5×104ダルトン)を生産するという不都合を欠点として有する。
【0017】
米国特許第5,093,487号(譲受人Mobay Corp.)および米国特許第5,316,926号(譲受人Miles Inc.)は、機械的なワインディング(winding)技術を含む精製方法に続く、ストレプトコッカス由来NaHA製剤(平均MW1〜2×106ダルトン)の最終濾過滅菌を開示する。ワインディング技術の目的は、分子量および粘性の両方を増加させることであり、この後に、主張されるところによると分子量に影響を与えることなく粘性を低下させるために、熱処理または濾過が実施される。ワインディング方法は、NaHAの化学組成物に対するその知られていない影響にとって不利である。
【0018】
米国特許第4,782,046号(譲受人Mobay Corp.)は、注入器充填前の濾過滅菌および/またはβ−プロピオラクトン処理による、最終NaHA製品(一般に3.0×106ダルトン未満の平均MW)の調製に関する。β−プロピオラクトン処理は、その微量が、加水分解の後に調製物中に残るかもしれず、NaHAの化学構造に悪影響を与えるかもしれないので、不利である。
【0019】
米国特許第5,079,236号(譲受人Hyal Pharmaceutical Corp.)は、任意選択でステロイドを含有する、精製されたNaHA(平均MW5〜20×104)を、防腐剤、たとえば安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、およびプロピルパラベンの加熱溶液中に溶解し、pHおよび容量を調節し、バイアルを充填し、オートクレーブ中でバイアルを滅菌することによる、製剤の調製に関する。オートクレーブ滅菌は、NaHA分子量に対して有害である。
【0020】
米国特許第5,411,874号および米国特許第5,563,051号(譲受人Fermentech)は、沈殿の繰り返しによって精製されるNaHA(平均MW1.6〜2.5×106)を、滅菌したリン酸緩衝生理食塩水中に溶解することによる、医薬グレードNaHA溶液の調製に関する。
【0021】
国際公開第01/28602(出願人Genetics InstituteおよびFidia)は、HAエステルおよび骨形成タンパク質を含む注射用製剤に関する。
【0022】
米国特許第6,221,854号(譲受人Orquest)は、NaHAおよび成長因子を含む注射製剤に関する。
【0023】
上記のもののどれも、NaHAなどの、大量生産され、精製された粘弾性生体高分子を、医薬としての使用に適した最終製品に製剤化するための、工業的に適用可能な方法を開示しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、NaHAなどの大量生産され、精製された粘弾性生体高分子を、医薬としての使用に適した最終製品に製剤化するための方法を提供することである。
【0025】
本発明の目的は、ヒトおよび動物における眼球および関節内の空隙への注射による投与に適した高分子量粘弾性HAを含む製剤を生産することである。
【0026】
本発明の目的は、製造または製剤化のいかなる段階においてもNaHAを凍結乾燥にかけることなく、大量生産によって得られるNaHAを、医薬としての使用に適した、平均分子量3×106またはそれ以上の最終製品に製剤化するための工業プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、粘弾性生体高分子を製剤化するためのプロセスであって、
i.大量生産された可溶性生体高分子を、滅菌濾過に適した膜を通過させることによって滅菌濾過するステップおよび
ii.所望の最終濃度が得られるまで、生体高分子を限外濾過によって濃縮するステップを含むプロセスを提供する。
【0028】
本発明はまた、粘弾性生体高分子を製剤化するためのプロセスであって、
i.少なくとも、滅菌濾過に適したものとなるように十分に希釈された濃度まで、大量生産された生体高分子を適切な緩衝培地中に溶解するステップ、
ii.生体高分子を、滅菌濾過に適した膜を通過させることによって滅菌濾過するステップ、および
iii.所望の最終濃度が得られるまで、生体高分子を限外濾過によって濃縮するステップを含むプロセスをも提供する。
【0029】
本発明はまた、ヒアルロン酸の粘弾性調製物を製剤化するためのプロセスであって、
i.少なくとも、滅菌濾過に適したものとなるように十分に希釈された濃度まで、大量生産されたヒアルロン酸を適切な緩衝培地中に溶解するステップ、
ii.溶解されたヒアルロン酸を、0.2ミクロン無水膜を通過させることによって滅菌濾過するステップ、および
iii.所望の最終濃度が得られるまで、限外濾過によってヒアルロン酸を濃縮するステップを含むプロセスをも提供する。
【0030】
さらなる実施形態において、粘弾性生体高分子は、大量生産または製剤化のいかなる段階においても凍結乾燥にかけられない。
【0031】
本発明は、HAなどのグリコサミノグリカン生体高分子での使用に適している。本発明は、高分子量の粘弾性生体高分子、たとえば、1×104〜1×107ダルトンの範囲の分子量を有し、600〜1200の範囲の擬塑性指数(pseudoplasticity index)を有するHAでの使用に最も適している。
【0032】
本発明によって提供される製剤は、高度に精製され、滅菌されており、好ましい流体力学的特性を有し、ヒトおよび動物における眼球および関節内の空隙への注射に適切な形態をしている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、粘弾性生体高分子を製剤化するためのプロセスであって、
i.少なくとも、滅菌濾過に適したものとなるように十分に希釈された濃度まで、大量生産された粘弾性生体高分子を適切な培地中に溶解するステップ、
ii.溶解された粘弾性生体高分子を、滅菌濾過に適した膜を通過させることによって滅菌濾過するステップ、および
iii.所望の最終濃度が得られるまで、滅菌濾過された粘弾性生体高分子を限外濾過によって濃縮するステップを含むプロセスを提供する。
【0034】
本発明の方法は、高度に精製された滅菌製剤が必要とされる、粘弾性生体高分子での使用に適している。粘弾性生体高分子は、たとえば1×104〜1×107ダルトンの、分子量の広い範囲内にあってもよいが、粘性が、濃度および分子量の両方の関数となるので、前記方法は、高分子量の粘弾性生体高分子での使用に特に最も適している。本発明の方法によれば、大量生産され、高度に精製された粘弾性生体高分子は、生体高分子剪断の一因とならない、加えられる圧力で、濾過装置のその効率的な通過を可能にするために、比較的低濃度で滅菌濾過される。パッケージまたは器具充填前の製剤化プロセスの最終ステップとして、滅菌生体高分子は、限外濾過によって所望の最終濃度に濃縮される。
【0035】
本明細書において使用する場合、用語「高分子量」は、製剤化されることとなる特定の生体高分子に依存するが、一般に、1×106ダルトンを超える分子量を指す。高分子量HA粘弾性生体高分子は、一般に、1×106〜1×107ダルトンの範囲、特に2.5×106〜5.0×106ダルトンの範囲にある。前記方法はまた、分子量を意図的に低下させた粘弾性生体高分子調製物にも適用可能である。たとえば、HAの分子量が低下した調製物は、米国特許第6,383,344号において記載されるように放射処理の後にまたは米国特許第6,232,303号において記載されるように超音波および次亜塩素酸ナトリウムを用いた処理によって得られてもよい。本発明の方法において有用なHA粘弾性生体高分子の他高分子量は、少なくとも約1×106ダルトン、少なくとも約1×107ダルトン、または少なくとも約1×108ダルトンであってもよい。
【0036】
本発明の方法において有用な他のさらなる高分子量HA粘弾性生体高分子は、約2.5×106ダルトン以下、約5.0×106ダルトン以下、約1×107ダルトン以下、または約1×108ダルトン以下であってもよい。その代わりとして、高分子量HA粘弾性生体高分子は、約1×106〜約2.5×106ダルトン、約1×106〜約5.0×106ダルトン、約1×106〜約1×107ダルトン、約1×106〜約1×108ダルトン、約2.5×106〜約5.0×106ダルトン、約2.5×106〜約1×107ダルトン、約2.5×106〜約1×108ダルトン、約5.0×106〜約1×107ダルトン、約5.0×106〜約1×108ダルトン、または約1×107〜約1×108ダルトンであってもよい。
【0037】
本発明の方法に適した粘弾性生体高分子は、ホモ多糖であってもよい、つまり、単一のタイプの単糖から構築されてもよいまたはヘテロ多糖であってもよい、つまり、2つ以上の異なるタイプの単糖から構築されてもよい。ホモ多糖の例は、カルボキシメチルセルロース、キチン、ポリマンヌロン酸、カードランガム、スクレログルカン、およびデキストランを含む。ヘテロ多糖の例は、グリコサミノグリカン、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、およびキサンタンガムを含む。本発明の方法は、酸性ムコ多糖としても知られているグリコサミノグリカンに特に適しており、これは、2つの単糖のうちの1つが、常に、N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミンのいずれかである繰り返しの二糖単位から構成される。グリコサミノグリカンの例は、HA、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、コンドロイチン硫酸C、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、およびヘパラン硫酸を含む。ホモ多糖およびヘテロ多糖の両方は、線状構造または分岐構造をしていてもよい。生体高分子の構成成分である単糖は、酸加水分解によって放出されてもよく、薄層クロマトグラフィーおよび/または高圧液体クロマトグラフィーなどの分析技術によって検出されてもよい。
【0038】
粘弾性生体高分子は、水溶液中で可溶性であるべきである。10〜30℃の範囲の温度で可溶性の液体であるものは、本発明の方法に最も適しているが、高い温度でのみ可溶性のもの、たとえばローカストビーンガムもまた、本発明の方法を使用して製剤化されてもよい。水溶液中で通常不溶性の粘弾性生体高分子は、化学処理による誘導体化によって本発明の方法に適するようにしてもよい。たとえば、セルロースは、不溶性であるが、アルカリおよびクロロ酢酸とのセルロースの反応によって形成される誘導体カルボキシメチルセルロースは、可溶性であり、本発明の方法を使用して製剤化されてもよい。
【0039】
本発明によれば、生体高分子は、その天然形態であってもよい、または化学修飾および/もしくは誘導体化されていてもよい。化学修飾/誘導体化の例は、架橋(米国特許第6,552,184号)、硫酸基(国際公開第95/25751号;国際公開第98/45335号)、カルボキシル基、またはヒドロキシル基の追加、親油性側鎖の結合、アセチル基の導入、および追加部分が結合するまたは結合しないエステル化(欧州特許第216,453号;国際公開第98/08876号)を含む。追加部分は、薬剤、多糖、レクチン、造影剤、抗体などの標的タンパク質、成長因子などを含む。
【0040】
生体高分子の天然形態は、陰イオン性、陽イオン性、または中性塩形態であってもよい。
【0041】
本発明の方法は、HAに特に適している。ヒアルロン酸(HA)という用語は、たとえば米国特許第4,851,521号、米国特許第5,099,013号、米国特許第5,336,767号、および米国特許第6,017,901号において開示されるように、ヒアルロン酸;ヒアルロン酸ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リジン、アンモニウム、トリエタノールアミン、およびプロパノールアミンなどのその塩;ヒアルロン酸コバルト、亜鉛、銅、鉄、マンガン、およびリチウムなどのその金属塩;ならびにその化学修飾形態および誘導体化形態を意味する。
【0042】
本明細書において使用する場合、粘弾性という用語は、生体高分子溶液の流体力学的な挙動を指し、これは、剪断の影響下で、純粋に弾性の物質の特徴、つまり、エネルギーを保存することができる特徴、および純粋に粘性の物質の特徴、つまり、エネルギーを散逸し得る特徴の両方を示す。
【0043】
流体力学的な挙動は、特徴的で、かつ特異的であり、生体高分子の長さ、構造、および電荷の関数である。HAなどのいくつかの生体高分子は、非ニュートン挙動を示し、粘性が、剪断速度および温度の両方に依存し、それらは、偽塑性の挙動(「ずり減粘(shear−thinning)」としても知られている)を示し、これは、増加する剪断応力の関数として、溶液粘性が減少することを意味する。
【0044】
特定の生体高分子の粘性は、たとえばBrookfield粘度計を使用して、1組の個別の剪断速度および温度で定量化される。さらなる情報は、たとえばHaake回転式粘度計を使用して、剪断の連続的な範囲にわたり得られてもよい。
【0045】
粘弾性は、高剪断速度、たとえば1000秒-1の粘性に対する低剪断速度、たとえば0.1秒-1の粘性の比として定量されてもよい。本明細書において使用する場合、粘弾性は、1000秒-1の加えられる剪断速度で測定される粘性に対する0.1秒-1の加えられる剪断速度で測定される粘性の比を指す。この比はまた、擬塑性指数(PI)としても知られている。
【0046】
PI=剪断速度0.1秒-1での粘性/剪断速度1000秒-1での粘性。
【0047】
本明細書において使用する場合、粘弾性生体高分子は、約500よりも大きな擬塑性指数を有する。PIは、異なる条件下での生体高分子の挙動を特徴づけるためのおよび異なる生体高分子溶液の間の流体力学的な品質を比較するための有用な指数である。
【0048】
粘弾性の補充に使用され、関節内注射によって投与されるHAなどの生体高分子は、それが、注射の後に非流動支持体として貢献することができるように、低い剪断速度で高い粘性を必要とするが、生体高分子はまた、高い剪断速度で低い粘性を必要とする、つまり、生体高分子が、たとえば注射によって送達されている間に(たとえば注射器および針を通って)、送達が、適度で、容易で、かつ正確となり得るように、高い剪断速度で低い粘性を必要とする。したがって、生体高分子溶液のPIは、その注入性に直接影響を及ぼす。
【0049】
注入性は、注射器または注射器様の適用器具から生体高分子溶液を押し出すのに必要とされる応力である。注入性は、応力指示器、たとえばMecmesin Force Indicatorを使用して試験されてもよく、g(重力)の単位で表現される。たとえば、200gの応力は、医師が、注射器からNaHA溶液を効率的に押し出し、所望の位置、たとえば関節内または眼球の空隙に導入される物質の量を同時に制御するのを可能にする。
【0050】
本発明によれば、生体高分子は、生物源から得られてもよい、またはインビトロ酵素合成もしくは化学合成またはその組み合わせの製品であってもよい。生物源は、細菌、酵母、植物、両生動物、鳥類、または哺乳動物の生物であってもよい。たとえば、HAは、発酵させたストレプトコッカスの培養物、ヒト臍帯、ウシ軟骨、または雄鶏とさかのうちのいずれかから単離されてもよい。HA、セルロース、ポリマンヌロン酸、およびキチンを含む多糖のインビトロ酵素合成は、国際公開第95/24497号において記載される。HAのインビトロ合成のための組換え産生ヒアルロン酸シンターゼ酵素の使用は、米国特許第6,602,693号において記載される。前述の供給源のうちのいずれかから得られるHAは、たとえば米国特許第4,851,521号、米国特許第4,713,448号、米国特許第5,336,767号、および米国特許第5,099,013号において記載されるように、続いて、化学修飾されてもよいまたは誘導体化されてもよい。
【0051】
細菌発酵の製品であるさらなる粘弾性生体高分子は、たとえばアルカリゲネス フェカリスによって産生されるカードランガム(β−1−3−D−グルカン)、スフィンゴモナス エロデアによって産生されるゲランガム(グリセリル置換基およびアセチル置換基を有する、L−ラムノースおよびD−グルコースの四糖主鎖)、ならびにキサントモナス カンペディスによって産生されるキサンタンガム(マンノースおよびグルクロン酸の側鎖を有するβ−1−4−D−グルカン)を含む。
【0052】
HA製造の分野において、大量精製の上流プロセスは、当業者らによく知られている多くの変法を有する。ストレプトコッカスを発酵させた培養物から、高分子量HAを含有する溶液を大量生産するためのプロセスは、たとえば米国特許第5,563,051号および米国特許第5,316,916号において開示される。最終製品としてHAの固体形態を産生する他の大量生産プロセスは、米国特許第4,780,414号において記載される。
【0053】
しかしながら、普通の方法が、パッケージまたは器具充填前の操作の最終順序として連続して濃縮および滅菌を実施することであるという点で、製剤化の下流プロセスは、それほど可変的ではない。実際に、生物製剤工業における普通の最良の方法によれば、滅菌は、充填前の最終ステップであり、中間ステップは、混入の可能性を最小限にするために特に回避される。
【0054】
本発明のプロセスにおいて、普通の工業的方法は、意外にも回避され、実際に、滅菌(孔径0.22ミクロンまたはそれ未満の無水濾過器による濾過による)が濃縮(限外濾過による)前に実施される点において、逆転している。濃縮ステップは、無菌的に実施され、最終製品は、滅菌性または他の品質パラメーターを何ら損なうことなく、最も高い基準の医薬品グレードとなると予想し得る。実際に、高分子量および粘性のHA製品が、濃縮ステップを、滅菌濾過および充填の間の中間ステップとして実施する無菌的大規模で製剤化され得ることは予想外である。
【0055】
操作のこの予想外の順序は、HAなどの高分子量粘弾性生体高分子に適用される場合、非常に有利である。そのような重要な1つの側面は、大量生産され、溶解されたHA(たとえば0.1%;1mg/ml)が、許容可能な流速(たとえば最小の流速750ml/分)を達成するために工業的に適用可能なレベルの圧力で滅菌濾過器を容易に通過することである。HA溶液が滅菌濾過器を通過するようにかけられる圧力は、HAの分子量に悪影響を与えないように十分に軽度なものとする。
【0056】
高い生体高分子の濃度により、滅菌濾過器装置を繰り返し閉塞するので、たとえば1%または10mg/mlに濃縮し、最終滅菌が後に続く逆のプロセスは、実際には、高分子量粘弾性生体高分子では実施不可能であり、最終的に、非効率的で不経済な手順となる。
【0057】
さらに、本発明の方法を使用すると、大量生産され、濾過滅菌されたHAは、HAを、異なる最終濃度にしてもよいおよび/または異なる最終製剤向けにさらなる滅菌賦形剤もしくは有効成分と混合されてもよいという点において、柔軟な中間製品である。
【0058】
本発明の方法によれば、粘弾性生体高分子の滅菌は、ポリマーの高分子量構造を保持するために、適切な膜による濾過によって実施しなければならない。乾燥熱または湿性熱、液体化学薬品、エチレンオキサイドガス、UV照射、電子ビーム照射、γ線照射、マイクロ波、または超音波を利用するものなどの代替滅菌技術は、HAの破断などのように長い線状分子の破断をもたらす。
【0059】
本発明に適した好ましい大量生産プロセスは、広範囲の物理化学的パラメーターおよび純度パラメーターに関してバッチ間ベースで均質である粘弾性生体高分子製品を一貫して産生するプロセスである。大量生産プロセスは、本質的に、生産供給源(たとえば細菌培養物)からおよび抽出試薬(たとえばエタノールまたは塩化セチルピリジニウム)から生じる少量の不純物を除去するために十分に厳密でなければならない精製プロセスであり、これらはすべて、患者に投与された場合、有害反応を引き起こし得る。患者への注射が意図されるHAなどの製品については、大量生産されたHAの製造、規格、および特徴づけは、毒性、内毒素レベル、および滅菌性の評価のための国際的に承認された基準およびガイドラインに従うべきである。
【0060】
その一方で、大量生産プロセスは、HA分子の過度の剪断をもたらし、その分子量をたとえば約3×106ダルトン未満にもしくは粘性を付随的に低下させるまたはその他に、HA分子の特徴的な特性からの乖離をもたらすステップを含むべきでない。
【0061】
適切な大量生産プロセスは、たとえば米国特許第4,780,414号において開示される。そのようなプロセスは、
i.エタノールを用いて、非溶血性非病原性のヒアルロン酸産生発酵ストレプトコッカス株の培養ブロスを沈殿させるステップ、
ii.ステップ(i)において得られる沈殿物を塩化ナトリウム/エタノール/木炭中に溶解するステップ、
iii.塩化セチルピリジニウムを用いて、ステップ(ii)において得られる、溶解された物質を沈殿させるステップ、
iv.ステップ(iii)において得られる沈殿物を塩化ナトリウム/エタノール中に溶解するステップ、
v.ケイ酸マグネシウムを用いて、ステップ(iv)において得られる、溶解された物質を処理するステップ、
vi.ステップ(v)において得られる、処理された物質を0.65ミクロン無水膜によって濾過するステップ、および
vii.エタノールを用いて、ステップ(vi)において得られる濾液を沈殿させるステップを含む。
【0062】
大量生産および製剤化は、HAの分子量が、高分子量HAの所望の値、たとえば3.0±0.6メガダルトンを超過する培養ブロスバッチ上でのみ実施されるべきである。
【0063】
好ましくは、大量生産プロセスは、バイオバーデンがゼロであるまたは実質的に0に近い製品を産生するべきである。好ましくは、ゼロのまたは実質的に0に近いバイオバーデンは、大量生産プロセスを通しておよそ中間点で、たとえば前述のプロセスの第2の溶解ステップから達成されるべきである。沈殿したHAは、好ましくは、エタノール下で保存され、その後、真空乾燥され、大量生産されたHAを製剤化プロセス前の混入から保護するために、滅菌容器中で4℃で保存される。
【0064】
大量生産されたHAは、バッチ間の一貫性および品質を検証し、それによって、大量生産プロセスの効率および適合性を評価するために、純度、分子量、粘性、pH、比旋光度、濃度、HA含有量%、および他の必要なパラメーターの評価によって特徴づけられるべきである。好ましくは、大量生産されたHAの純度は、内毒素含有量が、<0.25EU/ml、より好ましくは<0.10EU/mlであり、タンパク質含有量が、<1mg/gであり、1%溶液の257nmでの吸光度が、<0.20であり、550nmでの酸化バースト吸光度が、<0.10であり、好気性細菌の生菌数が、<4CFU/gである。好ましくは、大量生産されたHAの品質は、pHが、6.0〜8.0であり、比旋光度が、72.8°〜90.8°であり、極限粘度数が、2680〜3410ml/gであり、分子量が、2.4〜3.6×106ダルトンである。
【0065】
HAは、240nmを上回る波長で有意には吸収しないので、240〜300nmの範囲における任意の有意な吸光度は、タンパク質および核酸などの有機的な混入物に起因する。257nmでの吸光度は、ヌクレオチド、DNA、またはRNAによる混入を示すが、280nmでの吸光度は、タンパク質またはアミノ酸による混入を示す。ある限界、たとえば0.2を下回る257nmでの吸光度は、HA純度の指標として好都合に使用される。実質的にゼロに近い、たとえば<0.08である、測定された吸光度は、絶対的な純度を示す。
【0066】
純度評価は、大量生産プロセスにおいて使用される精製試薬、たとえばエタノール、洗浄剤の分析をさらに含む。そのような分析は、HPLCによって好都合に実施され、試薬が実質的に存在しないことを示すべきである。
【0067】
細菌内毒素(リポ多糖)は、たとえば比濁時間分析LALアッセイを使用することによって定量されてもよい(Yinら(1972)Biocim.biophys.Acta.261:284〜289ページを参照されたい)。
【0068】
炎症性物質は、たとえば米国特許第4,780,414号において記載されるように、試験物質の腹腔内注射の後に酸化バースト活性を定量するマウス腹腔浸出細胞アッセイを使用して評価されてもよい。
【0069】
測定された比旋光度は、溶液中のHAの特徴的な濃度依存性の偏光に関する。所与の濃度で、特定の波長での偏光度は、その比旋光度定数[α]によって特徴づけられる、分子の固有の特性であり、この値は、科学文献から分かる(Meyerら(1956)Biochim Biophys Acta 21:506〜518ページ;Swannら(1968)Biochim Biophys Acta 156:7〜30ページ)。
【0070】
したがって、HA濃度は、次式を使用して推定してもよく、
c=R×1000
[α]
ここで、Rは、旋光計の読取度数であり、c=濃度(g/L)である。
【0071】
HA濃度はまた、カルバゾール比色分析によって推定してもよく(BitterおよびMuir(1962)Anal.Biochem.4:330〜334ページ)、これは、完全な加水分解に際して放出されるHAグルクロン酸残基とのカルバゾール試薬の反応に基づくものである。
【0072】
大量生産されたHAの分子量は、実施例1および米国特許第4,780,414号において記載されるように、粘度計測定から得られる極限粘度数または固有粘度(質量当たりの体積で表現される)および経験的に確立されたMark‐Houwinkの式を使用して決定される。
【0073】
HA分子量の絶対測定は、当技術分野において知られているように、低角度レーザー光散乱(LALLS)法を使用して達成されてもよい。
【0074】
生体高分子溶液の粘性は、たとえばBrookfield LVTD粘度計を使用して個別の剪断速度でおよびたとえばHaake回転式粘度計を使用して連続的な範囲の剪断速度にわたって測定されてもよい。
【0075】
大量生産されたHAバッチが、十分な純度、濃度、粘性、および分子量であるという決定に際して、本発明の方法による製剤化プロセスは、開始されてもよく、すべてのステップは、好ましくは、クリーンルーム条件下で行なわれる。大量生産されたHAは、固体形態において、つまり、沈殿および真空乾燥の後に、最も好都合なものとなり、本発明のプロセスを使用して、それは、所望の培地、たとえば緩衝剤および賦形剤中で製剤化されてもよい。
【0076】
好ましくは、生体高分子は、大量生産または製剤化のいかなる段階においても凍結乾燥にかけられない。
【0077】
適切な量の、大量生産されたHAは、滅菌濾過を可能にする適切な濃度を達成するために適した培地中に溶解される。
【0078】
生体高分子溶解に適した培地は、最終製剤において見つけられる緩衝剤および/または主要な賦形剤を含む。注射が意図される生体高分子製剤については、そのような緩衝剤または賦形剤は、好ましくは、生理学的に許容可能であるべきである。適切な培地は、塩化ナトリウム、リン酸緩衝生理食塩水、ならびに金属塩を含むクエン酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、およびベンジルアルコニウム塩を含有する緩衝剤を含む。溶解培地は、キレート剤、等張性作用物質、抗生物質、抗ウイルス物質、防腐剤、および界面活性剤などの、最終製剤中に存在するさらなる賦形剤をさらに含んでいてもよい。溶解培地は、抗生物質、抗菌薬、抗ウイルス物質、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド、成長因子、プロスタグランジン、ビタミン、酵素、酵素阻害剤、酸化防止剤、抗ヒスタミン剤、プロドラッグ、麻酔薬、鎮痛薬、血圧降下薬、および抗血管新生薬などの、さらなる薬学的に活性の作用物質をさらに含んでいてもよい。
【0079】
生体高分子溶解については、適切な容器は、温度が4〜50℃である注射用水(WFI)(最終容量の70〜80%)と共に充填される。適切な量の培地試薬(乾燥または液体)は、追加され、撹拌され、これの後に、適切な量の、大量生産された生体高分子は、追加される。生体高分子濃度が、後の滅菌濾過を可能にする溶液を達成するために、WFIは、適切な最終容量まで追加される。生体高分子の完全溶解が達成されるまで、典型的にはHAについては10〜36時間、撹拌プロセスは実施される。
【0080】
任意選択で、賦形剤は、たとえば界面活性剤が過剰に起泡するのを回避するために、撹拌期間の終わりごろ追加されてもよい。
【0081】
溶解に適切な容器は、ダブルスパイラル型などの混合装置が取り付けられており、工業規模容量能力を有する。容器は、自然照明または人工照明から生体高分子を保護するために閉鎖されているべきであり、それによって、光子束(photo flux)の影響を回避する。同様に、溶解容器の材質は、生体高分子に対して不活性であるべきである。
【0082】
溶解プロセスによって達成される濃度は、生体高分子の分子量に悪影響を与えない、かけられる圧力(たとえば10〜15psi)を使用して、工業的に許容可能な流速(たとえば750ml/分)での滅菌濾過を可能にするものであるべきである。
【0083】
分子量約3×106ダルトンのHAについては、溶解に続く適切な濃度は、0.1〜0.13%;1.0〜1.3mg/mlである。
【0084】
本発明の方法によれば、生体高分子溶解は、滅菌ユニット中に収容される適切な濾過器を使用する滅菌濾過が後に続く。好ましくは、溶解容器および滅菌ユニットは、着脱可能で、モジュール方式で、滅菌可能な適切な管材料および弁機構によって物理的に接続される。溶解ユニットおよび滅菌ユニットは、別個の部屋に位置していてもよく、接続している管材料および弁機構は、部屋を分ける壁を通って位置している。滅菌ユニットは、入口および出口の弁などの関連する部品の定置滅菌(SIP)および定置洗浄(CIP)を実施するための手段が取り付けられるべきである。
【0085】
滅菌ユニット中の濾過器は、0.05〜0.2μmの実寸孔径を有するべきであり、適切な負荷法(challenge regimen)を使用して、細菌およびウイルス粒子の保持について確認するべきである。濾過器はまた、好ましくは、内毒素粒子保持のためにも段階的なものとする。濾過器は、親水性または疎水性であってもよく、生体高分子の疎水性および電荷に基づいて選択されるべきである。濾過器を滅菌するために使用される材料は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、セルロース、酢酸セルロース、セルロース混合エステルまたは他のセルロース誘導体、およびナイロンを含むが、これらに限定されない。適切な滅菌濾過器のメーカーは、Millipore、Meissner、Sartoriusなどを含むが、これらに限定されない。
【0086】
濾過器は、好ましくは、工業目的で設計されたカートリッジ中に収容される。そのようなカートリッジは、様々な長さで、最も一般には10、20、および30インチで普通供給され、したがって異なる濾過表面積を提供する。たとえば、30インチのDuraporeTM0.2μm(Millipore)濾過器カートリッジは、20,700cm2の表面積を提供する。
【0087】
0.1%NaHAの溶液の典型的な滅菌プロセスにおいて、長さが30インチの親水性0.2μm濾過器カートリッジ、たとえばDuraporeTM(Millipore)またはSartobranTM(Sartorius)は、使用される。濾過は、10〜15psi下で実施され、1.5〜2バールの背圧は、各15〜20Lの溶液に応じて加えられる。約750ml/分の最小の流速は、維持されるべきである。濾過器は、各使用前後に、泡立ち点および拡散の試験にかけるべきである。濾過器は、メーカーの推奨による洗浄および滅菌ならびに再使用される濾過器の滅菌特性の確認の後に再使用されてもよい。
【0088】
滅菌濾過された生体高分子は、適切な管材料および弁機構を介して滅菌ユニットに接続される濃縮ユニットに供給される。濃縮ユニットのすべての入口および出口のポイントは、関連する部品のSIPおよびCIPを実施するための手段が取り付けられるべきである。
【0089】
濃縮ユニットは、限外濾過膜が取り付けられている。限外濾過膜は、セラミック、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、加水分解されたPESもしくはPVDF、またはステンレス鋼の膜であってもよい。限外濾過膜は、プレートおよびフレーム、中空糸、またはからせん巻の構成をしていてもよい。適切なセラミック膜は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、またはその混合物から成っていてもよい。限外濾過膜は、0.002〜0.1μmの孔径を有するべきであり、50nmの孔径はHAに好ましい。
【0090】
生体高分子の所望の最終濃度が達成されるまで、限外濾過による濃縮は、継続される。たとえば、NaHAのための所望の最終濃度は、1.0〜2.0%;10〜20g/Lである。
【0091】
限外濾過プロセスの効率は、限外濾過液と比較した、残余分中の生体高分子の濃度を決定することによって評価し得る。限外濾過液中の最小濃度、たとえば、残余分中のものと比較して1%未満は、許容可能なレベルの効率を示す。
【0092】
所望の濃度への濃縮の後に、生体高分子溶液は、製品の均一性を確実にするためにガス抜きおよび撹拌が実施される中間タンクに任意選択で移されてもよい。
【0093】
その後、最終的な製剤化生体高分子製品は適切な自動化充填機に移されるが、その際には、バイアル、注射器、カテーテル、またはネブライザーなどの適切な滅菌パッケージまたは送達器具のユニットを充填するために、均一な一定分量、たとえば0.5ml、1.0ml、または2.0mlが使用される。
【0094】
製剤化された生体高分子は、大量生産された生体高分子の評価について実施されるように、重要な品質パラメーター、特に分子量、濃度、粘性、重量オスモル濃度、純度、内毒素含有量、吸光度、pH、およびバイオバーデンについて評価されるべきである。注入性およびパッケージ完全性などの最終製剤化製品と関連するさらなるパラメーターもまた評価される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性粘弾性生体高分子を製剤化するためのプロセスであって、
(i)大量生産された可溶性生体高分子を、滅菌濾過に適した膜を通過させることによって滅菌濾過するステップ、および
(ii)生体高分子を限外濾過によって所望の最終濃度に濃縮するステップ
を含むプロセス。
【請求項2】
生体高分子が、ホモ多糖、ヘテロ多糖、およびその混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ホモ多糖が、カルボキシメチルセルロース、キチン、ポリマンヌロン酸、カードランガム、およびデキストランから成る群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
ヘテロ多糖が、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、寒天、アルギン酸、カラギーナン、ゲラン、グアーガム、ローカストビーンガム、およびキサンタンガムから成る群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
生体高分子が、生物源、インビトロ酵素合成、化学合成、および2つ以上のそのような供給源の組み合わせから成る群から選択される供給源から得られる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
生物源が、細菌、酵母、植物、両生動物、鳥類、および哺乳動物から成る群から選択される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
生物源から得られる生体高分子が、化学修飾をさらに含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
化学修飾が、硫酸基の追加、カルボキシル基の追加、ヒドロキシル基の追加、アセチル基の追加、エステル化、および架橋から成る群から選択される修飾を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
粘弾性生体高分子が、1×104〜1×107ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
粘弾性生体高分子が、3×106±0.6×106ダルトンの平均分子量を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
細菌が、ストレプトコッカス属の株である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項12】
細菌が、ストレプトコッカス エクイ、ストレプトコッカス パイロージェン、ストレプトコッカス エクイシミリス、ストレプトコッカス ディスガラクティエ、およびストレプトコッカス ズーエピデミカスから成る群から選択されるストレプトコッカス種である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
ストレプトコッカス株が、非溶血性であり、非病原性である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
大量生産された生体高分子が、ストレプトコッカス株を発酵させた培養ブロスから単離される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
大量生産された生体高分子が、ヒアルロン酸である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
大量生産されたヒアルロン酸が、不純物を実質的に含まない、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
大量生産されたヒアルロン酸が、細菌内毒素を実質的に含まない、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
細菌内毒素のレベルが、<0.25EU/mlである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
大量生産されたヒアルロン酸が、細菌細胞を実質的に含まない、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
細菌細胞の生菌数が、<100CFU/gである、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
細菌細胞の生菌数が、<50CFU/gである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
細菌細胞の生菌数が、<10CFU/gである、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
大量生産されたヒアルロン酸が、タンパク質を実質的に含まない、請求項16に記載のプロセス。
【請求項24】
タンパク質のレベルが、<1mg/gである、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
ステップ(i)における大量生産された可溶性生体高分子の濃度が、<0.2%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項26】
濃度が、0.10〜0.13%である、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
濃縮が、限外濾過によって実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項28】
限外濾過が、セラミック膜を使用して実施される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
所望の最終濃度が、0.8〜3.0%w/vの範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
【請求項30】
所望の最終濃度が、約1.0%w/vである、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
所望の最終濃度が、約1.2%w/vである、請求項29に記載のプロセス。
【請求項32】
所望の最終濃度が、約2.0%w/vである、請求項29に記載のプロセス。
【請求項33】
生体高分子を、適切なパッケージング器具に無菌充填するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項34】
パッケージング器具が、注射器、バイアル、カテーテル、およびネブライザーから成る群から選択される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
製剤化された粘弾性生体高分子が、500〜4000の範囲の擬塑性指数(pseudoplasticity index)を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項36】
擬塑性指数が、600〜1200の範囲にある、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
擬塑性指数が、600〜800の範囲にある、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
滅菌濾過が、実寸孔径0.2ミクロンの膜を使用して実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項39】
粘弾性生体高分子を製剤化するためのプロセスであって、
(i)滅菌濾過のための希釈濃度を達成するために、大量生産された生体高分子を適切な緩衝培地中に溶解するステップ、
(ii)生体高分子を、滅菌濾過に適した膜を通過させることによって滅菌濾過するステップ、および
(iii)生体高分子を限外濾過によって所望の最終濃度に濃縮するステップ
を含むプロセス。
【請求項40】
生体高分子が、ホモ多糖、ヘテロ多糖、およびその混合物から成る群から選択される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
ホモ多糖が、カルボキシメチルセルロース、キチン、ポリマンヌロン酸、カードランガム、およびデキストランから成る群から選択される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
ヘテロ多糖が、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、寒天、アルギン酸、カラギーナン、ゲラン、グアーガム、ローカストビーンガム、およびキサンタンガムから成る群から選択される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項43】
生体高分子が、生物源、インビトロ酵素合成、化学合成、および2つ以上のそのような供給源の組み合わせから成る群から選択される供給源から得られる、請求項39に記載のプロセス。
【請求項44】
生物源が、細菌、植物、両生動物、鳥類、および哺乳動物から成る群から選択される、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
生物源から得られる生体高分子が、化学修飾をさらに含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項46】
化学修飾が、硫酸基の追加、カルボキシル基の追加、ヒドロキシル基の追加、アセチル基の追加、エステル化、および架橋から成る群から選択される修飾を含む、請求項45に記載のプロセス。
【請求項47】
粘弾性生体高分子が、1×104〜1×107ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項39に記載のプロセス。
【請求項48】
粘弾性生体高分子が、3×106±0.6×106ダルトンの平均分子量を有する、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
細菌が、ストレプトコッカス属の株である、請求項44に記載のプロセス。
【請求項50】
細菌が、ストレプトコッカス エクイ、ストレプトコッカス パイロージェン、ストレプトコッカス エクイシミリス、ストレプトコッカス ディスガラクティエ、およびストレプトコッカス ズーエピデミカスから成る群から選択されるストレプトコッカス種である、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
ストレプトコッカス株が、非溶血性であり、非病原性である、請求項49に記載のプロセス。
【請求項52】
大量生産された生体高分子が、ストレプトコッカス株を発酵させた培養ブロスから単離される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項53】
大量生産された生体高分子が、ヒアルロン酸である、請求項52に記載のプロセス。
【請求項54】
大量生産されたヒアルロン酸が、不純物を実質的に含まない、請求項53に記載のプロセス。
【請求項55】
大量生産されたヒアルロン酸が、細菌内毒素を実質的に含まない、請求項54に記載のプロセス。
【請求項56】
細菌内毒素のレベルが、<0.25EU/mlである、請求項55に記載のプロセス。
【請求項57】
大量生産されたヒアルロン酸が、細菌細胞を実質的に含まない、請求項53に記載のプロセス。
【請求項58】
細菌細胞の生菌数が、<100CFU/gである、請求項57に記載のプロセス。
【請求項59】
細菌細胞の生菌数が、<50CFU/gである、請求項58に記載のプロセス。
【請求項60】
細菌細胞の生菌数が、<10CFU/gである、請求項59に記載のプロセス。
【請求項61】
大量生産されたヒアルロン酸が、タンパク質を実質的に含まない、請求項54に記載のプロセス。
【請求項62】
タンパク質のレベルが、<1mg/gである、請求項61に記載のプロセス。
【請求項63】
ステップ(i)における溶解は、<0.2%の濃度で大量生産された可溶性生体高分子を産生する、請求項39に記載のプロセス。
【請求項64】
濃度が、0.10〜0.13%の範囲にある、請求項63に記載のプロセス。
【請求項65】
ステップ(ii)における濃縮が、限外濾過によって実施される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項66】
限外濾過が、セラミック膜を使用して実施される、請求項65に記載のプロセス。
【請求項67】
ステップ(iii)における所望の最終濃度が、0.8〜3.0%w/vの範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
【請求項68】
所望の最終濃度が、約1.0%w/vである、請求項67に記載のプロセス。
【請求項69】
所望の最終濃度が、約1.2%w/vである、請求項67に記載のプロセス。
【請求項70】
所望の最終濃度が、約2.0%w/vである、請求項67に記載のプロセス。
【請求項71】
生体高分子を、適切なパッケージング器具に無菌充填するステップをさらに含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項72】
パッケージング器具は、注射器、バイアル、カテーテル、およびネブライザーから成る群から選択される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項73】
製剤化された粘弾性生体高分子が、500〜4000の範囲の擬塑性指数を有する、請求項39に記載のプロセス。
【請求項74】
擬塑性指数が、600〜1200の範囲にある、請求項39に記載のプロセス。
【請求項75】
擬塑性指数が、600〜800の範囲にある、請求項39に記載のプロセス。
【請求項76】
滅菌濾過が、実寸孔径0.2ミクロンの膜を使用して実施される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項77】
緩衝培地が、金属塩を含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項78】
ヒアルロン酸の粘弾性調製物を製剤化するためのプロセスであって、
(i)滅菌濾過のための希釈濃度を達成するために、大量生産されたヒアルロン酸を適切な緩衝培地中に溶解するステップ、
(ii)溶解されたヒアルロン酸を、0.2ミクロン無水膜を通過させることによって滅菌濾過するステップ、および
(iii)ヒアルロン酸を限外濾過によって所望の最終濃度に濃縮するステップ
を含むプロセス。
【請求項79】
大量生産されたヒアルロン酸が、生物源、インビトロ酵素合成、化学合成、および2つ以上のそのような供給源の組み合わせから成る群から選択される供給源から得られる、請求項78に記載のプロセス。
【請求項80】
生物源が、細菌、酵母、植物、両生動物、鳥類、および哺乳動物から成る群から選択される、請求項79に記載のプロセス。
【請求項81】
生物源から得られる、大量生産されたヒアルロン酸が、化学修飾をさらに含む、請求項80に記載のプロセス。
【請求項82】
化学修飾が、硫酸基の追加、カルボキシル基の追加、ヒドロキシル基の追加、アセチル基の追加、エステル化、および架橋から成る群から選択される修飾を含む、請求項81に記載のプロセス。
【請求項83】
大量生産されたヒアルロン酸が、1×104〜1×107ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項78に記載のプロセス。
【請求項84】
大量生産されたヒアルロン酸が、3×106±0.6×106ダルトンの平均分子量を有する、請求項83に記載のプロセス。
【請求項85】
細菌が、ストレプトコッカス属の種である、請求項80に記載のプロセス。
【請求項86】
細菌が、ストレプトコッカス エクイ、ストレプトコッカス パイロージェン、ストレプトコッカス エクイシミリス、ストレプトコッカス ディスガラクティエ、およびストレプトコッカス ズーエピデミカスから成る群から選択されるストレプトコッカス種である、請求項85に記載のプロセス。
【請求項87】
ストレプトコッカス株が、非溶血性であり、非病原性である、請求項85に記載のプロセス。
【請求項88】
大量生産されたヒアルロン酸が、ストレプトコッカス株を発酵させた培養ブロスから単離される、請求項79に記載のプロセス。
【請求項89】
大量生産されたヒアルロン酸が、不純物を実質的に含まない、請求項78に記載のプロセス。
【請求項90】
大量生産されたヒアルロン酸が、細菌内毒素を実質的に含まない、請求項89に記載のプロセス。
【請求項91】
細菌内毒素のレベルが、<0.25EU/mlである、請求項90に記載のプロセス。
【請求項92】
大量生産されたヒアルロン酸が、細菌細胞を実質的に含まない、請求項89に記載のプロセス。
【請求項93】
細菌細胞の生菌数が、<100CFU/gである、請求項92に記載のプロセス。
【請求項94】
細菌細胞の生菌数が、<50CFU/gである、請求項93に記載のプロセス。
【請求項95】
細菌細胞の生菌数が、<10CFU/gである、請求項94に記載のプロセス。
【請求項96】
大量生産されたヒアルロン酸が、タンパク質を実質的に含まない、請求項89に記載のプロセス。
【請求項97】
タンパク質のレベルが、<1mg/gである、請求項96に記載のプロセス。
【請求項98】
ステップ(i)において得られる、溶解された、大量生産された生体高分子の濃度が、<0.2%である、請求項78に記載のプロセス。
【請求項99】
濃度が、0.10〜0.13%である、請求項98に記載のプロセス。
【請求項100】
濃縮が、限外濾過によって実施される、請求項78に記載のプロセス。
【請求項101】
限外濾過が、セラミック膜を使用して実施される、請求項100に記載のプロセス。
【請求項102】
所望の最終濃度が、0.8〜3.0%w/vの範囲にある、請求項78に記載のプロセス。
【請求項103】
所望の最終濃度が、約1.0%w/vである、請求項102に記載のプロセス。
【請求項104】
所望の最終濃度が、約1.2%w/vである、請求項102に記載のプロセス。
【請求項105】
所望の最終濃度が、約2.0%w/vである、請求項102に記載のプロセス。
【請求項106】
生体高分子を、適切なパッケージング器具に無菌充填するステップをさらに含む、請求項78に記載のプロセス。
【請求項107】
パッケージング器具が、注射器、バイアル、カテーテル、およびネブライザーから成る群から選択される、請求項106に記載のプロセス。
【請求項108】
製剤化されたヒアルロン酸が、500〜4000の範囲の擬塑性指数(pseudoplasticity index)を有する、請求項78に記載のプロセス。
【請求項109】
擬塑性指数が、600〜1200の範囲にある、請求項108に記載のプロセス。
【請求項110】
擬塑性指数が、600〜800の範囲にある、請求項109に記載のプロセス。
【請求項111】
滅菌濾過が、実寸孔径0.2ミクロンの膜を使用して実施される、請求項78に記載のプロセス。
【請求項112】
すべてのステップが、クリーンルーム条件下で実施される、請求項78に記載のプロセス。
【請求項113】
大量生産されたヒアルロン酸が、
(i)エタノールを用いて、非溶血性非病原性のヒアルロン酸産生発酵ストレプトコッカス株の培養ブロスを沈殿させるステップ、
(ii)ステップ(i)において得られる沈殿物を塩化ナトリウム/エタノール/木炭中に溶解するステップ、
(iii)塩化セチルピリジニウムを用いて、ステップ(ii)において得られる、溶解された物質を沈殿させるステップ、
(iv)ステップ(iii)において得られる沈殿物を塩化ナトリウム/エタノール中に溶解するステップ、
(v)ケイ酸マグネシウムを用いて、ステップ(iv)において得られる、溶解された物質を処理するステップ、
(vi)ステップ(v)において得られる、処理された物質を0.65ミクロン無水膜によって濾過するステップ、および
(vii)エタノールを用いて、ステップ(vi)において得られる濾液を沈殿させるステップを含むプロセスによって得られる
請求項78に記載のプロセス。
【請求項114】
請求項78に記載のプロセスによって得られる、哺乳動物への手術中の注射に適した粘弾性ヒアルロン酸の製剤。
【請求項115】
不純物が実質的になく、600よりも大きな擬塑性指数(pseudoplasticity index)を有する、請求項114に記載の製剤。
【請求項116】
3×106±0.6×106ダルトンの平均分子量を有する、請求項115に記載の製剤。
【請求項117】
薬剤をさらに含む、請求項114に記載の製剤。
【請求項118】
ヒアルロン酸が、化学的に架橋されている、請求項114に記載の製剤。
【請求項119】
ヒアルロン酸が、金属と複合体を形成される、請求項114に記載の製剤。
【請求項120】
生成する粘弾性生体高分子が、少なくとも約1年間安定であり、滅菌されている、請求項1、39、または78のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項121】
生成する粘弾性生体高分子が、少なくとも約2年間安定であり、滅菌されている、請求項120に記載のプロセス。
【請求項122】
生成する粘弾性生体高分子が、少なくとも約5年間安定であり、滅菌されている、請求項120に記載のプロセス。
【請求項123】
粘弾性生体高分子の防腐剤が、使用されない、請求項1、39、または78のいずれか一項に記載のプロセス。

【公表番号】特表2011−503047(P2011−503047A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532673(P2010−532673)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003042
【国際公開番号】WO2009/063291
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510060475)バイオ−テクノロジー ゼネラル(イスラエル)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】