説明

粘性物質の押出容器

【課題】内容物の排出が容易,かつ,形状の復原が迅速な粘性物質の押出容器を提供すること。
【解決手段】本発明は,液体調味料が収容される容器10を押圧する際,容器内部の液体調味料が押出管30を介して押し出される容器10に関し,容器10と容器蓋20との間に介在するパッキング50と容器蓋20とを結合して,空気流入装置40を形成することで,内容物を押出管30の先端に押出させた後,容器から手を放すと空気流入装置40から空気が流入して,速やかに元の状態に膨らむ。押出管30の内部には常に液体調味料が充填され,再押出しの際に容器10を少し加圧しただけでも容易に押出される。容器の底面には,押出管30の先端と同じ方向に残留物が溜まる残留物収集用の凹部11を備え,これに押出管30の下端が位置することで,残留物が容易に排出可能な粘性物質の押出容器が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,醤油や,唐辛子みそ,ケチャップ,各種ソースなどの液体調味料が収容されている容器を押圧する際に,容器内部の液体調味料が押出管を介して押し出されるようにする液体調味料の押出容器に関し,特に,調味料の容器を手に取り,その部分を押圧して容器内部の液状調味料が押出管を介して円滑に押し出された後,容器から手を放すと押圧されていた部分が元の状態に速やかに戻ることで,再び容易に押し出されるように構成される押出容器に関する。さらに,容器内部の残留物が押出管の下端に集結されて残留物が容易に排出できる押出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常,液体調味料の押出容器は,容器を手に取って押圧する際に,その内部の液状調味料が押出管に排出され,容器から手を放すと押出管を介して外部の空気が流入し,容器自体の復原力により元の状態に膨らむように構成されている。
【0003】
しかしながら,このような従来の液体調味料の押出容器は,弾性復原力の弱いポリエチレン,ポリプロピレンといった熱可塑性合成樹脂からなっているため,容器を手に取って押圧する際,形状が変形する可変性は良好であるが,加圧状態を解除する際に,その状態が元の形状に戻る復原力は弱かった。
【0004】
すなわち,容器自体の弾性復原力が弱いため,押出管内部の液体調味料と外部の空気とを容器内部に吸入することができなかった。しかし,しばらく容器をテーブルに立てて置けば,押出管内部の液体調味料が容器内に流れ,この際,外部の空気が押出管を介して流入し,容器が元の状態に膨張する。
【0005】
したがって,従来,押出管の内部に調味料が充填されている間は,容器が膨張しにくいという不具合があったほか,テーブルに歪んだ状態で置かれているために,外観上よくないという問題もあった。このような現象は,ケチャップや,マヨネーズといった粘度の高い食品を入れた押出容器の場合はさらに深刻であった。
【0006】
上記のように,容器が完全に膨張していない状態では押出空気が流入しないため,容器が膨張するまで待たなければならないという問題があった。さらに,容器が完全に膨張するまで押出管の上側内部に進入していた調味料は,空気の流入により容器内部に押され,押出管の内部が空いている。この場合,再び押し出す際には,その空いている部分に調味料が充填されるように容器を強く押圧するか,繰り返して押圧しなければ押し出せなかった。そのため,押出量の調節が難しく,使い勝手が悪いという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって,本発明は,かかる従来の問題点を解決するためのもので,その目的は,容器と容器蓋との間に密閉のために介在されるパッキングと容器蓋とを結合して空気流入装置を形成することで,容器を手に取って押圧し,その内部の液体調味料を押出管の先端に押出させた後,容器から手を放すと空気流入装置を介して空気が流入して押圧されていた部分が速やかに元の状態に膨らむようにすることによって,再び押し出されるのに支障がないうえ,押出管の内部には常に液体調味料が充填されていて,再押出しの際に容器を少し加圧しただけでも容易に押し出されるようにし,容器の底面には,押出管の先端(upper extruding outlet)と同じ方向に残留物収集用の凹部(残留物溜まり凹部:residue collection concavity)を備え,これに押出管の下端(low inlet)が位置するようにすることで,容器内部の残留物が押出管の下端に集結されて残留物が容易に排出できる粘性物質の押出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,調味料が収容された容器を圧縮したときに,容器蓋に支持されて上記容器内に挿入された押出管を介して,上記液体調味料が押出される押出容器であって,残留物を収集する残留物収集用の凹部が上記容器の底部に形成され,上記容器と上記容器蓋とで挟まれたパッキングに形成された開閉側部(opening/closing side)によって,上記容器蓋に穿孔された上記空気流入孔を開閉することで,空気を上記容器に流入する空気流入装置が制御され,上記押出管の下端流入口が上端押出口方向と同方向に備えられた上記残留物収集用の凹部に配置されることを特徴とする,粘性物質の押出容器が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば,容器と容器蓋との間に密閉のために介在されるパッキングと容器蓋とを結合して空気流入装置を形成することで,容器を手に取って押圧し,その内部の液体調味料を押出管の先端に押出させた後,容器から手を放すと空気流入装置を介して空気が流入して押圧されていた部分が速やかに元の状態に膨らむようにすることによって,再び押し出されるのに支障がないうえ,押出管の内部には常に液体調味料が充填されていて,再押出しの際に容器を少し加圧しただけでも容易に押し出されるようにし,容器の底面には,押出管の先端(upper extruding outlet)と同じ方向に残留物収集用の凹部(残留物溜まり凹部:residue collection concavity)を備え,これに押出管の下端(low inlet)が位置するようにすることで,容器内部の残留物が押出管の下端に集結されて残留物が容易に排出できる粘性物質の押出容器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下,添付した図面に基づき,本発明の構成および作用について詳細に説明する。
【0011】
各種の液体調味料(以下,「内容物」という)が選択的に収容されている容器10を加圧する際に,容器蓋20に支持されて,容器10内部に進入している押出管30を介して内容物が押し出される押出容器は,以下のように構成されている。上記容器10の底面には,押出しのために,傾く方向に内容物の残留物が溜まるようにする残留物収集用の凹部(残留物溜まり凹部)11を備える。上記容器蓋20には,空気流入孔41が穿孔されている。上記空気流入孔41は,容器10と容器蓋20との間に位置して,密閉のために介在されるパッキング50から延設された開閉側部42と,開閉側部42の開閉によって容器10内部に空気を供給する空気流入装置40とにより構成される。上記押出管30の下端流入口31(lower inlet)は,上端押出口(upper extruding outlet)32と同じ方向で,かつ,下位に備えられている残留物収集用の凹部(残留物溜まり凹部)11内に位置する。
【0012】
本発明の実施形態において,容器10は,熱可塑性合成樹脂(ポリエチレン,塩化ビニール,カーボネート,ポリアミドなど)から構成される。図3に示すように,空気流入装置40は,容器10と容器蓋20の密閉のために装着されているリング状のパッキング50の内周縁を,容器蓋20に穿孔される空気流入孔41の底面まで延長させて,その延長部が開閉側部42となるように構成する。開閉側部42部分は,他の部分より薄く形成されており,開閉動作が円滑に行われるように形成されている。他の実施形態として,開閉側部42部分は,図4に示すように,開閉側部部分の両側を切開して開閉動作がさらに円滑に行われるように構成できる。
【0013】
他の実施形態において,容器蓋20には,その上に突出した押出管30を覆って外観を飾るために,図5に示すようにデザインされた装飾キャップ60を容器蓋20の嵌合爪(protrusion)21に嵌合し,キャップ60の内部に押出管30の上部を付着できる。この場合,装飾キャップ60には空気を供給するための通気孔61を備える。押出管30の上端押出口(upper extruding outlet)32には,十字状などの形状に先端が切開されているゴムなどの柔軟性材質により形成されるノズル70を嵌め込み,内容物が押し出される時,その圧力により切開部71が開き,押し出されるように実施できる。
【0014】
以上,本発明の好適な実施例について詳細に説明したが,本発明は上記実施例に限定されるものではなく,請求の範囲及び精神を逸脱しない範囲内で当業者によって種々の修正,付加又は置換が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は,容器蓋に空気流入装置を備えているため,容器を押圧して容器内部の内容物を押出管の先端に押出させた後,手に取った部分から手を放すと,押出管とは別途に備えている空気流入装置を介して空気が流入して,押圧された部分が速やかに元の状態に膨らみ,再押出しが容易になる。また,流入空気は押出管とは関係なく空気流入装置に流入するため,押出管の内部がほぼ完全に内容物により充填されている状態では,容器を少し加圧しただけでも内容物が容易に押し出される。さらに,容器の底面には上端押出口と容器を傾ける方向に残留物溜まり凹部を備え,これに押出管の下端流入口が位置するため,容器内部の内容物の残留物が,常に押出管の下端に集結され,残留物の排出が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の構成を例示する分解斜視図である。
【図2】本実施形態の構成を例示する組立て側面図である。
【図3】本実施形態の空気流入装置の拡大断面図である。
【図4】本実施形態の開閉側部の他の実施を例示する斜視図である。
【図5】本実施形態の他の実施を例示する一部の側断面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 容器
11 残留物収集用の凹部
20 容器蓋
30 押出管
31 下端流入口
32 上端押出口
40 空気流入装置
41 空気流入孔
42 開閉側部
50 パッキング
60 装飾キャップ
70 ノズル
71 切開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味料が収容された容器を圧縮したときに,容器蓋に支持されて前記容器内に挿入された押出管を介して,前記液体調味料が押出される押出容器であって,
残留物を収集する残留物収集用の凹部が前記容器の底部に形成され,
前記容器と前記容器蓋とで挟まれたパッキングに形成された開閉側部によって,前記容器蓋に穿孔された前記空気流入孔を開閉することで,空気を前記容器に流入する空気流入装置が制御され,
前記押出管の下端流入口が上端押出口方向と同方向に備えられた前記残留物収集用の凹部に配置されることを特徴とする,粘性物質の押出容器。
【請求項2】
前記空気流入孔の開閉側部の両側部分は,前記開閉動作が円滑になるように切開されていることを特徴とする,請求項1に記載の粘性物質の押出容器。
【請求項3】
前記容器蓋は,前記容器蓋の上面から突出した前記押出管を被覆するために,前記容器蓋上に形成された突出部に挿入されて通気孔を備える装飾用キャップを有することを特徴とする,請求項1に記載の粘性物質の押出容器。
【請求項4】
ラバーのような柔軟性材料からなり,先端に十字状の切込みを有するノズルが,前記押出管の上端押出口に装着されることを特徴とする,請求項1に記載の粘性物質の押出容器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−525822(P2006−525822A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571877(P2004−571877)
【出願日】平成15年6月18日(2003.6.18)
【国際出願番号】PCT/KR2003/001189
【国際公開番号】WO2004/101385
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505427104)
【Fターム(参考)】