説明

粘性調整剤組成物、並びにこれを用いた水溶液の粘性調整方法及びゲルの調整方法

【課題】広範囲の温度領域で安定であり、ハンドリング性が良好なウレタン系の粘性調整剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)成分としてウレタン系粘性調整剤、(B)成分として下記の一般式(1)で表わされる化合物、及び(C)成分として水を含有することを特徴とする粘性調整剤組成物である。
【化1】


(式中、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表わし、aは1〜10の数を表わす。但し、重量平均分子量は500以下でなければならない。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範囲の温度領域で安定であり、ハンドリング性の良好な粘性調整剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン系の粘性調整剤は、塗料分野、樹脂分野、化粧料分野等で、主に水溶液の粘性を調整する添加剤として使用されている。ウレタン系の粘性調整剤は通常固体であり、そのまま使用すると溶解までに時間がかかり、作業効率の点で好ましいものではなかった。そこで事前にエタノール等の溶媒に溶かし、溶液の形態にしてから使用することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、一部のウレタン系粘性調整剤は水や溶剤への溶解度が極端に低く、エタノール等の溶剤を使用して希釈したものは、低温で長時間放置すると白濁する場合や、高温で臭気を発生させる等の問題があり、このような溶剤で希釈したものを商品化することは困難であった。更に、その他の溶媒でも、低温や高温で増粘又は固化するものや溶液が分離してしまう等の問題があり、広範囲の温度領域で長期間安定であり、ハンドリング性が良好なウレタン系の粘性調整剤が求められていた。
【0003】
【特許文献1】特開平9−067562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明が解決しようとする課題は、広範囲の温度領域で安定であり、ハンドリング性が良好なウレタン系の粘性調整剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者等鋭意検討し、広範囲の温度領域で安定な組成を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、(A)成分としてウレタン系粘性調整剤、(B)成分として下記の一般式(1)で表わされる化合物、及び(C)成分として水を含有することを特徴とする粘性調整剤組成物である。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表わし、aは1〜10の数を表わす。但し、重量平均分子量は500以下でなければならない。)
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果は、広範囲の温度領域で安定であり、ハンドリング性が良好なウレタン系の粘性調整剤組成物を提供したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の粘性調整剤組成物の(A)成分はウレタン系粘性調整剤である。ウレタン系粘性調整剤とは、ウレタン結合を含有し、水溶液に添加することにより当該水溶液の粘性を調整するものであり、イソシアネート化合物とポリエーテル化合物とを反応して得ることができる。
【0010】
こうしたイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンのジイソシアネート、およびトリイソシアネート等が挙げられる。
【0011】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0012】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0013】
脂環族イソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
ビフェニルジイソシアネートとしては、例えば、ビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0014】
フェニルメタンのジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、2,5,2',5'−テトラメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシアントフェニル)メタン、3,3'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジメトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、4,4'−ジエトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチル−5,5'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、3,3'−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3'−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0015】
トリイソシアネートとしては、例えば、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,7−ナフタレントリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4'−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4'−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4'−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4',4”−トリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。
【0016】
ポリエーテル化合物としては、例えば、炭素数1〜30の炭化水素基を持つモノオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、(ポリ)グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等のモノオールやポリオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものが挙げられる。アルキレンオキシドの付加形態は特に規定されず、アルキレンオキシドの単独重合物、ブロック共重合物、ランダム共重合物等いずれの形態でもよい。またイソシアネート化合物と反応させるこれらのポリエーテル化合物は1種でも2種以上の混合物でもよい。
【0017】
上記のイソシアネート化合物とポリエーテル化合物とを反応させたウレタン系粘性調整剤の中でも、水溶液にするのに多くの時間を必要とせず、且つ安定な水溶液にすることが容易であることから、本発明に使用するウレタン系粘性調整剤としては、下記の一般式(2)で表わされる化合物が好ましい。
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、R及びRはそれぞれ炭素数1〜30の炭化水素基を表わし、R及びRはそれぞれウレタン結合を有してもよい炭素数4〜15の炭化水素基を表わし、m及びnはそれぞれ0〜100の数を表わし、pは5〜500の数を表わし、qは0〜8の数を表わし、A、A及びAはそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。)
【0020】
一般式(2)のR及びRはそれぞれ炭素数1〜30の炭化水素基を表わす。こうした炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2級へキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2級オクチル基、ノニル基、イソノニル基、2級ノニル基、デシル基、イソデシル基、2級デシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、2級ウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、2級ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、2級トリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、2級テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、ステアリル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、トリアコンチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。これらの中でも炭素数12〜30のアルキル基が好ましく、(B)成分と関連した溶解性の観点から、炭素数14〜30のアルキル基がより好ましい。
【0021】
、A及びAはそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を表す。こうしたアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられ、A、A及びAはそれぞれm個のオキシアルキレン基、p個のオキシアルキレン基、n個のオキシアルキレン基に対応している。これらは同一のオキシアルキレン基が重合したものでも、複数のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダム状に重合したものでもよいが、m個のオキシアルキレン基、p個のオキシアルキレン基及びn個のオキシアルキレン基のそれぞれ50質量%以上がオキシエチレン基であることが好ましく、70質量%以上がより好ましい。m及びnの値はオキシアルキレン基の重合度であり、0〜100の数を表わすが、重合度があまりに大きくなると副生物が増えて純度が下がる場合があるため、m及びnの値は0〜50の数が好ましく、0〜30の数がより好ましい。また、pの値もオキシアルキレン基の重合度であり5〜500の数を表わすが、重合度があまりに大きくなると副生物が増えて純度が下がる場合があり、重合度が小さいと粘性調整剤としての効果が低くなる場合があるため、pの値は30〜450の数が好ましく、50〜400の数がより好ましい。
【0022】
一般式(2)において、R及びRで表わされる基は、R−(NCO)及び、R3−(NCO)で表わされるジイソシアネート由来の基である。こうしたイソシアネートとしては、例えば、上記に挙げた脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンのジイソシアネート等のジイソシアネートが挙げられる。
【0023】
本発明の一般式(2)で表わされる化合物は、公知の方法であればいずれの方法で製造してもよいが、製造方法が簡便であることから、例えば、R1O−(AO)−H及びRO−(AO)−Hで表わされるモノオールと、R−(NCO)及び、R3−(NCO)で表わされるジイソシアネートと、H−(OA−OHで表わされるジオールとを反応させることによって製造することが好ましい。具体的な製造方法としては、例えば、R1O−(AO)−H及びRO−(AO)−Hで表わされるモノオールそれぞれ1モルに対して、R−(NCO)、及びR3−(NCO)で表わされるジイソシアネートをそれぞれ0.75〜1.25モル、好ましくは0.9〜1.1モル、更にH−(OA−OHで表わされるジオールを0.75〜1.25モル、好ましくは0.9〜1.1モル混合し、60〜100℃で1〜10時間加熱反応させればよい。モノオール及びジイソシアネートは、それぞれ1種類のものを使用してもよく、その場合には、モノオール2モルに対してジイソシアネートを1.5〜2.5モル、好ましくは1.8〜2.2モル、ジオールを0.75〜1.25モル、好ましくは0.9〜1.1モル反応させればよい。
【0024】
反応して得られる一般式(2)の化合物は、一般式(2)におけるqの値が1の化合物であるが、各成分の配合比等によって、qの値が0及び2〜8の化合物も副生することがある。この場合、qの値が0〜8の化合物が混合した状態で一般式(2)の化合物は得られる。混合している化合物の割合は特に規定されないが、qの値が1〜3の化合物の割合が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0025】
本発明の粘性調整剤組成物の(B)成分は、下記の一般式(1)で表わされる化合物である。
【0026】
【化3】

【0027】
(式中、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表わし、aは1〜10の数を表わす。但し、重量平均分子量は500以下でなければならない。)
【0028】
一般式(1)で表わされる化合物のRは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、へキシレン基、イソヘキシレン基が挙げられる。これらの基の中でも、本発明の粘性調整剤組成物の安定性が高く、混合時の流動性も高いことから、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。炭素数が6を超えると、(A)成分及び(C)成分と混合したときに均一な溶液を得ることが困難になる場合や、低温での流動性が悪化する場合がある。また、aは(B)成分の平均重合度であり1〜10の数を表わすが、本発明の粘性調整剤組成物の安定性が高く、混合時の流動性も高いことから、aの値は1〜5が好ましく、2〜4がより好ましい。
【0029】
(B)成分の分子量は500以下でなければならず、80〜500が好ましく、80〜300がより好ましい。分子量が500を超えると(A)成分及び(C)成分と混合したときに均一な溶液を得ることが困難になる場合や、低温で溶液の安定性が悪くなる場合がある。また、分子量が小さい場合は問題なく使用することができるが、分子量が80未満の場合には、(A)成分の構造や各成分の配合量によっては低温で溶液の流動性が悪化する場合がある。
【0030】
本発明に使用する(C)成分は水であり、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を混合することにより、本発明の粘性調整剤組成物を得ることができる。本発明の粘性調整剤組成物の製造方法は3成分が均一に混合できればよく、例えば、(B)成分に(A)成分を溶解させた後に(C)成分を添加して均一に混合する方法、(B)成分と(C)成分との混合物に(A)成分を添加して均一に混合する方法等が挙げられる。これら3成分の配合割合は特に規定されず、任意の割合で混合すればよいが、より安定な組成物を得るためには、これら3成分をいずれも10〜45質量%の割合で配合することが好ましい。また、防腐剤、pH調整剤、香料、色素等の他の成分を適宜添加してもよい。
【0031】
本発明の粘性調整剤組成物は、対象物が水溶液で粘性を調整する用途、あるいは水溶液をゲル状に形成する用途であればいずれの用途でも利用することができ、具体的には、洗浄剤水溶液の粘性調整、エマルションの粘性調整、塗料の粘性調整、化粧料の粘性調整及びゲル化剤、ゲル状芳香剤等に利用することができる。粘性調整剤やゲル化剤として使用するときの本発明の粘性調整剤組成物の使用量は、粘性を調整したい対象物に対して(A)成分の濃度が0.05〜5質量%程度になるように添加すればよい。粘性を調整したい対象物に直接(A)成分を添加する場合と、本発明の粘性調整剤組成物を添加する場合を比較すると、本発明の粘性調整剤組成物のほうが水溶液に溶解する速度が格段に早く、本発明の粘性調整剤はハンドリング性が良好であるだけでなく、ウレタン系粘性調整剤の溶解時における溶解時間を短縮できるというメリットがある。
【実施例】
【0032】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において分子量、%は特に記載が無い限り質量基準である。
(A)成分
A−1
温度計、窒素導入管及び攪拌機を付した容量2,000mlの4つ口フラスコに重量平均分子量10,000のポリオキシエチレングリコールを1,000g(0.1モル)、ラウリルアルコールのエチレンオキシド20モル付加物を213g(0.2モル)仕込み、そこへヘキサメチレンジイソシアネート34g(0.2モル)を加え、80〜90℃で3時間反応させてA−1を得た。
A−2
温度計、窒素導入管及び攪拌機を付した容量2,000mlの4つ口フラスコに重量平均分子量10,000のポリオキシエチレングリコールを1,000g(0.1モル)、2−オクチルドデシルアルコールのエチレンオキシド30モル付加物を324g(0.2モル)仕込み、そこへヘキサメチレンジイソシアネート34g(0.2モル)を加え、80〜90℃で3時間反応させてA−2を得た。
【0033】
製造した(A)成分の(A−1)及び(A−2)をGPCにて分析した。GPCは混合した各成分を分子量によって分けることができるため、(A)成分の組成を分析することができる。測定に用いた機器及び測定条件は以下の通りである。なお、表1のqは一般式(2)のqに対応したものである。
【0034】
GPCシステム:GL−7400シリーズ(ジーエルサイエンス(株))
検出器:RI検出器 RI704(ジーエルサイエンス(株))
カラム:KW−802.5、KW−803、KW−804(いずれも昭和電工(株))を直列に接続
展開溶媒:メタノール/水=9/1(体積比)
展開溶媒流速:0.3ml/min
サンプル濃度:0.5質量%
測定温度:40℃
【0035】
【表1】

【0036】
(B)成分
B−1:エチレングリコール(分子量62)
B−2:プロピレングリコール(分子量76)
B−3:1,3−ブタンジオール(分子量90)
B−4:1,2−ヘキサンジオール(分子量118)
B−5:ジプロピレングリコール(分子量134)
B−6:ジブチレングリコール(分子量162)
B−7:トリプロピレングリコール(分子量192)
B−8:トリブチレングリコール(分子量234)
B−9:ポリプロピレングリコール(分子量400)
【0037】
その他の成分
D−1:ポリエチレングリコール(分子量600)
D−2:ポリプロピレングリコール(分子量700)
D−3:1,2−オクタンジオール(分子量146)
D−4:エタノール(分子量46)
D−5:ブタノール(分子量74)
D−6:ヘキサノール(分子量102)
D−7:エチレングリコールモノブチルエーテル(分子量118)
D−8:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(分子量176)
【0038】
上記の成分を表2及び表3の配合(表中、配合量の単位は質量%)に従って配合し、均一な溶液になるまで撹拌した。得られた組成物50mlを100mlの蓋付きのガラス管に入れて密封したものをそれぞれ2つ作製した。その後、−5℃、50℃の恒温槽にそれぞれのサンプルを静置し、7日後の状態を観察した。観察の結果は下記の基準で評価した。
【0039】
(−5℃での評価)
◎:均一透明。流動性があり、容器から容易に取り出すことができる。
○:均一透明。わずかに流動性があり、容器を逆さにしても容器から取り出すのに5分以上かかる。
△:均一透明。流動性が確認できず、容器を逆さにしても容器から取り出せない。
×:白濁または不均一。流動性が確認できず、容器を逆さにしても容器から取り出せない。
(50℃での評価)
◎:均一透明液体で分離は見られず、蓋を開けたときの溶剤臭もない。
○:透明液体で分離は見られないが、不均一(もやっている)であることが目視で確認できる。
△:上部あるいは下部にわずかな分離が見られる。
×:完全に分離している、又は、蓋を開けたときに強い溶剤臭がする。
【0040】
【表2】

【0041】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分としてウレタン系粘性調整剤、(B)成分として下記の一般式(1)で表わされる化合物、及び(C)成分として水を含有することを特徴とする粘性調整剤組成物。
【化1】

(式中、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表わし、aは1〜10の数を表わす。但し、重量平均分子量は500以下でなければならない。)
【請求項2】
(A)成分のウレタン系粘性調整剤が、下記の一般式(2)
【化2】

(式中、R及びRはそれぞれ炭素数1〜30の炭化水素基を表わし、R及びRはそれぞれウレタン結合を有してもよい炭素数4〜15の炭化水素基を表わし、m及びnはそれぞれ0〜100の数を表わし、pは5〜500の数を表わし、qは0〜8の数を表わし、A、A及びAはそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。)
で表わされることを特徴とする請求項1に記載の粘性調整剤組成物。
【請求項3】
一般式(2)のR及びRが炭素数12〜30のアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載の粘性調整剤組成物。
【請求項4】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して、(A)成分が10〜45質量%、(B)成分が10〜45質量%及び(C)成分が10〜45質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘性調整剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘性調整剤組成物を水溶液に添加することを特徴とする水溶液の粘性調整方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘性調整剤組成物を水溶液に添加することを特徴とするゲルの調整方法。

【公開番号】特開2009−280656(P2009−280656A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132225(P2008−132225)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】