説明

粘着テープ

【課題】充分なタック性、高い粘着性及び糊残りが少ないとの特徴を備えながら、寒冷の環境においてテープを剥がす際にひび割れ飛散が改善された粘着テープを提供する。
【解決手段】基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープであって、好ましくは、0℃で、アクリル板に貼り付けた粘着テープを剥離速度20M/minで剥離したときの剥離曲線において、剥離開始後0.5秒間での、ピークの山部P値の平均値とピークの谷部B値の平均値との差が、25N/25mm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れることから、家電製品、自動車、OA機器等の広い範囲で日常的に用いられている。粘着力が高く、かつ、テープを剥がしたあとが残らない特徴を備えたテープは、塗装作業の際の養生テープ、荷物運搬作業時に壁等にビニールシートを固定するためのテープ等、一旦張り付けたテープを剥がすような用途に用いられている。
【0003】
このように、多用な用途に用いられる粘着テープは、幅広い条件下で使用される。例えば、塗装作業の際の養生テープなどとして用いる際に、10℃以下、場合によっては0℃程度の寒冷の環境において使用する場合もある。しかしながら、この際に、従来の粘着テープの場合、養生テープの表面上で硬化し形成された塗膜が、テープを剥がす際にひび割れ飛散してしまうという問題点があった。このような塗膜の飛散は、別途清掃の必要が生じるなど使用現場での作業性を大きく低下させるため、問題点が改善されたテープが所望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−120247
【特許文献2】特開2009−292959
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、粘着テープ、特に充分なタック性、高い粘着性及び糊残りが少ないとの特徴を備えながら、寒冷の環境において塗装作業の際の養生テープなどとして用いる際に、養生テープの表面上で硬化し形成された塗膜が、テープを剥がす際にひび割れ飛散が改善された粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような状況の下、本発明者らは、特定の粘着テープを用いた場合、前述の課題を解決できることを見出した。本発明は、上記新規の知見に基づくものである。
【0007】
従って、本発明は以下の項を提供する:
項1、基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープ。
【0008】
項2、0℃で、アクリル板に貼り付けた粘着テープを剥離速度20M/minで剥離したときの剥離曲線において、剥離開始後0.5秒間での、ピークの山部P値の平均値とピークの谷部B値の平均値との差が、25N/25mm以下であることを特徴とする
請求項1記載の粘着テープ。
【0009】
項3、前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%、(b)カルボキシル基含有単量体0.1〜8重量%、(c)下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R及びRの一方は、一般式(2)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物2〜20重量%、及び(d)その他重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B)粘着付与樹脂0.5〜10重量部、並びに、(C)硬化剤としてイミン又はイソシアネート系化合物0.05〜3.0重量部を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものであり、
該単量体混合物における該(c)一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合割合が、該(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル1重量部に対して、0.15重量部未満である、請求項1または2に記載の粘着テープ。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充分なタック性、高い粘着性及び糊残りが少ないとの特徴を備えながら、寒冷の環境において塗装作業の際の養生テープなどとして用いる際に、養生テープの表面上で硬化し形成された塗膜が、テープを剥がす際にひび割れ飛散が改善された粘着テープを提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】剥離曲線の例を示す。横軸は、横軸に剥離開始からの時間(s(秒))、縦軸に剥離力(N/25mm)を示す。P1、P2、Pnは山部のピーク;B1、B2、Bnは谷部のピークをそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を詳述する。
【0015】
本発明のテープは、基材と該基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる。
【0016】
上記基材は特に限定されず、二軸延伸ポリプロピレン、PETフィルム、PEラミクロス等の従来公知の基材を用いることができる。なかでも、手切れ性等に優れることから、ポリエステル糸をタテ糸、ヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材、又は、ポリエステル糸をタテ糸、フラットヤーンをヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材が好適である。
【0017】
上記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層に用いられる粘着剤は特に限定されず、(メタ)アクリル系共重合体を含む粘着剤等を用いることができる。なかでも、安価に製造することができるとの観点から、(メタ)アクリル系共重合体を含む粘着剤が好適である。
【0018】
本発明の粘着テープは、上記基材の片面にのみ上記粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよく、上記基材の両面に上記粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。
【0019】
本発明の粘着テープは、上記基材の少なくとも片面に上記粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成することにより製造することができる。上記塗工の方法は特に限定されず、例えば、ドクターナイフやスピンコーター等を用いた従来公知の塗工方法を用いることができる。
【0020】
本発明のテープは、寒冷条件で特に好適に用いることができるとの観点から、0℃で、アクリル板(PMMA)に貼り付けた粘着テープを剥離速度20M/minで剥離したときの剥離曲線において、剥離開始後0.5秒間での、ピークの山部P値の平均値とピークの谷部B値の平均値との差が、25N/25mm以下である粘着テープであることが好ましい。
【0021】
本発明において、剥離曲線は以下の手段にて測定することができる。なお、本発明の「剥離曲線」とは、横軸に剥離開始からの時間、縦軸に剥離力をプロットした曲線である。
【0022】
まず、25mm幅のテープサンプルを、ポリメチルメタクリレートからなるアクリル板(PMMA板)に貼り付ける。貼り付ける際に、約2Kg程度のゴムロールを使用してテープを圧着することが好ましいが、これに限定されるものではない。PMMA板に貼り付けたテープを約1時間程度放置した後に、剥離速度を20M/minとした際の剥離曲線を測定する。剥離曲線を測定する方法は当業者において公知であるが、例えばテンシロンRTF((株)エー・アンド・デイ)などの機器を用いて測定することができる。
【0023】
なお、20M/minとは、粘着テープを作業で用いる際の剥離速度に概ね相当する。
【0024】
図1に、剥離曲線の具体例を示す。ここで、「ピークの山部P値」とは、剥離曲線の図に示した山部の値を示す。「ピークの谷部B値」とは、剥離曲線の図に示した谷部の値を示す。
【0025】
上記の条件を満足するテープであれば、後述の実施例において示すように、10℃以下等の寒冷の環境において塗装作業の際の養生テープなどとして用いる際に、養生テープの表面上で硬化し形成された塗膜が、テープを剥がす際にひび割れ飛散が改善された粘着テープを提供される。
【0026】
本発明の粘着テープの好ましい態様として、基材と該基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープにおいて、上記粘着剤層は(A)(メタ)アクリル系共重合体、(B)粘着付与樹脂、及び(C)硬化剤を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものである粘着テープが例示される。
【0027】
上記(メタ)アクリル系共重合体は、(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)カルボキシル基含有単量体、及び(c)下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R及びRの一方は、
一般式(2)
【0028】
【化2】

【0029】
(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物2〜20重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られるものである。
【0030】
上記アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは特に限定されず、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシルアクリレート等が好適である。
【0031】
本明細書において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を示し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを示す。
【0032】
上記単量体混合物における上記炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量の下限は65重量%、上限は99.8重量%である。上記炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量が65重量%未満であると、凝集力が過剰に大きくなるためタックが低下し、99.8重量%を超えると、凝集力が過剰に低下するため粘着力が低下する。上記炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量の好ましい下限は70重量%、好ましい上限は98重量%であり、より好ましい下限は75重量%、より好ましい上限は95重量%である。
【0033】
上記カルボキシル基含有単量体は特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好適である。
【0034】
上記単量体混合物における上記カルボキシル基含有単量体の配合量の下限は0.1重量%、上限は27重量%である。上記カルボキシル基含有単量体の配合量が0.1重量%未満であると、硬化剤との反応点が消失し粘着力が著しく低下し、27重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記カルボキシル基含有単量体の配合量の好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は25重量%であり、より好ましい下限は0.8重量%、より好ましい上限は22重量%である。
【0035】
下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R1及びR2の一方は、一般式(2)
【0036】
【化3】

【0037】
(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物は特に限定されず、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル、及び吉草酸イソプロペニルが挙げられる。これらのエステル化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0038】
上記単量体混合物における一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合量の下限は2重量%、上限は20重量%である。上記一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合量が2重量%未満であると、粘着剤組成物の保持力が低下し、20重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記その他重合可能な単量体の配合量の好ましい下限は0重量%、好ましい上限は15重量%であり、より好ましい下限は2重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0039】
本発明においては、その他重合可能な単量体(d)、すなわち上記成分(a)〜(c)以外の重合可能な単量体を含んでいてもよい。
【0040】
上記その他重合可能な単量体(d)は特に限定されず、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等や、アクリルアミド、2−メチルアクリルアミド、2−エチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有単量体等が挙げられる。これらのその他重合可能な単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アミド基含有単量体が好適である。
【0041】
上記単量体混合物における上記その他重合可能な単量体(d)を配合する場合、配合量の下限は0重量%、上限は8重量%である。上記その他重合可能な単量体(d)の配合量が8重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記その他重合可能な単量体を配合する場合、その配合量の好ましい下限は2重量%、好ましい上限は7重量%であり、より好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は6重量%である。
【0042】
本発明は、上記単量体混合物における上記一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合割合が、上記アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル1重量部に対して、0.15重量部未満、好ましくは0.12未満、より好ましくは0.10未満であることを特徴とする。一般式(1)で表わされるエステル化合物と上記アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの配合割合を上記範囲とすることにより、高い粘着力を有しつつ、充分なタック性を有しかつ糊残りが抑制されるという、背反する特徴を併せ持つ粘着テープを得ることができる。
【0043】
また、粘着テープの貼り付け面に対し水平方向への荷重に対する応力を高める観点から、本発明においては、上記単量体混合物における(b)カルボキシル基含有単量体の配合割合は、前記(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%に対して、下限は0.1重量%、上限は8重量%が好ましい。より好ましい下限は0.3未満、好ましい上限は6である。
【0044】
上記粘着付与樹脂は特に限定されず、ロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、テルペンフェノールや水素化テルペン等のテルペン系樹脂が好適である。
【0045】
上記粘着剤組成物において上記(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対する上記粘着付与樹脂の配合量の下限は0.5重量部、上限は10重量部である。上記粘着付与樹脂の配合量が0.5重量部未満であると、粘着力が低下し、10重量部を超えると、経時での変色等の問題が発生する。上記粘着付与樹脂の配合量の好ましい下限は0.8重量部、好ましい上限は9重量部であり、より好ましい下限は1.0重量部、より好ましい上限は8重量部である。
【0046】
上記粘着剤組成物は、硬化剤としてイミン又はイソシアネート系化合物を含有する。イミン系化合物としては、例えば、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)、ペンタエリスリトール トリス(3−(1−アジリジニル)プロピオネート、N,N'−テトラメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド、トリス(1-アジリジンプロピオン酸)1,1,1-プロパントリイルトリスメチレン)等が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメ タンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体を挙げることができる。これらの硬化剤のうち、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)、ペンタエリスリトール トリス(3−(1−アジリジニル)プロピオネート)等が好ましい。上記(メタ)アクリル系共重合体が上記の単量体混合物からなり、かつ、硬化剤としてエチレンイミン又はトリレンジイソシアネートを用いることにより、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とを両立することができる。これは、架橋密度が適度なレベルに保たれ、粘着剤自体の柔軟性のバランスが最適化されているためではないかと考えられる。
【0047】
上記粘着剤組成物において上記(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対する上記硬化剤の配合量の下限は0.1重量部、上限は3重量部である。上記硬化剤の配合量が0.1重量部未満であると、再剥離性が低下し、3重量部を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記硬化剤の配合量の好ましい下限は0.3重量部、好ましい上限は2.5重量部であり、より好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は2.0重量部である。
【0048】
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤、熱安定剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
(1)(メタ)アクリル系共重合体の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)95.5重量部、アクリル酸0.5重量部、メチルアクリレート3.5重量部、アクリルアミド0.5重量部、及び重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部を添加し、フラスコ中で60℃、6時間溶液重合することにより(メタ)アクリル系共重合体を得た。
(2)粘着テープの製造
得られた(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、粘着付与剤としてテルペンフェノール2重量部と、硬化剤としてN,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)(以下、本明細書中においては、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)を硬化剤Aと示すこともある)1.0重量部を加え、スパチュラを用いて常温で攪拌することにより混合して粘着剤組成物を調製した。
【0051】
基材として二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムであって、55本/インチの糸密度でポリエステル製タテ糸を有し、かつ19本/インチの糸密度でポリエステル製ヨコ糸を有する基布の両面を、MDPEでラミネートしたものを用いた(ラミネート厚:背面30μm、糊面30μm)。
【0052】
基材の一方の面上に粘着剤組成物を、アプリケーターを用いて粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗工した。塗工後、100℃で3分間乾燥後、40℃で3日間養生して粘着テープを得た。
【0053】
(実施例2〜4、比較例1〜4)
(メタ)アクリル系共重合体、粘着剤組成物、及び基材を表1のようにした以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0054】
(評価)
実施例及び比較例にて製造した粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
【0055】
(1)SP粘着力の測定
JIS Z 0237に準じる方法により、SUS 304鋼板に対する180°引きはがし粘着力を測定した。
【0056】
(2)タック性の評価
JIS Z 0237に準じる方法により、傾斜式ボールタックの値を測定した。
【0057】
(3)対サッシ粘着力
住宅部材用のアルミサッシ板を80×150mmにカットし、表面に25mm幅のテープサンプルを貼り付け180°剥離強度を測定した。
【0058】
(4)Pの平均値−Bの平均値(N/25mm)
50×150mmのサイズのPMMA板に、25mm幅のテープサンプルを貼り付け1hr放置した。環境温度0℃において、テンシロンRTF((株)エー・アンド・デイ)を用いて剥離曲線を測定し、得られた剥離曲線において、剥離開始後0.5秒間での、ピークの山部P値の平均値とピークの谷部B値の平均値との差を求めた。
【0059】
(5)塗装剥がれ評価
50×150mmのサイズのPMMA板に、25mm幅のテープサンプルを貼り付け1hr放置した。その後、テープの背面に非弾性水性シリコーン塗料を塗り、24時間放置したものを評価サンプルとした。環境温度0℃において、そのサンプルのテープ端部を手で持ち高速で剥離した際の上記塗料により形成された塗膜の飛散を評価した。
【0060】
(6)対サッシ糊残り評価
上記と同様なアルミサッシ板を80×150mmにカットし、表面に25mm幅のテープサンプルを貼り付け70℃で48hr放置後の、糊残りの有無を目視で評価した。
【0061】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープ。
【請求項2】
0℃で、アクリル板に貼り付けた粘着テープを剥離速度20M/minで剥離したときの剥離曲線において、剥離開始後0.5秒間での、ピークの山部P値の平均値とピークの谷部B値の平均値との差が、25N/25mm以下であることを特徴とする
請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%、(b)カルボキシル基含有単量体0.1〜8重量%、(c)下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R及びRの一方は、一般式(2)
【化1】

(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物2〜20重量%、及び(d)その他重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B)粘着付与樹脂0.5〜10重量部、並びに、(C)硬化剤としてイミン又はイソシアネート系化合物0.05〜3.0重量部を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものであり、
該単量体混合物における該(c)一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合割合が、該(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル1重量部に対して、0.15重量部未満である、請求項1または2に記載の粘着テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−23627(P2013−23627A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161275(P2011−161275)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】