説明

粘着剤及び積層体

【課題】べとつきや凝集破壊等が抑制された粘着層を得ることが可能な粘着剤を提供すること。
【解決手段】(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するビニル系単量体を含む単量体を共重合して得られ、かつ多角度光散乱法により測定される平均分子半径が70nm以上である共重合体を含有してなる、粘着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤及び該粘着剤からなる粘着層を備える積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘着テープや粘着シート等の積層体は、金属、ガラス、木材、紙、段ボール、プラスチック等の種々の被着体面への接着に広く使用されている。例えば、プラスチックフィルム、不織布、織布、箔やこれらの複合フィルム等の支持体上に薬物を配合した感圧性粘着層を積層した粘着シートを皮膚に貼付して皮膚面から薬物を経皮投与する外用医薬製剤がある。また、感圧性粘着層を構成する粘着剤として様々な種類の高分子物質が用いられているが、その粘着性や多様な化学的性質からアクリル系共重合体を含有するアクリル系粘着剤が多く使用されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
アクリル系粘着剤の利点は、共重合体の組成を変えることで様々な特性を発現可能であり、また薬物の溶解性や添加剤の相溶性をある程度デザインできることにある。また、共重合体に官能基を導入することで化学的な架橋点を作り、更に架橋処理することで薬剤や添加剤の配合量を大幅に増大することができる。
【0004】
【特許文献1】特公平03−39485号公報
【特許文献2】特開平03−112558号公報
【特許文献3】特開平03−127725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のように共重合体に充分な架橋点を導入し、架橋剤を配合して架橋処理された粘着層を備える粘着シートとしたにもかかわらず、時として貼付後においてべとつきや凝集破壊等の重大な不具合を生ずることがある。その原因は共重合物の分子量や架橋剤の種類によるものと考えられるが、本発明者らの知見によれば、明らかに大きな分子量と充分な架橋点を有する共重合体を用いたにも関わらず、充分な凝集力を得られないため前述した不具合が生ずる場合がある。その原因については未だ解明されていないのが実情である。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は、べとつきや凝集破壊等が抑制された粘着層を得ることが可能な粘着剤及びこれを用いた積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、前述したべとつきや凝集破壊等の要因が粘着剤を構成する共重合体の分子の大きさ、すなわち分子半径にあることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するビニル系単量体を含む単量体を共重合して得られ、かつ多角度光散乱法により測定される平均分子半径が70nm以上である共重合体を含有してなる、粘着剤。
(2)上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが2−エチルへキシルアクリレートである、上記(1)記載の粘着剤。
(3)上記ビニル系単量体が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸である、上記(1)又は(2)記載の粘着剤。
(4)上記共重合体が50重量%以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、10〜40重量%のN−ビニル−2−ピロリドンと、1〜10重量%のアクリル酸とを含む単量体を共重合して得られるものである、上記(1)記載の粘着剤。
(5)上記共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.7重量部の架橋剤とを含んで構成されており、当該粘着剤からなる粘着層を支持体上に備える積層体を作製し70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上となることが可能である、上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の粘着剤。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
(6)上記共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.5重量部の架橋剤とを含んで構成されており、当該粘着剤からなる粘着層を支持体上に備える積層体を作製し70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上となることが可能である、上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の粘着剤。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
(7)上記架橋剤が多官能イソシアナート化合物又は多価金属キレート化合物である、上記(5)または(6)記載の粘着剤。
(8)柔軟な材質からなる支持体と、該支持体の少なくとも片面に形成され、上記(1)〜(7)のいずれか一に記載の粘着剤からなる粘着層とを備える積層体。
(9)上記粘着層が粘着層に含まれる共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.7重量部の架橋剤とを含み、70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上である、上記(8)記載の積層体。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
(10)上記粘着層が粘着層に含まれる共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.5重量部の架橋剤とを含み、70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上である、上記(8)記載の積層体。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
(11)粘着シート又は粘着テープである、上記(8)〜(10)のいずれか一に記載の積層体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘着剤は平均分子半径が所定値以上である共重合体を含有するため、これを用いて形成された粘着層は凝集力を充分に高めることができる。これにより、粘着層のべとつきや凝集破壊又は界面破壊等を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、図面において、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0011】
先ず、本発明の粘着剤について説明する。本発明の粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するビニル系単量体(以下、単に「ビニル系単量体」という。)を含む単量体を共重合して得られ、かつ多角度光散乱法により測定される平均分子半径が70nm以上である共重合体を含有してなることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、本明細書における「平均分子半径」とは、多角度光散乱検出器を用いて以下の条件で測定される、共重合体の平均分子半径(Rz)をいう。また、「絶対分子量」とは、前述のRzと同様に多角度光散乱検出器を用いて以下の条件で測定される、共重合体の絶対分子量(Mw)をいう。なお、Rz及びMwの測定原理等の詳細は、高分子実験学、高分子実験学総論、共立出版に記載のとおりである。
【0013】
GPC:Shodex、SYSTEM・21
MALLS検出器:Wyatt Technology、DAWN DSP-F
カラム :ステンレスチューブ内径0.25mm、長さ80cm(GPCカラムは不使用)
カラム温度:35℃
溶離液 :THF
流速 :0.70mL/min
注入量 :4mL
レーザ波長:632.8nm
ラインフィルター:1.0μm
多角度フィット法:Berry法
【0014】
共重合体のRzは70nm以上であるが、べとつきや凝集破壊等の抑制の観点から80nm以上が好ましく、90nm以上がより好ましい。なお、本発明における共重合体と凝集力等の性質が本質的に異なるため、Rzの上限は1μm以下とすることが好ましい。また、共重合体のMwについても前述と同様の観点から、1,000,000〜3,000,000が好ましく、1,500,000〜2,500,000がより好ましい。本発明においては、共重合体のRzとMwとを上記範囲とすることで、べとつきや凝集破壊等の不具合がより確実に防止できる。
【0015】
本発明の粘着剤を構成する共重合体は、通常のラジカル溶液重合により製造することができるが、前述したRz及びMwを有する共重合体とするためには、重合反応における溶媒の種類、単量体濃度、開始剤濃度、重合温度等を所定の条件とすることが必要である。反応条件は単量体の種類やその割合によって異なるが、例えば、開始剤濃度は単量体の合計重量に対して0.1〜0.6重量%(好ましくは0.12〜0.45重量%)であり、重合する際の初期仕込みの単量体濃度は溶液の全重量に対して25〜85重量%(好ましくは30〜80重量%)である。初期仕込み濃度を高くすることで分子量や分子半径を大きくすることができるが、単量体の種類によっては仕込み濃度を高くすると重合反応の制御が難しくなる。また、単独重合性の高い単量体を多く用いる場合には、初期仕込み濃度を低くすることで三次元化反応を防止することもできる。溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類やヘプタン等の飽和炭化水素類等が好適であり、良好な重合反応や乾燥除去の容易性の点から酢酸エチルが特に好ましい。なお、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、メタノール、エタノール等のアルコール類等は連鎖移動定数が大きいため、溶媒としては適さない。
【0016】
開始剤としては、有機過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤のいずれも使用できる。有機過酸化物系開始剤としては、パーオキシカーボネート、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)等)、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等が挙げられ、BPOが好ましい。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸メチル等が挙げられ、AIBNが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
重合反応の初期段階での反応制御が、最終的な粘着剤の接着力、凝集力等に大きく影響するため、重合反応を複数段階に分けて行うことが望ましい。初期の重合反応(以下、「第1の重合反応」という。)の温度は使用する開始剤の分解速度等を考慮して適宜決定されるが、開始剤によっては反応温度が高すぎると開始剤の分解速度が速くなり過ぎ、重合反応の初期段階で反応の制御が困難となる場合がある。よって、開始剤の10時間半減期温度を目安に、それ以下の温度で重合反応を行うのが好ましい。開始剤の10時間半減期温度以下の温度であれば、単量体の種類や反応の制御、粘着剤に付与すべき特性等を考慮して適切な反応温度を決定することができる。重合温度を10時間半減期温度以下にするために、溶媒の滴下、外浴の冷却、攪拌速度等によって調整することが好ましい。なお、開始剤は重合反応の開始時に一括添加しても、第1の重合反応中に数回(反応開始時を含む)に分けて添加してもよい。
【0018】
反応が穏やかになった時点を第1の重合反応の終了点とし、次いで、残存単量体の低減のために反応温度を昇温して重合反応(以下、「第2の重合反応」という。)を続行する。第2の重合反応では、第1の重合反応よりも反応温度を高く設定することで開始剤の分解速度及び単量体との反応速度が高まり、残存単量体が効率よく低減される。第2の重合反応の温度は、10時間半減期温度よりも高く、溶媒の沸点よりも低い温度である。かかる重合温度にするために、溶媒の滴下、外浴の冷却、攪拌速度等によって制御することが好ましい。第2の重合反応は、開始剤が失活するまで行う。なお、開始剤が失活する時間は、例えば10時間から第1の重合反応に要した時間を除いた時間を目安とすることができる。
【0019】
第2の重合反応終了後、反応温度を第2の重合反応よりも高く、溶媒の沸点よりも低い温度に昇温して重合反応(以下、「第3の重合反応」という。)を続行する。これにより、重合反応を熟成させることができる。かかる重合温度にするために、溶媒の滴下、外浴の冷却、攪拌速度等によって制御することが好ましい。第3の重合反応は、通常2〜48時間(好ましくは12〜30時間、より好ましくは12〜24時間)行うことが望ましい。
【0020】
なお、重合反応は第1及び第2の重合反応の2段階で行うことができ、この場合、第1の重合反応を10時間半減期温度よりも高く、溶媒の沸点よりも低い温度で反応が穏やかになるまで行い、次いで第2の重合反応を第1の重合反応よりも高く、溶媒の沸点よりも低い温度で通常2〜48時間(好ましくは4〜30時間、より好ましくは4〜16時間)行うことができる。
【0021】
具体的に開始剤としてAIBN又はBPOを用い、溶媒として酢酸エチルを用いる場合を例に挙げて説明する。重合反応を3段階に制御する場合には、例えば第1の重合反応を50〜59℃(好ましくは52〜58℃)で1〜5時間(好ましくは2〜4時間)行い、次いで第2の重合反応を60〜70℃(好ましくは60〜64℃)で5〜10時間(好ましくは4〜8時間)行い、そして第3の重合反応を71〜80℃(好ましくは73〜78℃)で10〜48時間(好ましくは10〜30時間、より好ましくは12〜30時間、さらに好ましくは12〜24時間)行うことが望ましい。また、重合反応を2段階に制御する場合には、例えば第1の重合反応を55〜65℃(好ましくは56〜60℃)で1〜10時間(好ましくは2〜8時間)行い、次いで第2の重合反応を71〜80℃(好ましくは73〜78℃)で10〜48時間(好ましくは10〜30時間、より好ましくは12〜30時間、さらに好ましくは12〜24時間)行うことが望ましい。
【0022】
前述した重合反応においては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、ビニル系単量体を含む単量体を使用する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、アルキル基の炭素数が4〜12のものが好ましく、炭素数4〜8のものがより好ましく、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
また、ビニル系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
共重合体の構成単位として、前述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びビニル系単量体と共重合可能な単量体を更に含有していてもよい。かかる単量体としては、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド等に代表されるアミド基含有単量体、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等に代表されるビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等に代表されるビニルエーテル類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、N−ビニル−2−ピロリドンは環状アミド構造を有し、これを(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させることで、粘着剤の極性が増し、極性薬物の溶解性に優れた粘着剤を得ることができる点で好ましい。また、アミド結合間の水素結合によって粘着剤の凝集力が向上し、親水性が更に向上するといった利点も得られる。
【0025】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、接着力、皮膚刺激性、品種の多様性等の点から、単量体の合計重量に対して50重量%以上、好ましくは50〜80重量%である。ビニル系単量体の配合割合は、接着力や凝集力向上の観点から、単量体の合計重量に対して、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%である。また、N−ビニル−2−ピロリドン等の単量体単位を含有する場合、その配合割合は、粘着剤の凝集力向上等の観点から、単量体の合計重量に対して、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%である。
【0026】
本発明の粘着剤は、前述した不具合を改善することを意図して可塑剤や架橋剤を含有していてもよい。可塑剤としては、粘着性をコントロールするもの、吸収促進効果を有するもの、薬物の安定性を向上させるもの等が好適に用いられる。このような可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、ラウリン酸エチル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル等のエステル類、トリオレイン酸ソルビタン等の界面活性剤、流動パラフィン等の炭化水素類が挙げられ、常温〜30℃で液状のものが好適である。架橋剤としては、多官能イソシアナート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、多価金属キレート化合物が挙げられる。中でも、取り扱い性や反応性が良好な点で、多官能イソシアナート化合物や多価金属キレート化合物が好適である。なお、粘着剤が架橋剤を含有する場合には、熱処理等により粘着層中で共重合体と架橋剤とが架橋構造を形成することができ、充分な凝集力を得られるため凝集破壊等をより確実に防止できる。
【0027】
多官能イソシアナート化合物としては、良好な反応性の点から、例えばトリレンジイソシアナート(TDI)、2,4−トリレンジイソシアナート二量体、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート(NDI)、o−トリレンジイソシアナート(TODI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、トリフェニルメタントリイソシアナート、トリス−(p−イソシアナートフェニル)チオフォスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアナートが挙げられ、トリフェニルメタントリイソシアナート等の多官能のイソシアナート化合物が好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、多官能イソシアナート化合物は商業的に入手可能であり、例えばコロネートL、コロネートHL、ミリオネートMR−300(以上、日本ポリウレタン(株)製)を好適に用いることができる。
【0028】
多価金属キレート化合物とは、多価金属が有機化合物と共有結合又は配位結合している化合物をいう。多価金属原子としては、Al、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、St、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。中でも、Al、Zr、Tiが好ましい。また、共有結合又は配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。具体的には、ジプロポキシ−ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシチタン−ビス(オクチレングリコレート)、ジプロポキシチタン−ビス(エチルアセトアセテート)、ジプロポキシチタン−ビス(ラクテート)、ジプロポキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、ジ−n−ブトキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ブチルチタネートダイマー、ポリ(チタンアセチルアセトナート)等のチタンキレート化合物;アルミニウム ジイソプロポキシドモノエチルアセテート、アルミニウム ジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウム ジ−i−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウム ジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム ジ−sec−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム トリアセチルアセトナート、アルミニウム トリエチルアセトアセトナート、アルミニウム モノ−アセチルアセトナートビス(エチルアセトアセトナート)等のアルミニウムキレート化合物;ジルコニウム テトラアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート化合物が例示される。中でも、アルミニウム トリアセチルアセトナート、アルミニウム ジプロポキシモノアセチルアセトナートが好適である。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
また、可塑剤の含有量は、共重合体100重量部に対して、好ましくは10〜130重量部、より好ましくは20〜120重量部、さらに好ましくは30〜100重量部、特に20〜70重量部、とりわけ30〜60重量部である。可塑剤の含有量が少なすぎると粘着力が高すぎる傾向にあり、一方多すぎると粘着力が低すぎたり、凝集力不足になる傾向にある。また、架橋剤の含有量は、共重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜1重量部、より好ましくは0.3〜0.7重量部、さらに好ましくは0.3〜0.5重量部である。架橋剤の含有量が少なすぎると架橋密度が低下して十分な強度を得難くなる傾向にあり、一方多すぎると粘着力が低下したり、製造時の作業性に劣る傾向にある。
【0030】
共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.7重量部(好ましくは0.3〜0.5重量部)の架橋剤とを含む粘着剤である場合、当該粘着剤を用いて支持体上に粘着層を形成して積層体を作製し70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上となることが可能である。これにより、かかる粘着剤を用いて積層体を作製した場合に凝集破壊等をより確実に防止することができる。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の長手方向の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重し、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間、すなわち保持時間を測定する。
【0031】
また、本発明の粘着剤は医薬用途に好適に使用することができ、種々の薬物を含有することができる。薬物としては、例えば冠血管拡張剤、ホルモン類、消炎鎮痛剤、抗炎症剤、精神安定剤、覚醒剤原料物質、麻薬性鎮痛剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗菌剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤等が挙げられる。さらに、本発明の粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜含有させることもできる。薬物の含有量は、粘着剤100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは1.5〜25重量部である。
【0032】
本発明の積層体について説明する。
図1は、本実施形態に係る積層体の断面図である。積層体10は、柔軟な材質からなる支持体1と、該支持体1の少なくとも片面に形成された粘着層3とを備えるものである。粘着層3は、前述した本発明の粘着剤から構成される。
【0033】
支持体1は粘着層3を保持するものであり、例えば皮膚に貼付したときにその動きに追随し、また屈曲面に貼付したときにも違和感なく適応するために、適度の柔軟性を有するものが選択される。例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのフイルムや多孔質フイルム、ポリエステル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル樹脂、不織布、織布、紙、金属箔等のフイルムやこれらの積層物が使用できる。支持体1の厚みは使用用途によっても異なるが、一般に0.02〜0.5mm程度、好ましくは0.02〜0.2mm程度である。また、支持体1は、必要に応じて帯電防止処理、下塗り処理等の各種処理が施されていてもよい。積層体10の粘着層3の厚みは、例えば5〜500μm、好ましくは10〜200μm程度である。
【0034】
粘着層3には、必要に応じて前述した薬物、可塑剤、架橋剤等の添加剤が配合されていてもよく、例えば添加剤が配合された粘着剤溶液を支持体1上に塗工し、乾燥することで所望の添加剤が配合された積層体を得ることができる。なお、粘着剤溶液の塗工は、例えば粘着テープの製造で使用されている塗工技術をそのまま使用できる。また、粘着層3が共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.7重量部(好ましくは0.3〜0.5重量部)の架橋剤とを含む粘着剤から構成されている場合、積層体10を70℃で48時間熱処理し上記(A)の方法で保持時間を測定したときに1000分以上となる。これにより、凝集破壊等がより確実に防止された積層体10を得ることができる。
【0035】
また、積層体10の態様としては、粘着シート、粘着テープ、長尺の巻絆創膏等が挙げられる。なお、これらは従来公知の方法により製造することができる。粘着シートは、例えば、支持体1に前述した粘着剤の溶液を適当量塗布し加熱乾燥するか、あるいは粘着剤の溶液を剥離紙上に塗布し加熱乾燥した後、これを支持体1に貼り合わせることで作製することができる。なお、粘着層3の保護のため、粘着層3上には剥離フィルム(剥離ライナ)が積層していてもよい。また、粘着テープは、例えば、支持体1の一方面に粘着層3を形成し、粘着層3の表面を支持体1の他方面と重ね合わせてロール状に巻き取ることで作製することができる。支持体1の他方面には、コーティング等の慣用の方法を用いて背面処理層が形成されていてもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
容量20Lのステンレス製反応装置にアクリル酸−2−エチルへキシル(2−EHA:東亜合成社製)2850g、アクリル酸(AA:東亜合成社製)150g、過酸化ベンゾイル(BPO:三井東圧社製)6g、酢酸エチル(和光純薬社製)750gを仕込み、外浴温度40℃、攪拌速度30r/min、窒素ガス(N)400mL/minで3時間N置換した。次いで、滴下装置に滴下用酢酸エチル9250gを準備した。その後、外浴温度、酢酸エチルの滴下、攪拌速度を調整することにより、内浴温度56±2℃で2時間、60±2℃で8時間、74±2℃で20時間重合反応を行った。重合反応終了後、滴下装置に残った酢酸エチルの全量を滴下するとともに、内浴を40℃以下まで冷却し、共重合体(A)の溶液を得た。次いで、共重合体(A)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により共重合体(A)を得た後、共重合体(A)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0039】
(実施例3)
実施例1のAAの代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA:共栄社化学社製)を用い、初期重合温度制御も60±2℃とした以外は実施例1と同様の方法により共重合体(B)を得た。次いで、共重合体(B)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0040】
(実施例4)
実施例1と同様の反応装置に2−EHA2160g、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP:五協産業社製)750g、AA90g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN:和光純薬社製)6g、酢酸エチル7000gを仕込み、実施例1と同様の方法により重合を行った。次に、この溶液を剥離ライナー上に乾燥後の厚みが100μmとなるように塗工し、熱風循環式乾燥機で100℃、10分乾燥して残留単量体を除去した。得られた共重合体(C)を再度酢酸エチルに溶解し、共重合体(C)の溶液を得た。次いで、共重合体(C)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0041】
(実施例5)
実施例4と同様の方法により共重合体(C)を得た後、共重合体(C)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0042】
(比較例1)
実施例1において、初期仕込みの酢酸エチル量を4500gとし、滴下用酢酸エチルの量を5500gとした以外は全て実施例1と同様の方法により共重合体(A2)の溶液を得た。次いで、共重合体(A2)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0043】
(比較例2)
AIBNの量を12gに代えたこと以外は実施例4と同様の方法により共重合体(C2)の溶液を得た。次いで、共重合体(C2)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0044】
(比較例3)
比較例2と同様の方法により共重合体(C2)を得た後、共重合体(C2)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0045】
(比較例4)
粘着剤Dの調製
市販されている粘着剤87−2196(ナショナルスターチ社製)をそのまま用いた。本品はカタログより、該粘着剤を構成する共重合体(D)は、単量体単位として少なくとも2−EHAとAAとを含むと推察される。次いで、共重合体(D)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0046】
(比較例5)
粘着剤Dの調製
比較例4で用いた市販の共重合体(D)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0047】
(比較例6)
市販されている粘着剤87−2516(ナショナルスターチ社製)をそのまま用いた。本品はカタログより、該粘着剤を構成する共重合体(E)は、単量体単位として少なくとも2−EHAと、2−HEMA又は2−ヒドロキシエチルアクリレートとを含むと推察される。次いで、共重合体(E)100重量部に対してミリスチン酸イソプロピル100重量部と表1に示す架橋剤とを添加し、酢酸エチルで溶液の粘度を調整し、粘着剤の溶液を得た。
【0048】
(分子半径Rzと絶対分子量Mwの測定)
多角度光散乱検出器(MALLS)を用い、定法によりRzとMwを求めた。すなわち、各試料のTHF希薄溶液を数濃度作製し、マイクロバッチ法並びに下記の装置及び条件によりZimmプロットを作成し求めた。測定結果を表1に示す。
【0049】
1)装置と条件
・dn/dc測定
干渉型屈折計:Wyatt Technology、OPTILAB DSP
波長 :633nm(Wランプ)
検出器:RI(40℃)
溶離液:特級THF
流速 :1〜2mL/min(自然流下)
・GPC/MALLS
GPC:Shodex、SYSTEM・21
MALLS検出器:Wyatt Technology、DAWN DSP-F
カラム:ステンレスチューブ内径0.25mm、長さ80cm(GPCカラムは不使用)
カラム温度:35℃
溶離液:THF
流速 :0.70mL/min
注入量:4mL
ラインフィルター:1.0μm
レーザ波長:632.8nm
多角度フィット法:Berry法
【0050】
(保持時間の測定)
75μm厚のポリエステルライナー上に乾燥後の厚みが60μmとなるように、実施例1〜5及び比較例1〜6で得られた各粘着剤溶液を塗布し、次いで100℃の熱風循環式乾燥機中で3分間乾燥した。乾燥後の粘着層の露出面に12μmのポリエステルフィルムを積層しポリエステル製包材で密封後、70℃で48時間加熱処理して各試験用テープを作製した。
【0051】
作製したテープを幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を作製し、この試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着した後、他方の先端に0.3kgの分銅をかけ、40℃の環境下で剪断方向へ荷重した。荷重による凝集破壊又は界面破壊による脱落までの時間を計測した。計測結果を表1に示す。
【0052】
(粘着性物質残留の判定)
保持時間測定の後、試験片をベークライト板から剥がし、粘着層表面を指の腹に強く貼り付けた。試験片を指から除去した後の、指の腹に残る粘着性残留物の有無を官能試験で判定した。試験結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
1)三官能性イソシアネート(コロネートHL、日本ポリウレタン社製)
2)アルミニウム トリアセチルアセトナート(川研ファインケミカル社製)
3)粘着剤溶液中のアクリル系共重合体100重量部に対する配合部数
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の粘着剤は、べとつきや凝集破壊又は界面破壊等が抑制された粘着層を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の積層体の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1…支持体、3…粘着層、10…積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するビニル系単量体を含む単量体を共重合して得られ、かつ多角度光散乱法により測定される平均分子半径が70nm以上である共重合体を含有してなる、粘着剤。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが2−エチルへキシルアクリレートである、請求項1記載の粘着剤。
【請求項3】
前記ビニル系単量体が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸である、請求項1又は2記載の粘着剤。
【請求項4】
前記共重合体が50重量%以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、10〜40重量%のN−ビニル−2−ピロリドンと、1〜10重量%のアクリル酸とを含む単量体を共重合して得られるものである、請求項1記載の粘着剤。
【請求項5】
前記共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.7重量部の架橋剤とを含有しており、
当該粘着剤からなる粘着層を支持体上に備える積層体を作製し70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上となることが可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
【請求項6】
前記共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.5重量部の架橋剤とを含有しており、
当該粘着剤からなる粘着層を支持体上に備える積層体を作製し70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上となることが可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
【請求項7】
前記架橋剤が多官能イソシアナート化合物又は多価金属キレート化合物である、請求項5または6記載の粘着剤。
【請求項8】
柔軟な材質からなる支持体と、該支持体の少なくとも片面に形成され、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着剤からなる粘着層とを備える積層体。
【請求項9】
前記粘着層が粘着層に含まれる共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.7重量部の架橋剤とを含有しており、
70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上である、請求項8記載の積層体。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
【請求項10】
前記粘着層が粘着層に含まれる共重合体100重量部に対して100重量部の可塑剤と、0.3〜0.5重量部の架橋剤とを含有しており、
70℃で48時間熱処理して下記(A)の方法で測定したときの保持時間が1000分以上である、請求項8記載の積層体。
(A)熱処理後の積層体を幅10mm、長さ50mmに裁断し試験片を得、該試験片の一方の先端から10mmをベークライト板に貼付し、0.85kgのゴムローラーを一往復して圧着後、他方の先端を40℃で剪断方向へ2.94N(0.3kgf)荷重したときの、試験片が凝集破壊又は界面破壊により脱落するまでの時間を測定する。
【請求項11】
粘着シート又は粘着テープである、請求項8〜10のいずれか一項記載の積層体。

【図1】
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【公開番号】特開2006−328361(P2006−328361A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99438(P2006−99438)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】