説明

精油または石油化学工程のカラム用機械的圧力低減装置およびその方法

【課題】
設置費用の節減、工程の構成方式の単純化、および機械的信号の使用による高い信頼度の確保を図ることができる、 精油または石油化学工程のカラム用機械的圧力低減装置およびその方法を提供する。
【解決手段】
本発明の圧力低減装置は、精油または石油化学工程のカラムに供給される熱源を遮断することが可能な緊急遮断弁、および前記カラム内の圧力によって機械的に前記緊急遮断弁を駆動する安全リレー弁を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精油または石油化学工程のカラム用機械的圧力低減装置およびその方法に係り、より詳しくは、精油または石油化学工程においてカラム内の圧力が一定の水準以上に上昇する場合、熱源を遮断することによりカラム内の圧力を一定の水準以下に維持して 余剰ガス燃焼煙突(Flare Stack)の容量を低減することができる、精油または石油化学工程のカラム用機械的圧力低減装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、精油工場および石油化学工場では、余剰ガス燃焼煙突(flare stack)が必ず設置されなければならない。前記余剰ガス燃焼煙突は、工程カラムの内圧が電源供給中断や冷却水供給中断、火災発生などの原因により非正常的に上昇する場合、カラムの爆発を防止するためにカラム内のガスを大気中に自動放出させながら焼却処理する装置である。
【0003】
既存のシステムは、安全弁によってカラム内のガスを放出させるもので、カラム内の圧力が安全弁の設定圧力以上になると、安全弁が開いて内部ガスを大気中に放出してカラム内の圧力を低めることにより、カラムの爆発を防止する。
【0004】
このような安全弁の作動によって放出されたカラム内の気体は、ヘッダーライン(Header Line)に集結し、霧状の液体を分離除去するためのノックアウトドラム(Knock Out Drum)およびシールドラム(Seal Drum)を経て焼却処理されて大気中へ排出される。
【0005】
ところが、既存設備の生産量を増加させるために生産施設を増設または交替するなどによりガス噴出量が既存の場合より増加する場合、別途の装置なしで前述したように安全弁のみを使用すれば、余剰ガス燃焼煙突の設計容量を超過することが発生する。
【0006】
よって、これを防止するために余剰ガス燃焼煙突をさらに設置しなければならない負担が発生する。また、工場を新設する場合にも、噴出容量自体を低く設定して余剰ガス燃焼煙突の投資費用の節減を図ったりする。
【0007】
かかる問題点に鑑みて開発されたものが計測制御安全システム(Safety Instrumented System、SIS)である。この計測制御安全システムは、国内だけでなく、海外でも既に商用化されている。このような計測制御安全システムは、工程などの状態をコンピュータなどの電気システムを用いて制御する。特許文献1では、この種の計測制御安全システムによって工程プラントを制御するシステムを開示している。
【0008】
このような計測制御安全システムを工程カラム内の圧力低減に使用して、安全弁の設定圧力以下の圧力に作動圧力を設定し、安全弁が作動する前に予めカラム内の圧力を低めて余剰ガス燃焼煙突からの排出ガスの噴出量を減少させることにより、余剰ガス燃焼煙突の処理容量の減少を達成するようにしてきた。
【0009】
前記計測制御安全システムは、圧力上昇感知システム、TMR(Triple Modular Redundant)コントローラ、および緊急遮断弁システムから構成されている。このような計測制御安全システムが適用された工程を図1に概略的に示す。
【0010】
図1は、カラム内に流入した物質を加熱し、重い物質はカラムの下部から排出され、軽いガスはカラムの上部から排出されてコンデンサで液化されてドラムへ移動する工程に計測制御安全システムが適用された場合を示す。正常運転状態では、圧力が危険水準以下に維持されるので、安全弁または計測制御安全システムの作動がない。
【0011】
ところが、非正常な状況、例えば電源供給中断や冷却水供給中断などの状況が発生した場合、スチームなどの熱源は、カラムへの継続的な流入や凝縮設備としてのコンデンサの作動停止などにより装置内に熱量が蓄積されて内圧上昇を引き起こすおそれがある。
【0012】
このような場合、すなわち、計測制御安全システムは、カラムの上部に設置された圧力上昇感知システムでアナログ信号をTMRコントローラに伝達する。内圧上昇により、予め設定された圧力に到達すると、TMRコントローラは緊急遮断弁に信号を送り出して遮断弁を閉の状態にする。
【0013】
したがって、安全弁の作動圧力以下で予め装置の圧力を低めることができるようにして無駄なフレアリング(flaring)を減少させる。結果として、このような無駄なフレアリングの減少は更なる余剰ガス燃焼煙突の容量増加による費用節減効果を達成し、工場設計を単純化することを可能にする。
【0014】
ところが、前述したような計測制御安全システムは、既存の方式に比べて少ない投資費がかかるが、さらに装置購入などの設備投資費が要求される。また、承認機関から本システムの適合性を認めてもらうためには、安全弁に準ずる信頼度を備えなければならないが、SISは、電気的信号を使用するもので、高い信頼度を持っていない。SISが構成された多数の装置のうち10個中の一つは失敗する確率として認められているので、噴出されるガス容量のうち最も大きい容量は噴出されるものと見なされる。したがって、噴出されるものと見なされる容量を考慮に入れて余剰ガス燃焼煙突の容量が設定されなければならないので、計測制御安全システムによる減少効果が減る。これは電気的信号によって遮断弁をコントロールすることによるものであって、その信頼度が、機械的信号を使用する安全弁には及ばないという問題を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7289861号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明者は、精油または石油化学工程でカラム内の圧力が一定の水準以上に上昇する場合、これを感知してリボイラーへの熱源の供給を機械的に遮断することにより、余剰ガス燃焼煙突の処理容量を画期的に減らすことができ、信頼度も安全弁と同等以上のレベルを達成することができることを見出し、これに基づいて本発明の完成に至った。
【0017】
したがって、本発明の目的は、精油または石油化学工程で機械的に熱源の供給を遮断することが可能な緊急遮断弁を駆動する安全リレー弁を含む機械式圧力低減装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、前記装置を用いて、精油または石油化学工程のカラム内圧力を効率よく低減することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明に係る圧力低減装置は、精油または石油化学工程のカラムに供給される熱源を遮断することが可能な緊急遮断弁、および前記カラム内の圧力によって機械的に前記緊急遮断弁を駆動する安全リレー弁を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の装置において、前記安全リレー弁は、前記緊急遮断弁を駆動する圧縮空気が流動する貫通口を側面に有する中空管と、前記中空管の内部で移動しながら前記貫通口を開閉するプランジャーと、前記中空管の一端に連結され、前記プランジャーに遮断圧力を提供するバネ部と、前記中空管の他端に連結され、前記プランジャーに前記カラム内の圧力を伝達する圧力伝達部とを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の装置において、前記安全リレー弁の中空管には、前記プランジャーが上昇したときにこれを固定するための固定ピンが設けられており、前記プランジャーには、前記固定ピンを収容する溝が設けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明の装置において、前記プランジャーは、前記プランジャーの上昇前には前記緊急遮断弁を開の状態に維持し、上昇時には前記緊急遮断弁を閉の状態とするように、前記安全リレー弁内の空気流れ方向を調節することができる、前記中空管の内径と同じ直径の大径部、および前記中空管の内径より小さい直径の小径部を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の装置において、前記圧力伝達部は、前記カラム内の圧力によって前記プランジャーを押し上げるディスクを含み、前記圧力伝達部に導入された前記カラム内の流体を排出し且つ前記プランジャーの固定位置で流体の排出が遮断される排出管をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の他の目的を達成するために、精油または石油化学工程のカラム用機械式圧力低減方法は、精油または石油化学工程のカラムに熱を供給する熱源を遮断してカラム内の圧力を低減する圧力低減方法において、a)前記カラム内の流体の一部を安全リレー弁に導入させる段階と、b)前記導入された流体の圧力によって前記安全リレー弁を駆動させ、前記リレー弁を流動する圧縮空気の流れ方向を変更する段階と、c)前記変更された圧縮空気の流れ方向によって緊急遮断弁を遮断させる段階とを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る方法において、前記安全リレー弁は、前記緊急遮断弁を駆動する圧縮空気が流動する貫通口を側面に有する中空管と、前記中空管の内部で移動しながら前記貫通口を開閉するプランジャーと、前記中空管の一端に連結され、前記プランジャーに遮断圧力を提供するバネ部と、前記中空管の他端に連結され、前記プランジャーに前記カラム内の圧力を伝達する圧力伝達部とを含むことを特徴とする。
【0026】
本発明の方法において、前記方法は、前記プランジャーが上昇したとき、前記中空管に設けられている固定ピンによって前記プランジャーを固定する段階を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の方法において、前記方法は、前記中空管の内径と同じ直径の大径部および前記中空管の内径より小さい直径の小径部を有するプランジャーが、前記中空管内で移動しながら前記貫通口の開閉を調節する段階を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明の方法において、前記方法は、前記大径部および前記小径部の配列によって、前記プランジャーの上昇前には前記貫通口を介して前記緊急遮断弁へ圧縮空気が流入するようにし、前記プランジャーの上昇時には前記緊急遮断弁に流入した圧縮空気が外部へ排出されるようにする段階を含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の方法において、前記機械式圧力低減方法は、前記導入されたカラム内の流体が、前記圧力伝達部に備えられた排出管を介して排出され、前記プランジャーが上昇して固定されるときには、前記排出管が遮断されて前記内部流体の排出が遮断される段階を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明の特徴および利点は、添付図面に基づいた以降の詳細な説明からさらに明白になるであろう。これに先立ち、本明細書および請求の範囲に使用された用語および単語は、
通常的且つ辞典的な意味で解釈されてはならず、発明者が自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づき、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0031】
既存のSISシステムは約1億ウォン程度の費用が要求されるが、これに対し、本発明に係る安全リレー弁(Safety Relay Valve、SRV)を用いたシステムは約3千万ウォン程度の費用のみを必要とする。よって、本発明のSRVシステムを適用する場合、既存のSISシステムに比べて73%程度の費用を節減することができるという効果がある。
【0032】
すなわち、本発明に係る装置は、従来の計測制御安全システムのように複雑な設備などを必要としないので、相対的に低廉な設置費用がかかるうえ、工程の構成方式を単純化することができるという利点を持つ。
【0033】
電気的信号を使用する高費用の従来のSISシステムと比較しても、本発明に係る装置は、機械的信号を使用することにより、低廉な費用でも高い信頼度を確保することができるという利点がある。
【0034】
しかも、本発明の装置は、安全弁と類似の方式で作動するので、承認機関で従来の計測制御安全システムに適用したこととは異なり、個別装置の失敗確率を適用しないことにより、噴出容量の減少を極大化する効果を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の計測制御安全システムを適用した工程を示す概略図である。
【図2】図2(A)は正常圧力状態における本発明に係る安全リレー弁の具体例を示す概略図であり、図2(B)は圧力が上昇した場合の本発明に係る安全リレー弁の具体例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る工程を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0037】
本発明は、従来の計測制御安全システムを簡単で高い信頼度の安全リレー弁(Safety Relay Valve)で代替し、カラム内の圧力が一定の水準に達すると、リボイラーに導入される熱源の流れを遮断するように緊急遮断弁を遮断させる装置を提供する。
【0038】
図2(A)は逆作動タイプの緊急遮断弁が使用されるときの、正常圧力状態における本発明に係る安全リレー弁を示し、図2(B)は逆作動タイプの緊急遮断弁が使用されるときの、非正常圧力状態における本発明に係る安全リレー弁を示す。
【0039】
図2(A)に示した安全リレー弁101は、緊急遮断弁の開閉を決定することが可能な、例えば圧縮空気導入口102、圧縮空気排出口103、および圧縮空気ベント104などの流体の流動する貫通口を有する中空管105と、前記中空管105の内部で移動しながら前記貫通口の開閉を調節するプランジャー106と、前記中空管105の上部に連結され、前記プランジャー106に遮断圧力を提供するバネ109を含むバネ部111と、前記中空管の下端に連結され、前記プランジャー106に工程カラム内の圧力を伝達する圧力伝達部112とを含む。
【0040】
ここで、前記バネ109は、工程装置に備えられている安全弁より低い設定圧力を持たせる。これは、安全弁の作動前に前記圧力低減装置が作動して圧力の追加上昇を防止することにより、安全弁へ流出する工程カラム内のガス量を遮断し得るようにするためである。
【0041】
また、前記バネ部111には、前記バネにより設定される圧力がバネ部111の圧縮によって上昇しないように空気を排出することが可能なベント110を備えることができる。
【0042】
前記プランジャー106は、前記緊急遮断弁の開閉を調節するために導入される圧縮空気を排出または遮断することができるように、前記中空管105に密着して貫通口を遮断することが可能な大径部107、および流体が通過し得るように大径部より小さい直径の小径部108を有する。
【0043】
前記プランジャー106が大径部107および小径部108を有することにより、前記安全リレー弁に導入される圧縮空気の流れ方向が工程装置の内部圧力の上昇に伴って変わることができる。
【0044】
前記工程カラムの圧力が正常の場合、前記圧縮空気導入口および前記圧縮空気排出口が備えられた部分には前記プランジャー106の小径部108が位置し、圧縮空気が前記緊急遮断弁(図示せず)に導入されるようにして熱源注入管を開放状態にする。
【0045】
また、前記圧縮空気ベント104は、前記工程装置の内部圧力が正常の場合には、図示の如く、プランジャー106の大径部107が位置して遮断された状態にある。
【0046】
このように工程装置の圧力が正常の場合には、圧縮空気が前記安全リレー弁101を通過して前記緊急遮断弁に導入されるので、弁が開の状態を維持するようにする。よって、工程装置の正常作動に影響しない。
【0047】
この場合は、緊急遮断弁として、逆作動(air-to-open)タイプの弁が使用されることを想定したのである。
【0048】
一方、前記中空管105には、前記プランジャー106が一定の高さに上昇する場合、これを固定させる固定ピン113が設けられてもよく、前記プランジャー106の大径部107には、前記固定ピンが固定される溝114が設けられてもよい。
【0049】
前記プランジャー106の下端には圧力伝達部112が連設されている。前記圧力伝達部112は、前記プランジャー106を押し上げるディスク115を備える。
【0050】
前記工程カラム内部の流体が前記ディスク115の下端の流体導入管116に導入され、前記バネ109によって、設定された圧力以上になると、前記ディスク115を上部に押し上げ、これにより前記プランジャー106が上方に上昇する。
【0051】
この際、前記圧力伝達部112に導入された流体を外部に排出させる排出管117が設けられてもよい。
【0052】
図2(B)には、前記工程のカラム内の圧力が前記安全リレー弁101の設定圧力以上に上昇した場合の安全リレー弁101の具体例が示されている。
【0053】
図2(B)に示すように、前記工程装置内部の流体の圧力が上昇するにつれてディスクを押し上げ、前記プランジャー106を上方に上昇させる。これにより、前記プランジャー106の大径部107および小径部108の位置が変わる。
【0054】
この場合、正常状態では、プランジャー106の小径部108が位置していた圧縮空気導入口102の位置に大径部107が位置することになり、圧縮空気の導入が遮断される。
【0055】
また、前記圧縮空気を前記緊急遮断弁に導入させていた圧縮空気排出口の位置には依然として小径部108が位置し、その代わりに前記圧縮空気ベントの位置に前記小径部108が位置することになる。
【0056】
この場合、前記緊急遮断弁に導入されて緊急遮断弁が開の状態となるようにした圧縮空気が、前記圧縮空気排出口103を介して前記圧縮空気ベント104へ抜け出す。これにより、前記緊急遮断弁に導入される圧縮空気による圧力が失われるので、前記緊急遮断弁は閉の状態になり、前記工程装置に導入されていた熱源を遮断する。
【0057】
また、前記中空管105に設けられている、バネなどを用いた前記固定ピン113が、前記プランジャー106の上昇に伴い、前記プランジャー106の大径部107に設けられている溝114に固定される。よって、前記プランジャー106は、一定の圧力に到達した以後には上昇した状態で固定される。
【0058】
このような固定ピン113がない場合、前記プランジャー106が圧力の変化に応じて引き続き上下動する。このような場合、エンジニアは工程装置内で発生した問題を遅く発見することもある。圧力上昇の原因が除去されてからは、前記固定ピンを手動で抜き取ることにより、さらに前記プランジャー106を本来の位置に下降させて正常運転モードに転換させることができる。
【0059】
また、前記圧力伝達部112に設けられた排出管117は、前記プランジャー106が上昇して固定される時点に前記プランジャーの大径部107によって遮断されるので、更なる工程流体の外部への排出が防止できる。
【0060】
本発明は、既存の計測制御安全システムに対して、多数の装備などが要求されていた電気的装置を本発明の安全リレー弁で代替することにより、同一作動を可能にするので、設置費用が節減でき、工程の構成方式が単純化できる。
【0061】
また、信号体系が既存の計測制御安全システムとは異なり、電気的ではなく機械的信号を直接使用することにより、高い信頼度を持つ。
【0062】
一方、図3は本発明に係る工程を概略的に示す図である。図3を参照すると、カラム202の圧力が増加して一定の水準以上になると、安全弁203が開放されて前記カラム内の流体が余剰ガス燃焼煙突から抜け出して前記カラム内の圧力を低める。
【0063】
ところが、先立って指摘したように別途の圧力制御システムがない場合、あるいは既存の計測制御安全システムが適用された場合には、余剰ガス燃焼煙突の容量が大きくなる負担があった。
【0064】
本発明の方法によれば、電気的信号を用いる既存の計測制御安全システムとは異なり、安全弁の原理のように前記カラム内の圧力を直接機械的に測定して作動するので、高い信頼度を持つことができるから、余剰ガス燃焼煙突の容量減少および費用節減などの効果を図ることができる。
【0065】
図3に示すように、カラム202内の圧力を測定するために、管を連結してカラム内の流体の一部を安全リレー弁201へ誘導する。前記誘導された流体は、一定の圧力以上になると、前記安全リレー弁201を駆動させ、前記安全リレー弁201内を流動する圧縮空気の流れ方向を変更する。前記変更された圧縮空気の流れによって、前記緊急遮断弁204を遮断するか否かが決定される。前記緊急遮断弁204が遮断されると、前記カラム202に導入される熱源を遮断することにより、前記カラム202内の圧力上昇を防止することができる。
【0066】
この場合、前記安全リレー弁201の設定圧力は、前記安全弁203の設定圧力以下となるように設定できる。前記安全リレー弁201の設定圧力が前記安全弁203の設定圧力より低くなれば、前記安全弁203の作動前に前記カラム202の圧力を低めることができるから、不要な安全弁203の作動を減らすことができる。
【0067】
前記安全リレー弁201は、前記緊急遮断弁204を駆動する圧縮空気が流動する貫通口を側面に有する中空管と、前記中空管の内部で移動しながら前記貫通口を開閉するプランジャーと、前記中空管の一端に連結され、前記プランジャーに遮断圧力を提供するバネ部と、前記中空管の他端に連結され、前記プランジャーに前記カラム内の圧力を伝達する圧力伝達部とを含む安全リレー弁201であってもよい。前記安全リレー弁201は、誘導された前記カラム202内の流体によって前記プランジャーの移動に応じて圧縮空気流動方向の調節が可能である。
【0068】
本発明の方法によれば、圧縮空気の流動方向の調節は、前記中空管の内径と同じ直径の大径部、および前記中空管の内径より小さい直径の小径部を有するプランジャーが、前記中空内で移動しながら前記貫通口の開閉を調節することにより行われる。前記安全リレー弁201では、装置内の圧力が正常状態であれば、前記安全リレー弁201に導入される圧縮空気の流れが、前記緊急遮断弁の開放状態を維持するように形成される。一例として、前記緊急遮断弁が逆作動タイプの場合には、前記緊急遮断弁204に圧縮空気が導入されるようにして、前記カラム202に熱源を供給する管に設置された緊急遮断弁204が開の状態となるように維持する。ところが、前記カラム内の圧力が一定の圧力以上になると、前記安全リレー弁201内を通る圧縮空気の流れ方向を変更し、前記緊急遮断弁204に導入された圧縮空気が外部に排出されるようにして緊急遮断弁204を遮断させる。
【0069】
また、前記カラム202内の圧力が上昇したとき、前記安全リレー弁201のプランジャーは、前記中空管またはプランジャーに設けられた固定ピンによって上昇したままで固定できる。前述したように、前記プランジャーを上昇した状態で固定させない場合には、圧力上昇の原因が除去されていないままで工程が行い続けられるという問題点を持つ。
【0070】
また、前記安全リレー弁201の設定圧力を前記安全弁203の設定圧力より低く設定し、安全弁が開放されて余剰ガス燃焼煙突から流体が抜け出す前に、予め熱源の供給を遮断することにより、安全弁を通して余剰ガス燃焼煙突から流体が噴出されることを防止することができる。このような作動によって噴出容量の減少による投資費用の節減および工程設計の単純化を図ることができる。
【0071】
前記方法では、前記誘導されたカラム内の流体が圧力の上昇に伴って前記プランジャーを上昇させながら前記安全リレー弁201内に導入されるが、この際、前記安全リレー弁201に設けられた排出管を介して、誘導された流体を外部へ排出する。このような流体の排出については、前記プランジャーが上昇して固定されるときに、前記排出管が遮断されて前記内部流体の排出が遮断される。これは、前記排出管が引き続き開放されている場合、前記カラム202内の流体が過度に外部へ排出されることを防止するためである。
【0072】
本発明について好適な実施例を参照して記述および説明したが、当業者に明白なように、種々の変更または修正が本発明の精神と範囲から逸脱することなく可能である。よって、本発明は、特許請求の範囲およびその同等物の範疇内に属する前記変更または修正をカバーするものである。
【符号の説明】
【0073】
101、201 安全リレー弁
102 圧縮空気流入口
103 圧縮空気排出口
104 圧縮空気ベント
105 中空管
106 プランジャー
107 プランジャーの大径部
108 プランジャーの小径部
109 バネ
110 バネ部ベント
111 バネ部
112 圧力伝達部
113 固定ピン
114 固定ピン溝
115 ディスク
116 流体導入管
117 流体排出管
202 カラム
203 安全弁
204 緊急遮断弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精油または石油化学工程のカラムに供給される熱源を遮断することが可能な緊急遮断弁と、
前記カラム内の圧力によって機械的に前記緊急遮断弁を駆動する安全リレー弁とを含むことを特徴とする、機械式圧力低減装置。
【請求項2】
前記安全リレー弁は、前記緊急遮断弁を駆動させる圧縮空気が流動する貫通口を側面に有する中空管と、前記中空管の内部で移動しながら前記貫通口を開閉するプランジャーと、前記中空管の一端に連結され、前記プランジャーに遮断圧力を提供するバネ部と、前記中空管の他端に連結され、前記プランジャーに前記カラム内の圧力を伝達する圧力伝達部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の機械式圧力低減装置。
【請求項3】
前記プランジャーは、前記中空管の内部で移動しながら前記貫通口の開閉を調節することができるように、前記中空管の内径と同じ直径の大径部、および前記中空管の内径より小さい直径の小径部を有することを特徴とする、請求項2に記載の機械式圧力低減装置。
【請求項4】
前記安全リレー弁は、前記プランジャーが上昇したときにこれを固定するための固定ピンが前記中空管に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の機械式圧力低減装置。
【請求項5】
前記プランジャーは、前記プランジャーの上昇前には前記貫通口を介して前記緊急遮断弁へ圧縮空気が流入するようにし、かつ前記プランジャーの上昇時には前記緊急遮断弁に流入した圧縮空気を外部へ排出するように、前記大径部と前記小径部が配列されていることを特徴とする、請求項3に記載の機械式圧力低減装置。
【請求項6】
前記圧力伝達部は、前記カラム内の圧力によって前記プランジャーを押し上げるディスクを含み、前記圧力伝達部に導入された前記カラム内の流体を排出する排出管をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の機械式圧力低減装置。
【請求項7】
精油または石油化学工程のカラムに熱を供給する熱源を遮断してカラム内の圧力を低減する圧力低減方法において、
a)前記カラム内の流体の一部を安全リレー弁へ導入させる段階と、
b)前記導入された流体の圧力によって前記安全リレー弁を駆動させ、前記リレー弁を流動する圧縮空気の流れ方向を変更する段階と、
c)前記変更された圧縮空気の流れ方向によって緊急遮断弁を遮断させる段階とを含むことを特徴とする、精油または石油化学工程のカラム用機械式圧力低減方法。
【請求項8】
前記安全リレー弁は、前記緊急遮断弁を駆動する圧縮空気が流動する貫通口を側面に有する中空管と、前記中空管の内部で移動しながら前記貫通口を開閉するプランジャーと、前記中空管の一端に連結され、前記プランジャーに遮断圧力を提供するバネ部と、前記中空管の他端に連結され、前記プランジャーに前記カラム内の圧力を伝達する圧力伝達部とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の機械式圧力低減方法。
【請求項9】
前記方法は、前記プランジャーが上昇したときに、前記中空管または前記プランジャーの大径部に設けられている固定ピンによって前記プランジャーを固定する段階を含むことを特徴とする、請求項8に記載の機械式圧力低減方法。
【請求項10】
前記方法は、前記中空管の内径と同じ直径の大直部および前記中空管の内径より小さい直径の小径部を有する前記プランジャーが、前記中空管内で移動しながら前記貫通口の開閉を調節する段階を含むことを特徴とする、請求項8に記載の機械式圧力低減方法。
【請求項11】
前記方法は、前記大径部および前記小径部の配列によって、前記プランジャーの上昇前には前記貫通口を介して前記緊急遮断弁へ圧縮空気が流入するようにし、前記プランジャーの上昇時には前記緊急遮断弁に流入した圧縮空気が外部へ排出されるようにする段階を含むことを特徴とする、請求項10に記載の機械式圧力低減方法。
【請求項12】
前記方法は、前記導入されたカラム内の流体が前記圧力伝達部の排出管を介して排出され、前記プランジャーが上昇して固定されるときには、前記排出管が遮断されて前記内部流体の排出が遮断される段階を含むことを特徴とする、請求項8に記載の機械式圧力低減方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−266069(P2010−266069A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108912(P2010−108912)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(510129004)プィールズエンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】