説明

精神疾患および障害治療用アミリンおよびアミリンアゴニスト

精神の疾患および障害を治療する方法および組成物が開示される。一般的に提供された方法は、精神の疾患および障害、および精神の疾患および障害に関連した疾患を治療するための対象へのアミリンまたはアミリンアゴニストの投与を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2005年3月31日付で出願した米国仮特許出願第60/667,335号、2005年3月31日付で出願した米国仮特許出願第60/666,681号、2005年4月28日付で出願した米国仮特許出願第60/675,441号、および2006年1月20日付で出願した米国仮特許出願第60/760,583号(全ての目的のために各々の全内容を本明細書の一部とみなす)の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、医学分野、特に心理学および精神医学、ならびに健康、食事および栄養の分野におけるものである。
【背景技術】
【0003】
精神の疾患および障害(精神病または精神障害ともいう)は、米国精神医学協会のDiagnostic and Statistical Manual of Mental DisordersまたはDSM-IVのごとき資源に記載されている。広いカテゴリーの精神障害は、限定されるものではないが、気分障害、不安障害、精神分裂病および他の精神障害、物質関連障害、睡眠障害、身体表現性障害および摂食障害を含む。気分障害の例は、双極性および鬱病を含む。より広い前記したカテゴリーの障害内にある他の疾患は、DSM-IVに見出すことができ、それを出典明示してその全てを本明細書の一部とみなす。これらは、治療、生産性の喪失、情緒的損害の点で、何百万もの人々に影響し、天文学的費用を伴う衰弱させる病気である。
【0004】
2001年には、国立精神衛生研究所が、米国における精神障害の有病率を記載する統計の要約を公表した。その報告書では、18歳以上の米国人の22.1%が、所与の年における診断可能な精神障害に苦しむと推測した(Reigerら (1993) Archives of General Psychiatry 50:85-94)。1998年の米国の国勢調査に適用した場合、影響を受ける人数は4430万人であった。
【0005】
鬱病障害は、とりわけ、大鬱病性障害、気分変調性障害および双極性障害を包含できる。18歳以上の米国人口の約9〜9.5パーセントは、鬱病疾患を有している。鬱病障害の直接的な費用は約800億ドルであり、その2/3が仕事により生み出されると報告されている。生産性の喪失のごとき鬱病と関連する間接的な費用は、仕事中の人々と記載されるが、生産または参加する彼らの能力において限定された、「プレゼンティーズム(presenteeism)」のごとき事象のために計算するのがより難しい(Durso, Employee Benefit News, Dec 2004)。
【0006】
もう一つの精神疾患は不安障害である。これらの障害は、パニック障害、強迫障害、外傷後ストレス障害を一般化した不安障害および恐怖症を含むことができる。18〜54歳の約1910万の米国成人(所与の年におけるこの年齢群の約13.3%の人々)は、不安障害を有している。
【0007】
もう一つの共通した精神疾患は摂食障害である。3つの主要なタイプの、神経性食欲不振症、神経性過食症および過食症がある。これらは精神疾患であり、身体イメージについての知覚された考えにしばしば連結され、実際の体重あるいは体型指数に通常依存しない。拒食症の人々の死亡率は、1年当たり0.56パーセント、あるいは10年間当たり約5.6パーセントと見積もられ、それは、一般的な集団における年齢15-24歳の女性中の全ての死因による年間死亡率よりも約12倍高い(Sullivan (1995) American Journal of Psychiatry 152:1073-1074)。精神病は、他の精神障害の要素を通常示すことが注目されるべきである。
【0008】
もう一つの精神疾患は精神分裂病である。所与の年において、200万人を超える人々が精神分裂病と臨床的に診察され、この疾病の生涯罹患率では米国の人口の約1%である。精神分裂病は常に全快を達成せずに、治療された患者の概算75%を残す、慢性で衰弱させる疾病である。より新しい(非定型性)抗精神医薬での精神分裂病の治療は、頻繁に、体重増加および恐らく糖尿病の副作用を伴う。
【0009】
典型的なタイプの精神分裂病は、妄想型精神分裂病を含む。これらの人は他人を非常に信用せず、彼らの行動の根に迫害の壮大なスキームをしばしば有する。幻覚およびより頻繁には妄想は、病気の顕著でかつ共通の部分である。解体型分裂病(破瓜型分裂病)を持つ人は言葉に一貫性がなく、状況に適切でない気分および感情を有し得る。幻覚は、解体型分裂病を通常示さない。緊張型分裂病は、人が非常に内向的、ネガティブ、および孤立し、著しい精神運動性障害を有する場合である。残りの精神分裂病は、人が妄想、幻覚、またはまとまりのない言語および行動に現在苦しんでいないが、日常生活におけるやる気および関心を欠く場合である。分裂情動性障害は、人が、精神分裂病、ならびに大鬱病、双極性躁病または混合躁病のごとき気分障害の症状を有する場合である。鑑別不能型精神分裂病は、疾患が精神分裂病の一般的な診断基準を満たすが、前記のサブタイプのうちのどれにでも一致しないか、あるいは特定の組の診断特徴の明瞭な優位性のない1を超えるサブタイプの特徴がある場合である。
【0010】
精神の疾病および障害は、いずれかの年齢集団に見出すことができる。結果的には、これらの障害は、若年成人および成人(65歳以下のものと本明細書で定義される)、ならびに幼児、小児、青年および高齢者(65歳を超えると本明細書で定義される)に見出すことができる。事実、ある区分の人口は、青年および若年成人における摂食障害のごとき疾患を有する傾向が特にあり得る。高齢者は、鬱病のごとき疾患に特に感受性があり得る。
【0011】
現在の治療は、心理社会的および行動的な療法、電気ショック療法および/または薬物療法を含む。精神障害のための治療の共通の形態、または治療の少なくとも1つの成分は、薬剤の投与である。当該技術分野に必要とされるのは、(1)現在の抗鬱剤(例えば、三環系抗鬱剤、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、選択的セロトニン再摂取阻害剤)に抵抗性であるそれらの患者を有効に治療する、(2)現在の医薬の望まない副作用なくして、鬱病、不安、精神分裂病、または他の精神の疾患もしくは障害を有効に治療する、(3)治療作用のより早い発現を有する、および/または(4)ごくわずかを挙げると、鬱病、不安および精神分裂病のごとき精神病の治療をしばしば示し、より難しくする身体的な併存症(例えば、糖尿病、痛み、体重増加)を改善する分子である。
【0012】
本明細書に引用された全ての参考文献は、出典明示してその全てを本明細書の一部とみなす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
医学分野、特に心理学および精神医学、ならびに健康、食事および栄養の分野におけるものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの一般的な態様において、提供された方法は、精神障害の治療のための治療上有効な量でのアミリンおよびそのアゴニスト、アナログまたは誘導体の使用を含む。ある具体例において、精神障害は気分障害、不安障害、精神分裂病または他の精神病障害、物質関連障害、睡眠障害、身体表現性障害および/または摂食障害である。ある具体例において、精神障害は鬱病あるいは双極性障害である。ある具体例において、精神障害は強迫障害である。ある具体例において、提供された方法は摂食障害の治療を含まないこともある。他の具体例において、提供された方法は拒食症の治療を含まないこともある。ある具体例において、提供された方法は身体表現性障害を含まないこともある。ある具体例において、アミリンおよびそのアゴニスト、アナログまたは誘導体を用いて、摂食障害の基礎的な精神疾患を治療する。ある具体例において、アミリンおよびそのアゴニスト、アナログまたは誘導体を用いて、身体表現性障害の基礎的な精神疾患を治療する。ある具体例において、アミリンアゴニストはカルシトニンおよび/またはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を含まないこともある。依然として他の具体例において、アミリンアゴニストは、カルシトニンおよび/またはCGRPのアナログを含まないこともある。
【0015】
依然としてもう一つの態様において、提供された方法は、治療上有効な量のアミリン、そのアゴニスト、アナログまたは誘導体を対象に投与することを含む、治療を望むまたは治療を必要とする対象における精神障害を治療することを含む。ある具体例において、対象は体重超過である。他の具体例において、対象は肥満である。依然として他の具体例において、対象は、体重超過または肥満ではなく、痩せている。依然として他の具体例において、対象は代謝性疾患を有する。依然として他の具体例において、対象は糖尿病、代謝症候群、耐糖能障害あるいはインスリン抵抗性を有する。他の具体例において、アミリンおよびそのアゴニスト、アナログまたは誘導体は、食物嗜好または食物渇望を変調するそれらの能力で対象を援助するのに有益である。
【0016】
もう一つの一般的な態様において、本明細書に提供された方法は、精神障害の従来の治療法と組み合わせて、治療上有効な量のアミリン、またはそのアゴニスト、アナログおよび誘導体の投与を含む。ある具体例において、組合せは、電気ショック療法(ECT)の処理を含む。他の具体例において、組合せは、もう一つの精神医薬の投与を含む。依然として他の具体例において、精神医薬は、1またはそれを超える、三環系抗鬱剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)、セロトニンおよびノルアドレナリン再摂取阻害剤(SNRI)、生薬抗鬱剤(例えば、St John's WortもしくはHypericum)、または第2世代抗精神病剤(SGA)である。
【0017】
もう一つの一般的な態様において、本明細書に提供された方法は、治療上有効量のアミリン、またはそのアゴニスト、アナログおよび誘導体をそれを必要とする対象に投与することを含む、もう一つの精神医薬の望まない副作用を処置することを含む。ある具体例において、他の精神医薬は、第2世代抗精神病剤である。ある具体例において、他の精神医薬の望まない副作用は体重増加である。他の具体例において、他の精神医薬の望まない副作用は糖尿病である。
【0018】
もう一つの一般的な態様において、提供された方法は、精神障害を治療することを含み、限定されるものではないが、グルコース代謝、脂質代謝、蛋白質代謝および全エネルギー代謝を含めた代謝の経路または機能に対してその調節作用を通して行動経路を変調する化合物の治療上有効な量を投与することを含む。ある具体例において、行動経路は、視床下部−脳下垂体−副腎軸の少なくとも1つの成分を変調する副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)経路である。1つの具体例において、行動経路はドーパミン経路である。他の具体例において、行動経路が5HT1A経路、またはセロトニン作動系を含めたいずれかの経路である。ある具体例において、代謝または行動の経路は、糖調節、グルココルチコイド応答性、ストレス応答性のうちのいずれか1つである。ある具体例において、化合物はアミリンまたはそのアゴニスト、アナログもしくは誘導体である。
【0019】
依然としてもう一つの態様において、提供された方法は、食物摂取に対するその調節作用を介して行動経路を変調する化合物の治療上有効な量を投与することにより、精神障害を治療することを含む。ある具体例において、化合物は、アミリンまたはそのアゴニスト、アナログもしくは誘導体である。
【0020】
もう一つの態様において、開示は、本明細書に記載した精神の疾病および障害を治療するのに有用な医薬製造用のアミリン、そのアゴニスト、アナログまたは誘導体の使用を提供する。もう一つの態様において、開示は、もう一つの精神医薬、例えば、第2世代抗精神病剤の望まない副作用を処置するのに有用な医薬製造用のアミリン、そのアゴニスト、アナログまたは誘導体の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
アミリン、アミリンアゴニスト、アミリンアナログ、アミリンアゴニストアナログ、アミリン誘導体あるいはそれらの組合せが、ストレス系ならびに/またはCRFおよび/もしくはグルココルチコイド(GC)の作用を変調でき、それにより新規な薬物療法の選択肢を示すことができ得ることが今や見出された。本明細書に示されるごとく、アミリン投与はストレス)に対して低下または保護するように見え、それは(例えば、不安、強迫行動、鬱病、精神病、摂食行動における変化)をもたらす。また、発明者らは、特定の動物行動試験において、アミリン投与の結果、抗ストレス、抗不安、抗鬱および抗精神病の作用を含む行動的効果を生じることを本明細書に示す。
【0022】
新しい医学的処置を調査する際に、多数の代謝性の病態(例えば、糖尿病、肥満)が行動的機能障害(例えば、大鬱病、精神分裂病)と関連することが注目された。これらの疾患は一般的に併存症であると考えられるが、最近の証拠は、行動性および代謝性の変化は多数のケースにおいて生理学的に連結していることを示唆している(Laugeroら (2001) Endocrinology 142:2796-2804;Laugeroら (2002) Endocrinology 143:4552-4562;Dallmanら (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:11696-11701;Laugero (2004) Vitamins and Hormones, Volume 68, Litwack (ed.))。これらの外見上異なる疾患状態間の共通の連結は、慢性ストレス、ならびに脳CRFおよび副腎皮質ステロイドホルモンGCにおける関連した変化であり得る。
【0023】
CRFおよびGCの分子は、正常およびストレス性疾患下で、行動性、神経内分泌性、自律神経性、代謝性の機能の変調において非常に重要な役割を果たす。慢性ストレス、およびこれらの分子の発現および活性の誘導は、不安および鬱病のような行動疾患、また、いくらかの肥満および糖尿病に高度に関係している。CRFおよび副腎皮質異常を、代謝症候群、自己免疫炎症性障害、急性および慢性の神経変性、睡眠障害、慢性疼痛、摂食障害、慢性不安障害ならびに大鬱病に連結するという証拠が存在する(Wongら (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:325-330;Sarnyaiら (2001) Pharmacol. Rev. 53:209-243;Heinrichsら (1999) Baillieres Best Pract. Res. Clin. Endocrinol. Metab. 13:541-554;Chrousos (2000) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 24:S50-S55;Peekら (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci. 771:665-676;Grammatopoulosら (1999) Lancet 354:1546-1549;Dallmanら (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:11696-11701)。
【0024】
本明細書に示されるごとく、アミリンは行動試験において、抗不安剤、抗鬱剤および抗精神病剤の特性を共有することが示される。かくして、アミリンおよびアミリンアゴニストが精神障害を治療する驚くべき能力を有し得ることが今や見出された。治療できる精神障害は、気分障害、不安障害、精神分裂病および他の精神疾患、物質関連障害、睡眠障害、身体表現性障害ならびに摂食障害を含む。これらの化合物は、代謝性障害、例えば、摂食障害の要素を有する精神障害を治療するのに、あるいは精神障害を持つ患者、および精神障害を持ちかつ代謝性障害に苦しむものを治療するのに特に有効で有り得る。
【0025】
より特定のタイプの前記に言及された障害は、DSM-IVに見出すことができる。以下は、本明細書に開示された方法により治療し得る障害の単なる例である。例は、鬱病障害および双極性障害を含み得る気分障害を含む。それらは、大鬱病性障害、気分変調性障害、双極性I障害、双極性II障害、気分循環性障害、他に規定されない双極性障害、病状による気分障害、物質誘導気分障害あるいは他に規定されない気分障害としてさらに特徴付けできる。不安障害は、パニック障害、特定の恐怖症、社会恐怖症、強迫障害、外傷性ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、病状による不安障害、物質誘導不安障害、および他に規定されない不安障害を含むことができる。
【0026】
物質関連障害は、物質依存、物質嗜癖、物質誘導不安障害および物質誘導気分障害を含む。物質依存および嗜癖は、種々の物質で生じかねなく、限定されるものではないが、アルコール、ニコチン、コカイン、オピオイド、麻酔剤、幻覚剤、アンフェタミン、フェンシクリジン、フェンシクリジン様物質、吸入剤および鎮静剤を含む。物質誘導不安障害は、限定されるものではないが、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、アンフェタミン、フェンシクリジン、フェンシクリジン様物質および吸入剤を含む物質に応答して生じかねない。物質誘導気分障害は、限定されるものではないが、コカイン、幻覚剤、オピオイド、アンフェタミン、フェンシクリジン、フェンシクリジン様物質および吸入剤を含む物質に応答して生じかねない。物質関連障害は、1つの物質または多剤関連障害におけるように物質の組合せに応答して生じかねない。
【0027】
いくつかの具体例において、提供された方法は、薬剤誘導の精神障害または疾患の治療に起因する精神障害の治療を含む。例えば、快楽的ホメオスタシス失調症は、ドーパミン補充療法を経験するパーキンソン病の患者において認識された神経心理学上の行動障害である。これらの患者におけるドーパミン補充療法は、中枢性ドーパミン作動性経路を刺激し、刺激性嗜癖に関連したものにいくらかの類似性を持つ行動障害に導くように見える。Giovannoniら (2000) J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry 68:423-428.
【0028】
摂食障害は、神経性食欲不振症、神経性過食症および他に規定されない摂食障害を含むことができる。これらの摂食障害は過食症を含み得る。ある具体例において、提供された方法は、摂食障害に関連した精神障害の治療を含む。他の具体例において、提供された方法は、摂食障害の治療を含まない。ある具体例において、提供された方法は、拒食症の治療を含まない。他の具体例において、提供された方法は、食欲不振の患者に関連した精神障害の治療のために用い得る。ある具体例において、提供された方法は、過食症の治療を含まない。
【0029】
いくつかの具体例において、提供された方法は、間欠性行動過剰 (IEB)を経験する対象を治療するために用いることができる。IEBは、過食症、物質乱用、アルコール中毒、異常性行為および強迫性賭博を含めた種々の障害を特徴付ける。IEBは、正常な時々の過剰行動が反復性、間欠性、不適応の行動過剰に変換される場合に生じる。Corwin (2006) Appetite 46:11-15.
【0030】
ある具体例において、提供された方法は、身体表現性障害の治療を含まないこともある。ある具体例において、提供された方法は、身体表現性障害を含み得るが、身体的苦痛の治療を含まない。依然として他の具体例において、提供された方法は、痛みに関連した精神障害の治療を含み得る。
【0031】
1つの一般的な態様において、ストレスを低下または緩和する、またはストレス経路を調節する化合物が、薬物療法剤として有用で有り得ると考えられる。もう一つの一般的な態様において、代謝性障害ならびに精神または行動のプロセスに影響または調節できる化合物は、薬物療法剤として有用で有り得ると考えられる。もう一つの一般的な態様において、代謝性障害を弱めるまたは逆転できる化合物は、精神の疾患または障害の薬物療法剤として有用で有り得ると考えられる。提供された方法において有用な化合物はアミリン、アミリンアゴニスト、アミリンアナログおよびアミリン誘導体で有り得る。ある具体例において、アミリンアゴニストは、カルシトニンおよび/またはCGRPを含まないこともある。
【0032】
精神病を治療するだけでなくその病気の身体的併存症の状態を緩和する医薬が、精神障害を持った患者における治療応答および転帰成功の割合の増加を誘発すると期待されるであろうことが理論付けられる。身体的な併存症の状態は、糖尿病のように、精神病に付属する病的状態を悪化させて、治療応答における低下に導く。アミリンおよびそのアゴニストは、その抗糖尿病、抗肥満遺伝および食欲抑制の効果のために本明細書に記載された方法に特に有用で有り得る。アミリンおよびそのアゴニストは、2005年3月31日付で出願された共有の米国特許出願第60/666,681号、および2006年3月31日付で出願されたPCT出願代理人整理番号0113-PCT-0(各内容を出典明示してその全てを本明細書の一部とみなす)に記載された食物嗜好を変更するそれらの能力で対象を援助するのにさらに有用で有り得る。これらの効果は、精神病に苦しみ、かつ肥満、肥満関連疾患または摂食障害(例えば、糖尿病、代謝症候群、肥満、クッシング症候群、クッシング病、非定型大鬱病、精神分裂病、季節性感情障害、多嚢胞性卵巣症候群、外傷後ストレス障害、夜食症候群、神経性過食症、過食症障害および慢性疲労症候群)を示すある種の患者集団における治療応答および転帰成功の割合を増加し得る。ある具体例において、方法は拒食症の治療を含まない。他の具体例において、方法は、拒食症に関連した精神障害を治療することを含む。
【0033】
さらにもう一つの一般的な態様は、精神障害の治療のための自然発生および末梢分泌されるアミリンペプチドまたはアミリンのアゴニスト、アナログもしくは誘導体の使用を含む。いくつかの具体例において、対象における精神障害のための方法が提供され、ここに、その方法は、精神障害を治療するのに有効な量にてアミリンまたはアミリンのアゴニスト、アナログもしくは誘導体をそれを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの例において、精神障害は、自然または未確認の病因のものである。いくつかの例において、精神障害は異なる疾患のための医薬またはその疾患の治療に起因し得る。結果的に、いくつかの具体例において、薬物療法誘導の精神障害、または対象における疾患の治療に起因する精神障害を治療する方法が提供され、ここに、その方法は、精神障害を治療するのに有効な量でのアミリンまたはアミリンのアゴニスト、アナログもしくは誘導体をそれを必要とする対象に投与することを含む。アミリンペプチドが自然に分泌されたホルモンであるため、それは、精神障害のために現在処方される治療および医薬を受ける患者において一般的に存在する副作用プロフィールを低下し得る。もう一つの一般的な態様は、対象において存在する精神疾患および代謝性障害の双方を治療できる化合物の使用を含む。
【0034】
また、アミリン、アミリンアゴニスト、アミリンアナログまたはアミリン誘導体は、それが体重増加を促さず、事実、減量を誘導しないので、いくらかの他の抗鬱剤、抗不安剤および/または抗精神病剤より優れているかもしれない。アミリンのこの属性は、精神疾患につき治療されるべき患者間のより大きなコンプライアンスに導き得る。
【0035】
アミリンまたはそのアゴニスト、アナログもしくは誘導体を、他の精神医薬または療法、例えば、精神疾患を治療するために通常用いるもの、例えば、三環系抗鬱剤およびモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)、セロトニンおよびノルアドレナリン再摂取阻害剤(SNRI)、生薬抗鬱剤(例えば、St John's WortもしくはHypericum)、第2世代抗精神病剤(SGA)、精神分析、認識行動治療および対人療法と共に用い得る。他の精神医薬または療法と共に用いた場合、アミリンまたはアミリンアゴニストの投与は、他の精神医薬あるいは療法と同時または連続して生じ得る。例えば、アミリンまたはアミリンアゴニストは、他の精神医薬と同じ期間に、他の精神医薬と重なる期間に、または他の精神医薬の投与と重ならない期間に投与し得る。併用またはアドオン療法として、アミリンまたはアミリンアゴニストの有益な特質が、現在利用可能な薬剤の1またはそれを超える望まない副作用、例えば、体重増加、糖尿病を相殺または緩和し得る。
【0036】
例えば、SGAは精神分裂病および関連する精神疾患に関連した症状の治療用の有効な治療法である。精神疾患の治療におけるこれらの進歩にもかかわらず、蓄積する臨床データは、SGAの使用と、体重増加、糖尿病および脂質代謝異常との間の関連を明らかにした(American Diabetes Associationら (2004) Diabetes Care 27: 596-601)。体重増加は、医薬での患者の非コンプライアンスに対する1つの助長因子となり得る。従って、いずれの医薬も同様に、それを服用するまたはそれを適切に服用する患者にいずれの利益も提供しない。クロザピンおよびオランザピンのごとき典型的なSGAは体重増加を生じさせるようであると同定され;加えて、これらの2つのSGAは、糖尿病および脂質代謝異常の双方についてのリスクの増加と関係している。クロザピン治療により誘導された体重増加を有効に低下するアミリンの能力は、実施例3において本明細書に示される。加えて、アミリンおよびアミリンアゴニストも、糖尿病および脂質代謝異常を治療できるか、またはそれらの治療を援助できる。アミリンアゴニストのプラムリンチドは、糖尿病(1型および2型)の治療におけるインスリンに対する付加治療としてFDAによって承認された。結果的に、他の精神医薬と用いた場合、アミリンおよびアミリンアゴニストは、精神疾患にさらなる治療を提供するだけではなく、それらの他の精神医薬の少なくとも1つのネガティブな副作用を相殺できる。
【0037】
本明細書に用いた「対象」は、ヒトを含めたいずれの哺乳動物も含み得る。また、「対象」は、ペット(例えば、イヌ、ネコ、ウマ)ならびに他の動物を含み得る。対象は、本明細書に記載された精神障害の少なくとも1つを有し得る。本明細書に開示された方法から利益を得ることができる対象は、体重超過または肥満で有り得;しかしながら、それらは痩せていてもよい。それらは精神障害に加えて代謝の障害または疾患を有し得る。典型的な代謝異常は、糖尿病、代謝症候群、インスリン抵抗性および脂質代謝異常を含む。対象は、いずれかの年齢であってもよい。結果的に、これらの障害は、若年成人および成人(65歳以下のものと本明細書に定義される)ならびに幼児、小児、青年および高齢者(65歳を超えると本明細書に定義される)に見出すことができる。事実、集団のある区分は、特に、青年および若年成人における摂食障害のごとき特定の疾患を有する傾向に有り得る。高齢者は、鬱病のごとき疾患に特に感受性で有り得る。
【0038】
本明細書に用い、当該技術分野においてよく理解されている「治療」は、臨床結果を含めた有益または望ましい結果を得るためのアプローチである。疾患、障害または状態を「治療する」または「軽減する」とは、障害を治療しないことに比較して、障害もしくは疾患状態の程度、望ましくない臨床徴候の状態またはその双方を減少させる、ならびに/またはその進行の時間的経過を遅くするか延長することを意味する。本明細書に開示された方法の目的のために、有益または所望の臨床結果は、限定されるものではないが、検出できるか、または検出できない、1以上の症状の緩和または改善、障害の範囲の減少、障害の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または減速、疾患の改善または軽減、および回復(部分的または全体的)を含む。また、「治療」は、治療を受けないならば期待された生存に比較して生存を延長することを意味できる。さらに、治療は、必ずしも1用量により生じないが、一連の用量の投与に際してしばしば生じる。かくして、治療上有効な量、疾患、障害または状態を軽減するのに十分な量または疾患、障害または状態を治療するのに十分な量が、1以上の投与において投与し得る。
【0039】
本明細書に用いた単数形態「ある」および「その」は、特記しないまたは文脈から明確である限りは複数の引用を含む。例えば、文脈から明白なように、「ある」アミリンアゴニストは1以上のアミリンアゴニストを含むことができる。
【0040】
理論により拘束されることを望むことなく、アミリンは、GC応答性部位(脳のごとき)を変調することによりその精神/行動の効果を発揮でき、GC(例えば、CFR)の発現および活性、行動、自律神経系活性、神経内分泌系機能および代謝)により通常変調される機能に影響を与え得る。理論により拘束されることを望むことなく、アミリン、そのアゴニスト、アナログまたは誘導体は、GC、脳CRFまたは慢性ストレスの行動(例えば、不安、鬱病)および代謝性(例えば、摂食、肥満遺伝)効果をブロックまたは低下し得る。加えて、アミリンは、その抗糖尿病または抗肥満の活性に直接的に関連しない、いくらかの抗鬱、抗不安および/または抗精神病の活性を有し得る。再度、理論により拘束されることを望むことなく、アミリンは、ストレス媒介行動、自律神経性、神経内分泌系および代謝性の応答に対して、ストレス経路および/またはCRFおよび/またはGC調節作用を変調、またはそうでなければ影響することにより、部分的に働き得る。
【0041】
ストレス、GCおよびCRFは、心理学および代謝性の機能における入り組んで複雑な関係を有するようである。ストレスは、ヒトおよび動物における神経内分泌系(例えば、視床下部−脳下垂体−副腎(HPA)軸)、自律神経性、行動(例えば、不安、鬱病、物質乱用、摂食)および代謝性(例えば、脂肪沈着、エネルギー利用機能に対して深在性の効果を有する(Dallmanら (2002) Hormones, Brain, and Behavior pp 571-631, San Diego, CA USA: Academic Press.)。これらの結果の全ては、GCにより変調される。ニューロペプチドCRFは、食物摂取および不安の急性抑制を含めた、多数のストレス誘導応答を媒介する(Krahnら (1986) Brain Research Bulletin 17:285-289;Dunnら (1990) Brain Res. Brain Res. Rev. 15:71-100;Smaginら (1999) Am. J. Physiol. 276:R1461-1468;Koob (1999) Biol. Psychiatry 46:1167-1180)。GCおよびCRF活性は密接に相互依存し、ともに、行動、自律神経性、神経内分泌系、代謝性の機能を制御する機能的で、よく記載された生理系を構築する(Dallmanら (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:11696-11701)。
【0042】
ストレスにより惹起されたもののごときGCおよびCRF関連性における障害は、健康に深在性の効果を有し得る。慢性的に上昇したグルココルチコイドホルモン (ヒトにおけるコルチゾール、げっ歯動物におけるコルチコステロン)の中枢性作用を介して、慢性ストレスは美味な摂食(例えば、単糖、脂肪)を促す。美味な食物が利用可能な場合、それが近代社会に十分にあるので、慢性ストレスは、消費された美味なカロリーの割合を増加させる(Pecoraroら (2004) Endocrinology 145:3754-3762;Laugero (2004) Vitamins and Hormones, Volume 68. Ed. Gerald Litwack;Laugeroら (2002) Endocrinology 143:4552-4562)。上昇したGCのバックグラウンド下でのこの応答の重要性は、腹部または躯幹の領域における脂肪沈着の増加であり(Dallmanら (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:11696-11701)、それは心臓血管疾患の発生についての重要でかつ独立した危険因子である(Bjorntorp (1993) Obesity Research 1:206;Carrら (2004) Diabetes 53:2087-2094)。事実、内因性のGC上昇は、クッシング患者において、または外来性の投与を通して、ループス患者においてのように、代謝症候群(躯幹肥満、インスリン抵抗性、高血圧症、高トリグリセリド血症)を引き起こす(Stewart (2003) The Adrenal Cortex, Williams Textbook of Endocrinology, 10th edition, Saunders Publishing, U.S.)。さらに、躯幹肥満は、グルココルチコイド活性の増加によって特徴付けられ、GCの副腎皮質からの合成および分泌の活性化を介して、慢性ストレスが、躯幹肥満および代謝症候群の発生に重要な役割を果たすことが仮定されている(Bjorntorp (2001) Obes. Rev. 2:73-86;Rosmondら (2000) Obes. Res. 8:445-450;Bjorntorp (1997) Nutrition 13:795-803;(Dallman M.F., 2002)。
【0043】
また、高および低−コルチゾール血症は、精神疾患のよく文書化された特徴であり、代謝症候群に苦しむ患者は、異常なコルチゾール分泌の徴候を示し、大鬱病のごとき精神疾患をより示しそうである。慢性ストレスおよび中枢性CRF活性における関連した増加は、臨床的鬱病、不安障害、物質乱用、摂食障害および代謝症候群の発生に非常に重要な役割を果たすと考えられる(Chrousosら (2000) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 24:S50-S55;Koob (1999) Biol. Psychiatry 46:1167-1180)。事実、低分子CRFアンタゴニストは、大鬱病、全般性不安障害、摂食障害、および他のストレス関連病態を持った患者における彼らの治療作用のために現在調査されている。
【0044】
アミリンは、膵臓β細胞からのインスリンと共同分泌され、糖調節作用を含めた多数の代謝性効果を有するホルモンである。アミリンの糖調節作用は胃内容排出、不適当に上昇した食後グルカゴン分泌の抑制および食物摂取の阻害に対するその効果と関係し得る(Young (1997) Curr. Opin. in Endocrinology and Diabetes 4:282-290)。アミリンアゴニストアナログのプラムリンチドは、1型および2型糖尿病についての治療のために開発され(Baronら (2002) Curr. Drug Targets Immune Endocr. Metabol. Disord. 2:63-82)、その用途についてFDAによって最近承認された。また、その抗糖尿病効果のために、アミリンは代謝症候群を治療するための良好な候補物である。さらに、アミリンは、動物における体重に対するその効果によりヒト用の抗肥満剤に対する候補物である(Mackら (2003) Diabetes 52 (Suppl. 1) A389)。
【0045】
アミリンアゴニストは、アミリンアゴニストアナログを含み、それらの例は、米国特許第5,686,411号;米国特許第6,610,824号;米国特許第5,998,367号;米国特許第6,087,334号;10/8/04に出願された米国仮出願第60/617,468号;およびPCT出願PCT/US2005/004631に記載され、それらの全てをここに出典明示して本明細書の一部とみなす。ある具体例において、提供された方法は、カルシトニンの使用を含まないこともある。ある具体例において、カルシトニンはサケカルシトニンである。他の具体例において、提供された方法は、CGRPの使用を含まないこともある。依然として他の具体例において、提供された方法は、CGRPまたはカルシトニンのアナログの使用を含まないこともある。結果的に、提供された方法は、CGRP、カルシトニンまたはそれらのアナログを除外する但し書を含み得ると考えられる。
【0046】
「アミリン」により、アミリンというおよび膵臓のベータ細胞から分離された、ヒトのペプチドホルモン、ならびにその種変形を意味し、その例は、米国特許第5,234,906号(これにより出典明示してその内容を本明細書の一部とみなす)に記載されている。より詳細には、アミリンは、栄養素摂取に応じて膵臓のベータ細胞によってインスリンと通常共同分泌される37-アミノ酸のポリペプチドホルモンである(例えば、Kodaら (1992) Lancet 339:1179-1180参照)。この意味で、「アミリン」、「野生型アミリン」および「天然アミリン」すなわち、未改変のアミリンは、交換可能に使用される。また、アミリンは、時々「LAPP」ともいう。
【0047】
「アゴニスト」により、例えば、本明細書に記載された受容体結合/競合試験のごとき当該技術分野で知られた基準により評価された場合、例えば、アミリンよりも良好な効力、あるいはアミリンに比較して5オーダーの大きさ(プラスまたはマイナス)、例えば、4、3、2または1オーダーの大きさを有するアミリンの生物学的活性を誘発する化合物を意味する。
【0048】
1つの具体例において、アゴニストなる用語は、天然のアミリンのものに類似する生物学的効果を引き出す化合物、例えば、(1)天然のヒト参照ペプチドに類似する食物摂取、胃内容排出、膵臓分泌または体重損失アッセイ(2005年2月11日付で出願し、出典明示して本明細書の一部とみなすPCT/US2005/004631)における活性を有する、および/または(2)参照受容体アッセイまたはアミリンとの競合的結合アッセイにおいて特異的に結合する化合物をいう。一つの具体例において、そのアゴニストは、かかるアッセイにおいて1μMより良好な親和性で、もう一つの具体例において、1〜5nMより良好な親和性で結合するであろう。かかるアゴニストは、アミリンの活性な断片を含むポリペプチドまたは小さな化学分子を含み得る。いくつかの具体例において、アゴニストは、小さな化学分子ではなくペプチドである。しかしながら、ある具体例において、サケカルシトニン、カルシトニン、CGRPおよび/またはそれらの各々のアナログは但し書きの言語でアミリンアゴニストの範囲から除外し得ると考えられる。ある具体例において、アミリンアゴニストは、小さな化学分子ではなく、小さな化学分子は但し書きの言語でアミリンアゴニストの範囲から除外し得る。
【0049】
アゴニストはアミリンアナログおよびアミリン誘導体を含む。「アナログ」により、その配列が、アミリンまたはアミリンペプチドの領域に少なくともいくらかのアミノ酸同一性を有する、挿入、置換、伸長および/または欠失を含むアミリンのそれから由来するペプチドを意味する。アナログは、天然のアミリンと少なくとも50または55%のアミノ酸配列同一性、あるいは天然のアミリンと少なくとも70%、80%、90%または95%のアミノ酸配列同一性を有し得る。1つの具体例において、かかるアナログは、保存的、または非保存的なアミノ酸置換(非天然のアミノ酸およびLおよびD型を含む)を含み得る。アミリンアゴニストアナログは、本明細書に記載されたアナログであり、アミリンアゴニストとして機能する。
【0050】
「誘導体」は、天然のアミリンまたはアナログのアミノ酸配列を有するが、さらに、1以上のそのアミノ酸側鎖、α−炭素原子、末端アミノ基または末端カルボン酸基の化学的修飾を有する分子として定義される。化学的修飾は、限定されるものではないが、化学的部位を付加し、新しい結合を創製し、化学的部位を除去することを含む。アミノ酸側鎖の修飾は、限定なくして、リジンε−アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジンまたはリジンのN−アルキル化、グルタミンまたはアスパラギンカルボン酸基のアルキル化、およびグルタミンまたはアスパラギンの脱アミノ化を含む。末端アミノの修飾は、限定なくして、脱アミノ、N−低級アルキル、N−ジ−低級アルキル、制約されたアルキル(例えば、分岐、環状、融合、アダマンチル)およびN−アシル修飾を含む。末端カルボキシ基の修飾は、限定なくして、アミド、低級アルキルアミド、制約されたアルキル(例えば、分岐、環状、融合、アダマンチル)アルキル、ジアルキルアミドおよび低級アルキルエステル修飾を含む。低級アルキルは、C1-C4アルキルである。さらに、1以上の側鎖または末端基は、通常の技量を有する合成化学者に知られた保護基により保護され得る。アミノ酸のα−炭素は、モノ−またはジメチル化され得る。
【0051】
ヒトアミリン(hアミリンまたはh−アミリン)は、以下のアミノ酸配列:Lys-Cys-Asn-Thr-Ala-Thr-Cys-Ala-Thr-Gln Arg-Leu-Ala-Asn-Phe-Leu-Val-His-Ser-Ser-Asn-Asn-Phe-Gly-Ala-Ile-Leu-Ser-Ser-Thr-Asn-Val-Gly-Ser-Asn-Thr-Tyr (配列番号:1) を有する。ラットアミリン(rアミリン)は、以下の配列:KCNTATCATQRLANFLVRSSNNLGPVLPPTNVGSNTY (配列番号:2)を有する。いずれの種からのアミリンの使用も考えられる。
【0052】
本明細書に開示された方法における使用に考えられたアミリンアゴニストは、米国特許第5,686,411号、第6,114,304号および第6,410,511号、ならびにPCT出願公開WO 93/10146(それらの内容をここに出典明示してその全てを本明細書の一部とみなす)に記載されたものを含む。かかる化合物は、式I:
1A1-X-Asn-Thr-5Ala-Thr-Y-Ala-Thr-10Gln-Arg-Leu-B1-Asn-15Phe-Leu-C1-D1-E1-20F1-G1-Asn-H1-Gly-25I1-J1-Leu-K1-L1-30Thr-M1-Val-Gly-Ser-35Asn-Thr-Tyr (配列番号:3)
[式中 A1はLys、Ala、Serまたは水素;
B1はAla、SerまたはThr;
C1はVal、LeuまたはIle;
D1はHisまたはArg;
E1はSerまたはThr;
F1はSer、Thr、GlnまたはAsn;
G1はAsn、GlnまたはHis;
H1はPhe、LeuまたはTyr;
I1はAlaまたはPro;
J1はIle、Val、AlaまたはLeu;
K1はSer、Pro、Leu、IleまたはThr;
L1はSer、ProまたはThr;
M1はAsn、AspまたはGln;
XおよびYは、相互に化学結合して、分子内結合を形成する側鎖を有する独立して選択されたアミノ酸残基である]を有するものを含む。
【0053】
C末端部分は、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシまたはカルボキシルを含むことができる。XおよびYについての適当な側鎖は、ジスルフィド結合を形成し得るアルキルスルヒドリル;環状ラクタムを形成し得るアルキル酸およびアルキルアミン;縮合および還元してアルキルアミン架橋を形成し得るアルキルアルデヒド、アルキルハライドおよびアルキルアミン;または連結してアルキル、アルケニル、アルキニル、エーテルまたはチオエーテル結合を形成し得る側鎖を含む。好ましいアルキル鎖は、約1〜約6個の炭素原子を有する低級アルキルを含む。
【0054】
本明細書に提供された使用のさらなる態様、組成物および方法は、配列番号:3のアゴニストアナログ[式中、架橋されず、XおよびYは、Ala、Ser、Cys、Val、LeuおよびIle、またはSerもしくはCysのアルキル、アリールまたはアラルキルのエステルあるいはエーテルから独立して選択される]に指向される。
【0055】
典型的な化合物は、限定されるものではないが、デス-1Lys-h-アミリン (配列番号:4)、28Pro-h-アミリン (配列番号:5)、25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:6)、18Arg25,28Pro-h-アミリン (配列番号:7)およびデス-1Lys18Arg25,28Pro-h-アミリン (配列番号:8)含み、ここにその全ては、処置された試験動物においてin vivoにてアミリン活性(例えば、顕著な高乳酸血症に続いて高血糖を引き起こす)を示す。また、アミリンの活性特性を有することに加えて、本明細書に提供されたある種の化合物は、ヒトアミリンに比較した場合、より望ましい溶解度および安定性の特性を所有することが判明した。これらの化合物の例は、25Pro26Val28,29Pro-h-アミリン (配列番号:9)、25,28,29Pro-h-アミリンおよび18Arg25,28Pro-h-アミリンを含む。
【0056】
他の化合物は、18Arg25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:10)、デス-1Lys18Arg25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:11)、デス-1Lys25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:12)、25Pro26Val28,29Pro-h-アミリン (配列番号:13)、23Leu25Pro26Val28,29Pro-h-アミリン (配列番号:14)、23Leu25Pro26Val28Pro-h-アミリン (配列番号:15)、デス-1Lys23Leu25Pro26Val28Pro-h-アミリン (配列番号:16)、18Arg23Leu25Pro26Val28Pro-h-アミリン (配列番号:17)、18Arg23Leu25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:18)、18Arg23Leu25,28Pro-h-アミリン (配列番号:19)、17Ile23Leu25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:20)、17Ile25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:21)、デス-1Lys17Ile23Leu25,28,29Pro-h-アミリン (配列番号:22)、17Ile18Arg23Leu-h-アミリン (配列番号:23)、17Ile18Arg23Leu26Val29Pro-h-アミリン (配列番号:24)、17Ile18Arg23Leu25Pro26Val28,29Pro-h-アミリン (配列番号:25)、13Thr21His23Leu26Ala28Leu29Pro31Asp-h-アミリン (配列番号:26)、13Thr21His23Leu26Ala29Pro31Asp-h-アミリン (配列番号:27)、デス-1Lys13Thr21His23Leu26Ala28Pro31Asp-h-アミリン (配列番号:28)、13Thr18Arg21His23Leu26Ala29Pro31Asp-h-アミリン (配列番号:29)、13Thr18Arg21His23Leu28,29Pro31Asp-h-アミリン (配列番号:30)および 13Thr18Arg21His23Leu25Pro26Ala28,29Pro31Asp-h-アミリン (配列番号:31)を含む。
【0057】
本明細書に開示された方法における使用で考えられるアミリンアゴニストは、米国仮出願第60/617,468号およびPC出願番号PCT/US05/036456(これらをここに出典明示してその全てを本明細書の一部とみなす)に記載されたアミリンファミリーポリペプチド-6(AFP-6)アナログを含む。インターメジンとしても知られる成熟AFP-6ペプチドは、以下のアミノ酸配列 TQAQLLRVGCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:32)を有する。AFP-6またはAFP-6アゴニストは、C-末端終端でアミド化されても、またはアミド化されていなくてもよい。かかるAFP-6アナログは、式II:X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-QVQNLSHRLWQL-X21-X22-X23-X24-X25-X26-X27-X28-SAPV-X33-PSSPHSY (配列番号:33)
[式中、X1は不存在、TQAQLLRVG (配列番号:34)、配列番号:34の1以上の連続的なアミノ酸のいずれか、N-アリールまたはN-アシル(C1-C18 アルキル、置換されたアルキルもしくはヘテロアリール基から選択された置換基を持つ);
X2はM、S、C、置換されたL、K、DまたはE、ここに、その側鎖は、アミド結合、またはX8との結合、例えば、ジスルフィドまたはアミド結合を形成できるいずれかのアミノ酸を介して連結でき;
X3はV、D、L、G、N、AまたはS;
X4はV、D、L、G、N、A、SまたはT;
X5はV、D、L、G、N、AまたはS;
X6はV、D、L、G、N、A、Sまたは不存在;
X7はT、S、Hse (ホモSER)、Ahb ((S)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-3-メチブタン酸または(Ahp) (2R,3R)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸;
X8はM、S、C、置換されたL、K、DまたはE、あるいはX2との結合、例えば、ジスルフィドまたはアミド結合を形成できるいずれかのアミノ酸;
X21はM、G、P、Aまたは不存在;
X22はM、G、P、Aまたは不存在;
X23はM、G、P、Aまたは不存在;
X24はM、G、P、Aまたは不存在;
X25はM、G、P、Aまたは不存在;
X26はRまたは不存在、ここに、X26が不存在である場合、X27は不存在;
X27はQまたは不存在、ここに、X27が不存在である場合、X26は不存在;
X28はDまたはE;
X33はDまたはEである]
およびその生物学的活性断片を有するものを含む。
【0058】
他の具体例において、AFP-6アナログは、式(III):
X1-X2-QNLSHRLWQL-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-SAPV-X25-PSSPHSY (配列番号:35)
[式中、X1はQまたは不存在;
X2はVまたは不存在;
X13はM、G、P、Aまたは不存在;
X14はM、G、P、Aまたは不存在
X15はM、G、P、Aまたは不存在;
X16はM、G、P、Aまたは不存在;
X17はM、G、P、Aまたは不存在,
X18はRまたは不存在、ここに、X18が不存在である場合、X19は不存在であり;
X19はQまたは不存在、ここに、X19が不存在である場合、X18は不存在であり;
X20はDまたはE;
X25はDまたはEである]
のアミノ酸配列を有する化合物およびその生物学的活性断片を含むか、または活性領域は、その化合物またはその生物学的活性断片よりなる。
【0059】
開示された方法で使用された典型的なAFP-6アゴニストのアミノ酸配列は、以下を含む:
RVGCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:36)
GCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:37)
CVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:38)
QVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:39)
VQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:40)
VQNLSHRL-QLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:41)
TQAQLLRVGCVLGTCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:42)
TQAQLLRVGCVLGTCQVQNLSHRLWQLDSAPVDPSSPHSY (配列番号:43)
VGCVLGTCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:44)
CVLGTCQVQNLSHRLWQLRQESAPVEPSSPHSY (配列番号:45)
TQAQLLRVGCSNLSTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:46)
TQAQLLRVGCNTATCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:47)
RVGCGNLSTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:48)
TQAQLLRVGCDTATCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:49)
TQAQLLRVGCGNLSTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:50)
TQAQLLRVGMVLGTMQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:51)
GMVLGTMQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:52)
VGMVLGTMQVQNLSHRLWQLRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:53)
RVGCGNLSTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:54)
VGCGNLSTCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:55)
V-CNTA-TCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:56)
GCNTATCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVDPSSPHSY (配列番号:57)
TQAQLLRVGCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQESAPVEPSSPHSY (配列番号:58)
TQAQLLRVGCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVEPSSPHSY (配列番号:59)
GTMQVQNLSHRLWQLRQDSAPVEPSSPHSY (配列番号:60)
VGCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVEPSSPHSY (配列番号:61)
VGCVLGTCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVEPSSPHSY (配列番号:62)
GCNTATCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVEPSSPHSY (配列番号:63)
GCSNLSTCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVEPSSPHSY (配列番号:64)
GCGNLSTCQVQNLSHRLWQLRQDSAPVEPSSPHSY (配列番号:65)
GCVLGTCQVQNLSHRLWQLRQESAPVEPSSPHSY (配列番号:66)。
【0060】
本明細書に開示された方法での使用において考えられるアミリンアゴニストは、米国特許第6,087,334号(その内容を出典明示して本明細書の一部とみなす)において同定されたアナログを含む。かかる有用なアミリンアゴニストは、式IV:X1-Xaa1-X2-Xaa2-X3-Xaa3-X4-Xaa4-X5-Xaa5-X6 (配列番号:67)
[式中、X1はLys、Argまたは不存在;
X2はXaa6Xaa7Xaa8Xaa9 (配列番号:68)またはZ-Xaa10SerThr、但し、X2がZ-Xaa10SerThrであるならば、X1およびXaa1は共に不存在であり;
X3はAlaThr、AlaSer、SerMet、GluThrまたはValThr;
X4はArgLeuAla、HisLeuAla、ArgIleAla、LysIleAla、ArgMetAla、HisMetAla、LysMetAlaまたはArgLeuThr;
X5はPheLeu、PheIle、PheMet、TyrLeu、TyrIle、TyrMet、TrpIleまたはTrpMet;
X6はArgSerSerGlyTyr (配列番号:69)、LysSerSerGlyTyr (配列番号:70)、HisSerSerGlyTyr (配列番号:71)、ProSerSerGlyTyr (配列番号:72)、ArgSerArgGlyTyr (配列番号:73)、ArgThrSerGlyTyr (配列番号:74)、ArgAlaSerGlyTyr (配列番号:75)、AlaSerSerGlyTyr (配列番号:76)、ArgSerAlaGlyTyr (配列番号:77)、HisSerAlaGlyTyr (配列番号:78)、ArgSerGlyTyr (配列番号:79)、ArgSer、LysSer、HisSer、ArgThr、ProSerまたはArg;
Xaa1はCysまたは不存在;
Xaa2はCysまたはAla;
Xaa3はGln、AlaまたはAsn;
Xaa4はAsn、AlaまたはGln;
Xaa5はVal、Ala、Ile、Met、Leu、ペンチルGlyまたはt-ブチルGly;
Xaa6はAsn、GlnまたはAsp;
Xaa7はThr、Ser、Met、Val、LeuまたはIle;
Xaa8はAlaまたはVal;
Xaa9はThrまたはSer;
Xaa10はLeu、Val、MetまたはIle;
Zは約1〜約8個の炭素原子のアルカノイル基または不存在である]のアナログおよびその医薬上許容される塩を含む。
【0061】
本願の全体にわたって、代替物が、Markushグループ、例えば、1を超える可能なアミノ酸を含有する各アミノ酸位置で記載されることは注目されるべきである。Markushグループの各メンバーは別々に考えられ、それにより、もう一つの具体例を含み、Markushグループは、単一ユニットとして読まれるべきではないことが特に考えられる。
【0062】
本明細書に開示された方法での使用で考えられるアミリンアゴニストは、PCT出願PCT/US2005/004631(ここに出典明示してその全てを本明細書の一部とみなす)に記載されたアミリンファミリーペプチド、およびアナログを含む。かかる有用なアミリンアゴニストは、式V:Xaa1 X Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Y Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Xaa30 Xaa31 Xaa32 (配列番号:80)
[式中、Xaa1はA、C、hC (ホモCys)、D、E、F、I、L、K、hK (ホモLys)、R、hR (ホモArg)、S、Hse(ホモSer)、T、G、Q、N、M、Y、W、P、Hyp (ヒドロキシPro)、H、Vまたは不存在;
Xaa3はA、D、E、N、Q、G、V、R、K、hK、hR、H、I、L、Mまたは不存在;
Xaa4はA、I、L、S、Hse、T、V、Mまたは不存在;
Xaa5はA、S、T、Hse、Y、V、 I、LまたはM;
Xaa6はT、A、S、Hse、Y、V、I、LまたはM;
Xaa8はA、V、I、L、FまたはM;
Xaa9はL、T、S、Hse、V、IまたはM;
Xaa10はG、H、Q、K、R、N、hKまたはhR;
Xaa11はK、R、Q、N、hK、hRまたはH;
Xaa12はL、I、V、F、M、WまたはY;
Xaa13はA、F、Y、N、Q、S、HseまたはT;
Xaa14はA、D、E、G、N、K、Q、R、H、hRまたはhK;
Xaa15はA、D、E、F、L、S、Y、I、VまたはM;
Xaa16はL、F、M、V、YまたはI;
Xaa17はH、Q、N、S、Hse、TまたはV;
Xaa18はK、hK、R、hR、H、u (Cit)またはn (Orn);
Xaa19はF、L、S、Hse、V、I、Tまたは不存在;
Xaa20はH、R、K、hR、hK、N、Qまたは不存在;
Xaa21はT、S、Hse、V、I、L、Q、Nまたは不存在;
Xaa22はF、L、M、V、YまたはI;
Xaa23はPまたはHyp;
Xaa24はP、Hyp、R,K、hR、hKまたはH;
Xaa25はT、S、Hse、V、I、L、FまたはY;
Xaa26はN,Q、DまたはE;
Xaa27はT、V、S、F、IまたはL;
Xaa28はGまたはA;
Xaa29はS、Hse、T、V、I、LまたはY;
Xaa30はE、G、K、N、D、R、hR、hK、HまたはQ;
Xaa31はA、T、S、Hse、V、I、L、FまたはY;および
Xaa32はF、P、Y、Hse、S、TまたはHyp;
ここに、XおよびYは結合を創製でき、相互に化学的に結合してジスルフィド結合;アミド結合;環状ラクタムを形成し得るアルキル酸およびアルキルアミン;縮合および還元してアルキルアミンまたはイミン架橋を形成し得るアルキルアルデヒドまたはアルキルハライドおよびアルキルアミン;あるいは連結してアルキル、アルケニル、アルキニル、エーテルまたはチオエーテル結合を形成し得る側鎖のごとき分子内結合を形成する側鎖を有する独立して選択された残基である]で表されるアミノ酸配列を含むアナログである。
【0063】
アルキル鎖は、約1〜約6個の炭素原子を有する低級アルキル基を含み得る。ある具体例において、分子内結合は、ジスルフィド、アミド、イミン、アミン、アルキルまたはアルケン結合で有り得る。ある具体例において、XおよびYは、Ser、Asp、Glu、Lys、OrnまたはCysから独立して選択される。ある具体例において、XおよびYはCysおよびCysである。他の具体例において、XおよびYはSerおよびSerである。依然として他の具体例において、XおよびYは、AspおよびLysまたはLysおよびAspである。
【0064】
また、有用なアミリンアゴニストは、式VI:Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 P Xaa24 T N Xaa27 G S Xaa30 Xaa31 Xaa32 (配列番号:81)
[式中、Xaa1はA、C、D、F、I、K、S、Tまたは不存在;
Xaa2はC、D、Sまたは不存在;
Xaa3はA、D、Nまたは不存在;
Xaa4はA、L、Tまたは不存在;
Xaa5はAまたはS;
Xaa6はT、A、SまたはV;
Xaa7はC、KまたはA;
Xaa8はA、V、LまたはM;
Xaa9はLまたはT;
Xaa10はG、HまたはQ;
Xaa11はK、R、QまたはhArg;
Xaa12はL、WまたはY;
Xaa13はA、F、N、Q、SまたはT;
Xaa14はA、D、E、G、N、K、QまたはR;
Xaa15はA、D、E、F、L、SまたはY;
Xaa16はLまたはF;
Xaa17はH、Q、SまたはV;
Xaa18はK、R、hArg、u (Cit)またはn (Orn);
Xaa19はF、L、Sまたは不存在;
Xaa20はH、Qまたは不存在;
Xaa21はT、Nまたは不存在;
Xaa22はF、L、M、VまたはY;
Xaa24はPまたはR;
Xaa27はTまたはV;
Xaa30はE、G、KまたはN;
Xaa31はAまたはT;および
Xaa32はF、PまたはYである]
のアミノ酸配列を含むアナログを含み得る。
【0065】
また、有用なアミリンアゴニストは、式VII:Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 T Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 L Xaa13 Xaa14 Xaa15 L Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 P Xaa24 T N Xaa27 G S Xaa30 Xaa31 Xaa32 (配列番号:82)
[式中、Xaa1はA、C、F、I、K、Sまたは不存在;
Xaa2はC、DまたはS;
Xaa3はA、DまたはN;
Xaa4はA、LまたはT;
Xaa5はAまたはS;
Xaa7はCまたはK;
Xaa8はAまたはV;
Xaa9はLまたはT;
Xaa10はG、HまたはQ;
Xaa11はK、RまたはhArg;
Xaa13はA、F、N、SまたはT;
Xaa14はA、D、E、G、N、QまたはR;
Xaa15はA、E、F、L、SまたはY;
Xaa17はH、SまたはV;
Xaa18はK、R、hArg、u (Cit)またはn (Orn);
Xaa19はF、LまたはS;
Xaa20はHまたはQ;
Xaa21はTまたはN;
Xaa22はF、L、M、VまたはY;
Xaa24はPまたはR;
Xaa27はTまたはV;
Xaa30はE、G、KまたはN;
Xaa31はAまたはT;および
Xaa32はF、PまたはYである]
のアミノ酸配列を含むアナログを含み得る。
【0066】
また、有用なアミリンアゴニストは、式VIII:Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 P Xaa24 T N Xaa27 G S Xaa30 Xaa31 Xaa32 (配列番号:83)
[式中、Xaa1はA、C、D、F、K、Tまたは不存在;
Xaa2はA、C、D、Sまたは不存在;
Xaa3はA、D、Nまたは不存在;
Xaa4はA、L、Tまたは不存在;
Xaa5はAまたはS;
Xaa6はA、S、TまたはV;
Xaa7はA、CまたはK;
Xaa8はA、L、MまたはV;
Xaa9はLまたはT;
Xaa10はG、HまたはQ;
Xaa11はK、QまたはR;
Xaa12はL、WまたはY;
Xaa13はA、N、Q、SまたはT;
Xaa14はA、D、E、G、K、N、QまたはR;
Xaa15はA、D、E、F、L、SまたはY;
Xaa16はFまたはL;
Xaa17はH、Q、SまたはV;
Xaa18はKまたはR;
Xaa19はF、L、Sまたは不存在;
Xaa20はH、K、Qまたは不存在;
Xaa21はQ、Tまたは不存在;
Xaa22はF、LまたはY;
Xaa24はPまたはR;
Xaa27はTまたはV;
Xaa30はE、KまたはN;
Xaa31はAまたはT;および
Xaa32はF,Yまたは不存在である]
のアミノ酸配列を含むアナログを含み得る。
【0067】
一般的な態様において、式V、VI、VIIまたはVIIIの配列は、さらに置換、挿入、欠失、伸長および/または誘導体化の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える修飾を含む。ある具体例において、式V、VI、VIIまたはVIIIの配列は、24位での欠失を含む。ある具体例において、式V、VIまたはVIIの配列は、22および23位でのアミノ酸間に挿入されたValを含む。他の具体例において、式V、VIまたはVIIの配列は、22と23位との間に挿入されたGlnを含む。依然として他の具体例において、式V、VIまたはVIIの配列は、22と23位との間のGln-Thr-Tyrの配列を含む。さらに他の具体例において、式V、VIまたはVIIの配列は、22と23位との間でLeu-Gln-Thr-Tyr(配列番号:84)の配列を含む。もう一つの一般的な態様において、式V、VIまたはVIIの修飾は、N-末端終端であり得る。ある具体例において、式V、VIまたはVIIのN-末端部分は、付加したオクチルグリシンを有する。他の具体例において、式V、VIまたはVIIのN-末端部分は、付加したisocapを有する。他の具体例は、PCT出願PCT/US2005/004631に記載され、出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0068】
示された(複数の)位置での修飾を持つヒトアミリン(配列番号:1;hアミリン)、ラットアミリン(配列番号:2;rアミリン)およびサケカルシトニン(sCT) CSNLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTNTGSGTP (配列番号:85)に関して記載された典型的な化合物は以下を含む:
(1-7 hアミリン)(18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:86);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg22Leu 8-27sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:87);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg24Pro 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:88);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-24 sCT)(30-37 hアミリン) (配列番号:89);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-21 sCT)(27-37 rアミリン) (配列番号:90);
(8Val9Leu10Gly 1-15 hアミリン)(18Arg 16-27 sCT)(31-37 hアミリン) (配列番号:91);
(1Ala 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:92);
(3Ala 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:93);
(4Ala 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:94);
(6Ala 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:95);
(2Ala11,18Arg 1-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:96);
(Isocap-7Ala11,18Arg 5-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:97);
(4Ala11,18Arg 1-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:98);
(5Ala11,18Arg 1-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:99);
(6Ala11,18Arg 1-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:100);
(1-7 hアミリン)(11Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:101);
(13Ser14Gln15Glu 1-16 hアミリン)(17Arg30Asn32Tyr 17-32 sCT) (配列番号:102);
(3Ala11,18Arg 1-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:103);
(アセチル-2,7Agy11,18Arg 1-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:104);
(アセチル-2,7Agy 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:105);
(Isocap-7Ala10Aib11Lys(For)17Aib18Lys(For) 5-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:106);
(Isocap-7Ala10Aib11Lys(For)17Aib18Lys(For) 5-24sCT)(30-37 hアミリン) (配列番号:107);
(Isocap-7Ala10Aib11Lys(For)17Aib18Lys(For) 5-22 sCT)(28,29Pro 28-37 hアミリン) (配列番号:108);
(Isocap-7Ala10Aib11Lys(For)17Aib18Lys(For) 5-21 sCT)(28,29Pro 27-37 hアミリン) (配列番号:109);
(1-7 hアミリン)(LLQQWQKLLQKLKQ (配列番号:110))(28Pro29Arg32Thr 27-37 hアミリン) (配列番号:111);
(1-7 hアミリン)(LLQQLQKLLQKLKQY (配列番号:112))(28Pro29Arg32Thr 28-37 hアミリン) (配列番号:113);
(6Ser 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:114);
(6Val 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:115);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-18 sCT)(28Pro29Arg32Thr 27-37 hアミリン) (配列番号:116);
(1-7 hアミリン)(11Arg 8-17 sCT)(28Pro29Arg32Thr 27-37 hアミリン) (配列番号:117);
(1-7 hアミリン)(11Arg 8-16 sCT)(27Tyr28Pro29Arg32Thr 27-37 hアミリン) (配列番号:118);
(1-7 hアミリン)(11Arg 8-15sCT)(27Tyr28Pro29Arg32Thr 27-37 hアミリン) (配列番号:119);
(1-7 hアミリン)(11Arg 8-14 sCT)(27Tyr28Pro29Arg32Thr 27-37 hアミリン) (配列番号:120);
(1-7 hアミリン)(11,18Lys(For) 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:121);
(6D-Thr 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:122);
(アセチル-1-7 hアミリン)(11,18Lys(PEG5000) 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:123);
(アセチル-1Ala 1-7 hアミリン)(11Lys(PEG5000)18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:124);
(アセチル-1Ala 1-7 hアミリン)(11Arg18Lys(PEG5000) 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:125);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-21 sCT)(19-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:126);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-21 sCT)(18Leu 18-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:127);
(1-7 hアミリン)(8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:128);
(5Ser 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:129);
(1-12 hアミリン)(18Arg 13-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:130);
(1-12 hアミリン)(18Arg 13-24 sCT)(30-37 hアミリン) (配列番号:131);
(5Ser15Glu18Arg 1-18hアミリン)(19-24 sCT)(30-37 hアミリン) (配列番号:132;
(6Hse 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:133);
(6Ahb 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:134);
(6Ahp 1-7hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:135);
6Thr(OPO3H2) 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:136);
(7Ala11,18Arg 5-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:137);
(1-7 hアミリン)(11,18Orn 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:138);
(1-7 hアミリン)(11,18Cit 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:139);
(1-7 hアミリン)(11,18ホモLys 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:140);
(L-オクチルグリシン-1-7hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:141);
(N-3,6-ジオキサオクタノイル-1-7-hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:142);
(シクロ(1-7)-1Asp7Lys11,18Arg 1-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:143);
(シクロ(2-7)-2Asp7Lys 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:144);
(シクロ (2-7) hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:145);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン-9Anc) (配列番号:146);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン-L-オクチルグリシン) (配列番号:147);
(N-イソカプロイル-1-7-hアミリン)(11,18Arg 8-27sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:148);
(1-7 hアミリン)(11,18ホモArg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:149);
(1Phe 1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCT)(33-37 hアミリン) (配列番号:150);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-24 sCT)(32Thr 30-37 hアミリン) (配列番号:151);
(1-7 hアミリン)(11,18Arg 8-27 sCt)(33-37 hアミリンlin) (配列番号:152);
(15Glu18Arg 1-18 hアミリン)(19-24 sCT)(30-37 hアミリン) (配列番号:153);
(13Ala14Asp15Phe 1-18 hアミリン)(19-23 sCT)(30-37 hアミリン) (配列番号:154);および
(2-18 hアミリン)(19-23 sCT)(30-36 hアミリン) (配列番号:155)。上記のもののように本明細書に提供された組成物および方法に有用なペプチドは、酸またはアミド形態であり得る。
【0069】
また、本明細書に提供された組成物および方法に使用される典型的なペプチドは以下を含む:
KCNTATCVLGKLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:156)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTLPRTNTGSNTY (配列番号:157)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPPTNTGSNTY (配列番号:158)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNVGSNTY (配列番号:159)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTLPPTNVGSNTY (配列番号:160)
KCNTATCVLGRLANFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:161)
ACNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:162)
KCNAATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:163)
KCNTAACVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:164)
CANLSTCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:165)
イソカプロイル-STAVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:166)
CSNASTCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:167)
CSNLATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:168)
CSNLSACVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:169)
KCNTATCVLGRLSQELHKLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:170)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSGTP (配列番号:171)
CSALSTCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:172)
Ac-(Agy)SNLST(Agy)VLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:173)
Ac-K(Agy)NTAT(Agy)VLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:174)
イソカプロイル-STAVL(Aib)RLSQELRLQTYPRTNTGSGTP (配列番号:175)
イソカプロイル-STAVLG[K(For)]LSQELH[K(For)]LQTYPRTNTGSGTP (配列番号:176)
イソカプロイル-STAVL(Aib)[K(For)]LSQEL(Aib)[K(For)]LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:177)
イソカプロイル-STAVL(Aib)[K(For)]LSQEL(Aib)[K(For)]LQTYPRTNVGSNTY (配列番号:178)
KCNTATCLLQQLQKLLQKLKQYPRTNTGSNTY (配列番号:179)
KCNTASCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:180)
KCNTAVCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:181)
KCNTATCVLGRLSQELHRYPRTNTGSNTY (配列番号:182)
KCNTATCVLG[K(For)]LSQELH[K(For)L]QTYPRTNTGSNTY (配列番号:183)
KCNTA(d-Thr)CVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:184)
KCNTA(dAh)CVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:185)
Ac-ACNTATCVLGRLSQELHK(PEG5000)LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:186)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:187)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTLLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:188)
KCNTATCVLGKLSQELHKLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:189)
KCNTSTCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:190)
KCNTATCATQRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:191)
KCNTATCATQRLSQELHRLQTYPRTNVGSNTY (配列番号:192)
KCNTSTCATQRLANELVRLQTYPRTNVGSNTY (配列番号:193)
KCNTA(Hse)CVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:194)
KCNTA(Ahb)CVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:195)
KCNTA(Ahp)CVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:196)
KCNTAT(OPO3H2)CVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:197)
KCNTATCVLG(Orn)LSQELH(Orn)LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:198)
KCNTATCVLG(Cit)LSQELH(Cit)LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:199)
KCNTATCVLG(hK)LSQELH(hK)LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:200)
L-オクチルグリシンKCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:201)
N-3,6-ジオキサオクタノイル-CNTATCVLGRLSQELHRLQTVPRTNTGSNTY (配列番号:202)
KCNTATCMLGRYTQDFHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:203)
DSNLSTKVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:204)
KDNTATKVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:205)
CNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:206)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY(9Anc) (配列番号:207)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY(L-オクチルグリシン) (配列番号:208)
N-イソカプロイル-KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:209)
KCNTATCVLG(hR)LSQELH(hR)LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:210)
FCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:211)
KCNTATCVLGRLSQELH(Cit)LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:212)
KCNTATCVLGRLSQELH(Orn)LQTYPRTNTGSNTY (配列番号:213)
ICNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:214)
1-オクチルグリシン-CNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:215)
イソカプロイル-CNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:216)
KCNTATCVLG(Cit)LSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:217)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY(4ABU) (配列番号:218)
イソカプロイル-KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY(4ABU) (配列番号:219)
KCNTSTCATQRLANELVRLQTYPRTNVGSEAF (配列番号:220)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPTNVGSEAF (配列番号:221)
KCNTATCVLGRLSRSLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:222)
KCNTATCVTHRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:223)
KCNTATCVLGRLADFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:224)
CNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNT (配列番号:225)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQNFVPRTNTGSNTY (配列番号:226)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSETF (配列番号:227)
ACDTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:228)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSKAF (配列番号:229)
KCDTATCVTHRLAGLLSRSQTYPRTNTGSNTY (配列番号:230)
KCNTATCVLGRLADALHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:231)
KCNTATCVLGRLAAFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:232)
SCNTATCVLGRLADFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:233)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTMPRTNTGSNTY (配列番号:234)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTVPRTNTGSNTY (配列番号:235)
KCNTATCVLGRLNEYLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:236)
SCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:237)
KCNTATCVLGRLTEFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:238)
KCNTATCVLGRLAEFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:239)
KCNTATCVLGRLTDYLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:240)
KCNTATCVLGRLAQFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:241)
KCNTATCVLGRLADFLHRFQTFPRTNTGSNTY (配列番号:242)
KCNTATCVLGRLADFLHRFHTFPRTNTGSNTY (配列番号:243)
KCNTATCVLGRLADFLHRFQTFPRTNTGSGTP (配列番号:244)
CNTATCVLGRLADFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:245)
KCDTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:246)
KCNTATCVLGRLFDFLHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:247)
KCNTATCVLGRLAAALHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:248)
TCDTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:249)
CSNLSTCATQRLANELVRLQTYPRTNVGSNTY (配列番号:250)
KCNTATCATQRLANELVRLQTYPRTNVGSNTY (配列番号:251)
CSNLSTCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:252)
KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:253)。
【0070】
いくつかの具体例において、アミノ酸配列 KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY (配列番号:253)を含む化合物は、開示された方法に特に役立つ。
【0071】
また、アゴニストおよびアナログの誘導体は提供された方法に含まれ、ここに、個々のアミノ酸の立体化学は1以上の特定の部位で (L)/Sから(D)/Rに変換され得る。また、提供された方法に含まれるのは、Asn、Serおよび/またはThr残基のグリコシル化によって修飾されたアゴニストおよびアナログである。また、提供された方法に有用な化合物は、本明細書に記載されたペプチド(天然の、アゴニスト、アナログおよび誘導体)の生物学的活性断片で有り得る。
【0072】
少ないペプチド特性を含むアミリンのアゴニストおよびアナログは提供された方法に含まれる。かかるペプチドミメティクスは、例えば、--CO--NH-- アミド結合:デプシペプチド (--CO--O--)、イミノメチレン (--CH2 --NH--)、トランス−アルケン (--CH=CH--)、ベータ-エナミノニトリル (--C(=CH--CN)--NH--)、チオアミド (--CS--NH--)、チオメチレン (--S--CH2--または--CH2--S--)、メチレン (--CH2--C2 --)およびレトロ−アミド (--NH--CO--)の1以上の以下の置換を含み得る。
【0073】
提供された方法で用いた化合物は、種々の無機ならびに有機の酸および塩基と塩を形成する。かかる塩は、有機および無機酸、例えば、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4、トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、フマル酸およびショウノウスルホン酸と調製された塩を含む。塩基と調製された塩は、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)およびアルカリ土類塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)を含む。ある具体例において、化合物は、酢酸塩、塩酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を形成する。
【0074】
また、本明細書に提供された組成物および方法に有用なアミリンアゴニストは、前記ならびにその内容をここに出典明示して本明細書の一部とみなすEP 289287に記載されたもののアミリンおよびそのアナログの断片を含み得る。また、アミリンアゴニストアナログは、配列番号:1またはアミリン活性を有する本明細書に特に記載されたアミリンアナログのいずれかに少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95または99%のアミノ酸配列同一性を有する化合物で有り得る。また、アミリンアゴニストは、小さな化学分子、および非ペプチド分子、例えば、低分子の化学に基づいたものを含む。いくつかの具体例において、アミリンアゴニストは、小さな化学分子ではない。
【0075】
本明細書に用いた「アミリン活性」は、後記された当該技術分野において知られた少なくとも1つの活性を含み得る。また、アミリン活性は、ストレス応答を変調するアミリンの能力を含むことができ、GCに影響し得るおよび/または体内におけるCFR活性に影響し得る。望ましいアミリンアゴニストまたはアミリンアナログは、実施例2および3において本明細書に用いた抗精神病、抗鬱および抗不安剤によって共有される少なくとも1つの特性を有し得る。また、アミリンアゴニストアナログは、配列番号:1または本明細書に特に記載されたアミリンアナログの少なくとも1以上のアミノ酸位置に挿入、欠失、伸長、トランケーションおよび/または置換を含む。アミノ酸挿入、欠失または置換の数は、少なくとも5、10、15、20または25個のアミノ酸挿入、欠失または置換で有り得る。アミノ酸挿入、欠失または置換の数は、5、10、15、20、25または30個以下のアミノ酸挿入、欠失または置換で有り得る。挿入、伸長または置換は、他の天然のアミノ酸、合成アミノ酸、ペプチドミメティクスまたは他の化合物で有り得る。ある具体例において、ある具体例に有用なアミリンアゴニストはカルシトニンおよび/またはCGRPを含まないことも有り得ると考えられる。例えば、ある具体例において、カルシトニンおよび/またはCGRPは、気分障害、不安障害または物質関連障害の治療におけるアミリンアゴニストの範囲から除外し得る。しかしながら、カルシトニンおよび/またはCGRPは、睡眠または摂食障害のような他の疾患用のアミリンアゴニストの範囲に含まれ得る。同様に、ある具体例において、提供された方法に有用なアミリンアゴニストはカルシトニンおよび/またはCGRPアナログを含まないこともある。
【0076】
一般的に、アミリンアゴニストまたはアミリンアゴニストアナログは、直接または間接的に1以上の受容体と直接的または間接的に相互作用または結合することにより、アミリンの作用を模倣する化合物をいうと認識されている。また、それらはアミリノミメティクスと呼ばれ得る。
【0077】
アミリンアゴニストおよび/またはアナログとしての活性は、哺乳動物における側坐核(nucleus accumben)受容体結合アッセイ、ヒラメ筋アッセイ、胃内容排出アッセイ、あるいは低カルシウム血症を誘導するまたは食後の高血糖症を低下させる能力による種々のスクリーニングアッセイを行うことにより確認および定量できる。アミリン活性についての化合物をテストする方法は、当該技術分野において知られている。アミリンアゴニストをテストするための典型的なスクリーニング方法およびアッセイは、米国特許第5,264,372号および第5,686,411号(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載されている。
【0078】
特に膜結合アミリン受容体に特異的に結合する化合物の能力を測定する競合アッセイの受容体結合アッセイ。そのアッセイに用いた膜調製物の好ましい源は、側坐核および周囲領域からの膜を含む前脳基底核である。アッセイされるべき化合物は、これらの受容体調製物への結合について、125Iボルトン・ハンター(Bolton Hunter)ラットアミリンと競合する。結合量(B)がリガンドの濃度の対数の関数としてプロットされる競合曲線は、4-パラメーターロジスティック式(INPLOT プログラム, GraphPAD Software, San Diego, CA)またはDeLeanら (ALLFIT, Version 2.7 (NIH, Bethesda, Md. 20892))のALLFITプログラムによる解析を用いてコンピューターにより解析される。Munsonら (1980) Anal. Biochem. 107:220-239。
【0079】
ヒラメ筋におけるアミリンアゴニスト/アナログの生物学的活性のアッセイは、従前に記載された方法(Leightonら (1988) Nature 335:632-635;Cooperら (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7763-7766)を用いて行うこともでき、ここに、アミリンアゴニスト活性は、インスリン刺激のグリコーゲン合成の阻害を測定することによりアッセイし得る。略言すると、典型的な方法は、12時間絶食した雄性ウィスターラットから調製されたヒラメ筋条片を含む。筋肉の腱を結紮した後、ステンレス鋼クリップに取り付ける。筋条片を3.5mlのクレブス-リンゲル重炭酸緩衝液、7mM N-2-ヒドロキシエチル-ペペラジン-N'-2-エタン-スルホン酸、pH 7.4および5.5mMピルビン酸塩を含むエルレンマイヤーフラスコ中で予めインキュベートする。フラスコを密閉し、OおよびCOを19:1(v/v)の比で連続的に供給する。振盪する水浴中で37℃にて30分間この媒体中で筋肉のプレインキュベーション後に、筋条片を[U-14C]グルコース(0.5μCi/ml)およびインスリン(100μU/ml)を加えた同一の媒体(ピルビン酸塩を除く)を含有する同様のバイアルに移す。フラスコを密閉し、1時間のインキュベーションにおいて最初の15分間再通気する。インキュベーション期間の終わりに、筋肉をブロットし、液体N中で急速に冷凍する。インキュベーション媒体中の乳酸塩の濃度は分光測光法で決定でき、グリコーゲン中の[U-14C]グルコースの取込みを測定した。
【0080】
胃内容排出速度を測定する方法は、例えば、Youngら (1995) Diabetologia 38:642-648に開示されている。フェノールレッド法において、覚醒ラットは、ガバージによりメチルセルロースおよびフェノールレッド指示薬を含む無色ゲルを受ける。ガバージの20分後に、動物をハロセンを用いて麻酔し、胃を曝露し、幽門および下部食道括約筋にてクランプし、取り出し、アルカリ溶液中で開ける。胃内容は、560nmの波長で吸光度により測定されたアルカリ溶液中のフェノールレッドの強度から誘導し得る。トリチウム化したグルコース法において、覚醒ラットは、水中のトリチウム化したグルコースをガバージされる。ラットは、尾部により優しく抑制され、その先端をリドカインを用いて麻酔する。尾部血液から分離された血漿中のトリチウムを種々の時点で収集し、ベータカウンターで検出した。テスト化合物は、ガバージの約1分前に通常投与される。
【0081】
アミリンアゴニスト化合物は、約1〜5nM未満、いくつかの具体例において約1nM未満、およびいくつかの具体例において約50pM未満のオーダーで受容体結合アッセイにおいて活性を示し得る。ヒラメ筋アッセイにおいて、アミリンアゴニスト化合物は、約1〜10マイクロモーラーのオーダーでEC50値を示し得る。胃内容排出アッセイにおいて、アミリンアゴニスト化合物は、100μg/ラット未満のオーダーでEC50値を示す。
【0082】
化合物を作成する1つの典型的な方法において、本明細書に提供された化合物は、標準的な固相ペプチド合成技術を用いて、例えば、自動化または半自動化ペプチドを用いて調製し得る。典型的には、かかる技術を用いて、α−N−カルバモイル保護アミノ酸、および樹脂上で成長するペプチド鎖に結合したアミノ酸を、ジイソプロピルエチルアミンのごとき塩基の存在下のジシクロヘキシルカルボジイミドおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾールのごときカップリング剤の存在下で、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンまたは塩化メチレンのごとき不活性溶媒中で室温にて結合させる。α−N−カルバモイル保護基をトリフルオロ酢酸またはピペリジンのごとき試薬を用いて得られたペプチド−樹脂から除去し、カップリング反応を次の所望のN−保護アミノ酸で繰り返して、ペプチド鎖に付加した。適当なN−保護基は当該技術分野においてよく知られ、t−ブチルオキシカルボニル(tBoc)およびフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が本明細書において好ましい。アミリンおよびアミリンアゴニストを合成または発現させ、それらを精製する他の方法は、当業者に知られている。
【0083】
製剤/投与/用量
アミリン、アミリンアゴニスト、アミリンアナログおよびアミリン誘導体(このセクションにおいて「化合物」という)は、単回または複数回の用量のいずれかで、単独または医薬上許容される担体もしくは賦形剤と組み合わせて投与し得る。これらの医薬化合物は、E. W. MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciencesに開示されたもののごとき従来技術に従って、医薬上許容される担体または希釈剤ならびに他の公知のアジュバントまたは賦形剤と処方し得る。Wangら (1988) Journal of Parenteral Science and Technology Technical Report No. 10, Supp. 42:2S.も参照されたし。
【0084】
一般的に、化合物は、患者への投与のための安定して安全な医薬組成物に処方され得る。本明細書に記載された方法に用いるために考えられる医薬製剤は、約0.01〜6.0%(w/v)、または0.05〜1.0%の化合物;約3.0〜約7.0の最終組成物のpHを可能とする、約0.02〜0.5%(w/v)の酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩またはグルタミン酸塩緩衝液;約1.0〜10%(w/v)の炭水化物または多価アルコールの等張化剤(tonicifier)および所望により、m-クレゾール、ベンジルアルコール、メチル−、エチル−、プロピル−およびブチル−パラベンならびにフェノールよりなる群から選択される0.005〜1.0%(w/v)の保存剤を含み得る。かかる保存剤は、処方されたペプチドが複数使用の生成物中に含まれるならば、一般的に含まれる。
【0085】
特定の具体例において、医薬製剤は、ある範囲の濃度の化合物、例えば、この具体例において、約0.01%〜約98%(w/v)の間、または約1%〜約98%(w/v)の間、または約80%〜約90%(w/v)の間、または約0.01%〜約50%(w/v)の間、または約10%〜約25%(w/v)の間を含み得る。十分な量の注射用水を用いて、所望の濃度の溶液を得ることができる。
【0086】
また、塩化ナトリウムのごときさらなる等張化剤ならびに他の公知の賦形剤を所望ならば存在させてもよい。いくらかの場合、かかる賦形剤は、製剤の全張度の維持に有用である。賦形剤は、種々の濃度で現在記載された製剤に含有し得る。例えば、賦形剤は、約0.02%〜約20%(w/w)、約0.02%および0.5%(w/w)、約0.02%〜約10%(w/w)、または約1%〜約20%(w/w)の濃度範囲で含有し得る。加えて、その製剤自体と同様に、賦形剤を、固体(粉末を含む)、液体、半固体またはゲル形態で含み得る。
【0087】
本明細書に記載されるように、種々の液体ビヒクル、例えば、水、水性/有機の溶媒混合物、または懸濁物は、このペプチド製剤における使用に適当である。医薬製剤は種々の形態、例えば、固体、半固体、液体で構成され得る。本明細書に用いた「固体」なる用語は、例えば、粉末および凍結乾燥製剤を含めたこの用語の全ての通常の使用を含むことを意味する。現在記載された製剤は凍結乾燥し得る。
【0088】
緩衝物、緩衝液および緩衝溶液なる用語は、水素イオン濃度またはpHに関して使用される場合、酸またはアルカリあるいは溶媒での希釈に対するpHの変化に抵抗する系、特に水溶液の能力をいう。酸または塩基の添加に対するpHの小さな変化を受ける緩衝溶液の特性は、弱酸および弱酸の塩、または塩基および弱塩基の塩のいずれかの存在である。前者の系の例は、酢酸および酢酸ナトリウムである。pHの変化は、添加されたヒドロニウムまたはヒドロキシルイオンの量がそれを中和させるための緩衝系の容量を超えない限りはわずかである。
【0089】
ペプチド製剤の安定性は、液体形態である場合、約3.0〜約7.0の範囲で製剤のpHを維持することにより増強される。1つの具体例において、製剤のpHは、約3.5〜5.0、約3.5〜6.5または約3.7〜4.3、または3.8〜4.2の範囲に維持される。特定のpHは約4.0で有り得る。この理論により拘束されるように努力するものではいが、いくつかの具体例において、医薬製剤のpHが5.5を超える場合、ペプチドの化学的分解は貯蔵寿命が約2年未満であるように促進され得ると現在理解される。
【0090】
いくつかの具体例において、本方法の実施に用いた緩衝物は、酢酸塩緩衝液(典型的には、約1-5mM、例えば、1.5mMから約60 mMまでの最終処方濃度にて)、リン酸塩緩衝液(典型的には、約1-5mM、例えば、1.5mMから約30 mMまでの最終処方濃度にて)またはグルタミン酸塩緩衝液(典型的には、約1-5mM、例えば、1.5mMから約60 mMまでの最終処方濃度にて)である。1つの具体例において、緩衝物は、約5 mM〜約30 mMの最終処方濃度の酢酸塩である、
【0091】
安定剤はこの製剤に含まれ得るが、重要なことには、必ずしも必要でないことである。しかしながら、含まれるならば、この製剤の実施に有用な安定剤は、炭水化物または多価アルコールである。本方法の実施に有用な適切な安定剤は、約1.0〜10%(w/v)の炭水化物または多価アルコールである。多価アルコールおよび炭水化物は、それらの骨格、すなわち、-CHOH-CHOH-中で同一の特徴を共有し、それはタンパク質を安定化することを担う。多価アルコールは、ソルビトール、マンニトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)のごとき化合物を含む。これらの化合物は直鎖状分子である。マンノース、リボース、スクロース、フルクトース、トレハロース、マルトース、イノシトールおよびラクトースのごとき炭水化物は、他方では、ケトンまたはアルデヒド基を含み得る環状分子である。これらの2つのクラスの化合物は、温度上昇および凍結融解または凍結乾燥工程により惹起された変性に対する蛋白質を安定化するのに有効であることが示されている。対象が糖尿病を有する具体例において、適当な炭水化物は、ガラクトース、アラビノース、ラクトースまたは糖尿病患者に対する有害作用を有さない他の炭水化物を含み、すなわち、血液中の受入られない高濃度のグルコースを形成するように炭水化物が代謝されない。かかる炭水化物は、当該技術分野において、糖尿病に適当であるとよく知られている。スクロースおよびフルクトースは、非糖尿病の対象における化合物との使用に適当である。
【0092】
ある具体例において、安定剤が含まれる場合、化合物は、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、グリセロール、キシリトールおよびポリプロピレン/エチレングリコール共重合体のごとき多価アルコール、ならびに分子量200、400、1450、3350、4000、6000および8000の種々のPEGで安定化される。マンニトールは特定の多価アルコールの例である。本明細書に記載された凍結乾燥製剤のもう一つの有用な特徴は、それらの安定性を維持するように機能する同一処方成分での凍結乾燥された製剤の張度の維持である。マンニトールはこの目的のために用いた特定の多価アルコールである。
【0093】
米国局方(USP)は、静菌的または静真菌性の濃度における抗菌剤を複数用量コンテナーに含まれた調製物に添加されなければならないことを言及する。それらは、使用時点で適当な濃度で存在して、皮下注射針および注射器で、またはペン型注射器のごとき送達用の他の侵襲性の手段を用いて一部分のその内容物を回収しつつ、調製物に不注意に導入された微生物の増殖を防止しなければならない。抗真菌剤を評価して、処方箋の全ての他の成分との適合性を保証すべきであり、それらの活性をその全体の処方箋において評価して、1つの製剤に有効である特定の剤がもう一つのものにおいて効果でないことはないことを保証すべきである。特定の抗菌剤が1つの製剤に有効であるが、もう一つの製剤に有効でないことを見出すことは稀ではない。
【0094】
保存剤は、共通の医薬的な意味において、微生物増殖を防止または抑制し、また、この目的のために医薬製剤に添加して、微生物によりその製剤の結果として生じた損傷を回避し得る物質である。しかしながら、保存剤の量が大きくないが、それはペプチドの全体的な安定性に影響し得る。
【0095】
医薬組成物に用いる保存剤は、0.005〜1.0%(w/v)で変動できるが、各保存剤の典型的な範囲は、単独でまたは他のものと組み合わせて、以下である:ベンジルアルコール(0.1-1.0%)、またはm-クレゾール(0.1-0.6%)、またはフェノール(0.1-0.8%)、あるいはメチル−(0.05-0.25%)およびエチル−またはプロピル−またはブチル−(0.005%-0.03%)パラベンの組合せである。パラベンは、パラ-ヒドロキシ安息香酸の低級アルキルのエステルである。各保存剤の詳細な説明は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」ならびに Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Vol. 1, 2nd ed., Avisら Ed., Mercel Dekker, New York, N.Y. (1992)に記載されている。
【0096】
プラムリンチド、25,28,29Pro-h-アミリンは、液体形態の場合、ガラスコンテナー中のガラスに吸着される傾向を有しなく、従って、界面活性剤がさらに医薬製剤を安定化するためには必要とされない。しかしながら、液体形態の場合のかかる傾向を有する化合物に関して、界面活性剤はそれらの製剤に用いるべきである。次いで、これらの製剤製剤を凍結乾燥し得る。界面活性剤は、疎水性の障害および塩架橋分離の双方により頻繁に蛋白質の変性を生じさせる。比較的に低濃度の界面活性剤は、界面活性部部と蛋白質上の反応部位との間の強力な相互作用のために、強力な変性活性を発揮し得る。しかしながら、この相互作用の賢明な使用は、界面または表面の変性に対して蛋白質を安定化できる。ペプチドをさらに安定化できる界面活性剤は、所望により、合計製剤の約0.001〜0.3%(w/v)の範囲で存在してもよく、ポリソルベート80(すなわち、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、CHAPS(登録商標)(すなわち、3-[(3-クラミドプロピル)ジメチルアンモニオ] 1-プロパンスルホネート)、BRIJ(登録商標)(例えば、 Brij 35, (ポリオキシエチレン (23) ラウリルエーテル)である), プロキサマーまたはもう一つの非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0097】
また、選択された等張剤に依存して、医薬製剤の張度を調節する塩化ナトリウムまたは他の塩を加えることは望ましいかもしれない。しかしながら、これはオプションであり、選択された特定の製剤に依存する。非経口製剤は典型的には等張または実質的に等張であり得る。
【0098】
非経口生成物用の適当な媒体は水である。非経口投与用の適当な質の水を、蒸留または逆浸透のいずれかにより調製できる。注射用水は、注射可能な医薬製剤に用いる好ましい水性ビヒクルである。
【0099】
他の成分が医薬製剤に存在し得ることもできる。かかるさらなる成分は、例えば、湿潤剤、乳化剤、油、抗酸化剤、充填剤、張度調節剤、キレート化剤、金属イオン、油性ビヒクル、蛋白質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチンまたは蛋白質)および双性イオン(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジンおよびヒスチジンのごときアミノ酸)を含み得る。加えて、高分子溶液、またはポリマーとの混合物はペプチドの徐放の機会を提供する。かかるさらなる成分は、もちろん、本明細書に提供される医薬製剤の全体的な安定性に悪影響してはならない。
【0100】
また、特に液体が水溶性である場合、完全に不活性でありまたはある点で、含まれる液体に影響しないコンテナーはないので、コンテナーは注射製剤の不可欠な部分であり、成分と考えることもできる。従って、特定の注射用のコンテナーの選択は、コンテナーならびに溶液の組成、ならびにそれらが付されるであろう処理の考慮に基づかなければならない。必要ならば、ホウケイ酸ガラス、例えば、Wheaton Type Iホウケイ酸ガラス#33(Wheaton Type 1-33)またはその等価物(Wheaton Glass Co.)の使用によって、バイアルのガラス表面へのペプチドの吸着を最小化できる。製造に許容できる同様のホウケイ酸ガラスバイアルおよびカートリッジの他の製造供給元は、Kimbel Glass Co.、West Co.、Buender Glas GMBHおよびForma Vitrumを含む。化合物の生物学的および化学的な特性は、5%マンニトールおよび0.02% Tween 80の存在下、0.1mg/mlおよび10mg/mlの最終濃度の化合物にWheaton Type I-33ホウケイ酸塩血清バイアル中の処方および凍結乾燥により安定化し得る。
【0101】
複数用量バイアルへの皮下注射器からの針の導入を許し、かつ針が回収されると直ちに再密封を提供するために、各バイアルの開放端は、アルミニウムバンドによって適所に保持されたゴム栓密閉で典型的には密閉される。ガラスバイアル用の栓、例えば、West 4416/50、4416/50 (Teflon表面)および4406/40、Abbott 5139またはいずれかの等価な栓を注射用医薬のための密閉として用いることができる。これらの栓は、ペプチドならびに製剤の他の成分と互換性を持つ。これらの栓は、患者使用パターンを用いて試験した場合に栓完全性テストに合格し、例えば、その栓は少なくとも約100回の注射に耐えることができる。あるいは、そのペプチドは、引き続いての再構成のために、バイアル、注射器またはカートリッジ中で凍結乾燥できる。本明細書に提供される液体製剤は、1または2のチャンバーのカートリッジ、または1または2のチャンバー注射器に充填できる。
【0102】
前記された医薬製剤の各成分は当該技術分野で知られ、Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Vol. 1, 2nd ed., Avisら Ed., Mercel Dekker, New York, N.Y. 1992(ここに出典明示してその全てを本明細書の一部とみなす)に記載されている。
【0103】
前記の液体製剤のための製造工程は、一般的に混合、無菌濾過および充填工程を含む。配合手順は、特定の順序 (例えば、保存剤に続いて、安定剤/張度調節剤、緩衝液およびペプチ)で成分の溶解または同時の溶解を含む。
【0104】
例えば、非経口の代替製剤は減菌を必要としないかもしれない。しかしながら、減菌が望まれるかあるいは必要な場合、いずれかの適当な減菌プロセスを、本明細書に提供されるペプチド医薬製剤を開発するのに用いることができる。典型的な減菌プロセスは、濾過、蒸気(湿式加熱)、乾式加熱、ガス(例えば、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、二酸化塩素、酸化プロピレン、ベータ-プロピオラクトン、オゾン、クロロピクリン、過酢酸臭化メチル等)、放射線源に対する曝露、および無菌処理を含む。濾過は本明細書に記載された液体製剤のための減菌の典型的な方法である。無菌濾過は、直列で連結し得る0.45μmおよび0.22μm(1または2)を介した濾過を含む。濾過後に、溶液を適当なバイアルまたはコンテナーに充填する。
【0105】
1つの具体例において、液体医薬製剤は非経口投与のために意図される。適当な投与経路は、筋肉内、静脈内、皮下、皮内、関節内、髄腔内等を含む。皮下の投与経路は1つの特定の経路である。また、粘膜送達は特に適当である。これらの粘膜経路は、限定されるものではないが、液体、半固体または固体形態のペプチドの投与を含み得る、経口、鼻、舌下、肺およびバッカル経路を含む。これらの経路を介する投与は、非経口送達と比較した減少したバイオアバイラビリティーにより所望の生物学的効果を得るために、実質的により多くのペプチドを必要とする。加えて、非経口の徐放性送達は、高分子マイクロカプセル、マトリックス、溶液、埋込剤およびデバイスを形成し、次いで、それらを非経口的にまたは外科的手段により投与することにより達成できる。徐放性製剤の例は、米国特許第6,368,630号、第6,379,704号および第5,766,627号(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載されている。これらの投与形態は、高分子マトリックスまたはデバイスにおけるいくらかのペプチドの捕捉により、低いバイオアバイラビリティーを有し得る。例えば、米国特許第6,379,704号、第6,379,703号および第6,296,842号参照。
【0106】
化合物は、精神疾患および/または精神医学の治療/薬物療法の望まない副作用を治療するまたはその治療を助ける1または複数の用量で有効であろう量の化合物を含有する投与単位形態で提供され得る。当業者より認識されるように、有効量の治療剤は、患者の年齢および体重、患者の健康状態、治療される疾患ならびに他の要因を含めた多数の要因で変化するであろう。
【0107】
しかしながら、典型的な用量は、1日当たり、約1μg、5μg、10μg、50μgないし100μgの下限から100μg、500μg、1mg、5mg、10mg、50mgまたは100mgの上限までの医薬化合物を含み得る。また、1用量当たり化合物の0.1μg〜1mgのごとき他の用量範囲が考えられる。かくして、典型的な用量は、1用量当たり化合物の30、60、120、240または360μgで有り得る。1日当たり用量は、区別される単位用量で送達できるか、または24時間の期間もしくはその24時間の期間のいずれかの部分に連続的に提供し得る。1日当たりの用量の数は1日当たり1〜約4用量で有り得るが、それはより多くてもよい。連続的な送達は、連続注入の形態ですることができる。典型的な用量および注入割合は、別々の用量当たり0.005 nmol/kg〜約20 nmol/kg、または連続注入における約0.01/pmol/kg/分〜約10 pmol/kg/分を含む。これらの用量および注入は、静脈内投与(i.v.)または皮下投与(s.c.)により送達できる。i.v.で与えた医薬組成物の典型的な合計の用量/送達は、1日当たり約2μg〜約8mgであり得、一方、s.c.で与えた医薬組成物の典型的な合計の用量/送達は、医薬組成物を所与のの用量/送達の合計は、1日当たり約6μgから約16または24mgまでで有り得る。
【0108】
以下の実施例は例示するために提供され、発明を限定するものではない。
【実施例】
【0109】
実施例1
雄性Sprague-Dawley(登録商標)ラットを糖回収パラダイムに付し、糖摂取に対するストレスの効果を観察した。略言すると、ラットに、ビヒクルまたはラットアミリン(300 μg/kg/d)を含むALZET(登録商標)浸透圧ポンプを埋込んだ。全てのラットに標準的な食餌、水およびに30%蔗糖飲料に自由なアクセスを供した。引き続いて、蔗糖飲料を除去し、ラットの半分は、毎日、連続する3日間、3時間の穏やかな拘束ストレスに付した。3日後に蔗糖を提供し、その毎日の平均消費量を4日間測定した。また、食餌摂取を3日間の回収およびストレスにわたり、蔗糖が再度導入された場合の次の4日間にわたり測定した。拘束は蔗糖再導入の4日間には適用しなかった。このアッセイの結果を図1に示し、* はANOVAおよびFisher LSD 事後(post-hoc)解析によるP<0.05である。
【0110】
このモデルにおいて、慢性ストレスは、糖として摂取された合計カロリーの割合を促す。図1Aに示したように、拘束により誘導されたストレスは、ストレス誘導(セーライン、C)がない対照消費を超えて平均蔗糖−対−食餌消費の比率(べースラインの%として)を有意に増加させた。また、図1Aは、アミリン投与が、拘束により誘導されたストレスの結果として期待された平均蔗糖−対−食餌消費比率における増加を防止することを示す。アミリン投与したストレス誘導ラット(アミリン、R)およびアミリン投与した非ストレス誘導ラット(アミリン、C)間の(ベースラインのパーセンテージとして表される)蔗糖−対−食餌の比率を比較せよ。また、アミリン投与したストレス誘導ラット(アミリン、R)および対照ビヒクル(セーライン)投与したストレス誘導ラット(セーライン、C)間の蔗糖−対−食餌の比率を比較せよ。示したように、アミリン投与は、このストレス誘導応答を低下させる。従って、アミリン投与は、ストレスおよびその効果を縮小または保護するようである。
【0111】
図1Bは、異なる観点、食餌消費の観点からの拘束ストレスアッセイからの同一結果を示す。ストレスが美味な摂食(例えば、単糖)を増加させ、一方、ストレスは、ストレスに対する典型的な反応である、それほど美味でない食物(例えば、標準の食餌)の消費を減少させると考えられる。この確信に従って、アミリン投与がないストレスは、拘束ストレスを受ける動物における食餌消費を減少させた。例えば、図1Bにおけるセーライン処置の拘束された動物およびセーライン処置の対照動物間の食餌消費を比較せよ。また、図1Bにおける食餌摂取データにより示されるように、アミリン投与はストレスに対するこの行動応答から保護する。
【0112】
従前に記載されるように、食物摂取に対するストレスの急性効果は、中枢性CFR経路により媒介される(Smaginら (1999) Am. J. Physiol. 276:R1461-1468)。この結果は、動物の脳に投与したCRFが不安を引き起こし(Dunnら (1990) Brain Res. Brain Res. Rev. 15:71-100)、慢性ストレスおよび中枢性CFRにおける関連する増加が、臨床的鬱病および不安障害の発生における非常に重要な役割を演じる(Chrousos (2000) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 24:S50-S55;Koob (1999) Biol. Psychiatry 46:1167-1180)と考えれらるので、行動的関連を有し得る。従って、アミリンは、鬱病および不安症のように行動の状態を媒介することが知られた中枢性ストレス経路に影響するようであり、同一物を処置するための治療剤として使用し得る。
【0113】
実施例2
実施例1下で概説された知見の解釈を確認するために、種々の動物行動アッセイを行い、アミリン投与の抗不安、抗鬱および抗精神病の効果についてテストした。実施した行動アッセイは、それぞれの臨床疾患(例えば、不安症、鬱病、精神分裂病、強迫障害)の特性の特徴付けを示す当該技術分野で認められた動物モデルを用い、従って、表面的な妥当性を示す。これらの特定の行動テストは、抗不安、抗鬱または抗精神病の薬物に感受性であることが知られている。これらのアッセイでは、ラットアミリンを、腹腔内または、ビヒクルもしくはラットアミリンを含む皮下埋込浸透圧ポンプ(ALZET(登録商標))を介して、0.1〜10mg/kgの範囲の用量にてマウスに投与し、そのアッセイにおけるそれらの能力を評価した。
【0114】
ストレス誘導高熱症(hyperthermia)
体温および情動性の状態は、ヒトにおいて密接に関連付けられ、マウスにおけるストレス誘導高熱症(SIH)はある種のヒトの不安症/ストレス障害についての予測的妥当性を有すると考えられる。SIHアッセイは、ストレス誘導高熱症に対する抗不安またはテスト剤の効果を評価し、動物のコア体温に対するこれらの薬物の固有の効果を測定する。例えば、Zethofら (1994) Physiol. Behav. 55:109-115参照。抗不安は、ストレス曝露後の体温、または体温上昇の増加を鈍くする。動物はアッセイの60分前に、ラットアミリン(0.1、1.0または10mg/kg)、または、対照剤(ビヒクルまたは10mg/kgのクロルジアゼポキシド)で処置した。マウスを、10分間隔で2連続直腸温度測定に付した。第1の測定からのストレスは、第2の温度測定により測定した高熱症を誘導する。2つの温度間の差(ΔT)はストレス誘導高熱症であった。このアッセイの結果を図2に示し、*はP<0.05である。図2に示すように、投与アミリンは、抗不安ポジティブ対照、クロルジアゼポキシド(CDP)のそれのようにSIH応答を鈍くした。SIHテスト結果は、アミリン投与の抗不安活性を示す。また、アミリンは、皮下に埋め込んだポンプを介して300g/kg/dにて慢性的に投与し、動物をSIHテストに付した。1週および4週間の投与の双方で、慢性のアミリン注入は、10mg/kg/dにて慢性的に注入したCDPのように、有意にSIH応答を鈍くした。
【0115】
ガラス玉覆い隠し(Marble burying)
ガラス玉覆い隠しは、不安症および強迫障害の双方のためのモデルとして用いられる。例えば、Chakiら (2003) J. Pharmacol. Exp. Ther. 304:818-826参照。抗不安はガラス玉覆い隠し活動を抑制する。マウスはテストの15−30分前に、テスト剤(0.1、1.0または10mg/kgのラットアミリン、20/kgのブスピロンまたはビヒクル)を注射した。次いで、マウスは、5列で均等に間隔を空けた5cmの堅木床敷きおよび20個のガラス玉を含むクリーンゲージ内に個別に入れた。30分間に埋設されたガラス玉数を記録する。このアッセイの結果を図3に示し、*はP<0.05である。図3に示すように、アミリンの投与は、抗不安ポジティブ対照のブスピロンのように、ガラス玉覆い隠しの数を低下させた。10mg/kgでのアミリンおよび20mg/kgのブスピロンでのガラス玉覆い隠しにおける低下は、統計的に有意であった。ブスピロンは部分的な5-HT1Aアゴニストで、公知の抗不安剤である。ガラス玉覆い隠しアッセイの結果は、アミリン投与の抗不安活性および抗強迫性活性を示す。
【0116】
強制水泳テスト
強制水泳テスト(FST)は、薬物の抗鬱活性を評価するために一般的に用いられているパラダイムである。このテストは、水で満たされたタンク中で動物の浮遊時間の測定に基づく。ラットまたはマウスが微温の水で深いシリンダ中で泳ぐことを強いられる場合、彼らはほとんど不動になり、脱出するようとするのを中止する。この特徴的な不動姿勢は、鬱病様の状態を反映すると思われ、非常に広範囲の抗鬱剤により容易に影響を受ける。例えば、Hedouら (2001) Pharmacol., Biochem. Behav. 70:65-76, Chakiら (2003) J. Pharmacol. Exp. Ther. 304:818-826, and Porsoltら (1977) Nature 266:730-732参照。抗鬱剤は、FSTにおける不動時間を減少させる。ラットアミリンまたはビヒクルは、FSTに先立って皮下に埋込まれた浸透圧ポンプによりマウスに2週間連続的に送達された。第1日に、マウスを15分間の予め水泳セッション用の水タンクに入れた。第2日に、そのマウスを5分間のトライアルセクションにわたりよじ登り、水泳および不動の評価のために水タンクに戻した。FSTの結果を図4に示し、* はP<0.05である。図4に示すように、ラットアミリンの投与は、不動状態で費やされた時間を有意に低下させた。従って、FSTの結果は、アミリン投与の抗鬱性活性を示す。
【0117】
前置刺激(prepulse)抑制
前置刺激抑制(PPI)テストは、外部的に適用さた聴覚刺激に対する反射性応答(聴覚性驚き応答)を測定し、精神分裂病で見られた知覚−運動のゲーティング能力における欠損に関連する。聴覚性驚き反射は、強力な外受容性刺激に対する非常に基本的な応答であり、動物およびヒトにおける感覚運動の反応性を評価するために広く用いられる。強い聴覚性刺激(120dB)に先立って与えた弱い聴覚刺激(前置刺激、74−82dB)は、驚き応答を鈍くする。その驚き応答の鈍化を前置刺激抑制という。例えば、Contiら (2005) Behavioral Neuroscience 119:1052-1060参照。抗精神病薬は、強い刺激に対する驚き応答を鈍くする前パルス刺激の能力を増加させる。フェンシクリジン(PCP)およびケタミンのごときいくらかの精神異常作用性の剤は、現実にパーセント前置刺激抑制を低下させ、動物における精神病様の状態を刺激でき、それは抗精神病の剤により拮抗できる。
【0118】
マウスはテストの15分前にテスト薬剤(0.1、1.0もしくは10mg/kgのラットアミリンまたはビヒクル)またはテストの30分前に1mg/kgのハロペリドールを注射された。マウスは動物ホルダーに入れ、そのホルダーを、聴覚チャンバー中のトランスデューサープラットフォーム上に配置した。74、78および82dBの弱い聴覚刺激(前置刺激)を、強い聴覚刺激(120dB)に先立って与えた。強い刺激に対する動物の「反応」の量を記録した。PPIアッセイの結果を図5に示し、*はP<0.05である。図5に示すように、抗精神病ポジティブ対照のハロペリドールのもののように、10mg/kgでのアミリンの投与は、テストされた全ての前置刺激レベル(74、78および82dB)での前置刺激抑制のパーセントを有意に増加させた。ハロペリドールはドーパミン受容体アンタゴニストで、第1世代の抗精神病剤である。PPIテストの結果は、アミリン投与の抗精神病効果を示す。
【0119】
フェンシクリジン(PCP)誘導移動
PCP誘導移動テストをオープンフィールド活動チャンバーで用いて、アンフェタミン/ PCP誘導条件下、移動、立ち上がりおよびの常同性の活動を測定する。そのテストは、アンフェタミンおよびPCPで見られた活動過多および常同性行動を標準化するいくらかの抗精神病薬のための予測的妥当性を有する。例えば、Williamsら (2006) Prog. Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry 30:239-243参照。マウスは5mg/kgのPCPでの注射の15-30分前にテスト薬剤(0.1、1.0もしくは10mg/kgのラットアミリンまたは10mg/kg、3mg/kgのクロザピン(CZP)もしくはビヒクル)を注射された。次いで、動物はオープンフィールドの中央に入れ、活動を60分間記録した。このアッセイの結果を図6に示し、*はP<0.05である。図6に示すように、アミリンの投与は、抗精神病ポジティブ対照CZPのように、PCP誘導移動テストにおいて評価された全てのタイプ(合計、中枢性および末梢性)を横切る移動した合計距離を有意に低下させた。アミリンは、CZPのように、立ち上がり活動およびPCP誘導立ち上がり活動を低下させた。アミリン単独投与は、ベースライン活動に影響せず、CPZ単独はベースライン活動に影響した。CZPは異型の第2世代抗精神病薬であり、それはドーパミン受容体を含めた混合受容体プロフィールを有する。CPZは優れた抗精神病の活性を有し、より少ない運動副作用を持つ。PCP誘導移動テストの結果は、アミリン投与の抗精神病活性を示す。
【0120】
実施例3
第2世代の抗精神病薬クロザピンによって誘導された体重増加に対するアミリン投与の効果を検討した。成体の雄性Sprague-Dawley(登録商標)ラット(ダイエット=58%kcal(脂肪から))を浸透圧ポンプを肩甲骨間領域に皮下的に埋込み、ビヒクルまたは薬物を4週間連続的に送達した。1つの実験において、ラットをビヒクルまたはクロザピン(0.025および0.25mg/kg/日)で処置した。第2の実験において、ラットをクロザピン(0.25mg/kg/日)または、ラットアミリン(10μg/kg/日)と組み合わせたクロザピン(0.25mg/kg/日)で処置した。図7Aは、ビヒクル処置ラットに比較したクロザピン処置ラットの体重増加の増加を示す。図7Bは、アミリンがクロザピンと共投与された場合、アミリンがクロザピン単独で処置したラットで観察された体重増加を防止したことを示す。
【0121】
前記した記載は例示の目的のために提供された実施例を用いて本発明を開示するが、本発明の実施は、特許請求された発明の範囲内にある全ての通常の変形、適用または修飾を含むと理解されるであろう。かくして、記載および例は本発明の範囲の限定とみなされるべきではなく、それは添付した特許請求の範囲により示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1Aおよび1Bは、ストレス誘導摂食に対するアミリンの効果を示すグラフである。これらのグラフにおいて、Rは、拘束ストレスに付された動物を示し、Cは、拘束ストレスに付されなかった対照動物を示す。
【図2】図2は、マウスにおけるストレス誘導高熱症に対するアミリンおよび対照薬剤の効果を示すグラフである。
【図3】図3は、ガラス玉覆い隠しに対するアミリンおよび対照薬剤の効果を示すグラフである。
【図4】図4は、強制水泳テストを受ける動物に対するアミリンおよびビヒクル対照の効果を示すグラフである。
【図5】図5は、前置刺激抑制に対するアミリンおよび対照薬剤の効果を示すグラフである。
【図6】図6は、フェンシクリジン(PCP)誘導移動運動に対するアミリンおよび対照薬剤の効果を示すグラフである。
【図7】図7Aおよび7Bは、体重に対するクロザピンの効果を示すグラフである。図7Aのグラフは、体重に対するクロザピン単独の効果を示し、図7Bのグラフは、体重に対するクロザピンおよびアミリンの組合せの効果を示す。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
精神の疾患または障害を治療するのに有効な量のアミリン、アミリンアゴニスト、アミリンアナログまたはアミリン誘導体をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象における精神の疾患または障害を治療する方法であって、
その疾患または障害が、気分障害、不安障害または精神分裂病であり、アミリンアゴニストが、カルシトニンでないことを特徴とする該方法。
【請求項2】
アミリンアゴニストがカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)でないことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
疾患または障害が不安障害であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
不安障害が強迫障害であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
疾患または障害が鬱病であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
疾患または障害が精神分裂病であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの他の精神医薬の対象への投与をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
副作用の症状を緩和するのに有効な量で、アミリン、アミリンアゴニスト、アミリンアナログまたはアミリン誘導体をそれを必要とする対象に投与することを特徴とする精神医薬からの対象における副作用を治療する方法。
【請求項9】
副作用が、体重増加、糖尿病または脂質代謝異常であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
精神医薬が、第2世代の抗精神病薬であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
精神障害を治療するのに有効な量で、アミリン、アミリンアゴニスト、アミリンアナログまたはアミリン誘導体をそれを必要とする対象に投与することを特徴とする対象における精神障害のための方法であって、その障害が物質関連障害であり、アミリンアゴニストがカルシトニンではない該方法。
【請求項12】
物質関連障害が、物質嗜癖または物質誘導の障害であることを特徴とする請求項11記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2008−534627(P2008−534627A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504532(P2008−504532)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/012601
【国際公開番号】WO2006/105527
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(598133654)アミリン・ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】AMYLIN PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】9360 Towne Centre Drive, San Diego, CA 92121 USA
【Fターム(参考)】