説明

精製方法

【課題】重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料を、濡壁塔により精製処理し、重合体の変質を抑制しつつ、揮発性成分、特に、沸点が185℃以上である高沸点の揮発性成分の含有量が著しく低減された重合体組成物を回収する精製方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリロイル基を有する単量体を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体等の重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料を、その内部が加熱状態且つ減圧状態にある濡壁塔の上側から供給し、水蒸気を、該濡壁塔の下側から、上記重合体組成物原料と向流接触するように供給し、該濡壁塔の下部に設けられた排出口より、上記揮発性成分の含有量が低減された重合体組成物を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料を、濡壁塔により処理し、揮発性成分の含有量が低減された重合体組成物を回収する精製方法に関する。本発明の精製方法は、重合体組成物原料が、高沸点の揮発性成分を含む場合に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、極めて広い分野で使用されており、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体(以下、「アクリル系重合体」という。)は、自動車部品、家庭電化製品、玩具、食品容器、建築資材等に、主剤又は添加剤として用いられている。このアクリル系重合体において、その製造に際して原料として使用した単量体、重合溶媒等の揮発性成分が残留すると、樹脂本来が与える、強度等の機械的性質、耐熱性等の熱的性質、耐薬品性等の化学的性質等を低下させる場合がある。また、揮発性成分を含む樹脂を用いると、成形時に、発泡による加工性の低下、揮発性成分の臭気による作業環境の悪化等を招くことがある。更には、得られる成形品において、揮発性成分のマイグレーションによる外観性の低下、衛生上の問題等が発生する。
以上のことから、(メタ)アクリル酸エステルを用いて重合する場合には、重合後の未反応単量体等の残存量を低減させるため、また、転化率を向上させるため、例えば、重合触媒を追加添加(化学的処理)する方法が知られている。しかしながら、重合反応の末期において、未反応単量体の濃度が低いため、所定の重合度が得られにくく、通常、オリゴマーが得られる。このオリゴマーは、アクリル系重合体本来の機能を低下させる場合がある。更に、重合触媒の追加添加を行っても、未反応単量体は、不可避的に数百ppm残留する。
また、重合後、揮発性成分である、未反応単量体及び重合溶媒を低減させる方法として、これらの成分を含む重合溶液全体を、減圧下、加熱処理(物理的処理)する方法が知られている。しかしながら、この方法では、揮発性成分の残存量が低下するにつれて、系外より与えた熱が、揮発性成分を蒸発させるよりも、重合体を含む系全体の温度上昇へ消費される(減率乾燥領域)ようになり、揮発性成分の除去が、長時間化する場合がある。このため、加熱による樹脂の分解等による劣化を引き起こすこととなり、樹脂本来の機能が低下したり、激しく着色したりする不具合を生じる。特に、大気圧下における沸点が185℃以上である化合物を含む揮発性成分は、数千ppm程度残留する。
【0003】
上記のように、減圧下、加熱処理する方法としては、スチーム(あるいは水)を系内に添加し、脱揮処理するスチームストリッピングが知られている(例えば、特許文献1〜5等)。
特許文献1には、多管式熱交換器を用い、スチレン系重合体を含む重合液組成物から揮発性物質を除去する際に、重合液組成物に相互溶解性のない発泡剤(水等)を添加し、加熱により揮発性物質を発泡剤のガスと共に蒸発、分離させる方法が開示されている。
特許文献2には、垂直発泡型予熱器及び真空槽を直結した揮発分離器を用い、重合液組成物に相互溶解性のない発泡剤(水等)の存在下、所定の、圧力及び温度の条件により、スチレン系重合体を含む重合液組成物から、3段階で連続的に揮発性物質を除去する方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、多管式熱交換器を用い、沸点40℃の揮発性物質を含む溶液(ブタジエン溶液)から分離された揮発性物質の一部を、加熱される前又は加熱中の上記溶液に合流あるいは混合し、揮発性物質を連続的に分離する方法が開示されている。
特許文献4には、多管式熱交換器を用い、スチレン系重合体を含む重合液組成物から揮発性物質を除去する際に、重合液組成物を、多管式熱交換器を通して加熱し、真空槽内へフラッシュさせ、揮発性物質はガス化して真空槽から留去し、脱揮発した溶融重合体を真空槽の下部から抜き出し、この溶融重合体と、重合液組成物に相互溶解性のない発泡剤(水等)とを混練し、加熱して上記真空槽へフラッシュさせ循環する方法が開示されている。
特許文献5には、ポリアクリレート溶融体に残留した揮発性成分を除去するに際し、揮発性成分の蒸発を減圧下で行い、連行剤(水等)を100℃以上で溶融体に供給し、同時に溶融体をポンプで吸引する方法が開示されている。
また、特許文献6には、ポリテトラメチレンエーテルグリコールジ酢酸エステルを含む重合反応液を、蒸発器、及び、窒素等の不活性気体を向流接触させる気液接触装置を通して処理し、未反応原料を回収する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−134781号公報
【特許文献2】特開昭59−166506号公報
【特許文献3】特開平5−123501号公報
【特許文献4】特開昭59−18707号公報
【特許文献5】特開平7−196726号公報
【特許文献6】特開2001−64381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
揮発性であり且つ高沸点の単量体、例えば、沸点が185℃以上の(メタ)アクリル酸エステルを用いてアクリル系重合体を重合した後、その単量体の一部が未反応のまま含まれている重合溶液に対して、特許文献1〜6による方法等を適用した場合には、残留している未反応単量体が十分に除去されないことがあった。
また、高沸点の揮発性成分を蒸発させようとした場合には、重合体の分解や着色を招くことがあり、重合体本来の性質が維持されない場合があった。
本発明の目的は、重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料を、濡壁塔により精製処理し、重合体の変質を抑制しつつ、揮発性成分、特に、沸点が185℃以上である高沸点の揮発性成分の含有量が著しく低減された重合体組成物を回収する精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示される。
1.重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料を、その内部が加熱状態且つ減圧状態にある濡壁塔の上側から供給し、水蒸気を、該濡壁塔の下側から、上記重合体組成物原料と向流接触するように供給し、該濡壁塔の下部に設けられた排出口より、上記揮発性成分の含有量が低減された重合体組成物を回収することを特徴とする精製方法。
2.上記濡壁塔に供給される前に、上記重合体組成物原料が、予め、加熱される上記1に記載の精製方法。
3.上記濡壁塔の内部の温度が100℃〜220℃であり、且つ、圧力が1〜40kPaである上記1又は2に記載の精製方法。
4.上記水蒸気の供給速度が、上記重合体組成物原料の供給速度の2%〜20%である上記1乃至3のいずれかに記載の精製方法。
5.上記重合体組成物原料が、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を0.2〜2.0質量%、及び、沸点が25℃以上185℃未満である化合物を0〜2.0質量%含有する上記1乃至4のいずれかに記載の精製方法。
6.上記重合体が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体である上記1乃至5のいずれかに記載の精製方法。
7.上記重合体組成物原料が、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を0.2〜2.0質量%、及び、沸点が25℃以上185℃未満である化合物を0〜2.0質量%含有し、且つ、上記重合体が、(メタ)アクリロイル基を有し、且つ、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を含む単量体を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体であり、且つ、上記水蒸気の供給速度が、上記重合体組成物原料の供給速度の2%〜20%である上記2に記載の精製方法。
8.上記1乃至6のいずれかに記載の精製方法により得られ、沸点が185℃以上260℃以下である化合物の含有量が0.080質量%以下であり、且つ、沸点が25℃以上185℃未満である化合物の含有量が0.003質量%以下であることを特徴とする重合体組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料から、重合体の変質を抑制しつつ、揮発性成分、特に、沸点が185℃以上である高沸点の揮発性成分の含有量が著しく低減された重合体組成物への精製を効率よく行うことができる。特に、上記重合体組成物原料が、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を0.2〜2.0質量%含有し、且つ、沸点が25℃以上185℃未満である化合物を0〜2.0質量%含有する場合、各揮発性成分の残存量が著しく低減され、且つ、着色等が抑制された重合体組成物を効率よく回収することができる。
また、本発明において、上記水蒸気の供給速度が、上記重合体組成物原料の供給速度の2%〜20%である場合には、揮発性成分の含有量が著しく低減された重合体組成物への精製を効率よく進めることができる。本発明により回収された重合体組成物において、重合体が、分解等されることなく含有されており、着色及び臭気の発生も抑制されるので、本来の化学的性質、熱的性質、機械的性質等を得ることができる。
上記重合体組成物原料に含有される重合体が、(メタ)アクリロイル基を有し、且つ、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を含む単量体を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体である場合には、揮発性成分の含有量が著しく低減された重合体組成物への精製を効率よく進めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを意味する。また、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
【0010】
本発明は、重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料を、その内部が加熱状態且つ減圧状態にある濡壁塔の上側から供給し、水蒸気を、この濡壁塔の下側から、上記重合体組成物原料と向流接触するように供給し、この濡壁塔の下部に設けられた排出口より、上記揮発性成分の含有量が低減された重合体組成物を回収することを特徴とする精製方法である。尚、重合体組成物原料及び水蒸気が向流接触した後、重合体組成物原料に含まれた揮発性成分は、水蒸気とともに、濡壁塔の上部に設けられた排出口より排出される。
本発明において、「揮発性」とは、大気圧下、温度25℃で揮発する性質を意味し、このような性質を有する成分は、好ましくは、大気圧における沸点が260℃以下である液体の有機化合物である。
【0011】
上記重合体組成物原料は、重合体と、揮発性成分とを含む組成物である。また、この重合体組成物原料は、他の成分を含有してもよい。更に、この重合体組成物原料は、どのような過程により得られたものであってもよい。
上記重合体組成物原料は、以下に例示される。
〔1〕揮発性成分である単量体を用いて、溶液重合、塊状重合等の重合を行う重合工程、必要により行われた脱溶媒工程等を進めた結果、得られた製造物であって、重合体を主成分とし、未反応の単量体を含有する混合物(微量の有機溶媒を含有する場合もある)
〔2〕揮発性成分である単量体を用いて、溶液重合の重合を行う重合工程、脱溶媒工程等を進めた結果、得られた製造物であって、重合体を主成分とし、溶媒を含有する混合物
これらのうち、態様〔1〕が好ましい。また、上記重合体組成物原料は、濡壁塔の内部温度(代表的には100〜220℃)において流動性を有することが好ましい。
【0012】
本発明において好ましい重合体は、揮発性成分である有機溶媒中、揮発性成分である単量体を用いて、溶液重合により製造された(共)重合体又は樹脂;揮発性成分である単量体を用いて、塊状重合により製造された(共)重合体又は樹脂である。
また、上記重合体は、濡壁塔の内部温度(代表的には100〜220℃)において流動性を有することが好ましい。この重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜30,000、より好ましくは700〜20,000、更に好ましくは1,000〜15,000である。また、重合体のガラス転移温度は、好ましくは−80℃〜100℃、より好ましくは−80℃〜80℃、更に好ましくは−80℃〜60℃である。
【0013】
上記単量体としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
【0014】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;更に、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、シアノ基等の官能基を有する不飽和化合物等が挙げられる。
【0015】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0016】
(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル等が挙げられる。
【0017】
(メタ)アクリロイル基及びアミド基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0018】
(メタ)アクリロイル基及びヒドロキシル基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0019】
(メタ)アクリロイル基及びアルコキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等が挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリロイル基及びシアノ基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル等が挙げられる。
【0021】
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ハロゲン化スチレン等が挙げられる。
【0022】
上記の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び芳香族ビニル化合物以外の、他の不飽和化合物としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0023】
また、上記有機溶媒としては、芳香族系のベンゼン、トルエン、キシレン等、ケトン系のメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等、アルコール系のメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等、エステル系の酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等、脂肪酸系のギ酸、酢酸、3−エトキシプロピオン酸エチル、オルト酢酸メチル等、多価アルコールと多価アルコール誘導体系のエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート等、その他としてジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0024】
上記重合体としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、芳香族ビニル化合物等を用いて得られた(共)重合体;グラフト重合用重合体の存在下、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、芳香族ビニル化合物等を用いて得られたグラフト重合体を含む樹脂等が挙げられるが、本発明においては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体が好ましい。
【0025】
上記重合体組成物原料に含まれる重合体の含有量は、通常、90.0〜99.9質量%、好ましくは96.0〜99.8質量%である。
【0026】
上記重合体組成物原料に含まれる揮発性成分は、通常、有機溶媒、未反応の単量体、又は、未反応の単量体及び有機溶媒の混合物である。上記重合体組成物原料に含まれる揮発性成分の含有量は、通常、0.1〜10.0質量%、好ましくは0.2〜4.0質量%である。
本発明は、沸点が高い揮発性成分の除去に優れることから、上記揮発性成分が、有機溶媒、未反応の単量体、並びに、未反応の単量体及び有機溶媒の混合物のうちのいずれであっても、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を含有する重合体組成物原料を処理することが好ましい。沸点が185℃以上260℃以下である化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。この重合体組成物原料における、沸点が185℃以上260℃以下である化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.2〜2.0質量%である。尚、この重合体組成物原料は、沸点が185℃未満の化合物を含有してもよい。その場合、重合体組成物原料における、沸点が185℃未満の化合物の含有量は、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。
【0027】
本発明において用いられる精製装置は、通常、その内部における温度及び圧力の調節を可能とした濡壁塔を備えるものである。この精製装置の概略図を図1に示す。
図1の精製装置1は、重合体組成物原料を収容する貯留槽11と、濡壁塔13と、濡壁塔13の上部及び貯留槽11を連絡し、且つ、重合体組成物原料を濡壁塔13に導入するための原料供給用配管と、重合体組成物原料及び水蒸気の向流接触の後、濡壁塔13の上方部(排出口)から排出される水蒸気及び揮発性成分を回収するコンデンサー14と、濡壁塔13の下部に配設された供給口から、水蒸気を濡壁塔13内に供給するための水供給機16と、濡壁塔13の塔底部(排出口)の下方側に配設されてなり、向流接触後の重合体組成物を回収するための精製物受槽17とを備える。尚、貯留槽11、原料供給用配管、濡壁塔13及び精製物受槽17には、それらに収容される成分又は送られる成分を、加熱、保温あるいは冷却するために、その周囲等に、温度調整可能な冷加熱ジャケットが配設されていてもよい。また、濡壁塔13の内部における水蒸気の流量を安定させるために、濡壁塔13の上方部(排出口)に連絡する任意の位置に、真空装置等が配設されていてもよい。
【0028】
上記濡壁塔13は、特に限定されず、公知の構造を有するものを用いることができる。本発明においては、筒状の筐体の内部に流下式薄膜蒸発管を備え、この筐体の上部及び塔底部に、それぞれ、重合体組成物原料を導入するための供給口(導入口)、及び、向流接触後の重合体組成物を排出するための排出口を備える濡壁塔を用いることが好ましい。この流下式薄膜蒸発管としては、例えば、断面形状が円形、楕円形、角形等である管状体を、縦置きに複数結束させてなる複合体;断面形状が円形、楕円形、角形等である貫通孔131aを上下方向に備える構造体131(図2参照)等を用いることができる。本発明の精製方法では、濡壁塔13の内部を加熱状態及び減圧状態とし、重合体組成物原料を、上記管状体又は上記貫通孔の内壁面に沿って薄膜状に流下させるとともに、濡壁塔13の下側から水蒸気を供給し、薄膜状の重合体組成物原料と、水蒸気とを接触させる。
【0029】
上記濡壁塔13の内部の圧力は、好ましくは1〜40kPaであり、より好ましくは3〜20kPaである。この圧力が高すぎると、揮発性成分の除去効果が低くなる場合がある。一方、この圧力が低すぎると、真空系のコンデンサー14で水が凝縮し難くなり、真空ポンプの動力負荷が上がると共に所望の減圧状態を保て無くなる場合がある。
上記濡壁塔13の内部の温度は、好ましくは80℃〜250℃であり、より好ましくは100℃〜220℃である。この温度が高すぎると、重合体が分解する場合がある。一方、この温度が低すぎると、揮発性成分の除去効果が低くなる場合があり、上記管状体又は上記貫通孔の内部において重合体組成物原料による詰まりが発生する場合がある。
【0030】
上記重合体組成物原料は、濡壁塔13に導入されて初めて加熱されてもよいが、精製効率の観点から、予め、加熱されていることが好ましい。この場合、重合体組成物原料が濡壁塔13に供給される前に、この重合体組成物原料を予熱する工程を備えることが好ましい。この予熱を行うために、貯留槽11及び/又は原料供給用配管に、加熱手段を備えることができる。また、濡壁塔13に導入前の液を予熱の目的でない高温処理をしている場合は、重合体をそのまま或いは、冷却して濡壁塔13に導入してもよい。
上記重合体組成物原料を予熱する場合、その温度は、適宜、選択されるが、通常、50℃〜250℃、好ましくは80℃〜210℃、より好ましくは150℃〜190℃である。
【0031】
上記重合体組成物原料の供給速度は、重合体の性状や濡壁塔の規模等により、適宜、選択されるが、例えば、濡壁塔を構成する管状体等の管径が15mmであり長さが1mである場合、管1本あたりに供給する原料の供給速度は、通常、0.5〜16kg/時、好ましくは1〜8kg/時、より好ましくは2〜7kg/時である。この供給速度が小さすぎると、薄膜を形成する管内でドライスポットを形成し、処理効率が低下する場合がある。また、それにより濡壁塔を大型化せざるを得ない場合がある。供給速度が大きすぎると、向流で吹込まれる水蒸気のガス上昇流により、処理中の重合体組成物原料が真空系のコンデンサー14の方へ持ち込まれるフラッティングという現象を起こす場合がある。
【0032】
一方、上記重合体組成物と接触する水蒸気の供給方法は、特に限定されない。上記水供給機16は、水蒸気を製造し、これを送気する作用、又は、温水を製造し、これを送液する作用、を備えるものとすることができる。前者の場合、濡壁塔13の下部に配設された供給口から、水蒸気を導入することができる。また、後者の場合、濡壁塔13の下部に配設された供給口から、温水を導入し、加熱状態且つ減圧状態にある濡壁塔13の内部(上記管状体又は上記貫通孔の内部)において、導入と同時に水蒸気として、上記重合体組成物と接触させることができる。
【0033】
上記重合体組成物と接触する水蒸気の供給速度は、特に限定されないが、上記重合体組成物原料の供給速度に対して、好ましくは2%〜20%、より好ましくは3%〜16%に相当する速度である。水蒸気の供給割合(重合体組成物の供給速度を基準とする水蒸気の供給速度)を上記範囲とすることにより、揮発性成分を効率よく除去することができ、重合体が、分解等されることなく含有され、且つ、着色及び臭気の発生が抑制された重合体組成物を得ることができる。水蒸気の供給割合が2%未満では、揮発性成分の除去が不十分となりやすい。一方、水蒸気の供給割合が20%を超えると、揮発性成分の除去効率の向上が頭打ちとなるため無駄である。
【0034】
上記のように、重合体組成物原料及び水蒸気が向流接触した後、濡壁塔13の下部に設けられた排出口より、揮発性成分の含有量が低減された重合体組成物を回収することができる。
【0035】
上記のようにして得られた重合体組成物は、揮発性成分の含有量が、好ましくは0.18質量%以下、より好ましくは0.10質量%以下の組成物である。尚、精製に供された重合体組成物原料に含まれた揮発性成分が、沸点が185℃以上260℃以下である化合物0.2〜2.0質量%、及び、沸点が25℃以上185℃未満である化合物0〜2.0質量%含有していた場合には、回収された重合体組成物において、各揮発性成分の残存量が著しく低減されており、沸点が185℃以上260℃以下である化合物の含有量を0.080質量%以下、且つ、沸点が25℃以上185℃未満である化合物の含有量を0.003質量%以下とすることができる。
【0036】
本発明の精製方法における好ましい態様は、以下の通りである。
精製に供される重合体組成物原料は、(メタ)アクリロイル基を有し、且つ、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を含む単量体を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体を含有し、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を0.2〜2.0質量%、及び、沸点が25℃以上185℃未満である化合物を0〜2.0質量%含有する混合物である。そして、この重合体組成物原料の精製は、以下の工程で行われる。即ち、50℃〜250℃の範囲の温度に必要により予熱された重合体組成物原料を、内部の温度を好ましくは100℃〜220℃とした加熱状態及び内部の圧力を好ましくは1〜40kPaとした減圧状態にある濡壁塔の上側から供給し、一方、水蒸気を、濡壁塔の下側から供給し、濡壁塔の内部において向流接触させる。このとき、水蒸気の供給速度を、重合体組成物原料の供給速度の2%〜20%に相当する速度とすることにより、重合体組成物原料に含まれる揮発性成分を効率よく除去し、着色等不具合の抑制された重合体を含有する重合体組成物を回収することができる。
【実施例】
【0037】
以下の例において、精製に供した材料(本発明に係る「重合体組成物原料」に相当)は、各成分の合計を100質量%とした場合に、メタクリル酸メチル20質量%、アクリル酸2−エチルヘキシル70質量%、メチルエチルケトン9.3質量%及びジ−tert−ブチルパーオキサイド0.7質量%を、槽型重合反応器内において溶液重合し、その後、得られた共重合体(GPCによるMw=2,700)を含む重合溶液を、強制薄膜蒸発器に通液し、未反応モノマー及び、メチルエチルケトン、ジ−tert−ブチルパーオキサイドの分解物を除去した後、回収されたものである。尚、この重合体組成物原料は、揮発性の有機化合物として、メタクリル酸メチル(沸点100℃)0.15質量%と、アクリル酸2−エチルヘキシル(沸点215℃)1.1質量%と、メチルエチルケトン(沸点79℃)0.10質量%とを含み、更に、揮発性成分の除去効果を確認するために、上記共重合体と反応しないエチルジグリコール(沸点202.7℃)を1質量%配合されてなるものである。尚、水分量は170質量ppmである。
【0038】
以下に、重合体の重量平均分子量(Mw)の測定条件、揮発性成分の濃度の測定条件、及び、水分量の測定条件を示す。
(1)重合体の重量平均分子量
分析装置 :ゲルパーミエイションクロマトグラフ(型式「HLC−8120GPC」、東ソー社製)
検出器 :RI
カラム :東ソー社製有機溶媒系SECカラム「TSK−GEL Multipore HXL−M」(商品名)を4本連結
カラム温度:40℃
溶離液 :テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/分
試料注入量:100μL
試料調製法:重合体含有成分0.01gをテトラヒドロフラン2mLに溶解希釈。
(2)揮発性成分の濃度
分析装置 :ガスクロマトグラフ(島津製作所社製GC−9AM)
検出器 :FDI
検出器温度:250℃
カラム :「DB−1」(長さ30m、内径0.32mm、膜厚5μm)と「DB−FFAP」(長さ15m、内径0.53mm、膜厚1μm)とを連結。いずれもGLサイエンス社製
キャリアーガス:He
スプリット比:14.9
試料注入量:1μL
試料注入口温度:250℃
昇温プログラム:初期80℃で5分保持後、10℃/分で250℃まで昇温。
試料調製法:重合体含有成分2gとブチルセロソルブ(内部標準物質)0.1gを精秤後、テトラヒドロフラン10mLで溶解希釈。分析対象の揮発性成分は、予め内部標準法により濃度検量線を作成。
(3)水分量測定
測定装置 :カールフィッシャー法電量滴定装置
試料調製法:モレキュラーシーブで水分吸収させたテトラヒドロフランで重合体を希釈溶解。
【0039】
実施例1
重合体組成物原料の精製は、図1に示す、内径15mm、長さ1mの円管を複数結束してなる分散板付き流下式薄膜蒸発管を備える円柱型濡壁塔13を備える精製装置1を用いて行った。図1の精製装置1は、重合体組成物原料を収容する貯留槽11と、濡壁塔13(の上部に配設された原料供給口)及び貯留槽11を連絡し、且つ、重合体組成物原料を濡壁塔13の内部に導入するための原料供給用配管と、この原料供給用配管の途中に配設された送液ポンプ12と、重合体組成物原料及び水蒸気の向流接触の後、濡壁塔13の上方部(排出口)から、真空ポンプ(図示せず)による吸引を利用して、排出される水蒸気及び揮発性成分を回収するコンデンサー14と、このコンデンサー14と真空ポンプ(図示せず)との間に配設された圧力調整弁15と、濡壁塔13の下部に配設された供給口(水蒸気供給口)から、水蒸気を濡壁塔13内に供給するための水供給機16と、濡壁塔13の塔底部(排出口)の下方側に配設されてなり、向流接触後の重合体組成物を回収するための精製物受槽17とを備える。また、貯留槽11、濡壁塔13及び精製物受槽17は、その内部に収容される成分又は送られる成分を、加熱、保温あるいは冷却するために、その周囲に、温度調整可能な冷加熱ジャケットが配設されている。
【0040】
上記精製装置1において、濡壁塔13の上部に配設された原料供給口の温度を201℃、濡壁塔13内の圧力を4kPaとした。その後、貯留槽11において加熱された重合体組成物原料を、1008kg/時の速度で原料供給用配管を連続的に流し、濡壁塔13における上記原料供給口から濡壁塔13の内部に導入し、分散板を介して、複数の円筒の内壁を流下させた。導入時の重合体組成物原料の温度は195℃であった。同時に、水供給機16から、水蒸気を38kg/時の速度で、濡壁塔13内に連続的に供給し、濡壁塔13内を流下する重合体組成物原料と向流接触させた。これにより、精製物受槽17に、揮発性成分が除去されてなる重合体組成物を回収した。その組成をGC分析したところ、メタクリル酸メチルの濃度は0.02質量%、アクリル酸2−エチルヘキシルの濃度は0.06質量%、メチルエチルケトンの濃度は0.00質量%(検出限界以下)、エチルジグリコールの濃度は0.02質量%であった。また、共重合体のMwは2,737であり、水分量は30質量ppmであった(表1参照)。
【0041】
実施例2〜12
濡壁塔13における、重合体組成物原料が導入される原料供給口の温度、濡壁塔13の内部の圧力、導入された重合体組成物原料の温度及びその供給速度、並びに、水蒸気の供給速度を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様にして、精製を行った。各実施例による重合体組成物の組成を表1に併記した。
【0042】
比較例1〜3
濡壁塔13における、重合体組成物原料が導入される原料供給口の温度、濡壁塔13の内部の圧力、並びに、導入された重合体組成物原料の温度及びその供給速度を表2に示す値とし、水蒸気の供給を中止した以外は、実施例1等と同様にして、精製を行った。各比較例による重合体組成物の組成を表2に併記した。
【0043】
比較例4〜11
比較例4〜11で用いた精製装置は、上記精製装置1において、水蒸気供給口の配設位置を、濡壁塔13の上部であって、原料供給口とほぼ同じ高さとした装置であり、重合体組成物原料と、水蒸気とを並流させる構成を有する。この装置を用い、濡壁塔13における、重合体組成物原料が導入される原料供給口の温度、濡壁塔13の内部の圧力、導入された重合体組成物原料の温度及びその供給速度、並びに、水蒸気の供給速度を表2に示す値とした以外は、実施例1と同様にして、精製を行った。各比較例による重合体組成物の組成を表2に併記した。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜12は、本発明の精製方法の例であり、重合体の変質(分解、着色)がなく、沸点が185℃以上260℃以下である化合物の含有量が0.080質量%以下であり、且つ、沸点が25℃以上185℃未満である化合物の含有量が0.003質量%以下である重合体組成物を得ることができたことが分かる。一方、比較例1〜11では、精製が不十分であったことが分かる。比較例4〜11における処理を、複数回行うことにより、実施例1〜12と同等の効果を得ることができるかもしれないが、非効率である。
また、水蒸気以外の接触ガスとして、窒素ガス又はアセトン蒸気を向流接触させた場合、揮発性成分の除去効率は、水蒸気を使用したときよりも大幅に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の精製方法は、高沸点の化合物を単量体として、溶液重合、塊状重合等を行った後、重合溶液に残存する未反応物を効率よく除去する方法等として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の精製方法に係る精製装置の一例を示す模式図である。
【図2】流下式薄膜蒸発管の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1:精製装置
11:貯留槽
12:送液ポンプ
13:濡壁塔
131:流下式薄膜蒸発管
131a:貫通孔
14:コンデンサー
15:圧力調整弁
16:水供給機
17:精製物受槽
18:冷加熱ジャケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体と、揮発性成分とを含む重合体組成物原料を、その内部が加熱状態且つ減圧状態にある濡壁塔の上側から供給し、水蒸気を、該濡壁塔の下側から、上記重合体組成物原料と向流接触するように供給し、該濡壁塔の下部に設けられた排出口より、上記揮発性成分の含有量が低減された重合体組成物を回収することを特徴とする精製方法。
【請求項2】
上記濡壁塔に供給される前に、上記重合体組成物原料が、予め、加熱される請求項1に記載の精製方法。
【請求項3】
上記濡壁塔の内部の温度が100℃〜220℃であり、且つ、圧力が1〜40kPaである請求項1又は2に記載の精製方法。
【請求項4】
上記水蒸気の供給速度が、上記重合体組成物原料の供給速度の2%〜20%である請求項1乃至3のいずれかに記載の精製方法。
【請求項5】
上記重合体組成物原料が、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を0.2〜2.0質量%、及び、沸点が25℃以上185℃未満である化合物を0〜2.0質量%含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の精製方法。
【請求項6】
上記重合体が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体である請求項1乃至5のいずれかに記載の精製方法。
【請求項7】
上記重合体組成物原料が、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を0.2〜2.0質量%、及び、沸点が25℃以上185℃未満である化合物を0〜2.0質量%含有し、且つ、上記重合体が、(メタ)アクリロイル基を有し、且つ、沸点が185℃以上260℃以下である化合物を含む単量体を用いて得られた(メタ)アクリル系(共)重合体であり、且つ、上記水蒸気の供給速度が、上記重合体組成物原料の供給速度の2%〜20%である請求項2に記載の精製方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の精製方法により得られ、沸点が185℃以上260℃以下である化合物の含有量が0.080質量%以下であり、且つ、沸点が25℃以上185℃未満である化合物の含有量が0.003質量%以下であることを特徴とする重合体組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−221265(P2009−221265A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64834(P2008−64834)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】